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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  F21S
審判 一部無効 発明同一  F21S
管理番号 1310746
審判番号 無効2014-800089  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-05-30 
確定日 2016-02-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第4996998号発明「照明装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第4996998号は、平成19年7月2日に出願され、平成24年5月18日に設定登録がなされたものである。
また、本件無効審判請求後の手続の経緯は、以下のとおりである。

平成26年 5月30日 無効審判請求
平成26年 8月 7日 答弁書提出
平成26年10月 7日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成26年10月21日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成26年10月27日 上申書提出(被請求人)
平成26年11月 4日 口頭審理

2.本件特許発明
本件特許第4996998号の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は、特許明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「指向性のある複数の光源を装着した基板を一面に複数並べて備える照明装置において、
前記光源及び/又は前記基板は、前記基板が設けられる面において光が均一に発光されるように配置され、
前記光源からの光を拡散する拡散板を、前記光源から該拡散板までの距離が前記複数の光源間の距離より大きくなるように備え、
前記基板を前記一面に係止するための係止孔が、前記複数の光源の内で最外周にある光源の内側に位置する光源の間に配置されて前記基板に設けられていることを特徴とする照明装置。」

3.請求人の主張及び証拠方法
請求人は、「特許第4996998号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、無効理由の概要は以下のとおりであると主張している。

(1)本件の請求項1に係る発明は、その出願前に出願され、その出願後に公開された特願2006-217053号(甲第1号証)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号により無効とされるべきものである。
(2)本件の請求項1に係る発明は、甲第2?4号証の2に記載された発明に基づいて、いわゆる当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号により無効とされるべきものである。

また、請求人は、証拠方法として、以下の甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。
[証拠方法]
<審判請求書に添付>
甲第1号証 特開2008-41546号公報
甲第2号証 特開2005-339881号公報
甲第3号証 特開2006-310319号公報
甲第3号証の1 特開2007-73295号公報
甲第3号証の2 特開2007-134430号公報
甲第4号証 特開2007-148177号公報
甲第4号証の1 特開2005-302484号公報
甲第4号証の2 特開2003-68129号公報
甲第5号証 特許第4996998号公報(本件特許公報)

なお、上記甲第4号証は、審判請求書の「8.証拠方法」には、「特開2007-148117号公報」と記載されているが、添付されているのは「特開2007-148177号公報」であり、また、両公報の記載内容からみて上記の誤りと認める。

<口頭審理陳述要領書に添付>
甲第1号証の1 特開2009-10184号公報
甲第1号証の2 特開2008-159659号公報
甲第3号証の3 特開2007-96290号公報
甲第3号証の4 特開2007-163810号公報
甲第3号証の5 特開2007-95386号公報
甲第3号証の6 特開2007-121927号公報
甲第3号証の7 特開2007-87900号公報
甲第3号証の8 特開2007-95484号公報
甲第3号証の9 特開2007-134281号公報

なお、当事者間に甲第1ないし5号証の成立に争いはない。
また、請求人は、甲第1号証の1及び甲第1号証の2は、参考資料として提出したものであって、審判請求の理由の補正を求めるものではないとしている(第1回口頭審理調書参照)。

4.被請求人の主張の概要
一方、被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求め、上記請求人の主張に対し、本件特許を無効とすべき理由はない旨の主張をしている。

また、被請求人は、参考資料として、以下の乙第1号証を提出している。
乙第1号証:対比表(本件発明と甲各号証の記載事項との対比)

5.甲各号証の記載事項
甲第1?4号証には、以下の各事項が記載されている。

[甲第1号証]
(1a)「【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される液晶表示装置の全体構成を示す図である。本実施の形態が適用される液晶表示装置は、液晶表示モジュール50と、この液晶表示モジュール50の背面側(図1では下部側)に設けられるバックライト装置10とを備えている。なお、本実施の形態では、直下型のバックライト装置10が用いられる。
【0017】
バックライト装置10は、発光部を収容するバックライトフレーム11と、発光ダイオード(以下の説明ではLEDという)を複数個、配列させた発光モジュール12とを備えている。また、バックライト装置10は、光学フィルムの積層体として、面全体を均一な明るさとするために光を散乱・拡散させる透明な板(またはフィルム)である拡散板13と、前方への集光効果を持たせた回折格子フィルムであるプリズムシート14、15とを備えている。また、輝度を向上させるための拡散・反射型の輝度向上フィルム16が備えられる。」

(1b)「【0020】
図2は、バックライト装置10の一部の構造を説明するための図である。図2に示す例では、液晶表示モジュール50の背面直下に光源を置く直下型のバックライト構造を採用している。そして、このバックライト構造では、液晶表示モジュール50の背面の全体に対してほぼ均等にLEDチップが配列されている。・・・
【0021】
バックライトフレーム11は、例えばアルミニウムやマグネシウム、鉄、またはそれらを含む金属合金などで生成される筐体構造を形成している。・・・この筐体構造としては、液晶表示モジュール50の大きさに対応して設けられる背面部と、この背面部の四隅を囲う側面部を備えている。・・・
【0022】
この図2に示す例では、発光装置の一種としての発光モジュール12が複数(図2の例では8枚)設けられ、各発光モジュール12は、それぞれ複数 (図2の例では1枚の発光モジュール12に対して2本) のネジ17によってバックライトフレーム11に固定されている。各発光モジュール12上には、固体発光素子の一つとしての複数のLEDチップ21が配置されている。・・・そして、このバックライトフレーム11に複数の発光モジュール12が取り付けられることで、バックライト構造の全体として、各LEDチップ21が均等に配置される。バックライトフレーム11に存在するLEDチップ21の全体を用いることで、輝度および色度の均一性を実現したバックライト装置10を提供することが可能となる。・・・」

(1c)「【0024】
図3は、発光モジュール12の構成を説明するための分解図を示している。・・・
【0025】
・・・LED基板20には、ネジ17の取り付け位置に対応する二つのネジ穴22が貫通形成される。・・・」

(1d)「【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施の形態が適用される液晶表示装置の全体構成を示す図である。
【図2】バックライト装置の一部の構造を説明するための図である。」

(1e)図1

(1f)図2

(1g)図3


上記図3には、LED基板20には、二つのネジ穴22が、複数のLEDチップ21の内で最外周にあるLEDチップ21の内側に位置するLEDチップ21の間に貫通形成されていることが記載されている。

以上の記載より、甲第1号証には、以下の発明(以下「先願発明」ともいう。)が記載されている。
「液晶表示モジュール50の背面側に設けられるバックライト装置10において、
発光部を収容するバックライトフレーム11と、LEDチップ21を複数個、配列させた発光モジュール12とを備え、
また、光学フィルムの積層体として、拡散板13と、プリズムシート14、15と拡散・反射型の輝度向上フィルム16とを備え、
液晶表示モジュール50の背面直下に光源を置く直下型のバックライト構造を採用し、液晶表示モジュール50の背面の全体に対してほぼ均等にLEDチップが配列され、
バックライトフレーム11は、筐体構造を形成し、液晶表示モジュール50の大きさに対応して設けられる背面部と、この背面部の四隅を囲う側面部を備え、
各発光モジュール12は、それぞれ複数のネジ17によってバックライトフレーム11に固定され、
発光モジュール12は、複数のLEDチップ21を搭載するLED基板20を備え、
LED基板20には、ネジ17の取り付け位置に対応する二つのネジ穴22が、複数のLEDチップ21の内で最外周にあるLEDチップ21の内側に位置するLEDチップ21の間に貫通形成されている貫通形成される バックライト装置10。」

