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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C04B
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C04B
管理番号 1324814
異議申立番号 異議2015-700028  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-25 
確定日 2016-12-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5763683号発明「発光セラミック積層体およびその作製方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5763683号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔28〕、〔29〕について訂正することを認める。 特許第5763683号の請求項18、19、25、27、29に係る特許を維持する。 特許第5763683号の請求項28に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第5763683号は、平成23年1月28日(優先権主張外国庁受理 2010年2月4日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2012-552014号について、平成27年6月19に設定登録がされ、その後、その請求項18、19、25、27、28、29に係る特許に対し、特許異議申立人 出口 歓一により特許異議の申立てがなされ、当審において平成28年4月27日付けで特許異議申立人に審尋がされ、平成28年5月24日付けで回答書が提出され、平成28年7月7日付けで本件特許の請求項28、29に係る特許に対する取消理由が通知され、平成28年9月5日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がなされ、平成28年10月25日付けで特許異議申立人より意見書の提出がなされたものである。

第2.訂正の請求
1.訂正の内容
平成28年9月5日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1-2よりなる。

(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項28を削除する。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項29に「請求項18に記載の方法によって製造された発光セラミック複合積層体を含む発光素子。」と記載されているのを、「発光YAG:Ce複合積層体を含む発光素子を製造する方法であって、
非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープおよび発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープを提供すること、
キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを形成すること、
アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製すること、
プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを作製すること、
グリーンプリフォームを焼結して発光YAG:Ce複合積層体を作製し、焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること、
を含む、方法」に訂正する。

2.訂正の適否
(ア)訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項28を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(イ)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項29が訂正前の請求項18を引用して記載されていたところを、請求項18の記載を引用しないものとするとともに、製造方法の発明を引用して記載されているため、不明瞭であった物の発明を、その物の製造方法の発明にする訂正である。
したがって、請求項間の引用関係の解消及び、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、当該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
さらに、訂正前後において発明の課題、課題解決手段に実質的な変更はなく、訂正前の発明が特定の方法により製造された「物の発明」であり、当該特定の方法によらずに製造された同一の物をも、特許発明の実施に含むものであったのに対して、訂正後の発明は、当該特定の方法によって特定された「物を製造する方法」の発明であって、訂正後の発明の実施は、訂正前の発明の実施にすべて含まれるので、第三者に不測の不利益が生じるものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項又は第6項に適合するので、当該請求項28、29について訂正を認める。

第3.本件発明
上記「第2.」のとおり、本件訂正請求による訂正が認められるから、本件特許の請求項18、19、25、27、29に係る発明(以下、請求項の項番にしたがって、「本件発明18」などという。)は、平成28年9月5日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項18、19、25、27、29に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認める。

「【請求項18】
発光YAG:Ce複合積層体を製造する方法であって、
非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープおよび発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープを提供すること、
キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを形成すること、
アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製すること、
プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを作製すること、
グリーンプリフォームを焼結して発光YAG:Ce複合積層体を作製し、焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること、
を含む、方法。」
「【請求項19】
発光材料のキャストテープの提供は、焼結後に測定した場合に少なくとも0.650の波長効率を有する発光キャストテープを提供することを含む、請求項18に記載の方法。」
「【請求項25】
前記複合積層体内で体積または表面特徴を決めることをさらに含む、請求項18に記載の方法。」
「【請求項27】
複合積層体の表面上に突出形状を有する表面特徴を作製することをさらに含む、請求項18に記載の方法。」
「【請求項29】
発光YAG:Ce複合積層体を含む発光素子を製造する方法であって、
非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープおよび発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープを提供すること、
キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを形成すること、
アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製すること、
プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを作製すること、
グリーンプリフォームを焼結して発光YAG:Ce複合積層体を作製し、焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること、
を含む、方法。」

第4.特許異議の申立てについて
特許異議申立人は、証拠として下記甲第1-4号証(以下、「甲1-4」という。)及び参考文献1、2を提出し、下記申立理由1)-3)により、訂正前の請求項18、19、25、27、28、29に係る特許は、特許法第113条第2号又は第4号に該当し、取り消すべきものである旨、主張している。

甲1:特開2009-177106号公報
甲2:国際公開第2009/148176号
甲3:米国特許出願公開第2009/0108507号明細書
甲4:特開平8-23131号公報
参考文献1:特開2002-57388号公報
参考文献2:特開2001-220223号公報

1)訂正前の請求項18、19、25、27、28、29に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、又は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2)訂正前の請求項18、19、25、27、28、29に係る発明は、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明27は、甲3に記載された発明及び甲4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3)訂正前の請求項28、29に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。

