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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G03F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G03F
管理番号 1324181
審判番号 不服2014-21487  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-23 
確定日 2017-02-20 
事件の表示 特願2008-518844「複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月11日国際公開、WO2007/003563、平成20年12月11日国内公表、特表2008-545153、請求項の数(25)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年6月28日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2005年7月1日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成21年5月22日に手続補正がされ、平成23年10月7日付けで拒絶理由が通知され、平成24年4月17日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年12月21日付けで拒絶理由が通知され、平成25年7月8日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたが、同年11月19日付けで拒絶理由が通知され、平成26年5月26日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたが、同年6月17日付けで拒絶査定(謄本送達日 同年同月23日。以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年10月23日に拒絶査定不服審判が請求され、同日に手続補正がされたものである。
その後、当審において平成27年12月10日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知され、平成28年6月14日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年7月14日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)が通知され、平成29年1月19日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし25に係る発明は、平成29年1月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし25に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる(本願の請求項1に係る発明を以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】
少なくとも6つの投影対物系(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を1つの像視野(60、60’、60”)の中に結像させる投影対物系を有し、
前記像視野(60、60’、60”)が基板領域(40)に配置され、前記基板領域が所定の走査方向(S)で複数の投影対物系(20)と相対的に移動可能であり、
前記像視野(60、60’、60”)の少なくとも1つが、直線的に延びる複数の側辺によって、前記側辺の最も長い側辺の法線(y1-y7)が走査方向(S)と平行に延びないように制限されており、
様々な像視野の少なくとも2つの前記のような法線の間の角度が量に関して2°以上であり、
前記投影対物系(20)のうち、少なくとも3つの投影対物系が2つの曲線それぞれに沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され、
投影対物系(20)が1つの結像倍率β=1を有し、
前記物体視野(50)が、対応する前記像視野(60、60’、60”)の真上に配置されている
ことを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記法線と走査方向(S)との間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
【請求項3】
様々な像視野の少なくとも2つの前記のような法線の間の角度が量に関して3°以上、かつ好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項1または2記載の投影露光装置。
【請求項4】
少なくとも幾つかの投影対物系の中に各投影対物系の全部分系の光軸が前記投影対物系の統一的な光軸を形成することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項5】
隣接する投影対物系(230、240、250、260)は、その光学素子の配列が、互いに逆になっていることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項6】
投影対物系(20)の少なくとも1つが折畳ミラーを備えていないことを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項7】
投影対物系(20)の少なくとも1つが少なくとも1つの中間像を生成することを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項8】
投影対物系(20)の少なくとも1つが奇数の中間像を生成することを特徴とする請求項7記載の投影露光装置。
【請求項9】
投影対物系の少なくとも1つが少なくとも1つの凹面鏡を備えた少なくとも1つのカタジオプトリック部分系を有することを特徴とする請求項1?8のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項10】
投影対物系(140,150、160)の少なくとも1つが、少なくとも1つのリッジ型プリズム(141、151、164)またはリッジ型ミラー配列(171?174)を有することを特徴とする請求項1?9のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項11】
投影対物系の少なくとも1つが少なくとも1つのオフナー型部分系を有することを特徴とする請求項1?10のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項12】
投影対物系の少なくとも1つが少なくとも1つのダイソン型部分系を有することを特徴とする請求項1?11のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項13】
投影対物系の少なくとも1つが少なくとも1つのオフナー型部分系と、少なくとも1つのダイソン型部分系とを有することを特徴とする請求項1?12のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項14】
第1の投影対物系(230)が第1のオフナー型部分系(230a)と、第2のダイソン型部分系(230b)とを有し、かつ第1の投影対物系に隣接する第2の投影対物系(240)が第1の投影対物系(230)の第1の部分系(230a)に隣接する第1のダイソン型部分系(240a)と、第1の投影対物系(230)の第2の部分系(230b)に隣接する第2のオフナー型部分系(240b)とを有することを特徴とする請求項5に記載の投影露光装置。
【請求項15】
第1の投影対物系が第1のオフナー型部分系と、第2の純屈折性の部分系とを有し、かつ第1の投影対物系に隣接する第2の投影対物系が第1の投影対物系の第1の部分系に隣接する第1の純屈折性の部分系と、第1の投影対物系の第2の部分系に隣接する第2のオフナー型部分系とを有することを特徴とする請求項5に記載の投影露光装置。
【請求項16】
第1の投影対物系(260)が第1のダイソン型部分系(260a)と、第2の純屈折性の部分系(260b)とを有し、かつ第1の投影対物系(260)に隣接する第2の投影対物系(250)が第1の投影対物系(260)の第1の部分系(260a)に隣接する第1の純屈折性の部分系(250a)と、第1の投影対物系(260)の第2の部分系(260b)に隣接する第2のダイソン型部分系(250b)とを有することを特徴とする請求項5に記載の投影露光装置。
【請求項17】
投影対物系の少なくとも1つが2つのオフナー型部分系を有し、該部分系の間に1つの中間像が生成されることを特徴とする請求項1?16のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項18】
投影対物系の少なくとも1つが2つのダイソン型部分系を有し、該部分系の間に1つの中間像が生成されることを特徴とする請求項1?17のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項19】
物体視野(50)がレチクル領域(30)の中に配置され、前記レチクル領域が所定の走査方向で複数の投影対物系(20)と相対的に移動可能であることを特徴とする請求項1?18のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項20】
物体視野(50)が複数の投影対物系(20)と相対的に一定の位置に配置されたことを特徴とする請求項1?18のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項21】
物体視野の少なくとも1つの中に投影対物系によって結像されるパターンが超小型電子機械システム(MEMS)によって生成可能であることを特徴とする請求項20記載の投影露光装置。
【請求項22】
超小型電子機械システム(MEMS)が少なくとも1つのディジタルマイクロミラー装置(DMD)を有することを特徴とする請求項21記載の投影露光装置。
【請求項23】
物体視野の少なくとも1つの中にそれぞれ投影対物系によって結像されるパターンが複数のDMDによって生成されることを特徴とする請求項22記載の投影露光装置。
【請求項24】
複数のDMDによって生成されたパターンが1つの共通の物体視野と組み合わされることを特徴とする請求項23記載の投影露光装置。
【請求項25】
動作波長が、250nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは160nm以下に指定されていることを特徴とする請求項1?24のいずれか1項に記載の投影露光装置。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
本願発明は、その原出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その原出願の優先日前ににその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物:
1.特開平10-64807号公報(以下、「引用文献1」という。)
2.特表2005-512151号公報(以下、「引用文献2」という。)
3.特表2005-508018号公報(以下、「引用文献3」という。)
4.特開平8-8169号公報(以下、「引用文献4」という。)
5.特開2001-154368号公報(以下、「引用文献5」という。)
6.特開平7-57986号公報(以下、「引用文献6」という。)

