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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1305338 |
審判番号 | 不服2014-12973 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-07-04 |
確定日 | 2015-09-09 |
事件の表示 | 特願2010-544309「アルミニウムドープト光ファイバ」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月30日国際公開、WO2009/094114、平成23年 3月31日国内公表、特表2011-510354〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成21年1月15日(パリ条約による優先権主張 2008年1月22日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年5月27日付けで拒絶理由が通知され、同年9月17日付けで手続補正がなされたが、平成26年2月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月4日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。 2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成25年9月17日になされた手続補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。 「光ファイバであって、 (i) 第1の屈折率n_(1)を有し、Ge、ErおよびYbを含まないAlドープトシリカからなるコアであって、4?24質量%のAlを含み、開口数NAが0.09と0.30の間であるコア; (ii) 前記コアを取り囲み、n_(1)>n_(2)となるような第2の屈折率n_(2)を有する少なくとも1つのシリカ系クラッド; (iii) 前記クラッドを取り囲む、300nm?1000nm厚の炭素系気密被覆;および (iv) 前記気密被覆を取り囲む、5μmから80μm厚の二次被覆; を有してなる光ファイバ。」(以下「本願発明」という。) 3 刊行物及び引用発明 (1)引用文献1 原査定の拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された、特開昭61-40842号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同じ。なお、丸付き数字は括弧付き数字で記載した)。 ア 「(1)コア部の外周面にクラッド部が形成されている石英系ガラスからなる光ファイバにおいて、前記コア部およびクラッド部の屈折率制御材料として酸化アルミニウム、およびフッ素をドープ材として添加したことを特徴とする光ファイバ。 (2)コア部のドープ材が酸化アルミニウム、クラッド部のドープ材が酸化アルミニウムおよびフッ素とされていることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の光ファイバ。」(特許請求の範囲) イ 「すなわち、一般に石英ガラスの網目構造は二次元的には、第3図に示すようなSi-Oの結合によって構成されているが、この網目構造には、通常、各所に欠陥が必ずあり、例えばSi-O-Siの結合がSi-O-(X)となり、非架橋酸素原子が生じたり、Si-O-Siの結合が-Si-(X)-Si-となり酸素の空孔が生じる。 そして、この欠陥は、屈折率制御材料であるP、Ge、B等のドープ材が多くなる程、多量に発生する。 すると、かかるドープ材(P、Ge、B)をコア部またはクラッド部に添加した光ファイバ心線は、特に、(1)高温(100?200°C)の環境や、(2)電気分解が生じる環境(水中・海中)で使用すると水素(H_(2))がコア部分に浸透し、前記欠陥部分においてO-H結合を発生する。 そして、これが光ファイバの伝送損失を増加することが報告されている。」(2頁左上欄18行ないし右上欄16行) ウ 「〔実施例〕 以下、この発明の光ファイバの実施例を第4図(a)?(d)により説明する。 第4図(a)?(d)は、第2図と同様に屈折率の高いコア部を中心に、屈折率の低いクラッド部をその両辺に記載し、それぞれの組成材質を記入したものである。そして、ドープ材は*の記号で示されている。 この図から分かるように第4図(a)の場合はコア部、およびクラッド部ともAl_(2)O_(3)と、Fがドープ材として使用され、そのドープ材の量によってコア部の屈折率がクラッド部より高くなるように設定されている。 また、第4図(b)の実施例ではコア部にAl_(2)O_(3)、クラッド部にAl_(2)O_(3)とFをドープ材としたものであり、第4図(c)の場合はコア部にAl_(2)O_(3)、クラッド部にはFのみをドープしたものである。 第4図(d)の場合はコア部にAl_(2)O_(3)とF、クラッド部にはFのみがドープ材とされている。 これらのドープ材は一般にAl_(2)O_(3)が屈折率を高くし、Fは屈折率を低くする方向に作用している。 