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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1301924 |
審判番号 | 不服2013-25202 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-20 |
確定日 | 2015-06-10 |
事件の表示 | 特願2010-516251「検索レート制御によってアクセス端末のバッテリ寿命を向上させること」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月15日国際公開、WO2009/009702、平成22年10月21日国内公表、特表2010-533465〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成20年7月10日(パリ条約に基づく優先権主張 2007年7月10日 米国、2008年7月9日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年11月28日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成24年5月7日に手続補正がなされ、平成24年11月30日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対して平成25年4月30日に意見書が提出され、平成25年8月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年12月20日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。 第2.平成25年12月20日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成25年12月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正内容 本件補正は、補正前の特許請求の範囲(平成24年5月7日付けで補正)の請求項1: 「【請求項1】 第1のネットワークと通信することと、 前記第1のネットワークから第2のネットワークに関連した情報を読み出すことと、 前記情報が前記第2のネットワークのためのセルリストを含む場合、前記第1のネットワークとまだ通信している間に、検索レートでインターシステムハンドオーバのために前記第2のネットワークを検索することと、 バックオフスキームを実現する間、少なくとも一つの基準の少なくとも一部に基づいて前記検索レートを制御することと、 を具備する通信デバイスに関する操作上の方法。」を、 「【請求項1】 第1のネットワークと通信することと、 前記第1のネットワークから第2のネットワークに関連した情報を読み出すことと、 前記情報が前記第2のネットワークに対して隣接するセルリストを含む場合、前記第1のネットワークとまだ通信している間に、前記第2のネットワークが識別されるまで、検索レートでインターシステムハンドオーバのために前記第2のネットワークを検索することと、 バックオフスキームを実現する間、少なくとも一つの基準の少なくとも一部に基づいて前記検索レートを制御することと、 を具備する通信デバイスに関する操作上の方法。」 と補正することを含むものである。ただし、下線は当審が付加した。 すなわち、本件補正は、請求項1において、 a.「前記第2のネットワークのためのセルリスト」を「前記第2のネットワークに対して隣接するセルリスト」と補正し、 b.「検索レートでインターシステムハンドオーバのために前記第2のネットワークを検索する」を「前記第2のネットワークが識別されるまで、検索レートでインターシステムハンドオーバのために前記第2のネットワークを検索する」と補正することを含むものである。 2.補正の目的 上記補正事項a.は、「セルリスト」を「隣接するセルリスト」と限定的に減縮したものである。 上記補正事項b.は、「第2のネットワークを検索する」に対して、「前記第2のネットワークが識別されるまで、」を付加して限定的に減縮したものである。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開2004-356684号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (a)段落番号【0030】-【0039】 「【0030】 次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、2G用制御部12から得られる情報を用いて3G用制御部13によりセルサーチ周期を決定する方法について、図2のブロック図と図3のフローチャートを併せ参照して説明する。ここで、携帯電話機は3Gの圏外状態、すなわち、携帯電話機は3Gのエリア内に在圏しており、3Gの基地局からの電波が届いている(電波的には圏内にいる)も、まだセルを発見できていない状態とする。また、携帯電話機は2Gのエリア内にも在圏しているものとする。 【0031】 まず、3G用の制御部13は3Gセルサーチの周期T_3Gに初期値を設定し(ステップS1)、続いてタイマTsearchをスタートする(ステップS2)。