引用文献1には、縮小投影露光装置に関し、複数の露光光学系OPを用いること、段落【0011】?【0013】、図2?6の記載から、像視野を形成する最も長い側辺の法線と走査方向との間の角度が4°以上であり、法線間の角度が4°以上であることは明らかである。
引用文献1の段落【0004】及び【0005】には、図8のレンズ配置のように露光範囲を分割することにより、トータルの体積は4分の1に減らすことができるという効果や、合成の露光範囲を2倍にとることができるという効果を開示している。
一方、同段落【0006】には、図8のレンズの配置について「ところで、このような手段をとれるのは、通常の光学系においては、露光倍率が等倍の光学系のみである。」と記載されている。
また、同段落【0020】には、「しかも通常等倍を外れた縮小露光では、これまで分割露光の適当な手段が見当たらず、困難を極めていたが、本発明においては、この縮小露光にも適応できる優れた分割露光の手法が提供された。」と記載されている。

そうすると、引用文献1の記載に触れた当業者であれば、従来は分割露光を行えるのは露光倍率が等倍の場合だけに制限されていたところ、引用文献1に記載された発明により分割露光を行える露光技術が等倍を外れた縮小露光にまで広がり、前記の「等倍の場合だけ」という制限が緩和されたと認識すると解するのが自然である。
そして、引用文献1に記載された発明を、等倍露光に適用することに格別の困難性はない。
投影光学系を反射屈折系からなる第一部分系と純屈折系からなる第二部分系とで構成することは、引用文献2及び引用文献3(特に図42、46)に記載されているように従来周知であり、引用文献1に記載された発明において、カタジオプトリック部分系と純屈折性の部分系との組み合わせを採用することに困難性があるとは認められない。
等倍の投影露光装置や複数のダイソン型光学系やオフナー型光学系を組み合わせて用いることは、引用文献4ないし6に記載されているように従来周知であり、引用文献1に記載された発明において、複数のダイソン型光学系やオフナー型光学系を組み合わせて等倍の投影露光装置とすることに困難性があるとは認められない。

2 原査定の理由の判断
(1)刊行物の記載事項
ア 引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体の製造に用いられるステッパーなどの縮小露光装置に関するものであり、光学系に1/4×?1/5×程度の縮小露光光学系を用いることにより、走査型で投影露光を行う縮小投影走査型露光装置に関するものである。」

(イ)「【0004】
【課題を解決するための手段】まず、走査型露光装置の露光範囲の形状は細長い矩形ないしは円弧状になっているが、この細長いスリット状の露光範囲を長さ方向に2分割し、2分割した各々の露光範囲に対して別々の光学系を構成することにより、半分の露光長さの露光装置を2台用意するだけで済むことになる。半分のものが2台では同じではないかと思われるが、光学系の大きさに関していえば、1台当たりの露光長さが半減するから体積は8分の1に激減し、これが2台としても、トータルの体積は4分の1に減らすことができるのである。
【0005】以上のようにスリット状の露光範囲を長さ方向に接合することにより、露光範囲の拡大を図ることができるが、個々の露光範囲よりも個々の光学系の外径の方が大きいから、露光範囲を長さ方向に直接接合することはできない。そこで図8に示すように、第1の光学系OP_(1)の露光範囲t_(1)と第2の光学系OP_(2)の露光範囲t_(2)とを、幅方向(走査方向)に必要な分だけ、すなわち両光学系が干渉しないようにレンズの外径分だけずらして配置する。しかる後に被露光体(例えばウエハ)を走査すれば、一時に露光される範囲t_(1)、t_(2)は両光学系で離散しているものの、走査した結果得られる両光学系の露光範囲は接合されることになる。このように複数の露光範囲t_(1)、t_(2)を用いた走査型の露光では、個々のスリット状の露光範囲は長さ方向(走査方向と直交する方向)に接合されてさえいれば良く、幅方向(走査方向)には離散して配置することができる。こうして合成の露光範囲を2倍にとることができるのである。
【0006】ところで、このような手段をとれるのは、通常の光学系においては、露光倍率が等倍の光学系のみである。なぜならば走査型の露光装置では、被露光体(例えばウエハ)の走査と同期して、被照明体(例えばレチクル)も走査するからである。レチクルの走査もウエハの走査と同じであり、個々の照明範囲は長さ方向に接合されてさえいれば良く、幅方向には離散して配置することができる。通常の光学系において露光倍率が等倍以外の、例えば1/2倍、1/4倍、等の縮小露光の場合では、露光範囲を長さ方向に次々と接合すると、照明範囲は長さ方向に重なりあってしまい、また、照明範囲を長さ方向に次々と接合すると、露光範囲は長さ方向に離散してしまう。」

