• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B29C
管理番号 1282461
審判番号 訂正2013-390144  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-09-20 
確定日 2013-11-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4956264号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4956264号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 【1】手続の経緯
本件訂正審判請求に係る特許第4956264号の手続の経緯は、次のとおりである。

出願(外国語書面出願) 平成19年 4月23日
(優先権主張 平成18年 4月24日)
翻訳文提出 平成19年 6月20日
出願公開 平成19年11月15日
拒絶理由通知(起案日) 平成23年 6月20日
意見書の提出 平成23年12月28日
手続補正書の提出 平成23年12月28日
特許査定 平成24年 3月 6日
登録 平成24年 3月23日
特許掲載公報発行 平成24年 6月20日
(特許第4956264号公報)

【2】請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4956264号の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。

(訂正事項)
特許請求の範囲の請求項1に「ダイボディの運動の基準値曲線はダイボディのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり」とあるのを、「ダイボディの運動の基準値曲線は取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり」に訂正する。

【3】当審の判断
1.訂正の目的について
本件訂正前の請求項1(以下「訂正前の請求項1」という。)の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
ダイランドとダイボディを備えたダイであって、ダイランドとダイボディはその間に環状のダイ開口を形成し、ダイボディはダイ開口の断面変更のためにダイランドに対して可動であるダイと、
プランジャを備えた押出装置であって、プランジャは管状プラスチック体製造のためにその運動中にプランジャのパスによって決定される特定量の可塑化されたプラスチック材料をダイを通して押出す押出装置と、
押出プロセス中にダイから出現する管状プラスチック体を案内するために、ダイと隣り合う初期位置からダイから離れる方向に可動とされた取出ユニットであって、そのパスが管状プラスチック体の長さを決定する取出ユニットと
を含む装置によって熱可塑性材料から管状体を製造するための方法であって、
パスセンサが取出ユニット、ダイボディ、及びプランジャそれぞれのパス信号を検出し、
パスセンサのパス信号は制御ユニットに送られ、
プランジャ及び取出ユニットそれぞれの速度並びにダイボディの位置の実際の値は、パスセンサのパス信号から検出され、
前記制御ユニットは、管状体の壁厚をその長さに亘って調整するために予め設定可能なプログラムに従って、ダイボディ、プランジャ及び取出ユニットの運動を制御し、
該方法はさらに、
前記制御ユニットにおいて、取出ユニット、プランジャ及びダイボディの運動のための基準値曲線を調整及び記憶する工程を含み、
取出ユニットの運動の基準値曲線は該ユニットのパスに亘って自由に調整可能な取出ユニットの速度プロファイルであり、
プランジャの運動の基準値曲線はプランジャのパスに亘って自由に調整可能なプランジャの速度プロファイルであり、取出ユニットおよびプランジャの前記速度プロファイルは、互いに独立して調節可能であり、
ダイボディの運動の基準値曲線はダイボディのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり、さらに
得られた実際の値と記憶されている基準値曲線とに基づいて、プランジャ、ダイボディ及び取出ユニットの制御信号を決定する工程と、
決定された制御信号によって、プランジャ、ダイボディ及び取出ユニットのそれぞれの駆動装置を制御し、それにより
取出ユニットは取出ユニットのパスに亘って自由に調整可能な前記速度プロファイルに従って運動し、プランジャはプランジャのパスに亘って自由に調整可能な前記速度プロファイルに従って運動し、
ダイボディは取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な前記位置プロファイルに従って運動し、ダイボディの運動が取出ユニット又はプランジャの運動と同一時間継続して行われるように、
制御する工程とを含む方法。」

ここで、明細書及び図面の記載を参酌すると、訂正前の請求項1における「ダイボディの運動の基準値曲線はダイボディのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり」の記載は、明細書の段落【0026】及び【図5】に対応するものであることが理解される。