[甲第2号証]
(2a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明モジュールを平面状に集合させて大面積化した照明装置において、
各照明モジュールには、隣接する複数の照明モジュールと相互に接続する複数の電気的接続部が、各照明モジュールの辺に面して配置されていることを特徴とする照明装置
・・・
【請求項12】
請求項1ないし11に記載の照明装置において、各照明モジュールは外形が長方形であることを特徴とする照明装置
【請求項13】
請求項12に記載の照明装置において、各照明モジュール外形の横縦比率が約16:9であることを特徴とする照明装置
・・・
【請求項16】
請求項1ないし15に記載の照明装置をバックライトとして使用したことを特徴とする液晶表示装置
【請求項17】
隣接する複数の照明モジュールと相互に接続する複数の電気的接続部を備えた照明モジュールにおいて、電気的接続部が照明モジュールの辺に面して配置され、複数の照明モジュールを電気的接続部で相互に接続して照明装置として使用することを特徴とする照明モジュール
・・・
【請求項24】
請求項17ないし23に記載の照明モジュールにおいて、各照明モジュールは外形が長方形であることを特徴とする照明モジュール
【請求項25】
請求項24に記載の照明モジュールにおいて、各照明モジュール外形の横縦比率が約16:9であることを特徴とする照明モジュール
・・・
【請求項28】
請求項17ないし27に記載の照明モジュールを複数集めてバックライトとして使用したことを特徴とする液晶表示装置」

(2b)「【実施例1】
【0020】
図1に、本実施例における照明装置に使用する照明モジュールを示す。
【0021】
本実施例における照明モジュール100は、その外形が長方形で、横縦比率が16:9となっており、対角サイズが約1インチ(25mm(1インチ≒25.4mm))の4倍である100mm(約4インチ)となっている。これに加えて、隣接照明モジュール間の距離を縦横それぞれ1mm程度とすると、対角方向の照明モジュール間隔は略4インチとなる。すなわち、照明モジュール100の対角サイズを4インチより約1.6mm少なめの100mmとすることによって、対角方向の照明モジュール間隔は略4インチとなる。」

(2c)「【0026】
しかし、本実施例の照明装置では、対角サイズが4インチ刻みでスケーラブルに設計可能であり、使用する照明モジュールは、すべてのサイズで共用できるため、大量生産が可能で低コスト化が可能である。
【0027】
ここで一つ重要なことは、照明モジュール100上に配置されている光源部品であるLED素子115は、各照明モジュール100内、及び照明モジュール間においても、ほぼ等間隔で配置されていなければ、照明装置120としての光の均一性が悪くなり、これを使用したLCD上で画質不良となってしまうことである。
・・・
【0030】
それゆえに、照明モジュール間においても照明モジュール100内とほぼ同じ間隔で光源部品であるLED素子115を配置する必要がある。
・・・
【0033】
本実施例では、この図3の網掛部分104以外の辺に面した場所に、縦方向電気的接合部111や横方向電気的接合部112を配置することで、LED素子115を、照明モジュール内でも照明モジュール間でもほぼ等間隔に配置することが可能である。これにより光均一性がよい照明装置とすることができる。
・・・
【0035】
この場合、照明モジュール100内において、例えば、2行4列に合計8個配置された各LED素子115は、それぞれ連続して電気的に接続され、上下の縦方向電気的接続部111又は左右の横方向電気的接続部112に接続される。」

(2d)「【0039】
図4に、本実施例における電気的接合部112として、平行差込や垂直差込が可能なコネクタを示す。
・・・
【0041】
そのため、本実施例では、照明モジュール100の基板として、アルミ金属板を用い、その上に、極薄の配線パターンを貼り付け、その上に直接、LED素子チップを実装することで放熱特性を非常によくしてあり、電力?発光輝度効率の低下を抑制している。」

(2e)「【実施例8】
【0094】
図15に、本実施例における照明モジュール100を集合させてバックライトとして使用した場合の液晶表示装置の断面図を示す。
【0095】
背面格子フレーム121上に、平面的に並べられた照明モジュール100から平行に2cm程度離して、光散乱板124が設置されており、その上に光学フィルム125が配置されている。そして、さらにその上に液晶パネル123が設置されている。」

(2f)図1


図1には、照明モジュール100内において、LED素子115が2行4列に合計8個配置されていることが記載されている。

(2g)図2



(2h)図15


以上の記載より、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」ともいう。)が記載されている。
「液晶表示装置のバックライトとして使用し、複数の照明モジュール100を平面状に集合させて大面積化した照明装置において、
各照明モジュールには、隣接する複数の照明モジュールと相互に接続する複数の電気的接続部が、各照明モジュールの辺に面して配置され、
照明モジュール100内において、2行4列に合計8個のLED素子115が配置されるとともに、LED素子115が照明モジュール内でも照明モジュール間でもほぼ等間隔に配置され、
照明モジュール100の基板として、アルミ金属板を用い、その上に、極薄の配線パターンを貼り付け、その上に直接、LED素子115が実装され、
照明モジュール100は、その外形が長方形で、横縦比率が16:9となっており、対角サイズが100mmとなり、これに加えて、隣接照明モジュール間の距離を縦横それぞれ1mm程度され、
背面格子フレーム121上に、平面的に並べられた照明モジュール100から平行に2cm程度離して、光散乱板124が設置されており、その上に光学フィルム125が配置され、そして、さらにその上に液晶パネル123が設置された照明装置。」

[甲第3号証]
(3a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトユニットとこれを含む液晶表示装置に関し、より詳細には、点光源が効率的に配置されるバックライトユニットとこれを含む液晶表示装置に関する。」

(3b)「【0025】
本発明の第1実施例による液晶表示装置を図1乃至図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例による液晶表示装置の分解斜視図であり、図2は本発明の第1実施例による液晶表示装置の断面図、図3は本発明の第1実施例によるLED配置を説明する図である。
液晶表示装置1は、液晶表示パネル20、液晶表示パネル20の背面に順次に形成された光調節部材30、反射板40、LED回路基板51、そしてLED回路基板51に実装されて反射板40のLED収容口41に配置されるLED60を含む。」

(3c)「【0028】
液晶表示パネル20の背面に形成される光調節部材30は、拡散板31、プリズムフィルム32及び保護フィルム33を含む。
拡散板31は、ベース板とベース板に形成された玉形のビードを含むコーティング層で構成される。拡散板31は、LED60から供給された光を拡散させて、輝度を均一にする。」

(3d)「図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例による液晶表示装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例による液晶表示装置の断面図である。」

(3e)図1


(3f)図2



[甲第3号証の1]
(3-1a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、直下式バックライト装置及び画像表示装置、より詳細には、液晶表示装置において液晶パネルを照明するために液晶パネル背面側に設けられる直下式バックライト装置とそのバックライト装置を備えた画像表示装置に関し、特にLEDを使用したLEDバックライト装置、及びLEDとCCFLを併用したいわゆるハイブリッド方式のバックライト装置に関する。」