以上の説明から理解されるように、この発明の光ファイバは、いずれの実施例も酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))、およびフッ素(F)をドープ材としたものである。 ところで、AlまたはFはきわめて酸素と結合し易いため、製造段階で石英ガラスの網目構造に欠陥がある場合も、前記AlまたはFをドープすることによって補修されるという効果がある。 すなわち、Fが非架橋酸素原子として結合して、Si-O-Fとなり、またはOに代わって の結合により電気的に中性になる。 また、Alは酸素空孔に入り込みSi-O-Al-Oとなり、電気的中性、かつ、網目構造の網目を小さくすることが期待できる。 この場合、Fはガラスの屈折率を低下させるドープ材、Alは屈折率を増加させるドープ材として使用され、AlまたはFの添加量を加減することによってコア部の屈折率とクラッド部の屈折率を所定の値に設定する。 〔発明の効果〕 以上説明したように、この発明の光ファイバはAl_(2)O_(3)およびFをドープ材として光ファイバのコア部およびクラッド部の屈折率を所定の値に設定するようにしているので、H_(2)の浸透によって発生する伝送損失の増加が低軽される。 また、長期間海底に布設される海底光ケーブルの光フアイバ心線に応用した場合にきわめて効果が大きい。」(2頁左下欄4行ないし3頁左上欄15行) エ 第1図、第3図及び第4図は次のものである。 オ 上記アないしエによれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「コア部の外周面にクラッド部が形成されている石英系ガラスからなる光ファイバにおいて、 前記コア部およびクラッド部の屈折率制御材料として酸化アルミニウム、およびフッ素をドープ材として添加し、 コア部のドープ材が酸化アルミニウム、クラッド部のドープ材が酸化アルミニウムおよびフッ素とされ、 屈折率の高いコア部と屈折率の低いクラッド部からなる光ファイバ。」 (2)引用文献2 原査定の拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された、特開平5-249353号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】カーボンコート光ファイバ表面に電解メッキによる金属コート層を設けたことを特徴とした金属コート光ファイバ。」(特許請求の範囲) イ 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、軸合わせ等の端末処理の際に固定が簡単で、かつ高温雰囲気下で使用可能な温度センサやイメージガイドに適用できる、取扱いが容易で耐環境性を有する金属コート光ファイバおよびその製法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来光ファイバの端末を固定するには、有機系接着剤、特にエポキシ系のものが、重合後の体積収縮が少ないことから広く使用されている。また、高温下で使用できる光ファイバとしては、公知のディップフォーム法を用いて作製されたアルミコート光ファイバがよく知られており、温度センサなどの紫外線硬化樹脂の被覆を施した光ファイバでは使用できない環境に用いられている。さらに水分の侵入が予想される環境下では、ファイバ表面にカーボンを被覆したハーメチックコートファイバが有効で、このカーボン層は雰囲気に対する保護膜として作用し、特に水分が混入する可能性のある個所で耐久性を発揮することは公知である。」 ウ 「【0011】本発明者らは上記の問題を解決すべく種々検討した結果、公知のカーボンコート光ファイバは環境性に優れているが、カーボン層自体は比較的外傷に弱く、保護のための樹脂被覆が不可欠で、高温下での使用に適さない。この従来の方法によって形成された光ファイバ表面のカーボンコート層は、通常約500Åの厚さがあり、充分な導電性はないがこれを導電層とすることにより電解メッキを施し得ることを知見した。 【0012】本発明は上記の知見に基づいてなされたもので、端末処理の際の固定が簡単で、かつ高温雰囲気下で使用可能な温度センサやイメージガイドに適用でき、耐環境性の高い金属コート光ファイバおよびその製法を提供することを目的とする。」 エ 「【0018】図1は本発明による金属コート光ファイバの断面図で、コア1を中央にしたクラッド2の外面にカーボン層3が形成され、その外側に電解メッキによって堆積させた金属層が存在する。上記各部の寸法の概略を示せば、コア:約10μm、クラッド:約125μm、カーボンコート層:厚さ約0.5μm、金属層:厚さ約5μmとなる。また図2は本発明に係る金属コート光ファイバおよびその製法において用いられる電解メッキ処理装置の一例を示す概略図で、図中符号11は、引取りドラム12と送り出しドラム13との間にかけ渡されたカーボンコート光ファイバである。上記送り出しドラム13から送り出された光ファイバ11はメッキ槽14内のメッキ液14aを通って引取りドラム12に巻取られる。上記メッキ液中には環状のアノード15が設けられ、駆動される光ファイバ11を対向して押え、メッキ槽14を通過させるローラ16,17の一方のカソードとなる金属ローラ17と電源18を介して接続されている。なお、ローラ16は絶縁されている。」 オ 「【0025】また、耐熱性素材として優れた特性を示す金属は、ファイバを構成する石英系ガラスと比べて、熱膨張係数が大幅に異なる。」 