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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K
管理番号 1285305
審判番号 不服2012-3526  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-23 
確定日 2014-03-05 
事件の表示 特願2004-360564号「粒状の動物用排泄物処理材及び製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月 7日出願公開、特開2005- 87216号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年12月28日に出願した特願2000-403531号の一部を平成16年11月15日に新たな特許出願としたものであって、平成23年10月25日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成24年2月23日に本件審判請求されるとともに、審判請求と同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成24年9月6日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年11月30日に回答書が提出された。
なお、審判請求人は、審理終結通知後に審理再開申立書を提出しているが、「申立の理由」をみても、審理を再開する必要を認めなかった。

第2 平成24年2月23日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年2月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の請求項1に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の【請求項1】は、
「【請求項1】
トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、紙ナプキン廃材、ちり紙廃材、紙綿廃材、紙タオル廃材又は便座シート廃材等の動物用排泄物処理材の廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用紙おむつ廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用ラミネート紙廃材若しくは野菜輸送用ラミネート紙廃材、ラミネート紙の印刷屑、ラミネート紙の端屑、バフ粉、ダンボール屑、新聞屑、雑誌屑、木材屑、鉋屑若しくは不織布屑又はこれら二以上の廃材を含むもの、並びに焙煎コーヒー豆の抽出残渣若しくは茶殻又は焙煎コーヒー豆の抽出残渣及び茶殻を含有して粒状に形成されている芯部と、繊維質の廃棄物、吸水性樹脂及び接着能を有する物質を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を発揮する性質を有して芯部を被覆する被覆材料層部とを有して粒状に形成されている粒状の動物用排泄物処理材であって、芯部は、コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有しており、被覆層部は、コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を有して、緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有する被覆層部であることを特徴とする粒状の動物用排泄物処理材。」
と補正された。

上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である(a)芯部について、「芯部は、コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有しており、」と、(b)0.3重量%以上のコーヒー抽出液の乾燥固形物を含有し、濡れて粘着機能を発揮する性質を有して、芯部を被覆する被覆層部について、「接着能を有する物質を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を発揮する性質を有して芯部を被覆する被覆材料層部」であって、「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を有して、緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有する被覆層部である」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-66466号公報(以下、「刊行物1」という。)には、動物の排泄物処理材及びその製造方法に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。(当審注:下線部は当審が付与した。)
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣、前記焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣より少ない量の配合物質及び着色物質を含有する1ミリメートル以上の粒径を有する造粒物と、前記造粒物の表面に付着している着色物質及び接着能を有する配合物質とを包含していることを特徴とする動物の排泄物処理材。
【請求項2】焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣、前記焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣より少ない量の配合物質及び着色物質を含有する1ミリメートル以上の粒径を有する造粒物と、前記造粒物の表面に付着している着色物質及び接着能を有する配合物質と、前記造粒物の表面に付着の着色物質及び接着能を有する配合物質の上に付着する着色物質及び配合物質とを包含していることを特徴とする動物の排泄物処理材。
【請求項3】配合物質が、紙粉、製紙用パルプ、活性炭入りパルプ廃物、茶殻、パルプスラッジ、製紙スラッジ、ポリビニルアルコール、小麦粉、おから、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、高吸水性樹脂、ビニルエステル、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト又はゼオライト或はこれら2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動物の排泄物処理材。
・・・
【請求項5】造粒物において、配合物質が、高吸水性樹脂であり、着色物質が紙粉であり、前記造粒物に付着する材料が、着色物質の紙粉及び接着能を有する配合物質のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の動物の排泄物処理材。
