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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C09D 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C09D |
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管理番号 | 1287737 |
審判番号 | 訂正2014-390021 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2014-01-28 |
確定日 | 2014-03-20 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4764562号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4764562号に係る特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 |
理由 |
1.事件の経緯 本件特許第4764562号は、平成13年4月11日(優先権主張 平成12年4月11日)に出願された特願2001-112696号の請求項1?15に係る発明について平成23年6月17日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成26年1月28日に本件訂正審判の請求がされたものである。 2.請求の趣旨および訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4764562号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものである。そして、その訂正の内容は、特許請求の範囲を以下の訂正事項1?5のとおりである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に、グリコールモノエーテルを含む点、分散剤が高分子分散剤である点を記載する減縮訂正をする。また、請求項2を引用する請求項についても同様に減縮訂正をする。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5に、グリコールモノエーテルを含む点を記載する減縮訂正をする。また、請求項5を引用する請求項についても同様に減縮訂正をする。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項7に、グリコールモノエーテルを含む点、顔料が有機顔料である点を記載する減縮訂正をする。また、請求項7を引用する請求項についても同様に減縮訂正をする。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項10に、グリコールモノエーテルを含む点、グリコールモノエーテルの含有量がインク組成物全量である0.25?10重量%である点を記載する減縮訂正をする。また、請求項10を引用する請求項についても同様に減縮訂正をする。 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項13において、「機械的変形よりり」を「機械的変形より」に変更する誤記の訂正をする。 3.当審の判断 (1)訂正の目的、新規事項の追加、および、特許請求の範囲の拡張・変更について ア.訂正事項1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2を「グリコールモノエーテルを含み」と限定するとともに、請求項2が引用する請求項1に記載された「分散剤」を「前記分散剤が高分子分散剤である」とするものであり、このうち、「グリコールモノエーテルを含み」と限定する訂正は構成要件の直列的付加にあたり、「分散剤」を「前記分散剤が高分子分散剤である」とする訂正は上位概念から下位概念への変更にあたるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものである。 よって、訂正事項1のうち請求項2についての訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項2を直接的ないし間接的に引用する請求項7?15について検討すると、請求項10、および、請求項10を直接的ないし間接的に引用することによって間接的に請求項2を引用する請求項11?15についての訂正事項1は、訂正前の「浸透促進剤を…含んでなる」を「グリコールモノエーテルを含み」とする訂正、「分散剤」を「前記分散剤が高分子分散剤である」とする訂正を行うものであって、いずれも上位概念から下位概念への変更にあたるから、特許請求の範囲の減縮を行うものである。 そして、それ以外の請求項2を直接的ないし間接的に引用する請求項7?15についての訂正事項1は、請求項2と同様であって、「グリコールモノエーテルを含み」と限定する訂正は構成要件の直列的付加にあたり、「分散剤」を「前記分散剤が高分子分散剤である」とする訂正は上位概念から下位概念への変更にあたるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものである。 よって、訂正事項1のうち請求項2を直接的ないし間接的に引用する請求項7?15についての訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 以上のとおりであるから、訂正事項1は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の追加 訂正事項1に係る事項は、いずれも訂正前の本件明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり(「グリコールモノエーテルを含み」との事項については、本件明細書の段落【0039】?【0042】の「インクに浸透性を付与する水溶性有機溶媒、すなわち、浸透促進剤としては、好ましくはグリコールモノエーテルが挙げられる…」との記載、「前記分散剤が高分子分散剤である」との事項については、本件明細書の段落【0026】?【0029】の「本発明における分散剤としては…例えば高分子分散剤を好適に使用することができる。…特に樹脂分散剤を使用することができる。…」との記載参照。また、本件明細書の段落【0067】?【0070】には、グリコールモノエーテルおよび高分子分散剤を使用したインク組成物の実施例が記載されている。)、訂正の前後で請求項に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではないから、新規事項を追加するものではない。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項1は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、発明のカテゴリー、対象、目的の変更等をするものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ.訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5を「グリコールモノエーテルを含み」と限定するものであり、当該訂正は構成要件の直列的付加にあたるから、特許請求の範囲の減縮を行うものである。 