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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04W 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04W |
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管理番号 | 1300806 |
審判番号 | 訂正2014-390207 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2014-12-18 |
確定日 | 2015-03-19 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4898954号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4898954号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許第4898954号に係る発明は、2008年(平成20年)4月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年4月2日、欧州)を国際出願日として出願され、平成24年1月6日に特許権の設定登録がなされたものであって、平成26年12月18日に本件訂正審判が請求されたものである。 第2.請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4898954号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごと及び請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3.本件訂正の内容 本件訂正の内容は次のとおりである(下線は、請求人が付与)。 《請求項1?5からなる一群の請求項にかかる訂正について》 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「事前定義された特別な識別子」とあるのを、「事前定義された複数の特別な識別子」に訂正する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記特別な識別子を含む」とあるのを、「前記複数の特別な識別子のうちの1つを含む」に訂正する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「前記特別な識別子の検出」とあるのを、「前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出」に訂正する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「種々の特別な識別子を設け、該種々の特別な識別子」とあるのを、「前記複数の特別な識別子」に訂正する。 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に「ブロードキャストモード」が2箇所あるのを、いずれも「前記ブロードキャストモード」に訂正する。 《請求項6?9からなる一群の請求項にかかる訂正について》 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「事前定義された特別な識別子」とあるのを、「事前定義された複数の特別な識別子」に訂正する。 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に「前記特別な識別子を含む」とあるのを、「前記複数の特別な識別子のうちの1つを含む」に訂正する。 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項6に「前記特別な識別子の検出」とあるのを、「前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出」に訂正する。 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「種々の特別な識別子を設け、該種々の特別な識別子」とあるのを、「前記複数の特別な識別子」に訂正する。 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項9に「ブロードキャストモード」が2箇所あるのを、いずれも「前記ブロードキャストモード」に訂正する。 《請求項10に係る訂正について》 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項10に「特別な識別子を含む」とあるのを、「複数の特別な識別子を含む」に訂正する。 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項10に「前記特別な識別子は事前定義されており」とあるのを、「前記複数の特別な識別子は事前定義されており」に訂正する。 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項10に「前記特別な識別子の受信」とあるのを、「前記複数の特別な識別子のうちの1つの受信」に訂正する。 そして、上記訂正事項により、特許請求の範囲の記載は次のとおりのものとなる。 なお、下線部が訂正箇所であり、審判請求書に添付された特許請求の範囲の記載のとおりである。 「【請求項1】 端末装置が、 緊急事態の警告をサポートする、全ての端末装置に共通する事前定義された複数の特別な識別子を記憶し、 前記端末装置によって、受信したページングメッセージは前記複数の特別な識別子のうちの1つを含むか否かを検査し、 前記端末装置によって、前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出に基づき、ブロードキャストコンテンツを受信するためのブロードキャストモードに即座に切り替えることを特徴とする、方法。 【請求項2】 前記端末装置はモバイルネットワークに接続されているモバイル端末装置であり、前記ブロードキャストモードはGSMセルブロードキャストモードである、請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記端末装置は受信したブロードキャストコンテンツを前記端末装置のユーザに通知または表示する、請求項1または2記載の方法。 