なお、上記申立理由1)-3)のうち、申立理由3)については、平成28年7月7日付け取消理由通知書により、特許権者に取消理由として通知された。

1.申立理由1)について
(1)甲1の記載事項
甲1には、「半導体発光装置用セラミックス部材、半導体発光装置用セラミックス部材の製造方法、半導体発光装置および表示装置」(発明の名称)について、次の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、半導体発光素子から発された光の波長を変換する部材の構造に関する。」
(イ)「【0014】
・・・なおセラミックス素材A、Bのうち少なくとも一種類は青色光を黄色光に変換する蛍光体材料を含有している。セラミックス素材A、Bの具体的な組み合わせを以下に例示する。
(例1)
セラミックス素材A:黄色蛍光体Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce^(3+)(YAG:Ce)
セラミックス素材B:透光性材料Al_(2)O_(3)
・・・上記の例1は、黄色蛍光体であるYAG:Ceと透光性材料であるアルミナAl_(2)O_(3)との組み合わせである。また例2は、黄色蛍光体であるYAG:Ceと透光性材料であるYAGとの組み合わせである。このように黄色蛍光体と透光性材料とを組み合わせることで、例えば、機械的強度を確保しつつ所望の色合いを実現することができる。また例1に関しては、YAG:Ceの熱伝導率が11W/m・Kであるのに対し、アルミナAl_(2)O_(3)の熱伝導率は30W/m・Kである。このように黄色蛍光体と当該黄色蛍光体よりも高い熱伝導率をもつ透光性材料との組み合わせを採用することにより、プレート状のセラミックス部材15の放熱特性を高めることができる。近年、蛍光体は発光したときにストークスロスによる発熱が生じる一方、蛍光体の温度が高くなるほど発光効率が低下することが判明してきている(図38に、蛍光体温度と発光ピーク高さの関係を示す)。そのためプレート状のセラミックス部材15の放熱特性を高めるために熱伝導率が高いセラミックス素材を採用することが望まれている。上記の組み合わせを採用することにより、プレート状のセラミックス部材15の放熱特性を高めることができ、取り付けたパッケージ基台11を通じて蛍光体の発熱を外部に放熱することが可能となり、その結果、発光効率の低下を抑制することができる。」
(ウ)「【0030】
図12は、本発明の実施の形態1に係るプレート状のセラミックス部材の製造方法のフローを示す図である。
このフローでは、セラミックス素材A、Bから構成されたプレート状のセラミックス部材を形成する例が示されている。まずセラミックス素材Aを含む未焼成シート(「グリーンシート」とも称される)を作製するため、分散用撹拌装置を用いてセラミックス素材Aの原料、バインダ、可塑剤および溶剤を含むスラリーを調製し(ステップS11)、ベースフィルム上にシート成形する(ステップS12)。例えば、セラミックス素材Aを黄色蛍光体YAG:Ceとすると、セラミックス素材Aの原料としてイットリウム酸化物Y_(2)O_(3)、アルミニウム酸化物Al_(2)O_(3)、セリウム酸化物CeO_(2)が選択される。また、バインダとしてブチラール樹脂、可塑剤としてブチルベンジルフタレート、溶剤として酢酸ブチル(90%)とブチルカルビトール(10%)との混合剤をそれぞれ採用することができる。
【0031】
また上記工程と並行してセラミックス素材Bを含む未焼成シートを作製する(ステップS13、14)。例えば、セラミックス素材Bを透光性材料Al_(2)O_(3)とすると、セラミックス素材Bの原料としてアルミニウム酸化物Al_(2)O_(3)が選択される。
【0032】
次にセラミックス素材Aを含む未焼成シートとセラミックス素材Bを含む未焼成シートとを積層してシート積層体を形成する(ステップS15)。
次に精密切断機を用いて、シート積層体を、シート積層体上面に対して垂直方向に切断し、セラミックス素材A、Bを縞状に含む未焼成シートを形成する(ステップS16)。そして得られた未焼成シートを組み合わせて、目的とするプレート状のセラミックス部材の構造に対応する未焼成セラミックス構造体を形成する。
【0033】
次に未焼成セラミックス構造体を脱脂炉で脱バインダし(ステップS17)、焼成炉で焼成する(ステップS18)。脱バインダ工程では、例えば、室温から400℃まで1時間当たり50℃のペースで温度上昇させ、400℃を2時間?4時間程度維持させ、その後自然に冷却させる。また焼成工程では、例えば、真空またはN_(2)-H_(2)雰囲気下で約1700℃?1800℃まで加熱する。これにより目的とするプレート状のセラミックス部材の構造に対応するセラミックス構造体を得ることができる。」
(エ)「【0036】
図14は、積層工程(ステップS15)の様子を模式的に示す図である。
積層工程では、発泡シート24が形成されたステンレス製の支持板23を用意し(図14(a))、ベースフィルム34が貼りついた状態のセラミックス素材Aを含む未焼成シート33を発泡シート24上に載置して加熱および加圧を行う(図14(b))。発泡シート24の厚みは約150μm?200μm程度であり、加熱は80℃?100℃程度、加圧は10kg/cm^(2)?30kg/cm^(2)程度である。その後、ベースフィルム34を剥離し(図14(c))、未焼成シート33を残す(図14(d))。次にベースフィルム36が貼りついた状態のセラミックス素材Bを含む未焼成シート35を未焼成シート33上に載置して加熱および加圧を行い(図14(e))、ベースフィルム36を剥離し(図14(f))、未焼成シート35を残す(図14(g))。このような作業を、セラミックス素材Aを含む未焼成シートとセラミックス素材Bを含む未焼成シートとで交互に繰り返す。」
(オ)「【0073】
図40は、光学部材67の構造を例示する図である。
光学部材67の構造は、ドーム形状(図40(a))、ドーム形状の複合体(図40(b))、粗化面形状(図40(c))、逆メサ形状(図40(d))、ラウンド形状(図40(e))、プレート状のセラミックス部材を埋め込んだドーム形状(図40(f))などが考えられる。またプレート状のセラミックス部材の表面形状自体を光学部材として利用することも考えられる(図40(g))。例えば、透光性材料にエッチングされやすい材料を使用すれば、エッチングによりプレート状のセラミックス部材の表面に凹凸形状を形成することができる。なお光学部材67は、例えばドーム形状にくりぬいた金型でドーム形状のセラミックス部材を形成し、これをプレート状のセラミックス部材に熱圧着することにより取り付けることができる。」
(カ)【図12】