【請求項6】造粒物において、配合物質が、高吸水性樹脂であり、着色物質が紙粉であり、前記乾燥造粒物に付着する材料が、着色物質の紙粉及び接着能を有する配合物質のポリビニルアルコールであり、前記造粒物の表面に付着している着色物質の紙粉及び接着能を有する配合物質のポリビニルアルコールの上に付着する材料が、着色物質の紙粉及び配合物質の高吸水性樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の動物の排泄物処理材。
【請求項7】造粒物が、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣を30重量%以上の量で含有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動物の排泄物処理材。
【請求項8】造粒物が、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣に、該コーヒー抽出液抽出残渣より夫々少ない量の配合物質、殺菌作用を有する物質及び着色物質を配合し、造粒して形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動物の排泄物処理材。」
(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関し、特に、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を抽出する際に生じる抽出残渣、所謂、コーヒー抽出粕(以下、コーヒー抽出液抽出残渣という)の有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関する。」
(ウ)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の愛玩動物の排泄物処理材は、例えば室内で使用されるところから、清潔で、衛生的であることが望まれ、使用後、清潔さ及び衛生上の点から、廃棄処理され易いのが望まれる。しかし、砂、ゼオライト、ベントナイトなどの無機物の場合は、使用時、砕けて埃となり易く、また、使用後放置する間に汚臭を発生しても、非可燃物であるため焼却処理を行うことができず、また下水等に流すこともできない。そこで、消臭効果が低く、価格が高いが、吸水能に優れ、可燃物であるところから、製紙用パルプ及び紙粉の小塊状成形物が使用されている。
【0004】また、本発明者は、コーヒー抽出液抽出残渣が、大きい吸臭能を有する点に着目して、コーヒー抽出液抽出残渣を動物の排泄物処理材として有効利用することを提案した。・・・ところで、動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、コーヒー抽出液抽出残渣のもつ褐色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。」
(エ)「【0008】
【発明の実施の形態】・・・
【0009】・・・本発明において、動物の排泄物処理材は、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有するので、造粒物の表面及び外観は、該コーヒー抽出液抽出残渣の本来有する褐色になっており、室内等において使用するのに、見た目が一見悪い。したがつて、本発明において、コーヒー抽出液抽出残渣は、このコーヒー抽出液抽出残渣の固有の色とは異なる色の着色物質により着色されるのが好ましい。例えば白色粉状の配合物質を、排泄物処理材の40重量%以下の量、好ましくは、10重量%以下の量で、造粒に先立って、該コーヒー抽出液抽出残渣に混合したり、該コーヒー抽出液抽出残渣の造粒物の表面にまぶしたりして、コーヒー抽出液抽出残渣の造粒物の色調を、コーヒー抽出液抽出残渣の色調と異なる色調に、例えば、略白色又は白色に近づかせるなどして、コーヒー抽出液抽出残渣の造粒物のコーヒー抽出液抽出残渣の色を緩和させることができる。」
(オ)「【0012】本発明において、コーヒー抽出液抽出残渣の着色乾燥造粒物に配合される配合物質としては、尿に触れて粉体粒子相互を接着させて、容易に塊を形成して、尿に触れた部分を容易に取り出し易くさせるように、接着機能を有する配合物質を配合するのが好ましい。このような配合物質には、水溶性又は水分散性の配合物質として、茶殻、おから、木屑、紙粉、シリカゲル、製紙用パルプ、製紙スラッジ、活性炭入りパルプ廃物、パルプスラッジ、ポリビニルアルコール(PVA)(ポバール:商品名)、・・・などがあり、これらは、単独で使用されるか、又はこれら2種以上を混合して配合物質として使用される。・・・
【0013】本発明の動物の排泄物処理材においては、その吸水能及び保水機能を高めるための配合物質とし、粉状の高吸水性樹脂を配合することができる。本発明において配合される高吸水性樹脂は、該樹脂に対する、重量で数十倍から二千倍程度の水を吸収しても、形を保持できる樹脂であり、例えば、ビニルエステルとエチレン系不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体鹸化物、澱粉とアクリル酸のグラフト重合体、ポリアクリル酸の架橋物、ビニルアルコールとアクリル酸の共重合体、ポリアクリロニトリルの部分加水分解物、カルボキシメチルセルロースの架橋物、ポリエチレングリコールの架橋物、キトサンの塩又はプルランのゲルなどがある。これら高級水性樹脂は、造粒に先立って、コーヒー抽出液抽出残渣の粒子に、単独で又は2種以上の混合物の形で配合することができる。
【0014】本発明において、コーヒー抽出液抽出残渣の粒子には、造粒に先立って、粉状の配合物質を40重量%以下の量で、好ましくは10重量%以下の量で混合することができる。この場合、配合物質の色調は、本発明の動物の排泄物処理材の色調に合わせた色調とするのが好ましい。コーヒー抽出液抽出残渣の粒子が、造粒に先立って予め着色される場合には、配合物質の色調は、着色粒子の色調と混合して、単一色又は混合色とすることができる。しかし、本発明において、コーヒー抽出液抽出残渣の着色粒子の色調と配合物の色調とを一致させると、斑模様を避けることができるので好ましい。本発明において、配合物質は、コーヒー抽出液抽出残渣の着色又は未着色の粒子と混合して加えてもよく、また別途に加えても良いが、造粒物中で、コーヒー抽出液抽出残渣粒子と合体させるようにするのが好ましい。」
(カ)「【0019】本発明の排泄物処理材においては、その吸水能を高めるために、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣に高吸水性樹脂を配合することができる。・・
【0020】・・着色造粒物には、造粒後、更に接着能を有する配合物質、高吸水性樹脂、殺菌作用を有する配合物質又はその他配合物質をまぶす・・・のが好ましい。・・・」
(キ)「【0022】本発明において、ポリビニルアルコール及び/又は小麦粉が混合されている場合には、動物の排泄物に付着して、排泄物を塊状に包み込むこととなり、後始末が簡単かつ容易である。また、動物の排泄処理材中に補助脱臭剤及び/又は高吸水性樹脂が混合されている場合には、排泄物処理材として更に優れた脱臭性並びに吸水性及び保水性を発揮する。本発明は、従来、廃物とされて、その処理が問題とされていたコーヒー抽出液抽出残渣、茶殻、活性炭入りパルプ廃物、紙粉等の可燃性の廃物を、動物の排泄物処理材として有効に利用するものであり、しかも、主たる量を可燃物で構成するので、焼却等廃棄処理が容易である。