しかしながら、明細書の段落【0026】には、「図5で示されるように、ダイボディ14の運動のためには、位置プロファイルP_(D)で表される基準点曲線が取出ユニット6のパス又はプランジャ10のパスに亘って設けられている。従ってダイボディ14の運動については速度ではなく位置(パス)が予め設定されている。」と記載されており、ダイボディ14の運動の基準値曲線は取出ユニット6のパス又はプランジャ10のパスに亘るダイボディ14の位置プロファイルであることが読み取れる。また、【図5】には、ダイボディの運動パスダイアグラムが示されているが、縦軸として「取出ユニット又はプランジャのパス」、横軸として「ダイボディの位置」が記載されており、ダイボディ14の運動の基準値曲線は取出ユニット6のパス又はプランジャ10のパスに亘るダイボディ14の位置プロファイルであることが読み取れる。
また、請求項1の最後に記載した工程は、「ダイボディは取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な前記位置プロファイルに従って運動し、ダイボディの運動が取出ユニット又はプランジャの運動と同一時間継続して行われるように、制御する工程」であり、これに対応する請求項9に記載の装置は、「ダイボディは、取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な位置プロファイルに従って運動可能であり、ダイボディの運動が取出ユニット又はプランジャの運動と同一時間継続して行われるように、制御する制御ユニット」を含んでいる。
さらに、明細書の段落【0007】には、「ダイボディの運動、延いてはダイ開口の変更は、所謂「スレーブ(slave)」のようにプランジャ又は取出ユニットの運動に従属する。」と記載されている。
してみると、ダイボディの運動は、「ダイボディ又はプランジャ」の運動ではなく、「取出ユニット又はプランジャ」の運動に従属するものであることは明らかである。また、訂正前の「ダイボディの運動の基準値曲線はダイボディのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり」との記載では、技術的に意味をなさないことも明らかである。
したがって、訂正前の請求項1における「ダイボディの運動の基準値曲線はダイボディのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり」の記載は、「ダイボディの運動の基準値曲線は取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり」の誤記であり、上記訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

2.新規事項の有無について
上記1.のとおり、上記訂正事項は、誤記の訂正を目的とする訂正である。この場合、当該訂正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあっては、外国語書面)に記載した事項の範囲内のものでなければならない。
本件特許は、外国語書面出願に係るものであるので、本件外国語書面について検討する。
本件外国語書面において、本件特許明細書の段落【0026】に対応する記載は次のものである。
「FIG.5 shows that for the movement of the die body 14, a reference point curve in the form of a position profile P_(D) is provided over the path of the withdrawal unit 6 or the path of the plunger 10. The position (the path) rather than the velocity is therefore predetermined for the movement of the die body 14.」(本件外国語書面における翻訳文、以下同様:図5で示されるように、ダイボディ14の運動のためには、位置プロファイルP_(D)で表される基準点曲線が取出ユニット6のパス又はプランジャ10のパスに亘って設けられている。従ってダイボディ14の運動については速度ではなく位置(パス)が予め設定されている。)
また、本件外国語書面において、本件特許明細書の【図5】の縦軸、横軸に対応する記載はそれぞれ次のとおりである。
「Path of the withdrawal unit or of the plunger」(取出ユニットのパス又はプランジャのパス)、「Position of the die body」(ダイボディの位置)
してみると、上記訂正事項の内容は、上記1.に記載したように、本件特許明細書の段落【0026】及び【図5】に記載されている。そして、明細書の段落【0026】及び【図5】に対応する本件外国語書面の記載は、本件特許明細書の段落【0026】及び【図5】と同じである。
