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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08G
管理番号 1294746
審判番号 不服2013-21655  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-05 
確定日 2014-12-04 
事件の表示 特願2009- 40553号「駐車場管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月 9日出願公開,特開2010-198172〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件に係る出願(以下,「本願」と言う。)は,平成21年2月24日の特許出願であって,平成25年4月26日付けで通知された拒絶の理由に対して,平成25年6月27日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,平成25年7月29日付けで拒絶査定がされ(これの送達日は平成25年8月6日),これに対して,平成25年11月5日に本件拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けの手続補正書が提出されたものである。
その後,当審より平成26年6月2日付けで拒絶の理由を通知したところ,平成26年8月4日付けで意見書及び補正書が提出された。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は,平成26年8月4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに出願当初の図面の記載から見て,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める(以下,「本願発明」と言う。)。
「駐車場の入口に設けられ入場する車両を撮影して車番情報を得るための入口側カメラと、
少なくとも駐車場に設けられた複数の駐車エリアに位置する車両を撮影して車番情報を得るための複数のエリアカメラと、
駐車場に入場する車両の入場情報を取得する駐車券発行機と、
前記駐車券発行機から送られる入場情報と前記入口側カメラから送られる車番情報とを記録する管理装置と、
前記管理装置から送られる入場情報および前記入口側カメラによる車番情報を関連付けて記録するとともに、前記車番情報に基づいて前記エリアカメラによる車番情報を照会し、車番情報が一致する場合に前記エリアカメラの設置位置情報および撮影時間を逐次記録し、最終的に照会された車番情報が得られたエリアカメラの設置位置から駐車エリアを特定して車両の駐車位置を管理する駐車位置管理サーバと、
前記入場情報または前記車番情報の少なくとも一方に基づいて前記駐車位置管理サーバから入場情報に対応する駐車位置を検索して表示部に表示する駐車位置検索端末と、
駐車場の出口に設けられ出場する車両を撮影して車番情報を得るための出口側カメラと、を備え、
精算機による精算完了後に、前記駐車券の駐車券番号と併せて前記車番情報を前記管理装置に送り、前記駐車位置管理サーバは、前記管理装置から前記駐車券の駐車券番号または車番情報が送られた場合に、駐車券番号または車番情報に対応する情報を削除し、
前記管理装置は、車番情報により認識した車両の利用回数の情報を記録することを特徴とする駐車場管理システム。」

3.刊行物
(1)当審により通知した拒絶の理由に示した特開平11-110695号公報(以下「刊行物」と言う。)には,図面と共に次の事項が記載されている。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】所定の区画内の所定の地点を通過する車両を特定する識別情報を取得し、取得した前記識別情報を送出する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段が送出した前記識別情報を取得し、該識別情報に基づき、各前記車両が駐車している前記区画内のブロックを判別する駐車ブロック判別手段と、
各前記車両に対応付けられた情報を入力して、当該情報が示す車両が駐車していると前記駐車ブロック判別手段が判別した前記ブロックを示す情報を外部に供給する出力手段とを備える、
ことを特徴とする位置管理システム。
【請求項2】前記区画内に入場するため所定の位置を通過する前記車両を特定する前記識別情報を取得して記憶する入場管理手段と、
前記区画より出場するため所定の位置を通過する前記車両を特定する前記識別情報を取得し、前記入場管理手段が記憶している当該識別情報を消去する出場管理手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置管理システム。
【請求項3】前記駐車ブロック判別手段は、
前記入場管理手段より各前記車両の識別情報を取得し、各該識別情報と、各前記車両を最後に特定した前記車両情報取得手段を示す装置情報とを互いに対応付けて記憶する最終検出装置記憶手段と、
各前記装置情報と、各前記装置情報が示す各前記車両情報取得手段により特定された車両が他の前記車両情報取得手段により特定されるまでの間存在し得る前記ブロックを示すブロック情報とを互いに対応付けて記憶するブロック情報記憶手段と、
前記最終検出装置記憶手段及び前記ブロック情報記憶手段が記憶する前記識別情報、前記装置情報及び前記ブロック情報に基づき、各前記車両が駐車している前記区画内のブロックを判別する手段とを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の位置管理システム。