【0023】本発明は、動物の排泄物処理材は、脱臭性に優れるコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有し、1mm以上、好ましくは3mm以上の粒径の造粒物に、吸水性及び/又は脱臭性の配合物質と共に成形されるので、動物の排泄した尿の吸収が良く、また保水性が良く、消臭性が顕著に良好である。・・・」
(ク)「【0047】例13.含水率55%のコーヒー抽出液抽出残渣32.5kg及び水15kgを、コーヒー抽出液抽出残渣供給用の原料タンク2に入れ、次いで着色物質として、オムツ及びナプキン廃材の紙粉10kgを着色材供給用原料タンク4に入れ、これに次いで、配合物質として、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)1.5kg及び安息香酸2.5gを配合物質供給用原料タンク6に入れ、以下、例7の場合と同様に、撹拌装置9に、含水させたコーヒー抽出液抽出残渣、着色物質の紙粉並びに配合物質の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)及び安息香酸を入れて、白色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物を製造し、これを口径6.0mm、プレート厚さ30mmのミートチョッパーに送り、造粒し、小さい円柱状の白色造粒物が形成された。
【0048】造粒されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、ネツトコンベヤ18によつて、第1噴霧装置19に送られ、第1噴霧ノズル22から、重量比3%のパウダーに近い粉末紙粉が噴霧された(表面の紙粉の付着重量比3?5%)。粉末紙粉が噴霧された造粒物は、篩分け装置で余分の付着物が分離され、次いで、1%?10%のポリビニルアルコールの希釈溶液が噴霧された(表面の紙粉の付着重量比3?5%)。ポリビニルアルコールが噴霧された造粒物は、続く第2噴霧装置(図示されていない)に送られ、第2噴霧ノズル(図示されていない)から、重量比5%のパウダーに近い粉末紙粉が噴霧された。2回目の粉末紙粉が噴霧された造粒物は、篩分け装置で余分の付着物を分離され、次いで、0.1?0.02%のポリビニルアルコールの希釈溶液が噴霧され、次いで、熱風乾燥器に送られ、100℃の温度で40乃至50分の間、熱風乾燥され、水分5?7%に乾燥された。乾燥されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色乾燥造粒物は、1mm以上の粒径のものが分離されて、コンベヤ36によつて取出され、主として、直径6mm、長さ7mmの猫のトイレ用の砂が、30.5kg得られた。
【0049】室内において、この猫のトイレ用の砂50gは、室温で疑似尿130gを吸収し、非常に吸水性及び脱臭性が良好であり、室内にアンモニア臭を感じなかった。この猫のトイレ用の砂は、全体が白色を呈して清潔的であり、猫のトイレに厚さ3cmの厚さに敷いて使用されたが、猫は普段と同様にトイレとして使用しており、使用の上で何等支障がなかった。猫が排泄に使用後、この猫のトイレ用の砂は、猫が排泄した部分については、容易に取り出すことができた。しかも脱臭性に優れ、屋内に不快な臭い発生するのを避けることができた。」
(ケ)「【0059】例17.含水率60%のコーヒー抽出液抽出残渣15kg及び水1.5kgを、コーヒー抽出液抽出残渣供給用の原料タンク2に入れ、次いで着色物質として、紙粉6kgを着色材供給用原料タンク4に入れ、これに次いで、配合物質として、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)1kg、含水率80%の茶殻5kg及び安息香酸10gを配合物質供給用原料タンク6に入れ、以下、例7の場合と同様に、撹拌装置9に、含水させたコーヒー抽出液抽出残渣、着色物質の紙粉並びに配合物質の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)、茶殻及び安息香酸を入れて、白色と斑状に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物を製造し、これを口径6.0mmのミートチョッパーに送り、造粒し、小さい円柱状の白色斑状の造粒物が形成された。
【0060】造粒されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、ネツトコンベヤ18によつて、第1噴霧装置19に送られ、第1噴霧ノズル22から、粒径が0.5mm以下の紙粉が噴霧された。紙粉が噴霧された造粒物は、篩分け装置で余分の付着物が分離され、次いで、水が噴霧された。水が噴霧された造粒物は、続く第2噴霧装置(図示されていない)に送られ、第2噴霧ノズル(図示されていない)から、粒径が0.3mm以下の紙粉90重量%及びハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)10重量%の混合物が噴霧された。2回目の紙粉が噴霧された造粒物は、篩分け装置で余分の付着物を分離され、次いで、水が噴霧された。2回目の水が噴霧された造粒物は、続く第3噴霧装置(図示されていない)に送られ、第3噴霧ノズル(図示されていない)から、粒径が0.1mm以下の紙粉85重量%、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)5重量%及びCMC10重量%の混合物が噴霧された。3回目の紙粉が噴霧された造粒物は、篩分け装置で余分の付着物を分離され、次いで、プロピレングリコールの希釈溶液が噴霧され、続いて、熱風乾燥器に送られ、100℃の温度で40乃至50分の間、熱風乾燥され、水分9%に乾燥された。乾燥されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色乾燥造粒物は、1mm以上の粒径のものが分離されて、コンベヤ36によつて取出され、主として、直径8mm、長さ10mの猫のトイレ用の砂が得られた。
【0061】室内において、この猫のトイレ用の砂300gは、35℃でアンモニア含有の食塩希釈溶液600gを吸収し、非常に吸水性及び脱臭性が良好であり、室内にアンモニア臭を感じなかった。この猫のトイレ用の砂は、全体が白色を呈して清潔的であり、猫のトイレに厚さ3cmの厚さに敷いて使用されたが、猫は普段と同様にトイレとして使用しており、使用の上で何等支障がなかった。猫が排泄に使用後、この猫のトイレ用の砂は、猫が排泄した部分については、表面が粘着しない割に、容易に均一な状態で固まり、ブロック化し、容易に取り出すことができた。しかも脱臭性に優れ、屋内に不快な臭い発生するのを避けることができた。しかも脱臭性に優れ、屋内に不快な臭い発生するのを避けることができた。」

すると、刊行物1には、記載事項(ク)の例13として示した猫のトイレ用の砂に着目して、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「含水率55%のコーヒー抽出液抽出残渣及び水、着色物質として、オムツ及びナプキン廃材の紙粉、配合物質として、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500及び安息香酸を入れて、白色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物を製造し、ミートチョッパーに送り、造粒し、小さい円柱状の白色造粒物が形成され、