(ウ)「【0010】個々の露光光学系は以上のように形成されているが、各光学系OP_(1)?OP_(6)の照明範囲T_(1)?T_(6)と露光範囲t_(1)?t_(6)は、それぞれ同一の照明平面と同一の露光平面とに位置するように配置され、照明平面には被照明体(例えばレチクル)が配置され、露光平面には被露光体(例えばウエハ)が配置される。また図2に示すように、各光学系の相似中心軸zは互いに一致するように配置されている。また各光学系OP_(1)?OP_(6)の照明範囲T_(1)?T_(6)と露光範囲t_(1)?t_(6)は、レチクルとウエハの走査方向と直交する方向に連続するように配置されている。
【0011】図2の例では6個の露光光学系OP_(1)?OP_(6)を用いており、相似中心軸zを通る走査線に接するように、第3光学系OP_(3)と第4光学系OP_(4)の照明範囲T_(3)、T_(4)が互いに反対向きに配置されている。また第3光学系OP_(3)と第4光学系OP_(4)の照明範囲T_(3)、T_(4)の他端を通る走査線に接し、且つ他の光学系と干渉しないように、第2光学系OP_(2)と第5光学系OP_(5)の照明範囲T_(2)、T_(5)が配置されている。また第2光学系OP_(2)と第5光学系OP_(5)の照明範囲T_(2)、T_(5)の他端を通る走査線に接し、且つ他の光学系と干渉しないように、第1光学系OP_(1)と第6光学系OP_(6)の照明範囲T_(1)、T_(6)が配置されている。この結果、各光学系OP_(1)?OP_(6)の照明範囲T_(1)?T_(6)は、被照明体の走査方向と直交する方向に連続することとなる。しかも各光学系は相似中心軸zを共有しているから、相似中心軸zを中心として照明範囲T_(1)?T_(6)を倍率βで縮小すれば、露光範囲t_(1)?t_(6)に重ねることができる。すなわち各光学系の露光範囲t_(1)?t_(6)もまた、走査方向と直交する方向に連続することとなる。しかる後にレチクルとウエハとを互いに平行に、且つ縮小倍率βに応じた速度比にて走査することにより、走査方向と直交した方向に接合された露光を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。図3は第1実施例の個々の露光光学系を示し、各光学系はレチクルRに描いた一部分のパターンの中間像を形成する第1結像光学系Aと、中間像の近傍に配置した反射面M_(2)と、中間像の再結像をウエハW上に形成する第2結像光学系Bとを有する。第1結像光学系Aは、往路光学系A_(1)と往復光学系A_(2)とからなり、往復光学系A_(2)中には凹面鏡M_(1)が配置されている。反射面M_(2)は、往復光学系A_(2)を復路で通過した光を第2結像光学系Bに導くように配置されている。第2結像光学系B中には、反射面M_(3)と反射面M_(4)と開口絞りSが配置されている。凹面鏡M_(1)と各反射面M_(2)、M_(3)、M_(4)は、照明光の光軸z_(T)と露光光の光軸z_(t)とが互いに平行で距離Dだけ離隔し、しかもこれらの光軸z_(T)、z_(t)方向から見た照明範囲Tと露光範囲tとが互いにシフトするように配置されている。
【0013】図4は照明光の光軸z_(T)と露光光の光軸z_(t)とに直交する投影平面に投影した照明範囲Tと露光範囲tを示し、図5は概略正面図を示す。両図に示すように、この第1実施例は図1に示す露光光学系を2組有し、両光学系OP_(1)、OP_(2)はその相似中心軸zを共有している。両光学系OP_(1)、OP_(2)の照明範囲T_(1)、T_(2)は、相似中心軸zを通る走査線に接するように、互いに反対向きに配置されており、したがって両光学系の照明範囲T_(1)、T_(2)は走査方向と直交する方向に連続している。またこの結果、露光範囲t_(1)、t_(2)も走査方向と直交する方向に連続している。したがってレチクルRとウエハWとを互いに平行に、且つ縮小倍率βに応じた速度比にて走査することにより、走査方向と直交する方向に接合された露光を行うことができる。」

(エ)「【0017】次に図6は第2実施例を示し、個々の光学系OP_(1)?OP_(4)は上記第1実施例と同様に形成されているが、この第2実施例は光学系を4組用いたものである。したがって上記第1実施例の効果を一層大きく得ることができる。なお個々の光学系OP_(1)?OP_(4)による露光量は当然に同一でなければならないから、照明範囲Tの走査方向に沿って測った幅Dは、個々の光学系OP_(1)?OP_(4)について同一であり、また露光範囲tの走査方向に沿って測った幅dも、個々の光学系OP_(1)?OP_(4)について同一である。この結果、相似中心軸zを通る走査線の近くに配置された第2の光学系OP_(2)と第3の光学系OP_(3)については、その照明範囲T_(2),T_(3)ないしは露光範囲t_(2),t_(3)の長手方向は、相似中心軸zを通る走査線と直交状態に近いから、照明範囲T_(2),T_(3)ないしは露光範囲t_(2)t_(3)の長手方向と直交する幅D_(2),D_(3);d_(2),d_(3)は、図6に示すように広くなる。他方、相似中心軸zを通る走査線から離れて配置された第1の光学系OP_(1)と第4の光学系OP_(4)については、その照明範囲T_(1)、T_(4)ないしは露光範囲t_(1)、t_(4)の長手方向は、相似中心軸zを通る走査線と直交状態から遠いから、照明範囲T_(1)、T_(4)ないしは露光範囲t_(1)、t_(4)の長手方向と直交する幅D_(1),D_(4);d_(1),d_(4)は、同図に示すように狭くなる。・・・
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明は、縮小倍率が全く同じ小型の光学系を複数台使い、露光面積を一挙に複数倍程度にすることができる露光装置であり、その効果は大きいものがある。しかも通常等倍を外れた縮小露光では、これまで分割露光の適当な手段が見当たらず、困難を極めていたが、本発明においては、この縮小露光にも適応できる優れた分割露光の手法が提供された。さらに、光学系の小型化が実現でき、製作コストの点でも有利な点が多い。さらにコストの点では、複数台使用する光学系を同一の構成とすれば、量産効果が大きくなることも見逃せない効果である。」

(オ)図2ないし6及び8は次のものである。


(カ)上記(ア)ないし(オ)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「各光学系OP_(1)?OP_(6)の照明範囲T_(1)?T_(6)と露光範囲t_(1)?t_(6)は、それぞれ同一の照明平面と同一の露光平面とに位置するように配置され、照明平面には被照明体(レチクル)が配置され、露光平面には被露光体(ウエハ)が配置され、
前記各光学系の相似中心軸zは互いに一致するように配置され、各光学系OP_(1)?OP_(6)の照明範囲T_(1)?T_(6)と露光範囲t_(1)?t_(6)は、レチクルとウエハの走査方向と直交する方向に連続するように配置され、
6個の前記露光光学系OP_(1)?OP_(6)は、相似中心軸zを通る走査線に接するように、第3光学系OP_(3)と第4光学系OP_(4)の照明範囲T_(3)、T_(4)が互いに反対向きに配置され、第3光学系OP_(3)と第4光学系OP_(4)の照明範囲T_(3)、T_(4)の他端を通る走査線に接し、且つ他の光学系と干渉しないように、第2光学系OP_(2)と第5光学系OP_(5)の照明範囲T_(2)、T_(5)が配置され、第2光学系OP_(2)と第5光学系OP_(5)の照明範囲T_(2)、T_(5)の他端を通る走査線に接し、且つ他の光学系と干渉しないように、第1光学系OP_(1)と第6光学系OP_(6)の照明範囲T_(1)、T_(6)が配置され、相似中心軸zを中心として照明範囲T_(1)?T_(6)を倍率βで縮小すれば、露光範囲t_(1)?t_(6)に重ねることができ、
後にレチクルとウエハとを互いに平行に、且つ縮小倍率βに応じた速度比にて走査することにより、走査方向と直交した方向に接合された露光を行うことができる縮小投影走査型露光装置。」

イ 引用文献2には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、物体平面上に配置されるパターンを像面上に結像させるカタジオプトリック投影対物レンズに関する。」