【請求項4】前記入場管理手段は、前記車両が前記区画に入場した入場時刻の情報を取得する手段を備え、
前記出場管理手段は、前記車両が前記区画を出場する出場時刻の情報を取得し、前記識別情報、前記入場時刻及び前記出場時刻の情報に基づいて、前記車両の駐車について課す駐車料金を算出し、算出結果の情報を外部に供給する手段を備える、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の位置管理システム。
【請求項5】前記入場管理手段は、前記識別情報を取得する度に前記車両に対応付けられた情報を含んだ整理券を発行する手段を備え、
前記出力手段は、前記整理券より、前記車両に対応付けられた情報を取得する手段を備える、
ことを特徴とする請求項2、3又は4に記載の位置管理システム。
【請求項6】前記車両情報取得手段は、前記車両の自動車登録番号標の画像を読み取って、前記画像に含まれる前記識別情報を抽出する手段を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置管理システム。
・・・・・
【請求項9】
所定の区画内に入場するため所定の位置を通過する車両を特定する識別情報と、前記車両の入場時刻を示す情報とを取得して記憶する入場管理手段と、
前記区画内の所定の地点を通過する車両を特定する識別情報を取得し、該識別情報に基づき、各前記車両が駐車している前記区画内のブロックを判別して、判別結果を示す情報を外部に供給する駐車ブロック判別手段と、
前記区画より出場するため所定の位置を通過する前記車両を特定する前記識別情報と前記車両の出場時刻を示す情報とを取得し、当該識別情報、当該入場時刻を示す情報及び当該出場時刻を示す情報に基づいて、前記車両の駐車について課す駐車料金を算出する課金手段とを備える、
ことを特徴とする位置管理システム。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、位置管理システムに関し、特に車両の位置を把握して駐車場利用者の便宜を図ることを目的とする位置管理システムに関する。」
・「【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明の第1の観点にかかる位置管理システムは、所定の区画内の所定の地点を通過する車両を特定する識別情報を取得し、取得した前記識別情報を送出する車両情報取得手段と、前記車両情報取得手段が送出した前記識別情報を取得し、該識別情報に基づき、各前記車両が駐車している前記区画内のブロックを判別する駐車ブロック判別手段と、各前記車両に対応付けられた情報を入力して、当該情報が示す車両が駐車していると前記駐車ブロック判別手段が判別した前記ブロックを示す情報を外部に供給する出力手段とを備える、ことを特徴とする。
【0014】このような位置管理システムによれば、各前記車両情報取得手段が、各前記ブロックに駐車している前記車両を特定する情報を与える。このため、このような位置管理システムは、駐車位置等毎に前記車両の検出手段を設置することなく、任意に選択された前記駐車位置等に駐車した前記車両がどの前記ブロックに存在するかを把握する。
【0015】前記位置管理システムは、前記区画内に入場するため所定の位置を通過する前記車両を特定する前記識別情報を取得して記憶する入場管理手段と、前記区画より出場するため所定の位置を通過する前記車両を特定する前記識別情報を取得し、前記入場管理手段が記憶している当該識別情報を消去する出場管理手段とを備えるものであってもよい。これにより、前記区画内に入場する前記車両、及び前記区画より出場する前記車両が特定され、結果として、前記区画内に存在する前記車両が特定される。
【0016】前記駐車ブロック判別手段は、例えば、前記入場管理手段より各前記車両の識別情報を取得し、各該識別情報と、各前記車両を最後に特定した前記車両情報取得手段を示す装置情報とを互いに対応付けて記憶する最終検出装置記憶手段と、各前記装置情報と、各前記装置情報が示す各前記車両情報取得手段により特定された車両が他の前記車両情報取得手段により特定されるまでの間存在し得る前記ブロックを示すブロック情報とを互いに対応付けて記憶するブロック情報記憶手段と、前記最終検出装置記憶手段及び前記ブロック情報記憶手段が記憶する前記識別情報、前記装置情報及び前記ブロック情報に基づき、各前記車両が駐車している前記区画内のブロックを判別する手段とを備えることにより、前記車両がどの前記ブロックに存在するかを把握する。
【0017】前記入場管理手段は、前記車両が前記区画に入場した入場時刻の情報を取得する手段を備え、前記出場管理手段は、前記車両が前記区画を出場する出場時刻の情報を取得し、前記識別情報、前記入場時刻及び前記出場時刻の情報に基づいて、前記車両の駐車について課す駐車料金を算出し、算出結果の情報を外部に供給する手段を備えるものであってもよい。これにより、前記車両が前記区画に入場した時刻及び前記区画を出場する時刻が特定され、更に、前記駐車料金が算出される。
【0018】前記入場管理手段は、前記識別情報を取得する度に前記車両に対応付けられた情報を含んだ整理券を発行する手段を備え、前記出力手段は、前記整理券より、前記車両に対応付けられた情報を取得する手段を備えるものであってもよい。これにより、前記位置管理システムは、前記整理券の所持者が前記整理券を提示したとき等に、前記車両に対応付けられた情報を記憶する負担を当該整理券の所持者等に課すことなく、前記車両が駐車している前記ブロックを示す情報を、例えば表示画面上に表示することにより、外部に供給する。」