造粒されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、パウダーに近い粉末紙粉、ポリビニルアルコールの希釈溶液が噴霧され、
熱風乾燥された、
猫のトイレ用の砂。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-192396号公報(以下、「刊行物2」という。)には、衛生用紙及びそれを使用する衛生シーツ並びにそれらの製造方法に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。(当審注:下線部は当審が付与した。)
(ア)「【特許請求の範囲】・・・
【請求項2】コーヒー液抽出残留廃液の乾燥物若しくはコーヒー液抽出残渣の浸出液の乾燥物又はこれら乾燥物の混合物と、お茶抽出残留廃液の乾燥物若しくは茶殻の浸出液の乾燥物又はこれら乾燥物の混合物とを含む混合物を含有する薄葉紙で形成されていることを特徴とする衛生用紙。」
(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーヒー液抽出残留廃液の乾燥物又はコーヒー液抽出残渣の浸出液の乾燥物を含有する衛生用紙及びその製造方法に関し、特に、本発明は、有機物廃材を利用した、特に、トイレットペーパ、ティッシュペーパー、紙タオル用紙、テーブルナプキン、紙おむつ、生理用紙、化粧用紙等の衛生用紙及び該衛生用紙並びにその製造方法に関する。本発明は、コーヒー液抽出残留廃液又はコーヒー液抽出残渣の浸出液を含有する衛生用紙を使用する衛生シーツ、特に、、紙おむつ、生理用紙、化粧用紙等の衛生用紙及び該衛生用紙を使用する紙おむつ、寝具用補助シーツ、紙おむつ、動物用紙おむつ、生理用ナプキン、動物用生理用ナプキン、乳パッド、汗パッド、失禁パツド及び動物用シーツなどの衛生用品に使用できる衛生シーツ並びにその製造方法に関する。また、本発明は、長時間使用して衛生状態を保持することができる使い捨ての衛生用品に関し、特に、寝具用補助シーツ、紙おむつ、動物用紙おむつ、生理用ナプキン、動物用生理用ナプキン、乳パッド、汗パッド、失禁パツド及び動物用シーツに使用できる使い捨ての衛生用品及びその製造方法に関する。
【0002】さらに、本発明は、人又は動物用の衛生用品に使用される衛生シーツに関し、特に、プラスチック廃材、紙廃材、例えば紙おむつ廃材、尿パッド廃材、生理用ナプキン廃材、動物用紙おむつ廃材又は動物用シーツ廃材或いはそれら廃材の粉砕物を利用した衛生用品、即ち寝具用補助シーツ、紙おむつ、動物用紙おむつ、生理用ナプキン、動物用生理用ナプキン、乳パッド、汗パッド、失禁パツド及び動物用シーツに使用できる衛生シーツに関する。さらにまた、本発明は、特に、就寝時、休養時及び排泄時に使用する使い捨て用の衛生用品に関する。」
(ウ)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の愛玩動物の排泄物処理材は、例えば室内で使用されるところから、清潔で、衛生的であることが望まれ、使用後、清潔さ及び衛生上の点から、廃棄処理され易いのが望まれる。・・・
【0004】また、本発明者は、コーヒー抽出液抽出残渣が、大きい吸臭能を有する点に着目して、コーヒー抽出液抽出残渣を動物の排泄物処理材として有効利用することを提案した。・・・ところで、動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、コーヒー抽出液抽出残渣のもつ褐色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。・・・
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、缶コーヒーやインスタントコーヒーの製造時に大量に排出される、コーヒー液抽出残渣からの浸出液及びウーロン茶の茶殻からの浸出液が、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を24時間以上に亙って阻害することを発見し、また緑茶の茶殻からの浸出液が、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を72時間に亙って阻害することを発見し、さらにまた、本発明者は、紅茶の茶殻からの浸出液が、黄色ブドウ球菌及び連鎖球菌の増殖を72時間に亙って阻害することを発見し、コーヒー液抽出残渣からの浸出液、ウーロン茶の茶殻からの浸出液、緑茶の茶殻からの浸出液又は紅茶の茶殻からの浸出液を含浸後乾燥させたシーツが、何れも緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を72時間以上に亙って阻害することを発見し、本発明に至った。本発明は、コーヒー液抽出残渣及び/又は茶殻から抽出した再抽出のコーヒー液及び/又はお茶を、吸水性の紙層部及び/又は吸水性樹脂及び吸水性材料粉の混合層に含浸させて乾燥して得られる衛生的に優れた衛生シーツ及びその製造方法を提供するものであり、また、コーヒー液抽出残渣及び茶殻を活用できる、安価な使い捨て衛生シーツ及びその製造方法を提供することを目的としている。」
(エ)「【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、衛生用紙は、トイレットペーパー、紙タオル、ナプキン紙、化粧紙、ちり紙、ワッデイング(紙綿)、薄葉紙-等を意味し、木材パルプを原料とし、坪量25g以下で、例えば14g程度でドライクレープ加工された、柔軟で湿紙強さを有する薄葉紙を原料とする。また、本発明において、衛生用紙の使用時において、緑濃菌、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌、ポツリヌス菌等の細菌の増殖を避けるために、衛生用紙を構成する少なくとも一枚の薄葉紙に、コーヒー液抽出残留廃液の乾燥物若しくはコーヒー液抽出残渣の浸出液の乾燥物又はこれら乾燥物の混合物、或いはコーヒー液抽出残留廃液の乾燥物若しくはコーヒー液抽出残渣の浸出液の乾燥物又はこれら乾燥物の混合物並びにお茶抽出残留廃液の乾燥物若しくは茶殻の浸出液の乾燥物又はこれら乾燥物の混合物からなる混合物を含ませて製造される。・・・」
(オ)「【0011】・・・本発明の衛生シーツは、・・・動物用シーツとすることができる。本発明において、動物用シーツは、従来の動物用シーツと同様に、排泄用として使用される・・・」
(カ)「【0019】本発明において、吸水性材料粉の原料となる紙粉は、粉状の紙又は吸水性樹脂を含む粉状の紙を意味し、例えば、製本時に発生する紙粉、紙製の不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉、及び紙おむつ工場等の集塵ロスの紙粉などがあり、また吸水性材料粉の衛生材料粉砕物としては、紙おむつ粉砕物、紙おむつ廃材粉砕物、生理用ナプキン粉砕物、生理用ナプキン廃材粉砕物、乳パッド粉砕物、乳パッド廃材粉砕物、尿パッド粉砕物、尿パッド廃材粉砕物、汗パッド粉砕物又は汗パッド廃材粉砕物などがあり、さらに、紙おむつやパッド類等の衛生材料製造時に飛散する高吸水性樹脂を含む紙粉などがある。」