【請求項4】 前記複数の特別な識別子について前記端末装置は、前記ブロードキャストモードが前記端末装置において手動で無効にされるまで、または限定的な期間にわたり、または前記特別な識別子のうちの1つによって規定されるグループに前記端末装置が割り当てられる場合にのみ、前記ブロードキャストモードに切り替わることによって種々に反応する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 【請求項5】 前記特別な識別子は一時的な加入者モバイル識別子の形態を有するが、種々の端末装置に割り当てられて記憶される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。 【請求項6】 緊急事態の警告をサポートする、全ての端末装置に共通する事前定義された複数の特別な識別子を記憶する手段と、受信したページングメッセージは前記複数の特別な識別子のうちの1つを含むか否かを検査する手段(42,44,45)と、ブロードキャストコンテンツを受信するためのブロードキャストモードをサポートする手段(43)と、前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出に基づき即座に前記ブロードキャストモードに切り替える手段(45)とを有することを特徴とする、端末装置。 【請求項7】 前記端末装置はモバイルネットワーク(31)に接続されているモバイル端末装置(1)であり、前記ブロードキャストモードはGSMセルブロードキャストモードである、請求項6記載の端末装置。 【請求項8】 前記端末装置(1)は受信したコンテンツを前記端末装置のユーザに通知または表示する音響的な手段(46)および/または表示手段(47)を有する、請求項6または7記載の端末装置。 【請求項9】 前記複数の特別な識別子について前記端末装置は、前記ブロードキャストモードが前記端末装置において手動で無効にされるまで、または限定的な期間にわたり、または前記特別な識別子のうちの1つによって規定されるグループに前記端末装置が割り当てられる場合にのみ、前記ブロードキャストモードに切り替わることによって種々に反応するよう適合されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の端末装置。 【請求項10】 セルブロードキャストサービスおよびページングモードを実施するネットワークであって、 コンテンツをブロードキャストし、少なくとも1つのページングメッセージを送信し、 前記ページングメッセージは、該ページングメッセージを受信する端末装置をブロードキャストされた前記コンテンツを受信するためのブロードキャストサポートモードに切り替えるための複数の特別な識別子を含む、ネットワークにおいて、 前記少なくとも1つのページングメッセージがセル内の全ての端末装置に送信され、 前記複数の特別な識別子は事前定義されており、 前記端末装置は、前記複数の特別な識別子のうちの1つの受信に基づきブロードキャストモードに即座に切り替わるよう構成されていることを特徴とする、ネットワーク。」 第4.当審の判断 本件訂正における訂正事項1?13が、訂正の要件(特許法第126条に規定する要件)を満たすかについて以下で検討する。 《請求項1?5からなる一群の請求項にかかる訂正について》 1.訂正事項1について (1)訂正の目的 明細書【0017】段落には、「メモリユニット44はネットワーク31から端末装置1に割り当てられたTMSIおよび/または1つまたは複数の特別な識別子を記憶するために使用される。」(下線部は当審で付与した。)とあるから、「特別な識別子」は「1つ」である場合と「複数」である場合とが記載されている。 一方、請求項1の「事前定義された特別な識別子」との語句は「特別な識別子」の個数は何ら限定されていないから、「1つ」または「複数」の場合を含むと考えられる。したがって訂正事項1は、「1つ」または「複数」の個数を含む「特別な識別子」を「複数の特別な識別子」に訂正するものといえるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 したがって、訂正事項1のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「1.訂正事項1について」の「(1)訂正の目的」で上述したように、訂正事項1による訂正は特許請求の範囲の減縮であり、「複数の」という構成要件を直列的に付加するものであるから、明細書に記載した事項の範囲内においてされるものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 2.訂正事項2及び訂正事項3について (1)訂正の目的 明細書【0018】段落には、「ステップS52において、ページングメッセージに含まれているTMSIが、図4のメモリユニット44に記憶されている、ネットワークから端末装置1に割り当てられたTMSI、または、緊急事態の状況もしくは公衆の関心となる他の状況を指示する特別な識別子のうちの1つに対応するか否かが検査される。」、「ステップS52において、端末装置がページングメッセージ内のTMSIはメモリユニット44に記憶されている特別な識別子E-TMSIまたは特別な識別子のうちの1つに対応することを検出すると、」(下線部は当審で付与した。)とあるから、特別な識別子のうちの1つに対応することを検査、検出することが記載されている。 また、「1.訂正事項1について」の「(1)訂正の目的」で上述したように、明細書【0017】段落には、「特別な識別子」は「1つ」である場合と「複数」である場合とが記載されている。 一方、請求項1の「前記特別な識別子を含むか否かを検査」との語句は、検査の対象となる特別な識別子の個数は「1つ」なのか「複数」なのか明瞭ではなく、また、記憶されている複数の特別な識別子のうちの「1つ」を含むか否かを検査するのか、記憶されている複数の特別な識別子の全てを含むか否かを検査するのか、という点でも明瞭ではない。 同様に、請求項1の「前記特別な識別子の検出」との語句も、検出の対象となる特別な識別子の個数は「1つ」なのか「複数」なのか明瞭ではなく、また、「1つ」の特別な識別子を検出するのか、「複数」の特別な識別子を検出するのか、という点でも明瞭ではない。 