また、請求項5を直接的ないし間接的に引用する請求項7?15について検討すると、請求項10、および、請求項10を直接的ないし間接的に引用することによって間接的に請求項5を引用する請求項11?15についての訂正事項2は、訂正前の「浸透促進剤を…含んでなる」を「グリコールモノエーテルを含み」とする訂正を行うものであって、上位概念から下位概念への変更にあたるから、特許請求の範囲の減縮を行うものである。 そして、それ以外の請求項5を直接的ないし間接的に引用する請求項7?15についての訂正事項2は、請求項5と同様であって、「グリコールモノエーテルを含み」と限定する訂正は構成要件の直列的付加にあたるから、特許請求の範囲の減縮を行うものである。 よって、訂正事項2のうち請求項5を直接的ないし間接的に引用する請求項7?15についての訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 以上のとおりであるから、訂正事項2は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の追加 訂正事項2に係る事項は、訂正前の本件明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり(前出の本件明細書の段落【0039】?【0042】の記載、本件明細書の段落【0067】?【0070】の実施例の記載参照。)、訂正の前後で請求項に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではないから、新規事項を追加するものではない。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項2は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、発明のカテゴリー、対象、目的の変更等をするものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ.訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項7を「グリコールモノエーテルを含み」と限定するとともに、請求項7が引用する請求項1に記載された「顔料」を「前記顔料が有機顔料である」とするものであり、このうち、「グリコールモノエーテルを含み」と限定する訂正は構成要件の直列的付加にあたり、「顔料」を「前記顔料が有機顔料である」とする訂正は上位概念から下位概念への変更にあたるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものである。 よって、訂正事項3のうち請求項7についての訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項7を直接的ないし間接的に引用する請求項8?15について検討すると、請求項10、および、請求項10を直接的ないし間接的に引用することによって間接的に請求項7を引用する請求項11?15についての訂正事項3は、訂正前の「浸透促進剤を…含んでなる」を「グリコールモノエーテルを含み」とする訂正、「顔料」を「前記顔料が有機顔料である」とする訂正を行うものであって、いずれも上位概念から下位概念への変更にあたるから、特許請求の範囲の減縮を行うものである。 そして、それ以外の請求項7を直接的ないし間接的に引用する請求項8?15についての訂正事項3は、請求項7と同様であって、「グリコールモノエーテルを含み」と限定する訂正は構成要件の直列的付加にあたり、「顔料」を「前記顔料が有機顔料である」とする訂正は上位概念から下位概念への変更にあたるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものである。 よって、訂正事項3のうち請求項7を直接的ないし間接的に引用する請求項8?15についての訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 以上のとおりであるから、訂正事項3は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の追加 訂正事項3に係る事項は、いずれも訂正前の本件明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり(「グリコールモノエーテルを含み」との事項については、前出の本件明細書の段落【0039】?【0042】の記載、本件明細書の段落【0067】?【0070】の実施例の記載参照。「前記顔料が有機顔料である」との事項については、本件明細書の段落【0016】?【0020】の「…無機顔料、または有機顔料のいずれであってもよい。…有機顔料としては…などを使用することができる。…」、前出の本件明細書の段落【0067】?【0070】の実施例の記載参照。)、訂正の前後で請求項に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではないから、新規事項を追加するものではない。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項3は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、発明のカテゴリー、対象、目的の変更等をするものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ.訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の特許請求の範囲の請求項10の「浸透促進剤をさらに含んでなる」を「浸透促進剤としてグリコールモノエーテルを含み」とするとともに、「前記グリコールモノエーテルの添加量はインク組成物全体に対して0.25?10重量%である」とするものであり、このうち、「浸透促進剤をさらに含んでなる」を「浸透促進剤としてグリコールモノエーテルを含み」とする訂正は、浸透促進剤についての上位概念から下位概念への変更にあたり、「前記グリコールモノエーテルの添加量はインク組成物全体に対して0.25?10重量%である」とする訂正は、グリコールモノエーテルの添加量についての構成要件の直列的付加にあたるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものである(なお、「…さらに…」を削除する点は、訂正事項1によって、請求項10よりも前に記載された請求項である請求項2において、浸透促進剤にあたる成分であるグリコールモノエーテルが含まれるものが構成要件とされることに対応するために、文言を整えるものであって、訂正の目的要件に違反するものとはいえない。) よって、訂正事項4のうち請求項10についての訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4のうち請求項10を直接的ないし間接的に引用する請求項11?15についての訂正も同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 以上のとおりであるから、訂正事項4は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の追加 訂正事項4に係る事項は、いずれも訂正前の本件明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり(「グリコールモノエーテルを含み」との事項については、前出の本件明細書の段落【0039】?