・「【0022】また、この発明の第2の観点にかかる位置管理システムは、所定の区画内に入場するため所定の位置を通過する車両を特定する識別情報と、前記車両の入場時刻を示す情報とを取得して記憶する入場管理手段と、前記区画内の所定の地点を通過する車両を特定する識別情報を取得し、該識別情報に基づき、各前記車両が駐車している前記区画内のブロックを判別して、判別結果を示す情報を外部に供給する駐車ブロック判別手段と、・・・・・を備える、ことを特徴とする。
【0023】このような位置管理システムによれば、駐車位置等毎に前記車両の検出手段を設置することなく、前記駐車ブロック判別手段が、任意に選択された前記駐車位置等に駐車した前記車両がどの前記ブロックに存在するかを把握する。また、前記識別情報、前記入場時刻及び前記出場時刻に基づいて駐車料金が算出される。」
・「【0036】車両ナンバ検出装置3Aは、駐車場の入場ゲートに隣接して設置されており、駐車場に入場するために入場ゲートに接近した車両のナンバープレートの画像は、車両ナンバ検出装置3Aの撮像部32の視野に入る。車両ナンバ検出装置3Bは、駐車場の出場ゲートに隣接して設置されており、駐車場から出場するために出場ゲートに接近した車両のナンバープレートの画像は、車両ナンバ検出装置3Bの撮像部32の視野に入る。
【0037】車両ナンバ検出装置3Cは、図2においてC1として示した位置を通過する車両のナンバープレートの画像が、各々が備える撮像部32の視野に入る位置に設置されている。そして、車両ナンバ検出装置3Cにより特定された車両が、その後、当該車両の検出を行ったものと異なる車両ナンバ検出装置により検出されることなく駐車した場合、当該車両はC2のブロックに駐車している、という関係がある。」
・「【0043】入場車両データ63は、車両管理装置1の外部記憶部13に格納され、また制御部11の指示に従って更新されるデータである。入場車両データ63は、複数のレコードからなり、各レコードには、駐車場に入場している各車両に付された整理番号と、各車両のナンバープレートに記載されている各車両の登録番号(車両ナンバ)と、各々の車両を最後に特定した車両ナンバ検出装置の装置番号(検出装置番号)とが格納されている。」
・「【0046】(車両の入場の処理)この駐車場管理システムが起動すると、車両ナンバ検出装置3Aの制御部31は、図4に示す処理を実行する。処理が始まると、制御部31は、撮像部32の視野内の画像を撮像するよう撮像部32に指示する(ステップS101)。指示を入力した撮像部32は、その指示に従って各々の視野内の画像を撮像し、当該画像を表す画像データを作成して、制御部31に、作成した画像データを供給する(ステップS102)。」
・「【0048】ステップS103において、当該文字情報が車両ナンバを表さないと判別されると、制御部31は、処理をステップS101において、当該文字情報が車両ナンバを表さないと判別されると、制御部31は、処理をステップS101に戻す。車両ナンバを表すと判別されると、制御部31は、当該文字情報を、入場した車両の車両ナンバの情報として、通信装置2の送信機21に供給する(ステップS104)。」
・「【0051】一方、車両管理装置1の制御部11は、この駐車場管理システムが起動すると、図5に示す処理を実行する。処理が始まると、制御部11は、車両ナンバ検出装置3A?3Lのいずれかより、車両ナンバの情報が供給されるのを待機する(ステップS201)。」
・「【0054】ステップS203において、制御部11は外部記憶部13にアクセスし、入場車両データ63に格納されている整理番号のうち最大の番号を取得する。次に、制御部11は、入場車両データ63の記憶領域の最後尾に新たなレコードを追加する。そして、制御部11は、追加された当該レコードの先頭に、新たに入場した車両の整理番号として、ステップS203で取得した整理番号に1を加えた数を書き込み、続いて、ステップS202において車両管理装置1に供給された車両ナンバの情報を書き込む(ステップS204)。整理番号及び車両ナンバの書き込みが終わると、制御部11は、処理をステップS201に戻す。
【0055】以上説明したステップS101?S108及びステップS201?S204の処理により、駐車場に入場する車両の車両ナンバが車両管理装置1に記憶され、当該車両には整理番号が付される。」
・「【0059】ステップS303において、制御部11は外部記憶部13にアクセスし、受信機22より供給された車両ナンバをキーとして入場車両データ63を検索して、当該車両ナンバを含むレコードを索出する。そして、制御部11は、ステップS303で索出されたレコードに含まれる検出装置番号を、受信機22より最後に供給された装置番号に更新する(ステップS304)。・・・・・。
【0060】・・・・・。この結果、駐車場に入場した車両が移動して、その車両のナンバープレートの画像が車両ナンバ検出装置3C?3Lのいずれかの撮像部32により撮像される毎に、当該車両を最後に検出した車両ナンバ検出装置を示す検出装置番号が更新され、検出装置番号は、当該車両が現在駐車しているブロックを表す。」
・「【0062】処理を開始すると、制御部11は、整理番号の入力を促すメッセージを表示部14に表示させ、入力部15を用いて整理番号の情報が供給されるのを待機する(ステップS401)。そして、入力部15より制御部11に整理番号の情報が供給されると、制御部11は、その整理番号をキーとして入場車両データ63を検索し、当該整理番号が付された車両の検出装置番号を索出する(ステップS402)。
【0063】次に、制御部11は、索出された検出装置番号をキーとして装置データ64を検索し、当該検出装置番号に対応付けられているブロックを示す情報を索出して(ステップS403)、表示部14に、索出されたブロックの情報を表示させる(ステップS404)。表示部14に表示されたブロックの情報は、出場の対象の車両の運転者等により視認され、当該車両の駐車位置の把握等に役立てられる。
