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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1316942
審判番号 不服2015-11149  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-12 
確定日 2016-07-14 
事件の表示 特願2013- 88625「プログラム生成装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月22日出願公開、特開2013-164861〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月19日を出願日とする出願であって、平成20年1月30日に出願した特願2008-19666号の一部を平成20年7月29日に新たな特許出願(特願2008-195133号)とし、更にその一部を平成24年1月4日に新たな特許出願(特願2012-194号)とし、その一部を新たな特許出願としたものであり、その後の手続の経緯の概略は次のとおりである。

出願審査請求(提出日) 平成25年4月19日
上申書(提出日) 同上
拒絶理由通知(起案日) 平成25年12月24日
意見、手続補正(提出日) 平成26年3月10日
拒絶理由通知(最後)(起案日) 平成26年7月11日
意見、手続補正(提出日) 平成26年9月16日
補正の却下の決定(起案日) 平成27年3月9日
拒絶査定(起案日) 平成27年3月9日
(謄本送達 同年3月17日)
審判請求(提出日) 平成27年6月12日
手続補正(提出日) 平成27年6月12日
前置報告(作成日) 平成27年8月31日
上申書(提出日) 平成28年1月12日

第2 平成27年6月12日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年6月12日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成27年6月12日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は次のとおり補正された。

[本件補正後]
「【請求項1】
入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置。
【請求項2】
前記プログラム生成部は、生成した前記プログラムを実行する際の変数定義情報を生成する請求項1に記載のプログラム生成装置。
【請求項3】
前記プログラム生成部は、複数種の前記フローチャートが生成されたときに、該フローチャートに関連する前記変数定義情報を照合し、共通する変数定義情報と互いに相違する変数定義情報とを分別する請求項2に記載のプログラム生成装置。
【請求項4】
コンピュータを、
入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置として動作させるためのプログラム。」
(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後請求項」という。下線は補正事項を示すものとして請求人が付与したものである。)

[本件補正前]
(平成26年3月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲は次のとおりである。なお、平成26年9月16日付け手続補正書でした補正は、補正の却下の決定がされた。)
「【請求項1】
入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを修正し、前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置。
【請求項2】
前記プログラム生成部は、生成した前記プログラムを実行する際の変数定義情報を生成する請求項1に記載のプログラム生成装置。
【請求項3】
前記プログラム生成部は、複数種の前記フローチャートが生成されたときに、該フローチャートに関連する前記変数定義情報を照合し、共通する変数定義情報と互いに相違する変数定義情報とを分別する請求項2に記載のプログラム生成装置。
【請求項4】
コンピュータを、
入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを修正し、前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置として動作させるためのプログラム。」
(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前請求項」という。)

2.補正の目的
本件補正は、補正前請求項1の「前記サービスプログラムを修正し、前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成する」という事項に、「処理内容を規定する情報に基づき」および「前記複数の部品の接続関係に応じて」なる事項を加えて「前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成する」とするとともに、補正前の請求項4についても同様の補正をするものであるから、本件補正は、特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)(以下、「限定的減縮」という。)を目的としたものと認められる。

3.独立特許要件について
本件補正は、限定的減縮を目的としたものであるが、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する第126条第7項の規定に適合するか)を以下に検討する。

3.1 本件補正発明
補正後請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)は、前記平成27年6月12日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。(再掲する。)

「入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置。」

3.2 引用文献
(1)本願出願前に頒布され、原審で引用された刊行物である特開2002-229788号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、参考のため当審が付与した。以下、同様。)
ア.「【0006】本発明の一実施形態は、ウェブアプリケーションを開発し、開発されたウェブアプリケーションをコンピュータネットワーク上で実行するシステムに関する。
…(中略)…
【0007】本発明の別の一実施形態は、ウェブアプリケーションを開発し、開発されたウェブアプリケーションをコンピュータネットワーク上で実行する方法に関する。本方法の第1の工程には、複数の視覚的要素を用いて開発用コンピュータ上のウェブアプリケーションの視覚的レイアウトとウェブアプリケーションの決定論理の両方を視覚的に生成する工程が含まれる。複数の視覚的要素には、ウェブアプリケーションの特定の機能を完遂する少なくとも一つの視覚的要素と、ウェブアプリケーションの視覚的レイアウトを構成する少なくとも一つの視覚的要素と、複数の視覚的要素のうちのその他の視覚的要素をリンクする少なくとも一つの視覚的要素が含まれる。本方法の次の工程には、コンピュータネットワーク上のユーザがアクセスできる少なくとも一つのサーバにウェブアプリケーションの複数の視覚的要素を転送する工程が含まれる。本方法の最終工程には、コンピュータネットワーク上のユーザからのウェブアプリケーションへのリクエストに応じて、ウェブアプリケーションの複数の視覚的要素を順次実行する工程が含まれる。
【0008】本発明の一つのメリットは、ウェブアプリケーション設計の複雑さを隠すことによって、ウェブベースアプリケーションをより速く、より安く開発して配置できることである。
【0009】本発明の別のメリットは、プログラミング言語を学習もしくは利用せずに、非プログラマが単純なプログラミングモデルとそのアプリケーション論理を設計するための視覚的エディタを提供することによって、サーバ側の機能を利用したアプリケーションを含むウェブアプリケーションの実施を可能にすることである。
【0010】本発明のさらに別のメリットは、アプリケーション論理用の視覚的な開発環境とユーザインタフェース用のビジュアルエディタを一つのパッケージにまとめることである。」

