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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1307720
審判番号 不服2015-1443  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-26 
確定日 2015-11-12 
事件の表示 特願2010-216218「宅配物発送受付けシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月12日出願公開、特開2012- 71913〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成22年9月27日の出願であって、平成26年2月21日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して平成26年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年10月22日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成27年1月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。


第2 平成27年1月26日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年1月26日付けの手続補正を却下する。
[理由]
〔1〕本件補正の内容
平成27年1月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成26年4月28日に提出された手続補正書により補正された)下記の(A)に示す請求項1及び2を、下記の(B)に示す請求項1及び2と補正するものである。
(A)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2
「 【請求項1】
宅配物を発送先に発送する宅配物発送受付けシステムであって、多数の異なる公衆の場所に設置される不特定多数の人が利用可能な多数の公衆利用の宅配ボックス装置と、管理サーバを備え、多数の前記公衆利用の宅配ボックス装置と管理サーバを通信ネットワークを介して接続し、
前記公衆利用の宅配ボックス装置に、宅配物を入れる宅配物収納部と、この宅配物収納部に入れる宅配物についての発送情報を電子データとして受付ける発送受付手段と、対応する宅配物を個々に特定する識別コードを電子データとして生成する識別コード生成部を備え、
前記管理サーバに、宅配情報管理部と、通信部と、これらを制御する制御部を備え、
任意の公衆の場所に設置された前記宅配ボックス装置の前記発送受付手段で受付けた発送情報及び前記識別コード生成部で生成した識別コードを前記管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、前記識別コードに基づいて前記管理サーバの前記宅配情報管理部で行うことを特徴とする宅配物発送受付けシステム。
【請求項2】
前記発送受付手段で受付けた発送情報又は前記識別コード生成部で生成した識別コード情報のいずれか一方又は両方の情報よりなる宅配情報を前記宅配物収納部内に入れる宅配物に対して、付与する宅配情報付与手段を備えた請求項1記載の宅配物発送受付けシステム。」

(B)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2
「 【請求項1】
宅配物を発送先に発送する宅配物発送受付けシステムであって、多数の異なる公衆の場所に設置される不特定多数の人が利用可能な多数の公衆利用の宅配ボックス装置と、管理サーバと、宅配業者端末装置と、を備え、多数の前記公衆利用の宅配ボックス装置と管理サーバと前記宅配業者端末装置とを通信ネットワークを介して接続し、
前記公衆利用の宅配ボックス装置に、宅配物を入れる宅配物収納部と、この宅配物収納部に入れる宅配物についての発送情報を電子データとして受付ける発送受付手段と、対応する宅配物を個々に特定する識別コードを電子データとして生成する識別コード生成部と、前記宅配物収納部に設けられた施錠装置を開錠する開錠認証情報を生成して前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して前記管理サーバへ送信する開錠認証情報生成部と、前記開錠認証情報に基づいて前記施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部と、を備え、
前記管理サーバに、宅配情報管理部と、通信部と、これらを制御する制御部を備え、
任意の公衆の場所に設置された前記宅配ボックス装置の前記発送受付手段で受付けた発送情報及び前記識別コード生成部で生成した識別コードを前記管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、前記識別コードに基づいて前記管理サーバの前記宅配情報管理部で行うものであって、
前記管理サーバから前記宅配業者端末装置に、該当する宅配物の前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して送信する
ことを特徴とする宅配物発送受付けシステム。
【請求項2】
前記発送受付手段で受付けた発送情報又は前記識別コード生成部で生成した識別コード情報のいずれか一方又は両方の情報よりなる宅配情報を前記宅配物収納部内に入れる宅配物に対して、付与する宅配情報付与手段を備えた請求項1記載の宅配物発送受付けシステム。」
(なお、下線は、請求人が補正箇所を明示するために付したものである。)

〔2〕本件補正の目的要件について
本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1に対応するものであるところ、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「宅配物発送受付けシステム」が備えるものとして、「宅配業者端末装置」を新たに付加し、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「通信ネットワーク」が接続する対象として、新たに付加した「宅配業者端末装置」を加え、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「公衆利用の宅配ボックス装置」が備えるものとして、「前記宅配物収納部に設けられた施錠装置を開錠する開錠認証情報を生成して前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して前記管理サーバへ送信する開錠認証情報生成部」と「前記開錠認証情報に基づいて前記施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部」を新たに付加し、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「宅配物発送受付けシステム」の機能として、「前記管理サーバから前記宅配業者端末装置に、該当する宅配物の前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して送信する」という機能を新たに付加するものであり、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項を限定するものではないから、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的に該当するものとは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りようでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。
なお、審判請求書において、本件補正の根拠については説明されているものの、本件補正の目的については、何ら説明されていない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものである。

〔3〕本願補正発明の独立特許要件について
仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものとして、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、予備的に検討する。

1.本願補正発明
本願補正発明は、平成27年1月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、上記〔1〕(B)に示したとおりのものである。