訂正事項2及び訂正事項3は、それぞれ、請求項1の「前記特別な識別子を含む」、「前記特別な識別子の検出」という明瞭でない記載を、明細書【0017】,【0018】段落の記載に基いて「前記複数の特別な識別子のうちの1つを含む」、「前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出」と訂正することで、検査、検出する特別な識別子は複数であることを明瞭にし、さらに、複数の特別な識別子のうちの1つを、検査、検出することを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明に該当する。 したがって、訂正事項2及び訂正事項3のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「2.訂正事項2及び訂正事項3について」の「(1)訂正の目的」で上述したように、訂正事項2,3による訂正は明瞭でない記載を対象としており、検査、検出する特別な識別子は複数であること、及び、複数の特別な識別子のうちの1つを、検査、検出することを明記するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2及び訂正事項3の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 3.請求項1の独立特許要件について 訂正事項1の目的は特許請求の範囲の減縮であるから、請求項1に係る発明が独立特許要件を満たしているか検討する。 本件特許に係る出願は、拒絶の理由を発見しないとして特許査定されたものであり、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、再度検討しても、訂正後における請求項1に記載された事項により特定される発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 4.訂正事項4について (1)訂正の目的 「1.訂正事項1について」の「(1)訂正の目的」で上述したように、明細書【0017】段落には、「特別な識別子」は「1つ」である場合と「複数」である場合とが記載されている。 一方、本件訂正前の請求項4の「種々の特別な識別子を設け、該種々の特別な識別子」との語句は、「特別な識別子」を予め端末装置に記憶することで「設け」ておくのか、他のタイミングで他の場所に「設け」ておくのか明瞭でなく、また、「特別な識別子」とは引用する請求項1の「特別な識別子」と同じ識別子を示しているのか否か明瞭ではない。 訂正事項4は、請求項4の「種々の特別な識別子を設け、該種々の特別な識別子」という明瞭でない記載を、「前記複数の特別な識別子」に訂正することで、「設け」との語句が存在することにより生じる明瞭でない記載、及び、請求項1の「特別な識別子」との関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明に該当する。 したがって、訂正事項4のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 識別子とは、他のものと識別するものであるから、識別子が複数存在する場合、それぞれの識別子は他の識別子と識別できるものである。すなわち、複数の識別子は種々の識別子に実質対応するから、「種々の特別な識別子」と「複数の特別な識別子」とは実質対応している。 また、「特別な識別子を設け」に関連して、引用する請求項1には、「端末装置が、」「事前定義された特別な識別子を記憶し、」とあるから、請求項4の「特別な識別子」が請求項1の端末装置に記憶される事前定義された「特別な識別子」を示している場合には、「特別な識別子を設け」との記載は、既に請求項1に記載されているといえる。 したがって、「種々の特別な識別子を設け、該種々の特別な識別子」とあるのを、「前記複数の特別な識別子」に訂正する訂正事項4による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 5.訂正事項5について (1)訂正の目的 請求項4には「ブロードキャストモード」とあり、引用する請求項1にも「ブロードキャストモード」との語句があり、両者の「ブロードキャストモード」は同じものを示すのか否かが不明であって、請求項4の「ブロードキャストモード」との語句は明瞭ではない。 訂正事項5は、請求項4の「ブロードキャストモード」という明瞭でない記載を、「前記ブロードキャストモード」に訂正することで、請求項1の「ブロードキャストモード」との関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明に該当する。 したがって、訂正事項5のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「ブロードキャストモード」について、明細書中には、ブロードキャストモードという「モード」自体が複数存在することは記載されていないから、請求項4の「ブロードキャストモード」を引用する請求項1の「ブロードキャストモード」と同じものとする訂正事項5の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 《請求項6?9からなる一群の請求項にかかる訂正について》 6.訂正事項6について (1)訂正の目的 「1.訂正事項1について」の「(1)訂正の目的」と同様の理由により、訂正事項6のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「1.訂正事項1について」の「(2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更」と同様の理由により、訂正事項6の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 7.訂正事項7及び訂正事項8について (1)訂正の目的 「2.訂正事項2及び訂正事項3について」の「(1)訂正の目的」と同様の理由により、訂正事項7及び訂正事項8のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「2.訂正事項2及び訂正事項3について」の「(2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更」と同様の理由により、訂正事項7及び訂正事項8の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 8.請求項6の独立特許要件について 訂正事項6の目的は特許請求の範囲の減縮であるから、請求項6に係る発明が独立特許要件を満たしているか検討する。 