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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01M |
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管理番号 | 1303225 |
審判番号 | 不服2014-3228 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-21 |
確定日 | 2015-07-16 |
事件の表示 | 特願2009-264476「パワートレインの試験システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月 2日出願公開,特開2011-107051〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成21年11月20日を出願日とする出願であって,平成25年6月7日付けで拒絶理由が通知され,同年7月9日付けで意見書及び手続補正書が提出され,同年12月27日付けで拒絶査定されたのに対し,平成26年2月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,それと同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ,そして,同年5月28日付けて上申書が提出されたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正後の請求項1に係る発明 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は, 「【請求項1】 パワートレインの出力軸にダイナモメータを結合し、該ダイナモメータで負荷トルクを発生してシミュレーション試験を行なうパワートレインの試験システムであって、 パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を、車速別に周波数成分と振幅でマップ化しておき、このマップと車速から、パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を模擬した脈動トルク成分を前記ダイナモメータのトルク指令値に加える脈動トルク成分付加手段を備えたことを特徴とするパワートレインの試験システム。」(下線は補正箇所を示す。)と補正された。 2 補正事項について (1)請求項1について,補正前の「出力軸の負荷トルクをダイナモメータで発生」及び「ダイナモメータ」を「出力軸にダイナモメータを結合し、該ダイナモメータで負荷トルクを発生」及び「前記ダイナモメータ」とする補正は,少なくとも前者において,ダイナモメータで発生する負荷トルクを「出力軸にダイナモメータを結合」することにより出力軸の負荷トルクとすることを限定するもので,いわゆる限定的減縮を目的とするものといえることから,請求項1ついての本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものである。 そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3 引用刊行物及びその記載事項 本願の出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2009-97978号公報(以下「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。なお,以下の摘記においては,引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。 (1)「【0009】 本発明の目的は、ラフロードブロック又はラフロードローラを不要にして、ラフロード模擬特性を自在に変化させた試験ができるダイナモメータシステムを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明は、前記の課題を解決するため、前輪ローラと後輪ローラは舗装道路に合わせた平坦構造とし、ダイナモメータに与える速度指令にラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算するもので、以下の構成を特徴とする。」 (2)「【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 図1は、本発明の実施形態を示すダイナモメータシステムの要部構成図である。供試車両1は前輪を前輪ローラ2A、2B上に載せ、後輪を後輪ローラ3A,3B上に載せ、駆動輪(例えば前輪)をエンジン駆動する。なお、サスペンションのみの試験には、供試車両1のミッション(変速機)はニュートラル状態、又はエンジン&ミッションを降ろした状態とし、ローラ側から駆動力(走行)を加える。 【0017】 前輪ローラ2A,2B及び後輪ローラ3A,3Bは、それぞれの軸をシャフトで結合し、前輪ローラと後輪ローラ別にダイナモメータ(モータ)4,5を軸結合する。ダイナモメータ4,5は、速度コントローラ(AVR)6,7によってモータ電流を制御することで走行速度に応じた駆動トルクまたは吸収トルクを発生する。速度パターン発生部8は、供試車両の試験モードに応じた走行速度パターンを発生し、この速度パターンを速度コントローラ6,7の速度指令とする。」 (3)「【0019】 本実施形態では、前輪ローラ2A、2Bおよび後輪ローラ3A,3Bは、舗装道路に合わせた平坦構造をもつ既存のものを使用し、ダイナモメータに与える速度指令にラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算する。