(キ)【図14】

(ク)【図38】

(ケ)【図40】


(2)甲2の記載事項
甲2には、「SEMICONDUCTOR LIGHT EMITTING APPARATUS AND LIGHT SOURCE APPARATUS USING THE SAME」(発明の名称:日本語訳「半導体発光装置とこれを用いた光源装置」)について、次の記載がある(日本語訳については、特許異議申立書に記載された(訳文)及び甲2のパテントファミリーである特表2011-519149号公報の対応箇所を参照した。以下、同じ。)。
(コ)「1. A semiconductor light emitting apparatus, comprising: -a solid-state light emitting device operable to emit primary light; and a wavelength convertor operable to convert the primary light into secondary light at a longer wavelength, wherein the wavelength convertor is an inorganic compact that includes a transparent wavelength conversion layer containing a phosphor having a garnet crystal structure, the phosphor contains a constituent element group consisting of one or more elements selected from Mg, Ca, Sr, Ba, Y, La, Gd, Tb, and Lu, part of the constituent element group is substituted by Ce^(3+), and an amount of the Ce^(3+) substitution is within a range from 0.01 atomic% and 1 atomic%, both inclusive.」
(日本語訳:「【請求項1】
以下を含む半導体発光装置:
一次光を放出可能な固体発光素子と、
前記一次光を長波長の二次光に変換する波長変換体とを有し、
前記波長変換体は、ガーネット結晶構造を有する蛍光体を含んだ透光性の波長変換層を備えた無機成形体であり、
前記蛍光体は、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Gd、Tb、Luから選ばれる少なくとも1つの元素を含んでなる構成要素群を含み、
前記構成要素群の一部はCe^(3+)で置換されており、
かつ、当該置換量が0.01原子%?1原子%の範囲内である。」)
(サ)「[0172] Specifically, it is preferable to employ a phosphor the exhibits the internal quantum efficiency of 80% or higher, preferably 85% or higher, and more preferably 90% or higher, under excitation light emitted by the solid-state light emitting device 3.」
(日本語訳:「[0172] 具体的には、前記固体発光素子3が放つ光励起下で、内部量子効率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の蛍光体を採用する。)
(シ)「[0175] Specifically, the photon conversion efficiency of the wavelength conversion layer 4a before and after wavelength conversion is preferably 70% or higher, more preferably 80% or higher, and still more preferably 90% or higher.」
(日本語訳:「[0175] なお、波長変換の前後における波長変換層4aの光子変換効率を具体的に例示すると、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。」)
(ス)「[0180] To show the specific standards, the external quantum efficiency (absolute value) is preferably 80% or higher, more preferably 85% or higher, and still more preferably 90% or higher.」
(日本語訳:「[0180] なお、上記外部量子効率(絶対値)の具体水準を例示すると、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。」)
(セ)「[0324] Figs. 20-24 show graphs of the measurement data on the samples of transparent ceramics all having a uniform thickness (0.6 mm). Each sample is made from a Y_(3)Al _(5)Oi_(2):Ce^(3+) transparent phosphor ceramics with a different amount of Ce^(3+) substitution. The measurement data show the internal quantum efficiency (absolute value) and external quantum efficiency (absolute value) of each sample. The internal quantum efficiency is equal to a photon conversion efficiency and indicates the wavelength conversion efficiency. Similarly, the external quantum efficiency is equal to a photon conversion efficiency and indicates the wavelength conversion efficiency.」
(日本語訳:「[0324] 図20?24は、厚みが一定(0.6mm)で、前記Ce^(3+)置換量が異なる、Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce^(3+)透光性蛍光セラミックスの、透光性蛍光セラミックスの状態での内部量子効率(絶対値。光子変換効率であり、波長変換効率を示すものである。)、及び、外部量子光率(絶対値。光子変換効率であり、波長変換効率を示すものである。)を調べた結果である。」)
(ソ)図21


(3)本件発明18と引用発明(甲1発明)との対比・判断
「(1)甲1の記載事項」によれば、甲1には、
「セラミックス素材A:黄色蛍光体Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce^(3+)(YAG:Ce)
セラミックス素材B:透光性材料Al_(2)O_(3)
からなる半導体発光装置用セラミックス部材の製造方法であって、
セラミックス素材Aを含む未焼成シートを作製し、また、セラミックス素材Bを含む未焼成シートを作製すること、
セラミックス素材Aを含む未焼成シートとセラミックス素材Bを含む未焼成シートとを積層してシート積層体を形成すること、
セラミックス素材Bを含む未焼成シートをセラミックス素材Aを含む未焼成シート上に載置して(加熱および)加圧を行い、後述の未焼成セラミックス構造体を作製すること、
未焼成セラミックス構造体を脱脂炉で脱バインダすること、
焼成炉で焼成してセラミックス構造体を得ること、
黄色蛍光体であるYAG:Ceと、透光性材料であり、黄色蛍光体よりも高い熱伝導率をもつアルミナAl_(2)O_(3)とを組み合わせることで、セラミックス部材の放熱特性を高めることができ、蛍光体の発熱を外部に放熱することが可能となることから、発光効率の低下を抑制することができる、方法」(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
そして、本件発明18と甲1発明を対比すると、少なくとも下記(相違点1)で相違している。

(相違点1)
本件発明18の「焼結後」の「発光YAG:Ce複合積層体」は、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有する」のに対し、甲1には、「波長変換効率(WCE)」の具体的な値についての記載がなく、甲1発明の「蛍光体を含むプレート状のセラミックス部材」が、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有する」か不明である点。

上記(相違点1)について検討する。
本件明細書の段落【0038】に、「多数の方法が、湿式化学共沈、熱水合成、超臨界合成、固相反応、燃焼、レーザー熱分解、フレーム溶射、スプレー熱分解、およびプラズマ合成を含む蛍光体用の発光材料の調製に利用可能である。これらのプロセスの中で、レーザー熱分解、フレーム溶射、スプレー熱分解、およびプラズマ合成などの流動系熱化学合成経路は、高純度で結晶欠陥がなく高効率な蛍光体の工業規模の合成に特に適切である。」、「本発明者らは、図8および9(実施例において後にさらに説明する)に示すような蛍光体合成の他の方法によって得られる材料を含むセラミックスと比較して、RFプラズマ合成された蛍光体を含むセラミック層が最も高い波長変換効率を有することを発見した。」と記載されていることから、本件発明18は、セラミック層に含まれる蛍光体を特定の製造方法で製造することにより、「少なくとも0.650」という、出願時の技術水準から当業者が予測できない、際だって優れた「波長変換効率(WCE)」を達成したものであるといえる。
一方、甲1発明の「発光効率」は、本件発明18の「波長変換効率(WCE)」と同様、「蛍光体を含むプレート状のセラミックス部材」からの「発光および励起光」の大きさを示すパラメータであるといえるが、甲1の例えば記載事項(ク)図38の記載から、「蛍光体温度を下げる」ことにより、「発光効率」が定性的に向上することは理解できるものの、その値を「波長変換効率(WCE)」に換算してどの程度まで向上できるかについては理解できないし、その他、「波長変換効率(WCE)」で、「少なくとも0.650」を達成する手段についての記載や示唆もない。
したがって、甲1発明において、「蛍光体を含むプレート状のセラミックス部材」の「発光効率」を向上させ、「波長変換効率(WCE)」に換算して、「少なくとも0.650」となるまで高めることが、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