(キ)「【0029】本発明において、例えば、焙煎コーヒー豆のコーヒー液残留廃液を含む焙煎コーヒー豆のコーヒー液抽出残渣からの浸出液は、焙煎コーヒー豆のコーヒー液抽出残渣に対して10倍以下好ましくは5倍以下の常温水又は常温を越える温度の加熱水で浸出して製造する。この浸出液100グラム中に含まれ、コーヒー液成分の一である、抗炎症作用を有する亜鉛の量は、0.6μg以上、好ましくは7μg以上であるのが好ましい。殺菌作用を有するタンニンの量は0.04g/100g以上、好ましくは、0.1g以上であるのが好ましい。」
(ク)「【0032】薄葉紙又は第一紙層部に含浸させる、該抽出残留廃液又はコーヒー液抽出残渣からの浸出液或いはこれらの混合液の濃度、またこれらに配合されるお茶の抽出残留廃液、茶殻についての浸出液の濃度は、浸出時の抽出残渣又は茶殻の単位重量に対して使用する浸出液としての水又は加熱水の容量を変えて調整することができる。浸出時間は、2時間以内、特に1時間以内とすると、抽出時間を少なくできるので好ましい。コーヒー液抽出残渣及び茶殻は、浸出され易いので、比較的短時間で浸出することができる。」
(ケ)「【0034】
【作用】本発明において、衛生用紙は、コーヒー液抽出残留廃液の乾燥物又はコーヒー液抽出残渣の浸出液の乾燥物或いはこれらの乾燥物の混合物を含有する薄葉紙で形成されているので、焙煎コーヒー豆のコーヒー液抽出残留廃液の乾燥物、該コーヒー液抽出残渣からの浸出液の乾燥物の作用により、衛生用紙の細菌の増殖を抑えることができ、また衛生用紙を使用する箇所の細菌の増殖を抑えることができ、安価なコーヒー抽出残渣及び茶殻や衛生用品等の廃物を活用して、長時間に亙って、衛生的な状態を保つことができる。
・・・
【0036】また、・・・前記第一紙層部に、・・コーヒー液抽出残留廃液を含有するコーヒー液抽出残渣からの浸出液の乾燥物・・が含まれているので、・・尿の吸収が良く、また・・高い脱臭機能を有する。」
(コ)「【0038】例1
焙煎コーヒー豆40gを400mlの沸騰水に1分間浸漬して、コーヒー液を抽出し、その全量を濾過した。30秒を経過し、滴下量が少なくなったところでコーヒー液抽出残留廃液の採取を開始した。コーヒー液抽出残留廃液の量は約15mlであった。コーヒー液抽出残留廃液の滴下が停止したところで、濾紙上のコーヒー液抽出残渣は102g(含水率72%)であった。このように調製されたコーヒー液抽出残留廃液は、タンニンの含有量が、0.07g/100gであり、亜鉛の含有量は32μg/100gであった。このコーヒー液抽出残留廃液は、1m^(2)当たり20gのセルローズ繊維製の薄葉紙の40cm×75cmを浸漬して、コーヒー液抽出残留廃液を含浸した薄葉紙を作製するのに使用された。
【0039】例2
焙煎コーヒー豆40gを400mlの沸騰水に1分間浸漬して、コーヒー液の全量を濾過した。濾紙上のコーヒー液抽出残留廃液を含有するコーヒー液抽出残渣は102g(含水率72%)であった。該コーヒー液抽出残渣106gに70℃の温度の水200mlを加えて、1分間放置して、浸出液の全量を濾過した。コーヒー液の抽出残渣の浸出液は200mlであった。このように調製されたコーヒー液抽出残渣の浸出液は、タンニンの含有量が、0.06g/100gであり、亜鉛の含有量は7μg/100gであった。このコーヒー液抽出残渣の浸出液は、1m^(2)当たり20gのパルプ繊維製の薄葉紙の80cm×150cmを浸漬して、コーヒー液抽出残渣の浸出液を含浸した薄葉紙を作製するのに使用された。
・・・
【0042】例5
前記例1で調製されたコーヒー液抽出残留廃液と前記例3で調製されたウーロン茶の抽出残留廃液とを、等量宛混合して、コーヒー液抽出残留廃液とウーロン茶の抽出残留廃液との混合抽出残留廃液を調製した。このように調製された混合抽出残留廃液は、1m^(2)当たり20gのパルプ繊維製の薄葉紙の40cm×75cmを浸漬して、コーヒー液及びウーロン茶の抽出残留廃液を含浸した薄葉紙を作製するのに使用された。
【0043】例6
前記例2で調製されたコーヒー液抽出残渣の浸出液と前記例4で調製されたウーロン茶の茶殻の浸出液とを、等量宛混合して、コーヒー液抽出残渣の浸出液と紅茶の茶殻の浸出液を混合した混合浸出液を調製した。このように調製された混合浸出液は、1m^(2)当たり20gのパルプ繊維製の薄葉紙の80cm×150cmを浸漬して、コーヒー液抽出残渣の浸出液とウーロン茶の茶殻浸出液の等量混合とを含浸した薄葉紙を作製するのに使用された。」
(サ)「【0049】例11
本実施例は、図1に示す衛生シーツ1の構成を、動物用シーツに適用した事例である。図1において、3重量部のポリエチレンフィルムで不透水性膜層部2が設けられ、該不透水性膜層部2の上に、2.1重量部の吸水紙で吸水性の第二紙層部3が設けられ、該吸水性の第二紙層部3の上に、17.6重量部の粒度3mm以下の紙おむつ粉砕粉で吸水性層部4が形成され、その上に、前記例2で調製されたコーヒー液抽出残渣の浸出液が含浸されている薄葉紙により作られている吸水紙で4.3重量部の吸水紙で吸水性の第一紙層部5が形成され、その上を、2.2重量部のポリプロピレン樹脂繊維製の不織布で覆って、透水性の不織布層部6が形成され、該透水性の不織布層部6の端部36は、最下層の前記ポリエチレンフィルム2の端部とホットメルト接着剤を介してホットメルト接着されて、動物用シーツが形成される。
【0050】本例においても、例1の場合と同様に、吸水性の第一紙層部5、吸水性層部4及び吸水性の第二紙層部3は、重ねられて、エンボス加工されて、シート状にされている。本例の動物用シーツは、使用前の燃焼熱が6408キロカロリー(kcal)/kgであるが、子犬の五回の排尿量に相当する75mlの疑似尿で濡れた後のシーツの燃焼熱は1354kcal/kgであり、燃焼不良にはならない。本例の衛生シーツ1は、不織布100gあたり含有されているコーヒー液抽出残留廃液及びコーヒー液抽出残渣の浸出液の混合固形分が2.5gであり、72時間後において、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌及びレジオネラ菌の増殖を抑止した。」

すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2記載の発明」という。)が開示されているものということができる。
「排泄用として使用される動物用シーツであって、
缶コーヒーやインスタントコーヒーの製造時に大量に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出した再抽出のコーヒー液を、吸水性の紙層部及び/又は吸水性樹脂及び吸水性材料粉の混合層に含浸させて乾燥して得られる、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を72時間以上に亙って阻害する、衛生的に優れた衛生シーツ。」

3.本願補正発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
(a)引用発明の「コーヒー抽出液抽出残渣」は、本願補正発明の「焙煎コーヒー豆の抽出残渣」に相当し、以下同様に、
「造粒し、小さい円柱状の白色斑状の造粒物」は、「粒状に形成されている芯部」に、
「猫のトイレ用の砂」は、「着色造粒物」に「粉末紙粉、ポリビニルアルコールの希釈溶液が噴霧され、熱風乾燥され」たものであって、粒状のものといえるので、「粒状の動物用排泄物処理材」に相当する。
(b)引用発明の「オムツ」の「廃材の紙粉」、及び「ナプキン廃材の紙粉」は、本願補正発明の「紙おむつ廃材」、及び「紙ナプキン廃材」に相当する。