(イ)「【0004】
数種類の十分に透明な材料、特に合成石英ガラスおよびフッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化リチウムカルシウムアルミニウムまたはフッ化リチウムストロンチウムアルミニウム等のフッ化物結晶のみが、この波長領域において光学素子の製造に利用可能である。利用可能な材料のアッベ定数は、互いに相対的に近い値であるため、十分な色誤差(色収差)補正を有する純粋な屈折系を得ることは困難である。この問題は、純粋な反射系を用いることによって解決されうる。しかしながら、このような鏡系の製造には、高い費用が必要になる。
【0005】
前記の問題を考慮して、主にカタジオプトリック系が、最高の解像度を有するとともに、屈折および反射素子、すなわち特にレンズと鏡とが組み合わされた前記種類の投影対物レンズに用いられる。」

(ウ)「【0098】
本発明にしたがったカタジオプトリック縮小対物レンズ1のひとつの態様の一般的な構造が、第1の実施例を用いて、図1に示されている。このレンズは、レクチル等の物体平面2に配置されるパターンを、単一の中間実像3を物体平面2に対して平行に配置される像面4において縮尺倍率、たとえば4:1の比率で生じしめることにより、結像させる役割を果たす。対物レンズ1は、物体平面2と像面3との間において、凹面鏡6と光線偏向装置7とを有する反射屈折性の第1の対物レンズ部分5を、前記光線偏向装置の後ろに、屈折性の光学素子のみを内蔵する屈折性の第2の対物レンズ部分8を有する。」

(エ)図1は次のものである。


ウ 引用文献3には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系における収差の軽減に関する。特に、本発明は、固有複屈折を有する立方晶系光学要素を有するリソグラフィ撮像システムなどの光学系における、偏光収差を軽減する装置及び方法に関する。」

(イ)「【0178】
実施例5:
図42に示されているような、屈折光学要素L1?L19と反射光学要素M1?M3の両方を有する反射屈折光学系500を、フォトリソグラフィ用の投影レンズとして用いることができる。・・・
【0186】
この波面収差を補正するために、光学系500に2つの偏光回転子510及び520を付加し、図46に示されている屈折光学要素L1?L19の固有複屈折によって発生するリターダンスを軽減する。すべてのこれらの光学要素L1?L19は、この実施形態では同一の三次元結晶格子方向に配向させられており、[111]要素である。各要素L1?L19の[111]結晶格子方向は、系の光軸に沿っている。・・・
【0205】
図46のこの反射屈折レンズ500は、20個のレンズ要素L1?L19Bを有しており、このうちの6つは二重パスに用いられ(L3?L8)、各レンズ要素は、[111]結晶軸がそれぞれのレンズ要素を通過する光軸に平行な[111]立方晶系材料を含んでいる。反射屈折レンズ500は、1枚の被駆動ミラーM1と2枚の折り畳みミラーM2、M3とをさらに含んでいる。屈折光学要素L1?L19Bは、リターダンスを軽減するようにクロッキングされ、すなわち、そこを通過する光軸の周りを回転させられる。90°偏光回転子510は、光学系500を同様の正味の複屈折を有する2つの部分に分割し、2つの部分によって導入されるリターダンスを互いに補償させ打ち消させる。物体空間内の-90°偏光回転子520は、90°偏光回転子510によって生じる一定のリターダンスを補償する。図42における像面に最も近い要素L19は、それぞれの異なる相対クロッキングを有する2つの[111]要素L19A及びL19Bに分割されており、要素の厚さ及び埋め込み面412の曲率は、正味のリターダンスを最小限に抑えるように最適化されている。それによって、山対谷リターダンスを15.6Xから18.9Xの範囲の係数だけ改善することができる。」

(ウ)図42及び46は次のものである。


エ 引用文献4には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型露光装置に関し、特に液晶ディスプレイパネル等の大型基板の露光に適した露光装置に関する。」

(イ)「【0033】上記の図1?図5に示す実施例においては、図4に示す如く、投影光学系を構成するオフナー型光学系OFとダイソン型光学系DYとが共通の光軸Axを持つように構成されている。ここで、投影光学系を構成するオフナー型光学系OF及びダイソン型光学系DYは、それぞれの光軸が偏心した状態で構成されても良い。以下、図6を参照して、オフナー型光学系OFに対してダイソン型光学系DYの光軸を偏心させた投影光学系の構成と、それが取り得る露光領域とについて説明する。図6(a)は投影光学系の光路を展開した状態で示す図である。図6(a)において、投影光学系を構成するオフナー型光学系OFとダイソン型光学系DYとは、それぞれの有する光軸Ax_(OF),Ax_(DY)が偏心した状態となっている。なお、光軸Ax_(OF),Ax_(DY)が偏心した状態とは、オフナー型光学系OFからダイソン型光学系DYへ向かう光束の主光線の像高(オフナー型光学系OFの光軸Ax_(OF)に対する像高)と、ダイソン型光学系DYからオフナー型光学系へ向かう光束の主光線の像高(ダイソン型光学系DYの光軸Ax_(DY)に対する像高)とが互いに異なることを指す。」

(ウ)図6は次のものである。


オ 引用文献5には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は露光装置及び露光方法に関し、特に露光精度が高く広い露光領域に適用可能な露光装置及び露光方法に関する。」

(イ)「【0025】図3に示される実施形態における動作を説明するのに先立ち、その構成による優位性を明確にするために、図1に示される複数の投影光学系6A?6Eの各々に適用可能な従来の投影光学系の説明を図4に基づいて行う。
【0026】図4に示される従来技術では、各々ダイソン型に構成される投影光学系a’,b’を平行に2段並べて、レチクル1及び感光基板8をこの投影光学系に対して走査するようにされている。投影光学系a’は反射プリズム17’、屈折光学系18’及び凹面鏡19’を有しており、投影光学系b’は反射プリズム20’、屈折光学系21’及び凹面鏡22’を有している。中間結像面16は反射プリズム17’,20’の間に位置し、レチクル1及び感光基板8に対して平行である。
【0027】屈折光学系18’,21’の構成要素としての投影レンズの解像力が比較的低い場合には、屈折光学系18’からレチクル1及び中間結像面16までの光学距離と、屈折光学系21’から中間結像面16及び感光基板8までの光学距離が比較的大きい場合であっても光学的収差を抑えることが可能であり、また、光学系の瞳径は解像力に比例するため、瞳径に略比例する凹面鏡19’,22’の直径を比較的小さくすることができる。例えば、紫外線を用いて3μmL/S(ライン/スペース)程度以下の解像力の投影光学系では、レチクル1及び中間結像面16間の距離を凹面鏡19’の直径よりも大きくするとともに、中間結像面16及び感光基板8間の距離を凹面鏡22’の直径よりも大きくすることで、図4に示されるように投影光学系a’,b’を平行に2段配置することができる。」