イ.「【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の基本的な処理構成を示す。オーサリングツール(Authoring Tool)102を用いることによってウェブブラウザからアクセス可能なウェブベースアプリケーション104を作成できる。オーサリングツール102を用いて作成されたウェブベースアプリケーション104(ウィザードもしくはプロジェクトとも呼ばれる)は次に、アプリケーションサーバ106にロードされ、アプリケーションサーバ106によって実行される。…(中略)…
【0013】…(中略)…オーサリングツール102とウェブサーバ108とアプリケーションサーバ106は一つのコンピュータにまとめられているので、それらの相互間で内部的に情報を通信するだけでよい。本発明のさらに別の実施形態では、ウェブサーバ108とアプリケーションサーバ106を一つのコンピュータにまとめることができる。ウェブベースアプリケーション104を実行する等のアプリケーションサーバ106の機能は、ウェブサーバ108を実行するコンピュータに統合可能である。別の方法では、ウェブベースアプリケーション104をインターネットからアクセス可能とする等のウェブサーバ108の機能は、アプリケーションサーバ106を実行するコンピュータに統合可能である。ウェブサーバ108とアプリケーションサーバ106を一つのコンピュータにまとめることによって、クライアントブラウザ110でユーザが選択したウェブベースアプリケーション104の速度と応答性を高めることができる。何故ならば、二つの別々のサーバ間で情報転送遅延が生じないからである。
【0014】上で議論したように、ユーザ、即ち、オーサはオーサリングツール102を用いることによってウェブベースアプリケーション104を作成できる。オーサリングツール102は、オーサが用いるコンピュータの、例えばRAMやROMやハードディスク等の記憶デバイス、もしくは内部メモリから実行されるソフトウェアアプリケーションであることが好ましい。オーサのコンピュータに挿入されるCD-ROMやDVD-ROMやフロッピディスク等の携帯式媒体からオーサのコンピュータの内部メモリにオーサリングツール102をロードできる。別の方法では、オーサリングツール102のコピーを格納している別のコンピュータとの電子接続を介して、オーサリングツール102をオーサのコンピュータの内部メモリに直接転送、即ち、ロードできる。即ち、ネットワーク接続、即ち、インターネット接続を介してオーサのコンピュータから別のコンピュータへオーサリングツール102をダウンロードできる。しかしながら、オーサリングツール102はハードウェアで実現され、オーサのコンピュータもしくはワークステーションの一部として組み込まれる。また、オーサリングツール102はウィンドウズ(登録商標)ベースのオペレーティングシステム用のソフトウェアアプリケーションとして実現されることが好ましい。しかし、MacOSやUnix等のあらゆる種類のオペレーティングシステム用のアプリケーションとして、もしくは、エクストラネットやインターネット等のネットワークのクライアント側またはサーバ側で用いるためのアプリケーションとしてオーサリングツール102を使うことができる。
【0015】オーサリングツール102は、視覚的な編集環境、即ち、視覚的な開発環境とテスティング環境と配置ユーティリティを含むことが好ましい。また、オーサリングツール102は、ウェブベースアプリケーション104を開発する際に助けとなり役立つその他の環境やユーティリティやツールを含んでもよい。視覚的な編集環境を用いてウェブベースアプリケーション104の論理と構造とウェブベースアプリケーション104の視覚的なレイアウトとユーザインタフェースの両方を作成して修正することができる。テスティング環境を用いて、ウェブベースアプリケーション104を評価してデバッグすることができる。最後に、配置ユーティリティを用いて、完成したウェブベースアプリケーション104をマウスクリック等の1回のアクションでアプリケーションサーバ106にロードすることができる。
【0016】オーサは、一旦コンピュータでオーサリングツール102の実行を開始すると、ウェブベースアプリケーション104の開発を開始することができる。オーサは、新たなウェブベースアプリケーション104の作成を開始することができ、また、オーサは以前作成したウェブベースアプリケーション104に関する作業を再開することができる。新たなウェブベースアプリケーション104を作成するためには、オーサは新たなビジュアルワークスペースを開いてウェブベースアプリケーション104の作成を開始する。同様に、オーサは、完成しているかもしくは完成していない、記憶されているウェブベースアプリケーション104をビジュアルワークスペースにロードして、ウェブベースアプリケーション104上に関する作業を再開できる。適切なメニューオプションの選択やツールバーの適切なボタンの選択や適切なキーボードコマンドの入力やコンピュータ上でアクションを開始するためのその他の同様の方法によって、新たなビジュアルワークスペースを開く等のオーサリングツール102のタスクを実行できる。
【0017】本発明の好適な実施形態では、オーサリングツール102を用いて、オーサはGeneric Process Design(GPD)として周知のアーキテクチャによってウェブベースアプリケーション104を作成することができる。GPDはモジュラー方式の使いやすいビジュアルプログラミング言語である。しかしながら、オーサリングツール102では、その他の同様のビジュアルプログラミング言語を用いることによってもウェブベースアプリケーション104を作成することができる。
【0018】視覚的なノード(node)を相互接続することによって、オーサはGPDを用いてウェブベースアプリケーション104を生成し、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を指定することができる。ノードは、GPDの基本的な視覚的な構成体、即ち、視覚的要素であって、オーサリングツール102とアプリケーションサーバ106内で機能するので、そのノードに対応する特定の種類のタスクを実行することができる。さらに、ノードを用いて変数やシステム値を生成することによって、処理結果を記憶し、情報を他のノードと共用することができる。
【0019】ノードによって生成され用いられる変数やシステム値は、変数もしくはシステム値に含まれる特定の用途情報もしくはデータに対応する特定の種類のものであってもよい。本発明の一実施形態では、数やテキストセグメント等の一つの情報セルを記憶する一般的な種類の変数があってもよい。さらに、新たなラインキャラクタやその他のラインデリミタによって分割されたストリングシーケンスやリストを記憶するリストタイプの変数であってもよいし、テーブルやスプレッドシートや情報の行と列の両方を記憶するテーブルタイプの変数であってもよい。しかしながら、オーサリングツール102を用いるオーサの特定のニーズによって、変数やシステム値の種類が異なることを理解されたい。さらに、以下で説明される新たなノードを追加するのと同様に、オーサのニーズに応じてソフトウェア開発者は、オーサリングツール102に別の種類の変数やシステム値を追加することができる。開発者は、新たに作成された種類の変数やシステム値を対応する変数ファイルに保存する。尚、このファイルは、オーサリングツール102とアプリケーションサーバ106の双方からロードされて利用されるGPDアーキテクチャのためのものである。」

ウ.「【0020】図2は、オーサリングツール102の視覚的編集環境、即ち、視覚的な開発環境の一例を示す。視覚的な開発環境には、ウェブベースアプリケーションのオーサがウェブベースアプリケーション104をレイアウト/設計できるノードコンテナ、即ち、ビジュアルワークスペース200が含まれる。オーサは、一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペース200にウェブベースアプリケーション104を生成する。各ノードは、ウェブベースアプリケーション104に必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される。次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、完成なウェブベースアプリケーション104にする。ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができるので、ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーション104の論理と構造を制御することができる。ウェブベースアプリケーション104を作成するために、オーサは実行される所望のタスクに対応するノードを選択し、次にそのノードをビジュアルワークスペース200に挿入する。全てのウェブベースアプリケーション104はスタート(start)ノードから開始し、ストップ(stop)ノードで終了する。例えば、もしオーサが新たなウェブベースアプリケーションを作成したならば、オーサはスタートノードを選択し、スタートノードをビジュアルワークスペース200に挿入する。次に、オーサが完遂したいと望む第1のタスクに対応し、そのノードをビジュアルワークスペース200のスタートノードに接続する次のノードを、オーサは選択する。ウェブベースアプリケーション104の論理と構造が完全に生成され、ストップノードがビジュアルワークスペース200に挿入されるまで、ノードを追加する本プロセスが繰り返される。また、オーサは必要に応じて、挿入されたノードや接続をビジュアルワークスペース200から除去、即ち、削除することもできる。
【0021】適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるウィンドウ、即ち、ダイアログボックス202を、オーサリングツール102で開くことが可能である。ノードウィンドウ202には、選択されたときにビジュアルワークスペース200に挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれていてもよい。例えば、ノードウィンドウ202には、入力フォームノード(Input Form Node)とリストノードとリスト処理ノード(list Operation Node)と演算ノード(Calculation)とテーブルノード(Table Node)とデータベースノードと決定ノード(Decision Node)と出力フォームノード(Output Form Node)と画像ノードとGPDノードとスタートノードとストップノードが含まれていてもよい。」

エ.「【0024】ウェブベースアプリケーション104で用いられる場合、各々のノードは特定の機能やタスクを完遂するように設計される。しかしながら、ノードの特定の機能やタスクは非常に一般的なものであって、オーサが設計する特定のウェブベースアプリケーション104にカスタム化されない。特定のウェブベースアプリケーション104に適用できるように、オーサが作成したウェブベースアプリケーション104の各ノードをカスタム化もしくは修正することができる。例えば、ユーザは、ユーザからの入力情報を受信するための入力フォームノードを選択できるが、ユーザが入力フォームノードを構築するまでウェブベースアプリケーション104は、どのように入力情報が受信されるか、どのような種類の入力情報が入力されるか、入力情報の視覚的レイアウトには何が必要かなどについては理解していない。別の例では、オーサは演算ノードを選択することによって、ウェブベースアプリケーション104で演算を実行することができる。入力フォームノードと同様に、ユーザが特定の演算を指定するまで、演算ノードはどの演算が実行されるのかについて理解していない。
【0025】ビジュアルワークスペース200で生成されるウェブベースアプリケーション104の特定のノードをカスタム化もしくは修正するために、オーサはビジュアルワークスペース200からその特定のノードを選択する。特定のノードを修正するために選択すると、そのノード用のエディタを含むウィンドウ、即ちダイアログボックスが表示されるので、オーサはそのノードをカスタム化して修正することができる。特定のノードをカスタム化して修正するために表示されるノードエディタは、その特定の種類のノード用に設計され、その特定のノードに関連するオプションを備える。言い換えれば、全ノードに共通のノードエディタはなくて、各ノードは、そのノードに対応するように特別に設計されたエディタを備える。また、特定のノード用のノードエディタは、ノードが正確に機能するように特定のシステム変数を構成もしくは作成しなければならないことをオーサに知らせることもできる。ノードエディタを利用するオーサには、後で再利用するためにノード用に特別にカスタム化されたものを保存するためのオプションと、そのノードに関連する既にカスタム化されたものにロードするためのオプションがある。異なる種類のノードエディタの例を図3-図5に示す。図3-図5に示されるノードエディタは、本発明で利用できる全種類のノードエディタを意図するものではなく、単に、本発明で利用できる様々な種類のノードエディタのうちのサブセットだけを示すことを理解されたい。」

(2)引用文献1に記載された事項を検討する。
(ア)前記イ.の「ユーザ、即ち、オーサはオーサリングツール102を用いることによってウェブベースアプリケーション104を作成できる・・・オーサリングツール102は、視覚的な編集環境、即ち、視覚的な開発環境とテスティング環境と配置ユーティリティを含むことが好ましい。また、オーサリングツール102は、ウェブベースアプリケーション104を開発する際に助けとなり役立つその他の環境やユーティリティやツールを含んでもよい。視覚的な編集環境を用いてウェブベースアプリケーション104の論理と構造とウェブベースアプリケーション104の視覚的なレイアウトとユーザインタフェースの両方を作成して修正することができる・・・最後に、配置ユーティリティを用いて、完成したウェブベースアプリケーション104をマウスクリック等の1回のアクションでアプリケーションサーバ106にロードすることができる・・・オーサは、一旦コンピュータでオーサリングツール102の実行を開始すると、ウェブベースアプリケーション104の開発を開始することができる・・・オーサは、完成しているかもしくは完成していない、記憶されているウェブベースアプリケーション104をビジュアルワークスペースにロードして、ウェブベースアプリケーション104上に関する作業を再開できる。適切なメニューオプションの選択やツールバーの適切なボタンの選択や適切なキーボードコマンドの入力やコンピュータ上でアクションを開始するためのその他の同様の方法によって、新たなビジュアルワークスペースを開く等のオーサリングツール102のタスクを実行できる」との記載から、オーサリングツールの視覚的編集環境、即ち、視覚的な開発環境における「マウス、キーボード」をよみとることができ、前記ウ.の「図2は、オーサリングツール102の視覚的編集環境、即ち、視覚的な開発環境の一例を示す」との記載と、前記図2と、前記視覚的編集環境の技術的常識をふまえれば「表示部」は示された事項であるといえる。これらの点をふまえると、「マウス、キーボードと」、「視覚的な編集環境を用いてウェブベースアプリケーションの論理と構造とウェブベースアプリケーションの視覚的なレイアウトとユーザインタフェースの両方を作成して修正することができる表示部を含む視覚的な編集環境」をよみとることができる。

(イ)前記イ.の「オーサリングツール(Authoring Tool)102を用いることによってウェブブラウザからアクセス可能なウェブベースアプリケーション104を作成できる。オーサリングツール102を用いて作成されたウェブベースアプリケーション104(ウィザードもしくはプロジェクトとも呼ばれる)は次に、アプリケーションサーバ106にロードされ、アプリケーションサーバ106によって実行される」 との記載から、「アプリケーションサーバにロードされ、アプリケーションサーバによって実行されるウェブベースアプリケーションを作成するのに用いるオーサリングツール」をよみとることができる。

(ウ)前記(ア)で言及した「視覚的な編集環境」に関し、前記(ア)で言及したように「図2」から「表示部」をよみとることができるとともに、前記イ.で言及した「オーサは、完成しているかもしくは完成していない、記憶されているウェブベースアプリケーション104をビジュアルワークスペースにロードして、ウェブベースアプリケーション104上に関する作業を再開できる。適切なメニューオプションの選択やツールバーの適切なボタンの選択や適切なキーボードコマンドの入力やコンピュータ上でアクションを開始するためのその他の同様の方法によって、新たなビジュアルワークスペースを開く等のオーサリングツール102のタスクを実行できる」との記載、前記ウ.の「図2は、オーサリングツール102の視覚的編集環境、即ち、視覚的な開発環境の一例を示す。視覚的な開発環境には、ウェブベースアプリケーションのオーサがウェブベースアプリケーション104をレイアウト/設計できるノードコンテナ、即ち、ビジュアルワークスペース200が含まれる。オーサは、一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペース200にウェブベースアプリケーション104を生成する。各ノードは、ウェブベースアプリケーション104に必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される。次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、完成なウェブベースアプリケーション104にする」との記載から、前記「視覚的な編集環境」に係る図2に示されるような「表示部」は「複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにするためのビジュアルワークスペース」を備えていることをよみとることができる。
また、前記ウ.の「適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるウィンドウ、即ち、ダイアログボックス202を、オーサリングツール102で開くことが可能である。ノードウィンドウ202には、選択されたときにビジュアルワークスペース200に挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれていてもよい」と記載されていることから、前記「視覚的な編集環境」に係る「表示部」は、「適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるノードウィンドウ、即ち、ダイアログボックスを、オーサリングツールで開くことが可能であり、前記ノードウィンドウには、選択されたときにビジュアルワークスペースに挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれる前記ノードウィンドウ」を備えていることをよみとることができる。
これらを合わせると、「視覚的な編集環境に係る表示部は、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにするためのビジュアルワークスペースと、適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるノードウィンドウ、即ち、ダイアログボックスを、オーサリングツールで開くことが可能であり、前記ノードウィンドウには、選択されたときにビジュアルワークスペースに挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれる前記ノードウィンドウ」を備えることをよみとることができる。

(エ) 前記(ア)で言及した「オーサリングツール」により支援される「視覚的な編集環境、即ち、視覚的な開発環境」において、「マウスやキーボード」を用いることができることは明らかであり、前記ウ.の「ウェブベースアプリケーション104を作成するために、オーサは実行される所望のタスクに対応するノードを選択し、次にそのノードをビジュアルワークスペース200に挿入する」との記載、「適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるウィンドウ、即ち、ダイアログボックス202を、オーサリングツール102で開くことが可能である。ノードウィンドウ202には、選択されたときにビジュアルワークスペース200に挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれていてもよい」との記載から、「オーサリングツールにより支援される視覚的な編集環境においてオーサはマウスやキーボードを用い利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるダイアログボックスから実行される所望のタスクに対応するノードを選択」することをよみとることができ、前記イ.の「オーサリングツール102を用いて、オーサはGeneric Process Design(GPD)として周知のアーキテクチャによってウェブベースアプリケーション104を作成することができる・・・視覚的なノード(node)を相互接続することによって、オーサはGPDを用いてウェブベースアプリケーション104を生成し、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を指定することができる。ノードは、GPDの基本的な視覚的な構成体、即ち、視覚的要素であって、オーサリングツール102とアプリケーションサーバ106内で機能するので、そのノードに対応する特定の種類のタスクを実行することができる」との記載、前記ウ.の「オーサは、一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペース200にウェブベースアプリケーション104を生成する。各ノードは、ウェブベースアプリケーション104に必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される。次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーション104にする。ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができるので、ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーション104の論理と構造を制御することができる」との記載から、「オーサは、一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペースにウェブベースアプリケーションを生成し、各ノードはウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計されており、次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにし、ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができることにより、ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を制御することができる」ことをよみとることができる。前記「接続」、「論理と構造」 に関し、前記ウ.の「ウェブベースアプリケーション104の論理と構造が完全に生成され、ストップノードがビジュアルワークスペース200に挿入されるまで、ノードを追加する本プロセスが繰り返される。また、オーサは必要に応じて、挿入されたノードや接続をビジュアルワークスペース200から除去、即ち、削除することもできる」との記載、前記エ.の「ビジュアルワークスペース200で生成されるウェブベースアプリケーション104の特定のノードをカスタム化もしくは修正するために、オーサはビジュアルワークスペース200からその特定のノードを選択する。特定のノードを修正するために選択すると、そのノード用のエディタを含むウィンドウ、即ちダイアログボックスが表示されるので、オーサはそのノードをカスタム化して修正することができる」との記載から、「オーサはそのノードをカスタム化して修正することができる」 ことをよみとることができる。
これらを合わせると「オーサリングツールにより支援される視覚的な編集環境においてオーサはマウスやキーボードを用い、利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるダイアログボックスからオーサは実行される所望のタスクに対応するノードを選択し、オーサは、各ノードがウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペースにウェブベースアプリケーションを生成し、オーサはそのノードをカスタム化して修正することができ、次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにし、ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができることによって、ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を制御することを可能とした」ことをよみとることができる。

(オ)前記(ア)で言及した「コンピュータでオーサリングツール102の実行を開始する」 との記載から「オーサリングツールを実行するコンピュータ」をよみとることができる。

(ア)?(オ)によれば、引用文献1には、前記ア.に記載された「プログラミング言語を・・・利用せずに非プログラマが単純なプログラミングモデルとそのアプリケーション論理を設計するための視覚的エディタを提供することによって、サーバ側の機能を利用したアプリケーションを含むウェブアプリケーションの実施を可能にすること」を目的とした次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が示されている。

「マウス、キーボードと、
視覚的な編集環境を用いてウェブベースアプリケーションの論理と構造とウェブベースアプリケーションの視覚的なレイアウトとユーザインタフェースの両方を作成して修正することができる表示部を含む視覚的な編集環境と、
アプリケーションサーバにロードされアプリケーションサーバによって実行されるウェブベースアプリケーションを作成するのに用いるオーサリングツールと、
前記視覚的な編集環境に係る表示部は、
複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにするためのビジュアルワークスペースと、
適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるノードウィンドウ、即ち、ダイアログボックスを、オーサリングツールで開くことが可能であり、前記ノードウィンドウには、選択されたときにビジュアルワークスペースに挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれる前記ノードウィンドウと、
を備え、
前記オーサリングツールにより支援される視覚的な編集環境においてオーサはマウスやキーボードを用い、利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるダイアログボックスからオーサは実行される所望のタスクに対応するノードを選択し、オーサは、各ノードがウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペースにウェブベースアプリケーションを生成し、オーサはそのノードをカスタム化して修正することができ、次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにし、ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができることによって、ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を制御することを可能とした、
オーサリングツールを実行するコンピュータ 。」

(3)引用文献2
本願出願前に頒布され、原審で引用された刊行物である特開2002-196926号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
オ.「【要約】
【課題】プログラミング知識を持たないインターネットの利用者でも、独自にインターネット上のサービスを連携させて、所望する内容のサービスを実現するためのプログラムを生成可能とするプログラム構築システムを提供すること。
【解決手段】あらかじめネットワーク上のサービスの特定機能(145?147)に対応し、この特定機能を実行させるために必要な制御を行うアクティビティコンポーネント(141?151)が複数用意されており、ユーザがネットワーク上のサービスの特定の機能に対応するアクティビティコンポーネント(141?151)をGUI画面上で編集してアクティビティ・ダイアグラムを作成するのを支援する。そして、作成されたアクティビティ・ダイアグラムをもとにユーザの所望する新たなサービスを実行するためのプログラムを生成する。」

カ.「【0025】詳しくは後述するように、このプログラム構築ツールには、例えば、以下のような特徴がある。
・サービスの一機能毎にコンポーネントを用意しておくことでエンドユーザカスタマイズに向いている。
・グラフィカルなカスタマイズツールが容易に構築可能である。
・コンポーネントの単位が、サービスの一機能となっている。
・コンポーネントを組み合わせることで、簡単に新しいサービスを構築、実行可能である。
また、例えば、次のような効果がある。
・プログラミングなしに、ユーザが自分の目的に合ったサービスを構築できる。
・サービス提供者側の機能が単純化できる。
・他のサービスとの連携、調整(問題解決手順)については考慮する必要が無くなる。
・サービスを組み合わせる問題解決手順の部分を容易に記述可能である。
【0026】図2に、クライアント・システム1に搭載される本実施形態に係るプログラム構築ツールの構成例を示す。
…(中略)…
【0027】コンポーネントライブラリ111は、インターネット上のサービスの一機能に対応したアクティビティコンポーネント群を保存しておく。・・・
…(中略)…
【0055】・・・もちろん、カスタマイズしたアクティビティ・ダイアグラムをライブラリとして保存しておいて、あとで再利用することも可能である。」

キ.「【0064】次に、本プログラム構築ツールのGUIについて説明する。
【0065】図7に、本プログラム構築ツールのGUI画面の一例を示す。図中、200はGUI画面、201はアクティビティ・ダイアグラムの編集するための領域、202は各種のアクティビティコンポーネントの記号を表示するための領域であり、203はフローなどを記述するためのツールバーを表示する領域であり、204はマウスカーソルである。
【0066】所望のアクティビティコンポーネントを利用すべき指示の入力は、例えば、GUI画面上の領域202に表示されたアクティビティコンポーネント群のうちから所望のアクティビティコンポーネントを選択してドラッグし、領域201の所望の位置にドロップすることによって行う。また、アクティビティコンポーネント間の制御フローについての指示の入力は、例えば、領域201に表示されているアクティビティコンポーネント間を、領域203で選択した所定の接続線で接続することによって行う。
【0067】なお、回覧板を使用することやアクティビティコンポーネントと回覧板の情報との間のデータフロー関係については、ユーザがドラッグ・アンド・ドロップや接続線による指示を行う場合と、システムが自動的に設定する場合とがある。
【0068】図8に、本プログラム構築ツールのGUI画面上で図6に例示したアクティビティ・ダイアグラムを記述した様子を示す。
【0069】GUI画面上でアクティビティ・ダイアグラムを作成したならば、変換の指示を与えることによって(例えば図示しない変換ボタンを押すなどすることによって)、実行可能なプログラムを生成させることができる。生成されたプログラムは、識別名が付けられて保存される(識別名は、例えば、変換を指示する際に指定する)。」

(4)引用文献2に記載された事項を検討する。
(ア)前記カ.キ.によれば、プログラミング知識を持たないインターネットの利用者でも、独自にインターネット上のサービスを連携させて、所望する内容のサービスを実現するためのプログラムを生成可能とするプログラム構築システムを提供するために、あらかじめネットワーク上のサービスの特定機能に対応し、この特定機能を実行させるために必要な制御を行うアクティビティコンポーネントが複数用意されており、ユーザがネットワーク上のサービスの特定の機能に対応するアクティビティコンポーネントをGUI画面上で編集してアクティビティ・ダイアグラムを作成するのを支援し、作成されたアクティビティ・ダイアグラムをもとにユーザの所望する新たなサービスを実行するためのプログラムを生成することにより、プログラミングなしに、ユーザが自分の目的に合ったサービスを構築できる技術が記載されている。
前記あらかじめネットワーク上のサービスの特定機能に対応し、この特定機能を実行させるために必要な制御を行う複数用意されたアクティビティコンポーネントは、支援側が予め用意した「サービスプログラム」とみることができる。即ち、支援側が予め用意したサービスプログラムの技術が示されている。

(イ)前記キ.には「GUI画面上でアクティビティ・ダイアグラムを作成したならば、変換の指示を与えることによって(例えば図示しない変換ボタンを押すなどすることによって)、実行可能なプログラムを生成させる」ことが記載されている。

(5)参考文献
(5-1)本願出願前に頒布された刊行物であり、参考文献としての特開平11-96115号公報(以下、「参考文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ク.「【0040】・・・サーバ計算機が提供するサービスプログラム・・・」

(5-2)本願出願前に頒布された刊行物であり、参考文献としての特開2003-76544号公報(以下、「参考文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ケ.「【0008】または、ウェブサーバ上に設置され、インターネットを介してクライアントのブラウザから使用されるウェブアプリケーションを開発する方法であって、ウェブアプリケーションのテンプレートプログラムを作成し、所定の部品群を使用してウィザードプログラムを作成し、該ウィザードプログラムによる画面から開発対象のウェブアプリケーションの特徴を指定し、該指定された特徴に基づいて前記テンプレートプログラムを解析することによって、前記開発対象のウェブアプリケーションを生成することを特徴とする。
…(中略)…
【0012】●システム構成
図2は、本実施形態におけるシステム構成を示す図である。
【0013】同図において、ウェブアプリケーション開発サーバ202は、予め用意されたテンプレート部品群204、ウィザードプログラム205、ウェブアプリケーション・スケルトン・ソース206をテンプレートとして利用することによって、ウェブアプリケーション(新規ウェブアプリケーション207)を生成する。
【0014】ウィザードプログラム205は、対話形式による画面案内を行うことによってユーザ指示の入力を促す機能を有し、テンプレート部品群204に基づいて生成されている。また、ウェブアプリケーション・スケルトン・ソース206は、ウェブアプリケーション開発言語(HTMLやASP等)の知識を有するテンプレート作成者によって作成されている。
【0015】そしてウィザードプログラム205による画面を介して入力されたユーザ指示に基づいて、ウェブアプリケーション・スケルトン・ソース206に対する変数が設定され、このウェブアプリケーション・スケルトン・ソース206がテンプレート・コンパイラ203によってコンパイルされることにより、新規ウェブアプリケーション207が作成される。
【0016】この新規ウェブアプリケーション207がウェブサーバ201に登録され、インターネット208を介して複数のクライアント209のブラウザから使用される。」

(5-3)前記参考文献2に記載された事項を検討する。
前記ケ.の「ウェブアプリケーション開発・・・ウェブアプリケーションのテンプレートプログラムを作成・・・テンプレート部品群204、ウィザードプログラム205、ウェブアプリケーション・スケルトン・ソース206をテンプレートとして利用する」との記載から、ウェブアプリケーション開発において、プログラム部品を用いる技術をよみとることができる。

3.3 対比
本件補正発明と引用文献1発明とを対比する。
(1)引用文献1発明の「マウス、キーボード」は入力機器とみれるから、本件補正発明の「入力機器」に相当する。

(2)引用文献1発明の「ウェブベースアプリケーション」は、「アプリケーションサーバにロードされ」、クライアントブラウザ(図1参照)にサーバによるサービスを提供することに係るプログラムと解されるから、本件補正発明の「サービス提供プログラム」に相当する。してみれば、引用文献1発明の「視覚的な編集環境を用いてウェブベースアプリケーションの論理と構造とウェブベースアプリケーションの視覚的なレイアウトとユーザインタフェースの両方を作成して修正することができる表示部」と本件補正発明の「サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部」とに実質的な差異はない。

(3)引用文献1発明の「ウェブベースアプリケーション」は「ウェブベースアプリケーション」プログラムであると言える。してみれば、引用文献1発明の「ウェブベースアプリケーションを作成するのに用いるオーサリングツール」は本件補正発明の「プログラム生成部」に相当する。

(4)引用文献1発明の「複数のノードが共に接続され」てなる複数のノードと接続の「リンク」からなるもの(図2のウェブベースアプリケーション104を参照)はフローチャートとみることができ、引用文献1発明の「ビジュアルワークスペース」は本件補正発明の「作業領域」に相当する。してみれば、引用文献1発明の「前記視覚的な編集環境に係る表示部は、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにするためのビジュアルワークスペース」を備える点と本件補正発明の「前記表示部は、フローチャート作成のための作業領域」を備える点に実質的な差異はない。

(5)引用文献1発明の表示部に係る「複数の異なる種類のノード」は、「ウェブベースアプリケーション(プログラム)」の「作成」に係るものであり、「ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を制御することを可能と」するものであるからウェブベースアプリケーションの部品とまでは言えないまでも上位概念でのウェブベースアプリケーションプログラムの「部分」といえるものであって「複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリ」による表示と関連付けられた部分とみることができ、引用文献1発明の「オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるノードウィンドウ、即ち、ダイアログボックス」は本件補正発明の「複数の部品を表示する表示領域」の上位概念としての「複数の部分を表示する表示領域」に相当する。してみれば、引用文献1発明の「適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるノードウィンドウ、即ち、ダイアログボックスを、オーサリングツールで開くことが可能であり、前記ノードウィンドウには、選択されたときにビジュアルワークスペースに挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれる前記ノードウィンドウ」と本件補正発明の「処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域」とは上位概念において「処理を実現するためのプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部分を表示する表示領域」である点で共通する。