本件特許に係る出願は、拒絶の理由を発見しないとして特許査定されたものであり、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、再度検討しても、訂正後における請求項6に記載された事項により特定される発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項6の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 9.訂正事項9について (1)訂正の目的 「4.訂正事項4について」の「(1)訂正の目的」と同様の理由により、訂正事項9のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「4.訂正事項4について」の「(2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更」と同様の理由により、訂正事項9の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 10.訂正事項10について (1)訂正の目的 「5.訂正事項5について」の「(1)訂正の目的」と同様の理由により、訂正事項10のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「5.訂正事項5について」の「(2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更」と同様の理由により、訂正事項10の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 《請求項10に係る訂正について》 11.訂正事項11及び訂正事項12について (1)訂正の目的 「1.訂正事項1について」の「(1)訂正の目的」と同様の理由により、訂正事項11及び訂正事項12のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「1.訂正事項1について」の「(2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更」と同様の理由により、訂正事項11及び訂正事項12の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 12.訂正事項13について (1)訂正の目的 「2.訂正事項2及び訂正事項3について」の「(1)訂正の目的」と同様の理由により、訂正事項13のように訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更 「2.訂正事項2及び訂正事項3について」の「(2)新規事項、及び特許請求の範囲の拡張又は変更」と同様の理由により、訂正事項13の訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 13.請求項10の独立特許要件について 訂正事項11及び訂正事項12の目的は特許請求の範囲の減縮であるから、請求項10に係る発明が独立特許要件を満たしているか検討する。 本件特許に係る出願は、拒絶の理由を発見しないとして特許査定されたものであり、訂正事項11及び訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、再度検討しても、訂正後における請求項10に記載された事項により特定される発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項11及び訂正事項12の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第5.むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ページングおよびセルブロードキャストサービスを使用して情報を提供するための方法とネットワークと装置 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、一般的に通信、殊にモバイル通信の分野に関するものであり、より詳細には、ページングおよびセルブロードキャストサービスを使用する情報の提供に関する。殊に、本発明により、拡張TMSI定義およびセルブロードキャストサービスを使用して緊急事態情報を提供することができる。 【0002】 大多数の人に起こり得る緊急事態および非常事態に関する情報を提供するための現行の手段はサイレンのような音響的な手段しか含んでおらず、このような手段では非常に限定的な情報しか提供できず、また有用な指示を得るためには二次的な情報チャネル、例えば無線放送が必要とされる。実際のところ、世界の幾つかの地域においてはそのようなインフラストラクチャすら存在していない。もしくは、人口密度の低い地域ではそのようなインフラストラクチャの配備は非効率的である。 【0003】 今日のGSMでは有効な緊急事態情報の配布を支援するための特別な対策は講じられていない。 欧州特許明細書EP 1 501 328 A2には、マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス(MBMS)制御情報をモバイル通信システムにおいて送受信するための装置と方法が開示されている。 欧州特許明細書EP 1 513 368 A2には、通信ネットワークにおいてブロードキャスト情報およびマルチキャスト情報をシグナリングするための方法が開示されている。 いずれの刊行物も、マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス(MBMS)および関連するシグナリングが開示されている。サービスは、マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービスとこのマルチメディアデータを受信する各モバイル端末装置との間の専用ポイント・ツー・マルチポイントコネクションによって特徴付けられている。各モバイル端末装置は先ず、マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービスの詳細の(MBMSシグナリングチャネルにおける)伝送のリクエストが(MBMSページングを介して)トリガされるためにMBMSサービスに加入しなければならない。伝送されたそれらの詳細を受信すると、モバイル端末装置は指示された無線ベアラを確立し、MBMSデータ伝送を受信する。