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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1302841 |
審判番号 | 不服2014-4172 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-04 |
確定日 | 2015-07-08 |
事件の表示 | 特願2010-525244「アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月 2日国際公開、WO2009/040038、平成22年12月24日国内公表、特表2010-540894〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2008年(平成20年)9月17日(優先権主張2007年9月24日 欧州)を国際出願日とする国際出願であって、平成23年8月17日付けで手続補正書が提出され、平成25年3月19日付けで拒絶理由が通知され、同年8月29日付けで意見書ととともに手続補正書の提出がなされ、同年10月30日付けで拒絶査定され、これに対し、平成26年3月4日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1?24に係る発明は、平成25年8月29日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?24に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す方法において、 -アレイ・アンテナの分配網の複数のブランチに対して夫々に割り当てられている互いに異なる複数の疑似ランダム・シーケンスを用いて互いに異なる複数の試験信号を生成し、 -前記複数のブランチの各々において、生成した当該ブランチに対応した前記試験信号を実信号に加算することによって、前記アレイ・アンテナから送出する合算信号を生成し、 -送信された前記合算信号を受信用アンテナで受信し、 -前記複数のブランチの各々について、当該ブランチに対応した前記試験信号を生成するために用いられている疑似ランダム・シーケンスと同一の疑似ランダム・シーケンスのレプリカを生成し、 -受信した前記合算信号と、生成した前記レプリカとの間の相関を求め、 -求めた相関結果に処理を施して当該レプリカに対応したブランチの特性を評価し、 -評価して得られた前記アレイ・アンテナの前記複数のブランチの特性に基づいて前記アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す、 ことを特徴とする方法。」 3.引用文献 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に公開された文献である特開2006-325033号公報(以下、「引用文献」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。)。 (ア)「【0001】 本発明は、アレイアンテナの校正装置及び校正方法に関し、より詳細には、アレイアンテナ端での位相差に対する校正技術に関する。 」 (イ)「【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 〔1〕第1実施形態の説明 図1は本発明の第1実施形態としてのアレイアンテナの校正装置が適用される無線送信機の構成(ダウンリンク)を示すブロック図で、この図1に示す無線送信機は、例えば、リニアアレイアンテナを構成する複数(図1では計6本)のアンテナ素子E0,E1,E2,E3,DA,DBと、複数のユーザに対応したビームフォーマ10-1?10-n(nは2以上の整数)と、信号多重部11と、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3に対応してそれぞれ設けられた複数の移相器12、加算器13及び無線送信部14と、キャリブレーション(校正)制御部15と、キャリブレーション信号生成部16と、RFスイッチ17と、無線受信部18と、キャリブレーション信号抽出部19と、ウエイト生成部20とをそなえて構成されている。ただし、リニアアレイアンテナの両端に位置するアンテナ素子DA,DBは、それぞれ、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3からの放射パターンを整形するためのダミーアンテナである。また、アンテナ素子数は上記に勿論限定されない(以下、同様)。 【0016】 ここで、ビームフォーマ10-i(i=1?n)は、それぞれ、各ユーザについての指向性をもったビームを形成するユーザ信号を出力するものであり、信号多重部11は、これらのビームフォーマ10-iからの各ユーザ信号を多重化するものであり、移相器12は、それぞれ、この信号多重部11で多重化されたユーザ信号の位相をウエイト生成部20からの重み係数に従って調整するものであり、加算器13は、それぞれ、これらの移相器12による位相調整後の信号(主信号)に、キャリブレーション信号生成部16で生成されたキャリブレーション信号(校正信号)を加算するものであり、無線送信部14は、それぞれ、このようにキャリブレーション信号の加算された信号を所定の変調方式で変調して無線信号にアップコンバートする等の所要の無線送信処理を行なってアンテナ素子E0,E1,E2,E3から送信するものである。 【0017】 つまり、上記のキャリブレーション信号生成部16,加算器13及び無線送信部14は、校正対象の複数のアンテナ素子E0,E1,E2,E3に校正信号を供給する校正信号供給手段として機能するものである。 