(ウ)図4は次のものである。


カ 引用文献6には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、第1の物体と第2の物体とを移動させつつ露光を行なう走査型の投影露光装置に関する。」

(イ)「【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による実施例を説明する。図1は、本発明による露光装置の斜視図である。なお、図1では、所定の回路パターンが設けられたマスク8と、ガラス基板上にレジストが塗布されたプレート9とが搬送される方向(走査方向)をX軸、マスク8の平面内でX軸と直交する方向をY軸、マスク8の法線方向をZ軸とした座標系をとっている。」

(ウ)「【0019】図4は、投影光学系2aのレンズ構成図であり、この投影光学系2aは、2組のダイソン型光学系を組み合わせた構成である。図4において、投影光学系2aは、第1部分光学系21?24と、視野絞り25と、第2部分光学系26?29とから構成されており、これらの第1及び第2部分光学系は、それぞれダイソン型光学系を変形したものである。
【0020】第1部分光学系は、マスク8面に対して45°の傾斜で配置された反射面を持つ直角プリズム21と、マスク8の面内方向に沿った光軸を有し、凸面を直角プリズム21の反対側に向けた平凸レンズ成分22と、全体としてメニスカス形状であって凹面を平凸レンズ成分22側に向けた反射面を有するレンズ成分23と、直角プリズム21の反射面と直交しかつマスク8面に対して45°の傾斜で配置された反射面を持つ直角プリズム24とを有する。
【0021】そして、マスク8を介した照明光学系からの光は、直角プリズム21によって光路が90°偏向され、直角プリズム21に接合された平凸レンズ成分22に入射する。このレンズ成分22には、平凸レンズ成分22とは異なる硝材にて構成されたレンズ成分23が接合されており、直角プリズム21からの光は、レンズ成分22、23の接合面22aにて屈折し、反射膜が蒸着された反射面23aに達する。反射面23aで反射された光は、接合面22aで屈折され、レンズ成分22に接合された直角プリズム24に達する。レンズ成分22からの光は、直角プリズム24により光路が90°偏向されて、この直角プリズム24の射出面側に、マスク8の1次像を形成する。ここで、第1部分光学系21?24が形成するマスク8の1次像は、X方向(光軸方向)の横倍率が正であり、かつY方向の横倍率が負となる等倍像である。
【0022】1次像からの光は、第2部分光学系26?29を介して、マスク8の2次像をプレート9上に形成する。なお、第2部分光学系の構成は、第1部分光学系と同一であるため説明を省略する。この第2部分光学系26?29は、第1部分光学系と同じく、X方向が正かつY方向が負となる横倍率の等倍像を形成する。よって、プレート9上に形成される2次像は、マスク8の等倍の正立像(上下左右方向の横倍率が正となる像)となる。ここで、投影光学系2a(第1及び第2部分光学系)は、両側テレセントリック光学系である。
【0023】なお、上述の第1及び第2部分光学系は、反射面23a,28aが共に同じ向きとなるように構成されている。これにより、投影光学系全体の小型化を図ることができる。本実施例による第1及び第2部分光学系は、平凸レンズ成分22,27と、反射面23a,28aとの間の光路中を硝材で埋める構成となっている。これにより、平凸レンズ成分22,27と反射面23a,28aとの偏心が生じない利点がある。
【0024】また、図5に示すように、第1及び第2部分光学系は、平凸レンズ成分22,27と反射面23a,28aとの間を空気とする、いわゆるダイソン型光学系そのものの構成でも良い。なお、このようなダイソン型光学系に関しては、J.O.S.A.vol.49 (1959年発行) のP713?P716に詳述されている。さて、本実施例においては、第1部分光学系が形成する1次像の位置に、視野絞り25を配置している。視野絞り25は、例えば図6(a) に示す如き台形状の開口部を有する。この視野絞り25により、プレート9上の露光領域が台形状に規定される。ここで、図6(b) に破線で示すように、本実施例におけるダイソン型光学系において、レンズ成分22、23、27、28の断面(YZ平面)形状が円形であるため、取り得る最大の視野の領域がほぼ半円形状となる。このとき、視野絞り25にて規定される台形状の視野領域8aは、一対の平行辺のうちの短辺が半円状の領域(最大の視野の領域)の円弧側を向くことが好ましい。これにより、ダイソン型光学系の取り得る最大の視野領域に対して、視野領域の走査方向(X方向)の幅を最大とすることができ、走査速度を向上させることが可能となる。
【0025】また、視野絞り25としては、図6(c) に示すように、六角形状の開口部を有する構成であっても良い。このとき、図6(d) に示す如く、六角形状の開口部の大きさは、図中破線で示される最大視野領域の範囲内となる。なお、図6(b) 及び図6(d) に破線にて示す最大視野領域は、第1及び第2部分光学系をケラれなく通過する軸外光束のうち、最も外側を通過する光束がマスク8上で通過する点を囲む領域である。
【0026】図1に戻って、投影光学系2a?2gの配置について説明する。図1においては、投影光学系2a?2gは、投影光学系内の視野絞りによって規定される視野領域8a?8gを有している。これらの視野領域8a?8gの像は、プレート9上の露光領域9a?9g上に等倍の正立像として形成される。ここで、投影光学系2a?2dは、視野領域8a?8dが図中Y方向に沿って配列されるように設けられている。また、投影光学系2e?2gは、図中X方向で視野領域8a?8dとは異なる位置に、視野領域8e?8gがY方向に沿って配列されるように設けられている。このとき、投影光学系2a?2dと、投影光学系2e?2gとは、それぞれが有する直角プリズム同士が極近傍に位置するように設けられる。なお、X方向において、視野領域8a?8dと視野領域8e?8gとの間隔を広げるように投影光学系2a?2gを配置しても構わないが、このときには、走査露光を行なうための走査量(マスク8とプレート9の移動量)が増し、スループットの低下を招くため好ましくない。
【0027】プレート9上には、投影光学系2a?2dによって、図中Y方向に沿って配列された露光領域9a?9dが形成され、投影光学系2e?2gによって、露光領域9a?9dとは異なる位置にY方向に沿って配列された露光領域9e?9gが形成される。これらの露光領域9a?9gは、視野領域8a?8dの等倍の正立像である。
【0028】ここで、マスク8は図示なきマスクステージ上に載置されており、プレート9は、プレートステージ60上に載置されている。ここで、マスクステージとプレートステージとは、図中X方向に同期して移動する。これにより、プレート9上には、照明光学系10により照明されたマスク8の像が逐次転写され、所謂走査露光が行なわれる。マスク8の移動により、視野領域8a?8gによるマスク8の全面の走査が完了すると、プレート9上の全面に渡ってマスク8の像が転写される。」