多数のモバイル端末装置、すなわちモバイルオペレータの全ての加入者が、例えば緊急事態の警告を受信するためにMBMSに加入すると、これによりネットワークに過負荷が生じ、また応答数が多いことに起因してページングリクエストをブロックする可能性があり、したがって制限された数のモバイル端末装置しか緊急事態の警告を適時に受信できない。 刊行物WO 02/25974 A1にはテレコミュニケーションシステムにおける方法と装置が開示されている。より詳細には、この刊行物には、パケットページングメッセージまたはショートメッセージサービス(SMS)を介してUEのページングをどのように実現できるかについての方法が開示されている。パケットページング方法は、パケットページングメッセージを受信および評価するために、UEにGPRS機能の少なくとも一部をサポートすることを要求する。さらにこの刊行物には、ショートメッセージを送信することによってモバイル端末装置をページングする方法が開示されている。ショートメッセージセンター(SMC)には領域内の各UEにショートメッセージを送信することが要求される。領域内にある全てのUEの各電話番号または同様のアイデンティティを求めるための計算は手間が掛かる。ショートメッセージを送信するために必要とされる専用リソースが増大することに起因して、SMCまた無線リソースが不足する虞がある。 【0004】 本発明の課題は、緊急事態情報のような情報を大多数の人間に効果的に伝達するための方法および装置を提供することである。 【0005】 本発明により独立請求項または従属請求項のいずれかに記載されている方法、端末装置およびネットワークが提供される。 【0006】 本発明の少なくとも1つの実施形態においては、公衆陸上モバイルネットワーク、すなわちPLMN(public land mobile network)を基礎とする技術が使用される。既存のインフラストラクチャを利用することができる。本発明の1つまたは複数の実施形態においては、システムとしてGSMが選択される、何故ならばGSMは世界中の10億人以上のユーザをほぼ全地球的にカバーしているからである。 【0007】 本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、例えば、SMSタイプのブロードキャストサービスであり、且つ1つのセッションで通知およびメッセージコンテンツを提供するGSMセルブロードキャストサービスのような既存のブロードキャストサービスを使用することができる。セルブロードキャストサービスにより、基地局またはセルに接続または登録されている全てのモバイル端末装置にショートメッセージを送信することができる。GSM03.41はこのショートメッセージングサービス-セルブロードキャスト(SMS-CB;Short Message Service ‐ Cell Broadcast)を定義しており、これにより特定の地理領域内の全てのモバイルユーザにメッセージをブロードキャストすることができる。 【0008】 技術および標準は既に準備されているが、システム設計が通常の場合、電力が節約されるスリープモードをほぼ無視して、例えば不連続受信、すなわちDRXモードにおいて通知チャネルの非常に頻繁な読み込みを要求する。このことは端末装置のバッテリ消費および待機時間について深刻な影響を及ぼす。したがって、殆どの端末装置がそのような特徴をサポートしているにもかかわらず、オペレータはそれらのサービスを使用していない。 【0009】 本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル端末装置の待機時間に関する上述の重大な影響を回避しながら、セルブロードキャストサービスのようなブロードキャストサービスが緊急事態における支援のために使用される。本発明の少なくとも1つの実施形態においては、このサービスがページングメカニズムを使用して必要時にのみ端末装置によって能動的に呼び出される。 【0010】 以下では、幾つかの実施形態が図示されている添付の図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、これは図面および詳細な説明のいずれかの実施形態への制限または限定を意味するものではない。 【図面の簡単な説明】 【0011】 【図1】本発明の実施形態を説明するための略図を示す。 【図2】本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。 【図3】本発明の1つ、複数または全ての実施形態によるページングおよびブロードキャストの態様を説明するための基本的な略図を示す。 【図4】本発明による端末装置の実施形態を示す。 【図5】端末装置において実施されるような本発明による方法の実施形態のフローチャートを示す。 【0012】 図1は一実施形態を示し、この実施形態においては端末装置1、例えばモバイル端末装置、モバイル局またはユーザ装置などが基地局システムBSSまたはモバイル交換センタMSC2、もしくはその他のアクセスネットワークを介してネットワークに接続されている。ネットワークは、緊急事態の問題に対処するエマージェンシセンタ3、または緊急事態に関するコンテンツまたは緊急事態時に公衆の関心となる他のコンテンツのブロードキャストをネットワークに指示する別の装置を含む。ネットワークが例えば警察または医療機関から緊急事態または交通渋滞などのような他のあらゆるタイプの状況に関する情報を取得し、それらがネットワークのセルに接続されている全てのユーザに通知されるべき場合には、ステップS11においてネットワークはセルブロードキャストサービスとしてのブロードキャストサービスを開始する。ステップS12においては、無線アクセスネットワークRANまたはBSS/MSC2が、目下の緊急事態または公衆の関心となる他の状況を規定するエマージェンシコンテンツのブロードキャストを開始する。 【0013】 さらに、ステップS13においては、RANまたはBSS/MSC2が1つまたは複数のページングメッセージを送信し、このページングメッセージはE-TMSIのような特別な識別子を包含し、この特別な識別子がページングメッセージを受信する全ての端末装置1によって受け取られる。ステップS12およびS13を逆の順序で、または同時に実施することもできる。ステップS13におけるページングメッセージの受信に応じて、ステップS14において端末装置1はセルブロードキャストサービスサポートに切り替え、したがってブロードキャストチャネルの聴取を開始する。ステップS15においては、端末装置1がブロードキャストチャネルから受信したコンテンツを端末装置1のユーザに端末装置1のディスプレイまたは音響的な手段を介して表示または通知する。 