そして、引用発明の「含水率55%のコーヒー抽出液抽出残渣及び水、着色物質として、オムツ及びナプキン廃材の紙粉、配合物質として、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500及び安息香酸を入れて、白色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物を製造し、ミートチョッパーに送り、造粒」した「小さい円柱状の白色造粒物」は、本願補正発明の「トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、紙ナプキン廃材、ちり紙廃材、紙綿廃材、紙タオル廃材又は便座シート廃材等の動物用排泄物処理材の廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用紙おむつ廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用ラミネート紙廃材若しくは野菜輸送用ラミネート紙廃材、ラミネート紙の印刷屑、ラミネート紙の端屑、バフ粉、ダンボール屑、新聞屑、雑誌屑、木材屑、鉋屑若しくは不織布屑又はこれら二以上の廃材を含むもの、並びに焙煎コーヒー豆の抽出残渣若しくは茶殻又は焙煎コーヒー豆の抽出残渣及び茶殻を含有して粒状に形成されている芯部」に相当する。
(c)引用発明の「粉末紙粉」と、本願補正発明の「繊維質の廃棄物」とは、前者が繊維質を含んでいることが明らかなので、「繊維質の物」で共通する。
また、引用発明の「ポリビニルアルコール」は、刊行物1記載事項(オ)の「尿に触れて粉体粒子相互を接着させて、容易に塊を形成して、尿に触れた部分を容易に取り出し易くさせるように、接着機能を有する」ものであるので、本願補正発明の「接着能を有する物質」に相当する。
そして、引用発明の「パウダーに近い粉末紙粉、ポリビニルアルコールの希釈溶液が噴霧され」ることで、「着色造粒物」に対して付加された部分(以下、「粉末紙粉等の部分」と略記する。)と、本願補正発明の「繊維質の廃棄物、吸水性樹脂及び接着能を有する物質を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を発揮する性質を有して芯部を被覆する被覆材料層部」とは、前者が、「着色造粒物」に対して「噴霧され」ることで付着されるものであり、造粒物の表面を被覆する被覆層部を形成するといえるものであるので、両者は「繊維質の物、及び接着能を有する物質を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を発揮する性質を有して芯部を被覆する被覆材料層部」で共通する。

(2)両発明の一致点
「トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、紙ナプキン廃材、ちり紙廃材、紙綿廃材、紙タオル廃材又は便座シート廃材等の動物用排泄物処理材の廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用紙おむつ廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用ラミネート紙廃材若しくは野菜輸送用ラミネート紙廃材、ラミネート紙の印刷屑、ラミネート紙の端屑、バフ粉、ダンボール屑、新聞屑、雑誌屑、木材屑、鉋屑若しくは不織布屑又はこれら二以上の廃材を含むもの、並びに焙煎コーヒー豆の抽出残渣若しくは茶殻又は焙煎コーヒー豆の抽出残渣及び茶殻を含有して粒状に形成されている芯部と、繊維質の物、接着能を有する物質を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を発揮する性質を有して芯部を被覆する被覆材料層部とを有して粒状に形成されている粒状の動物用排泄物処理材であって、被覆層部は、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を有する被覆層部である粒状の動物用排泄物処理材。」

(3)両発明の相違点
ア.芯部を被覆する被覆材料層部の繊維質の物が、本願補正発明は「繊維質の廃棄物」なのに対して、引用発明は廃棄物かどうか不明な点。
イ.被覆材料層部が、本願補正発明は「吸水性樹脂」を含有するのに対して、引用発明は、そうではない点。
ウ.芯部が、本願補正発明は「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有」したものなのに対して、引用発明は、「コーヒー抽出液抽出残渣、着色物質として、オムツ及びナプキン廃材の紙粉、配合物質として、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500及び安息香酸」を造粒した「白色造粒物」である点。
エ.被覆層部が、本願補正発明は「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有」し、「緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有する」のに対して、引用発明はそうでない点。

4.本願補正発明の容易推考性の検討
(1)相違点ア.について、
刊行物1の記載事項(キ)には、「本発明は、従来、廃物とされて、その処理が問題とされていたコーヒー抽出液抽出残渣、茶殻、活性炭入りパルプ廃物、紙粉等の可燃性の廃物を、動物の排泄物処理材として有効に利用するものであり・・」と、廃物を利用することが示唆されており、同記載事項(ク)に「オムツ及びナプキン廃材の紙粉」が記載されている様に、紙粉として廃棄物を使用することは、周知の技術である。
そうすると、引用発明の着色造粒物に噴霧する「粉末紙粉」として、上記周知の廃棄物の紙粉を採用して、本願補正発明の相違点ア.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点イ.について、
刊行物1の記載事項(ア)には、【請求項1】等の「造粒物の表面に付着している着色物質及び接着能を有する配合物質」について【請求項3】に「配合物質が、紙粉、・・高吸水性樹脂、・・或はこれら2種以上の混合物」とすることが、同記載事項(ケ)に、高吸水性樹脂である「ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500」を噴霧することが記載されており、これらの示唆に基いて、引用発明の着色造粒物に噴霧する「粉末紙粉」や「ポリビニルアルコールの希釈溶液」に加えて、高吸水性樹脂も脂造粒物の表面に付着するものとして、本願補正発明の相違点イ.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点ウ.について、
ア.本願補正発明と刊行物2記載の構成との対応関係
(a)刊行物2記載の発明の「缶コーヒーやインスタントコーヒーの製造時に大量に排出されるコーヒー液抽出残渣」は、本願補正発明の「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣」に相当し、以下同様に、
「緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を72時間以上に亙って阻害すること」は、「緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有する」ことに相当する。