(エ)「【0033】次に、図9を参照して、本実施例における投影光学系の望ましき配置関係について説明する。図9は、投影光学系の配置を説明するための平面図であり、投影光学系D_(1),D_(2),D_(3)をマスク8側(物体側)から見た状態を示す。図9において、投影光学系D_(1),は、平凸レンズ成分L_(1)と凹面鏡M_(1)とから構成され、投影光学系D_(2)は、平凸レンズ成分L_(2)と凹面鏡M_(2)とから構成され、投影光学系D_(3)は、平凸レンズ成分L_(3)と凹面鏡M_(3)とから構成される。ここで、各投影光学系D_(1),D_(2),D_(3)の構成は、共に同じである。なお、図9では、説明を簡単にするために、各投影光学系D_(1),D_(2),D_(3)の光路は、物体から凹面鏡(反射鏡)M_(1),M_(2),M_(3)へ向かう光路のみを示し、光路をZ方向に偏向させる直角プリズムは図示省略している。
【0034】さて、投影光学系D_(1),の取り得る最大の視野領域のY方向の幅をφ_(F1)、投影光学系D_(2)の取り得る最大の視野領域のY方向の幅をφ_(F2)、投影光学系D_(3)の取り得る最大の視野領域のY方向の幅をφ_(F3)とする。これらの視野領域のY方向の幅φ_(F1)?φ_(F3)は、それぞれ図6(b),(d)に破線で示す最大視野領域の半径方向の長さに対応する。
【0035】このとき、Y方向に隣接して配置された投影光学系D_(1),D_(3)の光軸間距離をKとすると、
【0036】
【数1】
φ_(F1)/2+φ_(F2)+φ_(F3)/2>K …(1)
を満足することが望ましい。ここで、φ_(F1)=φ_(F2)=φ_(F3)=φ_(F)(ただし、φ_(F):各投影光学系の取り得る最大の視野領域のY方向の幅)とすると、上記(1)式は、以下の如く書換えることができる。
【0037】
【数2】
2φ_(F)>K …(2)
すなわち、各投影光学系の取り得る最大の視野領域のY方向の幅は、各投影光学系のY方向における光軸間距離の半分以上であることが望ましい。ここで、各投影光学系の配置が上記(1)式または(2)式の範囲から外れる場合には、各視野領域がY方向で重ならない恐れがあるため好ましくない。
【0038】また、平凸レンズ成分L_(1)?L_(3)の直径(Y方向の長さ)をφ_(L1)?φ_(L3)、凹面鏡M_(1)?M_(3)の直径(Y方向の長さ)をφ_(M1)?φ_(M3)とし、これらの直径のなかで大きい方の直径(即ち、投影光学系D_(1),D_(2),D_(3)の外径の最大値)をφ_(D1)?φ_(D3)とする。ここで、各投影光学系D_(1),D_(2),D_(3)の構成が共に同じであるため、
【0039】
【数3】
φ_(L1)=φ_(L2)=φ_(L3)、
φ_(M1)=φ_(M2)=φ_(M3)、
φ_(D1)=φ_(D2)=φ_(D3)=φ_(D)、
がそれぞれ成立する。このとき、各投影光学系の取り得る最大の視野領域のY方向の幅をφ_(F)とすると、
【0040】
【数4】
φ_(F)>φ_(D)/2 …(4)
を満足することが望ましい。ここで、各投影光学系D_(1)?D_(3)が上記(4)式を満足しない、即ち、各投影光学系の取り得る最大の視野領域のY方向の幅φ_(F)が各投影光学系の外径の最大値φ_(D)の半分以上でない場合には、Y方向に隣接して配置された投影光学系D_(1),D_(3)が互いに干渉する恐れがあるため好ましくない。尚、投影光学系の外径の最大値が光路を90°偏向させる直角プリズムにより定まるときには、上記外径の最大値φ_(D)を直角プリズムのY方向の長さとすれば良い。また、上記(1)式?(4)式の関係は、ダイソン型光学系に限ることなく、オフナー型光学系にも適用できる。
【0041】さて、上述の実施例では、投影光学系として2組の光学系を組み合わせているが、その代わりに、図10及び図11に示す光学系を適用しても良い。図10は、ダイソン型光学系の直角プリズムの代わりに、ダハ面を持つ直角ダハプリズム34を適用したものである。図10において、直角プリズム31、平凸レンズ成分32及び反射面33aを持つレンズ成分33は、それぞれ図4に示す直角プリズム21、平凸レンズ成分22及びレンズ成分33と同一の機能を有するため、ここでは説明を省略する。2組の直角プリズムを有するダイソン型光学系では、光軸に沿った方向の横倍率が正となり、かつ光軸直交方向(物体面及び像面に沿った方向)の横倍率が負となる像を形成する。図10の如き直角ダハプリズム34を有するダイソン型光学系では、ダハ面によって、物体面及び像面内での光軸直交方向(紙面垂直方向)の像向きが逆転するため、光軸に沿った方向(X方向)及び物体面及び像面内での光軸直交方向(Y方向)の横倍率が共に正となる正立像を形成できる。
【0042】図11は、光路を折り返すための反射面を設けたダイソン型光学系の一例のレンズ構成図である。図11において、マスク8からの光は、光の入射方向(Z軸方向)に対して45°に斜設された半反射面41aによって、光路が90°偏向されて、平凸レンズ成分42に入射する。なお、図11に示す平凸レンズ成分42及び平凸レンズ成分42に接合されるレンズ成分43は、それぞれ図4の平凸レンズ成分22及びレンズ成分23と同一の機能を有する。
【0043】そして、平凸レンズ成分42に入射した光は、反射面43aにて反射され、再び平凸レンズ成分42を介して、平凸レンズ成分42の射出側にマスク8の1次像を形成する。この1次像形成位置には、反射面41bが設けられている。ここで、半反射面41aと反射面41bとは、反射部材41に設けられている。そして、反射面41b上の1次像からの光は、もとの光路を逆進して、平凸レンズ成分42及びレンズ成分43を介した後、半反射面41aを透過する。半反射面41aの透過方向には、光線の入射方向(透過方向)に対して112.5°で斜設された反射面44aと、この反射面44aに対して45°で斜設された反射面44bとを有する反射部材44が設けられている。ここで、反射面44a,44bがペンタプリズムの機能を有するため、この反射部材44に入射した光は、反射面44a,44bでの反射により、光路が90°偏向される。
【0044】反射面44a,44bで反射された光は、反射部材44の射出側にマスク8の2次像を形成する。ここで、この2次像は、等倍の正立像となる。なお、図11においては、マスク8から反射面41bまでの光路長と、反射面41bからプレート9までの光路長とが等しくなるように構成している。ここで、図11に示す投影光学系においては、反射面41bの形状が視野絞りの形状となる。例えば、YZ平面内で短辺が紙面上側となる台形状の反射面41bである場合には、視野領域及び露光領域は、XY平面で紙面右側に短辺が位置する台形状の領域となる。なお、図11の投影光学系において、平凸レンズ成分42及びレンズ成分43の光軸近傍を通過する光束は、反射面41bに達しないため結像に寄与しない。しかしながら、半反射面41aから反射面43aへ向かう光路と反射面41bから反射面43aへ向かう光路とが混じることを避けるため、平凸レンズ成分42及びレンズ成分43の光軸上及びその近傍を通過する光束を用いることは少ない。従って、図11のように、平凸レンズ成分42及びレンズ成分43の光軸近傍を通過する光束が遮光されていても、実用上何ら差し支えはない。・・・
【0049】このように、本実施例による露光装置によれば、複数の投影光学系によって、走査方向と直交する幅が広い露光領域を形成しているため、個々の投影光学系を大型化することなく、露光領域の大画面化に対応できる。ここで、本実施例では、投影光学系の大型化を招かないため、比例拡大による収差の増大を防止できる利点がある。」

