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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1299248 |
審判番号 | 不服2014-2735 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-13 |
確定日 | 2015-04-02 |
事件の表示 | 特願2012- 9005「情報提供装置、情報提供方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-150150〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成24年1月19日の出願であって、平成25年7月19日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成25年9月19日付けで手続補正がなされ、平成25年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成26年2月13日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。 第2.平成26年2月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の目的について 1.平成25年9月19日付けの手続補正書の記載事項 平成25年9月19日付けの手続補正書の請求項1、請求項5及び請求項7に、以下のように記載されている。 「【請求項1】 情報を提供する情報提供装置であって、 無線LAN通信を行うために設定する情報と、当該情報提供装置のステータスを示す情報と、当該情報提供装置をリモートで利用するための情報と、当該情報提供装置の利用者の属性に関連する情報との少なくとも1つが含まれる親機情報を、あらかじめ設定された複数のカテゴリに分類する親機情報管理部と、 前記親機情報管理部が分類したカテゴリごとに、前記親機情報に基づいて、所定のコードを生成するコード生成部と、 前記コード生成部が生成したコードを、前記カテゴリごとに提供する提供部とを有する情報提供装置。 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供装置において、 前記親機情報管理部は、当該情報提供装置の利用者の属性に基づいて、前記カテゴリを生成し、前記親機情報を該生成したカテゴリごとに分類することを特徴とする情報提供装置。 【請求項7】 請求項1から6のいずれか1項に記載の情報提供装置において、 前記提供部は、前記コードで表示する内容が変更されるまでの間、前記コードを提供することを特徴とする情報提供装置。」 2.平成26年2月13日付けの手続補正書の記載事項 平成26年2月13日付けの手続補正書の請求項1及び請求項2に、以下のように記載されている。 「【請求項1】 情報を提供する情報提供装置であって、 無線LAN通信を行うために設定する情報と、当該情報提供装置のステータスを示す情報と、当該情報提供装置をリモートで利用するための情報と、当該情報提供装置の利用者の属性に関連する情報との少なくとも1つが含まれる親機情報を、あらかじめ設定された複数のカテゴリに分類する親機情報管理部と、 前記親機情報管理部が分類したカテゴリごとに、前記親機情報に基づいて、所定のコードを生成するコード生成部と、 前記コード生成部が生成したコードを、前記カテゴリごとに提供する提供部とを有し、 前記親機情報管理部は、当該情報提供装置の利用者の属性に基づいて、前記カテゴリを生成し、前記親機情報を該生成したカテゴリごとに分類する情報提供装置。 【請求項2】 情報を提供する情報提供装置であって、 無線LAN通信を行うために設定する情報と、当該情報提供装置のステータスを示す情報と、当該情報提供装置をリモートで利用するための情報と、当該情報提供装置の利用者の属性に関連する情報との少なくとも1つが含まれる親機情報を、あらかじめ設定された複数のカテゴリに分類する親機情報管理部と、 前記親機情報管理部が分類したカテゴリごとに、前記親機情報に基づいて、所定のコードを生成するコード生成部と、 前記コード生成部が生成したコードを、前記カテゴリごとに提供する提供部とを有し、 前記提供部は、前記コードで表示する内容が変更されるまでの間、前記コードを提供する情報提供装置。」 3.本件補正の目的の認定 本件補正後の請求項1の内容は、本件補正前の請求項1を引用した請求項5の内容と同じである。また、本件補正後の請求項2の内容は、本件補正前の請求項1を引用した請求項7の内容と同じである。 したがって、本件補正は、本件補正前の請求項1を削除し、本件補正前の請求項1を引用した請求項5を新たな請求項1とし、本件補正前の請求項1を引用した請求項7を新たな請求項2としたものである。よって、本件補正は、請求項の削除を目的としたものである。 第3.本願発明 本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年2月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるものである。 第4.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開2006-157814号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (a)段落番号【0001】 「【技術分野】 【0001】 本発明は宅内通信機器に係り、特に、無線LANインターフェースを備えた携帯端末に対して、無線LAN接続に必要な構成情報や各種アプリケーションの実施に必要な構成情報を自動設定させる無線LAN対応携帯電話の無線LAN設定を支援する宅内通信機器に関する。」 (b)段落番号【0016】-【0017】 「【0016】 図2は、前記宅内通信機器2の第1実施形態のブロック図であり、無線LANアクセスポイント2cは、無線LANインターフェースを備えた携帯電話やPDA等の携帯端末との間で無線LAN接続を確立する無線LANインターフェース201と、ルータやモデムとの間で有線LANを確立する有線LANインターフェース202と、前記無線LANインターフェースおよび有線LANインターフェース間でIPパケットを中継するパケット中継部203と、無線LAN接続用の無線LAN設定が登録された無線LAN設定登録部200とを含む。宅内通信機器2の筐体204の表面には、携帯電話8に無線LAN設定を自動で行うための構成情報やISP事業者から割り当てられた認証情報を、2次元のコードとして記録したQRコード205が、前記携帯電話8に設けられたQRコードリーダによる読み取り可能な形態で装着されている。 【0017】 前記ブロードバンドルータ2bがVoIP通話機能を備えている場合には、携帯電話8にVoIP設定を行うための構成情報も、前記無線LAN設定の構成情報や認証情報と共に、あるいは上記とは別のQRコードに記録されて、前記宅内通信機器2の表面に装着されている。同様に、携帯電話8にEメール設定を行うための構成情報も、前記無線LAN設定の構成情報や認証情報と共に、あるいは上記とは別のQRコードに記録されて、前記宅内通信機器2の表面に装着されている。このように、宅内通信機器2が一体型であれば、無線LAN、VoIPおよびEメールの各構成情報は宅内通信機器2の筐体に独立して、あるいは一体に装着されるが、宅内通信機器2が独立型であれば、無線LANの構成情報は無線アクセスポイント2cの筐体に装着され、VoIPおよびEメールの各構成情報はルータ2bの筐体に装着されることもある。」 (c)段落番号【0040】-【0044】 「【0040】 ところで、宅内通信機器2での無線LAN設定やVoIP設定等がセキュリティ上の要求等から変更を余儀なくされると、携帯電話8でも設定を更新する必要が生じる。しかしながら、上記した実施形態ではQRコードが固定的であるため、携帯電話8での設定更新は手動に頼らざるを得ない。これに対して、次に説明する第2,3,4実施形態では、QRコードが宅内通信機器2での設定変更に応答して動的に変更されるので、宅内通信機器2での無線LAN設定等が変更された場合でも、改めてQRコードを読み取れば、携帯電話8での設定更新が自動で行われる。 【0041】 図9は、宅内通信機器2の第2実施形態のブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。 【0042】 本実施形態では、無線LAN設定登録部200に登録されている最新の無線LAN設定に関して、その構成情報のQRコードを生成するQRコード生成部211と、前記生成されたQRコードを表示するQRコード表示部212とを含む。前記QRコード表示部212は、例えば液晶パネルで構成されている。 【0043】 本実施形態でも、携帯電話8に無線LAN設定を行う際は、前記QRコード表示部212に表示されているQRコードをデジタルカメラ813で撮影すれば、これが構成情報に再生されて無線LAN設定が自動的に行われる。 【0044】 上記した実施形態によれば、宅内通信機器2において、現在の無線LAN設定やVoIP設定等がQRコード化されてディスプレイ上に表示されるので、携帯電話8では、QRコードを読み取るだけで無線LAN設定やその更新が可能になる。」 (d)宅内通信機器2の第1実施形態のブロック図である図2と、宅内通信機器2の第2実施形態のブロック図である図9を比較すると、次のことがいえる。 無線LANインターフェース201と有線LANインターフェース202とパケット中継部203と無線LAN設定登録部200とを含むことは、両者共通である。 図9は、QRコード生成部211とQRコード表示部212とを有するのに対して、図2は、QRコード生成部211とQRコード表示部212とを有していない。 図2では、宅内通信機器2の筐体204の表面にQRコード205が装着されているのに対して、図9では、宅内通信機器2の筐体204の表面にQRコード205が装着されているわけではない。 したがって、刊行物1には、図9の宅内通信機器2の第2実施形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「無線LANインターフェースを備えた携帯端末に対して、無線LAN接続に必要な構成情報や各種アプリケーションの実施に必要な構成情報を自動設定させる無線LAN対応携帯電話の無線LAN設定を支援する宅内通信機器であって、 無線LANインターフェースを備えた携帯電話やPDA等の携帯端末との間で無線LAN接続を確立する無線LANインターフェース201と、ルータやモデムとの間で有線LANを確立する有線LANインターフェース202と、前記無線LANインターフェースおよび有線LANインターフェース間でIPパケットを中継するパケット中継部203と、無線LAN接続用の無線LAN設定が登録された無線LAN設定登録部200と含み、 また、無線LAN設定登録部200に登録されている最新の無線LAN設定に関して、その構成情報のQRコードを生成するQRコード生成部211と、前記生成されたQRコードを表示するQRコード表示部212とを含み、 前記QRコード表示部212は、例えば液晶パネルで構成されており、 携帯電話8に無線LAN設定を行う際は、前記QRコード表示部212に表示されているQRコードをデジタルカメラ813で撮影すれば、これが構成情報に再生されて無線LAN設定が自動的に行われ、 QRコードが宅内通信機器での設定変更に応答して動的に変更されるので、宅内通信機器での無線LAN設定等が変更された場合でも、改めてQRコードを読み取れば、携帯電話8での設定更新が自動で行われる、 宅内通信機器。」 第5.本願発明と引用発明の一致点・相違点 以下の記載における下線は、当審が付加したものである。 引用発明の宅内通信機器は、QRコード表示部212に表示されたQRコードにより情報を提供するから、本願発明の「情報を提供する情報提供装置」であるといえる。 