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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1286350
審判番号 不服2012-5433  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-22 
確定日 2014-04-02 
事件の表示 特願2008-520427「接続とデータアプリケーションの課金」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月11日国際公開、WO2007/006053、平成21年 1月 8日国内公表、特表2009-500964〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明

本願は、2006年7月6日(パリ条約による優先権主張、外国庁受理2005年7月6日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年11月16日付けで拒絶の査定がされたところ、これに対し平成24年3月22日付けで審判の請求がなされ、当審において平成25年3月6日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月12日付けで手続補正がなされたものである。

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年9月12日付け手続補正書により補正された、特許請求の範囲、請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
ワイヤレスネットワーク上で移動局のユーザによって使用されるワイヤレスサービスの使用を決定するためのサーバであって、
移動局からの1つまたは複数の接続を検出するよう動作する接続検出器と;
前記接続検出器と動作的に接続され、検出される接続の接続タイプを決定するよう動作する接続分類器と、ここで、
前記検出される接続の前記タイプは、前記ワイヤレスサービスに関連する無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続に基づいて決定され、前記検出された接続は、移動局のための複数の無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続の1つに対応し、前記移動局のための前記複数の無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続の各々は、前記検出される接続の前記タイプを決定するために、接続分類器が、前記検出される接続を前記複数の無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続と比較するように、特定の接続のタイプと関連付けられる、または、
前記検出される接続の前記タイプは、検出される前記接続上で受信される1つまたは複数のパケットの宛先インターネットプロトコル(IP)アドレスに基づいて決定される;
前記接続分類器と動作的に接続され、前記接続タイプに基づいて、検出される接続の各々について使用を決定するよう動作する使用追跡器と、
を備え、
前記サーバが、パケットデータサービングノード(PDSN)に対応している、
サーバ。」

2.引用発明
これに対して、当審の拒絶理由に引用された特開2004-147284号公報(以下、「引用例」という。)には、「移動通信システムのコンテンツ別課金データ生成装置及び方法」として、図面とともに、以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加入者の使用するコンテンツに応じて実時間で課金ができるようにする移動通信システムのコンテンツ別課金データ生成装置及び方法に関する。」(3頁9-12行)

ロ.「【0009】
図1は本発明に係るパケットデータ分析装置が接続される移動通信システムの論理的構成を説明するためのブロック図である。
【0010】
図1を参照すると、本発明に係る移動通信システムは、モバイル端末機10との相互交信を行う基地局としてのBTS(Base Transceiver Station)110と、前記BTS110を運用及び維持保守する基地局制御機としてのBSC(Base Station Controller)120とを含む。
【0011】
前記BSC120は、ネットワークにおいて交換機能を行うシステムであって、ネットワーク内の移動電話加入者を他のネットワークに連結する機能を行うとともに、各種付加システムに連結されて付加サービスを提供する移動通信交換局としてのMSC(Mobile Switching Center)210と、パケットデータをサービスするためのPDSN(Packet Data Service Node)、すなわちパケットデータサービスノード310が接続される。
【0012】
前記BSC120は、BTS110とMSC210との間で音声呼と回線データ呼を連結し、BTS110と前記パケットデータサービスノード310との間でパケットデータ呼を連結し、音声呼に対してはボコーディング機能を行う。
【0013】
前記パケットデータサービスノード310は、ミラーリングスイッチ(Mirroring Switch)320を介してデータコアネットワーク(Data Core Network:DCN)410に接続される。前記データコアネットワーク410には、使用者にコンテンツを提供するためのコンテンツサーバ420とインターネット430網が接続される。この際、前記ミラーリングスイッチ320は、パケットデータサービスノード310とデータコアネットワーク410間のパケットデータの中継を行い、そのパケットデータを複製して後述のパケットデータ分析装置(IUX)330に伝送する役割を果たす。
【0014】
本発明の課金データ生成装置は、前記ミラーリングスイッチ320で複製されたパケットデータを分析し、課金データ(UDR)を生成するパケットデータ分析装置330と、前記パケットデータ分析装置330で生成された課金データを収集、格納及び加工する課金データ処理部(IPMS)340と、前記課金データ処理部340の出力情報に基づいて統合課金を行う統合課金サーバ(Billing Data Server;BDS)350とを含んでなる。
【0015】
前記パケットデータサービスノード310は、データサービスに対してセッションの開始を知らせる課金開始データレコード(start UDR)、セッションの中間精算データレコード(interim UDR)及びセッションの終了を知らせる課金終了データレコード(stop UDR)を生成し、モバイル端末機10にパケットデータをサービスする。」(4頁6-46行)