【0042】の記載、本件明細書の段落【0067】?【0070】の実施例の記載参照。「前記グリコールモノエーテルの添加量はインク組成物全体に対して0.25?10重量%である」との事項については、本件明細書の段落【0043】の「…グリコールモノエーテルは、インク組成物全体に対して、0.25?10重量%の範囲の量添加することが好ましい。…」との記載参照。)、訂正の前後で請求項に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではないから、新規事項を追加するものではない。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項4は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、発明のカテゴリー、対象、目的の変更等をするものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ.訂正事項5について (ア)訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項13の「機械的変形によりり」との記載を「機械的変形により」と訂正するものであって、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。 (イ)新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項5は、上記(ア)のとおり、「誤記の訂正」を目的とするものであって、何ら新たな技術的事項を導入するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとは認められない。 (2)独立特許要件 訂正事項1?5は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第2号に掲げる事項を目的とするものであるところ、当該訂正事項に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項2、5、7、10、13およびそれらの請求項を引用する請求項7?15に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとは認められないから、訂正事項1?5は、特許法第126条第7項の規定に適合するものと認められる。 4.むすび 以上のとおりであって、本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号ないし2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 インク組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 顔料と、顔料を分散させる分散剤と、1,2-アルカンジオールと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、 前記1,2-アルカンジオールをインク組成物全量に対して0.5?10重量%含んでなり、かつ 1,2-アルカンジオールの炭素数が4?10である、インク組成物。 {ただし、前記インク組成物は、下記式(I)で表される物質およびカチオン性水溶性ポリマーを含まない: Gl-(EP)n(I) (式中、Glはグリセリン骨格を表し、EPはエチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を示すがOH基である場合もある。また、nは付加量単位の平均を示し0.5?10である)}。 【請求項2】 グリコールモノエーテルを含み、 1,2-アルカンジオールが、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、およびそれらの混合物からなる群より選択され、 前記分散剤が高分子分散剤である、請求項1に記載のインク組成物。 【請求項3】 1,2-アルカンジオールが1,2-ブタンジオールであって、1,2-ブタンジオールを3?10重量%含んでなる、請求項1に記載のインク組成物。 【請求項4】 1,2-アルカンジオールが1,2-ペンタンジオールであって、1,2-ペンタンジオールを3?10重量%含んでなる、請求項1に記載のインク組成物。 【請求項5】 グリコールモノエーテルを含み、 1,2-アルカンジオールが1,2-ヘキサンジオールであって、1,2-ヘキサンジオールを1?6重量%含んでなる、請求項1に記載のインク組成物。 【請求項6】 1,2-アルカンジオールが1,2-ヘプタンジオールであって、1,2-ヘプタンジオールを0.5?3重量%含んでなる、請求項1に記載のインク組成物。 【請求項7】 グリコールモノエーテルを含み、 ノニオン系界面活性剤をさらに含んでなり、 前記顔料が有機顔料である、請求項1?6のいずれか一項に記載のインク組成物。 【請求項8】 ノニオン系界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、請求項7に記載のインク組成物。 【請求項9】 ノニオン系界面活性剤をインク組成物全量に対して0.1?5重量%含んでなる、請求項7または8に記載のインク組成物。 【請求項10】 浸透促進剤としてグリコールモノエーテルを含み、前記グリコールモノエーテルの添加量はインク組成物全量に対して0.25?10重量%である、請求項1?9のいずれか一項に記載のインク組成物。 【請求項11】 2-ピロリドンをさらに含んでなる、請求項1?10のいずれか一項に記載のインク組成物。 【請求項12】 インクジェット記録方法において用いられる、請求項1?11のいずれか一項に記載のインク組成物。 【請求項13】 インクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法である、請求項12に記載のインク組成物。 【請求項14】 インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1?11のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、インクジェット記録方法。 【請求項15】 請求項14に記載の記録方法によって記録が行われた、記録物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の背景】 発明の分野 本発明は、優れたヘッド吐出安定性を有するインク組成物に関する。さらに詳しくは、着色剤としての顔料と、顔料を分散させる分散剤と含んでなるイン詳しくは、着色剤としての顔料と、顔料を分散させる分散剤と含んでなるインク組成物に関する。 【0002】 背景技術 インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を被記録体表面に記録する方法である。