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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1283864 |
審判番号 | 不服2013-9516 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-05-23 |
確定日 | 2014-02-14 |
事件の表示 | 特願2008-504497「ビデオが豊富なナビゲーションのためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月 5日国際公開、WO2006/105480、平成20年 8月28日国内公表、特表2008-535411、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 経緯 1 経緯 本願は、2006年(平成18年)3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年3月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年3月12日付けで手続補正がなされ、平成22年3月1日付けで誤訳訂正がなされ、平成23年10月11日付けで拒絶理由が通知され、平成24年1月12日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされ、平成24年2月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成24年8月22日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成25年1月16日付けで平成24年8月22日付け手続補正は却下され、平成25年1月16日付け(発送日同年1月23日)で拒絶査定がなされたものである。 本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成25年5月23日付けで請求された拒絶査定不服審判請求であって、同時に手続補正がなされたものである。 そして、当審において、平成25年7月24日付けで審査官により作成された前置報告書について、平成25年8月6日付けで審尋を行ったところ、審判請求人は平成25年12月19日付けで回答書を提出した。 2 査定の概要 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] 請求項1-12に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献一覧) 1 特開2005-020785号公報 2 特開2004-194252号公報 3 特開2004-357184号公報 第2 平成25年5月23日付けの手続補正の適否 1 補正の内容 平成25年5月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、次のとおりである。 (1)請求項1 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1における 「該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産を表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成すること」を 「該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のビデオをユーザーによって選択可能なビデオ要素として表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成することであって、該ビデオ要素は、該対話型ディスプレイ内の該ビデオ要素を強調表示することによって該ユーザーによって選択可能である、こと」に補正するものである。 (2)請求項8 本件補正は、特許請求の範囲の請求項8における 「該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産を表示する手段」を 「該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のビデオをユーザーによって選択可能なビデオ要素として表示する手段であって、該ビデオ要素は、該対話型ディスプレイ内の該ビデオ要素を強調表示することによって該ユーザーによって選択可能である、手段」に補正をするものである。 (3)請求項12 本件補正は、特許請求の範囲の請求項12における 「該受信されるVRNビデオ資産を表示する手段」を 「該受信されるVRNビデオ資産のビデオをユーザーによって選択可能なビデオ要素としてを表示する手段であって、該ビデオ要素は、該対話型ディスプレイ内の該ビデオ要素を強調表示することによって該ユーザーによって選択可能である、手段」に補正をするものである。 2 補正の適否 (1)請求項1に係る補正 本件補正は、請求項1に係る補正を含むものである。 請求項1に係る補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産を表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成すること」における、「ビデオ資産を表示する」について「ビデオ資産のビデオをユーザーによって選択可能なビデオ要素として表示する」との限定を付加し、さらに、「該ビデオ要素は、該対話型ディスプレイ内の該ビデオ要素を強調表示することによって該ユーザーによって選択可能である」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。 ア 刊行物の記載事項 (ア)特開2004-194252号公報 審尋及び原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-194252号公報(以下「刊行物1」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、現在放送中の多数の番組の中から、操作者が所望の番組を選択するための番組情報(マルチビデオプレビュー)を送受信可能にする番組情報送受信システムおよび番組情報送受信方法に関する。」 「【0043】 次に、番組プレビューコンテンツの受信表示処理を示す。図5は受信機1における受信表示処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、メモリ21に格納されており、CPU19によって実行される。まず、操作者がリモコン等を用いて、受信機1に対し、プレビュー表示をリクエストするのを待つ(ステップS11)。 