なお、このタイマTsearchは以下の手順の間も常にカウントアップしており、タイマTsearchのカウント値が、3Gセルサーチの周期T_3Gの値より大きくなった時点で、3Gセルサーチを開始するためのタイマである。 【0032】 次に、3G用の制御部13は2G用の制御部12から、2Gのセルの移り変わりの頻度を現す指標Nrと、2Gセルの受信電界強度Rx_Levを入手する(ステップS3)。ここで、上記の2Gのセルの移り変わりの頻度を現す指標Nrは、2Gの状態によりそれぞれ制御部12から得られる下記の情報が用いられる。すなわち、2G通信中は一定時間(T1)あたりに発生したハンドオーバーの回数、前記2Gアイドル中は一定時間(T1)あたりに発生したセル移動(Cell Reselection)の回数、前記2Gノーサービス状態では一定時間(T1)あたりに発生した検出セル数の変化量が、上記の指標Nrとして用いられる。 【0033】 従って、例えば2Gノーサービス状態で、一定時間Tlに2Gが4回セルサーチを行い、そのとき検出されたセルの数が、それぞれ2→3→1→5だとすると、上記の指標Nrは7(=|2-3|+|3-1|+|1-5|)となる。 【0034】 続いて、3G用の制御部13は上記情報Nr及びRx_Levと、本体記憶部16に予め格納されているテーブルを基に、3Gセルサーチ周期T_3Gを変更する(ステップS4)。上記のテーブルは、例えば図4に示すように、NrとRx_Levとを対応付けて3Gセルサーチ周期T_3Gを示すテーブルであり、このテーブルを上記情報Nr及びRx_Levで参照することで、3Gセルサーチ周期T_3Gの値が決定される。例えば、Nr=2,Rx_Lev=-35(dBm)とすると、図4から3Gセルサーチ周期T_3Gは50sと決定される。 【0035】 ここで、2Gシステムより入手した上記の指標Nrが0のときには、携帯電話機が静止していると判断され、また、上記の指標Nrが大きい値ほど、携帯電話機が速く移動していると判断され、携帯電話機が静止していると判断したときに、移動しているときに比べて図4のテーブルから分かるように、3Gセルサーチの周期T_3Gを長く設定するので、静止時の無駄な3Gセルサーチを抑制でき、消費電力の削減ができる。他方、携帯電話機が移動していると判断した場合Gセルサーチの周期T_3Gを静止時よりも短く設定するので、3Gセルの検出を早めることができる。 【0036】 また、上記のテーブルから分かるように、2Gの受信電界が悪いときはRx_Levが低くなり(絶対値が大となり)、このときには3Gセルサーチの周期T_3Gを短く設定することになる。このため、2Gが圏外になる前に3Gのセルサーチを開始することが可能となり、2G及び3G共に圏外となることが減る。 【0037】 続いて、3G用の制御部13は前記タイマTsearchのカウント値が、3GセルサーチタイマT_3Gの値より大きくなったかどうか判定する(ステップS5)。タイマTsearchのカウント値が、3Gセルサーチ周期T_3Gの値以下であるときには、一定時間待機(Wait)した後(ステップS7)、上述したステップS3、S4の処理を繰り返し、再びステップS5の判定処理を行う。 【00038】 一方、ステップS5でタイマTsearchのカウント値が、3Gセルサーチ周期T_3Gの値より大きくなったと判定された場合は、3Gセルサーチを開始する(ステップS6)。そして、制御部13は、上記の3Gセルサーチによりセルを発見できたかどうかを判断する(ステップS8)。このステップS8での3Gセルの発見は、CPICH(コモン・パイロット・チャネル)の受信電界レベルが閾値以上となったか否かにより判断する。 【0039】 セルを発見できなかったときには、前記ステップS2に戻り、ステップS2のタイマスタート処理からやり直す。他方、ステップS8でセルを発見できた場合は、制御部13は3Gの発見できたセルの基地局に対しその携帯電話機に割り当てられている固有のIDを基地局に送信して位置登録を開始し、位置登録が成功すれば3Gの待ち受け状態へ移行する(ステップS9)。」 したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「携帯電話機は3Gの圏外状態、すなわち、携帯電話機は3Gのエリア内に在圏しており、3Gの基地局からの電波が届いている(電波的には圏内にいる)も、まだセルを発見できていない状態であり、また、携帯電話機は2Gのエリア内にも在圏しているものとし、 まず、3G用の制御部13は3Gセルサーチの周期T_3Gに初期値を設定し(ステップS1)、続いてタイマTsearchをスタートし(ステップS2)、なお、このタイマTsearchは以下の手順の間も常にカウントアップしており、タイマTsearchのカウント値が、3Gセルサーチの周期T_3Gの値より大きくなった時点で、3Gセルサーチを開始するためのタイマであり、 次に、3G用の制御部13は2G用の制御部12から、2Gのセルの移り変わりの頻度を現す指標Nrと、2Gセルの受信電界強度Rx_Levを入手し(ステップS3)、ここで、上記の2Gのセルの移り変わりの頻度を現す指標Nrは、2Gの状態によりそれぞれ制御部12から得られる下記の情報が用いられ、すなわち、2G通信中は一定時間(T1)あたりに発生したハンドオーバーの回数、2Gアイドル中は一定時間(T1)あたりに発生したセル移動(Cell