【0064】(車両の出場の処理)また、車両ナンバ検出装置3Bの制御部31は、この駐車場管理システムが起動すると、ステップS101?S108と同様の処理を行う。すなわち、車両ナンバ検出装置3Bの制御部31は、車両ナンバ検出装置3Bの撮像部32の視野内に映った車両(つまり、出場するために出場ゲートに接近した車両)のナンバープレートに記されている車両ナンバの情報を取得する。そして、当該車両ナンバの情報と、車両ナンバ検出装置3Bを表す装置番号とを、通信装置2を介して、車両管理装置1の制御部11に送る。
【0065】一方、受信機22より車両ナンバ及び装置番号の情報を供給された制御部11は、上述のステップS302において、当該車両ナンバの情報が、車両ナンバ検出装置3Bから供給されたものであると判別すると、図8に示す車両の出場の処理を実行する。処理が始まると、制御部11は、外部記憶部13にアクセスし、受信機22より供給された車両ナンバをキーとして入場車両データ63を検索し、当該車両ナンバを含んだレコードを索出する(ステップS501)。」
・「【0067】次に、制御部11は、出場の確認を表す信号が入力部15より供給されるのを待機する(ステップS503)。そして、駐車場の管理者等が入力部15を操作して出場の確認を表す信号を制御部11に供給すると、制御部11は、ステップS501で索出されたレコードを消去して(ステップS504)、処理をステップS201に戻す。以上説明したステップS501?S504の処理により、駐車場から出場する車両の車両ナンバ等の情報が消去される。」
・「【0072】(第2の実施の形態)以上説明した第1の実施の形態においては、車両の駐車位置は車両管理装置1の表示部14が表示していた。しかし、車両の駐車位置は、別個の案内装置が表示するようにしてもよい。また、この駐車場管理システムにおいては、車両ナンバ、整理番号及び検出装置番号の他、例えば、入場時刻を記録して、駐車料金の精算等に用いてもよい。以下、車両の駐車位置の情報を提供する案内装置を備え、また駐車場への車両の入場時刻の情報を取得する、この発明の第2の実施の形態にかかる駐車場管理システムを説明する。
【0073】この駐車場管理システムの物理的構成を図9に示す。図示するように、この駐車場管理システムは、物理的には、第1の実施の形態の物理的構成に加え、駐車位置案内装置4A?4Cと、満車ブロック案内装置5とを備える。また、この駐車場管理システムの車両管理装置1は、第1の実施の形態における構成に加え、更にタイマ16及び発券機17を備える。
【0074】駐車位置案内装置4A?4Cは駐車場内の所定の位置(例えば、図10に示す位置)に配置される。駐車位置案内装置4A?4Cは互いに実質的に同一の構成を有し、それぞれ、制御部41と、主記憶部42と、ROM43と、整理券読取部44と、表示部45とを備える。」
・「【0077】整理券読取部44は、バーコードリーダ等からなり、整理券に記録されているバーコードを、制御部41の指示に従って読み取った上で解析し、解析の結果得られた整理番号の情報を、制御部41に供給する。表示部45は、CRT等からなり、制御部41の指示に従った文字、図形等を表示する。」
・「【0079】タイマ16は、水晶発振器等を備え、現在時刻を表す情報を、制御部11に連続的に供給する。発券機17は、プリンタ等を備え、制御部11の指示に従った文字、図形等を、整理券の券面に印刷し、整理券を発行する。
【0080】この駐車場管理システムは、図11に示すように、論理的には、第1の実施の形態における構成に加え、更に、駐車位置案内プログラム65A?65Cと、満車ブロック案内プログラム66と、収容台数データ67とを備える。また、この駐車場管理システムにおける入場車両データ63の各レコードには、第1の実施の形態における各データに加え、各々のレコードに含まれる車両ナンバが示す車両が入場した時刻を表す情報が格納される。」
・「【0084】(車両の入場の処理)この駐車場管理システムが起動した後、車両が入場ゲートに接近し、当該車両のナンバープレートの画像が車両ナンバ検出装置3Aの撮像部32の視野内に入ると、車両ナンバ検出装置3A及び車両管理装置1は、図12に示す処理を実行する。
【0085】図12に示す処理において、車両ナンバ検出装置3Aは、第1の実施の形態におけるステップS101?S108と実質的に同一の処理を行う(ステップS601)。すなわち、車両ナンバ検出装置3Aは、撮像部32の視野内に入った車両のナンバープレートの画像を撮像し、車両ナンバを抽出して、送信機21A及び受信機22を介し、車両管理装置1の制御部11に、当該車両ナンバの情報及び自らの装置番号の情報を供給する。
【0086】一方、車両管理装置1の制御部11は、この駐車場管理システムが起動すると、第1の実施の形態におけるステップS201、S202の処理と実質的に同一の処理を行う(ステップS602)。すなわち、制御部11は、各車両ナンバ検出装置3A?3Lより車両ナンバの情報を取得し、その車両ナンバの情報が、車両ナンバ検出装置3Aから供給されたものであるか否かを判別する。
【0087】ステップS602において、当該車両ナンバの情報が車両ナンバ検出装置3A以外の車両ナンバ検出装置から供給されたものであると判別されると、制御部11は、後述する車両位置取得の処理におけるステップS802に処理を移す。
【0088】当該車両ナンバの情報が車両ナンバ検出装置3Aから供給されたものであると判別されると、制御部11は、タイマ16より、現在時刻の情報を取得して、当該情報を、入場時刻の情報として主記憶部12に格納する(ステップS603)。