【0044】 プレビュー表示がリクエストされると、CPU19はリモコン受光部17でそれを受け付け、番組情報配信者3のサーバに配信リクエストを出す(ステップS12)。そして、電話回線もしくは他の通信インフラ経由で送信されたストリーミングデータ(オーディオ、ビデオ、テキスト、ピクチャ、SMILデータ等)がモデム18で復調された後、バッファ20に入力されたか否かを判別し(ステップS13)、バッファ20に入力された場合、ビデオ、オーディオ、ピクチャに関する復号処理を行う(ステップS14)。 【0045】 そして、CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し(ステップS15)、表示部13およびスピーカ16に出力する(ステップS17)。 【0046】 図6はプレビュー画面の構成を示す図である。図7、図8、図9および図10は図6の画面を構成するためのSMILデータの記述例を示す図である。図において、34は各チャンネルのプレビュービデオを示し、35はカテゴリ別に表示されるリンクボタンである。このSMILデータの中には、HTML(Hyper Text Markup Language)のように、他のSMILデータへのハイパーリンクを貼ることが可能である。 【0047】 また、番組情報配信者3のサーバ28あるいは通信回線等の原因により、ストリーミング配信がされない場合、エラー表示用の画面を構成し(ステップS16)、表示部13およびスピーカ16に出力する(ステップS17)。CPU19は、プレビュー画面表示およびスピーカ出力の実行中、例えば、1分間のプレビューの再生に並行し、このプレビューデータをメモリ21に保存する(ステップS18)。 【0048】 そして、1回目の再生が終了する前に、メモリ21に保存中のプレビューデータを先行してバッファリングし(ステップS19)、1回目のストリーミングデータの再生に引き続き、2回目以降の保存データのくり返し再生がスムーズに切り替わるように制御する(ステップS20)。ここで、モデム等を介した番組情報配信者3のサーバ28との通信は、1回目のストリーミングデータの再生終了後、CPU19により切断される。これにより、受信機1の操作者は、プレビューコンテンツ1回再生分、例えば1分間程度の通信費で、何度でも繰り返し、プレビュー表示を見ることができ、しかも、このプレビューを見るために待たされることもない。 【0049】 そして、プレビュー表示された画面上で操作者の選択を待つ(ステップS21)。すなわち、操作者がリモコン等の矢印キーを操作して所望の番組をアクティブにし、確定キーを押すと、この処理を終了し、全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する。あるいは、戻りキー等を押した場合、この処理を終了し、このプレビューモードに移行する前の状態、例えば、いずれかの番組を視聴している状態に戻る。これらの制御は、CPU19によって行われる。 【0050】 尚、上記復号処理は、CPU19上で動作するソフトウェアにより行われることが好適であるが、ハードウェアで行ってもよい。また、オーディオに関して、複数のプレビューが同時に再生されるので、次のようにしてもよい。図11は全チャンネルプレビュー画面を示す図である。例えば、現在の操作者がリモコンのキー操作で選択してアクティブになっている(番組選択が確定される前段階)番組(図11の太線で囲まれている番組)のオーディオデータのみ再生する方法が挙げられる。あるいは、各チャンネルを自動的に一定間隔で交互にアクティブにし(例えば、図11(A)、(B)のように、番組1から2,3...のように)、現在アクティブになっている番組のオーディオデータのみ再生する方法が挙げられる。あるいはオーディオデータをこのプレビュー中に全く表示しない方法等が挙げられる。」 「【図6 」 上記記載によると、 「プレビュー表示がリクエストされると、CPU19は・・・番組情報配信者3のサーバに配信リクエストを出」し、「・・・通信インフラ経由で送信されたストリーミングデータ(オーディオ、ビデオ、テキスト、ピクチャ、SMILデータ等)がモデム18で復調された後、バッファ20に入力されたか否かを判別し・・・、バッファ20に入力された場合、ビデオ、オーディオ、ピクチャに関する復号処理を行」い(段落【0044】)、 「CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し・・・、表示部13およびスピーカ16に出力」し(段落【0045】)、 「CPU19は、プレビュー画面表示およびスピーカ出力の実行中、・・・このプレビューデータをメモリ21に保存」し(段落【0047】)、 「そして、1回目の再生が終了する前に、メモリ21に保存中のプレビューデータを先行してバッファリングし・・・、1回目のストリーミングデータの再生に引き続き、2回目以降の保存データのくり返し再生がスムーズに切り替わるように制御」し(段落【0048】)、 「操作者がリモコン等の矢印キーを操作して所望の番組をアクティブにし、確定キーを押すと、この処理を終了し、全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」(段落【0049】)。 また、プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及び各チャンネルのプレビュービデオとカテゴリ別に表示されるリンクボタンがある(段落【0046】、図6)。図6によると、リンクボタン35には、「映画」、「買物」、「旅行」、「報道」があり、このボタンを操作することにより、カテゴリ別のプレビュー表示画面になるものと認められる。 以上より、刊行物1には、次の発明(以下この発明を「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 プレビュー表示がリクエストされると、CPU19は番組情報配信者3のサーバに配信リクエストを出し、通信インフラ経由で送信されたストリーミングデータ(オーディオ、ビデオ、テキスト、ピクチャ、SMILデータ等)がモデム18で復調された後、バッファ20に入力されたか否かを判別し、バッファ20に入力された場合、ビデオ、オーディオ、ピクチャに関する復号処理を行い、 CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し、表示部13およびスピーカ16に出力し、プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがあり、 CPU19は、プレビュー画面表示およびスピーカ出力の実行中、このプレビューデータをメモリ21に保存し、 そして、1回目の再生が終了する前に、メモリ21に保存中のプレビューデータを先行してバッファリングし、1回目のストリーミングデータの再生に引き続き、2回目以降の保存データのくり返し再生がスムーズに切り替わるように制御し、 リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面となり、 操作者がリモコン等の矢印キーを操作して所望の番組をアクティブにし、確定キーを押すと、この処理を終了し、全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する 方法。 (イ)特表2001-503206号公報 審尋で引用した特表2001-503206号公報(以下「刊行物2」という。)には、カテゴリー毎の番組リストを表示することが記載され、リストのヘッドにある複数のカテゴリーをカーソルを操作し、ハイライト(強調)することにより、選択されたカテゴリーの番組リストが表示されることが記載されている(34頁15行?35頁9行及び【19図】)。 「【図19】 」 (ウ)特開2005-20785号公報 原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-20785号公報(以下「刊行物3」という。)には、複数のメニュを有し、メニュから特定の番組を選択することによって、当該番組を選択して表示することが記載されている(段落【0025】、【0026】、【0039】、【0070】-【0095】、【0271】、【0272】、【図1】-【図4】、【図8】、【図27-a】、【図27-c】、【図29-g】、【図30】)。 (エ)特開2004-357184号公報 原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-357184号公報(以下「刊行物4」という。)には、視聴中のオンエア番組に対し所定の操作を行うことによって、当該視聴中のオンエア番組を基点番組として、基点番組と類似する番組やジャンル関連番組をブラウザ画面として表示出力することが記載されている(段落【0050】-【0082】、【図3】-【図5】)。 イ 対比 補正発明1は、次のとおりである。 「ビデオリッチナビゲーション(VRN)インターフェースを提供する方法であって、 複数のビデオ配信をクライアントで受信することであって、各ビデオ配信は、複数のビデオ資産を含む、ことと、 該複数のビデオ配信のそれぞれに対して、画面データを該クライアントで受信することであって、該画面データは、該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義し、該アクションは、該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成することとを含む、ことと、 該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のビデオをユーザーによって選択可能なビデオ要素として表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成することであって、該ビデオ要素は、該対話型ディスプレイ内の該ビデオ要素を強調表示することによって該ユーザーによって選択可能である、ことと、 該少なくとも1つの表示される選択可能なビデオ資産のうちの1つのユーザーの選択を該クライアントで受信することと、 該ユーザーの選択に応答して、該表示される選択可能なビデオ資産のための該画面データによって定義された該アクションを該クライアントで実行することと を含む、方法。」 補正発明1と刊行物1発明とを対比する。 (ア)「ビデオリッチナビゲーション(VRN)インターフェースを提供する方法」 刊行物1発明は、各チャンネルのプレビュービデオがあるプレビュー画面を有し、プレビュー画面を用い、操作者がリモコン等の矢印キーを操作して所望の番組をアクティブにし、確定キーを押すと、この処理を終了し、全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行するから、プレビュー画面は、インターフェースといえ、また、所望のの番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行するから、所望の番組にナビゲーションしているといえる。 さらに、プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオがあるから、複数のビデオがあるインターフェース、すなわちビデオリッチインターフェースといえる。 刊行物1発明は、プレビュー画面を表示するので、「ビデオリッチナビゲーション(VRN)インターフェースを提供する方法」といえる。 (イ)「複数のビデオ配信をクライアントで受信することであって、各ビデオ配信は、複数のビデオ資産を含む、こと」 「該複数のビデオ配信のそれぞれに対して、画面データを該クライアントで受信することであって」 刊行物1発明は、 「プレビュー表示がリクエストされると、CPU19は番組情報配信者3のサーバに配信リクエストを出し、通信インフラ経由で送信されたストリーミングデータ(オーディオ、ビデオ、テキスト、ピクチャ、SMILデータ等)がモデム18で復調された後、バッファ20に入力されたか否かを判別し、バッファ20に入力された場合、ビデオ、オーディオ、ピクチャに関する復号処理を行い、 CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し、・・・プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがあ」るものである。 刊行物1発明は、「通信インフラ経由で送信されたストリーミングデータ(オーディオ、ビデオ、テキスト、ピクチャ、SMILデータ等)がモデム18で復調され」るから、「ビデオ配信をクライアントで受信する」「ビデオ配信のそれぞれに対して、画面データを該クライアントで受信する」といえる。 また、「CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し、・・・プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがあ」り、「各チャンネルのプレビュービデオ」があるから、「ビデオ配信」といえる「ビデオ」が複数の「ビデオ資産」を含むといえる。 以上より、刊行物1発明は、 「ビデオ配信をクライアントで受信することであって、ビデオ配信は、複数のビデオ資産を含む、こと」 「該ビデオ配信に対して、画面データを該クライアントで受信することであって」 という点で、補正発明1と一致する。 しかしながら、「ビデオ配信」が補正発明1においては、「複数のビデオ配信」であるのに対し、刊行物1発明においては、「複数」ではなく、 それに伴い、「画面データ」が補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のそれぞれに対して、」受信するのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点で相違する。 (ウ)「該複数のビデオ配信のそれぞれに対して、画面データを該クライアントで受信することであって、該画面データは、該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義し、該アクションは、該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成することとを含む、こと」 刊行物1発明においては、「プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがあり、」「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」るものである。 補正発明1における「ユーザーの選択」を刊行物1発明における「リンクボタン」を操作することに対応させて対比する。 刊行物1発明は、「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」るものであり、「CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成」するから、「画面データ」といえる「SMILデータ」には、「リンクボタン35」は、「ユーザーによって選択可能なものとして定義」されているといえ、「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」る動作(アクション)が定義されているといる。そして、「カテゴリー別のプレビュー表示画面」は、「操作者がリモコン等の矢印キーを操作して所望の番組をアクティブにし、確定キーを押すと、この処理を終了し、全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」から、「ビデオ配信に対する対話型ディスプレイ」といえる。 また、「リンクボタン35」は、「要素」ということができる。 以上より、刊行物1発明は、 「該画面データは、要素をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、要素のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義し、該アクションは、ビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成することとを含む、こと」 といえる。 しかしながら、「ユーザーによって選択可能なものとして定義」させる「要素」が、補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」であり、 「ビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」における「ビデオ配信」が、補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信」であるのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点で相違する。 (エ)「該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のビデオをユーザーによって選択可能なビデオ要素として表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成することであって、該ビデオ要素は、該対話型ディスプレイ内の該ビデオ要素を強調表示することによって該ユーザーによって選択可能である、こと」 刊行物1発明は、 「CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し、表示部13およびスピーカ16に出力し、プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがあり、」「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」るから、「該少なくとも1つの選択可能な要素をユーザーによって選択可能な要素として表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成する」といえ、「該要素は、該対話型ディスプレイ内の該要素を該ユーザーによって選択可能である」といえる。 しかしながら、「ユーザーによって選択可能な要素」が、補正発明1においては、「ビデオ要素」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」であり、「該ユーザーによって選択可能である」ことが、補正発明1においては、「強調表示することによって」選択可能であるのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点で相違する。 (オ)「該少なくとも1つの表示される選択可能なビデオ資産のうちの1つのユーザーの選択を該クライアントで受信すること」 刊行物1発明は、「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」るから、「カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」るために「リンクボタン35が操作され」たことをCPU19が知ることが必要であり、刊行物1発明において「ユーザーの選択を該クライアントで受信すること」は明らかである。 したがって、刊行物1発明は、「該少なくとも1つの表示される選択可能な要素のうちの1つのユーザーの選択を該クライアントで受信すること」といえる。 しかしながら、「表示される選択可能な要素」が、補正発明1においては、「ビデオ資産」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」である点で相違する。 (カ)「該ユーザーの選択に応答して、該表示される選択可能なビデオ資産のための該画面データによって定義された該アクションを該クライアントで実行することと」 刊行物1発明は、「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」るものであり、「CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成」するから、「画面データ」といえる「SMILデータ」には、「リンクボタン35が操作されると、カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」る動作(アクション)が定義されているといる。