Reselection)の回数、2Gノーサービス状態では一定時間(T1)あたりに発生した検出セル数の変化量が、上記の指標Nrとして用いられ、 続いて、3G用の制御部13は上記情報Nr及びRx_Levと、本体記憶部16に予め格納されているテーブルを基に、3Gセルサーチ周期T_3Gを変更し(ステップS4)、 ここで、2Gシステムより入手した上記の指標Nrが0のときには、携帯電話機が静止していると判断され、また、上記の指標Nrが大きい値ほど、携帯電話機が速く移動していると判断され、携帯電話機が静止していると判断したときに、移動しているときに比べて3Gセルサーチの周期T_3Gを長く設定するので、静止時の無駄な3Gセルサーチを抑制でき、消費電力の削減ができ、他方、携帯電話機が移動していると判断した場合Gセルサーチの周期T_3Gを静止時よりも短く設定するので、3Gセルの検出を早めることができ、 また、2Gの受信電界が悪いときはRx_Levが低くなり(絶対値が大となり)、このときには3Gセルサーチの周期T_3Gを短く設定することになり、このため、2Gが圏外になる前に3Gのセルサーチを開始することが可能となり、2G及び3G共に圏外となることが減り、 続いて、3G用の制御部13は前記タイマTsearchのカウント値が、3GセルサーチタイマT_3Gの値より大きくなったかどうか判定し(ステップS5)、タイマTsearchのカウント値が、3Gセルサーチ周期T_3Gの値以下であるときには、一定時間待機(Wait)した後(ステップS7)、上述したステップS3、S4の処理を繰り返し、再びステップS5の判定処理を行い、 一方、ステップS5でタイマTsearchのカウント値が、3Gセルサーチ周期T_3Gの値より大きくなったと判定された場合は、3Gセルサーチを開始し(ステップS6)、そして、制御部13は、上記の3Gセルサーチによりセルを発見できたかどうかを判断し(ステップS8)、このステップS8での3Gセルの発見は、CPICH(コモン・パイロット・チャネル)の受信電界レベルが閾値以上となったか否かにより判断し、 セルを発見できなかったときには、前記ステップS2に戻り、ステップS2のタイマスタート処理からやり直し、他方、ステップS8でセルを発見できた場合は、制御部13は3Gの発見できたセルの基地局に対しその携帯電話機に割り当てられている固有のIDを基地局に送信して位置登録を開始し、位置登録が成功すれば3Gの待ち受け状態へ移行する(ステップS9)方法。」 4.本願補正発明と引用発明の一致点・相違点 引用発明では、携帯電話機は2Gのエリア内にも在圏しており、2G通信中は一定時間(T1)あたりに発生したハンドオーバーの回数を、2Gのセルの移り変わりの頻度を現す指標Nrとしている。 したがって、この引用発明における2G通信中を想定すれば、引用発明の「2G」、「携帯電話機」が、各々、本願補正発明の「第1のネットワーク」、「通信デバイス」に相当し、本願補正発明と引用発明とは、「第1のネットワークと通信すること」を具備する点で一致している。 引用発明では、2G通信中であっても、ステップS5でタイマTsearchのカウント値に関して、所定の条件が満たされている時には、ステップS6で3Gセルサーチを開始する。そして、ステップS8で3Gセルサーチによりセルを発見できた時には、ステップS9へ抜けて3Gセルサーチを止めるが、ステップS8で3Gセルサーチによりセルを発見できない時には、ステップS2に戻り、3Gセルサーチを継続する。 したがって、引用発明の「3G」が、本願補正発明の「第2のネットワーク」に相当し、本願補正発明と引用発明とは、「前記第1のネットワークとまだ通信している間に、前記第2のネットワークが識別されるまで、検索レートで前記第2のネットワークを検索すること」を具備する点で一致している。 引用発明では、携帯電話機が静止していると判断したときに、移動しているときに比べて3Gセルサーチの周期T_3Gを長く設定するので、静止時の無駄な3Gセルサーチを抑制でき、消費電力の削減ができている。 引用発明の3Gセルサーチの周期T_3Gを変化させることは、本願補正発明の「検索レートを制御すること」に相当する。また、引用発明の3Gセルサーチの周期T_3Gを長く設定することは、本願補正発明の「バックオフスキームを実現する」に相当する。したがって、引用発明の携帯電話機が静止しているという判断が、本願補正発明の「基準」に相当し、本願補正発明と引用発明とは、「バックオフスキームを実現する間、少なくとも一つの基準の少なくとも一部に基づいて前記検索レートを制御すること」を具備する点で一致している。 また、引用発明では、2Gの受信電界が悪いときは3Gセルサーチの周期T_3Gを短く設定している。これは、言い方を変えれば、「2Gの受信電界が良好なときには、3Gセルサーチの周期T_3Gを長く設定する。」と表現することができる。 引用発明の3Gセルサーチの周期T_3Gを変化させることは、本願補正発明の「検索レートを制御すること」に相当する。また、引用発明の3Gセルサーチの周期T_3Gを長く設定することは、本願補正発明の「バックオフスキームを実現する」に相当する。