この点につき特許異議申立人は、「本件特許発明18は、甲1発明に示唆される蛍光体の波長変換効率の高さの下限値的数値を特定しただけに過ぎず、当業者の単なる設計的事項にすぎない。」と主張している。
しかしながら、前記の通り本件明細書の記載によれば、「少なくとも0.650」という「波長変換効率(WCE)」は、出願時の技術水準から当業者が予測できない、際だって優れた作用効果である一方、そのような高い「波長変換効率(WCE)」を達成できる手段は、甲1に記載も示唆もされておらず、当業者の技術常識から明らかであるともいえないから、「少なくとも0.650」という「波長変換効率(WCE)」は、当業者の単なる設計的事項であるとはいえない。

また、特許異議申立人は、「また、甲第2号証には、甲第1号証記載の発明と同一技術分野である固定発光素子(当審注:「固体発光素子」の誤りであると認められる。)と波長変換層とを備えた波長変換体(無機成形体)からなる半導体発光装置の発明[フレーム1]が開示されており、前記は長辺乾燥4aの光子変換効率が「例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である」と記載されている。一方、段落[0324]の記載より、図20に示されるような透光性蛍光セラミックスにおいて、透光性蛍光セラミックスの状態での内部量子効率及び外部量子効率は、光子変換効率であり、波長変換効率を示すものである。よって、参考文献1(当審注:「甲第2号証」の誤りであると認められる。)の光子変換効率は、本件特許発明18における波長変換効率(WCE)に相当する。
よって、本件特許発明18は、甲第1号証記載の発明及び甲第2号証記載の発明の単なる組み合わせにより、当業者が容易に想到する発明にすぎない。」と主張している。
そこで、甲2の記載を参酌すると、甲2には、「半導体発光装置」に用いられる「Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce^(3+)透光性蛍光セラミックス」(記載事項(コ)(セ))として、「具体的には、前記固体発光素子3が放つ光励起下で、内部量子効率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の蛍光体を採用する。」(記載事項(サ))、「なお、波長変換の前後における波長変換層4aの光子変換効率を具体的に例示すると、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。」(記載事項(シ))、「なお、上記外部量子効率(絶対値)の具体水準を例示すると、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。」(記載事項(ス))旨の記載があるから、「光子変換効率」、「内部量子効率」及び「外部量子効率」のいずれにおいても、その値が高い方が好ましく、具体的には、「内部量子効率」及び「外部量子効率」で「80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上」、「光子変換効率」で「70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上」が好ましいことが記載されているといえる。
しかしながら、「外部量子効率」について最も高い値を示す結果が示された、記載事項(ソ)図21によれば、甲2の実施例の透光性蛍光セラミックスにおける「内部量子効率」及び「外部量子効率」は、「内部量子効率」については、「80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上」という値を示す波長領域が存在するものの、「外部量子効率」については、最大で60%程度であって、「80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上」の値を示すものはなく、本件発明18の「波長変換効率(WCE)」の「少なくとも0.650」という条件も満たさない。
また、甲2の記載事項(セ)には、「図20?24は、厚みが一定(0.6mm)で、前記Ce^(3+)置換量が異なる、Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce^(3+)透光性蛍光セラミックスの、透光性蛍光セラミックスの状態での内部量子効率(絶対値。光子変換効率であり、波長変換効率を示すものである。)、及び、外部量子光率(絶対値。光子変換効率であり、波長変換効率を示すものである。)を調べた結果である。」と記載されており、「内部量子効率」及び「外部量子光率」(当審注:「外部量子効率」の誤りであると認められる。)は、「光子変換効率」及び「波長変換効率」に対応する旨の記載もあるが、前記のとおり、「内部量子効率」と「外部量子効率」とは異なる値を示すから、そのいずれが本件発明18の「波長変換効率(WCE)」に相当するか、理解できない。
そうすると、甲2に記載された「透光性蛍光セラミックス」は、本件発明18で意味するところの「波長変換効率(WCE)」に換算して、「少なくとも0.650」であるとはいえないし、甲1発明に甲2に記載された技術事項を適用したとしても、「少なくとも0.650」という「波長変換効率(WCE)」を達成できるといえないから、当該主張は採用できない。

