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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G05D 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G05D |
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管理番号 | 1322334 |
異議申立番号 | 異議2016-700999 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-10-18 |
確定日 | 2016-12-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第5905359号発明「圧力制御装置および該圧力制御装置を備えた研磨装置」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5905359号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5905359号(以下,「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は,平成24年7月23日に特許出願され,平成28年3月25日にその特許権の設定登録がなされ(特許公報の発行日は平成28年4月20日),その後,その特許に対し,平成28年10月18日に特許異議申立人 溝井章司(以下,単に「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし6の特許に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものである。 3 特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人は,証拠として特開2003-186549号公報(以下「刊行物1」という。)を提出し,請求項1及び2に係る特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから,請求項1及び2に係る特許を取り消すべきものである旨主張し,さらに,主たる証拠として刊行物1並びに従たる証拠として特開2007-110004号公報(以下「刊行物2」という。)及び特開2009-190101号公報(以下「刊行物3」という。)を提出し,請求項1ないし6に係る特許は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項1ないし6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 4 刊行物の記載 (1)刊行物1には,「流体供給源(流体圧源)から供給される流体の圧力を調整する圧力調整弁(流体圧レギュレータ20におけるメインバルブ24,ダイヤフラム30,給気用電磁弁34及び排気用電磁弁36)と, 前記圧力調整弁によって調整された圧力を測定する第1の圧力センサ(圧力センサ32)と, 前記第1の圧力センサの下流側の制御対象(22)に配置された第2の圧力センサ(検出機構42)と, 圧力指令値(制御信号D)と,前記第2の圧力センサによって測定された制御対象の圧力値(検出信号E)とに基づき,補正圧力指令値(PID変換信号F)を生成するPID制御部(第2のPID制御部44)と, 前記補正圧力指令値と,前記第1の圧力センサによって測定された前記流体の圧力値(検出信号A)とに基づき,前記圧力調整弁の動作を制御するレギュレータ制御部(駆動制御部38及びPID制御部46)とを備えた圧力制御装置。」の発明が記載されている。 (2)刊行物2には,「圧力制御装置において,作動気体供給装置(エア供給源23)から供給される作動気体の圧力を検出する圧力検出手段として圧力検出レンジの異なる複数の圧力検出器(圧力センサ51,63_1,・・・,63_n)を設け,当該複数の圧力検出器の1つを選択的に用いる」という技術的事項が記載されており,刊行物3には,圧力制御装置を設けた研磨装置という技術的事項が記載されている。 5 判断 (1)請求項1に係る発明について 請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると,刊行物1には「圧力調整弁によって調整された流体の圧力値」を「第1の圧力センサ」及び「第2の圧力センサ」によって測定する点が記載されていない。また,この点は,刊行物2又は3のいずれにも記載も示唆もされていない。したがって,請求項1に係る発明は,上記刊行物1ないし3に記載された発明ではなく,上記刊行物1に記載された発明及び刊行物2,3に記載された技術的事項から当業者が容易になし得たものではない。 特許異議申立人は,請求項1に係る発明における「圧力指令値と、前記第2の圧力センサによって測定された前記流体の圧力値との差をなくすための補正圧力指令値を生成するPID制御部」について,刊行物1には「段落(0045)に、『ところで、本実施の形態では、さらに、制御対象22に検出機構を設け、該検出機構42が制御対象22の制御量を検出または計測して、検出した検出値または計測した計測値を電気信号に変換した検出信号Eを第2のPID制御部44にフィードバックする。この検出信号Eに基づく第2のPID制御部44からのPID変換信号Fにより制御対象22内の圧力流体がより正確に所望の値に調整される、あるいはより正確に所望の制御パターンに維持される。』と記載されている。」(特許異議申立書第7ページ第19行-第8ページ第3行)と主張している。 しかしながら,刊行物1で「検出機構42」が測定しているのは「制御対象22の制御量」である(段落【0045】)。そして、刊行物1で応用例として具体的に記載されているのは,「制御対象の制御量」として「流体タンク80内の液量」(段落【0050】及び図3)及び「真空チャンバ88内のプロセスガスの真空圧力」(段落【0054】及び図4)とするものであって,いずれの「検出機構」も請求項1に係る発明のように「第1の圧力センサ」で測定した「流体の圧力値」を測定するものではない。 そうすると,「第2の圧力センサ」である「検出機構」で測定された圧力値は,「圧力調整弁」において目標とする圧力値ではないことから,当該測定された圧力値を請求項1に係る発明のように「圧力調整弁」において「圧力指令値」との差をなくすために用いる動機も存在せず,かかる主張は理由がない。 (2)請求項2ないし6に係る発明について 請求項2ないし6に係る発明は,請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから,上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により,上記刊行物1ないし3に記載された発明ではなく,上記刊行物1に記載された発明及び刊行物2,3に記載された技術的事項から当業者が容易になし得たものではない。 以上のとおり,請求項1ないし6に係る発明は,刊行物1ないし3に記載された発明ではなく,刊行物1に記載された発明及び刊行物2,3に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6 むすび したがって,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-12-07 |
出願番号 | 特願2012-162248(P2012-162248) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
Y
(G05D)
P 1 651・ 121- Y (G05D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 後藤 健志 |
特許庁審判長 |
栗田 雅弘 |
特許庁審判官 |
長清 吉範 平岩 正一 |
登録日 | 2016-03-25 |
登録番号 | 特許第5905359号(P5905359) |
権利者 | 株式会社荏原製作所 |
発明の名称 | 圧力制御装置および該圧力制御装置を備えた研磨装置 |
代理人 | 廣澤 哲也 |
代理人 | 渡邉 勇 |