(オ)図1、9ないし11は次のものである。


(カ)上記(ア)ないし(エ)の記載を踏まえて、上記(オ)の図1を見ると、視野領域8a?8gは、対応する露光領域9a?9gの真上に配置されていることが見てとれる。

(2)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「6個の露光光学系OP_(1)?OP_(6)」、「照明範囲T_(1)?T_(6)」、「露光範囲t_(1)?t_(6)」、「被露光体(ウエハ)」、「相似中心軸z」、「走査方向」及び「投影走査型露光装置」は、本願発明の「6つの投影対物系(20)」、「物体視野(50)」、「像視野(60、60’、60”)」、「基板領域(40)」、「中軸」、「所定の走査方向(S)」及び「投影露光装置」に相当するから、両者は、
「少なくとも6つの投影対物系(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を1つの像視野(60、60’、60”)の中に結像させる投影対物系を有し、
前記像視野(60、60’、60”)が基板領域(40)に配置され、前記基板領域が所定の走査方向(S)で複数の投影対物系(20)と相対的に移動可能である、投影露光装置。」の点で一致している。
他方、本願発明と引用発明1は、
ア 本願発明は、
「投影対物系(20)」が、「少なくとも3つの投影対物系が2つの曲線それぞれに沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」ることで「前記像視野(60、60’、60”)の少なくとも1つが、直線的に延びる複数の側辺によって、前記側辺の最も長い側辺の法線(y1-y7)が走査方向(S)と平行に延びないように制限されており、様々な像視野の少なくとも2つの前記のような法線の間の角度が量に関して2°以上であ」るに対して、引用発明1は、このように特定されない点(以下、「相違点1」という。)、
イ 本願発明は、「1つの結像倍率β=1を有し」ているのに対して、引用発明1は、このように特定されない点(以下、「相違点2」という。)、及び、
ウ 本願発明は、「物体視野(50)」が、「対応する前記像視野(60、60’、60”)の真上に配置されている」のに対して、引用発明1は、このように特定されない点(以下、「相違点3」という。)、
で相違する。

(3)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明1の「6個の露光光学系OP_(1)?OP_(6)」において、特に、少なくとも3つの露光光学系OPが2つの曲線それぞれに沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる相似中心軸zに対して互いに凹面状に配置されるとする動機がなく、また、引用文献2ないし6をみても、このように配置することを示す記載も示唆もない。
一方で、本願発明は上記相違点1の構成により、「走査プロセス中に照明された基板平面内の視野の一定の総量に対する3列の配置によって、より多くの像視野が走査プロセス中に互いに接合されまたは重ね合わせられるので、個々の投影対物レンズによって生成された像視野をたとえば2列の配置の場合よりも小さくすることができる別の長所を有する。その結果、個々の投影対物レンズは再びより小さい光学素子を有することができ、それによって・・・より良好な空間領域を達成することができる。」(本願の発明の詳細な説明の段落【0056】)という格別顕著な効果を奏するものであるから、引用発明1において、上記相違点の構成となすことが容易に想到し得たとはいえない。

(4)小括
したがって、相違点2及び3について検討するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明1及び引用文献2ないし6の記載に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願の請求項2ないし25に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明1及び引用文献2ないし6の記載に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由1の概要
[理由1]本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
[理由2]本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

[理由1]
本願の請求項1(及び請求項1を直接的/間接的に引用する請求項2?29)には、「前記投影対物系が曲線に沿って配置されており」と記載されている。
しかしながら、単なる「曲線」との記載では、本願の上記請求項に係る発明は、「個々の投影対物レンズに対してより大きい取り付けスペースが可能になる複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置を提供する」(【0001】)という本願発明の課題を解決できないものを明らかに含むものである。
すなわち、例えば、対向する2つの曲線が、互いに凸に湾曲して配置された場合は、取り付けスペースは逆に狭くなるが、本願の上記請求項に係る発明は、当該実施態様も包含している。
したがって、本願の上記請求項に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであって、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
なお、本願の発明の詳細な説明の【0037】には、「曲線A、Bの間に伸びる中軸に対して鏡像対象に配置された互いに凹面状の曲線である。」などと記載されている。

[理由2]
(1)本願の請求項1(及び請求項1を直接的/間接的に引用する請求項2?29)には、「前記物体視野(50)が、対応する前記像視野(60、60’、60”)の真上に配置されている」と記載されている。
一方、請求項1を引用する請求項5には、「投影対物系の少なくとも幾つかが第1の部分系(210a、220a)と少なくとも1つの第2の部分系(210b、220b)とを有し、第1の部分系(210a、220a)がカタジオプトリック部分系であり、かつ第2の部分系(210b、220b)が純屈折性の部分系である」と記載されている。
そして、請求項5を引用する請求項6には、「両部分系の光軸が互いに平行に変位されている」と記載されている。
しかしながら、2つの部分系の光軸が互いに平行に変位された上で、「前記物体視野(50)が、対応する前記像視野(60、60’、60”)の真上に配置」されるのは、技術的に正しいものとは認められず、他の請求項を引用したために技術的な不備を備える結果となっており、不明確である。
してみると、請求項1を引用する請求項5をさらに引用する請求項6は、不明確である。さらに、同請求項をさらに引用する、請求項7?28についても、同様に不明確である。