また、キャリブレーション制御部15は、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3についてのキャリブレーションを制御するものであり、キャリブレーション信号生成部16は、このキャリブレーション制御部15による制御の下に必要なキャリブレーション信号を生成して加算器13に供給するもので、アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎のキャリブレーション信号を区別できるようにするために、例えば、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3について同じキャリブレーション信号を時分割に生成したり、アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎に異なる周波数や符号をもつキャリブレーション信号を生成したりすることができるようになっている。つまり、キャリブレーション信号としては、時間によって放射アンテナ素子を切り替える時分割多重方式、各アンテナ素子から例えば異なる拡散コードで拡散された信号を放射する符号分割多重方式、アンテナ素子毎に周波数を変える周波数分割多重方式などを適用することができる。 【0018】 さらに、RFスイッチ(スイッチ部)17は、ダミーアンテナであるアンテナ素子DA,DB(以下、ダミーアンテナ素子DA,DBとも表記する)に電磁的に結合するRF信号をキャリブレーション制御部15による制御に従って選択的に出力して無線受信部18に受信させるものであり、無線受信部18は、ダミーアンテナ素子DA又はDBからRFスイッチ18経由で受信されるRF信号に対して中間周波数(IF)信号及びベースバンド信号へのダウンコンバート処理や所定の復調処理等を含む所要の無線受信処理を行なうものであり、 キャリブレーション信号抽出部19は、キャリブレーション制御部15による制御に従って、この無線受信部18から出力されるダミーアンテナ素子DA又はDBでの受信信号からキャリブレーション信号を抽出するものである。 【0019】 つまり、上記のRFスイッチ17,無線受信部18及びキャリブレーション信号抽出部19は、校正対象のアンテナ素子E0,E1,E2,E3の両側に位置する各ダミーアンテナ素子DA,DBで受信された信号からキャリブレーション信号をそれぞれ抽出する校正信号抽出手段として機能するものである。 また、ウエイト生成部20は、このキャリブレーション信号抽出部19で抽出された各キャリブレーション信号の位相差を検出して移相器12へ供給すべき重み係数(ウエイト値)を求めるものである。 【0020】 ここで、ウエイト生成部20は、上記キャリブレーション信号を各アンテナ素子E0,E1,E2,E3から順番に(時分割に)送信(放射)する場合には、キャリブレーション信号抽出部19で時分割に抽出される各キャリブレーション信号をメモリ等に蓄積しながらキャリブレーション信号位相差を検出し、キャリブレーション信号の周波数や符号をアンテナ素子E0,E1,E2,E3毎に変えて各アンテナ素子E0,E1,E2,E3から同時に送信する場合には、周波数や符号によりキャリブレーション信号抽出部19で抽出される各キャリブレーション信号を周波数又は符号により区別してそれぞれの位相差を検出することになる。 【0021】 つまり、上記のキャリブレーション制御部15及びウエイト生成部20は、上記キャリブレーション信号位相差に基づいて校正対象のアンテナ素子E0,E1,E2,E3から送信されるべき信号の位相を個々に制御する校正制御手段として機能し、上記のキャリブレーション制御部15,キャリブレーション信号生成部16,RFスイッチ17,無線受信部18,キャリブレーション信号抽出部19及びウエイト生成部20から成るブロックが、本発明のアレイアンテナの構成装置として機能する。 【0022】 以下、上述のごとく構成された本実施形態の無線送信機におけるダウンリンクのアンテナキャリブレーション動作について詳述する。 キャリブレーション信号生成部16で生成されたキャリブレーション信号は、加算器13により各アンテナ素子E0,E1,E2,E3への主信号に加算(多重化)されて各アンテナ素子E0,E1,E2,E3から放射される。放射されたキャリブレーション信号は、ダミーアンテナ素子DA及びダミーアンテナ素子DBに電磁的に結合し、RFスイッチ経由17で無線受信部18にて受信された後、キャリブレーション信号抽出部19により受信信号から抽出される。抽出されたキャリブレーション信号は、ウエイト生成部20に入力され、ウエイト生成部20は、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3からのキャリブレーション信号の位相差を検出して、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3(移相器12)に対する重み係数(ウエイト値)を算出する。 