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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01D
管理番号 1304935
審判番号 不服2014-15658  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-07 
確定日 2015-09-03 
事件の表示 特願2011-147794「車両用表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月24日出願公開、特開2013- 15381〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成23年7月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年11月6日付け:拒絶理由の通知
平成26年1月9日付け:意見書、手続補正書の提出
平成26年5月12日付け:拒絶査定(発送日:平成26年5月20日)
平成26年8月7日:審判請求書、手続補正書の提出
平成27年4月7日付け:拒絶理由の通知
平成27年6月11日付け:意見書、手続補正書の提出

2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成27年6月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「アイドルストップ機能により、車両の停止時に、エンジンの回転を自動停止させるアイドルストップ状態とし、このアイドルストップ状態から自動的に復帰して前記エンジンを自動的に始動させる前記車両に搭載された車両用表示装置であって、
前記車両の停止に伴って物理量がゼロになる当該物理量を、指針の動きで表示し、前記アイドルストップ状態において前記指針が指標のゼロ位置に向かって動いてから停止する計器と、
前記計器を制御する計器制御手段と、を備え、
前記計器制御手段は、前記アイドルストップ状態に成り前記エンジンの停止を指示するためのエンジン停止信号を受信したときに、前記計器への通電量を通常時より低下させる通電量低下手段を備え、
前記通電量低下手段は、前記エンジン停止信号を受信したときに、所定時間経過した後に、前記計器への通電量を通常時より低下させ、
前記所定時間は、前記指針が前記指標の前記ゼロ位置を指示してから、前記計器の消費電力を低減するように、前記エンジン停止信号を受信してから前記指針が前記ゼロ位置に戻るまでの時間に応じて設定され、
前記計器は前記指針を駆動するムーブメントを備えており、前記通電量低下手段は、前記指針の位置を前記ムーブメントが保持する電流まで低下させることにより前記計器への通電量を低下させ、
前記ムーブメントはステップモータであることを特徴とする車両用表示装置。」

3 引用例
ア 平成27年4月7日付けの拒絶理由通知で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、実用新案登録第2535563号公報(発行日:平成9年5月14日)(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。
(ア)「〔産業上の利用分野〕
本考案は、ポテンショメータによるサーボ機構を用いた車両用指示計器に関するものである。
〔従来の技術〕
従来この種の指示計器として、車両の速度や回転数等を表示或いは記録するタコグラフに適用した第2図に示すものがあった。」(第2頁第3欄第1?7行)

(イ)「従って、DCモータMの回転位置は速度信号や回転数信号に対応することになり、これによって速度や回転数の指示機構及び記録機構が車両速度やエンジン回転数を指示、記録することになる。」(第2頁第3欄第47行?同頁第4欄第2行)

(ウ)「そこで、電源回路4を電源に直結し、電源回路4への電源供給をイグニッションキースイッチSW_(1)のオン・オフによって制御するようにし、イグニッションキースイッチSW_(1)のオフによって直ちに電源回路4の出力電圧が低下するようにすることが考えられている。
しかし、このようにした場合、速度信号や回転数信号が十分に大きいときに何らからの理由によりイグニッションキースイッチSW_(1)がオフされると、指示機構及び/又は記録機構が完全に零点位置に戻らない状態でDCモータMの回転が停止してしまい、零点浮き状態が生じるようになる。」(第2頁第4欄第14?24行)

(エ)「そこで、指示動作中のスイッチのオフ時に零点浮きが生じないように、第4図に示す回路構成の指示計器が考えられている。
すなわち第4図においては、電源回路4は時計6と共にヒューズFU_(2)を介してバッテリV_(B)に直接接続されている。またイグニッションキースイッチSW_(1)及びヒューズFU_(1)を介してバッテリV_(B)に遅延回路5が接続され、該遅延回路5によりイグニッションキースイッチSW_(1)のオン、オフ時に電源回路4の動作が制御される。」(第2頁第4欄第25?33行)