ハ.「【0017】
図2に示すように、本発明に係るパケットデータ分析装置330は、パケットデータを複製する前記ミラーリングスイッチ320に接続するためのインタフェース331と、前記インタフェース部331を介して受信されたパケットデータを分析するパケット分析部332と、前記パケット分析部332で分析された情報を格納する格納部333と、前記パケット分析部332の分析結果に基づいて統合課金データを生成する課金データ生成部334と、前記課金データ生成部334で生成された統合課金データを課金データ処理部340に伝送する伝送部335とを含んでなる。
【0018】
このような構成の本発明に係るパケットデータ分析装置330は、パケットデータサービスノード310で生成された課金開始データレコード、中間精算データレコード及び課金終了データレコードから加入者のMIN(Mobile Identification Number)管理のための加入者識別プロセスを行い、ミラーリングスイッチ320で複製されて伝送されるパケットデータを分析してコンテンツの種類を判別するパケット分析プロセスを行う。前記の動作は図3に示す。
【0019】
図3は本発明に係るパケットデータ分析装置330の遂行プロセスを説明するための説明図である。
【0020】
図3に示すように、本発明に係るパケットデータ分析装置330は加入者を識別する加入者識別プロセスを行うが、このために、前記インタフェース部331はパケットデータサービスノード310から課金開始データレコード、中間精算データレコード及び課金終了データレコードを受信する(S10)。そして、パケット分析部332は前記受信した課金開始データレコード、中間精算データレコード及び課金終了データレコードを分析する(S20)。
【0021】
この際、前記段階S20で、パケット分析部332は前記加入者の移動局識別番号としてのMIN(Mobile Identification Number)、IPアドレス、使用時間及び活性化情報などを抽出してその情報を格納部333に格納する(S30)。
【0022】
一方、パケットデータ分析装置330はパケット分析プロセスを行うが、このために、インタフェース部331はミラーリングスイッチ320で複製されて伝送されるパケットデータを受信し(S40)、パケット分析部332は前記受信されたパケットデータを分析する(S50)。そして、パケット分析部332は段階S50で分析された情報に基づいてパケットデータ、すなわちコンテンツの種類及び使用量を分析する(S60)。
【0023】
次いで、課金データ生成部334は、前記格納部333に格納されたMIN、IPアドレス、使用時間及び活性化情報などの情報、段階S60で判断したコンテンツの種類及び使用量に基づいて課金データを生成する(S70)。
【0024】
前記段階S70において、課金データ生成部334は、パケットデータの種類及び使用量、すなわちコンテンツ別に設定された情報に、前記格納部333に格納されたMIN、使用時間及びIPアドレスなどの情報を含ませて課金データを生成し、生成された前記課金データを伝送部335を介して、収集、格納及び加工する課金データ処理部340に伝送する。
【0025】
これにより、プロトコル別に予め開発されたか或いは開発されていないプロトコル、登録又は未登録されたプロトコルに対する加入者トラフィックに対し加入者のMIN情報を区分して課金データを生成することができる。」(4頁50行-5頁49行)