(3-1b)「【0051】
図1は、本発明の直下式バックライト装置に適用可能なフルLED方式のバックライト装置の構成例を説明する図で、図1(A)はバックライト装置の側断面を示す図、図1(B)は図1(A)の一部の要素を除いてバックライト装置の筐体内部を上方から見た図である。図1において、10はLEDバックライト装置、11はLEDバックライト装置の筐体、11aは筐体の底部壁、12(12R,12G,12B)はLED、13はLED基板、14は反射シート、15は拡散板、16は拡散シート、17はプリズムシート、18は反射偏光板、19は液晶パネル、20は筐体に設けられたLED挿入孔、21は反射シートに設けられたLED挿入孔である。
【0052】
バックライト装置10は、光源として複数のLED12のみを使用したフルLED方式により構成されている。バックライト装置10は筐体11を有し、その筐体11の底面側に反射シート14が配置されている。
・・・
【0053】
ここでバックライト光源10のLED12は、複数のLED12を所定方向(この場合図1のX方向)に配列したLEDユニットU(U1?U6)を形成するものとする。そして複数のLEDユニットUは、上記所定方向において互いに平行となるように配置されている。このLEDユニットは本発明の点光源ユニットに該当する。
【0054】
LED12は、複数のLED12がLED基板13上にアレイ状に配設される。そして本実施形態では、筐体11の底部壁11aと反射シート14にLED12を配設するためのLED挿入孔20,21がそれぞれ設けられている。これらのLED挿入孔20,21は、LED12を配設すべき位置に応じて予め形成されたもので、LED基板13上に形成したLED12を上記LED挿入孔20,21の背面側から前面側に挿入し、筐体11の内部空間を介してLED12により拡散板15を照明できるように構成する。
【0055】
LED12から出射した光は、拡散板15により拡散され、さらに拡散シート16、プリズムシート17及び反射偏光板18で作用を受けて、均一な強度分布を有する照明光となって液晶パネル19を背面側から照明する。・・・」

(3-1c)「【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の直下式バックライト装置に適用可能なフルLED方式のバックライト装置の構成例を説明する図である。
【図2】図1に示すバックライト装置の組み立て実装例を説明するための図である。」

(3-1d)図1



(3-1e)図2


[甲第3号証の2]
(3-2a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明装置、LEDバックライト装置、及び画像表示装置に関し、より具体的には、液晶パネル等の光変調素子を照明する素子としてLED(発光ダイオード)を使用したLED照明装置、そのLED照明装置を用いたLEDバックライト装置、及び、そのLEDバックライト装置を備え画像表示を行う画像表示装置に関する。」

(3-2b)「【0024】
図1は、本発明に係る直下型のLEDバックライト装置の構成例を説明するための図で、図1(A)は断面図、図1(B)は平面図である。また、図2は、図1のLEDバックライト装置に適用可能なLED照明装置の回路構成例を示すブロック図である。図1及び図2において、10はLEDバックライト装置、11はLED、11a?11nはLED直列ユニット、12は拡散板、13は他の光学シート、14は反射板、15はLEDバックライト装置の筐体、16は液晶パネル、20は電源回路、21は定電圧回路、22は電流検出回路、23は電圧制御回路である。
【0025】
図1で例示するLEDバックライト装置10は、LEDから発光された光により被照明体を背面から照明するようにした装置であり、図1では液晶パネル16も併せて図示している。・・・」

(3-2c)「【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る直下型のLEDバックライト装置の構成例を説明するための図である。」

(3-2d)図1



[甲第3号証の3]
(3-3a)「【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイ用の光源、バックライト及びそのバックライトを用いた液晶ディスプレイに関する。」

(3-3b)「【0013】
以下、添付図面(図1?図3)をも参照しながら本発明を説明する。
本発明の発光ダイオード光源は、基板(1)と該基板(1)に配置された発光ダイオード(4)を有する光源であって、発光ダイオード(4)はレンズ部(4a)とパッケージ部(4b)を有し、かつ、該発光ダイオード(4)のパッケージ部(4b)の一部または全部が前記基板(1)に埋設されていることを特徴とする。好ましくは、レンズ部(4a)のみが基板(1)の上側に突出していることを特徴とする。
・・・
【0014】
本願発明の一例の発光ダイオードの模式断面図を図1に示す。発光ダイオード(4)のレンズ部(4a)のみが基板(1)の上側に突出しており、パッケージ部(4b)は基板(1)内に埋め込まれた構造になっている。
このように、発光ダイオードのレンズ部(4a)だけを基板(1)の上に出るように配置することにより、発光ダイオードのパッケージ部(4b)による光の吸収をなくすことが可能となる。なお、この図ではパッケージ部(4b)は完全に基板(1)内に埋め込まれた形としているが、パッケージ部(4b)の一部を基板に埋設させた場合は、パッケージ部(4b)による光の吸収を低減する効果がある。
【0015】
また、輝度と色度を均一化するには、図2に示すように、通常設置される拡散部材(板、フィルム)(5)のほかに、拡散部材(5)と基板(1)との中間に第2の拡散部材(板、フィルム)(6)を設置することが好ましい。なお、ここで言う板とは部材の厚みが相対的に厚いもの、フィルムとは部材の厚みが相対的に薄いものを意味するが、本発明では種々の厚みのものを使用することができる。
第2の拡散部材(6)としては、ポリメチルメタクリレート等の透明樹脂板に拡散層を形成したものが挙げられる。拡散層の形成には拡散フィルムを積層する方法、あるいは液状樹脂を塗布し乾燥して形成する方法などが挙げられる。これらの中でも、拡散フィルムを積層した拡散部材が好ましい。
第2の拡散部材(6)はLED(4)と拡散部材(5)との間の任意の位置に設けることができるが、LED(4)-拡散部材(5)間距離の10?30%程度の位置に設けることが好ましい。」

(3-3c)「【0020】
実施例1:
内寸法280mm×234mm、深さ30mmのアルミニウム製筐体の内面に、東レ製白色反射フィルム(ルミラー(登録商標)60L)を貼合せた。該筐体の底面に、短辺に沿って等間隔に3箇所、長辺に沿って12mm間隔(ただし、両端の壁面からの距離は26mm)で20箇所、合計60箇所に直径5mmの丸穴を開けた。ここで言う距離とは、丸穴の中心を基準とした寸法である。・・・
次に、アルミニウム筐体内側底面から10mmの高さに厚さ0.5mmのポリメチルメタクリレート製透明樹脂板を固定し、さらに、その直上にツジデン社製拡散フィルム(D123、100μm厚、ヘイズ値82.4%)を固定した。
【0021】
さらに、アルミニウム筐体の内側底面から30mmの高さに帝人化成社製ポリカーボネート拡散板(PC9391-50HL、2mm厚、ヘイズ値51.5%)を固定して、バックライトユニットを得た。
・・・」

(3-3d)図2


(3-3e)図4



[甲第3号証の4]
(3-4a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板および直下型バックライト装置に関し、特に、直下型バックライト装置に用いた際に、その構成を大きく変化させることなく、高輝度で、かつ輝度均斉度に優れた直下型バックライト装置とすることができる光拡散板を提供すること、および、この光拡散板を備える直下型バックライト装置に関する。」

