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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1320660
審判番号 不服2015-17484  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-25 
確定日 2016-10-20 
事件の表示 特願2014- 68650号「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 2日出願公開、特開2015-188618号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年3月28日の出願であって,同年11月27日付けで拒絶理由通知がなされ,同年12月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され,平成27年2月26日付けで最後の拒絶理由通知がなされ,同年3月17日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,同年5月13日付けで最後の拒絶理由通知がなされ,これに対し同年6月12日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,平成27年6月12日付け手続補正書でなされた補正について,同年8月4日付けで補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 平成27年9月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年9月25日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成27年6月12日付けの手続補正は既に補正の却下の決定がなされている。そして,本件補正は,特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり,特許請求の範囲の請求項1は,
補正前(平成27年3月17日付け手続補正)の
「【請求項1】
図柄変動表示を実行可能な図柄表示手段と、
複数種類の予告を実行可能な予告手段と、
表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記複数種類の予告のうちの少なくとも一つは、第一の種類の予告であり、
前記複数種類の予告のうちの前記第一の種類の予告とは別の少なくとも一つは、第二の種類の予告であり、
前記第一の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第二の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第一の種類の予告は、第一の予告と第三の予告を含む予告であり、
前記第二の種類の予告は、第二の予告と第四の予告を含む予告であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第一の表示を表示させることにより前記第一の予告を実行可能な手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第三の表示を表示させることにより前記第三の予告を実行可能な手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第二の表示を表示させることにより前記第二の予告を実行可能な手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第四の表示を表示させることにより前記第四の予告を実行可能な手段であり、
前記第三の表示は、前記第一の表示と同じ形の表示であり、
前記第三の表示における少なくとも一部(以下、「第一の領域」という。)の模様(以下、「第一の模様」という。)は、前記第一の表示における前記第一の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり、
前記第四の表示は、前記第二の表示と同じ形の表示であり、
前記第四の表示における少なくとも一部(以下、「第二の領域」という。)の模様(以下、「第二の模様」という。)は、前記第二の表示における前記第二の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり、
前記第二の模様は、前記第一の模様と同じ模様であり、
前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、
前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告である、
ことを特徴とする遊技台。」
から,
補正後(本件補正である平成27年9月25日付け手続補正)の
「【請求項1】
図柄変動表示を実行可能な図柄表示手段と、
複数種類の予告を実行可能な予告手段と、
表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記複数種類の予告のうちの一つは、第一の種類の予告であり、
前記複数種類の予告のうちの一つは、第二の種類の予告であり、
前記第一の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第二の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第一の種類の予告は、第一の予告と第三の予告を含む予告であり、
前記第二の種類の予告は、第二の予告と第四の予告を含む予告であり、
前記第一の予告が行われる場合よりも前記第三の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすいものであり、
前記第二の予告が行われる場合よりも前記第四の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすいものであり、
前記予告手段は、前記表示手段に第一の表示を表示させることにより前記第一の予告を実行する手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第三の表示を表示させることにより前記第三の予告を実行する手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第二の表示を表示させることにより前記第二の予告を実行する手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第四の表示を表示させることにより前記第四の予告を実行する手段であり、
前記第三の表示は、前記第一の表示と同じ形の表示であり、
前記第三の表示における少なくとも一部(以下、「第一の領域」という。)の模様(以下、「第一の模様」という。)は、前記第一の表示における前記第一の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり、
前記第四の表示は、前記第二の表示と同じ形の表示であり、
前記第四の表示における少なくとも一部(以下、「第二の領域」という。)の模様(以下、「第二の模様」という。)は、前記第二の表示における前記第二の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり、
前記第四の表示における前記第二の模様は、前記第三の表示における前記第一の模様と同じ模様であり、
前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合(以下、「第一の場合」という。)があり、
前記第四の予告は、前記第一の場合において前記第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される予告である、
ことを特徴とする遊技台。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示す。)。

2 補正の適否について
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1について,以下の補正事項を含むものである。

(1)補正事項1
「前記複数種類の予告のうちの少なくとも一つは、第一の種類の予告であり、前記複数種類の予告のうちの前記第一の種類の予告とは別の少なくとも一つは、第二の種類の予告であり、」との記載を,「前記複数種類の予告のうちの一つは、第一の種類の予告であり、前記複数種類の予告のうちの一つは、第二の種類の予告であり、」とする。

(2)補正事項2
「前記第一の予告が行われる場合よりも前記第三の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすいものであり、前記第二の予告が行われる場合よりも前記第四の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすいものであり、」との記載を追加する。

(3)補正事項3
「前記予告手段は、前記表示手段に第一の表示を表示させることにより前記第一の予告を実行可能な手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第三の表示を表示させることにより前記第三の予告を実行可能な手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第二の表示を表示させることにより前記第二の予告を実行可能な手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第四の表示を表示させることにより前記第四の予告を実行可能な手段であり、」との記載を,「前記予告手段は、前記表示手段に第一の表示を表示させることにより前記第一の予告を実行する手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第三の表示を表示させることにより前記第三の予告を実行する手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第二の表示を表示させることにより前記第二の予告を実行する手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第四の表示を表示させることにより前記第四の予告を実行する手段であり、」とする。

(4)補正事項4
「前記第二の模様は、前記第一の模様と同じ模様であり、」との記載を,「前記第四の表示における前記第二の模様は、前記第三の表示における前記第一の模様と同じ模様であり、」とする。

(5)補正事項5
「前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告である、」との記載を,「前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合(以下、「第一の場合」という。)があり、前記第四の予告は、前記第一の場合において前記第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される予告である、」とする。

上記補正事項1,3,4については,その記載を明確とすることを目的とするものであると認められるから,特許法第17条の2第5項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

上記補正事項2は,第一の予告と第三の予告に関して「前記第一の予告が行われる場合よりも前記第三の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすい」とし,第二の予告と第四の予告に関して「前記第二の予告が行われる場合よりも前記第四の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすい」とし,第一の予告と第三の予告の関係,及び,第二の予告と第四の予告の関係について限定するものである。
上記補正事項5は,第三の予告と第四の予告が,一回の前記図柄変動表示の実行中において両者が実行されるとの事項を,少なくとも一部の期間が重なるように実行されるというように,その実行タイミングを限定するものである。
また,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,上記訂正事項2,5は,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして,上記補正事項1?5は,新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である,特開2013-252379号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。

(1-a)「【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。」

(1-b)「【0019】
第1,第2特別図柄表示手段23a,23bは、夫々1個又は複数個、例えば各1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、第1特別図柄表示手段23aは上特別始動口17a、第2特別図柄表示手段23bは下特別始動口17bに遊技球が入賞し、それら特別始動口17a,17bへの遊技球の入球検出を条件に第1,第2特別図柄を所定時間変動表示して、それら特別始動口17a,17bへの入賞時に取得された第1,第2大当たり判定用乱数値(第1乱数値)が予め定められた大当たり判定値(第1判定値)と一致する場合には所定の大当たり態様(特定態様)で、それ以外の場合には外れ態様(所定態様)で停止するようになっている。」