(オ)「上述のようにイグニッションキースイッチSW_(1)がオフしてからトランジスタQ_(2)がオフし、トランジスタQ_(1)がオフするまでに遅延時間を設けることにより、イグニッションキースイッチSW_(1)がオフしても電源回路4からの電源供給が遅延時間分継続されるので、上記遅延時間の間DCモータMを零点方向に駆動する駆動電圧を確実に出力し続けることができる。従って、イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ時において、DCモータMがこの駆動電圧により零点位置に復帰される。」(第3頁第5欄第26?34行)

以上より、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「サーボ機構を用いた車両用指示計器であって、回路構成は、電源回路4がバッテリV_(B)に直接接続され、またイグニッションキースイッチSW_(1)を介してバッテリV_(B)に遅延回路5が接続され、該遅延回路5によりイグニッションキースイッチSW_(1)のオン、オフ時に電源回路4の動作が制御され、DCモータMの回転位置が、回転数信号に対応することになり、これによって回転数の指示機構がエンジン回転数を指示し、イグニッションキースイッチSW_(1)がオフしても電源回路4からの電源供給が遅延時間分継続されるので、上記遅延時間の間DCモータMを零点方向に駆動する駆動電圧を確実に出力し続けることができ、従って、イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ時において、DCモータMがこの駆動電圧により零点位置に復帰され、零点浮きが生じないようにした車両用指示計器。」

イ 平成27年4月7日付けの拒絶理由通知で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、実願昭57-67899号(実開昭58-170248号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。
(ア)「そこで市街地走行時に交差点等で自動車が停車した時その他、所定の条件下でエンジンを自動的に停止し、通常の発進操作(クラツチペダルの踏込み)で自動的にエンジンを始動するエンジン自動停止始動装置が開発されている。
従来この種の装置にあつてはエンジンを自動的に停止又は始動させる機能(以下、ERSと記す)の設定後、エンジンの自動停止条件が成立することによりエンジンが自動停止した場合に、エンジンキーがON状態のまま放置されると車両に装備された各種装置にバツテリから給電されたままの状態となる。例えばERSによるエンジン自動停止後、降車時にエンジンキーをOFF状態にするのを忘れてON状態のまま放置したり、あるいは寒冷地等でERSの機能設定後、エンジンを自動始動させ暖機運転時にエンジンをかけたまま放置されたような場合が考えられる。
上記のような場合にはバッテリが過放電し、エンジンの再始動が不能となる可能性がある。」(第2頁第10行?第3頁第8行)

(イ)「また、80はエンジン停止信号を所定時間、遅延させるための遅延回路、82はバツテリV_(B)の電源電圧の各回路部(エンジン自動停止始動装置は勿論、これ以外の車両に搭載されている各種装置を含む)への供給、遮断を行うリレーである。
さて所定の条件が成立し、ERSがメインスイツチ10により設定された後、エンジン20の自動停止、自動始動は次のように行われる。即ち、エンジン20の停止条件が成立すると制御回路1より燃料カツトリレー40にエンジン停止信号44が出力され、この結果燃料カツトリレー40よりエンジン20内の燃料供給系統の燃料カツトソレノイド(図示せず)に燃料カツト信号48がまた点火回路14に点火カツト信号60が出力され、エンジンは停止する。」(第7頁第3?17行)

(ウ)「次に第5図に本考案に係るエンジン自動停止始動装置の要部の構成を示す。同図においてエンジン自動停止条件が成立すると、制御回路1からは第6図(A)に示す如く、時刻t_(1)でエンジン停止信号が出力され、該信号は遅延回路80により時間Tだけ遅延させられる。この結果リレー82の励磁コイル82Aは時刻t_(2)で給電が断たれるので接点82BはOFF状態となり、バツテリV_(B)から各回路部への通電は断たれる(第6図(B))。
以上に説明した如く、本考案ではエンジン自動停止始動装置において、エンジン自動停止後、所定時間経過時に車両に装備された各種装置への電源供給を遮断するように構成したので本考案によればバツテリの過放電を防止し得る。」(第14頁第5?18行)

以上より、引用例2には、次の技術(以下、「引用例2に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「自動車が停車した時その他、所定の条件下でエンジンを自動的に停止し、自動的にエンジンを始動するエンジン自動停止始動装置において、
エンジン自動停止条件が成立すると、制御回路1からエンジン停止信号が出力され、該信号は遅延回路80により時間Tだけ遅延させられ、所定時間経過時に車両に装備された各種装置への電源供給を遮断する、エンジン自動停止始動装置。」