したがって、上記訂正事項は、本件外国語書面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。

3.特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記訂正事項は、上記1.のとおり、誤記を訂正するものであり、訂正前の請求項1の内容を実質的に変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、上記訂正事項は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4.独立特許要件について
本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許受けることができないとする理由を発見しない。同様に、本件訂正後の請求項2?10に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、上記訂正事項は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

【4】むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
熱可塑性材料から管状体を製造するための方法及び装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズ等の管状体であってその壁厚がその長さに亘って調整可能な管状体を熱可塑性材料から製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の方法及び装置は、例えば本出願人による欧州特許第0535254B1号から知られているものである。該特許に開示の装置は、ダイランドとダイボディを備えたダイと;プランジャを備えた押出装置と;押出プロセス中にダイから出現する管状プラスチック体を案内するためにダイと隣り合う初期位置からダイから離れる方向に運動できる取出ユニットと;を有し、ここで、前記ダイランドとダイボディはその間に環状のダイ開口を形成し、ダイボディはダイ開口の断面変更のためにダイランドに対して可動とされており、前記プランジャは管状プラスチック体製造のためにその運動中にプランジャのパスによって決定される量の可塑化されたプラスチック材料をダイを通して押出し、前記取出ユニットは、そのパスが管状プラスチック体の長さを決定するように構成されている。
【0003】
前記特許に開示の装置には、ダイボディ、プランジャ及び取出ユニットの各駆動装置を制御する制御装置が設けられており、これら制御装置はダイボディ、プランジャ、取出ユニットそれぞれの運動のためのパスセンサとコンピュータを含む。コンピュータは、予め設定可能なプログラムに従ってこれら3種の駆動装置を制御する。この制御は、取出ユニットの速度上昇がその初期の運動中に制御されるように行われると共に、その後の取出ユニットの運動中においては、交番的に増減するよう制御されるダイ開口部のギャップ幅が取出ユニットの連続制御された速度特性に重畳(superimposed)されて、形成される壁の厚さを谷と山の並びに亘って波状に変化させるように行われる。このようにして製造された物がベローズのブロー成形用プリフォームである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は上述のタイプの方法及び装置を開発することであって、本方法や装置を用いて任意の態様で形成された熱可塑性材料から成る管状体は、該管状体の長さに亘って正確に調整可能な壁厚を有するものである。
【0005】
この目的を達成するための本発明に係る方法は請求項1に規定されている。この目的を達成するための本発明に係る装置は請求項9に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、取出ユニット、プランジャ及びダイボディの運動はそれぞれ次のように制御されている。即ち、取出ユニットの運動は取出ユニットのパスに亘って自由に調整可能な速度プロファイルに従って行われ;プランジャの運動はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な速度プロファイルに従って行われ;ダイボディの運動は、取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な位置プロファイルに従い、ダイボディの運動が取出ユニット又はプランジャの運動と同一時間継続して行われるように制御される。
【0007】
このように、プランジャの速度特性を一方とし、取出ユニットの速度特性を他方とすると、これらは互いに独立して自由に調整可能であって、ダイボディの運動、延いてはダイ開口の変更は、所謂「スレーブ(slave)」のようにプランジャ又は取出ユニットの運動に従属する。
【0008】
プランジャと取出ユニットの運動のための速度プロファイルは自由に調整可能であるので、プロセスのセッティング中に、製造精度を損なう影響(後続的に生じうる可塑化プラスチック材料のスウェリングや管状プラスチック体のサギング等)について最適な配慮をすることができる。こうして、管状プラスチック体の壁厚、延いては完成管状体の壁厚はその長さに亘って極めて高精度に調整される。