インクジェット記録方式としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法や、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させて、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、被記録体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。 【0003】 このようなインクジェット記録に用いられるインクには、印字の乾燥性がよいこと、印字のにじみがないこと、種々の被記録体表面に均一に印字できること、および、多色の場合色が混じり合わないことなどの種々の性能が要求される。 【0004】 このため従来は、インク組成物が記録紙上で素早く乾燥させるか、または隣接した異なる色のインク間の混合を防止するために、記録物への浸透を促進する成分をインク組成物中に添加することが検討されている。 【0005】 例えば、特開平2-14260号公報には、インクの浸透性を促進する成分として低級アルコール類を使用することが記載されている。 【0006】 特開昭57-55975号公報には、インク組成物に界面活性剤を添加することにより、インクの表面張力を低下させて、インクの浸透性を向上させることが記載されている。 【0007】 特開平7-157698号公報には、浸透剤として1,2-アルカンジオールが記載されている。しかしながら、この公報に具体的に開示されているインクは全て着色剤として染料を含むものである。 【0008】 【発明の概要】 本発明者らは、今般、顔料を分散剤により分散させてなるインク組成物において、1,2-アルカンジオールを特定濃度添加することにより、安定したインク吐出を実現できることを見出した。また、本発明者等は、1,2-アルカンジオールは、比較的少量の添加によりインク組成物に優れた浸透性を付与することができるとの知見も得た。本発明はこれらの知見に基づくものである。 【0009】 したがって、本発明は、記録装置におけるインク吐出ノズル近傍への析出物の付着を効果的に防止することができ、かつ優れた浸透性を有するインク組成物の提供をその目的としている。 したがって、本発明は、インクジェット記録装置に用いた場合に優れた性能を有するインク組成物、とりわけ優れたインク吐出安定性を有するインク組成物の提供をその目的としている。 そして、本発明によるインク組成物は、顔料と、顔料を分散させる分散剤と、1,2-アルカンジオールと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、前記1,2-アルカンジオールをインク組成物全量に対して0.5?10重量%含んでなるものである。 本発明の好ましい態様によれば、前記インク組成物はノニオン系界面活性剤をさらに含んでなる。 【0010】 【発明の具体的説明】 インク組成物 本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印字方式が挙げられる。本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。より好ましくは、本発明によるインク組成物は、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録方法において用いられる。 【0011】 本発明のインク組成物によれば、ノズルの目詰まりを防ぎ、安定した印字品質を保持することができる。すなわち、本発明によるインク組成物は、優れたヘッド吐出安定性と目詰まり安定性を有するものである。 【0012】 また、本発明によるインク組成物は、記録媒体に対する優れた浸透性を示す。インク組成物の浸透性を向上させるためには、一般的に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)のような浸透促進剤を添加することが知られている。本発明のインク組成物によれば、TEGmBEのような浸透促進剤を使用する場合に比べてより少量の1,2-アルカンジオール使用量で、同等レベルのメディアへの浸透性を実現することができる。このため、本発明にあっては、インク組成物に加えられる浸透剤の量を相対的に減少させることができる。 これは、インク組成物中の顔料の分散状態の安定性を向上させる上で有利であり、インク組成物の保存安定性および信頼性を向上させることができる。また、インク組成物において、着色剤以外の成分の添加許容量を増加させることができるため、インク組成物の設計または改良の観点からは有利である。さらに、本発明にあっては、TEGmBE等の慣用の浸透促進剤に比べて、インク組成物の粘度上昇をより低く抑えることができ、このため保湿剤の添加量を増加させることも可能となる。 【0013】 1,2-アルカンジオール 本発明において1,2-アルカンジオールは、その炭素数が4?10の1,2-アルカンジオールの利用が好ましい。1,2-アルカンジオールは、二種以上を混合して添加してもよい。 本発明の好ましい態様において、1,2-アルカンジオールは、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、およびそれらの混合物からなる群より選択される。これらは、記録媒体への浸透性に優れている点でより好ましい。 本発明のより好ましい態様において、前記1,2-アルカンジオールは、1,2-ヘキサンジオール、または1,2-ペンタンジオールであるのが好ましく、さらに好ましくは、1,2-ヘキサンジオールである。 【0014】 本発明によるインク組成物は、前記1,2-アルカンジオールを、インク組成物全量に対して0.5?10重量%の範囲で含んでなるものであり、好ましくは、1?5重量%の範囲で含んでなるものである。0.5重量%以上であれば充分な浸透性を得ることができ、また、10重量%以下であれば他の添加剤と合わせて印字可能なインク粘度に調整しやすくなるので、有利である。 【0015】 本発明のより好ましい態様によれば、1,2-アルカンジオールが1,2-ブタンジオールである場合には、本発明によるインク組成物は1,2-ブタンジオールを3?10重量%含んでなることが好ましく、より好ましくは5?10重量%含んでなる。また、1,2-アルカンジオールが1,2-ペンタンジオールである場合には、本発明によるインク組成物は1,2-ペンタンジオールを3?10重量%含んでなることが好ましく、より好ましくは3?7重量%含んでなる。 1,2-アルカンジオールが1,2-ヘキサンジオールである場合には、本発明によるインク組成物は1,2-ヘキサンジオールを1?6重量%含んでなることが好ましく、より好ましくは3?5重量%含んでなる。さらに、1,2-アルカンジオールが1,2-ヘプタンジオールである場合には、該1,2-ヘプタンジオールを0.5?3重量%含んでなることが好ましく、より好ましくは1?2重量%含んでなる。 【0016】 顔料 本発明によるインク組成物は着色剤として顔料を用いる。本発明において、顔料としては、分散剤によりインク組成物中に分散させることができるものである限りいずれの顔料も選択可能である。したがって、このような顔料としては、記録媒体上に記録した場合にいずれの色を発色するのものであってもよく、また、無機顔料、または有機顔料のいずれであってもよい。またこれらの混合物であってもよい。 【0017】 無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。 