引用発明の無線LAN設定登録部200に登録されている最新の無線LAN設定に関する構成情報は、本願発明の「無線LAN通信を行うために設定する情報」に相当する。 本願発明には、「無線LAN通信を行うために設定する情報と、当該情報提供装置のステータスを示す情報と、当該情報提供装置をリモートで利用するための情報と、当該情報提供装置の利用者の属性に関連する情報との少なくとも1つが含まれる親機情報」と記載されているから、引用発明が、「無線LAN通信を行うために設定する情報と、当該情報提供装置のステータスを示す情報と、当該情報提供装置をリモートで利用するための情報と、当該情報提供装置の利用者の属性に関連する情報との少なくとも1つが含まれる親機情報」を有していることは明らかである。 本願発明の「コード生成部」と引用発明のQRコード生成部211とは、「前記親機情報に基づいて、所定のコードを生成するコード生成部」である点で一致している。 本願発明の「提供部」と引用発明のQRコード表示部212とは、「前記コード生成部が生成したコードを、」「提供する提供部」である点で一致している。 引用発明では、QRコードが宅内通信機器での設定変更に応答して動的に変更されるので、宅内通信機器での設定変更に応答して、QRコードが動的に変更されるわけであるから、QRコードで表示する内容が変更されるまでの間は、変更される前の内容に対応したQRコードが表示される、すなわち「前記提供部は、前記コードで表示する内容が変更されるまでの間、前記コードを提供する」ことは明らかである。 したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「情報を提供する情報提供装置であって、 無線LAN通信を行うために設定する情報と、当該情報提供装置のステータスを示す情報と、当該情報提供装置をリモートで利用するための情報と、当該情報提供装置の利用者の属性に関連する情報との少なくとも1つが含まれる親機情報を有し、 前記親機情報に基づいて、所定のコードを生成するコード生成部と、 前記コード生成部が生成したコードを、提供する提供部とを有し、 前記提供部は、前記コードで表示する内容が変更されるまでの間、前記コードを提供する情報提供装置。」である点。 [相違点] 本願発明は、親機情報を、あらかじめ設定された複数のカテゴリに分類する親機情報管理部を有し、コード生成部は、前記親機情報管理部が分類したカテゴリごとに所定のコードを生成し、提供部は、生成したコードを前記カテゴリごとに提供するのに対して、引用発明には、そのような構成が明記されていない点。 第6.相違点についての検討 摘記事項(b)には、次のような記載がある。 「宅内通信機器2の筐体204の表面には、携帯電話8に無線LAN設定を自動で行うための構成情報やISP事業者から割り当てられた認証情報を、2次元のコードとして記録したQRコード205が、前記携帯電話8に設けられたQRコードリーダによる読み取り可能な形態で装着されている。 【0017】 前記ブロードバンドルータ2bがVoIP通話機能を備えている場合には、携帯電話8にVoIP設定を行うための構成情報も、前記無線LAN設定の構成情報や認証情報と共に、あるいは上記とは別のQRコードに記録されて、前記宅内通信機器2の表面に装着されている。同様に、携帯電話8にEメール設定を行うための構成情報も、前記無線LAN設定の構成情報や認証情報と共に、あるいは上記とは別のQRコードに記録されて、前記宅内通信機器2の表面に装着されている。このように、宅内通信機器2が一体型であれば、無線LAN、VoIPおよびEメールの各構成情報は宅内通信機器2の筐体に独立して、あるいは一体に装着される」 この記載における「上記とは別のQRコード」の「上記」とは、「無線LAN設定を自動で行うための構成情報やISP事業者から割り当てられた認証情報を記録したQRコード」を指すことは明らかである。 そして「上記とは別のQRコードに記録されて、前記宅内通信機器2の表面に装着」とあるから、「携帯電話8に無線LAN設定を自動で行うための構成情報やISP事業者から割り当てられた認証情報を記録したQRコード」、「携帯電話8にVoIP設定を行うための構成情報を記録したQRコード」及び「携帯電話8にEメール設定を行うための構成情報を記録したQRコード」の三つのQRコードが、宅内通信機器2の筐体に独立して装着されるわけである。 刊行物1には、宅内通信機器2の第1実施形態についてこのような記載があるから、引用発明において、親機情報を、「無線LANの構成情報」、「VoIPの構成情報」及び「Eメールの構成情報」の三つのカテゴリに分類し、分類したカテゴリごとにQRコードを生成し、「携帯電話8に無線LAN設定を自動で行うための構成情報やISP事業者から割り当てられた認証情報を記録したQRコード」、「携帯電話8にVoIP設定を行うための構成情報を記録したQRコード」及び「携帯電話8にEメール設定を行うための構成情報を記録したQRコード」の三つのQRコードをカテゴリごとに提供することにより、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7.むすび 以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-01-28 |
結審通知日 | 2015-02-03 |
審決日 | 2015-02-16 |
出願番号 | 特願2012-9005(P2012-9005) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04W)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 古市 徹 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
江口 能弘 近藤 聡 |
発明の名称 | 情報提供装置、情報提供方法およびプログラム |
代理人 | 宮崎 昭夫 |
代理人 | 緒方 雅昭 |