【0009】
本発明に係る方法においては、取出ユニットとプランジャの運動を同時に開始させてもよいが、その一方で取出ユニットの運動時間とプランジャの運動時間が等しくないように非同期的に行わせるてもよい。結果として、既に述べたようにプロセスシーケンスを阻害する影響について最適な配慮をすることができる。
【0010】
しかしながら、原則的にはプランジャの運動と射出成形ダイの運動の自動的「同期化」も可能である。この目的のために、本発明の別の実施形態においては、取出ユニットとプランジャの運動時間を等しくするために、取出ユニット用速度プロファイルをプランジャ運動用速度プロファイルに、或いは逆にプランジャ運動用速度プロファイルを取出ユニット用速度プロファイルに、自動的に適合させるように制御ユニットを調整することができる。この利点は、例えばプランジャの速度プロファイルを変更した場合に、取出ユニットの運動のための速度プロファイルを別に手動調整する必要がないことである。好ましくは、本発明に係る方法により製造される管状プラスチック体は、ブロー成形プロセス用プリフォーム(例えばベローズ製造用プリフォーム)として製造される。しかしながら本発明に係る方法によれば、熱可塑性材料から作られる如何なる管状体も、その壁厚をその長さに亘って変化させ且つ高精度な調整を可能として製造することができることをここに付言する。
【0011】
本発明の別の有利な実施形態は従属特許請求項から明らかに理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0013】
図1に示す装置は、その基本構成において前述の欧州特許第0535254B1号の装置に対応する。本装置は、ベローズをブロー成形で製造するためのプリフォームと称される管状体を熱可塑性材料から製造するものである。なお、この態様は本発明の一実施形態に過ぎない。既に述べたように本発明の方法及び装置によれば、如何なる管状体をも、その壁厚をその長さに亘り所定の方法で高精度に調整することを意図して、熱可塑性材料から製造することができる。
【0014】
図1の装置の基本構造は前述の特許により公知であるので、以下の記載は本発明を説明するために必須の構成要素に限定して行う。
【0015】
図1の装置は、一部を断片的に示す押出装置2と、ダイ4と、取出ユニット6と、ブローモールド8とから構成される。
【0016】
押出装置2は、可塑化プラスチック材料をダイ4から吐出するために直線運動可能なプランジャ10を含む。ダイ4はダイランド12と、その内側の、部分的に円錐形状を有するダイボディ14とから構成される。ダイランド12とダイボディ14はその間にダイチャネル16を形成し、ダイチャネル16の終端は環状のダイ開口17を形成している。二重矢印で示されるように、ダイ開口17の断面形状を変更するために、ダイボディ14はダイランド12に対して直線的に変位させることができる。
【0017】
取出ユニット6は、モールドボディ18と、その内部に配置されたブローマンドレル20とを含み、これら二者間にモールドキャビティ22が画定される。また二重矢印で示されるように、取出ユニット6はダイ4の長手方向軸に沿って直線的に往復運動することができる。
【0018】
ブローモールド8は2個のブローモールド割型を含み(片方のブローモールド割型24のみを示す)、また二重矢印で示されるように、取出ユニット6とダイ4の長手方向を横切る方向に往復運動することができる。
【0019】
プランジャ10、ダイボディ14及び取出ユニット6を駆動するために、油圧駆動装置26及び/又は28及び/又は30がそれぞれ一種ずつピストン・シリンダ・ユニットとして設けられており、その加圧状態は制御バルブ32及び/又は34及び/又は36によってそれぞれ制御されている。
【0020】
管状プラスチック体Kの製造開始時には、取出ユニット6はダイ4と隣り合う初期位置にある。次いでプランジャ10が駆動装置26によって吐出方向に運動することによりプランジャパスによって決まる或る量の可塑化プラスチック材料がメルトリザーバ(図示せず)から、ダイチャネル16を経由しダイ開口17に通じるように強制的に押出される。なお、製造されるべきプラスチック体Kのヘッド部が、射出成形プロセスによって取出ユニット6のモールドキャビティ22において最初に成形される。実際の押出プロセスはこのヘッド部ができた後に行われ、このとき取出ユニット6は駆動装置30によって初期位置からダイ4から離れる方向へと動く。なお、取出ユニット6はプラスチック体Kをそのヘッド部において案内し、また取出ユニット6のパスがプラスチック体Kの長さを決定する。
【0021】
押出プロセスにおいては、調整されるべきプラスチック体Kの壁厚に応じてダイ開口17の断面を変更するために、ダイボディ14は駆動装置28によってダイランド12に対して動かされる。押出プロセスが終るとプラスチック体Kの端部は、ダイボディ14がダイランド12に寄りかかるようにされて切り離される。
【0022】