(1-c)「【0023】
演出図柄表示手段27は、例えば第1,第2特別図柄表示手段23a,23bによる第1,第2特別図柄の変動表示と並行して(例えば時間的に同調して)演出図柄E(図柄画像)を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄Eを例えば各種の演出画像と共に液晶表示手段21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段17の特別始動口17a,17bに遊技球が入賞することを条件に、第1,第2特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄Eの変動を開始すると共に、第1,第2特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄Eを左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。」

(1-d)「【0037】
特別図柄処理手段54は、第1,第2特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、特別図柄表示手段23a,23bが変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段53に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(第1,第2特別保留個数が1以上であること)を条件に、第2特別保留個数が1以上である場合には特別乱数記憶手段53に第2特別保留個数のうちで最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、第2特別保留個数が0で且つ第1特別保留個数が1以上である場合には特別乱数記憶手段53に第1特別保留個数のうちで最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、特別乱数記憶手段53に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値又は新たに取得された外れ図柄乱数値とに基づいて、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果と新たに取得された変動パターン乱数値とに基づいて、演出図柄Eの変動パターンを例えば図8等に示す5種類の中から選択する変動パターン選択機能等を備えている。」

(1-e)「【0056】
S2において変動パターンと停止図柄とが整合していると判定された場合には(S2:Yes)、主制御基板31から受信した変動パターンコマンド“A***H”(**は各変動パターンに固有の値)と図柄指定コマンド“B***H”(**は各停止図柄態様に固有の値)とが例えばそのまま液晶制御基板33に送信される(S4,S5)と共に、予告演出抽選手段64aによって予告演出抽選処理が実行される(S6)。
【0057】
本実施形態のパチンコ機は、例えば2種類の演出モード1,2を備えている。この演出モードは、例えば特別遊技状態中を演出モード1、それ以外の通常遊技状態中を演出モード2とするなど、任意に設定可能である。もちろん、演出モードを3種類以上設けてもよい。
【0058】
予告演出抽選処理(S6)では、例えば図4に示すように、演出モードに対応した分岐抽選テーブルと変動パターンとに基づいて抽選グループを選択する分岐抽選が行われ(S11)。本実施形態では、図8に示すように2種類の演出モード1,2に対応する2種類の分岐抽選テーブル1,2が設けられており、その時点の演出モードに基づいてそれら2種類の分岐抽選テーブル1,2の何れかが用いられるようになっている。各分岐抽選テーブルでは、変動パターン毎に、例えば4種類の抽選グループA?Dの選択率が規定されている。例えば、演出モード1で変動パターン1が選択されている場合には、図8(a)に示すように抽選グループA?Dが夫々50,20,20,10の選択率となるように抽選される。
【0059】
次に、分岐抽選(S11)によって選択された抽選グループに対応する演出抽選テーブル選択テーブルに基づいて、複数種類の予告演出について、夫々シナリオの抽選を行うか否か(即ちその予告演出を実行するか否か)、及びシナリオの抽選を行う場合にはその抽選に用いる演出抽選テーブルについて特定される(S12)。本実施形態では、図9に示すように4種類の抽選グループA?Dに対応する4種類の演出抽選テーブル選択テーブルが設けられ、また予告演出は予告演出1?7の7種類設けられているものとする。
【0060】
図9に示す各演出抽選テーブル選択テーブルには、複数種類の予告演出毎に、シナリオの抽選に用いる演出抽選テーブルの種類を示す情報(例えばyo1_TBL1,yo4_TBL2等)、又はそのシナリオの抽選を行わない(予告演出を実行しない)旨の情報(例えばyo1_0,yo2_0等)が設定されている。例えば分岐抽選(S11)で抽選グループAが選択された場合には、図9(a)の演出抽選テーブル選択テーブルに基づいて、予告演出4,5についてのみシナリオの抽選が行われ、その抽選では夫々演出抽選テーブルyo4_TBL1,yo5_TBL1が用いられる。
【0061】
そして、S12で特定された演出抽選テーブルを用いて予告演出シナリオの抽選が行われ(S13)、その抽選によって選択された予告演出シナリオを示す予告演出コマンドが液晶制御基板33に送信される(S14)と共に、その予告演出シナリオがセットされる(S15)。各演出抽選テーブルでは、図10に示すように、変動パターン(所定の遊技関連情報の一例)毎に、複数種類の予告演出シナリオ及び予告演出なしについての選択率が規定されている。例えば、図10(a)に示す演出抽選テーブルyo1_TBL1では、変動パターン1の場合には予告演出なし、予告演出シナリオ1-1が夫々90,10%の選択率で選択され、変動パターン5の場合には予告演出なし、予告演出シナリオ1-1?1-4が夫々10,40,10,30,10%の選択率で選択される設定となっている。なお、予告演出コマンドには、例えば“9E**H”(**は各予告演出シナリオに固有の値)等のコマンドが割り当てられているものとする(図13参照)。」

(1-f)「【0069】
液晶制御手段75は、液晶表示手段21の表示制御を行うもので、例えば主制御基板31から演出制御基板32を経て変動パターンコマンド及び図柄指定コマンドを受信することに基づいて、その変動パターンコマンドで指定された変動パターンで演出図柄表示手段27による演出図柄Eの変動を開始させ、当該演出図柄Eの変動中に演出制御基板32からの予告演出コマンドに基づいて予告演出シナリオを行い、主制御基板31から演出制御基板32を経て変動停止コマンドを受信したときに、停止図柄抽選手段74により選択された停止図柄で演出図柄Eの変動を停止させるようになっている。また、液晶制御手段75は、詳細は後述するが、表示データの優先順位を記憶した優先順位テーブル(優先順位設定手段)76と、表示データ(例えば演出図柄E)の透過率を変更する透過率変更手段77と、所定の表示データ(例えば予告演出1,2)の同時発生を禁止する同時発生禁止手段78と、表示データ(例えば予告演出1,6)の実行時期を設定する実行時期設定手段79とを備えている。」

(1-g)「【0142】
予告演出1は、図20に示すように、演出図柄Eの変動表示中に例えば星を登場させる演出が挙げられる。具体的には、図9、図10に示す演出抽選テーブルyo1_TBL1において例えば予告演出シナリオ1-1が選択された場合に、演出図柄Eの変動開始から4000ミリ秒後(図11参照)に図20に示す態様での「星」の登場演出が開始される。なお、予告演出シナリオ1-2?1-4は、予告演出シナリオ1-1に比べて、「星」の表示態様(例えば、登場する星の種類(大きさや色等)、登場位置、移動方向、移動速度等の少なくとも一つ)が異なるものなどが挙げられる。」

