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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1289211
審判番号 不服2012-24804  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-14 
確定日 2014-06-26 
事件の表示 特願2010- 59002「歪み計測装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月29日出願公開、特開2011-191240〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年3月16日の出願であって、明細書及び特許請求の範囲ついて平成24年5月25日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、同年9月25日付け(送達:同年10月2日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月14日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に、明細書及び特許請求の範囲について補正がなされた(以下、「本件補正」という。)ものである。
その後、当審より、平成25年9月2日付けで審尋をしたところ、請求人より、平成25年10月18日付けで回答書の提出があった。

2.補正却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を次のように補正するものである。
(補正前)
「【請求項1】
外縁が円形状をなす計測対象面の歪みを計測する歪み計測装置であって、
4本以上の複数本からなり等間隔に設置される、長尺の支持用アームと、
各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部と、
前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部と、
前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アームと、
前記計測用アームに設けられ、前記計測対象面の歪みを計測する計測部と、
前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部と、を備える歪み計測装置。
【請求項2】
前記連結部が、ベアリングを含む請求項1記載の歪み計測装置。」
(補正後)
「【請求項1】
外縁が円形状をなす計測対象面の歪みを計測する歪み計測装置であって、
基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本配置され、計測装置に設けられる支持用アームと、
各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部と、
前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部と、
前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アームと、
前記計測用アームに設けられ、前記計測対象面の歪みを計測する計測部と、
前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部と、を備える歪み計測装置。
【請求項2】
外縁が円形状をなす計測対象面の歪みを計測する歪み計測装置であって、 基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本配置され、計測装置に設けられる断面形状が略正方形の金属製長尺の支持用アームと、
各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部と、
前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部と、
前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アームと、
前記計測用アームに設けられ、前記計測対象面の歪みを計測する計測部と、
前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部と、を備える歪み計測装置。
【請求項3】
前記連結部が、ベアリングを含む請求項1又は請求項2記載の歪み計測装置。」(下線は、補正箇所。)

(2)本件補正の目的について
ア この補正は、補正1によって補正された特許請求の範囲においては2であった請求項の数を3に増加させるものであるから、特許請求の範囲の減縮(特許法第17条の2第5項第2号)に該当しない。

イ また、この補正は、請求項の削除(特許法第17条の2第5項第1号)、誤記の訂正(特許法第17条の2第5項第3号)、及び明瞭でない記載の釈明(特許法第17条の2第5項第4号)のいずれを目的とするものであるともいえない。

ウ 上記回答書で、請求人は「特許法17条の2第5項第1号とならんで、第2号には、特許請求の範囲の減縮も規定されて」いると主張する。
しかし、特許法第17条の2第5項第2号の規定は、その括弧書きに「第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。」とあるとおり、補正前の請求項と補正後の請求項とが実質上一対一の対応関係に立つものを定めたものであり、請求項の発明特定事項を限定して、これを減縮補正することによって、当該請求項がそのまま補正後の請求項として維持されるという態様による補正を定めたものである。よって、一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割し、新たな請求項を追加する態様による本件補正は、たとえそれが全体として一つの請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるとしても、同2号の定める、「特許請求の範囲の減縮」には該当しない(必要ならば平成17年(行ケ)第10192号審決取消請求事件判決参照)。

エ まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(3)予備的検討
念のため、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについても、以下、予備的に検討しておく。

ア 本願補正発明
本願補正発明は以下のとおりである。
「【請求項1】
外縁が円形状をなす計測対象面の歪みを計測する歪み計測装置であって、
基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本配置され、計測装置に設けられる支持用アームと、
各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部と、
前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部と、
前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アームと、
前記計測用アームに設けられ、前記計測対象面の歪みを計測する計測部と、
前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部と、を備える歪み計測装置。」