【0018】 本発明において使用可能な顔料としては、具体的には、例えば、カラー系のものとして、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、14C、16、17、24、34、35、37、42、53、55、65、73、74、75、81、83、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、150、151、153、154、180等が挙げられる。 【0019】 また、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、48(Ca)、48(Mn)、48:2、48:3、48:4、49、49:1、50、51、52、52:2、53:1、53、55、57(Ca)、57:1、60、60:1、63:1、63:2、64、64:1、81、83、87、88、89、90、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、163、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219等も挙げられる。 【0020】 さらに、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー 4、60、63、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38等も挙げられる。その他顔料表面を樹脂等で処理したグラフトカーボン等の加工顔料等も使用できる。 【0021】 黒色系のものとしては、例えばカーボンブラックが挙げられる。かかるカーボンブラックの具体例としては、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、ColorBlack FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、ColorBlack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black4A、Special Black 4等が挙げられる。 【0022】 上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。 【0023】 本発明において使用される顔料の粒径は、0.2μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05?0.15μmである。 【0024】 本発明のインク組成物における顔料の含有量は、インク組成物全量に対して、0.5?15重量%が好ましく、より好ましくは0.75?10重量%である。 【0025】 分散剤 本発明において、顔料は、顔料を分散させる分散剤によりインク組成物中に分散されるものである。 本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。 【0026】 本発明における分散剤としては、慣用の界面活性剤の他、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を好適に使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる分散剤がインク組成物の分散剤および界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明らかであろう。 より好ましい分散剤としては、高分子分散剤、特に樹脂分散剤を使用することができる。 【0027】 高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられる。その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類、サボニンなどのグルコシド類、アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。 【0028】 また高分子分散剤の好ましい例としては合成高分子も挙げられる。その具体例としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、アクリル酸塩-アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのスチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、および酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。 【0029】 これらの中でも、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、およびスチレン-無水マレイン酸共重合体が該分散剤として好ましい。 【0030】 ノニオン系界面活性剤 本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、ノニオン系界面活性剤をさらに含んでなる。 このようなノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、および、後述するアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。 【0031】 本発明の好ましい態様によれば、インク組成物はノニオン系界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤をさらに含んでなることが好ましい。 本発明において、アセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具体例としては、下記の式(a)で表される化合物が挙げられる。 【0032】 【化1】 [上記式中、0≦m+n≦50、R^(1*)、R^(2*)、R^(3*)、およびR^(4*)は独立してアルキル基(好ましくは炭素数1?6のアルキル基)を表す] 【0033】 上記の式(a)で表される化合物の中で特に好ましくは2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3オールなどが挙げられる。上記の式(a)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはサーフィノール82、104、440、465、485、またはTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(商品名)(以上、日信化学社製)が挙げられる。これらのアセチレングリコール系界面活性剤は、2種以上を混合して使用してもよい。 【0034】 ノニオン系界面活性剤の添加量はインク組成物に対して0.1?5重量%程度の範囲であるのが好ましく、より好ましくは0.5?2重量%程度の範囲である。 【0035】 水およびその他の成分 本発明によるインク組成物において、主溶媒は水である。ここで、水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、もしくは超純水が好ましく使用することができる。また、紫外線照射、過酸化水素の添加により殺菌した水を用いることで、長期保存に際しカビ、バクテリアなどの発生を防止できるので好ましい。 