(1-h)「【0180】
<演出図柄変動表示(予告演出1及び4発生有りの変動表示)について>
次に、予告演出1(第1予告演出表示)及び予告演出4(第2予告演出表示)を含む演出図柄Eの変動表示について図25を用いて説明する。なおここでは、図9(a)に示す抽選グループAが選択され、演出図柄Eの変動パターンとして例えばリーチ外れ変動パターン(リーチ大当たり変動パターンであってもよい)において予告演出1及び4が表示される場合を例に挙げて説明する。
【0181】
液晶制御手段75は、変動パターンコマンド及び図柄指定コマンドに基づいて、その変動パターンコマンドで指定された変動パターン(ここではリーチ外れ変動パターン)で表示画面21aに演出図柄E(左図柄、中図柄及び右図柄)の変動表示を開始させ、左図柄及び右図柄が「3」の図柄で揃ったリーチ状態を表示させる。そして、液晶制御手段75は、予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて、その予告演出シナリオ(星が登場する演出)を表示させる(図25(a)参照)。
【0182】
予告演出1は、前述した図20と同様に、演出図柄Eの変動表示中に例えば星を登場させる演出である。ここでは図9(a)に示す抽選グループAにおける演出抽選テーブルyo1_TBL1において例えば予告演出シナリオ1-1が選択され、演出図柄Eの変動開始から4000ミリ秒後(図11参照)に「星」の登場演出が開始され、図25(a)に示すように予告演出1の星画像W1が左図柄の右下角部上に停止表示される。
【0183】
予告演出4は、予告演出1よりも大当たり信頼度が高い予告演出であり、図25(b)に示すように演出図柄Eの変動表示中に例えば稲妻画像W4を登場させる演出としている。予告演出4は、演出図柄Eの変動開始から5000ミリ秒後(図11参照)に、稲妻画像W4が表示画面21aの上部から登場する演出が開始される。具体的には、図9(a)に示す抽選グループAにおける演出抽選テーブルyo4_TBL1において例えば予告演出シナリオ4-1(図示省略)が選択され、演出図柄Eの変動開始から5000ミリ秒後(図11参照)に予告演出4の「稲妻」の登場演出が開始され(図25(b)参照)、稲妻画像W4が左図柄の右下角部の方に向かって移動表示され、予告演出1の星画像W1上に予告演出4の稲妻画像W4が重なった状態で停止表示される(図25(c)参照)。」

(1-i)上記【0056】,【0058】?【0061】には,予告演出抽選手段64aによって,予告演出抽選処理が実行され,当該処理によって選択された予告演出シナリオを示す予告演出コマンドが液晶制御基板33に送信されることが記載されている。
そして,上記【0181】の記載,及び,図2の図示内容によれば,液晶制御基板33に設けられた液晶制御手段75は,予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて,その予告演出シナリオ(星が登場する演出)を表示させるものと認められる。そして,上記【0059】の記載によれば,予告演出は,予告演出1以外にも予告演出2?7の複数種類存在するものと認められる。
よって,予告演出抽選手段64a及び液晶制御手段75は,複数種類の予告演出を実行するものであることは明らかである。

(1-j)上記【0059】には,予告演出は予告演出1?7の7種類設けられていると記載されている。これより,複数種類の予告演出は予告演出1と予告演出4を有することは明らかである。

(1-k)上記【0023】には,演出図柄Eは,第1,第2特別図柄の変動開始と同時に変動を開始すると共に、第1,第2特別図柄の変動停止と同時に最終停止することが記載されている。そして,上記【0182】には,予告演出1は,演出図柄Eの変動表示中に星を登場させる演出であることが記載されている。よって,予告演出1が,第1,第2特別図柄の変動表示中において行われることは明らかである。また同様に,予告演出4が,第1,第2特別図柄の変動表示中において行われることは明らかである。

(1-l)上記【0037】には,大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行い,当該判定結果に基づいて第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が選択されることが記載されている。
また,上記【0037】,【0058】?【0059】の記載によれば,一つの大当たり/外れの判定結果に基づいて演出図柄Eの変動パターンを選択するとともに,当該変動パターンに基づいて抽選グループを選択し,当該抽選グループに対応する演出抽選テーブル選択テーブルに基づいて、複数種類の予告演出について、夫々その予告演出を実行するか否かを特定することが示されている。これより,刊行物1には,大当たり/外れの判定結果に基づいて夫々その予告演出を実行するか否かを特定していることが示されている。
よって、刊行物1には,大当たり/外れの判定結果に基づいて,第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄と予告演出1,4を実行するか否かを特定することが示されているものと認められる。

(1-m)上記【0059】の記載,及び,図8?10の図示内容によれば,複数種類の予告演出について,抽選グループ毎に夫々シナリオの抽選を行うか否か(即ちその予告演出を実行するか否か,(図9)),及びシナリオの抽選を行う場合にはその抽選に対応した演出抽選テーブル(図10)について特定されるから,演出抽選テーブルは予告演出毎に設けられていることが示されている。
また,上記【0061】,【0142】の記載,及び,図10の図示内容によれば,予告演出1に対応する演出抽選テーブルyo1_TBL1には,予告演出シナリオ1-1と,予告演出シナリオ1-1に比べて「星」の表示態様が異なる予告演出シナリオ1-2?1-4が設定されている。
これより,刊行物1には,予告演出1は,予告演出シナリオ1-1?1-4から選択される予告演出であることが示されている。
更に,上記【0183】には,演出抽選テーブルyo4_TBL1は予告演出4に対応することが示されている。そして,図10(b)には,演出抽選テーブルyo4_TBL1が示されており,当該演出抽選テーブルyo4_TBL1には,予告演出シナリオ4-1?4-4が設定されている。
これより、刊行物1には,予告演出4は,予告演出シナリオ4-1?4-4から選択される予告演出であることが示されている。

(1-n)上記【0181】には,液晶制御手段75は,予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて,星が登場する演出を表示させることが記載されている。また,上記【0182】には,予告演出1は星画像W1を表示させる演出であることが記載され,上記【0183】には,予告演出4は稲妻画像W4を表示させる演出であることが記載されている。このことから,液晶制御手段75は,予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて星画像W1を表示させ,予告演出4を示す予告演出コマンドに基づいて稲妻画像W4を表示させることは明らかである。
また,上記【0069】には,液晶制御手段75は、液晶表示手段21の表示制御を行うことが記載されているから,液晶制御手段75により表示される予告演出が,液晶表示手段21に表示されるといえる。
これより,刊行物1には,液晶制御手段75が,予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて液晶表示手段21に星画像W1を表示させる手段であること,及び,予告演出4を示す予告演出コマンドに基づいて液晶表示手段21に稲妻画像W4を表示させる手段であることが示されている。