」 このため、上記(ア)(イ)で摘示した事項を、図面の記載と共に技術常識に照らせば、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「 アレイアンテナの校正方法において、 アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎のキャリブレーション信号を区別できるようにするために、各アンテナ素子から異なる拡散コードで拡散された信号を放射する符号分割多重方式である、アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎に異なる符号をもつキャリブレーション信号を生成し、 生成されたキャリブレーション信号は、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3への主信号に加算(多重化)されて各アンテナ素子E0,E1,E2,E3から放射され、 放射されたキャリブレーション信号は、ダミーアンテナ素子DA及びダミーアンテナ素子DBに電磁的に結合し、RFスイッチ経由17で無線受信部18にて受信された後、キャリブレーション信号抽出部19により受信信号から抽出され、 抽出されたキャリブレーション信号は、ウエイト生成部20に入力され、ウエイト生成部20は、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3からのキャリブレーション信号の位相差を検出して、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3(移相器12)に対する重み係数(ウエイト値)を算出する アレイアンテナの校正方法。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 引用発明の「アレイアンテナの校正方法」は、本願発明の「アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す方法」に相当する。 引用発明は、「アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎のキャリブレーション信号を区別できるようにするために、アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎に異なる符号をもつキャリブレーション信号を生成し」ている。 ここで、引用発明の「キャリブレーション信号」は、本願発明の「試験信号」に相当する。 してみると、引用発明は、本願発明と同様に、「アレイ・アンテナの分配網の複数のブランチに対して夫々に割り当てられている互いに異なる複数の試験信号を生成し」ているといえる。 引用発明は、「生成されたキャリブレーション信号は、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3への主信号に加算(多重化)され」ている。 ここで、引用発明の「主信号」は本願発明の「実信号」に相当する。 してみると、引用発明は、本願発明と同様に、「前記複数のブランチの各々において、生成した当該ブランチに対応した前記試験信号を実信号に加算することによって、前記アレイ・アンテナから送出する合算信号を生成し」ているといえる。 引用発明は、「ダミーアンテナ素子DA及びダミーアンテナ素子DBに電磁的に結合し、RFスイッチ経由17で無線受信部18にて受信」している。 ここで、引用発明の「ダミーアンテナ素子DA及びダミーアンテナ素子DB」は、本願発明の「受信用アンテナ」に相当するととともに、引用発明の「無線受信部18」に電磁的に結合した「ダミーアンテナ素子DA及びダミーアンテナ素子DB」で受信する信号は、生成されたキャリブレーション信号が主信号に加算され、放射された信号であるから、本願発明の「送信された前記合算信号」と同様なものである。 してみると、引用発明は、本願発明と同様に、「送信された前記合算信号を受信用アンテナで受信し」ているといえる。 引用発明は、「キャリブレーション信号抽出部19により受信信号から抽出され、抽出されたキャリブレーション信号は、ウエイト生成部20に入力され、ウエイト生成部20は、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3からのキャリブレーション信号の位相差を検出して、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3(移相器12)に対する重み係数(ウエイト値)を算出」している。 ここで、引用発明の「位相差を検出」することは、本願発明の「ブランチの特性を評価」することに相当し、引用発明の「各アンテナ素子E0,E1,E2,E3(移相器12)に対する重み係数(ウエイト値)を算出」することは、本願発明の「アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す」ことに相当する。 してみると、引用発明は、本願発明と同様に、「ブランチの特性を評価し」、「評価して得られた前記アレイ・アンテナの前記複数のブランチの特性に基づいて前記アレイ・アンテナにキャリブレーションを施」しているといえる。 以上のことから、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す方法において、 -アレイ・アンテナの分配網の複数のブランチに対して夫々に割り当てられている互いに異なる複数の試験信号を生成し、 -前記複数のブランチの各々において、生成した当該ブランチに対応した前記試験信号を実信号に加算することによって、前記アレイ・アンテナから送出する合算信号を生成し、 -送信された前記合算信号を受信用アンテナで受信し、 -ブランチの特性を評価し、 -評価して得られた前記アレイ・アンテナの前記複数のブランチの特性に基づいて前記アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す、 ことを特徴とする方法。 また、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。 <相違点> 本願発明では、「アレイ・アンテナの分配網の複数のブランチに対して夫々に割り当てられている互いに異なる複数の疑似ランダム・シーケンスを用いて互いに異なる複数の試験信号を生成」するとともに、「前記複数のブランチの各々について、当該ブランチに対応した前記試験信号を生成するために用いられている疑似ランダム・シーケンスと同一の疑似ランダム・シーケンスのレプリカを生成し」、「受信した前記合算信号と、生成した前記レプリカとの間の相関を求め」、「求めた相関結果に処理を施して当該レプリカに対応したブランチの特性を評価し」ているのに対して、引用発明では、アンテナ素子E0,E1,E2,E3毎に異なる符号をもつ試験信号の生成、及び、各アンテナ素子E0,E1,E2,E3からのキャリブレーション信号の位相差の検出を、如何に行っているか特定されていない点。 5.当審の判断 しかしながら、キャリブレーション信号の符号として疑似ランダム・シーケンスを用いること、及び、位相差を検出する構成として、受信信号の擬似ランダム・シーケンスと同一の擬似ランダム・シーケンスのレプリカを生成し、受信信号の擬似ランダム・シーケンスと生成した擬似ランダム・シーケンスのレプリカとの間の相関を求めて位相差を検出することは、周知な事項である。 例えば、本願の優先日前に公開された文献である特開2000-013454号公報(以下、周知文献という)には、図13と共に、段落【0124】には、 「【0124】すなわち、各無線送信部に入力されるキャリブレーション信号1301、1302は、コード発生器1303、1304によって生成され、変調回路1305、1306において変調され、無線送信部1307、1308に入力される。なお、各コード発生器は、異なるPNコードや直交コードを発生する。PNコードの場合は、それぞれのコードの相関が少なくなるように十分に長い相関時間が必要となる。無線送信部1307、1308において、送信信号は直交変調された後、キャリア周波数fcにアップコンバートされ、アンテナ接続端子1309、1310から加算回路1311に入力され、加算回路1311により加算され、出力される。fcは本システムの受信キャリア周波数である。キャリア周波数fcで出力された信号は、アッテネータ1312を接続したケーブル1313を用いて、加算回路1311から切替スイッチ1314に伝送される。スイッチ1314はSW切替信号1315によりアンテナからの受信信号とキャリブレーション用変調信号とを切り替える。そして、切替スイッチからの信号は、無線受信部1316に伝送される。このあとの動作は、上記の実施の形態9と同様である。すなわち、無線受信部の受信出力が相関器1317、1318に入力され、タイミング制御回路1319、1320によって調整されたタイミングによりより相関器1317、1318が相関検出を行い、相関出力1321、1322を出力する。このとき、キャリブレーション信号として、無線送信部毎に異なるPNコードあるいは直交コードを用いているので、相関器1317、1318から出力される相関出力1321、1322から、無線送信部毎の遅延量を得ることができる。検出回路1323では、位相差Δψr1、Δψr2及び振幅比Ar1、Ar2を求め、出力又は記憶する。」 なる事項が記載されている(下線は、当審が付与した。)。 そして、周知文献に記載された上記事項において、複素相関器1316、1317に無線受信部の受信出力と共に入力されるタイミング制御回路1319、1320からの信号は、コード発生器1303、1304が発生したキャリブレーション信号1301、1302を変調回路1305、1306で変調した信号であるから、受信信号の擬似ランダム・シーケンスと同一の擬似ランダム・シーケンスのレプリカといい得ることは明らかである。 また、PNコードは、擬似ランダム・シーケンスに対応するといい得る。 このため、キャリブレーション信号に用いる符号として疑似ランダム・シーケンスを用いること、及び、位相差を検出する構成として、受信信号の擬似ランダム・シーケンスと同一の擬似ランダム・シーケンスのレプリカを生成し、受信信号の擬似ランダム・シーケンスと生成した擬似ランダム・シーケンスのレプリカとの間の相関を求めて位相差を検出することは、上記周知文献に記載されており、周知な事項といえる。 してみると、引用発明におけるアンテナ素子E0,E1,E2,E3毎に異なる符号をもつ試験信号の生成を、「アレイ・アンテナの分配網の複数のブランチに対して夫々に割り当てられている互いに異なる複数の疑似ランダム・シーケンスを用い」生成とすること、及び、 引用発明における各アンテナ素子E0,E1,E2,E3からのキャリブレーション信号の位相差の検出を、「前記複数のブランチの各々について、当該ブランチに対応した前記試験信号を生成するために用いられている疑似ランダム・シーケンスと同一の疑似ランダム・シーケンスのレプリカを生成し」、「受信した前記合算信号と、生成した前記レプリカとの間の相関を求め」、「求めた相関結果に処理を施して当該レプリカに対応したブランチの特性を評価」することとすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。 また、本願発明により得られる効果は、引用発明や周知な事項に基いて、当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 よって、本願発明は、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-01-29 |
結審通知日 | 2015-02-03 |
審決日 | 2015-02-20 |
出願番号 | 特願2010-525244(P2010-525244) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小池 堂夫 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
▲広▼島 明芳 佐藤 聡史 |
発明の名称 | アレイ・アンテナにキャリブレーションを施す方法及び装置 |
代理人 | 赤澤 日出夫 |