この速度パターンの発生手段として、実際のラフロードがその凹凸部形状(凹凸部の間隔、凹凸部の高さ、凹凸部の大きさなど)で車輪に与える衝撃力(強さと方向)に合わせた波形を発生する波形発生部9と、この波形発生部9が発生する波形に前輪と後輪に与える衝撃の時間差を持たせる位相差調整部10,11を設ける。この時間差は、例えば、前輪にラフロードの凸部がきた後、ホイルベースの長さに応じて、後輪に同じ大きさの凸部がくるのを再現す。 【0020】 波形発生部9は、実際のラフロードが車輪に与える衝撃力に合わせた波形のディジタルデータ列をもつデータテーブルとし、このデータ列の読み出し速度を速度パターン発生部8が発生する速度指令に応じて制御する構成、または実際のラフロードが車輪に与える衝撃力に合わせた波形を正弦波や三角波、台形波などのアナログ模擬波形として発生し、これらの波形の発生周期を速度パターン発生部8が発生する速度指令に応じて制御する構成とする。」 (4)「【0025】 (1)波形発生部 波形発生部9は、例えば、コンピュータの内部タイマの周期で正弦波または三角波のデータ列を発生、もしくはデータテーブルから正弦波または三角波の1周期分のサンプリングデータを繰り返し読み出して正弦波または三角波のデータ列を発生し、これら正弦波または三角波のデータ列の振幅(大きさ)をラフロードの凹凸部高さおよび大きさ、さらには走行速度の違いによる衝撃力の大小に合わせて制御し、周波数を速度パターン発生部8の速度指令に合わせて制御する。」 してみれば,上記引用例の記載事項を総合すると,引用例には,以下の発明が記載されていると認められる。 「 ラフロード模擬特性を自在に変化させた試験ができるダイナモメータシステムであって, 供試車両は前輪を前輪ローラ上に載せ,後輪を後輪ローラ上に載せ,駆動輪(例えば前輪)をミッション(変速機)を通じてエンジン駆動させ,前輪ローラ及び後輪ローラは,それぞれの軸をシャフトで結合し,前輪ローラと後輪ローラ別にダイナモメータ(モータ)を軸結合し,ダイナモメータは,速度コントローラ(AVR)によってモータ電流を制御することで走行速度に応じた吸収トルクを発生し,速度パターン発生部は,供試車両の試験モードに応じた走行速度パターンを発生し,この速度パターンを速度コントローラの速度指令とするダイナモメータシステムにおいて, 実際のラフロードがその凹凸部形状(凹凸部の間隔、凹凸部の高さ,凹凸部の大きさなど)で車輪に与える衝撃力(強さと方向)に合わせた波形を発生し,該波形のディジタルデータ列をもつデータテーブルとし,該データ列の振幅(大きさ)をラフロードの凹凸部高さおよび大きさ,さらには走行速度の違いによる衝撃力の大小に合わせて制御し,周波数を速度パターン発生部の速度指令に合わせて制御することにより, ダイナモメータに与える速度指令にラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算する,ダイナモメータシステム。」(以下「引用発明」という。) 4 対比・判断 (1)対比 補正発明と引用発明とを対比する。 ア 補正発明の「パワートレインの試験システム」は,エンジンからタイヤ(車輪)までの動力伝達系の試験システムであることから,引用発明の「前輪を前輪ローラ上に載せ,後輪を後輪ローラ上に載せ,駆動輪(例えば前輪)をミッション(変速機)を通じてエンジン駆動させ」る「供試車両」に対して「試験ができるダイナモメータシステム」は,補正発明の「パワートレインの試験システム」に相当するといえる。そして,引用発明の「模擬特性を自在に変化させた試験」は,補正発明の「シミュレーション試験」に相当するものである。 してみれば,引用発明の「前輪を前輪ローラ上に載せ,後輪を後輪ローラ上に載せ,駆動輪(例えば前輪)をミッション(変速機)を通じてエンジン駆動させ」る「供試車両」に対して「ラフロード模擬特性を自在に変化させた試験ができるダイナモメータシステム」は,補正発明の「シミュレーション試験を行なうパワートレインの試験システム」に相当する。 イ 補正発明の「パワートレインの出力軸」とは,本願明細書に「パワートレインの出力軸(タイヤ)」(【0007】)と記載されているとおり,タイヤすなわち前輪又は後輪のことであり,また,引用発明の「吸収トルク」は,補正発明の「負荷トルク」に相当する。 してみれば,引用発明の「前輪を前輪ローラ上に載せ,後輪を後輪ローラ上に載せ」「前輪ローラ及び後輪ローラは,それぞれの軸をシャフトで結合し,前輪ローラと後輪ローラ別にダイナモメータ(モータ)を軸結合し,ダイナモメータは,速度コントローラ(AVR)によってモータ電流を制御することで走行速度に応じた吸収トルクを発生」させることは,補正発明の「パワートレインの出力軸にダイナモメータを結合し、該ダイナモメータで負荷トルクを発生」させることに相当する。 ウ 引用発明の「実際のラフロードがその凹凸部形状(凹凸部の間隔、凹凸部の高さ,凹凸部の大きさなど)で車輪に与える衝撃力(強さと方向)に合わせた波形」は,「振幅」と「周波数」によって表されるもので,「振幅」と「周波数」によって表されるものが,トルク成分を示すものであることは本出願前周知(例えば,特開平6-307986号公報の請求項1,特開2002-71520号公報の【0011】,特開2006-170681号公報の【0015】,等参照)である。 一方,補正発明の「パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分」とは,本願明細書に記載されている「タイヤは弾性体であり、走行する路面は必ず凹凸があるため、実タイヤで発生するトルク脈動」(【0007】)のトルク成分のことである。 