【0036】 本発明に用いられるインク組成物は、インクの保湿性を調整したり、または浸透性を付与したりする目的で、水以外に溶媒として水溶性有機溶媒をさらに含んでいてもよい。 本発明においては、前記したインクの保湿性を調整する水溶性有機溶媒は、保湿剤もしくは乾燥促進剤として本発明によるインク組成物に添加されるものである。また、インクに浸透性を付与する水溶性有機溶媒は、浸透促進剤として本発明によるインク組成物に添加されるものである。 【0037】 インクの保湿性を調整する水溶性有機溶媒としては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、iso-プタノール、n-ペンタノール等の一価アルコール類、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。 【0038】 本発明においては、このようなインクの保湿性を調整する水溶性有機溶媒は、保湿剤として本発明によるインク組成物に添加されるが、本発明において保湿剤は主として、インクの乾燥を抑制してインクジェット記録装置の吐出ノズルでのインク固化を防止するために用いられる。なお、本発明において使用可能な保湿剤としては、前記した水溶性有機溶媒の他に、例えば、ε-カプロラクタム等のラクタム類、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の固体グリセリン類、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類も使用可能である。 【0039】 インクに浸透性を付与する水溶性有機溶媒、すなわち浸透促進剤としては、好ましくはグリコールモノエーテルが挙げられる。 本発明において、グリコールモノエーテルとは、モノおよびポリエチレングリコール、モノおよびポリプロピレングリコール等のグリコール類のモノエーテル化合物より選択されるものであり、下記式(i)で表される化合物より選択されるものであることが好ましい。 R-O-[C_(x)H_(2x)-O]_(y)-H (i) [前記式中、 Rは炭素数1?6のアルキル基、フェニル基、またはベンジル基、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基であり、 xは1?3、好ましくは2または3であり、 yは1?8、好ましくは1?5、より好ましくは1?3である]。 【0040】 本発明における浸透促進剤としては、具体的には例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテルが挙げられる。 【0041】 このうち、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、またはジプロピレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。これらは、1,2-アルカンジオールとの相溶性が高いことが知られている。 【0042】 このように、1,2-アルカンジオールとグリコールモノエーテルとを組み合わせて使用することにより、1,2-アルカンジオール単体を用いる場合に比べて、より少ない添加量で同等の浸透性をインク組成物に付与することができる。 また、インクジェット印刷装置の吐出ノズルに対するインクの濡れを低減させることもできる。さらに、1,2-アルカンジオールの添加によって生じる吐出ノズルへのインク付着は、グリコールモノエーテルを1,2-アルカンジオールとともに使用することによって、さらに効果的に防止できる。そのため上述の添加量低減の効果と相まって、インクジェット記録装置の吐出ノズルへのインク付着を防止して、印字安定性の高いインク組成物を提供できる。 【0043】 本発明において、インク組成物がグリコールモノエーテルをさらに含んでなる場合には、グリコールモノエーテルは、インク組成物に対して、0.25?10重量%の範囲の量添加することが好ましい。上記範囲内であると、1,2-アルカンジオールと併用して十分な浸透性を得ることができ、また、他の添加剤と合わせて印字可能なインク粘度に調整することができる。 またグリコールモノエーテルと1,2-アルカンジオールとの比率(重量比)は、1:5?5:1の範囲であることが好ましく、1:2?2:1の範囲であることがより好ましい。このような範囲内であると、1,2-アルカンジオールの添加量を低減させる観点から有利である。 【0044】 なお以上において、水溶性有機溶媒を、保湿性を調整する有機溶媒と、浸透性を付与する有機溶媒という観点から説明したが、保湿性を調整するとして挙げた有機溶媒が同時にインクに浸透性を付与する場合もあり、また浸透性を付与するとして挙げた有機溶媒が同時に保湿剤として作用する場合もある。 【0045】 本発明によるインク組成物は、浸透促進および吐出信頼性と良好な画像を得ることを目的として、さらに界面活性剤を含有してもよい。このような界面活性剤としては、前記したノニオン系界面活性剤の他に、例えば、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらは単独種で使用してもよく、また二種以上を併用してもよい。 なお、本発明によるインク組成物の表面張力は、20?50mN/m範囲程度であり、好ましくは25?40mN/m範囲程度が好ましい。 【0046】 本発明によるインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、導電率調整剤、pH調整剤、溶解助剤、粘度調整剤、酸素吸収剤などの他の任意成分をさらに含んでなることができる。 【0047】 防腐剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ジベンゾチアゾリン-3-オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL-2、プロキセルTN)などが挙げられる。 【0048】 また、pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN-メチル-2-ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L-アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。 本発明においてはまた、前記した他の任意の成分は、単独または各群内および各群間において複数種選択して混合して用いてもよい。 【0049】 本発明においては、インク組成物のすべての成分の量は、インク組成物の粘度が20℃で10mPa・s以下であるように選択されることが好ましい。 【0050】 本発明によるインク組成物は、前記成分を慣用の適当な方法で分散し、混合することによって製造することができる。好ましくは有機溶剤および揮発性の成分を除いた混合物を適当な分散機(例えは、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、ジェットミル、オングミル、超音波ホモジナイザー等)で混合し、均質な組成物としてから有機溶剤および揮発性の成分を添加するのが好ましい。その後、粗大粒子および異物を除去する為に、金属フィルター、メンブレンフィルター等を用いた減圧および加圧濾過や遠心分離を行うのが好ましい。 【0051】 記録方法 本発明によれば、前記インク組成物を記録媒体に付着させて印字を行う記録方法が提供される。