したがって、本件発明18は、甲1に記載された発明に基づいて、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明19、25、27、29について
本件発明19、25、27は、本件発明18をさらに限定する発明であって、本件発明18と同じく、「焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること」を発明特定事項とする発明であるから、(3)で述べたとおりの理由により、甲1に記載された発明に基づいて、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明29も、本件発明18と同じく、「焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること」を発明特定事項とする発明であるから、(3)で述べたとおりの理由により、甲1に記載された発明に基づいて、あるいは、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.申立理由2)について
(1)甲3の記載事項
甲3には、「Method for manufacture of transparent ceramics」(発明の名称:日本語訳「透明セラミックスの製造方法」)について、次の記載がある(日本語訳については、特許異議申立書に記載された(訳文)及び甲3のパテントファミリーである特表2010-538959号公報の対応箇所を参照した。以下、同じ。)。
(タ)「FIELD OF THE INVENTION
[0002] The invention relates to transparent ceramics. In particular, this invention relates to manufacture of transparent ceramics such as but not limited to transparent yttrium aluminum garnet ("YAG").」
(日本語訳:「本発明の分野
[0002] 本発明は透明セラミックスに関する。特に、本発明は、限定されないが、透明イットリウムアルミニウムガーネット(「YAG」)などの透明セラミックスの製造に関する。」)
(チ)「BACKGROUND OF THE INVENTION
[0003] Transparent ceramics are useful as optical materials in applications such as host crystals in solid-state lasers, transparent armor, as well in IR windows and domes. YAG, due to its high thermal conductivity, strong crystal fields, and optical transmission over a broad spectral range is an excellent material for these applications.」
(日本語訳:「本発明の背景
[0003] 透明セラミックスは、固体レーザー、透明なアーマーならびにIRウィンドウおよびドームにおける母体結晶などの用途における光学材料として有用である。YAGは、その高熱伝導性、強結晶場、および広範なスペクトル領域にわたる光の透過に起因するため、それらの用途についての優れた材料である。」)
(ツ)「[0022]・・・Where transparent YAG products are produced, the products may be undoped YAG as well as doped YAG, such as but not limited to YAG doped with rare earth dopants such as but not limited to Ce, Dy, Er, Eu, Gd, Ho, La, Lu, Nd, Pm, Pr, Sm, Tb, Tm, Yb and mixtures thereof.」
(日本語訳:「[0022]・・・透明YAG生成物が生成される場合、その生成物は、ドープされていないYAGであっても、ドープされたYAG、例えば、限定されないが、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pm、Pr、Sm、Tb、Tm、Ybおよびそれらの混合物などの希土類ドーパントで、限定されないが、ドープされたYAGであってもよい。」)
(テ)「[0065] A 250 ml high density polyethylene mill jar is filled to 33.3% vol capacity with 5 mm diameter Y_(2)O_(3)-stabilized ZrO_(2) milling media.・・・
[0066] Y_(2)O_(3) powder (99.9999% pure, 5000 nanometer dia. HJD International) and Al_(2)O_(3) powder (grade AKP-50, 99.999% pure, 300 nanometer dia., Sumitomo Chemical Company, Ltd.), are dried at 100℃. for 24 hrs and added to the mill jar while still hot from the drying oven to produce a mixture. ・・・
[0067]・・・ The contents of the mill jar are poured through a sieve into a beaker to separate the milling media from the milled slurry. Seven milliliters of a rinse solution formed of equal parts by weight of xylene and ethyl alcohol are used to rinse the media and mill jar to recover residual milled slurry. The recovered residual slurry and rinse solution are added to the milled slurry in the beaker, stirred with a magnetic stir bar at room temperature for 25 minutes, and then cast using a doctor blade that has a gap of 0.3 mm onto a silicone-coated Mylar carrier moving at 38 cm/min to produce a cast tape.
The cast tape is dried at room temperature in air for 1 hour to yield a dried tape that has a thickness of 0.1 mm. The dried tape is removed from the carrier and cut into 30 mm×30 mm pieces. Thirty of these pieces are stacked into an assembly that is laminated under a uniaxial pressure of 5 MPa for 15 minutes at 74℃. to yield a preform. The preform then is isostatically compressed at 74℃. at a pressure of 20 MPa for 30 minutes. The preform then is heated in air at 0.5℃./min to 500℃., held at 500℃. for 60 minutes to burn out organics, followed by natural cool-down to yield a green preform. The green preform then is sintered in a vacuum of 10^(-3) Torr while heating at 10℃./min to 1800℃., holding at 1800℃. for 16 hrs, and then cooling at 20℃./min to room temperature to produce a 2.7 mm thick transparent YAG product.」
(日本語訳:「[0065] 250mlの高密度ポリエチレンミルジャーを、5mm直径のY_(2)O_(3)安定化ZrO_(2)粉末媒体で33.3%容積容量まで充填する。・・・
[0066] Y_(2)O_(3)粉末(99.9999%純度、5000ナノメートル直径、HJD International)およびAl_(2)O_(3)粉末(グレードAKP-50、99.999%純度、300ナノメートル直径、Sumitomo Chemical Company,Ltd.)を24時間、100℃で乾燥させ、乾燥オーブンからまだ熱い状態でミルジャーに加えて、混合物を調整する。・・・
[0067]・・・ ミルジャーの内容物をビーカーに篩を通して注ぎ、粉砕されたスラリーから粉砕媒体を分離する。キシレンおよびエチルアルコールの等量の重量の7ミリリットルのリンス溶液を、媒体およびミルジャーをリンスするために使用して、残りの粉砕されたスラリーを回収する。回収された残りのスラリーおよびリンス溶液を、ビーカー内の粉砕されたスラリーに加え、25分間、室温にて磁気攪拌バーで攪拌し、次いで、38cm/分で移動するシリコンでコーティングされたMylarキャリア上で0.3mmのギャップを有するドクターブレードを用いて成形して、成形テープを得る。
その成形テープを、1時間、空気中で室温にて乾燥させ、0.1mmの厚さを有する乾燥テープを得る。その乾燥テープをキャリアから取り除き、30mm×30mmピースに切断する。これらのピースのうちの30個を、15分間、74℃にて5MPaの一軸加圧下で積層されるアセンブリに積み重ねて、プレフォームを得る。次いで、そのプレフォームを、30分間、20MPaの圧力で74℃にて静水圧加圧する。次いで、そのプレフォームを、0.5℃/分にて500℃まで空気中で加熱し、60分間500℃にて保持して有機物を燃焼し、続いて、自然に冷やしてグリーンプレフォームを得る。次いで、10℃/分にて1800℃まで加熱し、16時間、1800℃に保持しながら、グリーンプレフォームを10^(-3)Torrの真空中で焼結し、次いで、20℃/分にて室温まで冷却して、2.7mm厚さの透明YAGを生成する。」)
(ト)「[0099] In the present example, a structure formed of an inner section of 10 layers of 0.1 mm thick 1 at. % Nd doped YAG between two outer sections each formed of 10 layers of 0.1 mm thick undoped YAG. Each of the layers of undoped YAG is made according to example 1. Each of the layers of 1 at. % Nd doped YAG is made according to the procedure of example 12 except that 1 atomic % Nd based on the yttrium content of the Y_(2)O_(3) powder is substituted for Er where Nd is provided in the form of Nd_(2)O_(3) (Aldrich, 100 nm, 99.9%). The layers then are assembled into a stack, compressed uniaxially at 5 MPa and 74℃. and subsequently laminated isostatically at 20 MPa and 74℃. to produce a preform. The preform then is heated to burn out organics as in example 1 and also sintered according to the procedure of example 1.」
(日本語訳:「[0099] 本実施例において、2つの外側部分(各々、10層の0.1mm厚のドープされていないYAGから形成される)の間に10層の0.1mm厚の1at%NdでドープされたYAGの内側部分から形成される構造である。ドープされていないYAGの層の各々を、実施例1に従って作製する。Y_(2)O_(3)粉末のイットリウム含有量に基づいて1アトミック%のNdをErの代わりに置き換える(ここで、NdはNd_(2)O_(3)(Aldrich、100nm、99.9%)の形態で提供される)ことを除いて、1at%のNdでドープされたYAGの層の各々を、実施例12の手順に従って作製する。次いで、その層を積み重ねて合わせ、5MPaおよび74℃で一軸加圧し、続いて、20MPaおよび74℃で静水圧加圧により積層して、プレフォームを生成する。次いで、そのプレフォームを加熱して、実施例1のように有機物を燃焼し、また、実施例1の手順に従って焼結する。」)
(ナ)「[0104] A transparent YAG product formed of a 0.4 mm thick layer of 4 at % Nd^(3+) doped YAG sandwiched between layers of pure YAG is produced. The YAG product has a thickness of 4 mm. In this procedure, a stack formed of a 1.8 mm thick layer of YAG, a 0.4 mm thick layer of 4 at % Nd^(3+) doped YAG, and a 1.8 mm thick layer of undoped YAG produced according to example 1 are assembled into a stack. The undoped YAG layer is made according to example 1. The 4 at % Nd^(3+) doped YAG layer is made by according to the procedure of example 12 except that 4.0 atomic % Nd based on the yttrium content of the Y_(2)O_(3) powder is substituted for Er where Nd is provided in the form of Nd_(2)O_(3) (Aldrich, 100 nm, 99.9%). The stack is laminated and heat treated according to the procedure of example 10.」
(日本語訳:「[0104] 純粋なYAGの層の間に挟まれる、4at%のNd^(3+)でドープされた0.4mm厚のYAG層から形成される透明YAG生成物を生成させる。そのYAG生成物は4mmの厚さを有する。この手順において、1.8mm厚のYAG層、0.4mm厚の4at%のNd^(3+)でドープされたYAG層、及び、実施例1に従って生成される1.8mm厚のドープされていないYAG層を積み重ねて積層させる。ドープされていないYAGの層を実施例1に従って作製する。Y_(2)O_(3)粉末のイットリウム含有量に基づいて4.0at%のNdをErの代わりに置き換える(ここで、Ndは、Nd_(2)O_(3)(Aldrich、100nm、99.9%)の形態で提供される)ことを除いて、4at%のNd^(3+)でドープされたYAGの層を、実施例12の手順に従って作製する。その堆積層を薄片にし、実施例10の手順に従って熱処理する。」)
(ニ)「[0105] The procedure of example 1 except that 0.5 atomic % Er in the form of Er(NO_(3))_(3)・5H_(2)O (Alfa Aesar, 99.99%) based on the yttrium content of the Y_(2)O_(3) powder is added as a dopant when adding the powders to the slurry.」
(日本語訳:「[0105] 粉末をスラリーに加えるときに、Y_(2)O_(3)粉末のイットリウム含有量に基づいた0.5アトミック%のEr(Er(NO_(3))_(3)・5H_(2)O(Alfa Aesar、99.99%)の形態)を、ドーパントとして加えることを除いて実施例1の手順に従う。」)