イ 引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された特開昭64-28513号公報(発明の名称:歪測定方法 出願人:日鉱エンジニアリング 公開日:昭和64年1月31日 以下、「引用例」という。)には、次の事項(a)ないし(d)が図面とともに記載されている。
(a)「(1)歪測定器のシエルフランジ部への設置:
上述したように、固定枠4が取付け金具22を介してシエルフランジ部2の外周部に固定される。固定枠4は通常シエルフランジ部に設けられている基準ポンチ穴又はケガキ線(図示せず)を利用して、概略シエルフランジの中心を通るように設置される。
次いで、回転枠6を固定枠4の概略中心位置に配置した状態にて、ダイヤルゲージの測定子48aを、第3図一点鎖線にて図示するようにシエルフランジ面の半径方向内側面に当接せしめ、該回転枠を回転することによりその偏倚量を読出し、該回転枠が概略シエルフランジの中心位置に位置するべく、該回転枠を固定枠の長手方向に沿った、つまりX軸方向に微摺動せしめて調整し、該位置に中心ブロツク32が止めネジ34にて案内ロツド8,10に固定される。」(公報5頁右上欄12行?左下欄8行)
(b)「更に説明すると、固定枠4は、シエルフランジ部2を横断して延在する2本の案内ロツド8,10を有し、該案内ロツド8,10の両端は、支持ブロツク12,14に固定ネジ13,15にてそれぞれ固定される。支持ブロツクには支持板16,18が溶接等により一体的に取付けられ、該支持板16,18が、シエルブロツクの外周部にボルト20にて固定された取付け金具22に取付けられる。」(公報4頁左上欄15行?右上欄3行)
(c)「又、回転枠6を固定枠4の概略中心位置に配置し、ダイヤルゲージ48の測定子48aを、第3図実線にて図示するようにシエルフランジの上面、つまりガスケツト面2aに当接せしめ、該回転枠4を回転することによりその偏倚量を読出し、固定枠4が概略シエルフランジ面2aと平行に位置するべく、調整ネジ28,30を調整することにより該固定枠4のシエルフランジ面2aに対する傾き、つまりZ軸方向の調整がなされる。」(公報5頁左下欄16行?右下欄4行)
(d)「更に、中心ブロツク32には回転軸36が例えば圧入等により固設され、該中心ブロツク32から突出した部分に軸受38を介して回転枠6が取付けられる。回転枠6は、前記回転軸36に直接取付けられた回転ブロツク40と、該回転ブロツク40を貫通して取付けられ、止めネジ41にて固定された2本の可動ロツド42,44とを有する。該2本の可動ロツドの回転ブロツクから突出した一方の先端に設けられた適当な取付け具46を介して測定手段48が設けられる。」(公報4頁左下欄13行?右下欄2行)