ここで、インク組成物を用いる前記記録方法としては、例えば、インクジェット記録方法、スクリーン印刷、ペン等による筆記具による記録方法、その他各種の印刷方法が挙げられる。 【0052】 本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法が提供される。 本発明において、インクジェット記録方法は、インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方式であればいかなる方法も使用することができる。このような方法としては、例えば、電歪素子の応答による機構のインクジェットヘッドを用いた方法、すなわちインク液に電歪素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、機械的変形によりインク滴を噴射し形成させる方法、熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方法、静電吸引方式の方法、および、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方法等が挙げられる。 本発明のより好ましい態様によれば、本発明によるインクジェット記録方法は、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた方法であるのが好ましい。 【0053】 さらに本発明によれば、前記の記録方法により記録された記録物も提供される。 【0054】 【実施例】 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。 【0055】 試験A 下記のようにしてインク組成物A1?A8を調製した。 インク組成物A1 イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を100g、水溶性樹脂分散剤のジョンクリルJ-62(ジョンソンポリマー社製)を150g、水酸化カリウムを6g、および水を250g混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにより10時間分散処理を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、水により顔料濃度10重量%になるまで濾液を希釈して、イエロー顔料分散液A1を調製した。 得られたイエロー顔料分散液A1を30g、グリセリンを15g、1,2-ペンタンジオールを10g、およびオルフィンE1010を1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)によりこの混合液を濾過して、インク組成物A1を調製した。 【0056】 インク組成物A2 シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を100g、水溶性樹脂分散剤のジョンクリルJ-62(ジョンソンポリマー社製)を100g、水酸化カリウムを4.5g、および水を250g混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散処理を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、水で顔料濃度10重量%になるまで濾液を希釈して、シアン顔料分散液A2を調製した。 得られたシアン顔料分散液A2を30g、グリセリンを10g、ジエチレングリコールを5g、1,2-ヘキサンジオールを1g、およびオルフィンSTGを1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)により濾過して、インク組成物A2を調製した。 【0057】 インク組成物A3 シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を100g、水溶性樹脂分散剤のジョンクリルJ-62(ジョンソンポリマー社製)を100g、水酸化カリウムを4.5g、および水を250g混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散処理を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、水で顔料濃度10重量%になるまで濾液を希釈して、シアン顔料分散液A3を調製した。 得られたシアン顔料分散液A3を30g、グリセリンを10g、ジエチレングリコールを5g、1,2-ヘキサンジオールを6g、およびオルフィンE1010を1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)により濾過して、インク組成物A3を調製した。 【0058】 インク組成物A4 顔料としてC.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントイエロー128を使用した以外は、インク組成物A1の場合と同様にして、イエロー顔料分散液A4を調製した。 得られたイエロー顔料分散液A4を30g、グリセリンを15g、1,2-ヘキサンジオールを3g、およびオルフィンE1010を1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)によりこの混合液を濾過して、インク組成物A4を調製した。 【0059】 インク組成物A5 顔料としてC.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外は、インク組成物A1の場合と同様にして、マゼンタ顔料分散液A5を調製した。 得られたマゼンタ顔料分散液A5を30g、グリセリンを15g、1,2-ヘプタンジオールを0.5g、およびオルフィンE1010を1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)により濾過して、インク組成物A5を調製した。 【0060】 インク組成物A6 インク組成物A4の場合と同様にして、イエロー顔料分散液A6を調製した。 得られたイエロー顔料分散液A6を30g、グリセリンを15g、1,2-ヘキサンジオールを3g、オルフィンE1010を0.5g、およびオルフィンSTGを0.8g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)によりこの混合液を濾過して、インク組成物A6を調製した。 【0061】 インク組成物A7(比較例) インク組成物A1の場合と同様にして、イエロー顔料分散液A7を調製した。 得られたイエロー顔料分散液A7を30g、グリセリンを15g、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを5g、およびオルフィンE1010を1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)によりこの混合液を濾過して、インク組成物A7を調製した。 【0062】 インク組成物A8(比較例) インク組成物A4の場合と同様にして、イエロー顔料分散液A8を調製した。 得られたイエロー顔料分散液A8を30g、グリセリンを15g、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを5g、およびオルフィンE1010を1g混合して、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)によりこの混合液を濾過して、インク組成物A8を調製した。 