【0089】次いで、制御部11は、第1の実施の形態におけるステップS203、204と実質的に同一の処理を行うことにより、新たに入場した車両の整理番号及び車両ナンバの情報を入場車両データ63に追加し、更に、ステップS603で取得した時刻の情報を、当該車両ナンバの情報に続く位置に書き込む(ステップS604)。
【0090】整理番号、車両ナンバ及び時刻の各情報の書き込みが終わると、制御部11は、発券機17に、整理券の発券を指示し、更に整理番号を発券機17に通知する(ステップS605)。発券機17は、制御部11の指示に従って、当該整理番号を表すバーコードを整理券の券面に印刷し、その整理券を、入場する車両の運転者等に発行する。整理券の発行が終わると、制御部11は処理をステップS601に戻す。
【0091】以上説明したステップS601?S605の処理により、駐車場に入場する車両の車両ナンバが車両管理装置1に記憶されて当該車両に整理番号が付され、更に当該整理番号の情報が記録された整理券が発行される。」
・「【0101】(駐車位置取得の処理)この駐車場管理システムが起動した後、入場している車両のナンバープレートの画像が車両ナンバ検出装置3C?3Lの撮像部32の視野内に入ると、車両ナンバ検出装置3C?3L及び車両管理装置1は、図14に示す処理を実行する。
【0102】図14に示す処理において、車両ナンバ検出装置3C?3Lの制御部31は、第1の実施の形態におけるステップS301と実質的に同一の処理を行うことにより、車両ナンバ及び装置番号の情報を車両管理装置1の制御部11に供給する(ステップS801)。
【0103】そして、車両管理装置1の制御部11は、上述のステップS602において、車両ナンバ検出装置から供給された車両ナンバの情報が車両ナンバ検出装置3Aから供給されたものでないと判別されると、当該情報が、車両ナンバ検出装置3Bから供給されたものであるか否かを判別する(ステップS802)。そして、車両ナンバ検出装置3C?3L以外の車両ナンバ検出装置から供給されたものであると判別されると、制御部11は、後述するステップS1002に処理を移し、車両ナンバ検出装置3C?3Lのいずれかから供給されたものであると判別されると、処理をステップS803に移す。
【0104】ステップS803において、制御部11は、第1の実施の形態におけるステップS203、204の処理を行うことにより、入場車両データ63のうち、供給された車両ナンバを含むレコードに格納されている検出装置番号を更新する。そして、制御部11は、満車ブロック案内装置5の制御部51に、入場車両データ63の内容が更新されたことを示す信号を送る(ステップS804)。
【0105】以下、制御部11は、車両ナンバ及び装置番号の情報が新たに供給される毎に、ステップS702、S802?S804の処理と同一の処理を行って、入場車両データ63の内容を更新し、入場車両データ63の内容が更新された旨を満車ブロック案内装置5に通知する。
【0106】(駐車位置案内の処理) 駐車位置案内装置4A?4Cは、この駐車場管理システムが起動すると、図15に示す処理を実行する。
【0107】処理が始まると、駐車位置案内装置4A?4Cの制御部41は、整理券が整理券読取部44にセットされるのを待機する(ステップS901)。そして、整理券が整理券読取部44にセットされると、整理券読取部44は、整理券の券面に印刷されたバーコードを読み取って整理番号を取得し、その整理番号の情報を、制御部41に供給する(ステップS902)。【0108】整理券読取部44より整理番号の情報を取得した制御部11は、車両管理装置1の制御部11に接続を要求する信号を発し、制御部11より接続を確認する信号が供給され、接続が確立されると、入場車両データ及び装置データ64の転送を制御部11に要求する(ステップS903)。
【0109】制御部11が入場車両データ63及び装置データ64の転送の要求を受信し、外部記憶部13より両者を読み出して制御部41に送信すると、制御部41は、両者を受信して主記憶部52に格納する(ステップS904)。
【0110】次に、制御部41は、第1の実施の形態のステップS402?404において車両管理装置1の制御部11が行った処理と同様の処理を行うことにより、表示部45に、ステップS902で取得した整理番号が示す車両のあるブロックの情報を表示させる(ステップS905)。すなわち、制御部41は、入場車両データ63を検索し、ステップS902で取得した整理番号にあたる車両の検出装置番号を索出し、更に、装置データ64を検索して、当該検出装置番号に対応付けられているブロックを索出して、表示部45に、当該ブロックの情報を表示させる。
【0111】(車両の出場の処理)この駐車場管理システムが起動した後、車両が出場ゲートに接近し、当該車両のナンバープレートの画像が車両ナンバ検出装置3Bの撮像部32の視野内に入ると、車両ナンバ検出装置3B及び車両管理装置1は、図16に示す処理を実行する。
【0112】図16に示す処理において、車両ナンバ検出装置3Bの制御部31は、この駐車場管理システムが起動すると、第1の実施の形態における処理と実質的に同一の処理を行う(ステップS1001)。これにより、出場ゲートに接近した車両の車両ナンバ及び装置番号の情報が、制御部31から、通信装置2を介して、車両管理装置1の制御部11に供給される。
【0113】一方、制御部11は、上述のステップS802において、当該車両ナンバの情報が車両ナンバ検出装置3C?3Lから供給されたものでないと判別すると、第1の実施の形態におけるステップS501?S504の処理を行い、駐車場の管理者等に、車両の出場の確認を促す(ステップS1002)。