ニ.「【0027】
まず、使用者がモバイル端末機10を介して接続すると、モバイル端末機10はMSC210と連動して資源の割当を受け、これによりパケットデータサービスノード310と接続してデータ連結を設定する。
【0028】
前記パケットデータサービスノード310は、モバイル端末機10の認証が成功すると、現在データサービスに対するセッションの開始を知らせる課金開始データレコードをミラーリングスイッチ320に伝送し、モバイル端末機10と、データコアネットワーク410に接続されているコンテンツサーバ420又はインターネット430との間でパケットデータを中継する。
【0029】
一方、前記ミラーリングスイッチ320は、パケットデータサービスノード310で生成されたセッションの開始を知らせる課金開始データレコードを複製してパケットデータ分析装置330に伝送する。
【0030】
前記パケットデータ分析装置330のインタフェース部331は課金開始データレコードを受信してパケット分析部332に伝送し、パケット分析部332は課金開始データレコードを分析して、MIN、IPアドレス、使用時間及び活性化情報などを含んだ情報を格納部333に格納する。
【0031】
また、パケット分析部332は該当情報を課金データ生成部334に伝送し、課金データ生成部334は伝送部335を介して前記課金開始データレコードを課金データ処理部340に伝送してセッションの開始を通報することにより課金の開始を知らせる。
【0032】
前記パケットデータサービスノード310では、課金開始データレコードの生成後、所定の時間が経過すると中間精算データレコードを生成し、セッションが終了すると課金終了データレコードを生成する。生成された前記中間精算データレコード及び課金終了データレコードはミラーリングスイッチ320を介してパケットデータ分析装置330に伝送される。
【0033】
前記パケットデータ分析装置330では、前述した課金開始データレコードの処理過程と同様に、中間精算データレコード及び課金終了データレコードを分析し、加入者情報と使用時間などに関する情報を格納部333に格納する。前述したように、パケットデータ分析装置330は、加入者のMIN管理のための加入者識別プロセスを行う。
【0034】
また、パケットデータ分析装置330はパケットデータを分析するプロセスを行うが、その動作は次の通りである。
【0035】
パケットデータサービスノード310に接続されたミラーリングスイッチ320は、パケットデータサービスノード310とデータコアネットワーク410との間で送受信されるパケットデータを複製してパケットデータ分析装置330に伝送する。
【0036】
前記パケットデータ分析装置330のインタフェース部331は、ミラーリングスイッチ320から伝送される、複製されたパケットデータを受信する。そして、パケット分析部332は、現在サービスされているコンテンツの種類を判別するために、インタフェース部331に受信されたパケットデータを予め設定された情報に基づいて分析する。パケット分析部332は、分析結果による情報と格納部333に格納されたユーザ情報(MIN、IPアドレス、使用時間など)を課金データ生成部334に伝送する。
【0037】
課金データ生成部334は、前記分析結果、すなわち現在データサービスされているコンテンツの種類に応じて統合課金データを生成し、伝送部335を介して課金データ処理部340に伝送する。課金データ処理部340は、受信された統合課金データを格納し、所望の形態に加工した後、統合課金サーバ350に伝送する。」(6頁3行-7頁5行)

上記引用例の記載及び添付図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

上記イ.によれば、引用例には、加入者の使用する「コンテンツ」に応じて課金ができる「移動通信システムのコンテンツ別課金データ生成装置」について示されているといえる。

上記ロ.には、「ネットワーク内の移動電話加入者」にパケットデータをサービスするための「パケットデータサービスノード310」について示され、前記「パケットデータサービスノード310」は、「データサービスに対し」て「セッションの開始を知らせる課金開始データレコード」、「セッションの中間精算データレコード」及び「セッションの終了を知らせる課金終了データレコード」を「生成」することが記載されている。

上記ハ.には、パケットデータサービスノード310とデータコアネットワーク410間のパケットデータを複製することにより、パケットデータ分析装置は、現在サービスされているコンテンツの種類を判別することが示されており、「パケットデータ分析装置は、現在サービスされているコンテンツの種類を判別するために、パケットデータサービスノード310とデータコアネットワーク410間のパケットデータを予め設定された情報に基づいて分析」するものといえる。
そして、パケットデータ分析装置は、「コンテンツの種類及び使用量」からなる「コンテンツ別に設定された情報を取得する」ことについて記載されている。

上記ニ.には、パケットデータ分析装置は、前記課金開始データレコード、前記中間清算データレコード、前記課金終了データレコードに基づく情報から、加入者情報と使用時間などに関する情報を格納し、該格納された情報と、パケットデータに対する分析結果(上記ハ.における「コンテンツ別に設定された情報」)とから課金データの生成を行うことが示されており、図3も併せて参照すると、「パケットデータ分析装置は、前記課金開始データレコード、前記中間清算データレコード、前記課金終了データレコードに基づく情報と、前記コンテンツ別に設定された情報とから、課金データを生成する」ものといえる。

したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワーク内の移動電話加入者にサービスを提供する移動通信システムのコンテンツ別課金データ生成装置であって、
パケットデータサービスノードは、データサービスに対するセッションの開始を知らせる課金開始データレコード、セッションの中間清算データレコード、及びセッションの終了を知らせる課金終了データレコードを生成して、パケットデータ分析装置に伝送し、
前記パケットデータ分析装置は、現在サービスされているコンテンツの種類を判別するために、パケットデータサービスノードとデータコアネットワーク間のパケットデータを予め設定された情報に基づいて分析し、コンテンツの種類及び使用量からなるコンテンツ別に設定された情報を取得し、
前記パケットデータ分析装置は、前記課金開始データレコード、前記中間清算データレコード、前記課金終了データレコードに基づく情報と、前記コンテンツ別に設定された情報とから、課金データを生成するパケットデータ分析装置。」

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する

引用発明の「移動通信システム」が「ネットワーク内の移動電話加入者」に「提供する」「サービス」は、「ワイヤレス」「サービス」であることは明らかであり、また、「移動電話加入者」を「移動局のユーザ」と称することや、「提供する」「サービス」を、「使用される」「サービス」とすることは任意であるから、本願発明の「ワイヤレスネットワーク上で移動局のユーザによって使用されるワイヤレスサービス」に相当する。