【0063】 評価試験A評価試験A1:吐出安定性 前記したインク組成物A1?A8について、圧電素子式オンデマンド型のインクジェットプリンターMJ-930C(セイコーエプソン株式会社製)用いて、グラフィックテキストの混在するパターンをそれぞれ連続印刷した。このとき印刷曲がりが初めて発生するまでの印刷枚数を数えた。得られた結果は下記の評価基準に基づいて評価した。 なお、試験に用いた印刷紙は、普通紙ゼロックス-P(富士ゼロックス株式会社製)であった。 評価AA:平均連続印刷枚数が、300枚以上 評価A :平均連続印刷枚数が、100枚以上300枚未満 評価B :平均連続印刷枚数が、50枚以上100枚未満 評価C :平均連続印刷枚数が、50枚未満 【0064】 評価試験A2:目詰まり回復性 インク組成物A1?A8を、前記プリンターMJ-930Cのヘッドに充填し、全てのノズルからインクが吐出していることを確認後、キャップをしない状態で、25℃の環境に1年間放置した。放置後、全ノズルの吐出が可能となるまでに要するクリーニング操作を行った。その回数を下記の基準に基づき評価した。 評価A:クリーニング2回以内 評価B:クリーニング3?4回 評価C:クリーニング5回以上 【0065】 結果は、表1に示されるとおりであった。 【0066】 【表1】 【0067】 試験B 下記のようにしてインク組成物B1?B4を調製した。 インク組成物B1 イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を100g、水溶性樹脂分散剤のジョンクリルJ-62(ジョンソンポリマー社製)を150g、水酸化カリウムを6g、および水を250g混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散処理を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、水で顔料濃度10重量%になるまで濾液を希釈して、イエロー顔料分散液B1を調製した。 得られたイエロー顔料分散液B1を30g、グリセリンを15g、エチレングリコールモノブチルエーテルを1.5g、および1,2-ペンタンジオールを4g混合し、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して、インク組成物B1を調製した。 【0068】 インク組成物B2 シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15を100g、水溶性樹脂分散剤のジョンクリルJ-62(ジョンソンポリマー社製)を100g、水酸化カリウムを4.5g、および水を250g混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散処理を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、水で顔料濃度10重量%になるまで濾液を希釈して、シアン顔料分散液B2を調製した。 得られたシアン顔料分散液B2を30g、グリセリンを10g、ジエチレングリコールを5g、トリエチレングリコールモノエチルエーテルを2g、および1,2-ヘキサンジオールを3g混合し、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)により濾過して、インク組成物B2を調製した。 【0069】 インク組成物B3 ブラック顔料としてカーボンブラックのカラーブラックS170(デグザ社製)を100g、水溶性樹脂分散剤のジョンクリルJ-62(ジョンソンポリマー社製)を150g、水酸化カリウムを6g、および水を250g混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散処理を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、水で顔料濃度10重量%になるまで濾液を希釈して、ブラック顔料分散液B3を調製した。 得られたブラック顔料分散液B3を50g、グリセリンを8g、トリエチレングリコールを6g、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを2g、および1,2-ヘキサンジオールを2g混合し、さらに超純水を加えて全量を100gとした。さらにpH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてこの混合液をpH9.5に調整し、2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して、インク組成物B3を調製した。 【0070】 インク組成物B4 ジエチレングリコールモノブチルエーテル2gと1,2-ヘキサンジオール2gを添加する代わりに、1,2-ヘキサンジオールを7g添加したこと以外は、インク組成物B3と同様にして、インク組成物B4を調製した。 【0071】 評価試験B インク組成物B1?B4について、圧電素子式オンデマンド型インクジェット記録装置のMJ-930C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、中性普通紙のゼロックス-P(富士ゼロックス株式会社製)に印刷を行った。 得られた印刷物について、印刷品質、および印字の抜けやインク滴の飛行曲がりの状態を観察した。 【0072】 いずれのインク組成物についても、記録紙上の印刷品質は良好であった。 インク組成物B1?B3については、連続して300頁の印刷を行っても、印字の抜けやインク滴の飛行曲がりなどの乱れは発生しなかった。 これに対してインク組成物B4については、印刷品質はインク組成物B1?B3と同等であったが、連続して印刷を行うと、100頁程度の印刷では問題なかったが、印刷頁数が増加するにしたがって、徐々にインク滴の飛行曲がりが発生しはじめ、安定して300頁の印刷を行うことはできなかった。なお、インク滴の飛行曲がりが発生したインクジェット記録装置の吐出ノズルを顕微鏡観察すると、ノズル付近にインクの付着があり、このためにインク滴の飛行曲がりが発生したものと推定された。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2014-03-11 |
出願番号 | 特願2001-112696(P2001-112696) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(C09D)
P 1 41・ 852- Y (C09D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原 健司、菅原 洋平、木村 敏康 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
星野 紹英 菅野 芳男 |
登録日 | 2011-06-17 |
登録番号 | 特許第4764562号(P4764562) |
発明の名称 | インク組成物 |
代理人 | 宮坂 一彦 |
代理人 | 宮坂 一彦 |
代理人 | 上柳 雅誉 |
代理人 | 上柳 雅誉 |
代理人 | 渡辺 和昭 |
代理人 | 渡辺 和昭 |