ウ 平成27年4月7日付けの拒絶理由通知で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特公昭61-32624号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。
(ア)「発明の詳細な説明
本発明はステツプモータを用いて指針を駆動するようにした車両用速度計に関する。」(第1頁第1欄第15?17行)

(イ)「また本発明においてはステツプモータ9は、油励磁状態でもデタントトルクでその位置を保持するPM型(永久磁石型)ステツプモータを用いている。」(第2頁第3欄第23?26行)(当審注:「油励磁状態」とあるのは、「無励磁状態」の誤記と認められる。)

(ウ)「ステツプモータを計器の駆動源として用いるときその発熱が問題となるが、本発明では定速走行時には無励磁として発熱を防止し、さらにロータが永久磁石であるPM型を用いているため無励磁状態においてもデタントトルクでその位置を保持する特性があり、特に耐震性が要求される車両用計器に用いる時に効果が大である。
上述の説明は速度計に用いた事例で説明したが車両用回転計に用いた場合も同様の効果がある。」(第2頁第4欄第19?27行)

以上より、引用例3には、「無励磁状態でもデタントトルクでその位置を保持するステツプモータを用いて指針を駆動する、車両用回転計。」が記載されているものと認められる。

4 対比
本願発明と、引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「車両用指示計器」が、本願発明の「車両用表示装置」に相当する。

イ 引用発明1の「車両用指示計器」は「DCモータMの回転位置が、回転数信号に対応することになり、これによって回転数の指示機構がエンジン回転数を指示」するものであるから、その指示機構が、本願発明のように「指針の動き」によって「指標」を指示するタイプのものであることは明らかである。

ウ 引用発明1の「エンジン回転数」が、本願発明の「車両の停止に伴って物理量がゼロになる当該物理量」に相当する。

エ 引用発明1の「車両用指示計器」は、「回転数信号に対応」して「エンジン回転数を指示し」、「イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ時」には「零点位置に復帰」するものである。
よって、引用発明1の「車両用指示計器」における「DCモータMの回転位置が、回転数信号に対応することになり、これによって回転数の指示機構がエンジン回転数を指示」する指示機構と、本願発明における「前記車両の停止に伴って物理量がゼロになる当該物理量を、指針の動きで表示し、前記アイドルストップ状態において前記指針が指標のゼロ位置に向かって動いてから停止する計器」とは、上記イ、ウを踏まえると、「前記車両の停止に伴って物理量がゼロになる当該物理量を、指針の動きで表示し、エンジンを停止すべき状態において前記指針が指標のゼロ位置に向かって動いてから停止する計器」の点で共通する。

オ 引用発明1の「車両用指示計器」における「サーボ機構」と「回路構成」とが、本願発明の「前記計器を制御する計器制御手段」に相当する。

カ 引用発明1の「遅延回路5」が「イグニッションキースイッチSW_(1)を介して」受信する、「イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ」を示す信号が、次の相違点1は別として、本願発明の「エンジン停止信号」に相当する。

キ 引用発明1の「回路構成」が、「電源回路4がバッテリV_(B)に直接接続され、またイグニッションキースイッチSW_(1)を介してバッテリV_(B)に遅延回路5が接続され、該遅延回路5によりイグニッションキースイッチSW_(1)のオン、オフ時に電源回路4の動作が制御され」、「イグニッションキースイッチSW_(1)がオフしても電源回路4からの電源供給が遅延時間分継続される」ことと、本願発明の「前記計器制御手段は、前記アイドルストップ状態に成り前記エンジンの停止を指示するためのエンジン停止信号を受信したときに、前記計器への通電量を通常時より低下させる通電量低下手段を備え、前記通電量低下手段は、前記エンジン停止信号を受信したときに、所定時間経過した後に、前記計器への通電量を通常時より低下させ」ることとは、「前記計器制御手段は、前記エンジンを停止すべき状態に成りエンジン停止信号を受信したときに、前記計器への通電量を通常時より低下させる通電量低下手段を備え、前記通電量低下手段は、前記エンジン停止信号を受信したときに、所定時間経過した後に、前記計器への通電量を通常時より低下させ」る点で共通する(なお、本願の特許請求の範囲の【請求項2】に「前記通電量低下手段は、通電をカットすることにより前記計器への通電量を低下させる」と記載されているように、本願発明において、「通電量を低下させる」ことは、「通電をカットすること」を含む意味で用いられている。)。