引用発明の「課金データ」の「生成」は、移動電話加入者が受けたデータサービスへの対価のデータを生成することであるから、データサービスに対する対価の「決定」といえ、本願発明の「ワイヤレスサービスの使用を決定する」ことに相当するものである。
そして、引用発明の「課金データ生成装置」と、本願発明の「ワイヤレスサービスの使用を決定するためのサーバ」とは、「ワイヤレスサービスの使用を決定するための装置」である点において共通する。

引用発明の「パケットデータサービスノード」は、「データコアネットワーク」と「移動電話」との間で「パケットデータ」によるサービスを提供するノードであり、役務の提供である「サービス」を「サービング」と称することは任意のものであるから、パケットデータによる役務を提供するノードである点において、本願発明の「パケットデータサービングノード」と相違しない。

引用発明の「データサービスに対するセッション」は、移動局からの少なくとも1つのデータ接続のセッションであり、本願発明の「移動局からの1つまたは複数の接続」に相当する。
そして、引用発明の「課金開始データレコード」は、データ接続のセッションが開始された時に生成されるデータレコードであるから、「課金開始データレコード」の「生成」を行う「パケットデータサービスノード」において、「接続」を「検出するよう動作」が行われていることは明らかといえる。
したがって、引用発明の「データサービスに対するセッションの開始を知らせる課金開始データレコード」を「生成」する「パケットデータサービスノード」と、本願発明の「移動局からの1つまたは複数の接続を検出するよう動作する」「接続検出器」とは、「移動局からの1つまたは複数の接続を検出する手段」である点において差違はない。

引用発明の「パケットデータサービスノードとデータコアネットワーク間のパケットデータ」は、データコアネットワークからパケットデータサービスノードを介し移動電話加入者に「接続上」のサービスとして提供される「少なくとも1つ」のパケットデータであり、また、分析のためにパケットデータ分析装置によって「受信」されるパケットデータといえ、本願発明の「検出される前記接続上で受信される1つまたは複数のパケット」に相当する。

引用発明の「コンテンツの種類」は、移動電話加入者にサービスとして提供されるパケットデータを予め設定された情報に基づいて分析したものであり、移動局からの「接続上」で受信されるパケットを「コンテンツの種類」として判別したものといえ、本願発明の「接続タイプ」と比較すると、「接続の種類」である点において共通する。

本願発明の「接続分類器」は、「接続検出器」と動作的に結合され、「検出される接続の接続タイプを決定するよう動作する」ものである。
一方、引用発明の「パケットデータ分析装置」は、パケットデータサービスノードとデータコアネットワーク間のパケットデータを予め設定された情報に基づいて分析し、コンテンツの種類及び使用量からなるコンテンツ別に設定された情報を取得する手段を有するものであるから、「パケットデータサービスノードに動作的に結合する」、「コンテンツの種類を分析する手段」を明らかに有するものである。
したがって、引用発明の「パケットデータ分析装置」が有する「コンテンツの種類を分析する手段」は、「接続を検出する手段と動作的に接続され、検出される接続の種類を決定する手段」である点において、本願発明の「接続分類器」と共通する。

引用発明の「パケットデータ分析装置」には、「前記課金開始データレコード、前記中間清算データレコード、前記課金終了データレコードに基づく情報と、前記コンテンツ別に設定された情報とから、課金データを生成する」処理を行う手段が存在することは明らかであり、この処理を行う手段は、接続の状態の変化を追跡したデータとコンテンツ別に設定された情報とを対応させて課金データとして生成するものであるから、「検出される接続の種類を決定する手段と動作的に接続され、前記接続の種類に基づいて検出される接続の各々について使用を決定するよう使用を追跡する手段」といえる。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。

<一致点>
「ワイヤレスネットワーク上で移動局のユーザによって使用されるワイヤレスサービスの使用を決定するための装置であって、
移動局からの1つまたは複数の接続を検出する手段と、
前記接続を検出する手段と動作的に接続され、検出される接続の種類を決定する手段と、ここで、
前記検出される接続の前記種類は、検出される前記接続上で受信されるパケットデータに基づいて決定され、
前記検出される接続の種類を決定する手段と動作的に接続され、前記接続の種類に基づいて検出される接続の各々について使用を決定するよう使用を追跡する手段と
を備え、前記装置が、パケットデータサービングノードに対応している装置。」