【0014】 セルブロードキャストサービスの代わりに、エマージェンシコンテンツまたは他のコンテンツを端末装置に通知するために別のブロードキャストサービスも使用することができる。 【0015】 図2は、本発明による方法の実施形態を示す。ステップS21においては、エマージェンシコンテンツまたは重大度によって重要性が高められた他の目下のコンテンツを受信することによって、緊急事態の状況または公衆の関心となる他の状況に関する情報がネットワークに通知される。ステップS22においては、ネットワークがエマージェンシコンテンツまたは他の目下のコンテンツを配布するセルブロードキャストサービスを開始または使用する。さらにステップS23においては、ネットワークがページングメッセージの送信を開始し、このページングメッセージは緊急事態の状況または他の状況を指示する特別な識別子を含む。ステップS22およびS23を逆の順序で、または同時に実施することもできる。ページングメッセージの送信によって、E-TMSIのような特別な識別子を用いる緊急事態の状況を指示することができる。ステップS24において、端末装置がE-TMSIのような特別な識別子を含むページングメッセージを受信すると、端末装置はセルブロードキャストサービスまたはセルブロードキャストモードのサポートまたはアクティブ化に切り替えられる。ステップS25においては、端末装置がブロードキャストされたコンテンツを端末装置のユーザに表示またはアナウンスするか、別のやり方で通知する。 【0016】 図3は一般的な概観を示し、ここでは3GPPネットワーク31のようなネットワークがページングメッセージおよびブロードキャストメッセージをセルラモバイルネットワーク31に接続されている端末装置1に送信する。ブロードキャストされるコンテンツを受信するユーザの数を増加させるために、ページングメッセージおよびブロードキャストメッセージをネットワークの1つまたは複数または全てのセルに伝送することができる。 【0017】 図4は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、端末装置1の内部構造を示す。図4の端末装置1は、エアインタフェースを介して信号を送受信するためのトランシーバ41と、受信したページングメッセージを処理または評価するためのページングモードユニット42と、ブロードキャストされるメッセージを考慮してブロードキャストチャネルを頻繁にチェックすることによってセルブロードキャストサービスをサポートするセルブロードキャストモードユニット43とを有する。メモリユニット44はネットワーク31から端末装置1に割り当てられたTMSIおよび/または1つまたは複数の特別な識別子を記憶するために使用される。このTMSIおよび/または特別な識別子がネットワークから伝送されると、端末装置1はセルブロードキャストモードのサポートを開始またはアクティブ化する。制御ユニット45は端末装置1の幾つかまたは全ての機能もしくは図4に示されているユニットのうちの少なくとも幾つかを制御する。音響ユニット46により、可能であれば音響的な形態で、もしくは音響的な形態に変換して、ブロードキャストされたコンテンツの音響的な通知が可能となる。ディスプレイユニット47はブロードキャストされたコンテンツまたは他のコンテンツを視覚的に表示する。 【0018】 図5は、本発明の1つまたは複数または全ての実施形態による、端末装置1のような端末装置の機能を示す。ステップS51において、端末装置1がページングメッセージを受信すると、図4の端末装置1またはページングモードユニット42はステップS52において、ページングメッセージに含まれているTMSIが、図4のメモリユニット44に記憶されている、ネットワークから端末装置1に割り当てられたTMSI、または、緊急事態の状況もしくは公衆の関心となる他の状況を指示する特別な識別子のうちの1つに対応するか否かが検査される。ステップS52において、端末装置がページングメッセージ内のTMSIはネットワークから端末装置に割り当てられた一時的なTMSIに対応することを検出すると、処理はステップS53に進み、端末装置は慣用のやり方で物理的および/または論理的なチャネルを確立する。ステップS52において、端末装置がページングメッセージ内のTMSIはメモリユニット44に記憶されている特別な識別子E-TMSIまたは特別な識別子のうちの1つに対応することを検出すると、処理はステップS54に進み、端末装置1はセルブロードキャストモードのサポートまたは視聴に切り替え、さらにステップS55においてブロードキャストコンテンツ、例えばエマージェンシコンテンツを受信、通知および/または表示する。受信したページングメッセージのTMSIが割り当てられたTMSIまたはE-TMSIに対応しなければ、ページングメッセージは無視され、何の応答も行われない。 【0019】 本発明の少なくとも1つまたは複数の実施形態によれば、既存の回線交換CSのようなページングメカニズムは、セルに接続されている端末装置にページングメッセージを送信するため、または基地局またはNode Bのような送信器を視聴するために使用される。ページングメッセージは有利には、特別な一時的なモバイル加入者識別子TMSIのような特別な識別子を含む。ページングメッセージが端末装置に向けて送信されたものであるか否かを検査するために、端末装置は受信したページングメッセージを慣用のやり方でTMSIまたは識別子に関して検査する。端末装置がページングメッセージに含まれた識別子は特別な識別子であることを検出すると、端末装置にはページングメッセージを緊急事態についての通知として解釈すべきことが通知される。端末装置は、例えば特別な識別子を含むページングメッセージを受信するとブロードキャストサービスに切り替えるか、ブロードキャストサービスをアクティブ化するよう構成されている。したがってページングメカニズムはブロードキャスト受信モードに端末装置を切り替えるために修正されている。メカニズムおよびメッセージは、ページングメッセージを緊急事態についての通知として解釈することができない端末装置と後方互換がある。特別な識別子を含むページングメッセージを緊急事態についての通知として解釈できない端末装置はページングメッセージを単純に無視する可能性がある。 【0020】 本発明の少なくとも1つの実施形態においては、そのようなページングメッセージは特別なTMSIとして形成されている特別な識別子を含むように形成されている。全ての端末装置は受信した特別なTMSIを有効なものとして識別している。 