上記(1-a)?(1-h)の記載事項,及び,(1-i)?(1-n)の認定事項を総合すると,刊行物1には次の発明(以下,「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「第1,第2特別図柄を変動表示可能な第1,第2特別図柄表示手段23a,23bと,
複数種類の予告演出を実行する予告演出抽選手段64a及び液晶制御手段75と,
液晶表示手段21と,
を備えた遊技機であって,
前記複数種類の予告演出は予告演出1と予告演出4を有し,
予告演出1,4は第1,第2特別図柄の変動表示中において行われ,
大当たり/外れの判定結果に基づいて,第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄と予告演出1,4を実行するか否かを特定しており,
前記予告演出1は,予告演出シナリオ1-1?1-4から選択される予告演出であり,
前記予告演出4は,予告演出シナリオ4-1?4-4から選択される予告演出であり,
前記液晶制御手段75は,前記予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて前記液晶表示手段21に星画像W1を表示させる手段であり,
前記液晶制御手段75は,前記予告演出4を示す予告演出コマンドに基づいて前記液晶表示手段21に稲妻画像W4を表示させる手段であり,
前記予告演出シナリオ1-1が選択されると,前記星画像W1が表示され,前記予告演出シナリオ4-1が選択されると、前記稲妻画像W4が左図柄の右下角部の方に向かって移動表示され、星画像W1上に稲妻画像W4が重なった状態で停止表示されるものである
遊技機。」

(2)刊行物2に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である,特開2012-24268号公報(以下,「刊行物2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(2-a)「【0097】
そして、本実施形態では、図柄変動ゲームが大当りになる可能性を示唆する予告演出を、1回の図柄変動ゲームにおいて複数回実行するようになっている。また、本実施形態では、実行される予告演出の演出系統によって、大当りへの期待感を異ならせている。なお、本実施形態のパチンコ遊技機10における予告演出の演出系統には、青色の演出系統、赤色の演出系統、縦縞模様の演出系統、及び横縞模様の演出系統がある。
・・・
【0100】
そして、実行態様番号を決定した統括CPU31aは、決定した実行態様番号をRAM31cに記憶させる。また、実行態様番号を決定した統括CPU31aは、図9に示す予告演出実行態様テーブルYJTを参照して、決定した実行態様番号から予告演出の実行態様を決定する。予告演出の実行態様とは、1回の図柄変動ゲームで縦縞模様及び横縞模様の演出系統の予告演出を実行するか否か、及び縦縞模様の演出系統の予告演出を何回実行するかを定めたものであり、1回の図柄変動ゲーム全体における予告演出の出現態様を定めたものである。」

(2-b)「【0107】
例えば、予告演出の実行態様として「縦縞模様×3」を決定した場合、統括CPU31aは、「リーチ演出開始前」、「リーチ演出開始時」、及び「特定時間(リーチ演出の途中)」に縦縞模様の演出系統の予告演出を実行することを5%の確率で決定する。また、予告演出の実行態様として「縦縞模様×3」を決定した場合、統括CPU31aは、「リーチ演出開始前」、「リーチ演出開始時」、及び「リーチ演出終了直前」に縦縞模様の演出系統の予告演出を実行することを15%の確率で決定する。また、予告演出の実行態様として「縦縞模様×3」を決定した場合、統括CPU31aは、「リーチ演出開始前」、「特定時間(リーチ演出の途中)」、及び「リーチ演出終了直前」に縦縞模様の演出系統の予告演出を実行することを30%の確率で決定する。また、予告演出の実行態様として「縦縞模様×3」を決定した場合、統括CPU31aは、「リーチ演出開始時」、「特定時間(リーチ演出の途中)」、及び「リーチ演出終了直前」に縦縞模様の演出系統の予告演出を実行することを50%の確率で決定する。」

(2-c)「【0108】
このように、大当りを示唆する予告演出は、「リーチ演出開始前」、「リーチ演出開始時」、「特定時間(リーチ演出の途中)」、「リーチ演出終了直前」に実行される。また、「特定時間」とは、リーチ演出の途中であり、本実施形態では、リーチ演出が開始してから10秒後の時間である。また、本実施形態における「リーチ演出終了直前」とは、リーチ演出において、中列の図柄(第3停止図柄)が停止表示される直前である。また、本実施形態では、複数の実行時点における予告演出の種類を異ならせている。」

(2-d)「【0125】
次に、「リーチ演出開始時」の実行時点における予告演出について説明する。
「リーチ演出開始時」の実行時点において予告演出を実行する場合、可変表示器H2では、リーチの図柄組み合わせが一旦停止表示されたときに、所定のロゴ(本実施形態では、「リーチ」)を表示させる予告演出を実行する。以下、本実施形態おける「リーチ演出開始時の予告演出」を「ロゴ予告演出」と示す。なお、本実施形態では、はずれ通常演出用の変動パターンには「リーチ演出開始時」の実行時点が設定されていないことから、大当り演出用の変動パターン又ははずれリーチ演出用の変動パターンに基づく図柄変動ゲームでのみ、ロゴ予告演出が実行されるようになっている。
【0126】
本実施形態では、ロゴ予告演出において可変表示器H2で表示されるロゴの表示態様は、複数種類あり、実行させる演出系統によってロゴの表示態様は異なる。具体的には、青色の演出系統のロゴ予告演出を実行する場合、ロゴの色が青色となるロゴ予告演出を実行する。また、赤色の演出系統のロゴ予告演出を実行する場合、ロゴの色が赤色となるロゴ予告演出を実行する。また、縦縞模様の演出系統のロゴ予告演出を実行する場合、ロゴの模様が縦縞模様となるロゴ予告演出を実行する。また、横縞模様の演出系統のロゴ予告演出を実行する場合、ロゴの模様が横縞模様となるロゴ予告演出を実行する。なお、各演出系統に基づく大当りへの期待度は、セリフ予告演出と同じである(青色<赤色<縦縞模様<横縞模様)。」

(2-e)「【0130】
次に、「特定時間(リーチ演出の途中)」の実行時点における予告演出について説明する。
「リーチ演出が開始してから所定時間(10秒)経過後の特定時間(リーチ演出の途中)」の実行時点において予告演出を実行する場合、可変表示器H2では、服を着たキャラクタを表示させる予告演出を実行する。以下、本実施形態おける「特定時間の予告演出」を「キャラクタ予告演出」と示す。なお、本実施形態では、はずれ通常演出用の変動パターンには「特定時間(リーチ演出の途中)」の実行時点が設定されていないことから、大当り演出用の変動パターン又ははずれリーチ演出用の変動パターンに基づく図柄変動ゲームでのみ、キャラクタ予告演出が実行されるようになっている。
【0131】
本実施形態では、キャラクタ予告演出において可変表示器H2で表示されるキャラクタの表示態様は、複数種類あり、実行させる演出系統によってキャラクタの表示態様は異なる。具体的には、青色の演出系統のキャラクタ予告演出を実行する場合、キャラクタが着る服の色が青色となるキャラクタ予告演出を実行する。また、赤色の演出系統のキャラクタ予告演出を実行する場合、キャラクタが着る服の色が赤色となるキャラクタ予告演出を実行する。また、縦縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出を実行する場合、キャラクタが着る服の模様が縦縞模様となるキャラクタ予告演出を実行する。また、横縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出を実行する場合、キャラクタが着る服の模様が横縞模様となるキャラクタ予告演出を実行する。なお、各演出系統に基づく大当りへの期待度は、セリフ予告演出やロゴ予告演出と同じである(青色<赤色<縦縞模様<横縞模様)。」

