ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E04D |
---|---|
管理番号 | 1282878 |
審判番号 | 不服2012-20103 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-12 |
確定日 | 2014-01-14 |
事件の表示 | 特願2008-118510号「耐火性金属折板屋根積層構造体」拒絶査定不服審判事件〔平成21年11月12日出願公開、特開2009-264082号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年4月30日の出願であって、平成24年7月19日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成24年10月12日に本件審判が請求されるとともに、審判請求と同時に手続補正がなされ、その後、平成25年4月26日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年6月24日に回答書が提出された。 第2 平成24年10月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項2を、 「【請求項2】 鋼板、樹脂発泡体および金属箔により構成される耐火性金属折板屋根積層構造体であり、前記鋼板の片面に前記樹脂発泡体が接着され、前記樹脂発泡体に前記金属箔が接着され、前記金属箔の厚さが6?30μmであることを特徴とする耐火性金属折板屋根積層構造体。」 と補正し、請求項5を削除し、それに合わせて明細書の記載を補正するものである。 本件補正は、請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「金属箔」について、「金属箔の厚さが6?30μmである」との限定を付加するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項2に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 2.刊行物の記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-150697号公報(以下、「刊行物1」という。)には、金属複合屋根材及びその施工方法に関し、図面とともに、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 建築物の屋根に供する金属折板を基材とし、マット状或いはフェルト状のロックウール断熱材の少なくとも1つの面を補強用表面被覆シートによって被覆して形成された断熱材マットをその補強用表面被覆シートを屋内側表面にして上記金属折板に貼付けてなることを特徴とする金属複合屋根材。」 (イ)「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、建築構造物の屋根に供される金属折板を基材とし、耐火、断熱、防露、吸音機能を備える金属複合屋根材及びその施工方法に関するものである。」 (ウ)「【0010】 【実施例】・・・図において、1は金属複合屋根材の基材となる金属折板、1aは金属折板1の鉤状のはぜ部である。2は金属折板1の屋内側表面に接着された断熱材マットである。この断熱材マット2は金属折板1の屋内側表面に1つの面が接着された密度40?80kg/m^(3)程度、厚さ15m/m?100m/mのマット状のロックウール断熱材3と、そのロックウール断熱材3のもう1つの面を被覆する補強用表面被覆シート4とで構成されている。この補強用表面被覆シート4はその幅がロックウール断熱材3の幅よりも長く形成されている。」 (エ)「【0011】また、この補強用表面被覆シート4は重量200g/m^(2)、厚さ0.18m/mのガラスクロス6で補強された厚さ0.02m/mのアルミ箔5からなり、アルミ箔3の面を表にしてロックウール断熱材3に接着され、ロックウール断熱材3を被覆している。なお、補強用表面被覆シート4の補強材としてはガラスクロス6の他に、不織布、寒冷紗、アルミガラスクロス、アルミクラフト紙、アルミガラスクラフト紙、ポリエチレン、塩化ビニル等が適用される。」 (オ)「【0014】・・・また、補強用表面被覆シート4がガラスクロス6で補強されたアルミ箔5からなる不透湿性のものでは、充分な気密性を得られるため、ロックウール断熱材3への水分の進入が防止され、結露水による断熱性の低下が起こらず、ロックウール断熱材3の性能が維持できる。」 すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されているものということができる。 「建築物の屋根に供する金属折板を基材とし、マット状或いはフェルト状のロックウール断熱材の少なくとも1つの面を補強用表面被覆シートによって被覆して形成された断熱材マットをその補強用表面被覆シートを屋内側表面にして上記金属折板に貼付けてなる、耐火、断熱、防露、吸音機能を備える金属複合屋根材であり、 断熱材マット2は金属折板1の屋内側表面に1つの面が接着されたロックウール断熱材3と、そのロックウール断熱材3のもう1つの面を被覆する補強用表面被覆シート4とで構成され、 補強用表面被覆シート4は重量200g/m^(2)、厚さ0.18m/mのガラスクロス6で補強された厚さ0.02m/mのアルミ箔5からなり、アルミ箔5の面を表にしてロックウール断熱材3に接着され、ロックウール断熱材3を被覆している 金属複合屋根材。