プランジャ10、ダイボディ14及び取出ユニット6の運動を制御するために制御ユニットが設けられており、図示した実施形態ではこの制御ユニットは、プランジャ10、ダイボディ14及び取出ユニット6を動かすためのパスセンサ38、40及び42を備えると共に、コンピュータ44の形態で製造制御ユニットを含む(図2)。図2に図式的に示されるように、パスセンサ38、40及び42の出力信号はコンピュータ44に供給され、コンピュータ44は、制御バルブ32、34及び36のための制御信号、延いては下により詳細に説明されるように駆動装置26、28及び30のための制御信号を発生するためのコントローラを含む。
【0023】
プランジャ10、ダイボディ14及び取出ユニット6の運動のための基準値曲線はコンピュータ44に記憶されている(図3?5に示す例を参照)。
【0024】
図3のダイアグラムが示すように、取出ユニット6の運動のための基準値曲線は速度プロファイルP_(Z)として取出ユニット6のパスに亘って設定されている。従って速度プロファイルP_(Z)は、取出ユニット6のパスに亘る、取出ユニット6の基準速度を表している。速度とパスはパーセント値で表される。
【0025】
図4で示されるように、プランジャ10の速度のためには、速度プロファイルP_(S)で表される基準値曲線がプランジャ10のパスに亘って設けられており、この場合も速度とパスはパーセント値で表される。
【0026】
図5で示されるように、ダイボディ14の運動のためには、位置プロファイルP_(D)で表される基準点曲線が取出ユニット6のパス又はプランジャ10のパスに亘って設けられている。従ってダイボディ14の運動については速度ではなく位置(パス)が予め設定されている。
【0027】
図3?5のダイアグラムは勿論、速度プロファイルP_(Z)及びP_(S)並びに位置プロファイルP_(D)の一例を表しているに過ぎない。現実には、適用対象に応じて取出ユニット、プランジャ及びダイボディの運動を最適なものにできるようにするために、これらプロファイル(基準値曲線)は自由に調整可能である。
【0028】
プロファイルP_(Z)、P_(S)及びP_(D)はいずれも、多数のセグメントに亘って調整されることが好ましい。開示される実施形態においては101個のセグメントを選択した。しかしながら異なる数のセグメントも選択できることを理解されたい。
【0029】
プランジャ10と取出ユニット6の速度の実際の値はパスセンサ38と42のパス信号から検出される。この検出は、パスセンサ38及び42自体によってなされうるが、コンピュータ40がこれを行ってもよい。パスセンサ40のパス信号は、ダイボディ14の位置を示す実際の値としてそのまま使用することができる。
【0030】
コンピュータ44のコントローラは、パスセンサからもたらされる実際の値と、速度プロファイルP_(Z)及びP_(S)並びに位置プロファイルP_(D)として記憶されている基準値とを使用し、制御信号を決定することができる。この制御信号によって、プランジャ10、ダイボディ14及び取出ユニット6の制御バルブ32、34及び36が制御され、また駆動装置26、28及び30が制御される。こうして、取出ユニット6、プランジャ10及びダイボディ14はそれぞれの速度プロファイルP_(Z)、P_(S)及び/又は位置プロファイルP_(D)に従って動く。
【0031】
取出ユニット6の速度プロファイルP_(Z)とプランジャ10の速度プロファイルP_(S)は自由に調整可能であって互いに独立している。従って、取出ユニット6とプランジャ10は同時に作動される必要はない。よって、これらの運動の継続時間、開始及び終了は等しくないように選択することができる。本装置がベローズの製造に使用される実施形態においては、速度プロファイルP_(Z)及びP_(S)は、例えば取出ユニット6とプランジャ10の動作は同時に開始されるが異なる時点で終了するように選択される。
【0032】
しかしながら、既に上で述べたように取出ユニット6の運動とプランジャ10の運動は自動的に「同期化」させることができ、これによりプランジャの運動時間と取出ユニットの動作時間が等しいことが自動的に保証されることとなる。これを達成するために、コンピュータ44は2種の動作状態についてそれぞれ調整できるようにプログラムされる。一方の動作状態においては、速度プロファイルP_(Z)及びP_(S)は互いに独立した調整が可能である。他方の動作状態においては、プランジャと取出ユニットの運動時間を等しくするために、コンピュータ44のプログラムによって取出ユニット用速度プロファイルP_(Z)をプランジャ用速度プロファイルP_(S)に、或いは逆にP_(S)をP_(Z)に、自動的に適合させる。例えば壁厚分布の異なるプラスチック体Kを製造するためにプランジャ用速度プロファイルP_(S)を変更する場合、プログラムはP_(Z)をこれに対応して変化させて取出ユニットとプランジャの運動が同一時間継続して行われるよう、取出ユニット用速度プロファイル用P_(Z)を自動的に変更する。
【0033】
ダイボディ14のための位置プロファイルP_(D)は取出ユニット6のパス又はプランジャ10のパスに亘って固定されているので、ダイボディ14の運動は取出ユニット及び/又はプランジャに対し「スレーブ」のように追従するものとなる。
【0034】