ク 引用発明1の「遅延回路5」の「遅延時間」は、「イグニッションキースイッチSW_(1)がオフしても電源回路4からの電源供給が遅延時間分継続されるので、上記遅延時間の間DCモータMを零点方向に駆動する駆動電圧を確実に出力し続けることができ、従って、イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ時において、DCモータMがこの駆動電圧により零点位置に復帰され、零点浮きが生じないように」設定されている。
そして、電源供給がなくなり、駆動電圧が出力されなくなれば、車両用指示計器の消費電力が低減することはいうまでもないことであるから、引用発明1の「遅延回路5」が、上記「零点浮きが生じないよう」な「遅延時間」に設定され、「イグニッションキースイッチSW_(1)がオフしても電源回路4からの電源供給が遅延時間分継続されるので、上記遅延時間の間DCモータMを零点方向に駆動する駆動電圧を確実に出力し続けることができ」ること、言い換えると、遅延時間分の継続後に、電源回路4からの電源供給がなくなり、駆動電圧が出力されなくなることが、本願発明の「前記所定時間は、前記指針が前記指標の前記ゼロ位置を指示してから、前記計器の消費電力を低減するように、前記エンジン停止信号を受信してから前記指針が前記ゼロ位置に戻るまでの時間に応じて設定され」ていることに相当する。

ケ 引用発明1の「車両用指示計器」の「DCモータM」は、上記イで述べたことより、「エンジン回転数を指示」する指針を駆動するモータであることは明らかであるから、引用発明1における「車両用指示計器」が「DCモータM」を備えており、「回路構成」が「DCモータM」の「駆動電圧」を「出力」しないようにすることと、本願発明の「前記計器は前記指針を駆動するムーブメントを備えており、前記通電量低下手段は、前記指針の位置を前記ムーブメントが保持する電流まで低下させることにより前記計器への通電量を低下させ」ることとは、「前記計器は前記指針を駆動するムーブメントを備えており、前記通電量低下手段は、前記計器への通電量を低下させ」る点で共通する。

コ 以上のことから、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「車両用表示装置であって、
前記車両の停止に伴って物理量がゼロになる当該物理量を、指針の動きで表示し、エンジンを停止すべき状態において前記指針が指標のゼロ位置に向かって動いてから停止する計器と、
前記計器を制御する計器制御手段と、を備え、
前記計器制御手段は、前記エンジンを停止すべき状態に成りエンジン停止信号を受信したときに、前記計器への通電量を通常時より低下させる通電量低下手段を備え、
前記通電量低下手段は、前記エンジン停止信号を受信したときに、所定時間経過した後に、前記計器への通電量を通常時より低下させ、
前記所定時間は、前記指針が前記指標の前記ゼロ位置を指示してから、前記計器の消費電力を低減するように、前記エンジン停止信号を受信してから前記指針が前記ゼロ位置に戻るまでの時間に応じて設定され、
前記計器は前記指針を駆動するムーブメントを備えており、前記通電量低下手段は、前記計器への通電量を低下させることを特徴とする車両用表示装置。」

<相違点1>
本願発明では、車両が「アイドルストップ機能により、車両の停止時に、エンジンの回転を自動停止させるアイドルストップ状態とし、このアイドルストップ状態から自動的に復帰して前記エンジンを自動的に始動させる前記車両」であって、エンジンを停止すべき状態が「アイドルストップ状態」であり、エンジン停止信号が、「アイドルストップ状態に成り前記エンジンの停止を指示するための」信号であるのに対し、引用発明1では、「車両」がアイドルストップ機能を備えていることは示されておらず、エンジンを停止すべき状態が、「イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ」であり、また、エンジン停止信号が、「遅延回路5」が「イグニッションキースイッチSW_(1)を介して」受信する、「イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ」を示す信号である点。

<相違点2>
本願発明では、ムーブメントが「ステップモータ」であり、通電量、つまり電流を低下させた状態で「前記指針の位置を前記ムーブメントが保持」しているのに対し、引用発明1では、ムーブメントが「DCモータM」であって、電源供給がなくなり、駆動電圧が出力されなくなったときに、停止した位置を「保持」することは示されていない点。

5 判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用例2には、「自動車が停車した時その他、所定の条件下でエンジンを自動的に停止し、自動的にエンジンを始動するエンジン自動停止始動装置において、エンジン自動停止条件が成立すると、制御回路1からエンジン停止信号が出力され、該信号は遅延回路80により時間Tだけ遅延させられ、所定時間経過時に車両に装備された各種装置への電源供給を遮断する、エンジン自動停止始動装置。」が記載されている。
引用発明1と、引用例2に記載された技術とは、車両に装備された装置への電源供給を、遅延時間分継続させてから停止する技術である点で共通する。
そして、本願の出願時において、車両に、引用例2のような「自動車が停車した時その他、所定の条件下でエンジンを自動的に停止し、自動的にエンジンを始動するエンジン自動停止始動装置」(本願発明の「アイドルストップ機能」に相当する。)を搭載することは普通に知られていることである点、及び、「イグニッションスイッチオフ信号」と「アイドルストップオン信号」とは、エンジン停止指令、つまり、「エンジンの停止を指示するためのエンジン停止信号」として周知の事項(例えば、特開2004-245105号公報段落【0010】の「燃料噴射、点火を停止する正規のエンジン停止は、運転者が自分の意思でエンジンの運転を停止するエンジン手動停止の場合と、燃費改善効果を狙ったアイドルストップシステムによるエンジン自動停止の場合がある。従って、エンジン停止指令が発生したか否かは、請求項2のように、イグニッションスイッチオフ信号とアイドルストップオン信号のいずれかにより判断すれば良い。」参照。)である点を考慮すれば、引用発明1に引用例2に記載された技術を適用し、引用発明1において、「車両」が「自動車が停車した時その他、所定の条件下でエンジンを自動的に停止し、自動的にエンジンを始動するエンジン自動停止始動装置」(アイドルストップ機能)を搭載したものとし、エンジンを停止すべき状態を、「イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ」だけでなく、「自動車が停車した時その他、所定の条件下」で「エンジン自動停止条件が成立」した状態(アイドルストップ状態)とし、エンジン停止信号を、「イグニッションキースイッチSW_(1)のオフ」だけでなく、「自動車が停車した時その他、所定の条件下」で「エンジン自動停止条件が成立する」と出力される「エンジン停止信号」(アイドルストップ状態に成り前記エンジンの停止を指示するためのエンジン停止信号)とし、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について
ステップモータを用いた車両用回転計(タコメータ)は、普通に知られているものである(例えば、川島章弘、「タコメータ交換(Movie File is exist)」、[online]、2005年8月6日、インターネット<URL:http://www.geocities.jp/gon7508/pp1/interior/taco.html>(作成者については、ソースファイルの 「」参照。掲載日については、「What'new!!」 、<URL:http://www.geocities.jp/gon7508/whatsnew.html>の「2005.08.06 PP1のPivotのタコメータの動 作時の動画をアップしました。 2005.06.26 PP1にPivotのタコメータを装着しました。すごいいい・・・。」参照。)に記載された「目的:メータで表示される回転数と実際の回転数が異なると気分的によくない。そこで純正よりも精度の出ている社外のステッピングタコメータに交換する。」参照。)。
そして、引用例3に記載されているとおり、ステップモータを用いた車両用回転計は、「無励磁状態でもデタントトルクでその位置を保持する」ものであるから、引用発明1において、回転位置でエンジン回転数を指示するためのモータとして「DCモータM」を用いることに換え、「無励磁状態でもデタントトルクでその位置を保持する」「ステップモータ」を用い、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合して勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1、引用例2に記載された技術、引用例3に記載された事項及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明1、引用例2に記載された技術、引用例3に記載された事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-06 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-22 
出願番号 特願2011-147794(P2011-147794)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 関根 洋之
清水 稔
発明の名称 車両用表示装置  
代理人 野々部 泰平  
代理人 矢作 和行  
代理人 久保 貴則  

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