【0021】 通常の場合、端末装置は国際モバイル加入者識別子IMSI(international mobile subscriber identity)から導出されたTMSIを受信する。IMSIの使用によりページングすべき端末装置を10グループにずらすことができ、これによって大きいDRXサイクルが可能となる。 【0022】 GSM内には10のページンググループが存在し、ページングメッセージを送信するセル内の全ての端末装置の(IMSIから導き出された)10%のみがページングメッセージを視聴する。ネットワークは全ての端末装置にページングするために次のページングサイクルにおいてページンググループを変更する。 【0023】 3GPP TS 23.003 V7.1.0(2006-09),chapter 2は実際の有効加入者識別子、例えばIMSI,TMSIまたはP-TMSIを規定している。本発明の1つまたは複数または全ての実施形態によれば、付加的な特別な識別子、例えばE(エマージェンシ)-TMSIを使用することができ、また付加的にこの章において規定することができる。E(エマージェンシ)-TMSIの代わりに、フォーマットおよびコンテンツがセルブロードキャストサービスへの視聴に切り替えるための指示としての特別な識別子を端末装置が認識できるようなものであれば、この特別な識別子のために別の名称を使用することができる。VLR内およびVLRによって制御される領域内、またはSGSN内およびSGSNによって制御される領域内に局所的な重要性を有している、端末装置に割り当てられた通常のTMSIに類似して、E-TMSIのような特別な識別子を4オクテットから構成することができ、また例えば完全な16進数表現を使用して符号化することができ、局所的な必要性に適合させるために任意に選択された構造およびコーディングが使用される。端末装置には製造段階において、または後に装置管理部などによって1つまたは複数の特別な識別子についての情報を通知することができ、またこの1つまたは複数の識別子を連続的に、もしくは他の特別な識別子によって置換されるまで、または取り消されるまで記憶することができる。 【0024】 端末装置に一時的に割り当てられた通常のTMSIと特別な識別子はTMSIの数ビットを使用して区別することができる。E-TMSIを固定することができ、したがって一時的に割り当てられるのではなく、複数の端末装置およびセルにおいて有効となるので、特別な識別子はローミング時に変更されない。 【0025】 E-TMSIのような特別な識別子を通常のTMSIと同様に加入者識別モジュールSIMまたは端末装置の他のストレージに記憶することができるので、複数または全ての端末装置が同一の特別な識別子を記憶することができる。 【0026】 ページングメッセージを受信すると、端末装置はページングメッセージに含まれているTMSIが割り当てられたTMSIまたは特別な識別子に対応するかを検査する。 【0027】 通常のTMSIとは異なり、特別な識別子は排他的に1つの端末装置にのみ割り当てられるのではなく、本発明の1つまたは複数または全ての実施形態にしたがい、複数の端末装置または全ての端末装置に同一にセットされる。 【0028】 本発明による端末装置はモバイル局、ユーザ装置または他のタイプのモバイル装置または固定装置でよい。 【0029】 本発明の少なくとも1つの実施形態によるモバイルのような端末装置はページングメッセージにおいて前述のようなTMSI、およびE(エマージェンシ)-TMSIのような特別な識別子を受け取り、これはページンググループ割り当ても指示することができ、また一般的に全ての端末装置によって受け取られる。E-TMSIは緊急事態の状況を指示するためにユニークな番号パターンを使用する。このページングメッセージを受け取るページング領域内の全ての端末装置の10%(また後続のページングメッセージにおいては別の10%が該当し、これが以下同様に続く)が配布されるエマージェンシメッセージコンテンツを取得するためにポイント・ツー・ポイントコネクションを確立しようとし、したがってリソースにラッシュが生じ、システムがオーバーロード状況に陥るかもしれないという欠点を回避するために、端末装置はページングメッセージ内に特別な識別子を検出すると、ポイント・ツー・ポイントコネクションを確立する代わりに、ブロードキャストモードに切り替わるよう適合されている。 【0030】 本発明の実施形態によれば、両方のGSM技術、すなわちセルブロードキャストサービスおよびページングメカニズムの利点を効果的な緊急事態情報提供システムに統合することができる。 【0031】 したがって本発明は、緊急事態の状況を指示するための一般的な識別子として、上述したようなE-TMSIのような特別な識別子を採用する。モバイルが有効なE-TMSIを受信しても、モバイルはPtPコネクションを確立しない。その代わりに、モバイルはセルブロードキャストモードに切り替わり、エマージェンシ情報コンテンツに関するセルブロードキャスト通知チャネルの監視を開始する。E-TMSIを種々のやり方で形成することができるが、全ては先験的にE-TMSIとして端末装置に既知である。 【0032】 本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、単一の特別な識別子、例えば単一のE-TMSIが提供されるのではなく、2つまたはそれ以上の特別な識別子のグループを提供することができる。E-TMSIのグループの存在により以下のオプションが可能となる。 【0033】 第1の特別な識別子、第1のE-TMSIは端末装置においてセルブロードキャストモードを無限の時間にわたり、すなわちユーザが手動でサービスを停止するまでアクティブにする。したがって端末装置は手動でスイッチオフされるまで、全てのセルブロードキャストメッセージの連続的な受信を開始する。 【0034】 別の形態またはビットコンテンツの第2のE-TMSIは端末装置において所定時間(例えば1時間)にのみセルブロードキャストモードをアクティブにし、この場合、端末装置はセルブロードキャストモードを自動的に停止する。この第2のE-TMSIによりバッテリが節約され、またこの第2のE-TMSIを緊急事態の重大度が限定的であると予想される場合に使用することができる。 【0035】 別の形態またはビットコンテンツの第3のE-TMSIをユーザの差別されたグループ、例えば医療関係者、警察職員などに使用させることができる。この第3のE-TMSIを特定のグループに特別な情報を配布するために使用することができる。 