速度プロファイルP_(Z)及びP_(S)並びに位置プロファイルP_(D)は、プラスチック体K(図1)の製造にあたり所望の壁厚分布が達成されるように調整される。図示したベローズ製造の例においては(ベローズの幾何形状は図1のブローモールド割型24によって示されている)、得られるプラスチック管状体Kはその長さに亘って交番的に増減する壁厚を有する。
【0035】
速度プロファイルP_(Z)及びP_(S)並びに位置プロファイルP_(D)を自由に調整できることにより、製造プロセスを阻害する影響(例えば、後続的に生じうるプラスチック材料のスウェリングや管状体Kのサギング)について最適に配慮することができる。
【0036】
特に大事な点は、ヘッド部(モールドキャビティ22)とプラスチック管状体Kの中央部分との間の移行である。図3及び4のダイアグラムから確認できるように、この移行に伴う困難の理由は、押出プロセスの開始時において曲線特性が極めて特殊であることにる。
【0037】
端部がきれいなベローズを得るためには、通常、プラスチック体Kから製造されるベローズの端部を特別な切断プロセス(図示せず)で切断する必要がある。取出ダイ6とプランジャ10の速度及びダイボディ14の位置を制御する本発明方法によれば、切断されるべき部分とプラスチック体Kの残部との間の移行部が壁厚減少により損なわれることなしに、プラスチック体Kの切断されるべき部分の壁厚を特定量正確に減少させることができる。押出プロセスの終了に向けて適切に選択された速度及び位置プロファイルP_(Z)、P_(S)及びP_(D)の例は図3?5のダイアグラムで確認することができる。その結果、切断プロセス中に生じる不良品数を著しく低減させることができる。
【0038】
また、図3?5のダイアグラムに示す曲線は、可能なプロファイルのうちの一例に過ぎず、特定のベローズを製造するために選択されたものであることを付言する。他のベローズを製造する場合、特に他の管状体を製造する場合には、自由に調整可能なプロファイルP_(Z)、P_(S)及びP_(D)は全く異なる曲線特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ベローズをブロー成形するためのプリフォーム製造用装置の広い範囲に亘る概略断面図である。
【図2】図1の装置のための制御ユニットの極めて概略的な図である。
【図3】図1の装置における取出ユニットの運動パスダイアグラムである。
【図4】図1の装置におけるプランジャの運動パスダイアグラムである。
【図5】図1の装置におけるダイボディの運動パスダイアグラムである。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイランドとダイボディを備えたダイであって、ダイランドとダイボディはその間に環状のダイ開口を形成し、ダイボディはダイ開口の断面変更のためにダイランドに対して可動であるダイと、
プランジャを備えた押出装置であって、プランジャは管状プラスチック体製造のためにその運動中にプランジャのパスによって決定される特定量の可塑化されたプラスチック材料をダイを通して押出す押出装置と、
押出プロセス中にダイから出現する管状プラスチック体を案内するために、ダイと隣り合う初期位置からダイから離れる方向に可動とされた取出ユニットであって、そのパスが管状プラスチック体の長さを決定する取出ユニットと
を含む装置によって熱可塑性材料から管状体を製造するための方法であって、
パスセンサが取出ユニット、ダイボディ、及びプランジャそれぞれのパス信号を検出し、
パスセンサのパス信号は制御ユニットに送られ、
プランジャ及び取出ユニットそれぞれの速度並びにダイボディの位置の実際の値は、パスセンサのパス信号から検出され、
前記制御ユニットは、管状体の壁厚をその長さに亘って調整するために予め設定可能なプログラムに従って、ダイボディ、プランジャ及び取出ユニットの運動を制御し、
該方法はさらに、
前記制御ユニットにおいて、取出ユニット、プランジャ及びダイボディの運動のための基準値曲線を調整及び記憶する工程を含み、
取出ユニットの運動の基準値曲線は該ユニットのパスに亘って自由に調整可能な取出ユニットの速度プロファイルであり、
プランジャの運動の基準値曲線はプランジャのパスに亘って自由に調整可能なプランジャの速度プロファイルであり、取出ユニットおよびプランジャの前記速度プロファイルは、互いに独立して調節可能であり、
ダイボディの運動の基準値曲線は取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘るダイボディの位置プロファイルであり、さらに
得られた実際の値と記憶されている基準値曲線とに基づいて、プランジャ、ダイボディ及び取出ユニットの制御信号を決定する工程と、
決定された制御信号によって、プランジャ、ダイボディ及び取出ユニットのそれぞれの駆動装置を制御し、それにより
取出ユニットは取出ユニットのパスに亘って自由に調整可能な前記速度プロファイルに従って運動し、プランジャはプランジャのパスに亘って自由に調整可能な前記速度プロファイルに従って運動し、
ダイボディは取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な前記位置プロファイルに従って運動し、ダイボディの運動が取出ユニット又はプランジャの運動と同一時間継続して行われるように、