【0114】そして、駐車場の管理者等が入力部15を操作して出場の確認を表す信号を制御部11に供給すると、制御部11は、タイマ16より、現在時刻の情報を取得して、主記憶部12に格納する(ステップS1003)。
【0115】そして、入場車両データ63のうち、出場する車両の車両ナンバを含むレコードであるとしてステップS1002で索出されたレコードから、当該車両の入場時刻の情報を読み出し(ステップS1004)、当該入場時刻の情報が示す時刻と、ステップS1003で取得した現在時刻とより、駐車料金を計算する(ステップS1005)。例えば、駐車料金が、駐車時間1時間まで毎に500円である場合、制御部11は、現在時刻から入場時刻を差し引いた値(単位は「時」とする)を求め、更に、求めた値のうち1時間未満の部分を切り上げ、500を乗じることにより、駐車料金を計算する。
【0116】駐車料金が計算されると、制御部11は、当該駐車料金の情報と、料金の領収の確認を促すメッセージとを表示するよう表示部14に指示し、表示部14は、指示に従って、当該駐車料金と、領収の確認を促すメッセージとを表示する(ステップS1006)。
【0117】次に、制御部11は、領収の確認を表す信号が入力部15より供給されるのを待機し、駐車場の管理者等が入力部15を操作して領収の確認を表す信号を制御部11に供給すると、ステップS1002で索出されたレコードを消去し(ステップS1007)、処理をステップS602に戻す。」
・「【0124】また、入場車両データ63の検出装置番号の情報が更新される際、従前の情報が消去される必要はなく、例えば、過去に更新された各検出装置番号が、各々が記録された時刻の情報と対応付けられた上ですべて外部記憶部13に記憶されるようにしてもよい。この場合、駐車位置案内装置4A?4Cは、各車両の現在の駐車位置に限らず、例えば、過去の任意の時刻における各車両の駐車位置を表示して、盗難車の盗難時刻の特定などに利用してもよい。」
(2)請求項9に係る位置管理システムは,段落【0022】で“第2の観点”として説明されているものであり,また,その実施の形態は,段落【0072】以降で図9等を伴って説明される【発明の実施の形態】の「第2の実施の形態」であると理解できる。
そこで,請求項9の記載及び「第2の実施の形態」を中心に上記記載事項を読むと,以下の事項が把握できる。
ア.請求項9で言う車両を特定するための「識別情報」とは,「第2の実施の形態」では「車両ナンバ」であること。
イ.駐車場の入場ゲートに隣接して車両ナンバ検出装置3Aが設置されており,当該車両ナンバ検出装置3Aにより車両のナンバープレートを撮像して車両ナンバを検出すること。
ウ.車両ナンバを得るための複数の車両ナンバ検出装置3C?3Lが備えられており,それらは,特定の車両ナンバについて最後に供給された装置番号が入場車両データ63の当該車両ナンバが格納された領域に続く位置に書き込まれ,その装置番号から駐車しているブロックが判別されるものであることから,複数の駐車ブロックに位置する車両を撮影するものであること。
エ.請求項9の「入場管理手段」に関し,車両ナンバ検出装置3Aにより入場する車両の車両ナンバが検出されると,当該車両ナンバ,整理番号,入場時刻を関連付けて記録すること。
オ.発券機17に整理番号が通知され,整理券が発行されること。
カ.請求項9の「駐車ブロック判別手段」に関し,車両ナンバ検出装置3C?3Lにより区画内の所定の地点を通過する車両の車両ナンバを取得し,車両ナンバに基づき,最後に得られた車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号から各車両が駐車している区画内のブロックを判別すること。
キ.段落【0124】の記載事項を踏まえると,上記「カ.」の判別に際して,車両ナンバが得られた車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号および記録時間を逐次記録すること。
ク.駐車位置案内装置4A?4Cが備えられており,それらは,整理券読取部44を用いて整理番号の情報が供給されると,当該整理番号が付された車両の検出装置番号を索出し,対応する駐車ブロックの情報を表示部14に表示させること。
ケ.駐車場の出場ゲートに隣接して車両ナンバ検出装置3Bが設置されており,それは,駐車場から出場するために出場ゲートに接近した車両のナンバープレートを撮像すること。
コ.請求項9の「課金手段」を踏まえて駐車料金の領収の確認をすると,その確認信号が供給されて,駐車場から出場する車両の車両ナンバ等の情報を消去すること。
(3)以上を踏まえ,本願発明の表現にならって整理すると,刊行物には次の事項からなる発明が記載されていると認めることができる(以下「引用発明」と言う。)。
「駐車場の入場ゲートに隣接して設置され,車両のナンバープレートを撮像して車両ナンバを検出するための車両ナンバ検出装置3Aと,
駐車場に設けられた複数の駐車ブロックに位置する車両を撮影して車両ナンバを検出するための複数の車両ナンバ検出装置3C?3Lと,
整理番号,入場時刻と前記車両ナンバ検出装置3Aから送られる車両ナンバとを関連付けて記憶する入場管理手段と,
整理番号が通知されて整理券を発行する発券機17と,
車両ナンバ検出装置3C?3Lにより区画内の所定の地点を通過する車両の車両ナンバを取得し,車両ナンバに基づき車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号および記録時間を逐次記録し,最後に得られた車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号から車両が駐車している駐車ブロックを判別する駐車ブロック判別手段と,