カ 「【0029】本発明の適用においては、表面に導電層であるカーボンコートが存在すれば良く、ベースとなるファイバの素性は関係ない。センサ用途に良く使用されるファイバとしてシングルモードファイバ、分散シフトファイバ、純石英コアファイバなどがあるが、いずれのファイバに対しても実施可能であった。更に、イメージガイド用に使用されるファイババンドルに関しても、表面のカーボンコートを施す事で、耐熱性金属をコーティングした耐熱性イメージガイドを作製可能となる。応用例として、表面にコーティングするCu層の厚みをコントロールする事で、表層に通電可能な光ファイバの作製が可能となる。」 キ 図1は次のものである。 ク 上記アないしキによれば、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「カーボンコート光ファイバ表面に電解メッキによる金属コート層を設けた、 水分の侵入が予想される環境下、高温雰囲気下で使用可能な温度センサやイメージガイドに適用できる、 ベースとなるファイバの素性は関係なく、カーボンコート層:厚さ約0.5μm、金属層:厚さ約5μmであり、 ファイバ表面にカーボンを被覆したハーメチックコートファイバの金属コート光ファイバ。」 4 対比・判断 (1)本願発明と引用発明1を対比する。 ア 引用発明1の「コア部」、「クラッド部」及び「光ファイバ」は、本願発明の「コア」、「クラッド」及び「光ファイバ」にそれぞれ相当する。 イ 引用発明1の「石英系ガラスからなる光ファイバ」は、「コア部の外周面にクラッド部が形成されている」から、引用発明1の「石英系ガラスからなる光ファイバ」の「コア部」及び「クラッド部」は、それぞれ、本願発明の「シリカからなるコア」及び「シリカ系クラッド」である点で一致する。 ウ 引用発明1の「光ファイバ」は、「屈折率の高いコア部と屈折率の低いクラッド部からなる」から、本願発明の「光ファイバであって、・・・第1の屈折率n_(1)を有(する)コア・・・n_(1)>n_(2)となるような第2の屈折率n_(2)を有する・・・クラッド」との構成を備える。 エ 引用発明1の「シリカからなるコア部」は「ドープ材が酸化アルミニウム」であるところ、本願発明の「Alドープト」は、本願明細書の「コアが約4から約24質量%のAl_(2)O_(3)(残りはシリカ)を含む」(段落【0013】)、「この実施例において、Alドープト(5質量%のAl_(2)O_(3))コア12は・・・シングルモードである。」(段落【0016】)、及び、「この実施例において、Alドープト(12質量%のAl_(2)O_(3))コア12はマルチモードである。」(段落【0020】)との記載に照らして、Al_(2)O_(3)(酸化アルミニウム)を含むことを意味すると解されるから、引用発明1の「ドープ材が酸化アルミニウム」である「シリカからなるコア部」は、本願発明の「Alドープトシリカからなるコア」に相当する。 オ 以上によれば両者は、 「光ファイバであって、 (i) 第1の屈折率n_(1)を有し、Alドープトシリカからなるコアであって、Alを含む、コア; (ii) 前記コアを取り囲み、n_(1)>n_(2)となるような第2の屈折率n_(2)を有する1つのシリカ系クラッド; を有してなる光ファイバ。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (ア)本願発明の「コア」は、「Ge、ErおよびYbを含まない」ものであるのに対し、引用発明1の「コア部」は、「ドープ材が酸化アルミニウム」であるところ、このような「Ge、ErおよびYbを含まない」ものと特定されるものではない点(以下「相違点1」という。)。 (イ)本願発明の「コア」は、「4?24質量%のAlを含み、開口数NAが0.09と0.30の間である」のに対し、引用発明1の「コア部」は、「ドープ材が酸化アルミニウム」であるところ、質量%及び開口数NAがこのようなものと特定されない点(以下「相違点2」という。)。 (ウ)本願発明の「光ファイバ」は、「前記クラッドを取り囲む、300nm?1000nm厚の炭素系気密被覆」及び「前記気密被覆を取り囲む、5μmから80μm厚の二次被覆」を有してなるのに対し、引用発明1の「光ファイバ」は、このようなものと特定されない点(以下「相違点3」という。)。 (2)判断 ア 上記相違点1について検討する。 引用発明1の「コア部」は、ドープ材が酸化アルミニウムとされるところ、これ以外に他の部材をドープするものとは特定されない(例えば、引用文献1の「第4図(c)の場合はコア部にAl_(2)O_(3)、クラッド部にはFのみをドープしたものである。」(上記3(1)ウ)等の記載参照)。そして、Ge、Er及びYbは、石英系ガラスからなる光ファイバを製造するに当たり、意図的にドープしなければ不純物として含まれるものではないことは、本願明細書(例えば段落【0007】の「これらのファイバは、Geドープトファイバ、または純粋なシリカコアのファイバを使用する」等の記載)を参酌すれば明らかである。 また、引用発明1に係り、引用文献1には「かかるドープ材(P、Ge、B)をコア部またはクラッド部に添加した光ファイバ心線は、特に、(1)高温(100?200°C)の環境や、(2)電気分解が生じる環境(水中・海中)で使用すると水素(H_(2))がコア部分に浸透し、前記欠陥部分においてO-H結合を発生する。