<相違点>
<相違点1>
本願発明のワイヤレスサービスの使用を決定する「サーバ」は、接続検出器と、接続分類器と、使用追跡器とを備え、パケットデータサービングノード(PDSN)に対応するものであるのに対し、引用発明のワイヤレスサービスの使用を決定する(課金データ生成)を行う「パケットデータ分析装置」は、パケットデータサービングノード(PDSN)から伝送される情報に「対応」して接続を検出し、接続の種類を決定し、使用を追跡するものであるが、接続を検出する手段と、接続を分類する手段と、使用を追跡する手段とが「サーバ」として構成されていない点。

<相違点2>
接続の種類に関し、本願発明は、「接続タイプ」を検出するものであるのに対し、引用発明は「サービスされているコンテンツの種類」を検出するものである点

<相違点3>
接続の種類の決定に関し、本願発明は、「1つまたは複数のパケットの宛先インターネットプロトコル(IP)アドレスに基づいて決定」を行うものであるのに対し、引用発明は、パケットデータの分析に、宛先のインターネットプロトコル(IP)アドレスに基づいた決定が行われているか否か不明である点。

<相違点4>
本願発明は、択一的に「前記検出される接続の前記タイプは、前記ワイヤレスサービスに関連する無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続に基づいて決定され、前記検出された接続は、移動局のための複数の無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続の1つに対応し、前記移動局のための前記複数の無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続の各々は、前記検出される接続の前記タイプを決定するために、接続分類器が、前記検出される接続を前記複数の無線ネットワーク-パケットネットワーク(R-P)接続と比較するように、特定の接続のタイプと関連付けられる、」との構成をも有するのに対し、引用発明は、このような構成を有していない点。

上記相違点について検討する。

まず、相違点1について検討する。
引用発明は、パケットデータサービスノードから伝送される情報に対応する、パケットデータ分析装置によって課金データ生成を行うものであるが、パケットデータサービスノード内にソフトウエア・プログラムやハードウエア構成要素として、使用量の記録手段を設けることは周知であり(例えば、当審の拒絶理由に引用された国際公開第2004/051400号の4頁17行-5頁11行を参照。)、引用発明において、パケットデータサービスノードに課金に関するサーバを設けることは適宜なし得るものである。

相違点2について検討する。
本願発明における「接続タイプ」について、本願明細書の【0043】-【0053】を参照すると、「接続タイプ」とは、具体的には、接続上で利用されている「アプリケーションタイプ」を意味するものである。
一方、一般に「コンテンツ」とは、「アプリケーション」によって利用されるデータといえ、「コンテンツの種類」と、「アプリケーションの種類」とは実質的に対応しており、「コンテンツの種類」と、「アプリケーションの種類」との間に特別な差異はない(一例として、当審の拒絶理由に引用された特開2002-252627号公報の【0030】,【図7】には、「コンテンツ情報」として、Eメール,ニュース速報,位置情報サービス等が記載されているが、これらの「コンテンツ情報」は、例えば、メールアプリケーション,ニュースリーダ,ナビゲーション等の、対応する「各アプリケーションが利用する情報」といえるものである。)。
そして、引用発明の「サービスされているコンテンツの種類」の検出は、接続上のデータパケットから「コンテンツの種類」を検出するものであり、接続上の「アプリケーションタイプ」のような、「接続タイプ」を検出するものとしたことは、当業者が適宜なし得たものである。

相違点3について検討する。
例えば、上記特開2002-252627号公報の【0030】,【図7】に記載されるように、Eメール,ニュース速報,位置情報サービス等のそれぞれ異なるデータ接続の種類を、接続先のIPアドレス毎に決定することは、周知の技術である。
引用発明において、当該周知の技術のごとく、接続先のIPアドレスを用いて、接続の種類の決定を行うことは、当業者が適宜なし得るものである。

相違点4について検討する。
相違点4は、択一的な発明特定事項であり、相違点4を除いた発明が、引用発明及び周知の技術から容易に想到することができるものである以上、相違点4は実質的な相違ではない。

そして、本願発明に関する作用・効果も引用発明及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。

4.結語
以上のとおり、本願発明は引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-30 
結審通知日 2013-11-05 
審決日 2013-11-19 
出願番号 特願2008-520427(P2008-520427)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角張 亜希子高野 洋  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 矢島 伸一
山澤 宏
発明の名称 接続とデータアプリケーションの課金  
代理人 村松 貞男  
代理人 井関 守三  
代理人 堀内 美保子  
代理人 砂川 克  
代理人 高倉 成男  
代理人 中村 誠  
代理人 峰 隆司  
代理人 河野 哲  
代理人 竹内 将訓  
代理人 佐藤 立志  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 白根 俊郎  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 野河 信久  
代理人 河野 直樹  
代理人 岡田 貴志  

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