してみれば,引用発明の「実際のラフロードがその凹凸部形状(凹凸部の間隔、凹凸部の高さ,凹凸部の大きさなど)で車輪に与える衝撃力(強さと方向)に合わせた波形」は,補正発明の「パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分」に相当するといえる。 エ 補正発明の「車速別に周波数成分と振幅でマップ化」するとは,本願に添付されている図2(下記参照)のように,車速に対する周波数,車速に対する振幅をそれぞれグラフ化するものであるから,車速に対して周波数を対応付けること,車速に対して振幅を対応付けることの一つの形態であるといえる。 【図2】 一方,引用発明の「走行速度の違いによ」って「制御」される「振幅(大きさ)」,及び,「速度指令に合わせて制御」される「周波数」について,前者の「走行速度」とは供試車両が走行する速度であるから「車速」のことであり,後者の「速度指令」の「速度」も,引用発明で「走行速度パターンを発生し,この速度パターンを速度コントローラの速度指令とする」と特定されていることから,供試車両が走行する速度である「車速」といえる。してみれば,引用発明の「走行速度の違いによ」って「制御」される「振幅(大きさ)」,及び,「速度指令に合わせて制御」される「周波数」は,車速に対して対応付けた「振幅」,車速に対して対応付けた「周波数」といえる。 したがって,引用発明の「走行速度の違いによ」って「制御」される「振幅(大きさ)」,及び,「速度指令に合わせて制御」される「周波数」の「データ列」を「データテーブル」としたものと,補正発明の「車速別に周波数成分と振幅でマップ化」するものとは,「車速別に周波数成分と振幅で対応づけたもの」である点で共通する。 オ 引用発明の「ダイナモメータに与える速度指令」について,「速度コントローラ」の「速度指令」「によってモータ電流を制御することで走行速度に応じた吸収トルク」を「ダイナモメータ」に「発生」していることから,引用発明の「ダイナモメータに与える速度指令」は,補正発明の「ダイナモメータのトルク指令値」に相当するといえる。 また,引用発明の「ラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算する」ことについて,上記ウで記載したとおり,引用発明における「波形」は,補正発明の「パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分」に相当するものであり,引用発明の「速度パターン」は,「供試車両の試験モードに応じた走行速度パターンを発生し,この速度パターンを速度コントローラの速度指令とする」もので,その「速度指令」は上記のとおりダイナモメータに与えるトルク指令といえるものであるから,「速度パターン」とはダイナモメータに与えるトルクのパターンということになる。 してみれば,引用発明の「ダイナモメータに与える速度指令にラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算する」ことは,補正発明の「パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を模擬した脈動トルク成分を前記ダイナモメータのトルク指令値に加える」ことに相当する。 そして,引用発明において「加算する」「速度パターン」である「ラフロードの模擬特性に合わせた波形」を「データテーブル」としたものと,補正発明の「マップ化」するものとは,上記のエのとおり,「車速別に周波数成分と振幅で対応づけたもの」である点で共通することから,引用発明の「波形のディジタルデータ列をもつデータテーブルとし」「ダイナモメータに与える速度指令にラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算する」ことと,補正発明の「このマップと車速から、パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を模擬した脈動トルク成分を前記ダイナモメータのトルク指令値に加える」こととは,「この対応付けたものと車速から、パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を模擬した脈動トルク成分をダイナモメータのトルク指令値に加える」点で共通する。 カ 引用発明の「ラフロードの模擬特性に合わせた波形の速度パターンを加算する」ものは,「速度パターン」である「波形」を加算するものであり,「波形」は上記ウのとおり補正発明の「脈動トルク成分」に相当するものであるから,補正発明の「脈動トルク成分付加手段」に相当する。 してみれば,補正発明と引用発明とは, (一致点) 「パワートレインの出力軸にダイナモメータを結合し、該ダイナモメータで負荷トルクを発生してシミュレーション試験を行なうパワートレインの試験システムであって, パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を,車速別に周波数成分と振幅で対応づけておき,この対応付けたものと車速から,パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を模擬した脈動トルク成分を前記ダイナモメータのトルク指令値に加える脈動トルク成分付加手段を備えたパワートレインの試験システム。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 (相違点) 「車速別に周波数成分と振幅」を対応づけたものが,補正発明では,「マップ化」するもの,すなわち「マップ」であるのに対し,引用発明では,データテーブルである点。 (2)当審の判断 補正発明における「マップ化」とは,上記(1)エで記載したとおり,車速に対する周波数,車速に対する振幅をそれぞれグラフ化したものである。