(2)本願の請求項5を引用する請求項8には、「投影対物系(20)がそれぞれ同一の構造を有する」と記載されているところ、当該請求項8をさらに引用する請求項10には、「投影対物系(20)の少なくとも1つが折畳ミラーを備えていない」と記載されている。しかしながら、請求項5に記載された「カタジオプトリック」系の光学系は、メインミラーとサブミラーの間で光を往復させて、光を折りたたむ構造であって、折畳ミラーを備えることは必須であるところ、請求項5を引用する請求項8をさらに引用する請求項10は、技術的に正しいものとは認められず、他の請求項を引用したために技術的な不備を備える結果となっており、不明確である。
なお、上記請求項をさらに引用する請求項11?17、21?29についても、同様に不明確である。
また、本願の請求項5を引用する請求項8を引用する請求項17,21,22についても、上記と同様に不明確であって、上記請求項をさらに引用する各請求項についても、同様に不明確である。

(3)請求項8を引用する請求項10をさらに引用する請求項13には、「少なくとも1つのカタジオプトリック部分系を有する」と記載されており、上記2.と同様の理由により不明確である。上記請求項をさらに引用する請求項15?17,21?29についても同様に不明確である。

(4)本願の請求項5を引用する請求項8を引用する請求項17には、「投影対物系の少なくとも1つが少なくとも一つのオフナー型部分系と、少なくとも1つのダイソン型部分系とを有する」と記載されているが、上記請求項5に記載された「純屈折性の部分系」では、オフナー型、ダイソン型のいずれもその範囲に含まないのは明らかであって、上記2.同様、請求項5を引用する請求項8をさらに引用する請求項17は、技術的に正しいものとは認められず、他の請求項を引用したために技術的な不備を備える結果となっており、不明確である。
なお、上記請求項をさらに引用する請求項21?29についても、同様に不明確である。
さらに、本願の請求項5を引用する請求項8を引用する請求項21,22についても、上記と同様に不明確であって、上記請求項をさらに引用する各請求項についても、同様に不明確である。

(5)請求項25には、「少なくとも1つの1つのディジタルマイクロミラー装置」と記載されているが、「1つの1つの」は、「1つの」の誤記ではないか。

2 当審拒絶理由2の概要
[理由1]本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
[理由2]本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

[理由1]
(1)本願請求項1は、「少なくとも2つの投影対物系(20)・・・を有し、・・・前記少なくとも2つの投影対物系が2つの曲線に沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」ることを発明特定事項とする。
ア 上記発明特定事項によれば、本願請求項1に係る発明は、「投影対物系(20)」が2つの場合を含むが、この場合は、「2つの投影対物系が2つの曲線に沿って配置され」たとしても、実体的には、「投影対物系(20)」を単に2つ配置したにすぎず(後記参考図1参照)、このような配置状態からは、「曲線に沿って配置」されたとは判別できない。
そうすると、上記発明特定事項が含む、「2つの投影対物系(20)」の場合は、「曲線に沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」るものとは特定できない。

【参考図1】


イ 1つの曲線に2つの「投影対物系(20)」が配置される場合も同様であって、「4つの投影対物系が2つの曲線に沿って配置され」たものであっても、実体的には、2つの「投影対物系(20)」を横に並べた(直線に沿って配置した)上で2列配置したにすぎず(後記参考図2参照)、このような配置状態からは、「曲線に沿って配置」されたとは判別できない。
そうすると、上記発明特定事項が含む、「4つの投影対物系(20)」の場合は、「曲線に沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」るものとは特定できない。

【参考図2】


ウ 上記ア及びイでの検討によれば、「3つの投影対物系(20)」の場合及び「5つの投影対物系(20)」の場合も同様であり、また、「6つ以上の投影対物系(20)」の場合であっても、一方の曲線に沿って配置される「投影対物系(20)」が2つ以下の場合は同様である。
そうすると、本願請求項1に係る発明は、「曲線に沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」るものとは特定できない構成を含むから、上記発明特定事項に係る記載は不明確である。
したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項2ないし25についても同様である。
(なお、「投影対物系が2つの曲線に沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」ていると特定できるものとするためには、「前記少なくとも3つの投影対物系が2つの曲線それぞれに沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」るものと特定する必要があると認められる。)

[理由2]
上記[理由1]で検討したとおり、「少なくとも2つの投影対物系(20)のうち・・・」、「前記少なくとも2つの投影対物系が2つの曲線に沿って配置されており、該2つの曲線は、該2つの曲線の間に延びる中軸に対して互いに凹面状に配置され」るとの構成を含む本願請求項1は、2つの「投影対物系(20)」を単に2つ配置したもの、及び、2つの「投影対物系(20)」を横に並べた上で2列配置したものを含むと認められる。
しかしながら、当該配置は、「【発明が解決しようとする課題】・・・本発明の課題は個々の投影対物レンズに対してより大きい取付スペースが可能になる複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置を提供することである。」(本願明細書 段落【0005】)との本願発明の課題を解決できないものであって、このような発明は当初明細書等に記載されているものとは認められないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項2ないし25についても同様である。

3 当審拒絶理由1の[理由1]及び[理由2]、並びに、当審拒絶理由2の[理由1]及び[理由2]の判断
平成28年6月14日付け手続補正書によって、補正前の請求項5ないし8は削除され、当該補正前の請求項1ないし29は、当該補正後の請求項1ないし25となった。
さらに、平成29年1月19日付け手続補正書によって、本願の請求項1ないし25は上記「第2」のとおり補正された。このことにより、請求項1ないし25に係る発明は明確となり、また、発明の詳細な説明に記載されたものとなった。
よって、当審拒絶理由1の[理由1]及び[理由2]、並びに、当審拒絶理由2の[理由1]及び[理由2]は解消した。
そうすると、もはや、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-02-07 
出願番号 特願2008-518844(P2008-518844)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03F)
P 1 8・ 536- WY (G03F)
P 1 8・ 113- WY (G03F)
P 1 8・ 537- WY (G03F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡戸 正義秋田 将行  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 土屋 知久
松川 直樹
発明の名称 複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置  
代理人 須田 洋之  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  
代理人 近藤 直樹  
代理人 上杉 浩  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 辻居 幸一  

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