(2-f)上記【0126】には,ロゴ予告演出において,演出系統に基づく大当りへの期待度は「縦縞模様<横縞模様」であることが記載されている。
これより,刊行物2には,大当りへの期待度は縦縞模様の演出系統のロゴ予告演出より横縞模様の演出系統のロゴ予告演出の方が大きいことが示されているものと認められる。

(2-g)上記【0131】には,キャラクタ予告演出において,演出系統に基づく大当りへの期待度は「縦縞模様<横縞模様」であることが記載されている。
これより,刊行物2には,大当りへの期待度は縦縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出より横縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出の方が大きいことが示されているものと認められる。

(2-h)上記【0100】には,1回の図柄変動ゲームで縦縞模様及び横縞模様の演出系統の予告演出を実行するか否か、及び縦縞模様の演出系統の予告演出を何回実行するかを定めた予告演出の実行態様を決定すること,さらに,上記【0107】には,予告演出の実行態様として,「リーチ演出開始時」、「特定時間(リーチ演出の途中)」、及び「リーチ演出終了直前」に縦縞模様の演出系統の予告演出を決定することが記載されている。
そして,上記【0125】には,「リーチ演出開始時の予告演出」は「ロゴ予告演出」であり,上記【0130】には,「特定時間の予告演出」は「キャラクタ予告演出」であることが記載されている。
このことから,刊行物2には,1回の図柄変動ゲームで縦縞模様の演出系統のロゴ演出と縦縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出とを行うことが示されているものと認められる。

上記(2-a)?(2-e)の記載事項,及び,(2-f)?(2-h)の認定事項を総合すると,刊行物2には次の技術事項(以下,「刊行物2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「大当りを示唆する予告演出として,ロゴ予告演出,キャラクタ予告演出が実行され,
ロゴ予告演出には,縦縞模様及び横縞模様の演出系統のロゴ予告演出があり,
キャラクタ予告演出には,縦縞模様及び横縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出があり,
縦縞模様の演出系統のロゴ予告演出を実行する場合、ロゴの模様が縦縞模様となるロゴ予告演出を実行し,
横縞模様の演出系統のロゴ予告演出を実行する場合、ロゴの模様が横縞模様となるロゴ予告演出を実行し,
大当りへの期待度は縦縞模様の演出系統のロゴ予告演出より横縞模様の演出系統のロゴ予告演出の方が大きく,
縦縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出を実行する場合、キャラクタが着る服の模様が縦縞模様となるキャラクタ予告演出を実行し,
横縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出を実行する場合、キャラクタが着る服の模様が横縞模様となるキャラクタ予告演出を実行し,
大当りへの期待度は縦縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出より横縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出の方が大きく,
1回の図柄変動ゲームで縦縞模様の演出系統のロゴ演出と縦縞模様の演出系統のキャラクタ予告演出とを行う,
パチンコ遊技機。」

(3)刊行物3に記載された発明
本願の出願の日前に頒布された刊行物である,特許第5426747号公報(以下,「刊行物3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(3-a)「【0001】
本発明は、回胴遊技機(スロットマシン)や弾球遊技機(パチンコ機)などに代表される遊技台に関する。」

(3-b)「【0270】
<操作手段画像表示の実施例9>
次に、図30を用いて、上述の操作手段画像表示処理によって行われる操作手段画像表示の実施例9について説明する。なお、同図は、実施例9の操作手段画像表示を時系列に示した図である。本実施例では、操作手段画像表示に加えて、保留アイコンおよび変動アイコンの表示を行うように構成している。
・・・
【0276】
同図(b)は保留された特図変動遊技を開始し、特図変動遊技の保留が4から3に減少したタイミングを示している。このタイミングでは、保留アイコンの表示領域に表示されている最先(1番目)の保留アイコンPI1を変動アイコンCIに変化させる変化アニメーションを行った後に、装飾図柄表示装置208の中央表示領域に変動アイコンCIを停止表示している。なお、変動アイコンCIは、最先の保留アイコンPI1に対応する当該特図変動表示の当否結果を示唆するための変動アイコンであり、この例では、「チャンス」という文字情報と星型の図形によって構成している。
・・・
【0281】
同図(f)は、同図(c)に示す状態、すなわち、チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間(6秒)が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われたタイミングを示している。このタイミングでは、チャンスボタン136の操作が行われたことから、第1の操作手段画像BG1と第1の経過時間報知画像TG1を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(この例では、「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示している。すなわち、この例では、当該特図変動の当否結果を示唆する情報の一部が変動アイコンCIによって覆われることにより、当該情報の一部が視認不能または視認困難な状態とされている。
・・・
【0284】
実施例9の操作手段画像表示によれば、遊技者に操作手段の操作をより促すことができる場合がある。また、遊技者に隠されている表示態様を注目させ、遊技へ集中させることができる場合がある。」

(3-c)上記【0276】,【0281】の記載,及び,図30(a)?(f)の図示内容によれば,「変動アイコンCI」と「「リーチじゃ!」という文字情報」は,特図変動遊技を開始(図30(b))した後,当該図柄変動遊技中に表示されている(図30(f))ことは明らかである。
これより,刊行物3には,同じ特図変動遊技において,特図変動表示の当否結果を示唆する変動アイコンCIと「リーチじゃ!」という文字情報を同時に表示することが示されていると認められる。

上記(3-a)?(3-b)の記載事項,及び,(3-c)の認定事項を総合すると,刊行物3には次の技術事項(以下,「刊行物3に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「同じ特図変動遊技において,特図変動表示の当否結果を示唆する変動アイコンCIと「リーチじゃ!」という文字情報を同時に表示し,
装飾図柄表示装置208の中央表示領域に特図変動表示の当否結果を示唆する変動アイコンCIを停止表示し,
当該特図変動の当否結果を示唆する、「リーチじゃ!」という文字情報を変動アイコンCIの後方に表示し,当該情報の一部が視認不能または視認困難な状態とされている,
遊技台。」

(4)対比
本願補正発明と,刊行物1発明とを対比する。

(a)刊行物1発明の「第1,第2特別図柄表示手段23a,23b」,「予告演出抽選手段64a及び液晶制御手段75」,「液晶表示手段21」,「遊技機」は,本願補正発明における「図柄表示手段」,「予告手段」,「表示手段」,「遊技台」にそれぞれ相当する。
よって,刊行物1発明の「第1,第2特別図柄を変動表示可能な第1,第2特別図柄表示手段23a,23bと,複数種類の予告演出を表示させる予告演出抽選手段64a及び液晶制御手段75と,液晶表示手段21と,を備えた遊技機」は,本願補正発明の「図柄変動表示を実行可能な図柄表示手段と、複数種類の予告を実行可能な予告手段と、表示手段と、を備えた遊技台」に相当する。

(b)刊行物1発明の「予告演出1」,「予告演出4」は,本願補正発明における「第一の種類の予告」,「第二の種類の予告」にそれぞれ相当する。
よって,刊行物1発明の「前記複数種類の予告演出は予告演出1と予告演出4を有し」との構成は,本願補正発明の「前記複数種類の予告のうちの少なくとも一つは、第一の種類の予告であり、前記複数種類の予告のうちの前記第一の種類の予告とは別の少なくとも一つは、第二の種類の予告であり」との構成に相当する。