【0036】 特別な識別子のグループが存在する場合には、ネットワークはブロードキャストすべき緊急事態のタイプまたは情報のコンテンツに依存して特別な識別子を選択し、その選択した識別子を1つまたは複数のセルにおいて伝送される1つまたは複数のページングメッセージに含ませる。 【0037】 本発明の実施形態においては、特別な識別子またはE-TMSIとして使用されるTMSIコードのグループが導入される。端末装置は有効なE-TMSIセットの知識を先験的に有しており、またこれらの特別な識別子のうちの1つを含むページングメッセージを受信しても個別の物理的および論理的なチャネルを確立しない。その代わりに、ページングメッセージ内のE-TMSIの受信によって、特別なフォーマットのページングメッセージを受信した全ての端末装置において自律的にセルブロードキャストモードのサポートが開始される。続いて端末装置はセルブロードキャスト通知チャネルを監視し、エマージェンシメッセージを効果的にブロードキャストメッセージとして受信する。 【0038】 有利には、必要とされる全ての技術が既に存在している。事前に定義されたモバイルの作動を惹起する1つの新たなTMSI値またはそのサブセットの導入により、通常は電力消費の理由から使用できないセルブロードキャストサービスを一時的に使用することが可能となる。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 端末装置が、 緊急事態の警告をサポートする、全ての端末装置に共通する事前定義された複数の特別な識別子を記憶し、 前記端末装置によって、受信したページングメッセージは前記複数の特別な識別子のうちの1つを含むか否かを検査し、 前記端末装置によって、前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出に基づき、ブロードキャストコンテンツを受信するためのブロードキャストモードに即座に切り替えることを特徴とする、方法。 【請求項2】 前記端末装置はモバイルネットワークに接続されているモバイル端末装置であり、前記ブロードキャストモードはGSMセルブロードキャストモードである、請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記端末装置は受信したブロードキャストコンテンツを前記端末装置のユーザに通知または表示する、請求項1または2記載の方法。 【請求項4】 前記複数の特別な識別子について前記端末装置は、前記ブロードキャストモードが前記端末装置において手動で無効にされるまで、または限定的な期間にわたり、または前記特別な識別子のうちの1つによって規定されるグループに前記端末装置が割り当てられる場合にのみ、前記ブロードキャストモードに切り替わることによって種々に反応する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 【請求項5】 前記特別な識別子は一時的な加入者モバイル識別子の形態を有するが、種々の端末装置に割り当てられて記憶される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。 【請求項6】 緊急事態の警告をサポートする、全ての端末装置に共通する事前定義された複数の特別な識別子を記憶する手段と、受信したページングメッセージは前記複数の特別な識別子のうちの1つを含むか否かを検査する手段(42,44,45)と、ブロードキャストコンテンツを受信するためのブロードキャストモードをサポートする手段(43)と、前記複数の特別な識別子のうちの1つの検出に基づき即座に前記ブロードキャストモードに切り替える手段(45)とを有することを特徴とする、端末装置。 【請求項7】 前記端末装置はモバイルネットワーク(31)に接続されているモバイル端末装置(1)であり、前記ブロードキャストモードはGSMセルブロードキャストモードである、請求項6記載の端末装置。 【請求項8】 前記端末装置(1)は受信したコンテンツを前記端末装置のユーザに通知または表示する音響的な手段(46)および/または表示手段(47)を有する、請求項6または7記載の端末装置。 【請求項9】 前記複数の特別な識別子について前記端末装置は、前記ブロードキャストモードが前記端末装置において手動で無効にされるまで、または限定的な期間にわたり、または前記特別な識別子のうちの1つによって規定されるグループに前記端末装置が割り当てられる場合にのみ、前記ブロードキャストモードに切り替わることによって種々に反応するよう適合されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の端末装置。 【請求項10】 セルブロードキャストサービスおよびページングモードを実施するネットワークであって、 コンテンツをブロードキャストし、少なくとも1つのページングメッセージを送信し、 前記ページングメッセージは、該ページングメッセージを受信する端末装置をブロードキャストされた前記コンテンツを受信するためのブロードキャストサポートモードに切り替えるための複数の特別な識別子を含む、ネットワークにおいて、 前記少なくとも1つのページングメッセージがセル内の全ての端末装置に送信され、 前記複数の特別な識別子は事前定義されており、 前記端末装置は、前記複数の特別な識別子のうちの1つの受信に基づきブロードキャストモードに即座に切り替わるよう構成されていることを特徴とする、ネットワーク。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2015-02-16 |
結審通知日 | 2015-02-18 |
審決日 | 2015-03-10 |
出願番号 | 特願2010-501504(P2010-501504) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(H04W)
P 1 41・ 853- Y (H04W) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 深津 始 |
特許庁審判長 |
佐藤 聡史 |
特許庁審判官 |
▲広▼島 明芳 江口 能弘 |
登録日 | 2012-01-06 |
登録番号 | 特許第4898954号(P4898954) |
発明の名称 | ページングおよびセルブロードキャストサービスを使用して情報を提供するための方法とネットワークと装置 |
代理人 | 北口 智英 |
代理人 | 黒田 博道 |
代理人 | 北口 智英 |
代理人 | 黒田 博道 |