2.引用刊行物
(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願前に頒布された刊行物である特開2003-285932号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a)「【0001】本発明は、配送ボックス及び配送システムに関し、荷物の収受、送付用紙の作成、伝票処理を自動化した配送ボックス及び配送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の配送システムは、荷物の差出人が配送を依頼する際に、送付用紙に宛名、住所等を手書きで記入していた。また、受取人が留守の場合には、荷物がある旨を示したメモを残して、荷物を持ちかえり一時保管していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような配送システムは、荷物の配送を依頼する際に送付用紙を手書きするのが面倒であった。また、自宅を留守がちにしている場合には、荷物を円滑に受け取ることが難しいという問題があった。
【0004】そこで、本発明は、荷物の送り主に関する情報が読取り処理され、また荷物の収受が簡便な配送ボックス及び配送システムを提供することを目的とする。」(段落【0001】ないし【0004】)

b)「【0020】図1は、本発明の実施の形態に係る配送ボックス1を説明する概略正面図である。本実施の形態では、配送ボックス1は、鉄道の駅に設置されている場合で説明する。そしてこの場合には、配送ボックス1は、例えば駅のコインロッカースペースに設置するとよい。また、ここでの配送は、例えば配送ボックス1間での配送であるが、その他、例えば配送ボックス1からオフィスや個人宅に配送する宅配も含むものとする。
【0021】配送ボックス1は、筐体10と、荷物を収納可能な収納部としての荷物ロッカー11と、利用者等が操作する操作部20とを含んで構成される。筐体10は、直方体の形状をしている。また、操作部20は、筐体10正面のおよそ中央部上方に配置されている。操作部20は、その接客面20aを筐体10の正面に形成している。荷物ロッカー11は、筐体10内に、例えば隔壁で区切られて形成されている。言い換えれば、荷物ロッカー11は、筐体10と一体に構成されている。また、荷物ロッカー11は、例えば予め箱型に形成したものを、筐体10内に設置するようにしてもよい。本実施の形態では、荷物ロッカー11は、筐体10に複数設置されている。さらに複数の荷物ロッカー11には、複数種類の大きさがある。さらに荷物ロッカー11には、それぞれに異なる番号を付すとよい。このようにすることで、例えば複数の荷物ロッカー11の中から1つの荷物ロッカー11を指定する場合でも、この番号を用いることで、容易に指定された荷物ロッカー11を確認できるので、簡便である。
【0022】荷物ロッカー11の大きさは、2種類以上とするのが好ましく、さらに好ましくは3種類以上とするのがよい。本実施の形態では、荷物ロッカー11には、Sサイズの荷物ロッカー11aと、Sサイズより大きいMサイズの荷物ロッカー11bと、Mサイズより大きいLサイズの荷物ロッカー11cとの3種類の大きさがある。これらは基本的に配送する荷物の大きさにより使い分けられる。以下、これらを特に区別しないときは、単に荷物ロッカー11という。さらに、Sサイズの荷物ロッカー11aは、比較的上方に、Mサイズの荷物ロッカー11b、Lサイズの荷物ロッカー11cは、比較的下方に配置するとよい。これは、荷物が大きい程、上方に持ち上げるのが困難であるためである。即ちこのように荷物ロッカー11を配置することで、利用者が利用しやすい配送ボックス1とすることができる。
【0023】また、荷物ロッカー11は、開閉可能な扉13を有している。扉13は、荷物ロッカー11の筐体10の正面側に取り付けられている。さらに、荷物ロッカー11は、扉13を開閉不能にするロック機構14(図2参照)を有している。そしてロック機構14は、必要に応じて後述の操作部20の制御装置40(図2参照)によりロックを解除できるように構成されている。即ち、荷物ロッカー11は、制御装置40により制御されている。
【0024】図2、図3を参照して、操作部20について説明する。図2は、配送ボックス1の構成の概略を示したブロック図であり、図3は、操作部20の接客面20aの平面図である。操作部20は、利用者が提示する記録媒体であって、荷物の送り主に関する情報が記録された記録媒体から荷物の送り主に関する情報の読取り処理をする記録媒体処理手段としてのカードリーダライタ21と、荷物の配送先に関する情報を印刷媒体としての送付用紙に印刷する印刷手段としての送付用紙印刷部22と、送付用紙印刷部22により印刷された情報を読み取る情報読取手段としてのバーコードリーダ25と、利用者に表示により情報を伝える表示手段としての表示モニタ23と、利用者からの荷物の配送先に関する情報の入力を受け付ける入力手段としてのタッチパネル23aとを含んで構成される。以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0025】ここで、記録媒体は、例えばカード媒体であり、カード媒体はICカード3(図3中破線で表示)が好ましい。また、カード媒体は、その他のもの、例えばクレジットカードのような磁気カードであってもよい。ICカード3については図4で後述する。本実施の形態では、記録媒体としてICカード3を用いる。また、ICカード3を提示するとは、例えば、配送ボックス1の場合には、カード収納装置30に挿入することである。ICカード3は、カード収納装置30に挿入されるとカードリーダライタ21にかざされる位置に収納される。また、後述の自動改札機102の場合には、カードリーダライタ102cにかざす、又は軽く接触させる即ち1タッチすることである。
【0026】また、荷物の送り主に関する情報は、例えば、図4で後述するカード情報3aである。荷物の配送先に関する情報は、荷物の配送先の情報、例えば配送先の駅名や住所等である。以下、荷物の配送先に関する情報を配送先情報という。送付用紙は、例えばカード情報3aに記録された荷物の送り主の氏名、電話番号、カードID番号等情報や配送先情報、さらにこれらの情報を変換して生成したバーコード情報を含む情報を印刷するものである。以下、送付用紙に印刷された情報を単に荷物情報という。送付用紙は、例えば紙、タックシール等である。荷物情報の印刷のされた送付用紙は、例えば荷物に標識として貼付される。また同時に、利用者に控えとして発行するものであってもよい。本実施の形態では、送付用紙は、宅配に一般的に用いられる複数枚が綴られたものを用いる。また、利用者に表示により伝える情報は、例えば操作案内の情報や、荷物が配送ボックスに届いているかの情報である。
【0027】・・・中略・・・
【0030】図2、図3に戻って操作部20について説明する。操作部20は、制御装置40を備えている。制御装置40は、各構成が接続され、配送ボックス1全体を制御するものである。制御装置40には、例えばパソコン、マイコンを用いるとよい。また、制御装置40には、前述の荷物ロッカー11が複数接続されている。
【0031】カードリーダライタ21は、カード収納装置30に取り付けられている。カード収納装置30は、図中接客面20aの右下方部分に配置されている。カード収納装置30については、図6を参照して後述する。また、カードリーダライタ21は、ICカード3に対して、情報の読取りの他、書込みが可能であることが好ましい。
【0032】送付用紙印刷部22は、送付用紙に荷物情報を印刷して利用者に放出口22aから受け渡すものである。送付用紙印刷部22は、図中左下方部分に、放出口22aを接客面20aに露出して配置される。また、送付用紙印刷部22は、放出口22aに挿入された紙類に対して領収印を押下する領収印押下部22bを有している。紙類は、例えば複数枚綴られた送付用紙の1枚としての宅配業者控の紙である。
【0033】バーコードリーダ25は、荷物情報としてのバーコード情報を読取るものである。バーコードリーダ25は、接客面20aのカード収納装置30の上方に形成されたバーコードリーダ収納部25a内に収納されている。図5に示すように、バーコードリーダ25は、通常のときにはバーコードリーダ収納部25a内に収納されており、必要なときに扉25bが自動的に開放され、取出せるように構成されている。
【0034】表示モニタ23は、操作案内等の情報を表示により利用者に伝えるものである。表示モニタ23は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)である。さらに、表示モニタ23の表示面には、タッチパネル23aが取り付けられている。これにより、利用者は、表示モニタ23の案内に従い、表示面をタッチすることで、荷物情報を入力できるので利用し易い。
【0035】また、操作部20は、通信インタフェース26を有している。通信インタフェース26は、制御装置40に接続されている。通信インタフェース26は、通信回線2を介して情報を外部装置に送信または外部装置から受信するためのものである。また、外部装置は、例えば図7で後述する駅サーバ101である。」(段落【0020】ないし【0035】)