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-270063号公報(以下「刊行物2」という。)には、断熱金属屋根材とその製造方法に関し、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 全体に折り曲げ加工が施されている断熱金属屋根材であって、金属板と、少なくともアクリル酸エステル系重合体と含ハロゲンリン酸エステルと無機系難燃剤とを含有する難燃性制振樹脂組成物から成る樹脂層と、金属シートと、発泡体シートとがこの順序で積層されて一体化した断熱構造を有していることを特徴とする断熱金属屋根材。」 (イ)「【0002】 【従来の技術】・・・ 【0003】この断熱金属屋根材は、一般に、例えば発泡ポリエチレンシートのような樹脂発泡体シートやガラスウールのような無機系断熱材などを、接着剤を用いて金属板の片面に貼り合わせたり、または金属板を所定温度に加熱して断熱材を熱融着せしめて前記断熱材と金属板とを一体化したのち、全体に、例えばロールフォーミング法などを適用して所望形状に折り曲げ加工して製造されている。」 (ウ)「【0017】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の断熱金属屋根材Aの断面構造を示す断面図である。この屋根材Aは、全体として折り曲げ加工が施されていて、紙面の左右方向には山と谷が周期的に形成されている。そして、断面構造においては、外表面に金属板1が位置し、屋内側に向かって、後述する樹脂層2,金属シート3,発泡体シート4がこの順序で積層され、それぞれが接着して一体化した構造になっている。」 (エ)「【0018】ここで、金属板1としては、JISA6514で規定する金属板の外に、例えば、アルミニウム板や銅板などを使用することができ、その厚みは0.3?1.5mm程度のものを使用することができる。樹脂層2は、金属板1の外表面で発生した雨音の振動を抑制し、更には難燃効果を発揮して、火災発生時には、屋内側に位置する発泡シートの延焼防止の働きをする。」 (オ)「【0026】金属シート3は、遮音材として機能し、金属板1で発生した雨音の屋内への透過損失を大きくして、屋根材の防音効果の向上に資する。この金属シート3としては、軽量で耐食性も良好であるということから、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金の箔,シートであることが好ましい。この金属シート3の厚みが薄すぎると上記した遮音効果の低下傾向が現れはじめ、逆に厚すぎると折り曲げ加工時に難点が生じるようになるので、その厚みは50?500μmにすることが好ましい。とくに好ましくは70?300μmである。」 すると、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が開示されているものということができる。 「全体に折り曲げ加工が施されている断熱金属屋根材であって、 金属板と、少なくともアクリル酸エステル系重合体と含ハロゲンリン酸エステルと無機系難燃剤とを含有する難燃性制振樹脂組成物から成る樹脂層と、金属シートと、発泡体シートとがこの順序で積層され、それぞれが接着して一体化した断熱構造を有し、 金属シート3は、遮音材として機能し、金属板1で発生した雨音の屋内への透過損失を大きくして、屋根材の防音効果の向上に資するものであり、 この金属シート3の厚みが薄すぎると遮音効果の低下傾向が現れはじめ、逆に厚すぎると折り曲げ加工時に難点が生じるようになるので、その厚みは50?500μmにすることが好ましく、とくに好ましくは70?300μmである 断熱金属屋根材。」 3.本願補正発明と引用発明1との対比 (1)両発明の対応関係 (a)引用発明1の「アルミ箔5」は、本願補正発明の「金属箔」に相当し、以下同様に、 「断熱材マットをその補強用表面被覆シートを屋内側表面にして上記金属折板に貼付けてなる、耐火、断熱、防露、吸音機能を備える金属複合屋根材」は、「耐火性金属折板屋根積層構造体」に、 「厚さ0.02m/mのアルミ箔5」であることは、「金属箔の厚さが6?30μmであること」に、 相当する。 (b)引用発明1の「建築物の屋根に供する金属折板」と、本願補正発明の「鋼板」とは、[金属板](鋼板)である点で共通する。 (c)引用発明1の「マット状」「のロックウール断熱材」と、本願補正発明の「樹脂発泡体」とは、後者も本願明細書【0015】の「樹脂発泡体は、断熱材として機能する」ものであるので、両者は断熱材である点で共通する。 (d)引用発明1の「断熱材マット2は金属折板1の屋内側表面に1つの面が接着されたロックウール断熱材3・・・で構成され」ていることと、本願補正発明の「鋼板の片面に前記樹脂発泡体が接着され」たこととは、金属板の片面に断熱材が接着された点で共通する。 (e)引用発明1の「補強用表面被覆シート4は・・ガラスクロス6で補強された・・アルミ箔5からなり、アルミ箔5の面を表にしてロックウール断熱材3に接着され・・ている」ことと、本願補正発明の「前記樹脂発泡体に前記金属箔が接着され」たこととは、断熱材に金属箔が支持される点で共通する。 (2)両発明の一致点 「金属板、断熱材および金属箔により構成される耐火性金属折板屋根積層構造体であり、前記金属板の片面に前記樹脂発泡体が接着され、前記断熱材に金属箔が支持され、前記金属箔の厚さが0.02m/mである耐火性金属折板屋根積層構造体。」 (3)両発明の相違点 ア.金属板が、本願補正発明は「鋼板」であるのに対して、引用発明1はそうでない点。 