したがって、引用発明の2Gの受信電界が良好であることが、本願補正発明の「基準」に相当し、本願補正発明と引用発明とは、「バックオフスキームを実現する間、少なくとも一つの基準の少なくとも一部に基づいて前記検索レートを制御すること」を具備する点で一致している。 したがって、本願補正発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「第1のネットワークと通信することと、 前記第1のネットワークとまだ通信している間に、第2のネットワークが識別されるまで、検索レートで前記第2のネットワークを検索することと、 バックオフスキームを実現する間、少なくとも一つの基準の少なくとも一部に基づいて前記検索レートを制御することと、 を具備する通信デバイスに関する操作上の方法。」である点。 [相違点1] 本願補正発明は、第1のネットワークから第2のネットワークに関連した情報を読み出すことを具備し、前記情報が前記第2のネットワークに対して隣接するセルリストを含む場合、前記第2のネットワークを検索するのに対し、引用発明には、かかる事項が記載されていない点。 [相違点2] 本願補正発明では、第2のネットワークを検索するのは、インターシステムハンドオーバのためであるのに対して、引用発明では、ステップS8で3Gセルを発見できた場合、ステップS9で位置登録をしているが、インターシステムハンドオーバをするか否かは不明な点。 5.相違点についての検討 [相違点1について] 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2(国際公開第2007/015795号)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (b)段落[0025] 「[0025] Figure 3 is a flow diagram of a process for supporting an E-UTRAN in accordance with the present invention. A WTRU 352 listens to a channel, (e.g., a broadcast control channel (BCCH)), on the UTRAN 354 (step 302). The UTRAN 354 sends, (or indicates), a list of available RATs, (such as E-UTRAN 356 RAT), within the coverage area of the UTRAN 354 to the WTRU 352 (step 304). The list of available RATs is preferably sent via a UTRAN cell information list message. However, the list may be sent via any type of messages. The UTRAN cell information list message contains information on intra-frequency cells, inter-frequency cells and inter-RAT cells. The conventional UTRAN cell information list message is modified to include new information elements (IEs) for the E-UTRAN 356. 」 (当審訳:[0025]図3は、本発明に従ってE-UTRANをサポートするプロセスのフロー図である。WTRU352はUTRAN354上のチャネル(例えば、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH:broadcast control channel))を監視(listen to)する(ステップ302)。UTRAN354は、UTRAN354のカバレッジエリア内部で(E-UTRAN356RATのような)利用可能なRATのリストをWTRU352に送信する(または指示(indicate)する)(ステップ304)。利用可能なRATのリストを、UTRANセル情報リストメッセージを介して送信することが望ましい。ただし、このリストを任意の種類のメッセージを介して送信してもよい。 UTRANセル情報リストメッセージは、周波数内セル、周波数間セルおよびRAT間セル上の情報を含む。従来のUTRANセル情報リストメッセージを修正して、E-UTRAN356に対する新規の情報要素(IE:information element)を含める。) (c)段落[0031] 「[0031] Referring again to Figure 3, the WTRU 352 receives the measurement capabilities message. The WTRU 352 then performs measurements on the E-UTRAN signals 315 on E-UTRAN channels indicated in the measurement capabilities message and reports measurement results to the UTRAN 354 (step 314). The UTRAN 354 may initiate a handoffto the E-UTRAN 356 based on the measurement reports. 