(c)刊行物1発明において,第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄と予告演出1,4を実行するか否かは,ともに大当たり/外れの判定結果に基づいて決定されているから,予告演出1,4は,第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄に関連する予告であるといえる。
よって,刊行物1発明の「予告演出1,4は第1,第2特別図柄の変動表示中において行われ,大当たり/外れの判定結果に基づいて,第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄と予告演出1,4を実行するか否かを特定して」いる構成は,本願補正発明の「前記第一の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、前記第二の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告」であるとの構成に相当する。

(d)刊行物1発明における「予告演出1」は,「予告演出シナリオ1-1?1-4」という複数の予告から選択される予告演出であり,本願補正発明における「第一の種類の予告」も,「第一の予告」及び「第三の予告」という複数の予告を含むものである。
したがって,本願補正発明における「第一の種類の予告」と,刊行物1発明における「予告演出1」とは,複数の予告を含む点で共通する。
また,刊行物1発明における「予告演出4」は,「予告演出シナリオ4-1?4-4」という複数の予告から選択される予告演出であり,本願補正発明における「第二の種類の予告」も,「第二の予告」及び「第四の予告」という複数の予告を含むものである。
したがって,本願補正発明における「第二の種類の予告」と,刊行物1発明における「予告演出4」とは,複数の予告を含む点で共通する。
よって,刊行物1発明の「前記予告演出1は,予告演出シナリオ1-1?1-4から選択される予告演出であり,前記予告演出4は,予告演出シナリオ4-1?4-4から選択される予告演出」であるとの構成と,本願補正発明の「前記第一の種類の予告は、第一の予告と第三の予告を含む予告であり、前記第二の種類の予告は、第二の予告と第四の予告を含む予告で」あるとの構成とは,第一の種類の予告は、複数の予告を含む予告であり、前記第二の種類の予告は、複数の予告を含む予告であるという点で共通する。

(e)刊行物1発明における「予告演出1」は液晶表示手段21に「星画像W1」を表示させることにより予告を行っており,本願補正発明における「第一の予告」及び「第三の予告」とを含む「第一の種類の予告」は,同じ形である「第一の表示」と「第三の表示」を表示させることにより予告を行っている。
したがって,本願補正発明における「第一の予告」と「第三の予告」とを含む「第一の種類の予告」と,刊行物1発明における「予告演出1」とは,同じ形を表示させることにより実行される予告であるという点で共通する。
よって,刊行物1発明の「前記液晶制御手段75は,前記予告演出1を示す予告演出コマンドに基づいて前記液晶表示手段21に星画像W1を表示させる手段であり」との構成と,本願補正発明の「前記予告手段は、前記表示手段に第一の表示を表示させることにより前記第一の予告を実行する手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第三の表示を表示させることにより前記第三の予告を実行する手段」であり,「前記第三の表示は、前記第一の表示と同じ形の表示」であるという構成とは,予告手段は、表示手段に同じ形を表示させることにより第一の種類の予告を実行する手段であるという点で共通する。

(f)刊行物1発明における「予告演出4」は液晶表示手段21に「稲妻画像W4」を表示させることにより予告を行っており,本願補正発明における「第二の予告」及び「第四の予告」とを含む「第二の種類の予告」は,同じ形である「第二の表示」と「第四の表示」を表示させることにより予告を行っている。
したがって,本願補正発明における「第二の予告」と「第四の予告」とを含む「第二の種類の予告」と,刊行物1発明における「予告演出4」とは,同じ形を表示させることにより実行される予告であるという点で共通する。
よって,刊行物1発明の「前記液晶制御手段75は,前記予告演出4を示す予告演出コマンドに基づいて前記液晶表示手段21に稲妻画像W4を表示させる手段であり」との構成と,本願補正発明の「前記予告手段は、前記表示手段に第二の表示を表示させることにより前記第二の予告を実行する手段であり、前記予告手段は、前記表示手段に第四の表示を表示させることにより前記第四の予告を実行する手段」であり,「前記第四の表示は、前記第二の表示と同じ形の表示」であるとの構成は,予告手段は、表示手段に同じ形を表示させることにより第二の種類の予告を実行する手段であるという点で共通する。

(g)刊行物1発明は,予告演出シナリオ1-1と予告演出シナリオ4-1が選択されると,星画像W1が表示された後,前記稲妻画像W4が左図柄の右下角部の方に向かって移動表示され、星画像W1上に稲妻画像W4が重なった状態で停止表示されるから,星画像W1と稲妻画像W4は同時に表示される期間があるといえる。また,予告演出シナリオ1-1は予告演出1の1つであり,予告演出シナリオ4-1は予告演出4の1つであるから,予告演出1と予告演出4は,少なくとも一部の期間が重なって行われているといえる。
よって,刊行物1発明における「前記予告演出シナリオ1-1が選択されると,前記星画像W1が表示され,前記予告演出シナリオ4-1が選択されると、前記稲妻画像W4が左図柄の右下角部の方に向かって移動表示され、星画像W1上に稲妻画像W4が重なった状態で停止表示されるものである」との構成と,本願補正発明における「前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合(以下、「第一の場合」という。)があり、前記第四の予告は、前記第一の場合において前記第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される予告である」との構成は,第一の種類の予告と第二の種類の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合があるとの点で共通する。

したがって,本願補正発明と刊行物1発明とは
「図柄変動表示を実行可能な図柄表示手段と、
複数種類の予告を実行可能な予告手段と、
表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記複数種類の予告のうちの一つは、第一の種類の予告であり、
前記複数種類の予告のうちの一つは、第二の種類の予告であり、
前記第一の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第二の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第一の種類の予告は、複数の予告を含む予告であり、
前記第二の種類の予告は、複数の予告を含む予告であり、
前記予告手段は、前記表示手段に同じ形を表示させることにより前記第一の種類の予告を実行する手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に同じ形を表示させることにより前記第二の種類の予告を実行する手段であり、
前記第一の種類の予告と前記第二の種類の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合がある、
遊技台。」
という点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」について,本願補正発明の「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「第一の予告」が「第三の予告」より有利な結果に結びつきやすいものであり,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,「第二の予告」が「第四の予告」より有利な結果に結びつきやすいものであるのに対し,刊行物1発明が,予告演出シナリオ1-1?1-4,4-1?4-4と有利な結果との関係が不明である点。

[相違点2]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」が相違点1の点で異なることに加えて,本願補正発明が「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,「(第三の予告を実行する際に表示される)前記第三の表示における少なくとも一部(以下、「第一の領域」という。)の模様(以下、「第一の模様」という。)は、(第一の予告を実行する際に表示される)前記第一の表示における前記第一の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり」,「(第四の予告を実行する際に表示される)前記第四の表示における少なくとも一部(以下、「第二の領域」という。)の模様(以下、「第二の模様」という。)は、(第二の予告を実行する際に表示される)前記第二の表示における前記第二の領域に対応する領域の模様と異なる模様で」あるのに対し,刊行物1発明がその様な構成を有するか否か不明である点。