イ.断熱材が、本願補正発明は「樹脂発泡体」であるのに対して、引用発明1はそうでない点。 ウ.本願補正発明は「樹脂発泡体に前記金属箔が接着され」るのに対して、引用発明1は「補強用表面被覆シート4」が、「アルミ箔5の面を表にしてロックウール断熱材3に接着され」ている点。 4.本願補正発明の容易推考性の検討 (1)相違点ア.について 金属板として、鋼板は周知慣用のものであり、引用発明1の金属折板を鋼板として本願補正発明の相違点ア.の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点イ.について 刊行物2記載事項(ア)の「発泡体シート」は、本願補正発明の「樹脂発泡体」に相当する。 そして、引用発明1の「マット状」「のロックウール断熱材」と、刊行物2記載の「発泡体シート」とは、折板屋根の断熱材であるという基本構成において共通するものであり、引用発明1の「マット状」「のロックウール断熱材」に換えて、刊行物2記載の「発泡体シート」を使用して、本願補正発明の相違点イ.の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (3)相違点ウ.について (a)引用発明1の「アルミ箔5」は、刊行物1記載事項(エ)の「厚さ0.18m/mのガラスクロス6で補強された厚さ0.02m/mのアルミ箔5からな」る「補強用表面被覆シート4」の構成要素であって、同記載事項(オ)に「補強用表面被覆シート4がガラスクロス6で補強されたアルミ箔5からなる不透湿性のものでは、充分な気密性を得られる」機能を有するものであることが記載されている一方、刊行物1には、アルミ箔5をガラスクロス6分離して単独で使用することや、アルミ箔5をロックウール断熱材3側に配することを示唆する記載は存在しない。 (b)刊行物2記載事項(ア)には、「金属シートと、発泡体シートとがこの順序で積層」される構成が記載されているものの、その金属シートは、同記載事項(オ)の「金属シート3は、遮音材として機能し、・・・雨音の屋内への透過損失を大きくして、屋根材の防音効果の向上に資する。・・・薄すぎると遮音効果の低下傾向が現れはじめ、・・・その厚みは50?500μmにすることが好ましい」ものであって、引用発明1の「補強用表面被覆シート4」の「アルミ箔5」とは、機能も厚みも異なるものである。 (c)そうすると、引用発明1の「アルミ箔5」を「樹脂発泡体に前記金属箔が接着され」るものとすることは、刊行物1?2のいずれにも記載も示唆もされておらず、しかも、本願補正発明は、当該構成を備えることによって、明細書記載の「【0011】・・・屋根耐火30分認定試験に合格する優れた耐火性を有する。」という作用効果を奏するものと認められる。 したがって、本願補正発明は、引用発明1及び刊行物1?2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.むすび 本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明 本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし4に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1ないし4に係る発明は、それぞれ次のとおりである。 「【請求項1】 鋼板、金属箔および樹脂発泡体により構成される耐火性金属折板屋根積層構造体であり、前記鋼板の片面に前記金属箔が接着され、前記金属箔の厚さが6?30μmであり、前記金属箔に前記樹脂発泡体が接着されていることを特徴とする耐火性金属折板屋根積層構造体。」(以下「本願請求項1に係る発明」という。) 「【請求項2】 鋼板、樹脂発泡体および金属箔により構成される耐火性金属折板屋根積層構造体であり、前記鋼板の片面に前記樹脂発泡体が接着され、前記樹脂発泡体に前記金属箔が接着され、前記金属箔の厚さが6?30μmであることを特徴とする耐火性金属折板屋根積層構造体。」(以下「本願請求項2に係る発明」という。) 「【請求項3】 前記金属箔がアルミニウム箔であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐火性金属折板屋根積層構造体。」(以下「本願請求項3に係る発明」という。) 「【請求項4】 前記樹脂発泡体が難燃性を有することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の耐火性金属折板屋根積層構造体。」(以下「本願請求項4に係る発明」という。) 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1?2とその記載事項は、前記の「第2 2.」に記載したとおりである。 3.本願請求項1に係る発明と引用発明2との対比 (1)両発明の対応関係 (a)引用発明2の「金属シート」は、本願請求項1に係る発明の「金属箔」に相当し、以下同様に、 「発泡体シート」は、「樹脂発泡体」に、 「全体に折り曲げ加工が施されている断熱金属屋根材」は、刊行物2記載事項(エ)の「樹脂層2は、・・難燃効果を発揮して、火災発生時には、屋内側に位置する発泡シートの延焼防止の働きをする」ものであって、火に耐える性質を備えるものであるので、「耐火性金属折板屋根積層構造体」に、 「金属シートと、発泡体シートとがこの順序で積層され、それぞれが接着して一体化した」ことは、「前記金属箔に前記樹脂発泡体が接着されていること」に、 相当する。 (b)引用発明2の「金属板」と、本願請求項1に係る発明の「鋼板」とは、金属板である点で共通する。 (c)引用発明2の「金属板と、・・樹脂層と、金属シートと、発泡体シートとがこの順序で積層され、それぞれが接着して一体化した」ことと、本願請求項1に係る発明の「前記鋼板の片面に前記金属箔が接着され」たこととは、金属板の片面側に金属箔が配置された点で共通する。 (2)両発明の一致点 「金属板、金属箔および樹脂発泡体により構成される耐火性金属折板屋根積層構造体であり、前記金属板の片面側に前記金属箔が配置され、前記金属箔に前記樹脂発泡体が接着されている耐火性金属折板屋根積層構造体。」 (3)両発明の相違点 ア.金属板が、本願請求項1に係る発明は「鋼板」であるのに対して、引用発明2はそうでない点。 イ.本願請求項1に係る発明は「鋼板の片面に前記金属箔が接着され」るのに対して、引用発明2は「金属板と、・・・樹脂層と、金属シートと、発泡体シートとがこの順序で積層され、それぞれが接着して一体化した」もの、すなわち、金属板と金属シートとの間には、樹脂層が配されており、「鋼板の片面に前記金属箔が接着され」るものではない点。 ウ.本願請求項1に係る発明は「金属箔の厚さが6?30μm」であるのに対して、引用発明2はそうでない点。 4.本願請求項1に係る発明の容易推考性の検討 (1)相違点ア.について 金属板として、鋼板は周知慣用ものであり、引用発明2の金属折板を鋼板として本願補正発明の相違点ア.の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点イ.ウ.について (a)引用発明2の金属シートは、同記載事項(オ)の「金属シート3は、遮音材として機能し、・・・雨音の屋内への透過損失を大きくして、屋根材の防音効果の向上に資する。・・・薄すぎると遮音効果の低下傾向が現れはじめ、・・・その厚みは50?500μmにすることが好ましい」ものであり、刊行物2にその厚みを「6?30μm」とすることを示唆する記載は存在しない。 (b)また、刊行物1記載の金属複合屋根材は、「厚さ0.02m/mのアルミ箔5」を有するものであるが、その「アルミ箔5」は、刊行物1記載事項(エ)の「厚さ0.18m/mのガラスクロス6で補強された厚さ0.02m/mのアルミ箔5からな」る「補強用表面被覆シート4」の構成要素であって、同記載事項(オ)の「補強用表面被覆シート4がガラスクロス6で補強されたアルミ箔5からなる不透湿性のものでは、充分な気密性を得られる」機能を有するものであり、引用発明2の「金属シート」とは、異なる場所に、異なる目的で配されているものであるので、引用発明2の金属シートの厚みとして、刊行物1記載の金属複合屋根材の「アルミ箔5」の寸法を採用する動機付けが存在するようなものでもない。 (c)さらに、刊行物2には、金属板と金属シートとの間の樹脂層をなくして、金属板と金属シートとを直接接着することを示唆する記載も存在しない。 (d)そうすると、引用発明2を、金属板と金属シートの片面に金属シートが接着されるものとすることや、引用発明2の金属シートを「6?30μm」とすることは、刊行物2に記載も示唆もされておらず、更に、刊行物1にも記載も示唆もされていない。 本願請求項1に係る発明は、当該構成を備えることによって、明細書記載の「【0011】・・・屋根耐火30分認定試験に合格する優れた耐火性を有する。」という作用効果を奏するものと認められる。 したがって、本願請求項1に係る発明は、引用発明2及び刊行物2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 さらに、本願請求項1に係る発明は、引用発明2及び刊行物1?2記載の事項に基いても当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.本願請求項2に係る発明の容易推考性の検討 本願請求項2に係る発明は、前記「第2」の本願補正発明であって、前記「第2」の「3.」、「4.」に記載したとおり、本願補正発明は、引用発明1及び刊行物1?2記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 6.本願請求項3?4に係る発明の容易推考性の検討 本願請求項3?4に係る発明は、本願請求項1に係る発明、若しくは本願請求項2に係る発明を引用した発明であるので、本願請求項1に係る発明、若しくは本願請求項2に係る発明と同様に、引用発明2及び刊行物1?2記載の事項に基いて、若しくは、引用発明1及び刊行物1?2記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 7.むすび 以上のとおり、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-12-20 |
出願番号 | 特願2008-118510(P2008-118510) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(E04D)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 南澤 弘明 |
特許庁審判長 |
中川 真一 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 高橋 三成 |
発明の名称 | 耐火性金属折板屋根積層構造体 |
代理人 | 玉利 房枝 |
代理人 | 伊藤 高英 |
代理人 | 畑中 芳実 |
代理人 | 鈴木 健之 |
代理人 | 中尾 俊輔 |
代理人 | 大倉 奈緒子 |