そして、「カテゴリー別のプレビュー表示画面とな」る動作(アクション)が該クライアントで実行されているといえる。 したがって、刊行物1発明は、「該ユーザーの選択に応答して、該表示される選択可能な要素のための該画面データによって定義された該アクションを該クライアントで実行すること」といえる。 しかしながら、「該表示される選択可能な要素」が、補正発明1においては「ビデオ資産」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」である点で相違する。 ウ 一致点、相違点 以上のとおりであるから、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) ビデオリッチナビゲーション(VRN)インターフェースを提供する方法であって、 ビデオ配信をクライアントで受信することであって、ビデオ配信は、複数のビデオ資産を含む、ことと、 該ビデオ配信に対して、画面データを該クライアントで受信することであって、 該画面データは、要素をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、要素のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義し、該アクションは、ビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成することとを含む、ことと、 該少なくとも1つの選択可能な要素をユーザーによって選択可能な要素として表示する対話型ディスプレイを該クライアントで生成することであって、該要素は、該対話型ディスプレイ内の該要素を該ユーザーによって選択可能である、ことと、 該少なくとも1つの表示される選択可能な要素のうちの1つのユーザーの選択を該クライアントで受信することと、 該ユーザーの選択に応答して、該表示される選択可能な要素のための該画面データによって定義された該アクションを該クライアントで実行することと を、含む方法。 (相違点1) 「ビデオ配信」が、補正発明1においては、「複数のビデオ配信」であるのに対し、刊行物1発明においては、「複数」ではなく、 それに伴い、「画面データ」が補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のそれぞれに対して、」受信するのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点。 (相違点2) 「ユーザーによって選択可能なものとして定義」させる「要素」が、補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」であり、 「ビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」における「ビデオ配信」が、補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信」であるのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点。 (相違点3) 「ユーザーによって選択可能な要素」が、補正発明1においては、「ビデオ要素」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」であり、「該ユーザーによって選択可能である」ことが、補正発明1においては、「強調表示することによって」選択可能であるのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点。 (相違点4) 「表示される選択可能な要素」が、補正発明1においては、「ビデオ資産」であるのに対し、刊行物1発明においては、「リンクボタン」である点。 エ 判断 相違点2、相違点3及び相違点4を克服するには、刊行物1発明における「リンクボタン」に代えて「ビデオ要素」にする必要がある。 しかしながら、刊行物2?4の記載をみても、刊行物1発明における「リンクボタン」に代えて「ビデオ要素」にする理由はなく、相違点2、相違点3及び相違点4を克服することはできない。 また、相違点2を克服するには、さらに、「ビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」における「ビデオ配信」を、「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信」にする必要がある。 しかしながら、刊行物2?4の記載をみても、「ビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」における「ビデオ配信」を、「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信」にする理由はなく、相違点2を克服することはできない。 さらに、相違点1を克服するには、刊行物1発明において、「ビデオ配信」及び「画面データ」により構成される、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがある「プレビュー画面」を複数にすることが必要である。そして、複数の「ビデオ配信」は、相違点2における「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信」に用いられるものである。 相違点2を克服できないことは上記のとおりであり、刊行物2?4をみても、刊行物1発明において、「プレビュー画面」を複数にすること、すなわち、「ビデオ配信」を複数にし、「画像データ」を「該複数のビデオ配信のそれぞれに対」するものにする理由はなく、相違点1を克服することはできない。 オ その他 上記判断は、上記イ(ウ)のとおり、補正発明1における「ユーザーの選択」を刊行物1発明における「リンクボタン」を操作することに対応させて対比させたものに対するものであるが、刊行物1発明においては、ユーザの選択するものとして、各チャンネルのプレビュービデオがあり、これを補正発明1における「ユーザーの選択」に対応させることを検討する。 刊行物1発明においては、各チャンネルのプレビュービデオを選択すると、「全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」ものである。 ここで、補正発明1の「該複数のビデオ配信のそれぞれに対して、画面データを該クライアントで受信することであって、該画面データは、該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義し、該アクションは、該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成することとを含む、こと」について、刊行物1発明と対比する。 