一方,引用発明においては,「走行速度の違いによ」って「制御」される「振幅(大きさ)」,及び,「速度指令に合わせて制御」される「周波数」の「データ列」を「データテーブル」としたものである。データを保持する形態として,離散的なデータを集めたテーブルを用いること,連続的なデータであるグラフを用いることは,いずれも本出願前周知であり,どちらを採用するかは当業者が必要に応じて適宜選択し得ることであるから,引用発明において,データテーブルに代えて,車速に対する周波数,車速に対する振幅をグラフ化すること,すなわち補正発明の「マップ化」すること,すなわち「マップ」を採用することは当業者が容易になし得たことといわざるを得ない。そして,補正発明において「マップ化」することによる効果も,格別顕著なものとは認められない。 (3)請求人の主張について 請求人は,審判請求書の請求の理由で, 「引用文献1に記載の発明は、その目的にもあるように、路面状態を模擬することによりタイヤからサスペンションへ伝わる力をシミュレーションするものである。これに対し本願発明は、パワートレインにかかる力をシミュレーションする方法であり、その目的が異なっている。」(ここで引用文献1は,上記「引用例」である。)と主張し, さらに,平成26年5月28日付けの上申書で, 「引用文献2に記載の発明は、車両のサスペンションの試験を行うダイナモメータシステであり(段落[0002])、パワートレインの試験を行うものではありません。」(ここで引用文献2は,上記「引用例」である。)と主張している。 しかしながら,引用例の段落[0002]に「サスペンションの試験」との記載はあるものの,それは「【背景技術】」としての記載であり,引用例における「本発明の実施形態」の記載としては, 「【0016】 図1は、本発明の実施形態を示すダイナモメータシステムの要部構成図である。供試車両1は前輪を前輪ローラ2A、2B上に載せ、後輪を後輪ローラ3A,3B上に載せ、駆動輪(例えば前輪)をエンジン駆動する。なお、サスペンションのみの試験には、供試車両1のミッション(変速機)はニュートラル状態、又はエンジン&ミッションを降ろした状態とし、ローラ側から駆動力(走行)を加える。」(下線は当審で付与した。) と記載され,通常の試験状態では車両のサスペンションの試験のみを行うものとはいえず,むしろ,「供試車両1のミッション(変速機)はニュートラル状態又はエンジン&ミッションを降ろした状態」という特殊な状態のもとで車両のサスペンションの試験のみを行うことができることを示したものであり,通常の試験状態では,サスペンションを含めたパワートレインの試験であるといえる。そして,補正発明におけるパワートレインが,エンジンからタイヤ(車輪)に至る動力伝達系としても,タイヤ(車輪)の取り付け部分にサスペンションがない供試車両のみに限定しているものでもない。 してみれば,引用例に記載された発明すなわち引用発明が,サスペンションの試験を行うものでパワートレインの試験を行うものではないとの上記請求人の主張は当を得たものではない。 (3)小括 したがって,補正発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 まとめ 以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?3に係る発明は,平成25年7月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。 「【請求項1】 パワートレインの出力軸の負荷トルクをダイナモメータで発生してシミュレーション試験を行なうパワートレインの試験システムであって、 パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を、車速別に周波数成分と振幅でマップ化しておき、このマップと車速から、パワートレインの出力軸で発生する脈動トルク成分を模擬した脈動トルク成分をダイナモメータのトルク指令値に加える脈動トルク成分付加手段を備えたことを特徴とするパワートレインの試験システム。」 2 引用刊行物及びその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である上記引用例の記載事項は,上記第2の「3 引用刊行物及びその記載事項」に記載したとおりである。 3 対比・判断 上記第2の「2 補正事項について」に記載したとおり,補正発明は,実質的に本願発明にさらに限定事項を追加したものであるから,本願発明は,補正発明から実質的に限定事項を省いた発明といえる。その補正発明が,前記第2の「4 対比・判断」に記載したとおり,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり,審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-15 |
結審通知日 | 2015-05-19 |
審決日 | 2015-06-01 |
出願番号 | 特願2009-264476(P2009-264476) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01M)
P 1 8・ 575- Z (G01M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 萩田 裕介、後藤 大思 |
特許庁審判長 |
森林 克郎 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 三崎 仁 |
発明の名称 | パワートレインの試験システム |
代理人 | 鵜澤 英久 |
代理人 | 小林 博通 |
代理人 | 橋本 剛 |