第1図から、測定子48aにより測定されるシェルフランジの上面の外縁は円形状であると認められるから、上記記載(a)、(c)及び第1図より、
(ア)「外縁が円形状をなす測定対象面であるシェルフランジ部の上面の歪みを測定する歪み測定装置」との技術事項が読み取れる。
上記記載(a)によれば、中心ブロック32は案内ロッド8,10の中心に固定されており、これにより、案内ロッド8,10は中心ブロック32を中心に左右対称に2本、即ち、中心ブロック32を中心として周回り方向に等間隔に放射状に2本設置されることになる。
また、上記記載(b)によれば、固定枠4が、2本の案内ロッド8,10を有しており、上記記載(c)によれば、固定枠4はシェルフランジ面2aと平行に位置するべく調整されるから、案内ロッド8,10は測定対称面に平行な平面内に位置しており、よって、上記記載(a)ないし(c)より、
(イ)「中心ブロック32を中心として周回り方向に、それぞれが測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行に延びて等間隔に2本設置され、測定装置に設けられる案内ロッド8,10」
(ウ)「各案内ロッド8,10を保持して測定対象面であるシェルフランジ部の上面に平行な平面内に放射状に設置させる中心ブロック32」
との技術事項が読み取れる。
上記記載(b)によれば、案内ロッド8,10の端部は、支持ブロック12,14、固定ネジ13,15、支持板16,18、ボルト20及び取付け金具22により、シェルブロックの外周部に固定されており、外周部は縁部分に他ならないから、上記記載(b)より、
(エ)「案内ロッド8,10に設けられ、測定対象面であるシェルフランジ部の上面の縁部分に固定する支持ブロック12,14、固定ネジ13,15、支持板16,18、ボルト20及び取付け金具22」との技術事項が読み取れる。
上記記載(d)によれば、可動ロッド42,44は回転ブロック40を貫通し、止めネジ41により固定されているから、止めネジ41を緩めることにより回転ブロック40内で移動可能になるものと認められる。
また、第3図には可動アームを測定対象平面と平行に設けることが記載されており、上記記載(d)及び第3図から、
(オ)「測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行に延び、回転ブロック内で長さ方向に移動可能な可動ロッド」との技術事項が読み取れる。
上記記載(d)から、
(カ)「可動ロッドに設けられ、測定対象面であるシェルフランジ部の上面の歪みを測定する測定手段」との技術事項が読み取れる。
また、測定手段が測定対象面と平行な平面内で回転することは、測定対象面の歪みを測定する上で不可欠であるから、上記記載(d)から、
(キ)「測定手段が測定対象面であるシェルフランジの上面と平行な平面内で回転自在となるよう中心ブロックと可動ロッドとを連結する回転軸」との技術事項が読み取れる。
以上の技術事項(ア)ないし(キ)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「外縁が円形状をなす測定対象面であるシェルフランジ部の上面の歪みを測定する歪み測定装置であって、
中心ブロックを中心として周回り方向に、それぞれが測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行に延びて等間隔に2本設置され、測定装置に設けられる案内ロッドと、
各前記案内ロッドを保持して前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面に平行な平面内に放射状に設置させる中心ブロックと、
前記案内ロッドに設けられ、前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面の縁部分に固定する支持ブロック、固定ネジ、支持板、ボルト及び取付け金具と、
前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行に延び、回転ブロック内で長さ方向に移動可能な可動ロッドと、
前記可動ロッドに設けられ、前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面の歪みを測定する測定手段と、
前記測定手段が前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行な平面内で回転自在となるよう前記中心ブロックと前記可動ロッドとを連結する回転軸と、を備える歪み測定装置。」(以下、「引用発明」という。)

ウ 対比
本願補正発明と引用発明とを、主たる構成要件毎に順次対比する。
(ア)引用発明における「測定対象面であるシェルフランジ部の上面」、「測定」、「案内ロッド」、「中心ブロック」、「可動ロッド」、「測定手段」、及び「回転軸」は、本願補正発明の、「計測対象面」、「計測」、「支持用アーム」、「基部」、「計測用アーム」、「計測部」、及び「連結部」にそれぞれ相当する。
(イ)上記、相当関係を踏まえると、引用発明における「中心ブロックを中心として周回り方向に、それぞれが測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行に延びて等間隔に2本設置され、測定装置に設けられる案内ロッド」も、本願補正発明における「基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本配置され、計測装置に設けられる支持用アーム」も、共に、「基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて等間隔に複数本配置され、計測装置に設けられる支持用アーム」という点で共通する。
(ウ)引用発明の「案内ロッド」は「中心ブロック」を中心に左右にそれぞれ放射状に延びており、これは放射状に「延出」していると言えるから、上記相当関係を踏まえると、引用発明における「各前記案内ロッドを保持して前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面に平行な平面内に放射状に設置させる中心ブロック」は、本願補正発明における「各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部」に相当するといえる。
(エ)引用発明では「支持ブロック」、「固定ネジ」、「支持板」、「ボルト」及び「取付け金具」により測定対象面であるシェルフランジ部の上面の縁部分を保持しているから、上記相当関係を踏まえると、引用発明における「前記案内ロッドに設けられ、前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面の縁部分に固定する支持ブロック、固定ネジ、支持板、ボルト及び取付け金具」は、本願補正発明における「前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部」に相当するといえる。
(オ)引用発明の「可動ロッド」が回転ブロック内を移動すれば、回転ブロックから突出した部分の長さが伸縮することになるから、上記相当関係を踏まえると、引用発明における「前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行に延び、前記回転ブロック内で長さ方向に移動可能な可動ロッド」は、本願補正発明における「前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アーム」に相当するといえる。
(カ)可動ロッドが固定される回転ブロックと中心ブロックとは、回転軸により連結されるから、上記相当関係を踏まえると、引用発明における「前記測定手段が前記測定対象面であるシェルフランジ部の上面と平行な平面内で回転自在となるよう前記中心ブロックと前記可動ロッドとを連結する回転軸」は、本願補正発明における「前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部」に相当するといえる。

してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「外縁が円形状をなす計測対象面の歪みを計測する歪み計測装置であって、
基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて等間隔に複数本配置され、計測装置に設けられる支持用アームと、
各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部と、
前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部と、
前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アームと、
前記計測用アームに設けられ、前記計測対象面の歪みを計測する計測部と、
前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部と、を備える歪み計測装置」
(相違点)
本願補正発明では、支持用アームを、90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本としているのに対し、引用発明では、2本としている点。

エ 判断
上記相違点について検討する。
計測対象を保持して歪み計測装置を固定するアームを、90度間隔で並べて4本とすることは、この種の歪み計測装置において周知であり(例えば、特開2001-91234号公報(特に【0037】「図12に示す断面形状の2本の枠材92を基部側で進退移動可能に連結して1組の支持フレームとしたものを、図9?図10に示すように上下に2組交差させて成る十字状の支持フレーム91を有する。」との記載を参照)や、原査定の拒絶の理由に引用された特許第3677588号公報(特に【0005】「摺動金具2に4本の主リンク4を放射状にピン5により枢着し、」との記載を参照))、引用発明において、支持用アームを90度間隔で並べて4本とすることに格別の困難性はない。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

オ 請求人の主張
請求人は前記回答書において、「審判時の補正事項「基部を中心として周回り方向に、それぞれが計測対象面と平行に延びて90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本配置され、計測装置に設けられる支持用アーム」中、特開2001-091234には少なくとも60度部分については、記載が無いのであるから、同公報から新規性を欠くと判断するのは妥当ではない」と主張するが、本願補正発明は「…90度間隔で並べて4本、又は60度間隔で並べて6本配置され…」とあるように、支持用アームの本数については択一的であるから、4本を配置することが周知である以上、請求人の主張は採用することができない。

カ むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、やはり却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、補正1によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「【請求項1】
外縁が円形状をなす計測対象面の歪みを計測する歪み計測装置であって、
4本以上の複数本からなり等間隔に設置される、長尺の支持用アームと、
各前記支持用アームを保持して前記計測対象面に平行な平面内に放射状に延出させる基部と、
前記支持用アームに設けられ、前記計測対象面の縁部分を保持する保持部と、
前記計測対象面と平行に延び、長さ方向に伸縮自在の計測用アームと、
前記計測用アームに設けられ、前記計測対象面の歪みを計測する計測部と、
前記計測部が前記計測対象面と平行な平面内で回転自在となるよう前記基部と前記計測用アームとを連結する連結部と、を備える歪み計測装置。」(以下、「本願発明」という。)

(2)原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、請求項1及び2に係る発明は、いずれも出願前に国内又は外国において頒布された刊行物である特開昭64-28513号公報(「引用例」)に記載された発明(「引用発明」)及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、というものである。

(3)引用例記載の事項・引用発明
引用例に記載された発明・事項は、前記「2.(3)イ 引用例記載の事項・引用発明」に記載したとおりである。

(4)対比・判断
本願発明では、「4本以上の複数本からなり等間隔に設置される、長尺の支持用アーム」と特定されているように、支持用アームに関し、本願補正発明と本願発明とは、前者では「4本、又は6本」であるのに対して、後者では「4本以上の複数本」であり、しかも「長尺」である点で異なる。
しかし、本願発明に係る「4本以上の複数本」は、本願補正発明の「4本、又は6本」を包含するものであり、引用発明に係る支持用アームが「長尺」であることは、引用例の第1図ないし第3図より明らかである。
そうすると、本願補正発明が、前記「2.(3)エ 判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-23 
結審通知日 2014-04-30 
審決日 2014-05-13 
出願番号 特願2010-59002(P2010-59002)
審決分類 P 1 8・ 574- Z (G01B)
P 1 8・ 572- Z (G01B)
P 1 8・ 575- Z (G01B)
P 1 8・ 571- Z (G01B)
P 1 8・ 573- Z (G01B)
P 1 8・ 121- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中槙 利明森次 顕  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 関根 洋之
武田 知晋
発明の名称 歪み計測装置  
代理人 安原 正義  

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