(b)刊行物2記載の発明の「排泄用として使用される動物用シーツであって、」「缶コーヒーやインスタントコーヒーの製造時に大量に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出した再抽出のコーヒー液を、吸水性の紙層部及び/又は吸水性樹脂及び吸水性材料粉の混合層に含浸させて乾燥して得られる、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を72時間以上に亙って阻害する」「衛生シーツ」と、本願補正発明の「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有」している「芯部」とは、「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を含浸させ乾燥することにより形成されたコーヒー液の乾燥固形物を含有」している「コーヒー液抽出残渣を使用した動物用排泄物処理材の構成部分」である点で共通する。
(c)さらに、刊行物2記載の発明の「缶コーヒーやインスタントコーヒーの製造時に大量に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出した再抽出のコーヒー液を、吸水性の紙層部及び/又は吸水性樹脂及び吸水性材料粉の混合層に含浸させて乾燥して得られる、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を72時間以上に亙って阻害する」「衛生シーツ」と、本願補正発明の「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を濃縮して得たコーヒー液の濃縮液を含浸させ乾燥することにより形成された、0.3重量%以上のコーヒー液の乾燥固形物を含有し、尿に触れて粒子相互を接着させる機能を有して、緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有する」「被覆層部」とは、「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を含浸させ乾燥することにより形成されたコーヒー液の乾燥固形物を含有し、緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有するコーヒー液抽出残渣を使用した動物用排泄物処理材の構成部分」である点で共通する。

そうすると、刊行物2記載の発明は、本願補正発明の表現に倣えば
「コーヒー飲料産業においてコーヒー飲料製造時に排出されるコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を含浸させ乾燥することにより形成されたコーヒー液の乾燥固形物を含有し、緑膿菌、レジオネラ菌及び連鎖球菌の増殖を長時間に亘って抑制する性質を有するコーヒー液抽出残渣を使用した動物用排泄物処理材の構成部分」
と言い換えることができる。

イ.引用発明の造粒物(本願補正発明の「芯部」に相当するもの)に刊行物2記載の発明の構成を適用することに関して
引用発明と刊行物2記載の発明とは、コーヒーの成分を用いた動物用排泄物処理材という技術分野で共通するものであり、引用発明の造粒物へのコーヒーの成分を添加する手法として、刊行物2記載の発明のコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を含浸させ乾燥する手法を用いることは、当業者が容易になし得ることである。
なお、引用発明は、刊行物1記載事項(ク)に記載されている様に、工程後半でポリビニルアルコールが噴霧され、最終的に接着能を有するものであるが、上記刊行物2記載の発明手法を用いるタイミングは、必ずしも、刊行物1記載事項(ク)のポリビニルアルコールが噴霧され、接着能が付与された以降でなければならないという性質のものでないので、引用発明の猫のトイレ用の砂が接着能を有するものであるとしても、上記刊行物2記載の発明手法を用いることが特段困難となるようなものとはいえない。

ウ.コーヒー液の乾燥固形物の割合、及び濃縮液とすることに関して、
(a)まず、刊行物2記載の発明の衛生シーツは、刊行物2記載事項(キ)に、「コーヒー豆のコーヒー液抽出残渣からの浸出液・・100グラム中に含まれ、コーヒー液成分の一である・・殺菌作用を有するタンニンの量は0.04g/100g以上、好ましくは、0.1g以上であるのが好ましい」と記載されている様に、十分な量のコーヒー液成分を含有することが必要なものであるので、刊行物2記載の発明のコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を含浸させ乾燥する手法を用いるにあたり、十分な量のコーヒー液成分を含有するものとすることは、当業者が通常なし得ることである。
(b)そして、刊行物2記載事項(ク)に、「含浸させる・・コーヒー液抽出残渣からの浸出液・・の濃度は、浸出時の抽出残渣・・の単位重量に対して使用する浸出液としての水又は加熱水の容量を変えて調整することができる。」と記載されている様に、刊行物2記載の発明において、浸出液の濃度を調整することが示唆されており、さらに、濃縮が、濃度調整手段として周知慣用のものであることを考慮すると、刊行物2記載の発明のコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を、該周知慣用の濃度調整手段で所望の濃度となるように調整することは、上記十分な量のコーヒー液成分を含有するものとするために、当業者が適宜選択し得たことと認められる。
(c)一方、本願補正発明において、「0.3重量%以上のコーヒー抽出液の乾燥固形物」を用いる点について、本願明細書の記載を参照すると、段落【0017】に「本発明において、コーヒー抽出液は、焙煎コーヒー豆を温水又は熱水により抽出した焙煎コーヒー豆からの抽出液、焙煎コーヒー豆の抽出残渣から温水又は熱水により抽出したコーヒー抽出液若しくは焙煎コーヒー豆の抽出残渣に含有されている残留廃液又はこれらの混合液を意味する。また,本発明において、焙煎コーヒー豆の抽出残渣とは、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を抽出したコーヒー豆の出し殻、即ち、コーヒー粕を意味し、各種抽出法により得られるコーヒー粕を意味する。本発明において、コーヒー抽出液の乾燥物は、コーヒー抽出液の濃縮液の乾燥物をも包含するものであり、動物用排泄物処理材100グラムあたりのコーヒー抽出液の乾燥物の量は、0.1グラム以上、特に、0.1乃至10グラム含有されるのが好ましいが、さらに好ましくは0.3グラム以上、特に、0.3乃至3グラム含有されるのが好ましい。」と記載されているように、特に好ましい含有量として「0.3重量%以上」という値が示されるに止まっており、「0.3重量%以上」という数値範囲としている点に、特段の臨界的意義があるとはいうことができない(当審注:下線部は当審が付与した)。
そうすると、本願補正発明のように「0.3重量%以上のコーヒー抽出液の乾燥固形物」を用いることは、コーヒー抽出液の乾燥固形物が細菌などの繁殖を抑制するといった効果を発揮するために必要な数値範囲を規定していることに他ならず、そのような必要な数値範囲を設定することは、当業者が普通に発揮することができる能力の範囲内の事項であることから、上記(a)の十分な量のコーヒー液成分を含有するものとするために、用いるコーヒー抽出液に含まれるコーヒー抽出成分の濃度などに応じて、当業者が適宜設定することができる事項ということができる。