刊行物1発明は、「CPU19は、これらのビデオ、オーディオ、ピクチャ、テキスト等の全メタデータを、一緒に送られてきたSMILデータを基に、レイアウトし、プレビュー画面として構成し、表示部13およびスピーカ16に出力し、プレビュー画面には、各チャンネルのプレビュービデオ及びカテゴリ別に表示されるリンクボタンがあり、」「操作者がリモコン等の矢印キーを操作して所望の番組をアクティブにし、確定キーを押すと、この処理を終了し、全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」ものである。 刊行物1発明は、ビデオ配信に対して画面データをクライアントで受信するものといえるが、複数のビデオ配信のそれぞれに対して画面データをクライアントで受信するものではなく、複数のビデオ配信のそれぞれに対して画面データをクライアントで受信するものでないから、「該画面データは、該ビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義」されるといえるものの、「該ビデオ配信」が「該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信」ではなく、さらに、「該アクション」が刊行物1発明においては、「全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」ものであって、「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」ではない。 以上まとめると、刊行物1発明は、「該ビデオ配信に対して、画面データを該クライアントで受信することであって、該画面データは、該ビデオ配信の該複数のビデオ資産のうちの少なくとも1つのビデオ資産をユーザーによって選択可能なものとして定義し、該画面データは、該少なくとも1つの選択可能なビデオ資産のユーザーの選択に応答して実行されるべきアクションをさらに定義することとを含む、こと」で、補正発明1と一致するが、「ビデオ配信に対して、画面データ」が、補正発明1においては、「複数のビデオ配信のそれぞれに対して、画面データ」であるのに、刊行物1発明はそうではなく、これに伴い、「該ビデオ配信」が、補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のうちの第1のビデオ配信」であるのに対し、刊行物1発明においてはそうではなく、「アクション」が、補正発明1においては、「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」であるのに対し、刊行物1発明においては、「全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」ことである点で相違する。 刊行物1発明におけるアクションである「全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」ことを「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」にしなければ、補正発明1に至らない。 しかしながら、刊行物2?4をみても、刊行物1発明におけるアクションである「全画面上に所望の番組が表示される通常のテレビジョン視聴モードに移行する」ことを「該複数のビデオ配信のうちの第2のビデオ配信にアクセスすることと、該第2のビデオ配信に対する画面データに基づいて、該第2のビデオ配信に対する対話型ディスプレイを生成すること」にする理由はなく、相違点を克服することはできない。 カ まとめ したがって、補正発明1は、刊行物1?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 また、他に、補正発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでない理由を発見しない。 よって、請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 (2)請求項2?7に係る補正 請求項2?7は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用している。また、請求項2?7の記載自体に補正はない。 請求項1に係る補正が、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合することは上記(1)のとおりであり、同じ理由で、請求項2?7に係る補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 (3)請求項8?11に係る補正 請求項8に記載された発明は、請求項1に記載された発明(方法)をシステムの発明にしたものである。 したがって、請求項8に係る補正は、請求項1に係る補正と同様に、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 請求項9?11は、請求項8の記載を引用している。また、請求項9?11の記載自体に補正はない。 請求項8に係る補正が、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合することは上記のとおりであり、同じ理由で、請求項9?11に係る補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 (4)請求項12に係る補正 請求項12に記載された発明は、請求項1に記載された発明(方法)を、ビデオ配信及び画像データを提供することを含むシステムとした発明である。 請求項12に記載された発明は、請求項1に記載された発明と刊行物1発明との相違点と同様な相違点があり、請求項1に係る補正と同様に、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 (5)まとめ 本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明について 本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし12に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-02-03 |
出願番号 | 特願2008-504497(P2008-504497) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 三森 雄介、坂本 聡生 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 千葉 輝久 |
発明の名称 | ビデオが豊富なナビゲーションのためのシステムおよび方法 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |