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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1319497
審判番号 不服2015-11720  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-22 
確定日 2016-10-04 
事件の表示 特願2012-523421「胃腸管の異常の診断に使える情報を提供する方法と機器」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月10日国際公開、WO2011/016002、平成25年 1月10日国内公表、特表2013-500815、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年8月4日(パリ条約による優先権主張 平成21年8月5日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年3月20日付けで拒絶理由が通知され、同年9月25日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成27年2月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、その後、平成28年6月6日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年8月15日付けで誤訳訂正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成28年8月15日に提出された誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものと認められる。そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、分説して符号を付けると、以下の事項により特定される発明である。

「【請求項1】
A)胃腸管異常の診断に使える情報を提供するために有用な経口機器であって、
(a)筒状部と、該筒状部の両端に形成される流線形の遠位端及び近位端と、該筒状部の中心を通る機器軸と、を有する経口ケースと、
(b)前記ケースの内部にあって、照射窓を通して放射状に外側に向かって光を照射する照射器と、
(c)前記ケースの内部にあって、前記照射器により照射され、前記胃腸管の一部からの反射後に、前記照射窓に近接して設けられる検出器窓を通過する、少なくとも1つの特定波長の光の強度を、画像を取得することなく、測定する、少なくとも一個の光検出アセンブリと、
から成り、
b-1)前記照射器は、光を照射する光源と、
b-2)前記機器軸に一致するディフィーザ軸と、該ディフィーザ軸に直交する方向に形成されて互いに対向する第1表面及び第2表面と、該ディフィーザ軸を中心とした円周状の外部エッジと、を有する放射ディフィーザと、
を備え、
b-3)前記光源は、光を前記放射ディフィーザ内に光を照射するようになっており、該光源から前記放射ディフィーザに照射された前記光の一部分は、前記外部エッジを通って放射状に外部に向かって放射され、前記照射器は、前記機器軸の周りに360度の角度で光を照射する
ことを特徴とする経口機器。」

第3 原査定の理由について

1 原査定の理由の概要

本願の請求項1ないし8に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいてその優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例1.国際公開第2009/061007号(2009年5月14日公開)
引用例2.特表2006-512109号公報
引用例3.国際公開第2008/102803号

引用例1には、筺体20を備え、白色LED26と線形偏光素子34等を有する光源24と、第1偏光素子42および第2偏光素子44と、光センサー48等を有する光検出部28とを有する嚥下可能なカプセル10により、光源24からの光は測定窓38を介して生体組織40上に当たり、生体組織40およびそこに含まれるヘモグロビンからの作用光は、所定の反射角を有する光として、光センサー48により検知される(明細書第2頁第8?10行、第7頁第29行?第9頁第16行)ことが記載されている。
引用例1に記載された発明の筺体20は本願発明の経口ケースに相当する。また、引用例1に記載された発明の光源24は、測定窓38を介して生体組織40上に光を照射するものであるから、本願発明と同様に、筺体の内部にあって容器の測定窓を通して外側に向かって光を照射するものと言える。さらに、引用例1に記載された発明の光検出部28は、本願発明の光検出アセンブリに相当する。
引用例1に記載された発明は、照射光を、放射状に機器軸の回りの360度にまたがるように照射するとしておらず、光検出器アレイを備えていない。そして、出願人は、平成26年9月25日付けの意見書において、「引用例2は、身体内腔壁を検査するにあたり、光学窓を特定の軸位置で、カプセルを取り巻く帯として、円柱状部分を照射することを開示しているに過ぎ」ないとし、「引用例1?3は、いずれも、上記した本発明の具体的な構成については、何ら開示、示唆しておりません」と主張している。しかしながら、拒絶理由に記載した通り、例えば引用例2の図3A,図3Bに記載されているように、身体内腔壁を検査するにあたり、光学窓312を特定の軸位置で、カプセルを取り巻く帯として、円柱状部分を照射することは、従来より知られていることである。そして、引用例2の段落【0151】には具体的な構成として透明または反射性材料よりなる円錐状部分を有するアキシコンを用いることが開示されており、アキシコンを介した光の伝播およびアキシコンのデザインをどのように設定するかは、光を照射しようとする位置関係に応じて当業者が適宜設計しうる事項である。したがって、引用例1に記載された発明においても、従来より身体内腔壁の検査において行われていたように、放射状に機器軸の回りの360度にまたがるように照射光を放射するように構成することは、当業者が容易に想到しうることである。そして、放射状に照射光を放射するにあたり、どのような光学部品をどのような形状とするかは、当業者が適宜設計しうることであり、拡散板なども周知であるから、円周状または円錐状の外部エッジを有する半径ディフィーザを配置することは、当業者が適宜なし得ることである。
さらに、検出器をどのように配置するかは、検出位置に応じて当業者が適宜設計しうることであるから、360度にわたって照射した光を検出するにあたり、反射される方向に3個の検出器を独立して配置することは、当業者が適宜なし得ることである。
また、引用例1に記載された発明は、特徴波長の光を照射としておらず、1つまたは2つの特定波長の光の強度を測定するものでもない。しかし、引用例3の段落[0033]に記載されているように、被検体内部の腫瘍などを検出するにあたり、検出対象部位に対して反射率の低い波長の光を選択して発することは、従来より知られていることであるから、引用例1に記載された発明においても、照射光および検出光の波長を特定のものとすることは、当業者が適宜なし得ることである。そして、特定波長の数は、測定対象に応じて適宜設定しうることであるから、少なくとも2つの波長を照射および検出するように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。
よって、出願人の意見は採用できない。

2 原査定の理由の判断

(1)引用例の記載事項

ア 引用例1
上記引用例1には、以下の記載がある(下線は当審において付加したものである。和訳は、引用例1に対応する日本語ファミリー文献である特表2011-502554号公報の記載を参考に、当審において翻訳したものである。なお、参考のため、特表2011-502554号公報の対応箇所の段落番号を記す。)。

(引1ア)
「 1. A device comprising a capsule (10) having a blood content detector (22) .
2. The device of claim 1 further comprising an image capture device disposed in the capsule.
3. The device of claim 1 wherein the blood content detector (22) is an optical detector.
4. The device of claim 3 further comprising a measurement window (38) formed within the capsule (10) and wherein the optical detector (22) is disposed adjacent the window (38).」
(第22頁第3行-第14行)
(【請求項1】 血液量検出部(22)を有するカプセル(10)を備えることを装置。
【請求項2】 前記カプセル内に配置される撮像素子を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】 前記血液量検出部(22)は、光検出部であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】 前記カプセル(10)内部に形成される測定窓(38)を更に備え、
前記光検出部(22)は、前記測定窓(38)に隣接して配置されることを特徴とする請求項3に記載の装置。)

(引1イ)
「15. The device of claim 14 wherein the blood content detector (22) comprises a light source and an optical detector.」(第23頁第21行-第23行)
(【請求項15】 前記血液量検出部(22)は、光源と、光検出部と、を備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。)

(引1ウ)
「The invention relates to swallowable capsules having the capability to measure blood content of tissue comprising, for example, the digestive track.」(第2頁第8行-第10行)
(【0005】 本発明は、例えば、消化管を成す組織の血液量を測定することができる嚥下可能なカプセルに関する。)

(引1エ)
「Referring now to Fig. 2, there is shown a cross sectional diagram showing the construction of an exemplary- capsule 10 of the present invention. As can be seen, the capsule 10 comprises an enclosure 20 with the components of the device encased within the enclosure 20. The enclosure 20 is designed to be of a size that is relatively easy for a patient to swallow and can generally have a diameter of approximately 10 mm.
Contained within the enclosure 20, there can be seen a blood content detector 22 which includes various components used to determine the blood content of living tissue by means of an optical detector. There is, therefore a light detector 28 and a light source 24 including, for example a white LED 26. The path of the light travels in the direction of the arrows A, where the wide angle light is absorbed by a light absorbing member 30 so that only a narrow angle of light (close to parallel light) can pass through an opening 32 after passing through a linear polarizing element 34 where the light is polarized. By reducing the size of the opening 32, the illuminated region of tissue can likewise be reduced. A suitable size of an illumination region can be, for example, in the range of approximately 0.1 mm ^(2 ) and 100 mm ^(2) .
The polarized light thereafter passes through a lens 36 and an opening 32 and the linear polarizing element 34 are disposed along the location of the focal length of the lens. As such, the light coming for the light source 24 and is a narrow-angle light that impinges on a small region of tissue. Furthermore, it is possible to alter the direction in which the parallel light travels by using a lens to direct through a measurement window 38 to impinge upon a living tissue 40 of the patient in vivo.
Interacted light from the living tissue 40 and the hemoglobin contained therein returns along the direction of the arrows B to the light detector 28 as light with a specific reflection angle. As can be seen, the return interacted light passes again through the optical light path converter 36 where the light thereafter passes through two linear polarizing elements, that is, a first linear polarizing element 42 and a second linear polarizing element 44 that are orthogonal to each other. By that means, the linear polarizing elements 42 and 44 transmit beams of polarized light perpendicular to each other and the polarization direction of the first linear polarizing element 42 of the light receiving means 28 is the same as that of the linear polarizing element 34 of the illuminating means 24, and the second linear polarizing element 44 passes through the polarization spectrum orthogonal thereto. Beams of light that have been transmitted through each of the linear polarizing elements 42, 44 are passed on by a transmissive grating 46 in the directions with the different diffusion angles for each wavelength of light. That light then is sensed by a light sensor 48.」(第7頁第29行-第8頁第27行)
(【0017】 図2を参照すると、本発明の例示のカプセル10の構成が示されている。図示のように、カプセル10は、筐体20を備え、その内部に装置の構成部が収納されている。筐体20は、患者が比較的容易に嚥下できて、約10mmの直径を有する大きさに設計される。
【0018】 筐体20内部に含まれるものとして、光検出部を用いて生体組織の血液量の判断に使用される様々な構成部を有する血液量検出部22が見られる。したがって、光検出部28と、例えば白色LED26を備える光源24とがある。光路は、矢印Aの方向にのび、広角の光が光吸収部材30によって吸収されるので狭角の光(平行光に近い)のみが、光が偏光される線形偏光素子34を透過した後に開口32を通過できる。開口32を小さくすれば、組織の照射領域も同様に小さくなる。照射領域の適度な大きさは、例えば、約0.1mm^(2)?100mm^(2)の範囲である。
【0019】 偏光はその後レンズ36を透過する。開口32および線形偏光素子34はレンズの焦点距離の位置に沿って配置される。このように、光源24からの光は、組織の小さな領域上に当たる狭角の光である。更に、測定窓38を介して生体患者の生体組織40上に当たるように導くレンズを用いて、平行光が進む方向を変更することができる。
【0020】 生体組織40およびそこに含まれるヘモグロビンからの作用光は、所定の反射角を有する光として、矢印Bの方向に沿って光検出部28に返る。図示のように、返る作用光は光路光学変換部36を再び透過し、光はその後2つの偏光素子、つまり互いに直交する第1線形偏光素子42および第2線形偏光素子44、を透過する。これにより、線形偏光素子42および線形偏光素子44は、互いに垂直な偏光のビームを透過させる。受光手段28の線形偏光素子42の偏光方向は、照射手段24の線形偏光素子34の偏光方向と同じであり、第2線形偏光素子44は、それに直交する偏光スペクトルを透過させる。各偏光素子42、44を透過した光のビームは、透過性を有する回折格子46により光の各波長の異なる拡散角の方向で透過される。光は、その後光センサー48により検知される。)

(引1オ) 「図2



[引用例1から理解できる事項]
(事項1) 上記(引1エ)の記載、及び、上記(引1オ)に示した図2を参照すると、上記(引1エ)において、「カプセル10は、筐体20を備え・・・・。筐体20は、患者が比較的容易に嚥下できて、約10mmの直径を有する大きさに設計される。」と記載されていることから、筐体20は、断面形状が円形の筒状の部分を有し、また、該円形の断面の部分に接続して半球状の部分がその両端に設けられている点が見て取れる。

(事項2) 上記(引1オ)に示した図2を参照すると、光源24より照射された光が、測定窓38を介して、生体組織40に到達し、また、測定窓38を介して光検出部28に返る点が見て取れる。

(事項3) 上記(引1ア)ないし(事項2)を含む引用例1全体の記載を総合すると、引用例1には、次のような発明(以下、引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「a)消化管を成す組織の血液量を測定することができる嚥下可能なカプセルであり、血液量検出部(22)を有するカプセル(10)を備え、
b)カプセル(10)は、筐体(20)を備え、その内部に装置の構成部が収納され、
c)筐体(20)は、断面形状が円形の筒状の部分を有し、また、該筒状の部分に接続して半球状の部分がその両端に設けられ、
d)前記カプセル(10)内部に形成される測定窓(38)を更に備え、
e)前記光検出部(22)は、前記測定窓(38)に隣接して配置され、
前記カプセル(10)は、生体内で使用される際、前記窓(38)を生体組織に接触するように位置させるように構成され、
f)前記血液量検出部(22)は、光源(24)と、光検出部と、を備え
g)前記光源(24)からの光は、測定窓(38)を介して生体患者の生体組織(40)上に当たり、前記生体組織(40)およびそこに含まれるヘモグロビンからの作用光は、測定窓(38)を介して光検出部(28)に返る
装置。」

イ 引用例2
上記引用例2には、以下の記載がある(下線は当審において付加したものである。)。

(引2ア) 「【0140】
<4.2 自律性カプセルアセンブリ>
図3Aは、実施例に従った、身体内腔壁の蛍光を検出し、飲み込みが可能な、不消化性のカプセル300を図示したブロック図である。上記カプセルは、内腔壁399により表される身体内腔の生体内に位置した状態を図示している。上記カプセルには、硬質支持材310と、光源320と、光源アセンブリ(source optical assembly)322と、検出器330と、検出器光学アセンブリ332と、プロセッサー340と、通信システム350と、動力管理システム360と、容器372と、電極380と、移動制御システム384とが備えられている。」

(引2イ)「【0145】
光源アセンブリ322には、励起波長の光を、内腔壁399へ向ける、1つ以上の光学部品の組合せを備えている。・・・」

(引2ウ)「【0149】
ある実施例においては、図3Bに示されるように、上記光学窓は、上記カプセルの周囲に連続した帯に形成する。」

(引2エ)「【0151】
図3Aに示される実施例においては、光源からの平行光線を、アキシコン326の回転軸上に集束させるレンズ324が、上記光学アセンブリに含まれる。アキシコンは、透明または反射性材料よりなる円錐状部分である。ある実施例においては、シキシコンの形状は、回転軸の周囲の三角形または台形を回転させることにより形成される。また、他の実施例においては、上記三角形の斜辺は、三角形の頂点を結ぶ曲線に置き換えられる。これにより、上記の光の集束を可能とする。アキシコンは、回転軸に入射する光線を帯状の光、または環状の光に変換する。また、アキシコンは、円錐表面に入射する帯状の光を、その回転軸に平行な帯状の光線に変換する。・・・」

(引2オ)「【0153】
別の実施例においては、励起光を光学窓312へ向けるための別の構成部品が、光源アセンブリ322に含まれている。例えば、ある実施例では、光源アセンブリ322のアキシコン326は、光源320からの光線を偏光させる回転鏡で置き換えられる。アキシコン326は、光学窓312を通り、0°?360°全方位へと、光源320からの1つ以上の光線を導くように位置合わせがなされた回転鏡により、置き換えられる。ある実施例では、レンズ324は、回転鏡へと光線を集束させる1つ、またはそれ以上の異なるレンズにより置き換えられる。」

(引2カ)「図3A



(引2キ)「図3B



(引2ク) 上記(引2ア)ないし(引2キ)の記載より、引用例2には、次の技術が記載されている。

「身体内腔壁の蛍光を検出し、飲み込みが可能な、不消化性のカプセルにおいて、上記カプセルには、硬質支持材310と、光源320と、光源アセンブリ322と、検出器330と、検出器光学アセンブリ332が備えられ、光源アセンブリ322は、励起波長の光を、内腔壁399へ向ける、1つ以上の光学部品の組合せを備え、光学窓を、上記カプセルの周囲に連続した帯に形成し、光源からの光線を、0°?360°全方位へと、導く技術。」(以下、「引用例2記載事項」という。)

ウ 引用例3
上記引用例3には、以下の記載がある(下線は当審において付加したものである。)。

(引3ア)「[0047]
また、実施の形態1においては、カプセル型内視鏡として、先頭部分に透明カバーを設けカプセル型内視鏡3の長手方向に対する撮像処理を行なうカプセル型内視鏡3を例に説明したが、もちろん図11に示すように、発光部32aおよび受光部33aを側面に設け、カプセル型内視鏡の側面方向に対する撮像処理を行なう側視型のカプセル型内視鏡3aであってもよい。発光部32aから発せられた光Lは、腸壁39などに反射し、カプセル型内視鏡3aの側面部に設けられた透明カバー31aを介して受光部33aによって受光される。図11に示す側視型のカプセル型内視鏡3aとすることによって、被検体1内部との距離が近くなるため、測定強度が高く安定した検出を行なうことができる。また、カプセル型内視鏡3aにおいては、広い管腔内にカプセル型内視鏡3aが侵入した場合や被検体1内部におけるカプセル型内視鏡3aの方向がずれた場合などのように被検体との距離が遠くなった場合には、検出対象部位の有無を検出できるため特に有用であるものと考えられる。」

(引3イ)「図11



(引3ウ) 上記(引3ア)及び(引3イ)の記載より、引用例3には、次の技術が記載されている。

「発光部32aから発せられた光Lは、腸壁39などに反射し、カプセル型内視鏡3aの側面部に設けられた透明カバー31aを介して受光部33aによって受光されるカプセル型内視鏡。」(以下、「引用例3記載事項」という。)

(2)対比
本願発明と引用発明を対比する。

ア 本願発明A)の特定事項について
引用発明の「a)・・・嚥下可能なカプセル」は、本願発明の「経口機器」に相当する。
また、引用発明の「a)消化管を成す組織の血液量を測定」は、「胃腸管異常の診断に使える情報を提供するため」に行われることは、当業者にとって明らかである。
よって、本願発明と引用発明は、「胃腸管異常の診断に使える情報を提供するために有用な経口機器であ」る点で一致する。

イ 本願発明(a)の特定事項について
(ア) 引用発明の「筐体(20)」は、本願発明の「経口ケース」に相当する。
(イ) 引用発明の「断面形状が円形の筒状の部分」は、本願発明の「筒状部」に相当する。
(ウ) 引用発明の「半球状の部分」は流線形といえ、半球状の部分は、「該断面形状が円形の部分に接続して」「その両端に設けられ」ている「端部」といえる。一方、本願発明における「遠位端」及び「近位端」も、「端部」といえる。よって、本願発明と引用発明は、「筒状部と、該筒状部の両端に形成される流線形の」「端部」を備える点で一致する。
(エ) 本願発明は、二つの端部の一方の「端部」を「遠位端」とし、他方の「端部」を「近位端」としている。一方、引用発明は、「遠位」及び「近位」についての限定はされていないが、「端部」である「半球状の部分」が二つ存在しており、一方を「遠位」とすれば、他方は「近位」であるといえる。よって、本願発明と引用発明は、「経口ケース」が「遠位端及び近位端」を有する点で一致する。
(オ) 一般的に、「断面形状が円形の筒状の部分」が、その筒状の部分に平行な軸を定義可能であることは、当業者にとって明らかであるから、引用発明の「断面形状が円形の筒状の部分」も、その筒状の部分に平行な軸を有することは明らかであり、本願発明と引用発明は、「筒状部の中心を通る機器軸」を「有する」点で一致する。
(カ) 以上のことから、本願発明と引用発明は、「(a)筒状部と、該筒状部の両端に形成される流線形の遠位端及び近位端と、該筒状部の中心を通る機器軸と、を有する経口ケース」を備える点で一致する。

ウ 本願発明(b)とb-1)の特定事項について
(ア) 引用発明の「光源(24)」は、「測定窓(38)を介して生体患者の生体組織(40)上に当た」る光を生成するものであり、その光は装置の外に出るものであるから、「光源(24)」を含む構成は、照射を行う構成、すなわち、照射器といえる。一方、本願発明の「照射器」は、「照射窓を通して放射状に外側に向かって光を照射する」ものであり、「b-1)・・・光を照射する光源」を備えるものである。
よって、本願発明と引用発明は、「照射器」を有し、「前記照射器は、光を照射する光源」を備える点で一致する。
また、引用発明の「測定窓(38)」と本願発明の「照射窓」は、「光源」による「外側に向か」う「光」を通す「窓」である点で共通する。
(イ) 引用発明の「窓・・・を介して」は、本願発明の「窓を通して」に相当する。
(ウ) 引用発明は、「筐体(20)を備え、その内部に装置の構成部が収納され」るものであるから、「光源(24)」は、「筐体(20)」の内部に設けられるものである。
(エ) よって、本願発明と引用発明は、「前記ケースの内部にあって、」窓「を通して」「外側に向かって光を照射する照射器」を備える点、及び、「前記照射器は、光を照射する光源」を「備え」る点で共通する。

エ 本願発明b-2)及びb-3)の特定事項について
引用発明は、本願発明b-2)及びb-3)の特定事項を具備していない。

オ 本願発明(c)の特定事項について
(ア) 引用発明の「血液量検出部(22)」は、「光源(24)と、光検出部(28)」を備えるものである。そして、「前記光源(24)からの光は、測定窓(38)を介して生体患者の生体組織(40)上に当たり、前記生体組織(40)およびそこに含まれるヘモグロビンからの作用光は、測定窓(38)を介して光検出部(28)に返る」ものである。
(イ) ここにおいて、引用発明の「生体組織(40)」はa)「消化管を成す組織」であり、カプセルが飲み込まれてから排泄されるまでに通る胃や腸を含むことは明らかであるから、本願発明の「胃腸管」を包含することは自明な事項である。
(ウ) 上記ウで検討したように、引用発明の「光源(24)」を含む構成は、照射器といえることから、引用発明のg)「光源(24)からの光」が、「生体患者の生体組織(40)上に当たり、・・・返る」ことは、本願発明の「照射器により照射され」た光の「前記胃腸管の一部からの反射」に相当する。
(エ) 引用発明において、g)「前記生体組織(40)およびそこに含まれるヘモグロビンからの作用光は、測定窓(38)を介して光検出部(28)に返る」ことは、「生体組織(40)」での反射後の光が「測定窓(38)」を介して光検出部(28)に返る」ことに他ならず、また、引用発明の「測定窓(38)」と、本願発明の「検出器窓」は、「窓」である点で共通し、さらに、引用発明の「窓・・・を介して」は、本願発明の「窓を通過する」に相当するから、本願発明と引用発明は、「胃腸管の一部からの反射後に、」「光」が、「窓を通過する」点で共通する。
(オ) 引用発明の「光検出部(28)」を含む構成は、本願発明の「光検出アセンブリ」に相当する。また、引用発明の「光検出部(28)」を含む構成が、何らかの光に関する「測定」を行うことは、当業者にとって明らかである。よって、本願発明と引用発明は、「光」「を」「測定する」「光検出アセンブリ」を備える点で一致する。
(カ) 引用発明は、「筐体(20)を備え、その内部に装置の構成部が収納され」るものであり、「光検出器(28)」を含む構成が、「筐体(20)」の内部に設けられるものであるから、本願発明と引用発明は、「ケースの内部に」「少なくとも一個の光検出アセンブリ」を備える点で一致する。
(キ) 以上のことから、本願発明と引用発明は、「前記ケースの内部にあって、前記照射器により照射され、前記胃腸管の一部からの反射後に、」「窓を通過する、」「光」「を、」「測定する、少なくとも一個の光検出アセンブリ」を備えた点で一致する。

よって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。

「A)胃腸管異常の診断に使える情報を提供するために有用な経口機器であって、
(a)筒状部と、該筒状部の両端に形成される流線形の遠位端及び近位端と、該筒状部の中心を通る機器軸と、を有する経口ケースと、
(b)’前記ケースの内部にあって、窓を通して外側に向かって光を照射する照射器と、
(c)’前記ケースの内部にあって、前記照射器により照射され、前記胃腸管の一部からの反射後に、窓を通過する、光を、測定する、少なくとも一個の光検出アセンブリを備え、
b-1) 前記照射器は、光を照射する光源を備えた、
経口機器。」

そして、両者は以下の点で相違する。

<相違点1>
(b)’の照射器に関して、本願発明は、照射器が、照射窓を通して放射状に外側に向かって光を照射するものであり、該照射器が、b-2)前記機器軸に一致するディフィーザ軸と、該ディフィーザ軸に直交する方向に形成されて互いに対向する第1表面及び第2表面と、該ディフィーザ軸を中心とした円周状の外部エッジと、を有する放射ディフィーザを備え、b-3)前記光源は、光を前記放射ディフィーザ内に光を照射するようになっており、該光源から前記放射ディフィーザに照射された前記光の一部分は、前記外部エッジを通って放射状に外部に向かって放射され、前記照射器は、前記機器軸の周りに360度の角度で光を照射する構成となっているのに対して、引用発明は、光源は有しているものの、機器軸に一致するディフィーザ軸と、該ディフィーザ軸に直交する方向に形成されて互いに対向する第1表面及び第2表面と、該ディフィーザ軸を中心とした円周状の外部エッジと、を有する放射ディフィーザを有しておらず、上記の構成を備えていない点。

<相違点2>
(c)’の窓に関して、本願発明は、照射窓と、照射窓に近接して設けられる検出器窓を備えるのに対して、引用発明は、測定窓(38)のみを備える点。

<相違点3>
(c)’の光検出アセンブリによる光の測定に関して、本願発明は、少なくとも1つの特定波長の光の強度を、画像を取得することなく、測定するのに対して、引用発明は、その点が不明である点。

(3)判断
上記の相違点1について、以下に検討する。
引用例2には、上記「(1)引用例の記載事項」「イ 引用例2」に記載した事項が記載されており、引用例3には、上記「(1)引用例の記載事項」「ウ 引用例3」に記載した事項が記載されている。したがって、「照射器が、照射窓を通して放射状に外側に向かって光を照射する点」については、引用例2及び引用例3に記載されているといえる。
しかしながら、照射窓を通して放射状に外側に向かって光を照射するための構成として、機器軸に一致するディフィーザ軸と、該ディフィーザ軸に直交する方向に形成されて互いに対向する第1表面及び第2表面と、該ディフィーザ軸を中心とした円周状の外部エッジと、を有する放射ディフィーザを採用する点については、引用例2及び引用例3には記載も示唆もされていない。
また、上記相違点1に係る構成が、本願優先日前周知の事項であることを示す証拠もない。

してみると、引用例1ないし3に接した当業者といえども、上記相違点1係る本願発明の発明特定事項を容易に想起することはできない。

(4)小括
したがって、上記相違点2及び3について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明、引用例2及び引用例3に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

また、本願の請求項2ないし8に係る発明は、本願発明の発明特定事項をすべて含み、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、引用発明、引用例2及び引用例3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について

1 当審の平成28年6月6日付け拒絶理由

当審の平成28年6月6日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、次のとおりである。

「 本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


ア 請求項1ないし13について

(ア)請求項1において、「前記ケースの内部にあって、容器の照射窓を通して」と記載されているが、ここにおける「容器」がどのようなものであるのか不明であり、また、「ケース」と「容器」との関係も不明である。
(イ)請求項1において、「画像を取得することなく前記胃腸管の一部からの反射後に前記照射器により照射され、」と記載されているが、技術常識を参酌すると、照射器により照射された光が胃腸管によって反射されるのであるから、「前記胃腸管の一部からの反射後に前記照射器により照射され、」との記載によって特定される構成は、どのようなものであるのか全く不明であり、請求項1に係る発明が明確でない。
(ウ)請求項1において、「連結する検出器窓を通過する、」と記載されているが、検出器窓が、何と連結しているのか不明であり、請求項1に係る発明が明確でない。
(エ)請求項1において、「ディフィーザ軸」と「ディフューザ軸」とあるが、それらの異同が不明であり、請求項1に係る発明が明確でない。
(オ)請求項1において、「該中央の」とあるが、この記載以前に「中央」についての記載が無く、また、前後の文脈からも、何の中央であるのか不明であることから、「該中央」が何をさすのか不明であり、請求項1に係る発明が明確でない。
(カ)請求項1において「半径ディフィーザ」とあるが、ここにおける「半径」がどのような意味で用いられているのか不明であり、請求項1に係る発明が明確でない。
(キ)請求項1において、照射器により、「放射状に外側に向かって光を照射する」ときに通る「容器の照射窓」と、「前記照射器」により「光を照射」される「前記機器軸の周りの円周部」の関係が不明であり、請求項1に係る発明が明確でない。
(ク)請求項1において、「前記円周部は360度を有する」とあるが、「360度」は状態を表現する記載であり、「物」又は「構造」を表現する記載ではないことから、「360度を有する」とは、どのような態様を表現しているのか明確でなく、請求項1に係る発明が明確でない。

上記(ア)ないし(ク)より、請求項1に係る発明は明確でない。また、請求項1の記載を引用する請求項2ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項1ないし13に係る発明は明確でない。

イ 請求項3ないし13について

請求項3において、「前記照射器と前記照射窓が、前記機器軸に対して90度以下で、前記機器軸の垂直に対して10度以上の角度で光を照射する」とあるが、「機器軸に対して90度以下」という場合に、照射器、及び、照射窓と、機器軸との成す角度がどのように定義されるのか全く不明であり、「前記照射器と前記照射窓が、前記機器軸に対して90度以下」とは、どのような状態を表現しているのか不明である。また、「機器軸の垂直」とは、何を表現しているのか不明(機器軸と垂直に交差する平面のことか?)であり、また、「垂直に対して10度以上の角度」という場合にも、それがどのような意味であるのか不明であることから、請求項3に係る発明の構成が十分に把握できない。
したがって、請求項3に係る発明が明確でない。請求項3の記載を引用する請求項4ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項3ないし13に係る発明は明確でない。

ウ 請求項5ないし13について

請求項5において、「光検出アセンブリあること」と記載されているが、明らかに誤記があり、請求項5に係る発明が不明確である。
請求項5の記載を引用する請求項6ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項5ないし13に係る発明は明確でない。

エ 請求項6ないし13について

(ア)請求項6において、「少なくとも90度の角度のある前記機器軸の周りの円周部から」とあるが、「少なくとも90度の角度のある」とは、どのような状態を表現しているのか不明である。また、何に対して「少なくとも90度」であるのかも不明である。
したがって、請求項6に係る発明が明確に把握できない。
(イ)請求項6において、「前記連結された検出器窓」とあるが、検出器窓が、何と連結しているのか不明であり、請求項6に係る発明が明確でない。

上記(ア)及び(イ)より、請求項6に係る発明は明確でない。
請求項6の記載を引用する請求項7ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項6ないし13に係る発明は明確でない。

オ 請求項7ないし13について

(ア)請求項7において「前記円周部」とあるが、この「前記円周部」が、請求項7が引用する請求項6に記載された「少なくとも90度の角度のある前記機器軸の周りの円周部」を指すのか、請求項7が引用する請求項6がさらに引用する請求項1に記載された「照射器」が「光を照射」する「機器軸の周りの円周部」を指すのか不明であり、請求項7に係る発明が明確に把握できない。
(イ)請求項7において、「前記円周部が前記機器軸のまわり360度の角度を有する」とあるが、「角度」は、「物」又は「構造」を表現する記載ではないことから、「前記機器軸のまわり360度の角度を有する」とは、どのような態様を表現しているのか不明であり、請求項7に係る発明が明確でない。

上記(ア)及び(イ)より、請求項7に係る発明は明確でない。
また、請求項7の記載を引用する請求項8ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項7ないし13に係る発明は明確でない。

カ 請求項8ないし13について

請求項8において、「前記連結する検出器窓」とあるが、検出器窓が、何と連結しているのか不明であり、請求項8に係る発明が明確でない。
また、請求項8の記載を引用する請求項9ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項8ないし13に係る発明は明確でない。

キ 請求項10ないし13について

請求項10において、「前記連結された検出器窓」とあるが、検出器窓が、何と連結しているのか不明であり、請求項10に係る発明が明確でない。
また、請求項10の記載を引用する請求項11ないし13に係る発明についても同様である。
よって、請求項10ないし13に係る発明は明確でない。

ク 請求項12、13について

請求項12において、「前記連結する検出器窓」とあるが、検出器窓が、何と連結しているのか不明であり、請求項12に係る発明が明確でない。また、同様の記載が請求項13にも存在する。
よって、請求項12及び13に係る発明は明確でない。」

2 当審拒絶理由の判断

(1)当審拒絶理由「イ」、「エ」、「オ」、「ク」に関して
平成28年8月15日に提出された誤訳訂正書(以下、「誤訳訂正書」という。)によって、補正前の請求項3、請求項6、請求項7、請求項12及び請求項13に係る発明が削除された。したがって、それらの請求項を対象とする当審拒絶理由の「イ」、「エ」、「オ」、「ク」は解消した。

(2)当審拒絶理由「ア」に関して
(ア)について
誤訳訂正書により、「容器」の記載が削除された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由ア(ア)は解消した。
(イ)及び(ウ)について
誤訳訂正書により、「前記胃腸管の一部からの反射後に前記照射器により照射され、連結する検出器窓を通過する」の記載が、「前記照射器により照射され、前記胃腸管の一部からの反射後に、前記照射窓に近接して設けられる検出器窓を通過する」に補正された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由ア(イ)及び(ウ)は解消した。
(エ)について
誤訳訂正書により、「ディフューザ軸」の記載が「ディフィーザ軸」に統一された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由ア(エ)は解消した。
(オ)について
誤訳訂正書により、「該中央の」の記載が削除された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由ア(オ)は解消した。
(カ)について
誤訳訂正書により、「半径ディフィーザ」の記載が「放射ディフィーザ」に補正された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由ア(カ)は解消した。
(キ)について
誤訳訂正書により、補正前の「前記照射器は、前記機器軸の周りの円周部に光を照射し、前記円周部は360度を有する」の記載が、「前記照射器は、前記機器軸の周りに360度の角度で光を照射する」に補正された。よって、「円周部」の記載が無くなり、記載は明瞭になり、「照射窓」と「円周部」との関係が不明である旨の当審拒絶理由における理由ア(キ)は解消した。
(ク)について
誤訳訂正書により、補正前の「前記照射器は、前記機器軸の周りの円周部に光を照射し、前記円周部は360度を有する」の記載が、「前記照射器は、前記機器軸の周りに360度の角度で光を照射する」に補正された。よって、「360度を有する」とはどのような態様を表現しているか不明である旨の当審拒絶理由における理由ア(ク)は解消した。

(3)当審拒絶理由「ウ」に関して
誤訳訂正書により、「光検出アセンブリあること」の記載が「光検出アセンブリを有すること」に補正された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由ウは解消した。

(4)当審拒絶理由「カ」に関して
誤訳訂正書により、補正前の「前記連結する検出器窓」の記載が「前記検出器窓」に補正された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由カは解消した。

(5)当審拒絶理由「キ」に関して
誤訳訂正書により、補正前の「前記連結された検出器窓」の記載が「前記検出器窓」に補正された。よって、記載は明瞭になり、当審拒絶理由における理由キは解消した。

以上のことから、もはや、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび

以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-09-21 
出願番号 特願2012-523421(P2012-523421)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮澤 浩  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
小川 亮
発明の名称 胃腸管の異常の診断に使える情報を提供する方法と機器  
代理人 北村 周彦  

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