[相違点3]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」が相違点1,2の点で異なることに加えて,本願補正発明が「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,「(第四の予告を実行する際に表示される)前記第四の表示における前記第二の模様は、(第三の予告を実行する際に表示される)前記第三の表示における前記第一の模様と同じ模様」であるのに対し,刊行物1発明がその様な構成を有するか否か不明である点。

[相違点4]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」が相違点1-3の点で異なることに加えて,本願補正発明が「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合があるのに対し,刊行物1発明は,その様な構成を有するか否か不明である点。

[相違点5]
本願補正発明が「前記第四の予告は、前記第一の場合において前記第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される予告である」のに対し,刊行物1発明は,予告演出4の稲妻画像W4は,同時に表示される期間の一部において,予告演出1の星画像W1に重なった状態で表示されるものであるが,期間の全体において重なった状態で表示されるものではない点。

(5)当審の判断
(ア)相違点1?4について
上記相違点1?4は,技術的に関連するので,まとめて検討する。
上記(2)に示したとおり,刊行物2には,ロゴの模様が縦縞模様となるものと横縞模様となるものが存在し,それぞれの模様により大当りへの期待度が異なる「ロゴ予告演出」と,キャラクタが着る服の模様が縦縞模様となるものと横縞模様となるものが存在し,それぞれの模様により大当りへの期待度が異なる「キャラクタ予告演出」が記載されている。また,「ロゴ予告演出」と「キャラクタ予告演出」は,1回の図柄変動ゲームでその両方が実行され,その際の両者の模様を同じ縦縞模様とするものである。
そして,刊行物1発明における予告演出1は,「予告演出シナリオ1-1?1-4」を含むものであり,予告演出4は,「予告演出シナリオ4-1?4-4」を含むものであり,上記(1)(1-g)によれば,予告演出シナリオ1-2?1-4は、予告演出シナリオ1-1に比べて、「星」の表示態様として,例えば、登場する星の色が異なることが示唆されている。
これより,刊行物1発明と刊行物2に記載された技術事項とは,一の種類の予告に複数の異なる表示態様のものが存在するという予告を行うという点で共通する。
さらに,刊行物1発明における予告演出1の星画像W1と予告演出4の稲妻画像W4は,1回の変動表示において表示されるものである。
これより,刊行物1発明と刊行物2に記載された技術事項とは,1回の変動表示において複数の予告を行うという点でも共通する。
したがって,刊行物1発明における「予告演出1」として,刊行物2に記載された技術事項である,横縞模様(「第一の模様」に対応する。)となるもの(「第一の予告」及び「第一の表示」に対応する。)と縦縞模様(「第三の模様」に対応する。)となるもの(「第三の予告」及び「第三の表示」に対応する。)が存在する,「ロゴ予告演出」(「第一の種類の予告」に対応する。)を採用し,刊行物1発明における「予告演出4」として,刊行物2に記載された事項である,横縞模様(「第二の模様」に対応する。)となるもの(「第二の予告」及び「第二の表示」に対応する。)と縦縞模様(「第四の模様」に対応する。)となるもの(「第四の予告」及び「第四の表示」に対応する。)が存在する,「キャラクタ予告演出」(「第二の種類の予告」に対応する。)を採用し,上記相違点1?3に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
また,上記(4)(g)に示したように,刊行物1発明において,予告演出1と予告演出4は,少なくとも一部の期間が重なって行われているといえるから,刊行物1発明に刊行物2に記載された技術事項を採用するに当たって,それに倣い,縦縞模様のロゴ予告演出(「第三の予告」に対応する。)と縦縞模様のキャラクタ予告演出(「第四の予告」に対応する。)とを,少なくとも一部の期間が重なって行うように構成し,上記相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
しかも,上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は,刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項から予測しうる程度のものであって,格別のものではない。

(イ)相違点5について
請求人は,請求の理由において,本願補正発明は、刊行物1,2には記載や示唆の無い「前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合(以下、「第一の場合」という。)があり、前記第四の予告は、前記第一の場合において前記第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される予告である」という構成を備えるため、「第四の予告は、第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される場合があるため、第四の予告によって隠される第三の予告に遊技者の注目を集めることで、遊技者の遊技意欲を高めることができる場合がある」といった刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項からは得ることができない顕著な効果を有する旨主張する。
ここで,上記(3)に示したとおり,刊行物3には,同じ特図変動遊技において,特図変動表示の当否結果を示唆する変動アイコンCIと「リーチじゃ!」という文字情報を同時に表示するとともに,「リーチじゃ!」という文字情報を,既に表示されている変動アイコンCIの後方に表示することで,当該情報の一部が視認不能または視認困難な状態とし,これにより上記(3-b)の【0284】に記載されたように,「遊技者に隠されている表示態様を注目させ、遊技へ集中させることができる」という効果を奏する点が記載されている。
そして,刊行物1発明における星画像W1と稲妻画像W4は,1回の変動表示において同時に表示されるものであるから,刊行物1発明と刊行物3に記載された技術事項とは,1回の変動表示において複数の予告を同時に表示するという点で共通する。
よって,刊行物1発明の予告演出1(予告演出シナリオ1-1)で表示される星画像W1と予告演出4(予告演出シナリオ4-1)で表示される稲妻画像W4の表示について,刊行物3に記載された技術事項を適用し,既に表示されている星画像W1の後方に稲妻画像W4を表示させるように構成することで,上記相違点5に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
また,請求人が主張する効果は,刊行物1発明及び刊行物3に記載された技術事項から予測しうる程度のものであって,格別のものではないから,上記出願人の主張は採用できない。

(ウ)刊行物2,3に記載された技術事項の刊行物1発明への適用の可否
上記(ア)に示したとおり,刊行物1発明に適用しようとする刊行物2に記載された技術事項は,予告において表示される画像の模様と,予告における大当りへの期待度についての事項である。また,上記(イ)に示したとおり,刊行物1発明に適用しようとする刊行物3に記載された技術事項は,予告において表示される画像の位置関係についての事項である。
そして,これらの技術事項は相互に独立した事項であって,他の事項に影響を与えるものではないから,刊行物1発明にこれらの技術事項を併せて適用することに困難性はない。
よって,刊行物1発明に刊行物2,3に記載された技術事項を適用することは,当業者にとって容易であるといえる。