(6)本件補正発明の「サービス」プログラムと、「部品」については、前記(5)での言及と同様のことがいえる。
引用文献1発明の「各ノードがウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される一連のノードを相互接続すること」、「オーサはそのノードをカスタム化して修正すること」、「ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができることにより、ノードを相互接続すること」は、前記ウ.の「ウェブベースアプリケーション104の論理と構造が完全に生成され、ストップノードがビジュアルワークスペース200に挿入されるまで、ノードを追加する本プロセスが繰り返される。また、オーサは必要に応じて、挿入されたノードや接続をビジュアルワークスペース200から除去、即ち、削除する」との記載から、一連のノードの接続の変更やノードのカスタム化による修正がされることを意味し、少なくとも前記「一連のノードを相互接続」する情報は「生成」される「ウェブベースアプリケーション」により達成される「処理内容を規定する情報」とみることができ、前記入力された情報に基づいて前記「生成」される「ウェブベースアプリケーション」の処理内容が修正されると解することができる。また、前記「順次評価」の結果に基づいて、前記入力の場合と同様に、一連のノードの相互接続を変更したり修正したりすることも示されている点をふまえれば、引用文献1発明の前記「各ノードがウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される一連のノードを相互接続すること」、「オーサはそのノードをカスタム化して修正すること」、および、「ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができることにより、ノードを相互接続すること」は、本件補正発明の「プログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正」することに相当するものである。更に、引用文献1発明の前記「各ノードがウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される一連のノードを相互接続すること」は、当該「一連のノードを相互接続すること」により、引用文献1の図2のフローチャートに示されたようなノードをリンクにより接続した接続関係によりアイコンが対応する各ノードの処理の実行順序がフローチャートのとおり「規定」されているとみることができ、本願の発明の詳細な説明の段落【0032】に「配置した部品と作業領域に既に配置した部品との接続関係(各部品が表す処理の実行順序)を規定する」と記載されていることからも、引用文献1発明の前記「一連のノードを相互接続する」事項は本件補正発明の「部品(部分)の実行順序を規定」しているとみることができる。
してみれば、引用文献1発明の「前記オーサリングツールを用いる視覚的な編集環境、即ち、視覚的な開発環境において、マウスやキーボードを用い、利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるダイアログボックスからオーサは実行される所望のタスクに対応するノードを選択し、オーサは、各ノードがウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペースにウェブベースアプリケーションを生成し、オーサはそのノードをカスタム化して修正することができ、次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーションにし、ノードは順次評価され、その他のノードで別のアクションを引き起こすかもしくはそれを妨げることができることにより、ノードを相互接続することによって、ウェブベースアプリケーションの論理と構造を制御することを可能とした」ことと、本件補正発明の「前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部分部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成する」こととは、「前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部分の中から選択された部分を選択し、前記作業領域内において個々の部分の実行順序を規定して、前記プログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部分の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成する」点で共通する。

(7)引用文献1発明の「オーサリングツールを実行するコンピュータ」は、当該オーサリングツールを実行することにより(用いることにより)、前記(1)?(6)に係る視覚的な開発環境が提供され設計される一連のノードを相互接続することによってウェブベースアプリケーションプログラムを作成することができ、前記イ.に「オーサリングツール102を用いて作成されたウェブベースアプリケーション104(ウィザードもしくはプロジェクトとも呼ばれる)は次に、アプリケーションサーバ106にロードされ、アプリケーションサーバ106によって実行される」ことから、前記作成されたウェブベースアプリケーション(プログラム)は実行されるプログラムであることは明らかであり、してみれば、前記「オーサリングツールを実行するコンピュータ」と本件補正発明の(フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成する)「プログラム生成装置」とに実質的な差異はない。

(1)?(7)の対比によれば、引用文献1発明と本件補正発明とは次の点で一致し、そして相違している。

〈一致点〉
「入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部分を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部分の中から選択された部分を選択し、前記作業領域内において個々の部分の実行順序を規定して、前記プログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部分の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置。」

[相違点]
〈相違点1〉
表示領域と、フローチャートが表わす処理を実行するプログラムの生成に関し、本件補正発明では、表示部が、処理を実現するための「サービス」プログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の「部品」を表示する表示領域を備え、前記表示領域に表示される前記複数の「部品」の中から選択された「部品」を選択し、作業領域内において個々の「部品」の実行順序を規定して、前記「サービス」プログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の「部品」の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するのに対し、引用文献1発明では、「サービス」プログラムや「部品」を用いてプログラムを生成することは特定されていない点。

〈相違点2〉
本件補正発明が、表示部の作業領域内において個々の部品の実行順序を規定して「プログラムの生成が指示されたときに」、前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するのに対し、引用文献1発明では「プログラムの生成が指示されたときに」、そのように修正し、生成することは特定されていない点。(「サービス」プログラム、「部品」の点は、前記〈相違点1〉においてまとめて抽出し言及されている。)