そうすると、上記イ.の引用発明の造粒物(本願補正発明の「芯部」に相当するもの)へのコーヒーの成分を添加する手法として、刊行物2記載の発明のコーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を含浸させ乾燥する手法を用いるとともに、コーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を該周知慣用の濃度調整手段で所望の濃度となるように調整し、十分な量のコーヒー液成分を含有するものとして、本願補正発明の相違点ウ.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)相違点エ.について、
(a)引用発明は、刊行物1記載事項(ウ)に「本発明者は、コーヒー抽出液抽出残渣が、大きい吸臭能を有する点に着目して、コーヒー抽出液抽出残渣を動物の排泄物処理材として有効利用することを提案した。」と記載されている様に、コーヒーの吸臭能を前提とし、粒状物の部分に、吸臭能を有するコーヒーの成分を有するコーヒー抽出液抽出残渣を含有したものであるものの、被覆層部にそのような物質を含有したものではない。
(b)しかし、刊行物1記載事項(オ)に「着色乾燥造粒物に・・・接着機能を有する配合物質を配合するのが好ましい。」と、同記載事項(カ)に「焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣に高吸水性樹脂を配合する」と記載されているのに対して、刊行物1記載事項(カ)に「着色造粒物には、造粒後、更に接着能を有する配合物質、高吸水性樹脂、殺菌作用を有する配合物質又はその他配合物質をまぶす・・・のが好ましい。」と記載されているように、他にも、国際公開WO97/02738号の第14頁第20?21行に「殺菌作用を有する物質を・・粒状芯部及び被覆層部に添加することが出来る」と記載されている様に、動物用排泄物処理材において、所望の機能を発揮する物質を、被覆層部にも含有させることは、普通に行われていることである。
(c)また、刊行物2記載事項(ウ)に、「コーヒー液抽出残渣からの浸出液・・が、・・菌の増殖を・・阻害する」と、同記載事項(ケ)に、「コーヒー液抽出残留廃液を含有するコーヒー液抽出残渣からの浸出液の乾燥物・・が含まれているので、・・・高い脱臭機能を有する。」と記載されている様に、コーヒー液抽出残渣からの浸出液は、菌の増殖を阻害し、脱臭機能を有する性質を持つものと認識されているものである。
(d)そうすると、引用発明の粉末紙粉等の部分(本願補正発明の「被覆層部」に相当するもの)にも、粒状物の部分のコーヒー抽出液抽出残渣と同様の、菌の増殖阻害機能や吸臭能を有するコーヒーの成分を含有させることは、当業者が容易になし得ることであり、それを具現化する為に、引用発明の粉末紙粉等の部分にも、引用発明とコーヒー抽出液抽出残渣を用いた動物用排泄物処理材という技術分野において共通する刊行物2記載の発明の「コーヒー液抽出残渣から抽出した再抽出のコーヒー液を、吸水性の紙層部」に「含浸させて乾燥して得られる」ものを、付着させることは当業者が容易になし得ることである。
その際に、上記(3)ウ.に記載したのと同様に、コーヒー液抽出残渣から抽出されたコーヒー液を上記周知慣用の濃度調整手段で所望の濃度となるように調整し、十分な量のコーヒー液成分を含有するものとして、本願補正発明の相違点エ.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(e)なお、引用発明は、刊行物1記載事項(ク)に記載されている様に、工程後半でポリビニルアルコールが噴霧され、最終的に接着能を有するものであるが、上記(d)の引用発明の粉末紙粉等の部分に、刊行物2記載の発明の「コーヒー液抽出残渣から抽出した再抽出のコーヒー液を、吸水性の紙層部」に「含浸させて乾燥して得られる」ものを付着させるタイミングは、必ずしも、刊行物1記載事項(ク)のポリビニルアルコールが噴霧され、接着能が付与された以降でなければならないという性質のものでないので、引用発明の猫のトイレ用の砂が接着能を有するものであるとしても、上記(d)の付着させることが特段困難となるようなものとはいえない。

(5)本願補正発明の作用効果は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び上記周知事項から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び上記周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成24年2月23日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明は、平成23年3月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、紙ナプキン廃材、ちり紙廃材、紙綿廃材、紙タオル廃材又は便座シート廃材等の動物用排泄物処理材の廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用ラミネート紙廃材若しくは野菜輸送用ラミネート紙廃材、ラミネート紙の印刷屑、ラミネート紙の端屑、バフ粉、ダンボール屑、新聞屑、雑誌屑、木材屑、鉋屑若しくは不織布屑又はこれら二以上の廃材を含むもの、並びに焙煎コーヒー豆の抽出残渣若しくは茶殻又は焙煎コーヒー豆の抽出残渣及び茶殻、並びに0.3重量%以上のコーヒー抽出液の乾燥固形物を含有して粒状に形成されている芯部と、繊維質の廃棄物、吸水性樹脂及び0.3重量%以上のコーヒー抽出液の乾燥固形物を含有し、濡れて粘着機能を発揮する性質を有して、前記芯部を被覆する被覆層部とを有して粒状に形成されていることを特徴とする粒状の動物用排泄物処理材。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1?2とその記載事項は、前記の「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明の構成を全て含むとともに、本願発明の構成に更に限定を付加した本願補正発明が、前記「第2」の「3.」、「4.」に記載したとおり、引用発明、刊行物2記載の発明、及び上記周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も本願補正発明と同様の理由により、引用発明、刊行物2記載の発明、及び上記周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-25 
結審通知日 2013-11-19 
審決日 2013-12-17 
出願番号 特願2004-360564(P2004-360564)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01K)
P 1 8・ 575- Z (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 高橋 三成
住田 秀弘
発明の名称 粒状の動物用排泄物処理材及び製造方法  
代理人 滝口 昌司  

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