(2)本件発明18と引用発明(甲3発明)との対比・判断
「(1)甲3の記載事項」によれば、甲3には、
「透明なYAG:Nd複合積層体を製造する方法であって、
ドクターブレードを用いて成形した成形テープを乾燥した0.1mm厚のドープされていないYAG乾燥テープから所定面積に切断したYAGピースを用いて、1.8mm厚のドープされていないYAG層を形成し、ドクターブレードを用いて成形した成形テープを乾燥した0.1mm厚の4at%のNd^(3+)でドープされたYAG:Nd乾燥テープから所定面積に切断したYAG:Ndピースを用いて、0.4mm厚の4at%のNd^(3+)でドープされたYAG層を形成し、
前記1.8mm厚のドープされていないYAG層と、前記0.4mm厚の4at%のNd^(3+)でドープされたYAG層と、前記1.8mm厚のドープされていないYAG層とを順次積層して、堆積層を形成し、
前記堆積層を20MPaの圧力で静水圧加圧して、プレフォームを作製し、
前記プレフォームを500℃で加熱し、
前記500℃で加熱したプレフォームを1800℃で加熱してYAG:Nd複合積層体を作製する、方法。」(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。
そして、本件発明18と甲3発明を対比すると、少なくとも下記(相違点1)-(相違点4)で相違している。

(相違点1)
本件発明18が、「発光YAG:Ce複合積層体を製造する方法」であるのに対し、甲3発明は、「YAG:Nd複合積層体を製造する方法」であって、当該「YAG:Nd複合積層体」が発光性を有するものであるか不明であり、YAGにドープされる元素も異なる点。

(相違点2)
積み重ねてアセンブリを形成するために提供されるテープが、本件発明18では、「非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープ」および「発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープ」であるのに対し、甲3発明の「1.8mm厚のドープされていないYAG層」および「0.4mm厚の4at%のNd^(3+)でドープされたYAG層」が、「非発光材料」、「発光材料」のいずれであるかは不明であり、「1.8mm厚のドープされていないYAG層」および「0.4mm厚の4at%のNd^(3+)でドープされたYAG層」を形成する「乾燥テープ」が、「キャストテープ」であるかも不明である点。

(相違点3)
本件発明18では、「グリーンプリフォームを焼結して発光YAG:Ce複合積層体を作製し」ているのに対し、甲3発明では、「前記加熱プリフォームを1800℃で加熱してYAG:Nd複合積層体を作製」しているものであって、当該「YAG:Nd複合積層体」が発光性を有するものであるか不明であり、YAGにドープされる元素も異なる点。