」 (当審訳:[0031]図3を再度参照する。WTRU352は測定ケイパビリティメッセージを受信する。WTRU352は次いで、測定ケイパビリティメッセージ内で示されるE-UTRANチャネルにおいてE-UTRAN信号315上で測定を実施し、測定結果をUTRAN354に報告する(ステップ314)。UTRAN354はE-UTRAN356に対するハンドオフを、測定報告に基づいて開始することができる。) 刊行物2では、ステップ304において、UTRAN354は、UTRAN354のカバレッジエリア内部でE-UTRAN356RATのような利用可能なRATのリストをWTRU352に送信、または指示(indicate)する。そして、利用可能なRATのリストを、UTRANセル情報リストメッセージを介して送信することが望ましく、該UTRANセル情報リストメッセージは、周波数内セル、周波数間セルおよびRAT間セル上の情報を含んでいる。そしてその後のステップ314において、WTRU352は、測定ケイパビリティメッセージ内で示されるE-UTRANチャネルにおいてE-UTRAN信号315上で測定を実施している。 この測定結果に基づいて、UTRAN354はE-UTRAN356に対するハンドオフを開始するから、この測定は、E-UTRAN356のセルサーチである。そして、このE-UTRAN356のセルサーチは、UTRANセル情報リストメッセージの中に、UTRANとは別のE-UTRAN356RATのRAT間セル上の情報を含んでいる場合に開始されている。このRAT間セルは、ハンドオフする可能性があるセルであるから、隣接セルを含むことは明らかである。 したがって、刊行物2では、現在通信中のネットワークのからのメッセージ中に、別のネットワークの隣接セルリストが存在することにより、別のネットワークのセルサーチを行っているから、引用発明において、2Gのネットワークから3Gのネットワークに関連した情報を読み出して、該情報に3Gのネットワークの隣接するセルリストが含まれる場合に、3Gのセルサーチを行うようにすることにより、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 [相違点2について] 引用発明では、2Gの受信電界が悪いときはRx_Levが低くなり(絶対値が大となり)、このときには3Gセルサーチの周期T_3Gを短く設定することとなり、このため、2Gが圏外になる前に3Gのセルサーチを開始することが可能になり、2G及び3G共に圏外となることが減る。 この時、携帯電話機は2Gの圏外となる直前の位置にいるわけだから、3Gのセルを発見した時には、3Gの発見できたセルの基地局に対して位置登録をするだけでなく、3Gの発見できたセルの基地局にシステム間ハンドオーバすることは、当業者が容易に想到できたことである。 システム間ハンドオーバは、インターシステムハンドオーバともいうから、この場合、3Gセルサーチは、インターシステムハンドオーバを目的としたものであったということになる。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び刊行物2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 平成25年12月20日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年5月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものである。 1.刊行物及び引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及び引用発明は、前記「第2.3.」及び「第2.5.」に記載したとおりである。 2.対比・判断 本願発明は、前記「第2.」で検討した本願補正発明から補正事項a.?b.の構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.5.」に記載したとおり、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-01-06 |
結審通知日 | 2015-01-13 |
審決日 | 2015-01-26 |
出願番号 | 特願2010-516251(P2010-516251) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中元 淳二 |
特許庁審判長 |
佐藤 聡史 |
特許庁審判官 |
江口 能弘 近藤 聡 |
発明の名称 | 検索レート制御によってアクセス端末のバッテリ寿命を向上させること |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 赤穂 隆雄 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 井上 正 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 砂川 克 |