c)「【0043】図7の概略図を参照して、配送ボックス1を備えた配送システム100について説明する。配送ボックス1と同様に、配送システム100は、鉄道の駅に設置されている場合で説明する。配送システム100は、配送ボックス1と、通信回線2を介して接続され、配送ボックス1を管理する管理手段としての駅サーバ101と、配送ボックス1とは別体であり、特に配送ボックス1から離れた遠隔地点に設置された、利用者に荷物の配送の状態を案内する案内手段としての自動改札機102とを含んで構成される。配送ボックス1、駅サーバ101、自動改札機102は、それぞれ通信回線2で接続されている。通信回線2は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、電話回線等を含む通信回線である。通信のプロトコルには、TCP/IPを用いるとよい。また、駅サーバ101は、例えば設置駅の駅舎内の関係者以外の立ち入りを禁止できる場所に設置され、自動改札機102は、利用者が日常的に通過する地点、例えば設置駅の改札口に設置される。管理とは、例えば、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等である。荷物の配送の状態とは、例えば、配送ボックス1に荷物が届いているか否か、あるいは荷物が現在どこにあるのかである。本実施の形態では、案内手段は、自動改札機102即ち外部の装置としたが、案内装置として配送ボックス1に取り付けて一体に構成してもよい。
【0044】また、駅サーバ101は、宅配業者のサーバとしての宅配業者サーバ105に通信回線2を介して接続されている。また、駅サーバ101は、他の駅に設置された駅サーバ101と通信回線2を介して接続される。さらに、配送システム100は、複数の配送ボックス1を備えるように構成してもよい。駅サーバ101、宅配業者サーバ105は、例えばパソコンであるが、ワークステーション、メインフレームなど、種々のコンピュータで実施可能である。
【0045】自動改札機102は、改札口に設置され、利用者の入出場を管理している。自動改札機102は、利用者のICカード3が駅構内への入出場を許可できるか否かを判断し、備えられた扉102aの開閉を行なうことで、利用者の入出場の許可又は規制を行なうものである。また、自動改札機102は、利用者に情報を伝えるための表示手段としてのディスプレイ102bを有している。さらに、自動改札機102は、ICカード3を所定の場所に1タッチすることで、カードリーダライタ102cにより、カード情報3aを読み書き処理できるように構成されている。自動改札機102は、ディスプレイ102bの表示により、利用者に荷物の配送の状態を案内する。
【0046】以上では、駅サーバ101は、配送ボックス1の設置駅毎に設置し、設置駅に設置された配送ボックス1を管理する場合で説明したが、1箇所に設置した1つの駅サーバ101で、複数の駅に設置された配送ボックス1を管理するように構成してもよい。このようにすると、配送システム100を単純化することができる。
【0047】図8を適宜参照して、配送システム100の動作工程について説明する。ここでは、動作の一例として、配送システム100が設置されている鉄道の駅間での配送について説明する。
【0048】まず図9を参照して、利用者が荷物を発送する際のステップ工程を説明する。利用者は、駅の配送ボックス1に荷物を持ち込み、配送ボックス1のカード収納装置30にICカード3を挿入する(ステップ1(以下単にS1という))。配送ボックス1は、カードリーダライタ21により、ICカード3のカード情報3aを読み出す(S3)。そして、表示モニタ23に、発送か受取かの選択画面を表示する(表示901)。利用者は、表示モニタ23の「発送」をタッチすることで、発送を選択する(S5)。
【0049】そして、配送ボックス1は、ICカード3のカード情報3aより、定期券の利用区間の配送ボックス1が設置されている駅を表示パネル23に表示する(S7、表示903)。このとき、表示する駅は、例えば、発駅、着駅、経由駅等を優先的に表示する。また、利用者は、表示されている駅の中に配送先駅が無い場合には、表示モニタ23に表示された「他駅」をタッチし、配送先駅を表示させる。さらに、「他駅」をタッチした場合には、まず路線が表示され、そして路線を選択すると、その路線の駅が表示されるようにする。そして利用者は、表示された駅の中から、配送先駅をタッチすることで、配送先駅を選択する(S9)。このようにすることで、利用者は、多数存在する駅から配送先駅を容易に選択することができる。
【0050】配送ボックス1は、利用者により配送先駅が選択されると、表示モニタ23に荷物の大きさの選択画面を表示する(表示905)。ここでは、S、M、Lの3種類の中から選択する。そして、利用者は、持ち込んだ荷物の大きさに合わせて、荷物の大きさを選択する(S11)。
【0051】そして、配送ボックス1は、入力された利用者情報例えば氏名、電話番号(図4参照)、配送先駅、荷物の大きさを表示モニタ23に表示し、利用者に表示された内容で正しいかの確認を求める(S13、表示907)。利用者は、表示された内容を確認し、表示モニタ23に表示された「確認」をタッチする(S15)。また、表示された内容に修正がある場合には、表示モニタ23に表示された「修正」をタッチし、内容の修正を行なう。
【0052】利用者による確認が行なわれると、配送ボックス1は、荷物の配送先、荷物の大きさ、氏名、電話番号、ICカード3のカードID番号等の情報即ち荷物情報を送付用紙印刷部22により送付用紙に印刷する。また、同時に、配送ボックス1は、上記の荷物情報を変換して生成したバーコードを送付用紙に印刷する。印刷された送付用紙は、送付用紙印刷部22の放出口22aより利用者に受け渡される。そして、同時に配送ボックス1は、選択された荷物の大きさの荷物ロッカー11の扉13のロックを解除する(S17)。さらに、配送ボックス1は、送付用紙を荷物に貼ってロックを解除した荷物ロッカー11に入れ、扉13を閉めるように案内する案内表示を表示モニタ23により表示する(表示909)。ロックを解除した荷物ロッカー11は、例えばそれぞれの荷物ロッカー11に付された番号により案内される。
【0053】利用者は、表示モニタ23の案内表示に従って、荷物に送付用紙を貼り付け、指定された荷物ロッカー11に入れて扉13を閉める(S19)。そして、扉13は、ロック機構14によりロックされる。配送ボックス1は、利用者に対して、表示モニタ23により、荷物の発送手続きが終了した旨例えば「ありがとうございました」と表示する(表示911)。
【0054】そして、配送ボックス1は、利用者より発送を委託された荷物情報を駅サーバ101に伝送する(図8中801)。駅サーバ101は、配送ボックス1から荷物情報が伝送されると、必要に応じて宅配業者に荷物の宅配を依頼する。この場合、駅サーバ101は、宅配業者サーバ105へ、配送ボックス1に宅配を委託したい荷物がある旨と、配送ボックス1の設置された駅名を送信する(図8中802)。」(段落【0043】ないし【0054】)

d)「【0055】次に、図10を参照して、宅配業者が荷物を収集する際のステップ工程を説明する。宅配業者には、事前に鉄道の事業者より宅配業者専用のICカードが配布されている。このICカードには、専用のカードID番号を含むカード情報が記録されている。
【0056】宅配業者は、配送ボックス1のカード収納装置30に宅配業者専用のICカードを挿入する(S31)。配送ボックス1は、カードリーダライタ21により、このICカードのカード情報を読み出す(S33)。そして、表示モニタ23に、収集か配達かの選択画面を表示する(表示1001)。宅配業者は、表示モニタ23の「収集」をタッチすることで、収集を選択する(S35)。
【0057】配送ボックス1は、発送待ちの荷物ロッカー11の番号を表示モニタ23に表示する(表示1002)。そして、これらの番号の荷物ロッカー11の扉13のロックを解除する(S37)。宅配業者は、荷物ロッカー11より荷物を収集し、扉13を閉める(S39)。宅配業者が、収集すべき全て荷物の収集が完了し、扉13を閉め終えると、収集した荷物が入っていた荷物ロッカー11の番号を表示モニタ23に表示し、宅配業者に表示された内容で正しいかの確認を求める(S41、表示1003)。宅配業者は、表示された内容を確認し、表示モニタ23に表示された「確認」をタッチする(S43)。そして宅配業者による確認が行なわれると、配送ボックス1は、収集した荷物のリストを送付用紙印刷部22により紙に印刷する。印刷された紙は、送付用紙印刷部22の放出口22aより宅配業者に受け渡される(S45)。
【0058】そして、配送ボックス1は、宅配業者により収集された荷物の収集情報例えば荷物が配送ボックス1から発送された旨を駅サーバ101に伝送する(図8中803)。駅サーバ101は、配送ボックス1から荷物の収集情報が伝送されると、収集された各荷物の配送先駅の駅サーバ101に、荷物を発送した旨と発送した荷物の荷物情報を伝送する(図8中804)。配送先駅の駅サーバ101は、配送元駅の駅サーバ101から荷物を発送した旨と発送した荷物の荷物情報が伝送されると、配送ボックス1にこれらの情報を伝送する(図8中805)。そして、荷物は、宅配業者により、配送元駅から配送先駅に宅配される(図8中811)。」(段落【0055】ないし【0058】)

e)「【0071】さらに、以上では、配送システム100は、駅から駅への配送について説明したが、例えば、駅サーバ101に、配送先の住所例えば自宅の住所等を事前に登録保存しておくことにより、通常の宅急便(登録商標)(料金後払い)と同様に、自宅等に直接荷物を配送することも可能である。住所を登録した場合には、前述の利用者による配送先駅の選択の際に、登録した住所を表示し、利用者が選択できるように構成するとよい。また、ICカード3のカード情報3aに、利用者の住所を記録するようにしてもよい。さらに、利用者の住所以外の住所を記録できるように構成してもよい。この場合には、上記のように駅サーバ101に住所を保存しておく必要がなく、配送システム1をより単純化できるだけでなく、簡便に利用できるものとすることができる。
【0072】以上のように本実施の形態の配送ボックス1は、荷物の配送の際に、ICカード3のカード情報3aをカードリーダライタ21で読取ることで、カード情報3aに基づいて送付用紙を容易に作成できるので、利用者が利用し易い。また、送付用紙印刷部22により、荷物の配送先、荷物の大きさ、氏名、電話番号、ICカード3のカードID番号等や、これらの情報に基づいて生成したバーコード情報を送付用紙に印刷するので、送付用紙を手書きする煩わしさから解放される。また、配送ボックス1は、バーコードリーダ25により、バーコード情報を読取ることができるので、配送業務、特に宅配業者による宅配業務が円滑に行なえる。さらに、表示モニタ23とタッチパネル23aにより、利用者が円滑に情報を入力できるので、操作が簡単である。」(段落【0071】及び【0072】)

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)a)ないしc)及びe)並びに図7の記載(特に、段落【0001】、【0004】、【0020】、【0043】、【0052】ないし【0054】、及び【0071】の記載)によれば、引用刊行物には、宅配される荷物を配送先に配送する配送システムが示されていることが分かる。

イ 上記(1)c)及び図7及び8の記載によれば、配送システムは、配送ボックス1と、駅サーバ101と、宅配業者サーバ106と、を備え、複数の配送ボックス1と駅サーバ101と宅配業者サーバ106とを通信回線2を介して接続したものが示されている。

ウ 上記(1)b)及びc)並びに図1ないし4の記載(特に、段落【0020】、【0024】、【0034】、【0046】及び【0047】ないし【0052】の記載)によれば、複数の配送ボックス1は、複数の鉄道の駅に設置されることが分かると共に、利用者は荷物の送り主に関する情報や荷物の送り先の情報を入力することから、不特定多数の人が利用可能な公衆利用のものであることが分かる。

エ 上記アないしウによれば、引用刊行物には、宅配される荷物を配送先に配送する配送システムであって、複数の鉄道の駅に設置される不特定多数の人が利用可能な複数の公衆利用の配送ボックス1と、駅サーバ101と、宅配業者サーバ106と、を備え、複数の公衆利用の配送ボックス1と駅サーバ101と宅配業者サーバ106とを通信回線2を介して接続したものが記載されていることが分かる。

オ 上記(1)b並びに図1及び2の記載によれば、配送ボックス1は、宅配される荷物を入れる荷物ロッカー11を備えることが分かる。

カ 上記(1)b)及びc)並びに図1ないし4の記載(特に、段落【0024】、【0034】及び【0047】ないし【0052】の記載)によれば、配送ボックス1は、荷物ロッカー11に入れる宅配される荷物についての荷物情報を電子データとして受付ける操作部20を備えることが分かる。

キ 上記(1)b)及びd)並びに図1、2及び10の記載(特に、段落【0023】及び【0055】ないし【0057】の記載)によれば、配送ボックス1は、宅配業者専用のICカードのカード情報に基づいて荷物ロッカー11に設けられた扉13を開閉不能にするロック機構14のロック解除のための認証が行われる認証部を備えることが分かる。

ク 上記ウ及びオないしキによれば、配送システムは、公衆利用の配送ボックス1に、宅配される荷物を入れる荷物ロッカー11と、この荷物ロッカー11に入れる宅配される荷物についての荷物情報を電子データとして受付ける操作部20と、宅配業者専用のICカードのカード情報に基づいて荷物ロッカー11に設けられた扉13を開閉不能にするロック機構14のロック解除のための認証が行われる認証部と、を備えることが分かる。

ケ 上記c)及び図7の記載(特に、段落【0043】及び【0044】の記載)によれば、駅サーバ101は、配送ボックス1及び宅配業者サーバ105に通信回線2を介して接続されており、通信をするための装置、すなわち、通信インターフェースを備えていることが分かる。

コ 上記b)及びc)並びに図7の記載(特に、段落【0024】、【0026】、【0043】、【0044】及び【0054】の記載)によれば、駅サーバ101は、配送ボックス1の操作部20で受付けた荷物情報を駅サーバ101に送信することで、個々の宅配される荷物についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理を管理部で行うことが分かる。

サ 上記ケ及びコによれば、駅サーバ101は、管理部及び通信インターフェースを備えているところ、これらを制御するために制御部を備えていることが分かる。

シ 上記ウ、ケないしサによれば、配送システムは、駅サーバ101に、管理部と、通信インタフェースと、これらを制御する制御部を備え、鉄道の駅に設置された配送ボックス1の操作部20で受付けた荷物情報を駅サーバ101に送信することで、個々の宅配される荷物についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理を、駅サーバ101の管理部で行うものであることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合して、本願補正発明の表現に倣って整理すると、引用刊行物には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「宅配される荷物を配送先に配送する配送システムであって、複数の鉄道の駅に設置される不特定多数の人が利用可能な複数の公衆利用の配送ボックス1と、駅サーバ101と、宅配業者サーバ106と、を備え、複数の公衆利用の配送ボックス1と駅サーバ101と宅配業者サーバ106とを通信回線2を介して接続し、
公衆利用の配送ボックス1に、宅配される荷物を入れる荷物ロッカー11と、この荷物ロッカー11に入れる宅配される荷物についての荷物情報を電子データとして受付ける操作部20と、宅配業者専用のICカードのカード情報に基づいて荷物ロッカー11に設けられた扉13を開閉不能にするロック機構14のロック解除のための認証が行われる認証部と、を備え、
駅サーバ101に、管理部と、通信インタフェースと、これらを制御する制御部を備え、
鉄道の駅に設置された配送ボックス1の操作部20で受付けた荷物情報を駅サーバ101に送信することで、個々の宅配される荷物についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理を、駅サーバ101の管理部で行うものである
配送システム。」

3.対比
本願補正発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「宅配される荷物」は、前者における「宅配物」に相当し、以下同様に、「配送先」は「発送先」に、「配送する」は「発送する」に、「複数の」は「多数の」に、「配送ボックス1」は「宅配ボックス装置」に、「駅サーバ101」は「管理サーバ」に、「宅配業者サーバ106」は「宅配業者端末装置」に、「通信回線2」は「通信ネットワーク」に、「荷物ロッカー11」は「宅配物収納部」に、「荷物情報」は「発送情報」に、「操作部20」は「発送受付手段」に、「扉13を開閉不能にするロック機構14」は「施錠装置」に、「ロック解除」は「開錠」に、「認証部」は「認証部」に、「管理部」は「宅配情報管理部」に、「通信インタフェース」は「通信部」に、「制御部」は「制御部」に、それぞれ相当する。
・後者における「配送システム」は、配送ボックス1の操作部20によって、宅配される荷物についての荷物情報を電子データとして受付けることから、前者における「宅配物発送受付けシステム」に相当する。
・後者における「鉄道の駅」は、前者における「公衆の場所」に相当し、後者における「複数の鉄道の駅」は、前者における「多数の異なる公衆の場所」に相当する。
・後者における「公衆利用の配送ボックス1」に、「宅配業者専用のICカードのカード情報に基づいて荷物ロッカー11に設けられた扉13を開閉不能にするロック機構14のロック解除のための認証が行われる認証部」を備えることは、前者における「公衆利用の宅配ボックス装置」に、「前記宅配物収納部に設けられた施錠装置を開錠する開錠認証情報を生成して前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して前記管理サーバへ送信する開錠認証情報生成部と、前記開錠認証情報に基づいて前記施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部と、」を備えることに、「公衆利用の宅配ボックス装置」に、「所定の開錠認証情報に基づいて宅配物収納部に設けられた施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部」を備えるという限りにおいて、相当する。
・後者における「個々の宅配される荷物についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理」は、前者における「個々の宅配物の管理」に相当する。
そして、後者における「鉄道の駅に設置された配送ボックス1の操作部20で受付けた荷物情報を駅サーバ101に送信することで、個々の宅配される荷物についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理を、駅サーバ101の管理部で行う」ことは、前者における「公衆利用の宅配ボックス装置」に、「対応する宅配物を個々に特定する識別コードを電子データとして生成する識別コード生成部」を備え、「任意の公衆の場所に設置された前記宅配ボックス装置の前記発送受付手段で受付けた発送情報及び前記識別コード生成部で生成した識別コードを前記管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、前記識別コードに基づいて前記管理サーバの前記宅配情報管理部で行う」ことに、「任意の公衆の場所に設置された宅配ボックス装置の発送受付手段で受付けた発送情報を管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、管理サーバの宅配情報管理部で行う」という限りにおいて、相当する。

したがって、両者は、
「宅配物を発送先に発送する宅配物発送受付けシステムであって、多数の異なる公衆の場所に設置される不特定多数の人が利用可能な多数の公衆利用の宅配ボックス装置と、管理サーバと、宅配業者端末装置と、を備え、多数の公衆利用の宅配ボックス装置と管理サーバと宅配業者端末装置とを通信ネットワークを介して接続し、
公衆利用の宅配ボックス装置に、宅配物を入れる宅配物収納部と、この宅配物収納部に入れる宅配物についての発送情報を電子データとして受付ける発送受付手段と、所定の開錠認証情報に基づいて宅配物収納部に設けられた施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部と、を備え、
管理サーバに、宅配情報管理部と、通信部と、これらを制御する制御部を備え、
任意の公衆の場所に設置された宅配ボックス装置の発送受付手段で受付けた発送情報を管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、管理サーバの宅配情報管理部で行うものである
宅配物発送受付けシステム。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
「任意の公衆の場所に設置された宅配ボックス装置の発送受付手段で受付けた発送情報を管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、管理サーバの宅配情報管理部で行う」ことに関し、本願補正発明においては、「公衆利用の宅配ボックス装置」に、「対応する宅配物を個々に特定する識別コードを電子データとして生成する識別コード生成部」を備え、「任意の公衆の場所に設置された前記宅配ボックス装置の前記発送受付手段で受付けた発送情報及び前記識別コード生成部で生成した識別コードを前記管理サーバに送信することで、個々の宅配物の管理を、前記識別コードに基づいて前記管理サーバの前記宅配情報管理部で行う」のに対して、引用発明においては、「鉄道の駅に設置された配送ボックス1の操作部20で受付けた荷物情報を駅サーバ101に送信することで、個々の宅配される荷物についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理を、駅サーバ101の管理部で行う」ものであり、宅配物を個々に特定する識別コードを電子データとして生成し、個々の宅配物の管理を、識別コードに基づいて行うものであるのか否か明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
「公衆利用の宅配ボックス装置」に、「所定の開錠認証情報に基づいて宅配物収納部に設けられた施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部」を備えることに関し、本願補正発明においては、「公衆利用の宅配ボックス装置」に、「前記宅配物収納部に設けられた施錠装置を開錠する開錠認証情報を生成して前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して前記管理サーバへ送信する開錠認証情報生成部と、前記開錠認証情報に基づいて前記施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部と、」を備えるのに対して、引用発明においては、「公衆利用の配送ボックス1」に、「宅配業者専用のICカードのカード情報に基づいて荷物ロッカー11に設けられた扉13を開閉不能にするロック機構14のロック解除のための認証が行われる認証部」を備える点(以下、[相違点2」という。)。

[相違点3]
本願補正発明においては、「前記管理サーバから前記宅配業者端末装置に、該当する宅配物の前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して送信する」ものであるのに対して、引用発明においては、そのような構成を有していない点(以下、「相違点3」という。)。

4.判断
上記相違点について検討する。
[相違点1について]
配送業務において、荷物の配送の受付時に、受付番号等の荷物を特定する識別コードを付与し、当該識別コードを用いて配送の管理を行うことは、本件出願前にごく普通に行われていること(必要であれば、特開2004-83148号公報(特に、段落【0021】、【0031】、【0036】、【0046】ないし【0048】及び【0051】)及び特開2005-240375号公報(特に、段落【0110】及び【0117】)を参照。以下、「慣用技術」という。)である。
そうすると、引用発明に、配送業務の技術分野において共通する慣用技術を適用し、配送する荷物を受付ける配送ボックス1(本願補正発明の「宅配ボックス装置」に相当。以下、括弧内同様。)において、宅配される荷物(宅配物)を個々に特定する識別コードを電子データとして生成する識別コード生成部を備え、配送ボックス1の操作部20(発送受付手段)で受付けた荷物情報(発送情報)及び識別コード生成部で生成した識別コードを駅サーバ101(管理サーバ)に送信することで、個々の宅配される荷物(宅配物)についての、荷物の配送の状態の監視、配送ボックス1の配送費用の決済等の管理(個々の宅配物の管理)を、駅サーバ101の管理部(宅配情報管理部)で行うようにし、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2及び3について]
宅配ボックス装置に、宅配物収納部に設けられた施錠装置を開錠する開錠認証情報を生成して開錠認証情報を通信ネットワークを介して、外部へ送信する開錠認証情報生成部を備えることは、本件出願前に周知の技術(必要であれば、特開2005-240375号公報(特に、段落【0127】ないし【0134】及び図5ないし7)及び特開2003-137440号公報(特に、段落【0020】及び【0025】ないし【0027】)を参照。以下、「周知技術」という。)である。
そして、引用発明は、配送ボックス1(宅配ボックス装置)の荷物ロッカー11(宅配物収納部)に、所定の開錠認証情報であるカード情報に基づいてロック解除(開錠)することが可能な、扉13を開閉不能にするロック機構14(施錠装置)が設けられているのであるから、引用発明において、周知技術を適用し、配送ボックス1に、荷物ロッカー11に設けられた扉13を開閉不能にするロック機構14をロック解除する開錠認証情報を生成して開錠認証情報を通信回線2(通信ネットワーク)を介して、外部へ送信する開錠認証情報生成部を備え、認証部を、認証情報生成部で生成した開錠認証情報に基づいて施錠装置の開錠のための認証が行われるように構成することは、当業者が容易に着想し得ることである。
その際、引用刊行物の「【0054】そして、配送ボックス1は、利用者より発送を委託された荷物情報を駅サーバ101に伝送する(図8中801)。駅サーバ101は、配送ボックス1から荷物情報が伝送されると、必要に応じて宅配業者に荷物の宅配を依頼する。この場合、駅サーバ101は、宅配業者サーバ105へ、配送ボックス1に宅配を委託したい荷物がある旨と、配送ボックス1の設置された駅名を送信する(図8中802)。」という記載によれば、駅サーバ101は、配送ボックス1から荷物情報が伝送されると、必要に応じて宅配業者に荷物の宅配を依頼するのであるから、引用発明において、配送ボックス1の開錠認証情報生成部を、開錠認証情報を通信回線2を介して駅サーバ101(管理サーバ)へ送信するように構成すると共に、駅サーバ101から宅配業者サーバ105(宅配業者端末装置)に、宅配される荷物の開錠認証情報を通信回線2を介して送信するように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。
そうすると、引用発明において、周知技術を適用することにより、上記相違点2及び3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明、慣用技術及び周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

〔4〕むすび
上記〔2〕のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に規定される事項を目的とする補正に該当するものとしても、上記〔3〕のとおり、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。


第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成26年4月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、前記第2[理由]〔1〕(A)の【請求項1】に示したとおりのものである。

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項、並びに、引用発明は、前記第2[理由]〔3〕2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]〔3〕で検討した本願補正発明の発明特定事項のうち、「宅配物発送受付けシステム」が備えるものから「宅配業者端末装置」を除き、「通信ネットワーク」が接続する対象から「宅配業者端末装置」を除き、「公衆利用の宅配ボックス装置」が備えるものから「前記宅配物収納部に設けられた施錠装置を開錠する開錠認証情報を生成して前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して前記管理サーバへ送信する開錠認証情報生成部」と「前記開錠認証情報に基づいて前記施錠装置の開錠のための認証が行われる認証部」を除き、「宅配物発送受付けシステム」の機能である「前記管理サーバから前記宅配業者端末装置に、該当する宅配物の前記開錠認証情報を前記通信ネットワークを介して送信する」という機能を除いたものに相当する。
そして、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、上記第2[理由]〔3〕に記載したとおり、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は実質的に、上記第2[理由]〔3〕3.対比で示した相違点1の点でのみ相違する。
そうすると、上記第2[理由]〔3〕4.判断における検討内容によれば、本願発明は、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-07 
結審通知日 2015-09-08 
審決日 2015-09-28 
出願番号 特願2010-216218(P2010-216218)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65G)
P 1 8・ 572- Z (B65G)
P 1 8・ 121- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 伸次大谷 光司大野 明良  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 金澤 俊郎
槙原 進
発明の名称 宅配物発送受付けシステム  
代理人 水尻 勝久  
代理人 木村 豊  
代理人 西川 惠清  
代理人 北出 英敏  

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