そして、これが光ファイバの伝送損失を増加することが報告されている。」(上記3(1)イ)と記載されていることに照らして、伝送損失を増加するドープ材であるGe等をあえてコア部に添加するものではないものと解される。 したがって、引用発明1の、「ドープ材が酸化アルミニウム」である「石英系ガラスからなる光ファイバ」の「コア部」は、本願発明の、「Ge、ErおよびYbを含まないAlドープトシリカからなるコア」と相違するものではない。 したがって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。 イ 上記相違点2について検討する。 引用発明1の「コア部」は、「ドープ材が酸化アルミニウム」であるところ、引用文献1に「Alは酸素空孔に入り込みSi-O-Al-Oとなり、電気的中性、かつ、網目構造の網目を小さくすることが期待できる。この場合、Fはガラスの屈折率を低下させるドープ材、Alは屈折率を増加させるドープ材として使用され、AlまたはF添加量を加減することによってコア部の屈折率とクラッド部の屈折率を所定の値に設定する。」(上記3(1)ウ参照)と記載されていることから、「コア部」は、「Al」を、コア部の屈折率を所定の値に設定するのに必要な量を含むといえる。 また、光ファイバの開口数NAをどの程度とするかは、当業者がその必要に応じて適宜に定めるべき事項であるところ、一般的な光ファイバの開口数NAは0.1ないし0.2であることは周知事項であるから(例えば、特開2005-156583号公報の段落【0038】「一般に光伝送路として用いられる標準的なシングルモード光ファイバの開口数は約0.12である」、及び、特開平11-264918号公報の段落【0004】ないし【0006】「マルチモード光ファイバの開口数は、0.2程度であり、・・・これに対して、シングルモード光ファイバは開口数が、0.1程度であり、マルチモード光ファイバに比べ、伝搬できる光の最大受光角も小さい。」との記載参照。)、引用発明1においても、当該一般的な光ファイバの開口数NAの範囲となるように適宜の質量%のAlを含むものとなし、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである ウ 上記相違点3について検討する。 (ア)引用発明1の「光ファイバ」に係り、引用文献1には「この発明の光ファイバは・・・長期間海底に布設される海底光ケーブルの光フアイバ心線に応用した場合にきわめて効果が大きい」(上記3(1)ウ)と記載されていることに照らして、「長期間海底に布設される海底光ケーブルの光フアイバ心線に応用」するものであって、「光フアイバ心線に応用」するものであるから、使用するにあたり、何らかの被覆を伴うことは技術常識である。 (イ)また、引用発明1は、「長期間海底に布設される海底光ケーブル」に使用するものであって、「(1)高温(100?200°C)の環境や、(2)電気分解が生じる環境(水中・海中)で使用する」ことも想定する(上記3(1)イ)ものであるところ、当該「長期間海底に布設される海底光ケーブル」は、水分の侵入が予想される環境下で使用されるものである。 (ウ)しかるところ、引用文献2には、このような水分の侵入が予想される環境下で「光ファイバ」を使用可能とならしめる被覆として、「カーボンコート光ファイバ表面に電解メッキによる金属コート層を設けた、水分の侵入が予想される環境下、高温雰囲気下で使用可能な温度センサやイメージガイドに適用できる、ベースとなるファイバの素性は関係なく、カーボンコート層:厚さ約0.5μm、金属層:厚さ約5μmであり、ファイバ表面にカーボンを被覆したハーメチックコートファイバの金属コート光ファイバ。」(上記3(2)ク)の発明(引用発明2)が記載されているところ、当該厚さ約0.5μm(500nm)のハーメチック(hermetic 気密の)カーボンコート層、及び、厚さ約5μmの金属層は、本願発明の「前記クラッドを取り囲む、300nm?1000nm厚の炭素系気密被覆」及び「前記気密被覆を取り囲む、5μmから80μm厚の二次被覆」にそれぞれ相当するものである。 (エ)そして、引用発明2は、「ベースとなるファイバの素性は関係なく」ともよいものであるから、水分の侵入が予想される環境下で「光ファイバ」を使用可能とならしめるために、引用文献2を引用発明1に適用して、「長期間海底に布設される海底光ケーブルの光フアイバ心線に応用」できるものとし、上記相違点3に係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。 5 むすび 以上の検討によれば、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-04-08 |
結審通知日 | 2015-04-14 |
審決日 | 2015-04-27 |
出願番号 | 特願2010-544309(P2010-544309) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大森 伸一 |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
松川 直樹 星野 浩一 |
発明の名称 | アルミニウムドープト光ファイバ |
代理人 | 柳田 征史 |
代理人 | 佐久間 剛 |