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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1290462 |
審判番号 | 不服2013-8771 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-05-13 |
確定日 | 2014-08-07 |
事件の表示 | 特願2007-514816「膵炎の予防および治療剤」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 9日国際公開、WO2006/118212〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成18年4月27日(優先日:平成17年4月27日、出願番号:特願2005-130408号)を国際出願日とする出願であって、平成23年12月5日付けで拒絶理由が通知され、平成24年5月1日に手続補正がなされたが、平成25年2月6日付けで拒絶査定がなされた。 これに対して、同年5月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされた。 第2 請求項の記載 本願の特許請求の範囲の請求項4、及び請求項4が引用する請求項2の記載は、それぞれ、平成25年5月13日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載された、以下のとおりのものである。 「【請求項2】 5-HT2A受容体拮抗剤を有効成分とする膵炎を予防および治療するための医薬組成物であって、前記5-HT2A受容体拮抗剤は、5-HT2A受容体に対する結合活性(pKi)が8.0以上であり、5-HT2A受容体に対する結合活性(pKi)が5-HT2B受容体に対する結合活性より1.0以上高く、かつ5-HT2C受容体に対する結合活性より1.0以上高いことを特徴とし; ただし、前記5-HT2A受容体拮抗剤は、ケタンセリン、塩酸サルポグレラート、または次式: 【化1】(略) [式中、R^(1)は、水素原子またはハロゲン原子を示し、R^(2)及びR^(3)は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子またはC_(1)-C_(4)アルコキシ基を示し、R^(4)は、置換されていてもよい、酸素または硫黄原子を含んでいてもよい5乃至6員環状アミノ基(該置換基は、炭素原子上の置換基としては、ヒドロキシ基または二重結合を含んでいてもよいC_(1)-C_(20)脂肪族アシルオキシ基を示し、窒素原子上の置換基としては、C_(1)-C_(4)アルキル基を示す。)を示し、Aは、C_(1)-C_(4)アルキレン基を示す] を有する化合物ではない、 ことを特徴とする医薬組成物。」 「【請求項4】 5-HT2A受容体拮抗剤が、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン、イロペリドン、ケチアピン、ネファゾドン、ペロスピロン、アリピプラゾール、ゾテピン、ミルタザピン、セルチンドール、アセナピン、ブロナンセリン、スピペロン、クロザピン、アンペロジド、オランザピン、クロルプロマジン、ハロペリドールからなる群より選択される、請求項2記載の医薬組成物。」 第3 平成23年12月5日付けの拒絶理由通知 平成23年12月5日付けの拒絶理由の<理由1>は以下のとおりである。 なお、理由1で述べられている請求項8の記載は現在の請求項4と同一であり、同請求項3は該請求項4が引用する請求項2に対応する。 <理由1> この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項3?7に係る発明は、「5-HT2A受容体拮抗剤を有効成分とする膵炎を予防及び治療するための医薬組成物」を5-HT2A受容体に対する結合活性と5-HT2B受容体に対する結合活性の相対関係によってのみ特定するものであり、発明の詳細な説明に、結合活性に関するデータが示されていない不特定の5-HT2A受容体拮抗剤が権利範囲に含まれる。そして、発明の詳細な説明に結合活性に関するデータが記載されていない物質については、発明の詳細な説明において、有用性が十分に裏付けられていない。 また、5-HT2A受容体に対する結合活性が5-HT2B受容体に対する結合活性より1.0以上高ければ、必ず膵炎への有効性が期待できるというデータの裏付けはなく、むしろ、発明の詳細な説明では、MDL-11,939の実験結果から、上記条件を満たしても、膵炎への有効性が否定される場合があることが示されている。 よって、具体的データの開示された物質以外については、発明の詳細な説明においてサポートされておらず、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 また、請求項8に具体的に挙げられた5-HT2A受容体拮抗剤についても、発明の詳細な説明において具体的実験成績の開示のあるリスペリドン、スピペロン以外は、上記の理由により、発明の詳細な説明においてサポートされていない。 よって、請求項3?8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 第4 当審の判断 本願の明細書又は図面の記載を参酌しても、請求項4に列挙された組成物が、請求項2に特定されている「5-HT2A受容体に対する結合活性(pKi)が8.0以上であり、5-HT2A受容体に対する結合活性(pKi)が5-HT2B受容体に対する結合活性より1.0以上高く、かつ5-HT2C受容体に対する結合活性より1.0以上高い」という事項を有するのかどうかが明らかではなく、しかも、本願の出願時点でそのようなことが自明であったことを示す具体的な根拠もない。 してみると、請求項4に記載されている事項は、本願の発明の詳細な説明中に記載されているとはいえない。 したがって、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第5 むすび 以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-06-06 |
結審通知日 | 2014-06-10 |
審決日 | 2014-06-24 |
出願番号 | 特願2007-514816(P2007-514816) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
Z
(G01N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松本 隆彦 |
特許庁審判長 |
尾崎 淳史 |
特許庁審判官 |
郡山 順 神 悦彦 |
発明の名称 | 膵炎の予防および治療剤 |
代理人 | 北野 健 |
代理人 | 金本 恵子 |
代理人 | 大野 聖二 |
代理人 | 田中 玲子 |
代理人 | 松任谷 優子 |
代理人 | 伊藤 奈月 |