(6)小括
したがって,本願補正発明は,刊行物1発明に,刊行物2及び刊行物3に記載された技術事項を適用して,上記相違点1ないし5に係る本願補正発明の構成とすることにより,当業者が容易に想到することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 まとめ
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?7に係る発明は,平成27年3月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載されたとおりのものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次に特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
図柄変動表示を実行可能な図柄表示手段と、
複数種類の予告を実行可能な予告手段と、
表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記複数種類の予告のうちの少なくとも一つは、第一の種類の予告であり、
前記複数種類の予告のうちの前記第一の種類の予告とは別の少なくとも一つは、第二の種類の予告であり、
前記第一の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第二の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第一の種類の予告は、第一の予告と第三の予告を含む予告であり、
前記第二の種類の予告は、第二の予告と第四の予告を含む予告であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第一の表示を表示させることにより前記第一の予告を実行可能な手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第三の表示を表示させることにより前記第三の予告を実行可能な手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第二の表示を表示させることにより前記第二の予告を実行可能な手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に第四の表示を表示させることにより前記第四の予告を実行可能な手段であり、
前記第三の表示は、前記第一の表示と同じ形の表示であり、
前記第三の表示における少なくとも一部(以下、「第一の領域」という。)の模様(以下、「第一の模様」という。)は、前記第一の表示における前記第一の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり、
前記第四の表示は、前記第二の表示と同じ形の表示であり、
前記第四の表示における少なくとも一部(以下、「第二の領域」という。)の模様(以下、「第二の模様」という。)は、前記第二の表示における前記第二の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり、
前記第二の模様は、前記第一の模様と同じ模様であり、
前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、
前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告である、
ことを特徴とする遊技台。」

2 刊行物1及び2の記載について
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項は,上記第2の3(1)及び(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,上記第2で検討した本願補正発明から,実質的に記載内容に変更のない点を除き,「前記第一の予告が行われる場合よりも前記第三の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすい」との点,及び,「前記第二の予告が行われる場合よりも前記第四の予告が行われる場合の方が遊技者にとって有利な結果に結びつきやすい」の点を削除し,「前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる場合(以下、「第一の場合」という。)があり、前記第四の予告は、前記第一の場合において前記第三の予告の少なくとも一部に重なって表示される予告である」点を,「前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告である」としたものである。

本願発明と,刊行物1発明とを対比すると,上記第2の3(4)(a)?(f)に記載したとおり,刊行物1発明の「第1,第2特別図柄表示手段23a,23b」,「予告演出抽選手段64a及び液晶制御手段75」,「液晶表示手段21」,「遊技機」が,本願発明の「図柄表示手段」,「予告手段」,「表示手段」,「遊技台」にそれぞれ相当し,本願発明における「第一の種類の予告」,「第二の種類の予告」と,刊行物1発明における「予告演出1」,「予告演出4」とは,複数の予告を含む点で共通し,本願発明における,「第一の種類の予告」,「第二の種類の予告」と,刊行物1発明における「予告演出1」,「予告演出4」とは,同じ形を表示させることにより実行される予告であるという点で共通する。
また,刊行物1発明は,「予告演出シナリオ1-1の星画像W1と予告演出シナリオ4-1の稲妻画像W4は,同時に表示される期間があり,予告演出シナリオ4-1の稲妻画像W4は,当該期間の一部において,予告演出シナリオ1-1の星画像W1に重なった状態で表示される」から,予告演出シナリオ1-1の星画像W1(予告演出1)と予告演出シナリオ4-1の稲妻画像W4(予告演出4)は,一回の変動表示において両方実行され,予告演出シナリオ1-1の星画像W1(予告演出1)は予告演出シナリオ4-1の稲妻画像W4(予告演出4)によって一部隠されているといえる。
よって,刊行物1発明の「予告演出シナリオ1-1の星画像W1と予告演出シナリオ4-1の稲妻画像W4は,同時に表示される期間があり,予告演出シナリオ4-1の稲妻画像W4は,当該期間の一部において,予告演出シナリオ1-1の星画像W1に重なった状態で表示されるものである」との構成と,本願発明の「前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告である」との構成は,予告手段は、一回の図柄変動表示の実行中において、第一の種類の予告と第二の種類の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告であるという点で共通する。

したがって,本願発明と刊行物1発明とは,
「図柄変動表示を実行可能な図柄表示手段と、
複数種類の予告を実行可能な予告手段と、
表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記複数種類の予告のうちの少なくとも一つは、第一の種類の予告であり、
前記複数種類の予告のうちの前記第一の種類の予告とは別の少なくとも一つは、第二の種類の予告であり、
前記第一の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第二の種類の予告は、前記図柄変動表示の実行中において、該図柄変動表示に関連する予告であり、
前記第一の種類の予告は、複数の予告を含む予告であり、
前記第二の種類の予告は、複数の予告を含む予告であり、
前記予告手段は、前記表示手段に同じ形を表示させることにより前記第一の種類の予告を実行する手段であり、
前記予告手段は、前記表示手段に同じ形を表示させることにより前記第二の種類の予告を実行する手段であり、
前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第一の種類の予告と前記第二の種類の予告の両方の予告を実行可能な手段であり、
前記第一の種類の予告は、前記第二の種類の予告によって少なくとも一部が隠される場合がある予告である、
遊技台。」
という点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」について,本願発明が「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「(第三の予告を実行する際に表示される)前記第三の表示における少なくとも一部(以下、「第一の領域」という。)の模様(以下、「第一の模様」という。)は、(第一の予告を実行する際に表示される)前記第一の表示における前記第一の領域に対応する領域の模様と異なる模様であり」,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,「(第四の予告を実行する際に表示される)前記第四の表示における少なくとも一部(以下、「第二の領域」という。)の模様(以下、「第二の模様」という。)は、(第二の予告を実行する際に表示される)前記第二の表示における前記第二の領域に対応する領域の模様と異なる模様で」あるのに対し,刊行物1発明がその様な構成を有するか否か不明である点。

[相違点2]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」が相違点1の点で異なることに加えて,本願発明が「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,「(第四の予告を実行する際に表示される前記第四の表示における)前記第二の模様は、(第三の予告を実行する際に表示される前記第三の表示における)前記第一の模様と同じ模様」であるのに対し,刊行物1発明がその様な構成を有するか否か不明である点。

[相違点3]
「第一の種類の予告」と「第二の種類の予告」が相違点1,2の点で異なることに加えて,本願発明が「第一の種類の予告」が「第一の予告」と「第三の予告」とを含み,「第二の種類の予告」が「第二の予告」と「第四の予告」とを含み,「前記予告手段は、一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能な手段」を有するのに対し,刊行物1発明は,その様な構成を有するか否か不明である点。

ここで,上記相違点1は,上記第2の3(4)に示した相違点2と実質的に同じであり,上記相違点2は,上記第2の3(4)に示した相違点3と実質的に同じである。
また,上記相違点3は,上記第2の3(4)に示した相違点4における「前記第三の予告と前記第四の予告は、少なくとも一部の期間が重なって行われる」との事項を,「一回の前記図柄変動表示の実行中において、前記第三の予告と前記第四の予告の両方の予告を実行可能」という上位概念の事項にしたものである。
そして,これらの相違点1-3については,上記第2の3(5)(ア)において検討したとおりである。

したがって,本願発明は刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-18 
結審通知日 2016-08-23 
審決日 2016-09-05 
出願番号 特願2014-68650(P2014-68650)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 瀬津 太朗
山崎 仁之
発明の名称 遊技台  
代理人 佐原 雅史  
代理人 横田 一樹  

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