(3-4b)「【0014】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る直下型バックライト装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る直下型バックライト装置を模式的に示す斜視図である。本実施形態の直下型バックライト装置は、並列配置された複数本の線状光源2と、線状光源2からの光を反射する反射板3と、線状光源2からの直射光及び反射板3からの反射光を拡散照射する光拡散板1とを備えている。
【0015】
線状光源2としては、例えば冷陰極管、熱陰極管、線状に配列したLED(発光ダイオード)、およびLEDと導光体の組み合わせたもの等を挙げることができる。冷陰極管および熱陰極管の形状としては、直線状に加えて、平行な2本の管が一つの略半円でつながれ一本になったU字状、平行な3本の管が二つの略半円でつながれ一本になったN字状、および平行な4本の管が三つの略半円でつながれ一本になったW字状を挙げることができる。これらの中でも、線状光源2としては、輝度均一性の観点からは冷陰極管が好ましく、色再現性の点からは線状に配列したLED、およびLEDと導光体とを組み合わせたものが好ましい。」

(3-4c)「【0017】
隣接する線状光源2の中心間の距離aは、15mm?150mmであることが好ましく、20mm?100mmであることがより好ましい。前記距離aを上記範囲とすることにより、直下型バックライト装置の消費電力を低減できるとともに、当該装置の組み立てが容易になり、かつ発光面の輝度むらを抑えることができる。」

(3-4d)「【0048】
図7(B)に示すように、前記凸構造において、図7(A)の線Aに沿った光拡散板11の厚み方向に平行な断面では、この凸構造の面に相当する線分には、傾き(X1、X2;度)の異なる2種類の線分が存在する。・・・
【0049】
このような構成の光拡散板において、本発明者らが鋭意検討した結果、傾きX1,X2は、隣接する点状光源12の中心間の距離をa(mm)、点状光源12の中心と光拡散板11の光入射面との距離をb(mm)として、12.5-11×(b/a)<X1またはX2<85-28.5×(b/a)の関係1を満たすことが好ましいことを見出した。このような構成により、輝度および輝度均斉度をともに向上できる。
【0050】
ここで、隣接する点状光源とは、2つの点状光源の中心間を結んだ線分において、この線分上に他の点状光源が存在しない状態にある2つの点状光源のことである。ここで、隣接する点状光源の中心間の距離とは、ある点状光源の中心位置と、この点状光源に隣接する他の点状光源の中心位置との距離のうち、数値の小さいものから順に4つ選択し、これら4つの数値の算術平均により求められる値である。
【0051】
また、前記距離a,bは、それぞれ直下型バックライト装置内で一定の値であることが好ましいが、一定の値でなくてもよい。距離a,bの値が一定でない場合には、前記関係1において、距離a,bが最も小さい値のときに成立するものとする。
【0052】
前記距離bは、直下型バックライト装置の厚みと輝度均斉度を考慮して設計すればよいが、2mm?30mmであることが好ましく、3mm?25mmであることがより好ましい。前記距離bを上記範囲とすることにより、輝度むらを低減でき、かつランプの発光効率の低下を防ぐことができる。あわせて、バックライト全体の厚さを薄くできる。」

(3-4e)図1



(3-4f)図7(B)



[甲第3号証の5]
(3-5a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、直下型バックライト装置に関し、特に、線状光源の使用本数を減らして消費電力を低減できるとともに、十分な輝度均斉度を有する直下型バックライト装置に関する。」

(3-5b)「【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る直下型バックライト装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る直下型バックライト装置1を模式的に示す斜視図である。図2は、直下型バックライト装置1を模式的に示す断面図である。図1に示すように、直下型バックライト装置1は、並列に配置された複数本の線状光源10と、線状光源10から出射された光を反射する反射板20と、線状光源10から出射された直射光および反射板20からの反射光を拡散照射する光拡散板30と、光拡散板30から拡散照射された光の出射方向を調整するプリズムシート40とを備えている。
【0021】
線状光源10には、冷陰極管、熱陰極管、線状に配列したLED、LEDと導光体を組合せたもの等を用いることができ、この中でも、線状光源10としての輝度均一性の点で冷陰極管を好ましく用いることができる。図2に示すように、複数の線状光源10は、それぞれが略平行となるように均等間隔(線状光源10の中心間の間隔)Lで配置されている。間隔Lの寸法は、例えば20mm?150mmであることが好ましく、25mm?100mmであることがより好ましい。」

(3-5c)「【0031】
次に、光拡散板30の外形について説明する。
図2に示すように、光拡散板30は、その線状光源10側の面である下面30Aと線状光源10の中心位置との最短距離がhとなるように配置されている。この最短距離hの寸法は、5mm?30mm以下であることが好ましく、5mm?25mmであることが好ましい。下面30Aは、当該光拡散板30の厚さ方向に対して略垂直な面となっている。」

(3-5d)図2



[甲第3号証の6]
(3-6a)「【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば液晶テレビに代表される液晶表示装置に用いられるバックライト装置に関し,特に,蛍光管及び発光ダイオードの二種類の光源を備えてなるバックライト装置に関するものである。」

(3-6b)「【0012】
・・・
図1に示すように,前記液晶表示装置Xは,画像を表示するための液晶パネル1と,前記液晶パネル1の背後から該液晶パネル1に対して光を照射する複数の蛍光管2と,前記蛍光管2各々の間に該蛍光管2に対して前記液晶パネル1と反対の方向から前記液晶パネル1に向けて赤色の波長光を発光する複数の発光ダイオード3(以下,「LED3」という)と,前記LED3が複数配列されて実装されたLED回路基板4と,前記LED回路基板4が固定された背面部材5と,前記蛍光管2及び前記LED3の光を拡散して前記液晶パネルXに向けて出力する拡散板6と,を備えて概略構成されている。・・・」

(3-6c)「【0017】
前記液晶表示装置Xでは,図1(a)に示すように,前記LED3は,前記LED回路基板4が前記背面部材5における前記陥没部52の底部52aに固定されることにより,該底部52aに配置されている。即ち,前記LED3から発光されて前記液晶パネル1に向けて照射される光の放射点が,前記導電性部51よりも前記蛍光管2と離間する方向に突出した位置(前記底部52a)に設けられることになる。
ここで,図1(a)の一点鎖線内に示した破線は,前記導電性部51と同じ位置に前記LED3が配設された場合に,該LED3から前記液晶パネル1側に向けて放射される光線を示している。一方,図1(a)の一点鎖線内に示した実線は,前記導電性部51よりも前記蛍光管2と離間する方向に突出した前記底部52aに前記LED3が配設された場合に,該LED3から前記液晶パネル1側に向けて放射される光線を示している。
図1(a)から明らかなように,本実施の形態に係る前記液晶表示装置Xのように前記LED3が前記導電性部51よりも前記蛍光管2と離間する方向に突出して設けられている場合の方が,前記LED3が前記導電性部51と同じ位置に設けられている場合よりも,前記LED3の光の通過距離が長いためその光が広がってから前記液晶パネル1に到達している。なお,前記陥没部52の内壁52aが拡開しているため,該光の広がりを阻害することもない。
したがって,前記LED3による前記蛍光管2の発光強度の補強にバラツキが減り,装置全体として発光される光の色ムラが防止される。そのため,前記LED3の数を省減することも可能である。
・・・」