整理券読取部44を用いて整理番号の情報が供給されると,当該整理番号が付された車両の検出装置番号を索出し,対応する駐車ブロックの情報を表示部14に表示する駐車位置案内装置4A?4Cと,
駐車場の出場ゲートに隣接して設置されて,駐車場から出場するために出場ゲートに接近した車両のナンバープレートを撮像する車両ナンバ検出装置3Bと,
を備え,
駐車場から出場する車両の車両ナンバと当該車両の出場時刻を取得し,当該車両ナンバ,入場時刻及び出場時刻に基づいて当該車両の駐車について課す駐車料金を算出する課金手段を備え,
駐車料金の領収の確認をすると,その確認信号が供給されて,駐車場から出場する車両の車両ナンバ等の情報を消去する駐車場管理システム。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「駐車場の入場ゲートに隣接して設置され」る態様は本願発明の「駐車場の入口に設けられ」る態様に相当し,以下同様に,「車両ナンバ」は「車番情報」に,「車両のナンバープレートを撮像して車両ナンバを検出する」態様は「車両を撮影して車番情報を得る」態様に,「車両ナンバ検出装置3A」は「入口側カメラ」に,「駐車ブロック」は「駐車エリア」に,それぞれ相当する。
(2)引用発明の「複数の車両ナンバ検出装置3C?3L」は,本願発明の「複数のエリアカメラ」に相当する。
(3)本願発明の「入場情報」は,本願明細書の段落【0025】によれば「当該駐車場1を識別するコード、駐車券の1枚ごとに異なる駐車券番号および入場日時などで構成される入場情報」であり,また,引用発明の「整理番号」は,「駐車券番号」に相当するものであるから,結局,引用発明における「整理番号」は本願発明の「入場情報」に相当する。また,引用発明における「入場時刻」も本願発明の「入場情報」に相当する。
(4)引用発明の「整理券」は,本願発明で言う「駐車券」に相当するから,引用発明の「発券機17」は,本願発明の「駐車券発行機」に相当する。
(5)引用発明における「入場管理手段」が備える「整理番号,入場時刻と車両ナンバ検出装置3Aから送られる入場した車両の車両ナンバとを関連づけて記憶する」機能は,本願発明の「管理装置」が備える「前記駐車券発行機から送られる入場情報と前記入口側カメラから送られる車番情報とを記録する」機能と,「入場情報と前記入口側カメラから送られる車番情報とを記録する」点で共通するから,引用発明の「入場管理手段」と本願発明の「管理装置」は,「入場情報と前記入口側カメラから送られる車番情報とを記録する管理装置」である限りで共通する。
(6)引用発明の「駐車ブロック判別手段」は,既に「入場管理手段」で関連づけて記録された整理番号,入場時刻と車両ナンバ検出装置3Aによる車両ナンバについて,車両ナンバ検出装置3C?3Lにより得られた車両ナンバを照会して,車両ナンバが一致する場合に当該車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号および記録時間を逐次記録していき,最後に得られた車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号から車両が駐車している駐車ブロックを判別するものと解することができる。ここで,引用発明の「装置番号」は,本願発明で言う「駐車位置」を意味するものでもある。
そうすると,引用発明の「車両ナンバ検出装置3C?3Lにより区画内の所定の地点を通過する車両の車両ナンバを取得し,車両ナンバに基づき車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号および記録時間を逐次記録し,最後に得られた車両ナンバ検出装置3C?3Lの装置番号から車両が駐車している駐車ブロックを判別する駐車ブロック判別手段」は,本願発明の「前記管理装置から送られる入場情報および前記入口側カメラによる車番情報を関連付けて記録するとともに、前記車番情報に基づいて前記エリアカメラによる車番情報を照会し、車番情報が一致する場合に前記エリアカメラの設置位置情報および撮影時間を逐次記録し、最終的に照会された車番情報が得られたエリアカメラの設置位置から駐車エリアを特定して車両の駐車位置を管理する駐車位置管理サーバ」に相当する。
(7)引用発明の「整理券読取部44を用いて整理番号の情報が供給されると,当該整理番号が付された車両の検出装置番号を索出し,対応する駐車ブロックの情報を表示部45に表示させる駐車位置案内装置4A?4C」は,本願発明の「前記入場情報または前記車番情報の少なくとも一方に基づいて前記駐車位置管理サーバから入場情報に対応する駐車位置を検索して表示部に表示する駐車位置検索端末」に相当する。
(8)引用発明の「駐車場の出場ゲートに隣接して設置されて,駐車場から出場するために出場ゲートに接近した車両のナンバープレートを撮像する車両ナンバ検出装置3B」は,本願発明の「駐車場の出口に設けられ出場する車両を撮影して車番情報を得るための出口側カメラ」に相当する。
(9)引用発明の「課金手段」及びそれをふまえた「駐車料金の領収」は,本願発明の「精算」に相当し,引用発明の「駐車料金の領収を確認をすると,」は,本願発明の「精算完了後に,」に相当する。。
引用発明の「駐車場から出場する車両の車両ナンバ等の情報を消去」する態様は,入場管理手段に記録された情報を照会しつつ駐車ブロック判別手段における当該車両に関する情報を消去することを内容に含むと解せるから,本願発明の「駐車券番号または車番情報に対応する情報を削除」する態様に相当する。
(10)以上を踏まえると,両者の一致点及び相違点は,次のとおりである。
[一致点]
「駐車場の入口に設けられ入場する車両を撮影して車番情報を得るための入口側カメラと,
少なくとも駐車場に設けられた複数の駐車エリアに位置する車両を撮影して車番情報を得るための複数のエリアカメラと,