3.4 相違点についての当審判断
〈相違点1〉について
「サービス」プログラムの点に関し、引用文献1の前記イ.に「オーサリングツール(Authoring Tool)102を用いることによってウェブブラウザからアクセス可能なウェブベースアプリケーション104を作成できる。オーサリングツール102を用いて作成されたウェブベースアプリケーション104(ウィザードもしくはプロジェクトとも呼ばれる)は次に、アプリケーションサーバ106にロードされ、アプリケーションサーバ106によって実行される・・・オーサリングツール102は、視覚的な編集環境、即ち、視覚的な開発環境とテスティング環境と配置ユーティリティを含むことが好ましい。また、オーサリングツール102は、ウェブベースアプリケーション104を開発する際に助けとなり役立つその他の環境やユーティリティやツールを含んでもよい。視覚的な編集環境を用いてウェブベースアプリケーション104の論理と構造とウェブベースアプリケーション104の視覚的なレイアウトとユーザインタフェースの両方を作成して修正することができる」と記載され、前記ウ.には「図2は、オーサリングツール102の視覚的編集環境、即ち、視覚的な開発環境の一例を示す。視覚的な開発環境には、ウェブベースアプリケーションのオーサがウェブベースアプリケーション104をレイアウト/設計できるノードコンテナ、即ち、ビジュアルワークスペース200が含まれる。オーサは、一連のノードを相互接続することによってビジュアルワークスペース200にウェブベースアプリケーション104を生成する。各ノードは、ウェブベースアプリケーション104に必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計される。次に、複数のノードが共に接続され、個々のノードの機能、即ち、タスクの各々をリンクして、ウェブベースアプリケーション104にする・・・適切なノードを選択する際にオーサを支援するために、オーサが利用可能なノードの一部もしくは全てのリストが含まれるウィンドウ、即ち、ダイアログボックス202を、オーサリングツール102で開くことが可能である。ノードウィンドウ202には、選択されたときにビジュアルワークスペース200に挿入される複数の異なる種類のノードのためのアイコン、即ち、エントリが含まれていてもよい」と記載されている。
これらの記載にみられる「作成されたウェブベースアプリケーション」は「アプリケーションサーバにロードされ、アプリケーションサーバによって実行される」ものであるから、サーバが提供する「サービス」プログラムと呼べるものである(サーバが提供する「サービス」プログラムと呼ぶことについては、必要なら参考文献1の前記ク.参照。)。また、前記ノードコンテナにより提供される各ノードは、ウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計された、いわば、ウェブアプリケーションを開発するために開発支援側から提供された(サービスとして提供された)「サービス」プログラムとみることができるものであり、例えば、引用文献2の前記オ.にも、開発支援側が予め用意したサービスの特定の機能に対応するアクティビティコンポーネント(サービスプログラムに相当する。)を提供する技術が示されており、当該特定の機能はサービスを提供する一部であるとしても「サービス」を提供する「サービス」プログラムとみることができるものである。即ち、引用発明に係る前記作成された「ウェブベースアプリケーション」、ないし、作成に用いられるウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計された「各ノード」は、いずれも、ユーザにサービスを提供するための「サービス」プログラムとみることもできるものである。したがって、引用文献1発明における「ウェブベースアプリケーションプログラム」や前記ウェブベースアプリケーションに必要なタスクや特定の機能を提供もしくは達成するように設計された「各ノード」を、「サービス」プログラムと称することは設計的事項といえるものである。
また、プログラムを構成するプログラムの「部分」として「部品」を用いることも当該技術分野における周知技術である(必要なら、参考文献2の前記ケ.参照。)。
引用文献1には、前記ア.に「プログラミング言語を・・・利用せずに、非プログラマが単純なプログラミングモデルとそのアプリケーション論理を設計するための視覚的エディタを提供することによって、サーバ側の機能を利用したアプリケーションを含むウェブアプリケーションの実施を可能にする」と記載され、引用文献2には前記オ.に「プログラミング知識を持たないインターネットの利用者でも、独自にインターネット上のサービスを連携させて、所望する内容のサービスを実現するためのプログラムを生成可能とするプログラム構築システムを提供する・・・ユーザがネットワーク上のサービスの特定の機能に対応するアクティビティコンポーネント(141?151)をGUI画面上で編集してアクティビティ・ダイアグラムを作成するのを支援する。そして、作成されたアクティビティ・ダイアグラムをもとにユーザの所望する新たなサービスを実行するためのプログラムを生成する」と記載されている。これらの記載からして、引用文献1発明と引用文献2は、いずれもプログラミング言語を利用せず、あるいは、プログラミング知識を持たなくとも、サーバ側のサービスをクライアントが受けるための、視覚的エディタ(GUI画面)を用いてプログラムを生成する技術に関し、プログラム開発という技術分野と課題に共通性がみられる技術に係るものである。
そして、共通する技術分野における技術ないし共通する課題に係る手段や技術を採用することは当業者の通常の能力の発揮の範囲内のものである。
してみれば、引用文献1発明において、表示領域と、フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成することに関し、処理を実現するための「サービス」プログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の「部品」を表示する表示領域であり、前記表示領域に表示される前記複数の「部品」の中から選択された「部品」を選択し、前記作業領域内において個々の「部品」の実行順序を規定して、前記「サービス」プログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の「部品」の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成すると成すことは、前記技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。
しかも、本件補正発明の「サービスプログラム」であること及びその技術的意義や作用効果について発明の詳細な説明には何ら明示的な記載や説明もなく、その構成により格別顕著な作用効果を奏するとも認められない。

〈相違点2〉について
一般に、GUI画面において編集等が完了した時点で、次に進むために何らかの指示や操作を可能とすることは慣用技術であり、引用文献2の前記キ.に「GUI画面上でアクティビティ・ダイアグラムを作成したならば、変換の指示を与えることによって(例えば図示しない変換ボタンを押すなどすることによって)、実行可能なプログラムを生成させる」ことが記載されており、この記載にみられるように、「指示を与えること」によってダイアグラムに基づくプログラムを作成することは本願出願前には当該技術分野の周知技術であった。
また、引用文献1発明と引用文献2の前記キ.の技術は、いずれも、ネットワーク上のサービスを受けるためのプログラム作成、特に実質的なプログラミングなしにプログラムを構築する共通の課題、技術分野に係る技術である。
してみれば、引用文献1発明の作業領域(ビジュアルワークスペース)内において個々の部品の実行順序を規定して「プログラムの生成が指示されたときに」、前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成すると成すことは、前記キ.の記載を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。
そして、本件補正発明の構成により奏する効果も引用文献1発明と周知、慣用技術から当然予測される範囲内のもので格別顕著なものとは認められない。

よって、本件補正発明は、引用文献1発明、引用文献2に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものである。

3.5 小括
以上のとおり、本件補正発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができないものである。

4. むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
(1)本願発明
平成27年6月12日付の手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年3月10日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。(再掲する。以下「本願発明」という。)

「入力機器と、
サービス提供プログラム作成画面を表示する表示部と、
プログラム生成部と、
を含み、
前記表示部は、
フローチャート作成のための作業領域と、
処理を実現するためのサービスプログラムが対応付けられた相異なる処理を表す複数の部品を表示する表示領域と、
を備え、
前記プログラム生成部は、前記入力機器を用い、前記表示領域に表示される前記複数の部品の中から選択された部品を選択し、前記作業領域内において個々の部品の実行順序を規定してプログラムの生成が指示されたときに、前記サービスプログラムを修正し、前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成するプログラム生成装置。」

(2)引用文献
原審の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である前記引用文献には、前記第2の「3.独立特許要件について」「3.2 引用文献」で摘記した事項が記載されている。

(3)対比・判断
本願発明は、前記第2の「3.独立特許要件について」で検討した本件補正発明における発明特定事項である、「前記サービスプログラムを、処理内容を規定する情報に基づき修正し、前記複数の部品の接続関係に応じて前記フローチャートが表わす処理を実行するプログラムを生成する」から、当該「処理内容を規定する情報に基づき」及び「前記複数の部品の接続関係に応じて」なる限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の「3.2 引用文献?3.4 相違点についての当審判断」に記載したとおり、引用文献1発明、引用文献2に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用文献1発明および引用文献2に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について判断するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-10 
結審通知日 2016-05-17 
審決日 2016-05-31 
出願番号 特願2013-88625(P2013-88625)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 衣川 裕史塚田 肇  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 須田 勝巳
高木 進
発明の名称 プログラム生成装置およびプログラム  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  

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