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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02B |
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管理番号 | 1288312 |
審判番号 | 不服2012-19852 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-10 |
確定日 | 2014-06-04 |
事件の表示 | 特願2007-232302「デバイス、車両用のターボチャージャ、ハイブリッド、及びハイブリッド車両を運転する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 3月27日出願公開、特開2008- 69777〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
本願は、平成19年9月7日の出願であって、明細書及び図面の記載は出願当初のとおり、特許請求の範囲の記載は平成24年4月9日提出の手続補正書によって補正されたとおりである。 これに対して、平成25年6月28日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。 そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 -------------------------------------------------------------------- (参考)平成25年6月28日付けの拒絶理由通知の内容 審判請求の番号 不服2012- 19852 (特許出願の番号) (特願2007-232302) 起案日 平成25年 6月28日 審判長 特許庁審判官 中村 達之 請求人 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 様 代理人弁理士 荒川 聡志(外3名) 様 この審判事件に関する出願は、合議の結果、以下の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から3ヶ月以内に意見書を提出してください。 理 由 1.<理由1> 本願は、明細書及び特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1に係る発明は、「前記タービン(198)に結合されかつ前記排気ガスによって流入空気を同伴して高速空気流により機械的仕事を生成するように構成されたデバイス(192)」を含むターボチャージャ(196)であるが、発明の詳細な説明の特に段落【0025】ないし【0027】並びに図9及び図10をみても、デバイス(192)がタービン(198)に結合する具体的態様が不明である。 (2)請求項1に係る発明は、「前記デバイス(192)が、コアンダプロファイル(54)を有する該デバイス(192)の少なくとも1つの表面を含」むターボチャージャ(196)であるが、発明の詳細な説明の特に段落【0025】ないし【0027】並びに図9及び図10をみても、デバイス(192)が、「表面」を含む具体的態様が不明である。 (3)上記(1)及び(2)で指摘した点が不明であるため、請求項1に記載されるような「前記コアンダプロファイル(54)が、該プロファイルに対する前記排気ガスの付着を可能にして、境界層(176)を形成しかつ前記流入空気を同伴して前記高速空気流を生成する」ための具体的態様が不明である。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 (4)壁面からの境界層の剥離を抑制する壁面形状として、クロソイド曲線、トロコイド曲線、対数曲線等のなめらかな曲面とすることは技術常識(例えば、特開平6-178419号公報の特に段落【0016】参照。)と認められるところ、請求項1に係る発明の「前記コアンダプロファイルが、対数プロファイルを含」むことによって解決する課題が不明である。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に基づく委任省令の要件を満たしているとはいえない。 2.<理由2> 本願は、明細書及び特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 上記1.<理由1>で指摘したように、デバイス(192)が「前記タービン(198)に結合され」る具体的態様が不明であり、当該記載の意味内容が技術的に理解できない結果、発明が不明確となっている。 3.<理由3> 本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) 引用文献等一覧 1)米国特許第5533487号明細書 (以下、「引用文献」という。) (1)引用文献 ア.本件出願前に頒布された引用文献には、例えば、第2欄第27ないし51行及び第2欄第62行ないし第3欄第36行並びに第1図及び第4図の記載からみて、以下の発明(以下、「引用文献記載の発明」という。)が記載されているといえる。 <引用文献記載の発明> 「ターボチャージャ13であって、 吸入空気流を加圧するように構成されたコンプレッサ部19と、 内燃エンジン11からの排気ガスを膨張させてシャフトを回転させるように構成した排気タービン部15と、 排気路12にチューブ16によって結合されかつ前記排気ガスによって吸気路24から流入する空気を同伴して高速空気流により吸気の押し込み仕事を生成するように構成されたEGR排出構造30と、を含み、 前記EGR排出構造30が、コアンダプロファイルを有する該EGR排出構造30の少なくとも1つのステップエリア31を含み、 前記コアンダプロファイルが、該プロファイルに対する前記排気ガスの付着を可能にして、境界層を形成しかつ前記吸気路24から流入する空気を同伴して前記高速空気流を生成するように構成されたターボチャージャ13。」 (2)対比 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用文献記載の発明とを対比すると、引用文献記載の発明における「ターボチャージャ13」は、その機能、構造及び技術的意味からみて、本願発明における「ターボチャージャ」に相当し、以下同様に、「コンプレッサ部19」は「圧縮機」に、「排気タービン部15」は「タービン」に、「吸気路24から流入する空気」は「流入空気」に、「吸気の押し込み仕事」は「機械的仕事」に、「EGR排出構造30」は「デバイス」に、「ステップエリア31」は「表面」に、それぞれ相当する。 したがって、本願発明と引用文献記載の発明とは、 「ターボチャージャであって、 吸入空気流を加圧するように構成された圧縮機と、 内燃エンジン11からの排気ガスを膨張させてシャフトを回転させるように構成したタービンと、 前記排気ガスによって流入空気を同伴して高速空気流により機械的仕事を生成するように構成されたデバイスと、を含み、 前記デバイスが、コアンダプロファイルを有する該デバイスの少なくとも1つの表面を含み、 前記コアンダプロファイルが、該プロファイルに対する前記排気ガスの付着を可能にして、境界層を形成しかつ前記流入空気を同伴して前記高速空気流を生成するように構成されたターボチャージャ13。」 である点で一致し、以下の点において相違する。 <相違点> (ア)本願発明においては、「車両(190)用の」ターボチャージャであるのに対し、引用文献記載の発明においては、車両用か否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。 (イ)本願発明においては、「デバイス(192)」は「前記タービン(198)に結合され」ているのに対し、引用文献記載の発明においては、EGR排出構造30は「排気路12にチューブ16によって結合され」ている点(以下、「相違点2」という。)。 (ウ)本願発明においては、「前記コアンダプロファイルが、対数プロファイルを含」むのに対し、引用文献記載の発明においては、コアンダプロファイルが対数プロファイルを含むか否か不明である点(以下、「相違点3」という。)。 (エ)本願発明においては、「前記デバイス(192)によって同伴された前記空気の質量と前記排気ガス流の質量との比が、5?22である」のに対し、引用文献記載の発明においては、比が不明である点(以下、「相違点4」という。)。 (3)判断 上記相違点について検討する。 (ア)相違点1について ターボチャージャを備えた内燃エンジンを車両において用いることは、例を挙げるまでもなく周知・慣用であるから、引用文献記載の発明のターボチャージャを車両用とすることに、何ら困難性はない。 (イ)相違点2について 上記1.<理由1>及び2.<理由2>で指摘したように、本相違点2に係る本願発明の発明特定事項は不明確であり、厳密な検討は不可能であるが、引用文献記載の発明において、EGR排出構造30(本願発明の「デバイス」に相当。)はチューブ16及び排気路12を介してターボチャージャ13に結合されていることから、両者に実質的な差異はないといえる。 (ウ)相違点3について 一般に、面近傍に流体の流れがあるとき、境界層の剥離を抑制するために面の形状を滑らかな流線形状とすることは周知の技術であり(以下、「周知技術1」という。例えば、特開平6-178419号公報の段落【0015】及び【0016】並びに図1、特開昭49-83199号公報の第4ページ右下欄第2ないし10行及び第5ページ左下欄下から第2行ないし右下欄第6行並びに第4図及び第5図参照。)、また、境界層の剥離を抑制する具体的な面形状として、対数曲線プロファイルは周知の形状(以下、「周知形状」という。例えば、特開平6-178419号公報の段落【0015】及び【0016】並びに図1参照。)。 ここで、コアンダ効果とは、曲面から流れが剥離しないことによる効果であるから、引用文献記載の発明において、コアンダプロファイルの具体的面形状として、上記周知技術1を考慮しつつ、上記周知形状を採用し、相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 (エ)相違点4について コアンダ効果を利用して、15:1程度の増幅率を達成できるコアンダ増幅装置は周知の技術である(以下、「周知技術2」という。例えば、実願昭56-032641号(実開昭56-151671号)のマイクロフィルムの第17ページ下から3行ないし第18ページ第1行参照。)。 したがって、引用文献記載の発明において、上記周知事項を考慮して、EGR排出構造30に上記周知技術2を適用し、相違点4に係る本願発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、本願発明の全体構成でみても、引用文献記載の発明、周知技術1及び2並びに周知形状から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものでもない。 よって、本願発明は、引用文献記載の発明、周知技術1及び2並びに周知形状に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 -------------------------------------------------------------------- |
審理終結日 | 2013-12-24 |
結審通知日 | 2014-01-08 |
審決日 | 2014-01-21 |
出願番号 | 特願2007-232302(P2007-232302) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZF
(F02B)
P 1 8・ 121- WZF (F02B) P 1 8・ 537- WZF (F02B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲葉 大紀 |
特許庁審判長 |
中村 達之 |
特許庁審判官 |
柳田 利夫 久島 弘太郎 |
発明の名称 | デバイス、車両用のターボチャージャ、ハイブリッド、及びハイブリッド車両を運転する方法 |
代理人 | 荒川 聡志 |
代理人 | 小倉 博 |
代理人 | 黒川 俊久 |
代理人 | 田中 拓人 |