制御する工程とを含む方法。
【請求項2】
取出ユニットとプランジャの運動のための各速度プロファイルは取出ユニットの運動時間とプランジャの運動時間が等しくないように調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
取出ユニットとプランジャの運動のための各速度プロファイルは取出ユニットの運動時間とプランジャの運動時間が等しいように調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
制御ユニットは、取出ユニットとプランジャの運動時間を等しくするために、取出ユニットのための速度プロファイルをプランジャの運動のための速度プロファイルに、或いは逆にプランジャの運動のための速度プロファイルを取出ユニットのための速度プロファイルに、自動的に適合させるように調整できることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
取出ユニットとプランジャの運動のための各速度プロファイルは、取出ユニットとプランジャの運動が同時に開始するように調整されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
取出ユニットの運動のための速度プロファイル、プランジャの運動のための速度プロファイル、及びダイボディの運動のための位置プロファイルは、それぞれ多数のセグメントに亘って調整できることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
押出プロセスの開始前に取出ユニットにおいてヘッド部が射出成形され、押出プロセス中に管状プラスチック体が取出ユニットによって該ヘッド部において案内されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
管状プラスチック体はブロー成形プロセス用プリフォームとして用いられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
熱可塑性材料から管状体を製造するための装置であって、
ダイランドとダイボディを備えたダイであって、ダイランドとダイボディはその間に環状のダイ開口を形成し、ダイボディはダイ開口の断面変更のためにダイランドに対して可動であるダイと、
プランジャを備えた押出装置であって、プランジャは管状プラスチック体製造のために吐出運動によりプランジャのパスによって決定される特定量の可塑化されたプラスチック材料をダイを通して押出す押出装置と、
押出プロセス中にダイから出現する管状プラスチック体を案内するために、ダイと隣り合う初期位置からダイから離れる方向に可動とされた取出ユニットであって、そのパスがプラスチック体の長さを決定する取出ユニットと
を含む装置であって、
パスセンサが取出しユニット、ダイボディ、及びプランジャそれぞれのパス信号を検出し、
パスセンサのパス信号は制御ユニットに送られ、
プランジャ及び取出ユニットそれぞれの速度並びにダイボディの位置の実際の値は、パスセンサのパス信号から検出され、
予め設定可能なプログラムによって取出ユニット、プランジャ及びダイボディの運動を制御する前記制御ユニットは、取出ユニット、プランジャ及びダイボディの運動のための基準値曲線を調整及び記憶するように構成されており、
取出ユニットの運動の基準値曲線は取出ユニットのパスに亘って自由に調整可能な取出ユニットの速度プロファイルであり、
プランジャの運動の基準値曲線はプランジャのパスに亘って自由に調整可能なプランジャの速度プロファイルであり、それにより
ダイボディは、取出ユニットのパス又はプランジャのパスに亘って自由に調整可能な位置プロファイルに従って運動可能であり、ダイボディの運動が取出ユニット又はプランジャの運動と同一時間継続して行われるように、
制御する制御ユニットと、を含む装置。
【請求項10】
制御ユニットは、取出ユニットとプランジャの運動のための速度プロファイル及びダイボディの運動のための位置プロファイルそれぞれの実際の値と基準値との間の差に応じて、取出ユニット、プランジャ及びダイボディの各駆動装置のための制御信号を発生するコントローラを備えたコンピュータを含むことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-11-06 
出願番号 特願2007-112862(P2007-112862)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (B29C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村松 宏紀  
特許庁審判長 石川 好文
特許庁審判官 豊永 茂弘
井上 茂夫
登録日 2012-03-23 
登録番号 特許第4956264号(P4956264)
発明の名称 熱可塑性材料から管状体を製造するための方法及び装置  
代理人 酒井 一  
代理人 酒井 一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