駐車券発行機と,
駐車場に入場する車両の入場情報と前記入口側カメラから送られる車番情報とを記録する管理装置と,
前記管理装置から送られる入場情報および前記入口側カメラによる車番情報を関連付けて記録するとともに,前記車番情報に基づいて前記エリアカメラによる車番情報を照会し,車番情報が一致する場合に前記エリアカメラの設置位置情報を逐次記録し,最終的に照会された車番情報が得られたエリアカメラの設置位置から駐車エリアを特定して車両の駐車位置を管理する駐車位置管理サーバと,
前記入場情報または前記車番情報の少なくとも一方に基づいて前記駐車位置管理サーバから入場情報に対応する駐車位置を検索して表示部に表示する駐車位置検索端末と,
駐車場の出口に設けられ出場する車両を撮影して車番情報を得るための出口側カメラと,を備え,
精算完了後に,駐車券番号または車番情報に対応する情報を削除する駐車場管理システム。」
[相違点1]
駐車場に入場する車両の入場情報に関し,本願発明では駐車券発行機で取得され,管理装置に送られるものとされているのに対し,引用発明では,管理装置(入場管理手段)で取得されるものである点。
[相違点2]
精算が,本願発明では「精算機」によるものと特定されているのに対し,引用発明はそのようなものではない点。
[相違点3]
精算完了後の駐車券番号または車番情報に対応する情報の削除という処理に関し,本願発明では「前記駐車券の駐車券番号と併せて前記車番情報を前記管理装置に送り,前記駐車位置管理サーバは、前記管理装置から前記駐車券の駐車券番号または車番情報が送られた場合」とされているのに対し,引用発明ではそのように特定されるものではない点。
[相違点4]
本願発明では,管理装置は「車番情報により認識した車両の利用回数の情報を記録する」機能を有するのに対し,引用発明はそのような機能を備えていない点。

5.相違点についての判断
(1)相違点1について
駐車場管理システムとして,駐車券発行機自体で整理券番号あるいは駐車券番号と言った車両の入場情報を取得することは,普通に行われており,引用発明において,相違点1に係る本願発明の発明特定事項を採用すること自体に,当業者にとっての格別の創意工夫は見いだせない。
(2)相違点2について
駐車場管理システムとして,精算機を用いて精算を行うこともまた,普通に行われており,引用発明において,相違点2に係る本願発明の発明特定事項を採用することにも,当業者にとっての格別の創意工夫は見いだせない。
(3)相違点3について
引用発明の精算は,車両ナンバ検出装置3Bが検出した車両ナンバをふまえ,管理装置(入場管理手段)に記録される入場時刻を読み出すといった作業に基づいて実施されるものである。また,引用発明は,精算の後は,駐車位置の判別に必要とされる車両の情報を削除するものである。
そうすると,引用発明の「確認信号が供給されて,駐車場から出場する車両の車両ナンバ等の情報を消去」する態様について,管理装置(入場管理手段)に駐車券の駐車券番号と車番情報を送ること,管理装置(入場管理手段)から駐車位置管理サーバ(駐車ブロック判別手段)へ駐車券の駐車券番号または車番情報を送ることも,当業者がシステムの設計上適宜なし得た範囲内の事項である。
引用発明において,相違点3に係る本願発明の発明特定事項を採用することは,当業者が通常の創作能力を発揮してなし得た域を出ることではない。(4)相違点4について
商取引一般において,利用者に対し利用回数に応じた特典を与えることが良く知られている。
駐車場管理システムにおいても,特典としてクーポンを発行する等の目的のために,駐車場の利用回数を記録しておくことは,周知の技術的事項である(例えば,特開2003-30744号公報(請求項1,4,段落【0077】等には,駐車中の車両のナンバープレートを撮影して顧客情報を作成し,利用回数に応じた特典を与えることが記載されている。),特開2002-298927号公報(請求項8等には,駐車場の利用回数に応じたキャッシュバック金額を求めることが記載されている。),特開2002-216187号公報(図6とその説明によれば,駐車場の利用回数に応じたポイントを計算することが把握される。),特開2001-222742号公報(要約の欄を見れば,購入者の駐車場利用回数がn回以上のとき割引販売を行うことが記載されている。)。
引用発明において,かかる周知の技術的事項を適用して,相違点4に係る本願発明の発明特定事項を採用することは,当業者が通常の創作能力を発揮してなし得たことにすぎない。
(5)本願明細書の記載の限りでは,本願発明の発明特定事項によって,引用発明及び上記周知の技術的事項からみて格別顕著な効果が奏されると言うこともできない。
(6)したがって,本願発明は,引用発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易になし得たものである。

6.むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物が開示する引用発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-01 
結審通知日 2014-10-07 
審決日 2014-10-20 
出願番号 特願2009-40553(P2009-40553)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 東 勝之  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 藤井 昇
新海 岳
発明の名称 駐車場管理システム  
代理人 福田 充広  

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