(相違点4)
本件発明18の「焼結後」の「発光YAG:Ce複合積層体」は、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有する」のに対し、甲3には、「波長変換効率(WCE)」の具体的な値についての記載がなく、甲3発明の「YAG:Nd複合積層体」が、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有する」か不明である点。

まず、上記(相違点4)について検討すると、「1.申立理由1)について(3)」で述べたように、本件発明18の「少なくとも0.650」という「波長変換効率(WCE)」は、出願時の技術水準から当業者が予測できない、際だって優れた作用効果であって、「波長変換効率(WCE)」で、「少なくとも0.650」を達成する手段についての記載や示唆もない甲3から、「YAG:Nd複合積層体」の「発光効率」を向上させ、「波長変換効率(WCE)」に換算して、「少なくとも0.650」となるまで高めることが、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、当該主張は採用できない。

この点につき特許異議申立人は、特許異議申立書の第25頁第17行-第21行で、「甲3発明における「YAG:Nd複合積層体」が波長変換し発光させることを目的とするものであれば、波長変換効率が高いほど良いことは、自明であると言わざるを得ない。よって、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)」は、甲3発明の設計的事項を表したにすぎない。」と主張している。
しかしながら、前記のとおり本件明細書の記載によれば、「少なくとも0.650」という「波長変換効率(WCE)」は、出願時の技術水準から当業者が予測できない、際だって優れた作用効果である一方、そのような高い「波長変換効率(WCE)」を達成できる手段は、甲3に記載も示唆もされておらず、当業者の技術常識から明らかであるともいえないから、「少なくとも0.650」という「波長変換効率(WCE)」が、設計的事項を表したにすぎないものであるとはいえない。

したがって、(相違点1)-(相違点3)について検討するまでもなく、本件発明18は、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明19、25、27、29について
本件発明19、25、27は、本件発明18をさらに限定する発明であって、本件発明18と同じく、「焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること」を発明特定事項とする発明であるから、(2)で述べたとおりの理由により、甲3に記載された発明に基づいて、又は、甲3および甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明29も、本件発明18と同じく、「焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること」を発明特定事項とする発明であるから、(2)で述べたとおりの理由により、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.申立理由3)について
特許異議申立人は、「訂正前の28、29に係る発明は、製造方法の発明を引用した物の発明に係る請求項であり、その物の製造方法が記載されていることに関して、特許権者に、「不可能・非実際的事情」が存在するとは考えられないから、明確性要件(特許法第36条第6甲第2号)違反の取消理由を有している(平成27年6月5日最高裁判決(平成24年(受)第1204号、同2658号))と主張している。
しかしながら、平成28年9月5日付けで行われた訂正の請求により、請求項28は削除され、請求項29に係る発明は、「物を生産する方法の発明」へと訂正されたため、「物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合」ではなくなったため、上記申立理由は理由がなくなった。

第5.特許異議申立人より提出された意見書の主張について
特許異議申立人は、平成28年10月25日付けで提出された意見書にて、「第4.特許異議の申立てについて」で判断した申立理由1)、2)について再度主張するとともに、訂正請求のあった請求項29について、下記のとおり主張している。

本件明細書の段落【0038】、【0052】および図9の記載によれば、「流動系熱化学合成されたYAG:Ce粉末」から形成された発光層は、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)」を満たすが、「固相合成」や「湿式溶液(共沈)合成」から形成された発光層は、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)」を満たさない。
よって、発光層を形成する発光材料の合成方法が特定されていない訂正後の本件発明29は、「少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)」を満たさない発光YAG:Ce複合積層体を製造する形態が含まれており、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるため、いわゆるサポート要件(特許法第36条第6項第1号)を満たしているとはいえず、取り消されるべきものである。

しかしながら、「発光層を形成する発光材料の合成方法」については、訂正前の請求項29にも、訂正のない請求項18、19、25、27にも、その特定がないものであるから、前記サポート要件(特許法第36条第6項第1号)違反の取消理由は、特許権者による訂正の請求に付随して生じたものであるとはいえない。
よって、訂正後の請求項29に対する前記サポート要件(特許法第36条第6項第1号)違反の取消理由についての主張は、申立理由の要旨を変更するものであるから、採用できない。