(3-6d)「【0018】
次に,図2を用いて,本発明の実施例に係る液晶表示装置X1について説明する。ここに,図2(a)は本発明の実施例に係る液晶表示装置X1の概略構成を示す側断面図,図2(b)は前記液晶表示装置X1に設けられたバックライト装置Y1の正面図である。なお,前記液晶表示装置X1において前記液晶表示装置X(図1参照)と同様の構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
図2に示すように,本発明の実施例に係る液晶表示装置X1が,前記液晶表示装置Xと異なるところは,前記陥没部52に換えて曲面の内壁53aを有する陥没部53が前記背面部材5に設けられており,前記LED回路基板4が,前記LED3が前記陥没部53に向けて光を照射する方向に向いた状態で配設されている点にある。なお,前記内壁53aは,平面よりも光の拡散性の高い曲面であることが望ましいが平面であっても差し支えない。また,前記内壁53aの内側にも前記内壁52aと同様に光の反射率の高い反射シート(不図示,第2の光反射用部材の一例)が貼着されている。
・・・
【0019】
このように構成された前記液晶表示装置X1では,図2(a)の一点鎖線内に実線で示すように,前記LED3から発光された光が前記陥没部53の内壁53aで反射して前記液晶パネル1側に向けて照射される。このとき,前記液晶パネル1側に向けて照射される光は,前記蛍光管2と前記導電性部51との離間距離をL3,前記LED3と前記陥没部53の底部との距離をL4としたとき,前記蛍光管2からL3+2×L4だけ離れた位置Pから放射されたと擬似的に考えることができる。即ち,前記液晶パネル1に向けて照射される光の放射点が,前記導電性部51よりも前記蛍光管2と離間する方向に突出していると考えることができる。
そして,前記位置Pから放射された光が前記液晶パネル1に到達するまでの距離は,前記導電性部51の位置から直接前記液晶パネル1側に照射される光(図2(a)の一点鎖線の破線参照)に比べて十分に長く確保されているため,その光はより広げられた状態で前記拡散板6に到達することとなり,前記LED3の数を増加させずに該LED3による前記蛍光管2の発光強度の補強のバラツキを減らして装置全体として発光される光の色ムラを防止することできる。もちろん,前記液晶表示装置Xと同様に,前記背面部材5の断面凹凸形状により,前記導電性部51と前記蛍光管2との間に発生する寄生容量が大きくなりすぎることを防止することができるという構成も採用し得る。」

(3-6e)図2


[甲第3号証の7]
(3-7a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ等のバックライトシステムに関する。」

(3-7b)「【0031】
(第1の実施の形態)図1?図3に本発明の1つの実施の形態のバックライトシステムに搭載する平面型光源としての平面型蛍光ランプLを示している。本実施の形態の平面型蛍光ランプLは、透光性のガラス板から構成される前面基板1と、側壁3とスペーサ5を一体的に形成した背面基板2とを略一定の間隔で対向させて配置し、周辺部をフリットガラス7で封着することで平面型放電容器の構造をなしている。」

(3-7c)「【0043】
上記平面型光源Lを使用したバックライトシステムを図5、図6に示す。バックライトシステムの筐体は、フロントフレーム11aとバックフレーム11bから構成されている。平面型光源Lは、バックライトシステムのバックフレーム11bの底面から0.1mm?5mm離間して配置されている。平面型光源Lの発光面21の発光面積SLは、バックライトシステムの発光面22の発光面積SBより小さく設定されている。発光面積比SL/SBは0.95?0.2に設定されていることが好ましい。
【0044】
平面型光源Lの発光面積SLがバックライトシステムの発光面積SBより小さいため、平面型光源Lの周囲には斜面形状を有する側壁12を配置して、光をバックライト発光面21に効率良く導き、バックライトシステムの発光均一性を向上させている。・・・
【0045】
さらに、ランプの発光均一性をさらに向上させるために、平面型光源Lの前面基板1側には約0.1?30mmの間隔をおいて透過率が40%以上の拡散板13が配置されている。さらに、発光均一性や輝度を向上させるために、拡散板13の上面に、拡散シート、集光シート、偏光反射シート等の光学シート14が配置されている。この光学シート14は必要な場合に採用されるものである。
【0046】
平面型光源Lから拡散板13までの距離DLを大きくすることにより、平面型光源Lの発光面積SLを小さくしても、バックライトシステムの発光面22の発光を均一にすることができる。」

(3-7d)図6


[甲第3号証の8]
(3-8a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の液晶ディスプレイに適した液晶ディスプレイ用バックライトユニット、ならびに、このバックライトユニットを有する液晶ディスプレイに関する。」

(3-8b)「【0004】
図1(a)に示した液晶ディスプレイ用バックライトユニットにおいては、液晶パネル10の裏面に照射される白色光の光強度分布が不均一になってしまうことが、発明者等による種々の実験を経て判明した。即ち、図1(a)に対応した図1(b)に示すように、液晶パネル10の縦方向において、各蛍光ランプ20と同じ高さ位置の部分が他の領域に比べて強く照射されるような光量分布になってしまう。
【0005】
特に、バックライトユニットを薄型化すべく蛍光ランプと液晶パネルとの間隔を短くした場合には、このような不均一な光量分布がさらに強調されることになり、均一な光量分布で液晶パネルの裏面を照射することが困難である。
【0006】
それ故、本発明の課題は、光源からの光を均一な光量分布で液晶パネルに照射することができる液晶ディスプレイ用バックライトユニットを提供することである。
【0007】
本発明の他の課題は、ユニットの薄型化と光量分布の均一性とを両立した液晶ディスプレイ用バックライトユニットを提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の課題は、上記のような液晶ディスプレイ用バックライトユニットを備えた液晶ディスプレイを提供することである。」

(3-8c)「【0009】
本発明によれば、以下の態様(1)?(13)が、少なくとも得られる。
【0010】
(1)長手方向を有する形状を呈し、角板状を呈する液晶パネルの裏側において液晶パネルの幅方向に該長手方向を沿わせて配置される光源と、前記光源の周面のうちの液晶パネルの裏面に対向しない領域から放射される光を液晶パネルの裏面に入射すべく反射するリフレクタと、液晶パネルの裏面に亘って設けられ、前記光源から直接および前記リフレクタで反射して液晶パネルに向かう光を拡散する拡散板とを有する液晶ディスプレイ用バックライトユニットにおいて、
前記拡散板のうちの少なくとも該光源が平行投影される領域には、該領域の通過光の光強度を低下させる光抑制部が形成されることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライトユニット。」

[甲第3号証の9]
(3-9a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示ユニット等を後方から照明するためのバックライトユニットに関し、特に直下型バックライトユニットに関するものである。」

(3-9b)「【背景技術】
【0002】
・・・
図1に示すとおり、この直下型のバックライトは、箱型の筐体(図示せず)の底に光源が一定間隔で配置され、光拡散部の設置位置以外の筐体の内側には反射部が配置されている。この筐体の上側、箱の開口部には光源から一定の空隙を挟んで光拡散部が覆いかぶさるように配置されている。この光拡散部は、光源から直接入射する光、もしくは光源からの光が反射部にて反射されて導かれる光を拡散して、面内に均一な強度の光を拡散板上面から出射させる上で欠かせないものである。
・・・
【0003】
ところで、この直下型バックライトでは、光源の発光部が離散した状態で配置されているため、通常の光拡散部を通して見た場合、直下に光源が存在する部分の輝度がその周囲よりも明るく、光源の形状が浮き出したいわゆるランプイメージが見えることになる。そこで、これを抑制して面全体の輝度を均一化させるために、様々な工夫が凝らされている。・・・」

(3-9c)「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、各種光源に応じて特定のパターン形成を必要としない異方性拡散媒体を使用したバックライトユニットと、このバックライトユニットを組み込んだ液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバックライトユニットは、光源と、該光源からの光を反射する該光源の少なくとも背面側に配置された反射部と、該光源の前面側に配置され、直接または該反射部にて反射されて入射する該光源からの光を拡散する光拡散部とを有し、該光拡散部は、該光源からの光の入射角により直線透過光量が異なる異方性拡散媒体を少なくとも1枚含むことを特徴とする。」

[甲第4号証]
(4a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の発光輝度を制御し、色度のずれを補正する技術に関する。」

(4b)「【0005】
このバックライト装置は、輝度ムラや色ムラのない適切な面光源として液晶パネルを照射するために、各光源と液晶パネルの間には、各光源の光を所望の面光源に変換すべく拡散板等の光学部材295が配される。当該光学部材295は完成品としての液晶表示装置の奥行きをできるだけ薄くできるようにシート状又は板状で形成されているため、光源や回路部品の発熱によって撓みや変形をきたす。よって、この光学部材295の光源側への撓み、変形を防止するために、バックライト装置内に光源よりも光学部材側(液晶パネル側)に突出した突起294を有している。」

(4c)「【0044】
本発明にかかる光源制御装置として、液晶表示装置を例にとって説明する。図1は、本実施形態にかかる液晶表示装置のブロック図である。
【0045】
当該液晶表示装置は、映像を表示する液晶パネル11と、当該液晶パネル11を背面から照射する光源としてのLED12と、・・・を備える。
【0046】
図2は、本発明にかかる照明装置としてのバックライト装置の外観図である。図2(b)は、液晶表示装置から液晶パネル、光学部材を取り除いた、照明装置としてのバックライト装置を正面からみた図であり、図2(a)は、図2(b)の正面図の一点鎖線Aにおけるバックライト装置の断面図を示す。
【0047】
シャーシ26は、複数の光源を収納できる大きさで形成され、シャーシ26の内部底面に光源を固定配置する光源配置基板25を載置し、さらにその上に、光源から発せられる光を液晶パネル側や光学部材側等の所定の方向へ反射する反射板24が設けられている。」

(4d)「【0060】
導光体21と、その周囲の構成の詳細を図3に示す。導光体21は、突起状に形成され、当該突起部31を光源配置基板25等に対して立設させることができるよう、係合部32を有している。当該係合部32を反射板24、光源配置基板25、シャーシ26を貫通させた貫通孔に嵌合することにより、導光体21を光源配置基板25に立設させる。」

(4e)図2


(4f)図3


[甲第4号証の1]
(4-1a)「【技術分野】
【0001】
本願発明は、LED照明ユニットを照明器具外殻体に結合固定してなる照明器具及び同照明器具を長手方向に連設してなる照明装置に関するものである。」

(4-1b)「【0012】
図1?6は、本願発明の請求項1?4の全てに対応した一実施形態である照明器具B及びこれを用いた照明装置を示している。この実施形態の照明器具Bは、図1?3に示す如く、表面にLED1が突設されると共に背面に放熱体2が突設された基板3と、背面が開口部4として形成された透明で略箱型のカバーケース5と、を備え、カバーケース5内に基板3を収容すると共に透明な充填材7を注入充填し、充填材7から放熱体2が背方へと突出した状態で同充填材7を硬化させることで、基板3とカバーケース5とを固着一体化してLED照明ユニットAを形成し、熱伝良導材料製の断面略H型材でなる照明器具外殻体13のH型の一方凹所S1内に前記LED照明ユニットAを収容し、同照明器具外殻体13のH型の中片部18に前記背方へと突出した放熱体2を接合固定してなるものである。
【0013】
また、この実施形態の照明器具Bでは、照明器具外殻体13の長手方向略全長においてその一方凹所S1内に適合収容されるようLED照明ユニットAのカバーケース5を略矩形箱型に形成し、同カバーケース5に対応するよう基板3を矩形状に形成してこの基板3の表面には複数のLED1を長手方向に配列して突設している。この場合、照明器具外殻体13のH型の一方凹所S1における両側片部17の端縁間開口とカバーケース5の表面壁部6との位置を略合致させてもいる。また、この実施形態の照明装置は、図2(a)に示す如く、前記照明器具Bを長手方向に連設し、LED照明ユニットAの各LED1の長手方向における間隔L1と隣接する両LED照明ユニットAの最端に位置するLED1の間隔L2とを略合致させたものである。」

(4-1c)「【0014】
以下、この実施形態の照明器具B及びこれを用いた照明装置をより具体的詳細に説明する。図4に示す如く、この実施形態におけるLED照明ユニットAにおいて、カバーケース5は背面が開口部4となる断面略コ字型でその長手方向の両端部が閉塞された略矩形箱型であり、透明なアクリル樹脂にて一体に形成されたものである。カバーケース5はアクリル樹脂の他、透光性を有するポリカーボネート等の合成樹脂やガラス等で形成されてもよい。また、この場合、カバーケース5は表面壁部6とその両側に連設される両側面壁部8とで断面略コ字型となっており、背面全体が矩形状に開口して開口部4として形成されている。そして、カバーケース5の表面壁部6と両側面壁部8との間の内隅部分には、長手方向に間隔をあけて複数の凸起10が一体に突設されている。
【0015】
基板3はアルミニウム等の熱伝導率の高い帯状金属板でなり、前記カバーケース5の開口部4よりも若干小さな矩形状に形成されている。基板3の表面にはLED1が二列にして配設されており、同裏面にはアルミニウム等の熱伝導率の高い金属でなる放熱体2が突設されている。放熱体2は断面略T字状に形成され、その横片部2aが薄肉に縦片部2bが同横片部2aよりも厚肉とされている。そして、放熱体2の横片部2aの表面全体が基板3の裏面に広い面積にわたって密着接合され、この状態で基板3の表側から挿入螺合される結合ネジ15によってこの基板3に同放熱体2は結合一体化されている。また、放熱体2の縦片部2bの背方端面11は平坦面として巾広に形成されており、同背方端面11に後述する照明器具外殻体13に取り付けるための取付用のネジ穴12が長手方向に複数穿設されている。」

(4-1d)図2


(4-1e)図4


[甲第4号証の2]
(4-2a)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、LED素子を有する照明器具に関するものである。」

(4-2b)「【0027】この発明の第2の実施の形態を図7から図9により説明する。第1の実施の形態と比べて機械的電気的な保持構造が異なる。すなわち、モジュール保持部材5はLEDモジュール1に係止する係止爪により形成している。このモジュール保持部材5は器具本体2の中央部に一対互いに反対向きに設けている。LEDモジュール1はモジュール保持部材5が引っ掛かる嵌合孔11をモジュール保持部材5に対応して中央部に一対形成し、嵌合孔11の孔内面および前面に導電部を形成することにより給電端子部3を形成し、接続部10はモジュール保持部材5が成形品により形成される場合にはその係止面5aおよび側面5bに連続して一体に形成されている。またLEDモジュール1を保持するばね7はコイルばねに代えて板ばねを用いている。板ばねは略くの字に折曲し、一端を折り返して器具本体2の前面に取付けている。
【0028】LEDモジュール1の取付けは、嵌合穴11をモジュール保持部材5である係止爪に通すことにより係止爪が撓んで爪先がLEDモジュール1の前面に引っ掛かる。係止爪の復元弾力によって側面5bの接続部10が給電端子部3に電気接触するとともに、LEDモジュール1がばね7に押されてLEDモジュール1を係止爪に強く係止させることにより、機械的保持の強化とともに係止面5aの接続部10が給電端子部3に強く電気接触する。したがってLEDモジュール1を係止爪に対して押し込むだけで機械的電気的接続が可能となる。LEDモジュール1を外すときは一対の係止爪の爪頭部間をつまむように狭めて嵌合穴11から係止を外すことによりばね力でLEDモジュール1を浮き出すことができる。」

(4-2c)図7


(4-2d)図8


6.当審の判断
6-1.無効理由(1)について
本件特許発明と先願発明とを対比すると、
先願発明の「LEDチップ」、「LED基板20」、「拡散板13」及び「バックライト装置10」は、それぞれ本件特許発明の「光源」、「基板」、「拡散板」及び「照明装置」に相当し、
先願発明の「LEDチップ」は、本件特許発明の「指向性のある」ものといえ、また、液晶表示モジュール50の背面の全体に対してほぼ均等に配列されていることから、本件特許発明の「基板が設けられる面において光が均一に発光されるように配置され」ているものといえ、
先願発明の「バックライトフレーム11」の発光モジュール12が複数設けられている面は、本件特許発明の「一面」に相当し、
先願発明のネジ17の取り付け位置に対応する二つの「ネジ穴22」は、LED基板20をバックライトフレーム11に固定するためのものであるから、本件特許発明の「係止孔」相当する。
よって、両者は、
「指向性のある複数の光源を装着した基板を一面に複数並べて備える照明装置において、
前記光源及び/又は前記基板は、前記基板が設けられる面において光が均一に発光されるように配置され、
光源からの光を拡散する拡散板を備え、
前記基板を前記一面に係止するための係止孔が、前記複数の光源の内で最外周にある光源の内側に位置する光源の間に配置されて前記基板に設けられている照明装置。」である点一致し、以下の点で相違する。

相違点:本件特許発明では、光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにされているのに対し、先願発明では、そのような特定がされていない点。

そこで、上記相違点について検討すると、
先願発明に係る甲第1号証の明細書には、LEDチップ21と拡散板13までの距離と複数個のLEDチップ21間の距離との関係についての記載または示唆はされていない。
また、請求人は、審判請求書において「甲第1号証において、LEDチップ間の距離と、LEDチップから拡散板までの距離の関係が示されている(図1、図2)。拡散板13は、バックライトフレーム11の上に搭載される。フレーム11の四方に形成される立壁の高さが、ほぼLEDチップから拡散板までの距離に該当する。そうすると、かかる立壁の高さは明らかにLEDチップ間の距離よりも大きい。」(審判請求書第7頁9?13行)と、図1及び2を、上記相違点に係る事項が記載されているとする主張の根拠としているが、一般的に、特許願書に添付された図面は、発明を理解しやすくするための説明図であり、設計図面などのように寸法を正確に反映した図面とは必ずしもいえるものではない。そして、甲第1号証の発明の詳細な説明(記載事項(1a)及び(1b)参照)においては、図1は「本実施の形態が適用される液晶表示装置の全体構成を示す図である。」、図2は「 図2は、バックライト装置10の一部の構造を説明するための図である。」とされ、図面の簡単な説明(記載事項(1d)参照)においては、図1は「本実施の形態が適用される液晶表示装置の全体構成を示す図である。」、図2は「バックライト装置の一部の構造を説明するための図である。」とされていること、並びに、図1及び2を参酌しても、図1及び2が、正確な寸法を示しているものとする根拠はない。
よって、甲第1号証に、LEDチップ21と拡散板13までの距離が複数個のLEDチップ21間の距離より大きいことが記載されているとすることはできない。

さらに、甲第1号証に記載された照明装置において、上記相違点のような寸法関係となっていることが技術常識であるとする根拠はなく、また、本件特許発明は、上記相違点に係る構成により、本件特許明細書に記載の効果を奏するものであることより、上記相違点は、単なる設計事項あるいは設計上の微差とも認められない。

したがって、本件特許発明は、特願2006-217053号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一とはいえない。

なお、請求人は、審判請求書において「かかる距離関係に設定することは、後述の甲第2号証、甲第3号証、甲第3号証の1などにも見られるように周知技術である。」(審判請求書第7頁13?16行)とも主張しているが、後述の「-2.無効理由(2)について」において述べるように、上記各号証には、上記相違点に係る距離関係に設定することについての記載はなく、上記相違点に係る事項を、周知技術とすることはできない。

さらに、参考資料として提出された、本件特許発明に係る出願前に出願され、その出願後に公開された特許出願に係る甲第1号証の1及び甲第1号証の2についても、請求人の主張は、図面を根拠とするものであって、当該図面からは、甲第1号証と同様に寸法関係を特定し得るものではないことより、それぞれ本件特許発明と同一の発明が記載されているとすることはできない。

6-2.無効理由(2)について
本件特許発明と甲2発明とを対比すると、
甲2発明の「LED素子115」、「照明モジュール100の基板」及び「光散乱板124」は、それぞれ本件特許発明の「光源」、「基板」及び「拡散板」に相当し、
甲2発明の「LED素子115」は、本件特許発明の「指向性のある」ものといえ、また、照明モジュール内でも照明モジュール間でもほぼ等間隔に配置されていることから、本件特許発明の「基板が設けられる面において光が均一に発光されるように配置され」ているものといえ、
甲2発明の「背面格子フレーム121」の照明モジュール100の平面的に並べられた面は、本件特許発明の「一面」に相当する。
そして、甲2発明の照明モジュール100は、その外形が長方形で、横縦比率が16:9となっており、対角サイズが100mmとなっていることから、長辺寸法は87.1mmとなる。また、この照明モジュール100には長辺方向に4個のLED素子115が配列され、隣接照明モジュール間の距離を縦横それぞれ1mm程度されていることから、LED素子115のピッチは、22.0mmとなる。なお、この点は、請求人も認めている(第1回口頭審理調書参照)。
よって、両者は、
「指向性のある複数の光源を装着した基板を一面に複数並べて備える照明装置において、
前記光源及び/又は前記基板は、前記基板が設けられる面において光が均一に発光されるように配置され、
光源からの光を拡散する拡散板を備え、
照明装置。」である点一致し、以下の各点で相違する。

相違点1:本件特許発明では、光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにされているのに対し、甲2発明では、照明モジュール100上にLED素子115が22.0mmのピッチで配列され、また、背面格子フレーム121上に、平面的に並べられた照明モジュール100から平行に2cm程度離して、光散乱板124が設置されている点。

相違点2:本件特許発明では、基板を一面に係止するための係止孔が、複数の光源の内で最外周にある光源の内側に位置する光源の間に配置されて前記基板に設けられているのに対し、甲2発明では、そのような特定がされていない点。

そこで、上記各相違点について検討すると、
・相違点1について
甲2発明の光散乱板124が設置されている照明モジュール100からの距離(2cm程度)は、LED素子のピッチ(22.0mm)より大きいとはいえない。
また、甲第3号証、甲第3号証の1及び甲第3号証の2の各明細書には、上記相違点1に係る本件特許発明のような寸法関係に係る記載はなく、また、上記「6-1.無効理由(1)について」において甲第1号証について検討したのと同様に、特許の願書に添付された図面から寸法関係を特定し得るものではない。
よって、甲第2号証、甲第3号証、甲第3号証の1及び甲第3号証の2には、上記相違点1における本件特許発明の「光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにされている」ことの記載はない。

甲第3号証の3には、液晶ディスプレイ用のバックライトにおいて、発光ダイオードを、筐体の底面に、短辺に沿って等間隔に3箇所、長辺に沿って12mm間隔に配置し、10mmの高さに拡散層が形成されたポリメチルメタクリレート製透明樹脂板を固定することが記載されているが、当該10mmは、上記発光ダイオードの間隔12mmより小さい。
甲第3号証の4には、光拡散板を備える直下型バックライト装置において、隣接する線状光源2の中心間の距離aを、好ましくは15mm?150mm、より好ましくは20mm?100mmとし、点状光源12(線状光源2)の中心と光拡散板11の光入射面との距離bを好ましくは2mm?30mm、より好ましく3m?25mmとすることが記載されているが、それぞれの上限値及び下限値からみて、距離bは、距離aより小さくすることが記載されていると解釈することが妥当である。
甲第3号証の5には、直下型バックライト装置において、複数の線状光源10を、好ましくは20mm?150mm、より好ましいくは25mm?100mmの間隔Lで配置し、光拡散板30を、その線状光源10側の面である下面30Aと線状光源10の中心位置との最短距離hが、好ましくは5mm?30mm以下、好ましくは5mm?25mmで配置することが記載されているが、それぞれの上限値及び下限値からみて、最短距離hは間隔Lより小さくすることが記載されていると解釈することが妥当である。
よって、甲第3号証の3ないし5には、上記相違点1における本件特許発明の「光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにされている」ことの記載はない。

甲第3号証の6には、液晶表示装置に用いられるバックライト装置において、LEDから放射された光が拡散板を備えた液晶パネルに到達するまでの距離を十分に長く確保することにより発光される光の色ムラを防止することができる旨が記載されている。
甲第3号証の7には、液晶ディスプレイ等のバックライトシステムにおいて、平面型光源から拡散板までの距離を大きくすることにより、平面型光源の発光面積を小さくしても、バックライトシステムの発光面の発光を均一にすることができる旨が記載されている。
しかし、甲第3号証の6及び7には、上記相違点1に係る光源から拡散板までの距離と複数の光源間の距離との関係についての記載はない。

甲第3号証の8には、液晶ディスプレイ用バックライトユニットにおいて、バックライトユニットを薄型化すべく蛍光ランプと液晶パネルとの間隔を短くした場合には、このような不均一な光量分布がさらに強調されることになり、均一な光量分布で液晶パネルの裏面を照射することが困難である旨が記載されている。
甲第3号証の9には、直下型バックライトユニットにおいて、光源の発光部が離散した状態で配置されているため、通常の光拡散部を通して見た場合、直下に光源が存在する部分の輝度がその周囲よりも明るく、光源の形状が浮き出したいわゆるランプイメージが見えることになるので、これを抑制して面全体の輝度を均一化させるために、様々な工夫が凝らされている旨が記載されている。
しかし、甲第3号証の8及び9には、本件特許発明と同様な課題が記載されているものの、本件特許発明とはその解決手段を異にするものである。

したがって、甲第3号証ないし甲第3号証の9を参酌しても、上記相違点1の本件特許発明に係る構成を容易に想到し得たとすることはできない。

さらに、上記記載事項(4b)にあるように、液晶表示装置のバックライト装置は、一般的に薄型化が求められることより、甲第2号証における照明装置において、照明モジュール100から光散乱板124までの距離を大きく変更することは、当業者が容易に想到し得るものではなく、また、本件特許発明は、上記相違点1に係る構成により、本件特許明細書に記載の効果を奏するものであることより、上記相違点1は、単なる設計事項あるいは設計上の微差とも認められない。

よって、甲2発明において、上記相違点1を当業者が容易になし得たとすることはできない。

・相違点2について
上記相違点2における本件特許発明の「基板を一面に係止するための係止孔が、複数の光源の内で最外周にある光源の内側に位置する光源の間に配置されて前記基板に設けられている」ことについて、本件特許明細書の段落【0027】には、「従来のLED基板では、係止孔がLED基板の両端等の端部に設置されており、LED基板を並べて設置した場合には、係止部が設けられた両端部ではLEDによる発光がなく、その部分のみが暗くなり、複数のLED基板からなる面にて均一な面発光ができなかった。従って、本実施の形態のように、係止孔8をLED6間に設けることにより、係止孔8をLED基板7の両端部に余分に設ける必要がなくなり、LED基板7を複数並べてLED照明装置を構成した場合であっても、均一な面発光が可能となる。さらに、LED基板7の小型化も可能になる。」と記載されことからすると、本件特許発明は、LED基板を並べて設置した場合の係止孔を用いた係止に係る課題を解決するものと認められる。
これに対して、甲2発明に係る甲第2号証には、各照明モジュール100の背面格子フレーム121への係止に係る記載はない。

甲第4号証には、液晶表示装置のバックライト装置において、図2及び3も参酌すると、光源配置基板25の中央1カ所において、導光体21の係合部32を光源配置基板25及びシャーシ26を貫通させた貫通孔に嵌合させることが記載されている。
甲第4号証の2には、LED素子を有する照明器具において、器具本体2の中央部に設けられたモジュール保持部材5によりLEDモジュール1を係止することが記載されている。
しかし、甲第4号証及び甲第4号証の2に記載されたものは、何れも単一の基板またはモジュールを係止するものであって、縦横に複数の配列された基板またはモジュールを係止するもではなく、甲2発明とは、照明装置の基本的な構成が相違するものであって、しかも、甲第2号証には、各照明モジュール100の背面格子フレーム121への係止に係る記載はなく、甲第2号証からは、当業者が係止孔を用いた係止に係る課題を認識し得るものではないことより、甲2発明にそれらの構成を適用する動機付けがない。

また、甲第4号証の1には、図2を参酌すると、基板3の端部に配置されている4個のLED1の中央部にネジ15が設けられていることが記載されているが、このネジ15は、基板3の裏面に配置されている放熱体を結合するためのネジであって(記載事項(4-1c)及び図4参照)、基板3を係止するためのものではなく、上記相違点2に係る事項と何ら関係を有するものではない。

そして、他に上記相違点2を容易になし得たとする証拠はない。
よって、甲2発明において、上記相違点2を当業者が容易になし得たとすることはできない。

したがって、本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明並びに他の甲各号証に記載された発明または周知の技術に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。

7.むすび
以上のとおり、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-12 
結審通知日 2014-12-16 
審決日 2015-01-05 
出願番号 特願2007-174629(P2007-174629)
審決分類 P 1 123・ 161- Y (F21S)
P 1 123・ 121- Y (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤村 泰智  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 出口 昌哉
平田 信勝
登録日 2012-05-18 
登録番号 特許第4996998号(P4996998)
発明の名称 照明装置  
代理人 田中 伸次  
代理人 河野 英仁  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  

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