第6.むすび
以上のとおり、申立理由1)-3)によっては、訂正後の請求項18、19、25、27、29に係る特許を取り消すことはできない。
そして、本件訂正請求により、請求項28に係る特許は存在しなくなったので、当該請求項28に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光セラミック複合積層体であって、
流動系熱化学合成されたYAG:Ceを含む発光材料を含む少なくとも1つの波長変換セラミック層と、
実質的に透明なセラミック材料の少なくとも1つの非発光層と、
を含み、
波長変換セラミック層および非発光層は、厚み方向に積層されており、
発光セラミック複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有する、発光セラミック複合積層体。
【請求項2】
各非発光層は、各波長変換セラミック層より大きい厚みを有する、請求項1に記載のセラミック複合積層体。
【請求項3】
少なくとも1つの波長変換セラミック層の全体厚みの、少なくとも1つの非発光層の厚みに対する比は、1/3以下である、請求項2に記載のセラミック複合積層体。
【請求項4】
少なくとも1つの波長変換セラミック層の全体厚みの、少なくとも1つの非発光層の厚みに対する比は、1/10以下である、請求項2に記載のセラミック複合積層体。
【請求項5】
各波長変換層および各非発光層は、焼結セラミックテープキャスト層の形態である、請求項1に記載のセラミック複合積層体。
【請求項6】
発光材料は、高周波誘導結合熱プラズマ合成されたYAG:Ceを含む、請求項1に記載のセラミック複合積層体。
【請求項7】
少なくとも1つの非発光層に対向する少なくとも1つの波長変換セラミック層上に積層された少なくとも1つのさらなる非発光層をさらに含む、請求項1に記載のセラミック複合積層体。
【請求項8】
発光材料は、発光材料の主要な元素に対して0.05mol%?10.0mol%の濃度を有する活性化ドーパントを含み、実質的に透明なセラミック材料は、ノンドープのガーネット材料である、請求項1に記載のセラミック複合積層体。
【請求項9】
発光素子であって、
光の経路を照射するための発光源と、
光の経路内で発光源に隣接して配置されて、発光源から照射された光を受ける請求項1に記載のセラミック複合積層体と、
を含む、発光素子。
【請求項10】
各非発光層は、各波長変換セラミック層より大きい厚みを有する、請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
各波長変換セラミック層および各非発光層は、焼結セラミックテープキャスト層の形態である、請求項9に記載の発光素子。
【請求項12】
発光材料は、高周波誘導結合熱プラズマ合成されたYAG:Ceを含む、請求項9に記載の発光素子。
【請求項13】
波長変換セラミック層は、非発光層と発光源との間に配置されている、請求項9に記載の発光素子。
【請求項14】
非発光層は、波長変換セラミック層と発光源との間に配置されている、請求項9に記載の発光素子。
【請求項15】
発光材料は、発光材料の主要な元素に対して0.05mol%?10.0mol%の濃度を有する活性化ドーパントを含み、非発光材料は、ノンドープのガーネット材料である、請求項9に記載の発光素子。
【請求項16】
少なくとも1つの波長変換セラミック層の全体厚みの、少なくとも1つの非発光層の厚みに対する比は、1/3以下である、請求項9に記載の発光素子。
【請求項17】
少なくとも1つの波長変換セラミック層の全体厚みの、少なくとも1つの非発光層の厚みに対する比は、1/10以下である、請求項16に記載の発光素子。
【請求項18】
発光YAG:Ce複合積層体を製造する方法であって、
非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープおよび発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープを提供すること、
キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを形成すること、
アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製すること、
プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを作製すること、
グリーンプリフォームを焼結して発光YAG:Ce複合積層体を作製し、焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること、
を含む、方法。
【請求項19】
発光材料のキャストテープの提供は、焼結後に測定した場合に少なくとも0.650の波長効率を有する発光キャストテープを提供することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
非発光材料から形成されたキャストテープの提供は、
Y_(2)O_(3)3モル部、Al_(2)O_(3)5モル部、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合すること、
Y、Al、およびCeを実質的に含まない材料のボールを使用して混合物をボールミル粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製すること、
タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーに混合して、第2のスラリーを作製すること、
第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製すること、
粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、非発光キャストテープを作製すること、
非発光キャストテープを乾燥して、乾燥テープを作製すること、
複数層の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成すること、
積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くこと、
グリーンシートを焼結して、キャストテープとして使用される透明または半透明非発光セラミックシートを形成すること、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
非発光キャストテープは、YAG粉末を含み、前記キャストテープの各層は、100?200μmの厚みを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも0.650の波長変換効率を有するキャストテープの提供は、
30nm?500nmの粒子サイズを有する化学量論的に正確な蛍光体ナノ粒子の流動系熱化学合成を行うこと、
ナノ粒子を、粒子サイズが増大した実質的にすべてガーネット相の蛍光体ナノ粒子に実質的に変換するのに十分な温度で予備アニールすること、
予備アニールされた蛍光体ナノ粒子、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合すること、
粉砕される材料用の非酸素成分または潜在的ドーパントを含まない材料から構成されたボールを使用するボールミル粉砕を使用して混合物を粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製すること、
タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーに混合して、第2のスラリーを作製すること、
第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製すること、
粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、キャストテープを作製すること、
キャストテープを乾燥して、乾燥テープを作製すること、
複数層の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成すること、
積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くこと、
グリーンシートを焼結して、キャストテープとして使用される透明または半透明発光セラミックシートを形成すること、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ナノ粒子は、流動系熱化学合成法によって合成されたセリウムをドープした酸化イットリウムアルミニウムを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ナノ粒子は、高周波誘導結合熱プラズマを使用して合成されたセリウムをドープした酸化イットリウムアルミニウムである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記複合積層体内で体積または表面特徴を決めることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記複合積層体内で空隙特徴を決めることをさらに含み、前記空隙特徴は、複合積層体に貫通または部分的に貫通する開口から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
複合積層体の表面上に突出形状を有する表面特徴を作製することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】(削除)
【請求項29】
発光YAG:Ce複合積層体を含む発光素子を製造する方法であって、
非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープおよび発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープを提供すること、
キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを形成すること、
アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製すること、
プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを作製すること、
グリーンプリフォームを焼結して発光YAG:Ce複合積層体を作製し、焼結後に、発光YAG:Ce複合積層体は、少なくとも0.650の波長変換効率(WCE)を有すること、
を含む、方法。
【請求項30】
発光セラミック複合積層体であって、
流動系熱化学合成されたYAG:Ceを含む発光材料および散乱材料を含む少なくとも1つの波長変換セラミック層と、
実質的に透明なセラミック材料の少なくとも1つの非発光層と、
を含み、
波長変換セラミック層および非発光層は、厚み方向に積層されており、積層された複合体は、800nmで測定された、40%?85%の全透過率を有する、発光セラミック複合積層体。
【請求項31】
散乱材料は、Al_(2)O_(3)、Y_(2)O_(3)、およびMgOの群から選択された金属酸化物を含む、請求項30に記載の発光セラミック積層体。
【請求項32】
少なくとも1つの非発光層に対向する少なくとも1つの波長変換セラミック層上に積層された少なくとも1つのさらなる非発光層をさらに含む、請求項30に記載の発光セラミック積層体。
【請求項33】
非発光層の屈折率は、波長変換セラミック層の屈折率未満である、請求項30に記載の発光セラミック積層体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-11-28 
出願番号 特願2012-552014(P2012-552014)
審決分類 P 1 652・ 537- YAA (C04B)
P 1 652・ 121- YAA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浅野 裕之  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 萩原 周治
大橋 賢一
登録日 2015-06-19 
登録番号 特許第5763683号(P5763683)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 発光セラミック積層体およびその作製方法  
代理人 特許業務法人ユニアス国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  

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