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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10L |
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管理番号 | 1326619 |
審判番号 | 不服2015-10541 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-03 |
確定日 | 2017-03-29 |
事件の表示 | 特願2013- 83039「信号符号化及び復号化方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 5日出願公開、特開2013-174899〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年11月20日(パリ条約に基づく優先権主張 平成20年12月10日 中国(CN))を国際出願日とする特願2011-539879号の一部を平成25年4月11日に新たな特許出願とするものであって、同年11月29日付け拒絶理由通知に対して、平成26年6月2日付けで手続補正がなされたが、平成27年1月30日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年6月3日付けで拒絶査定不服審判が請求されると共に手続補正がなされ、平成28年3月16日付け当審の拒絶理由通知に対して、同年9月23日付けで手続補正がなされた。 第2 平成28年3月16日付け当審の拒絶理由通知の概要 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 ・請求項 1,2 ・備考 本願発明は、入力信号の高周波信号を適応的に符号化するものにおいて、高周波信号のタイプが過渡信号と非過渡信号とを含むものであるところ、請求項1および2には、過渡信号をどのように符号化することは記載されているものの、非過渡信号をどのように符号化するかは記載されていない。 よって、請求項1,2に係る発明(信号符号化方法)は明確でない。 ・補正の示唆 非過渡信号の符号化方法(どのエンベロープを符号化するのか)を明確にされたい。 第3 本願発明 本願の請求項1および2に係る発明(以下、「本願発明1」および「本願発明2」という。)は、平成28年9月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1および2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。なお、下線部は、補正された事項である。 「【請求項1】 入力信号の高周波信号に対して、分類判定プロセスを実行し、 前記分類判定プロセスの結果に従って、前記高周波信号を適応的に符号化し、 低周波信号の符号化されたビットストリームと、前記高周波信号の適応的に符号化されたビットストリームと、前記分類判定プロセスの前記結果と、を出力すること を含み、 前記入力信号の前記高周波信号に対して前記分類判定プロセスを実行することが、 前記高周波信号のパラメータを計算し、 前記パラメータと、判定メカニズムとに従って、前記高周波信号の現在のフレームのタイプを判定すること を含み、 前記高周波信号の現在のフレームのタイプが、過渡信号である場合、 前記分類判定プロセスの結果に従って、前記高周波信号を適応的に符号化することが、前記過渡信号に対して、4つの時間エンベロープを符号化し、4つのスペクトルエンベロープを符号化することを含む、 信号符号化方法。 【請求項2】 入力信号の高周波帯域信号に対して、分類判定プロセスを実行するように構成された、符号分類モジュールと、 前記分類判定プロセスの結果に従って、前記高周波帯域信号を適応的に符号化するように構成された、適応的符号化モジュールと、 前記入力信号内の低周波帯域信号の符号と、前記高周波帯域信号の適応符号と、前記分類判定プロセスの前記結果と、を含む符号ストリームを出力するように構成された、符号ストリーム出力モジュールと を備え、 前記符号分類モジュールは、 前記高周波帯域信号のパラメータを計算するように構成された、信号解析ユニットと、 前記パラメータと、判定メカニズムとに従って、前記高周波帯域信号の現在のフレームのタイプを判定するように構成された、タイプ判定ユニット を備え、 前記高周波帯域信号の現在のフレームのタイプが、過渡信号である場合、 前記適応的符号化モジュールは、前記過渡信号に対して、4つの時間エンベロープを符号化し、4つのスペクトルエンベロープを符号化することで、前記分類判定プロセスの結果に従って、前記高周波帯域信号を適応的に符号化する、 信号符号化装置。」 第4 平成28年9月23日付け意見書の内容 1.平成28年3月16日起案(平成28年3月22日発送)の拒絶理由通知書に鑑み、出願人は同日付差出の手続補正書により特許請求の範囲を一部補正するとともに、本願発明の内容について以下に意見を申し述べます。 2.補正の説明 請求項1の「前記高周波信号のタイプが、過渡信号と、非過渡信号とを含み、」との記載を、「前記高周波信号の現在のフレームのタイプが、過渡信号である場合、」と補正しました。 同様に、請求項2の「前記高周波帯域信号のタイプが、過渡信号と、非過渡信号とを含み、」との記載を、「前記高周波帯域信号の現在のフレームのタイプが、過渡信号である場合、」と補正しました。 上記請求項1及び2への補正は主に明細書段落0040?0041の記載に基づき、記載を明確化するものであり、新規事項の追加には該当しないと思料します。 3.特許法第36条第6項第2号の拒絶について 拒絶理由通知においては、「本願発明は、入力信号の高周波信号を適応的に符号化するものにおいて、高周波信号のタイプが過渡信号と非過渡信号とを含むものであるところ、請求項1および2には、過渡信号をどのように符号化することは記載されているものの、非過渡信号をどのように符号化するかは記載されていない」ので、請求項1及び2に係る発明(信号符号化方法)は明確でないと拒絶されました。 これに対し、出願人は上述のように請求項1及び2を補正し、本発明の顕著な特徴が過渡信号に対する符号化処理にあることを明確にしました。 従いまして、ご指摘の不明な点は明確になったものと思料致しますので、再度御審査の上、特許査定を賜りますようお願い申し上げます。 第5 当審の判断 非過渡信号をどのように符号化するかが記載していないので請求項1および2は明確でない旨の拒絶理由(上記「第2」を参照。)を通知したが、本願発明1および2は、依然として「過渡信号である場合」の符号化を明確にしているだけで、「非過渡信号である場合」はどのような符号化を行うのか明確にした記載はない。 そして、非過渡信号を符号化する場合に「当業者であれば周知であって、且つ、ただ一つの」符号化方法しかないわけではなく、また、非過渡信号はどのような符号化方法で行っても良いというわけでもないから、非過渡信号を符号化する方法を明らかにしていない本願発明1および2は明確でない。 ここで、審判請求人は、意見書において、過渡信号に対する符号化処理を明確した点を主張しているが、本願発明1および2の補正前の請求項1および2には、そもそも過渡信号に対する符号化処理が明確に記載されており、当審の拒絶理由の対象になっていない。なお、審判請求人は、意見書を参照すると(上記「第4 3.」を参照。)、「非過渡信号をどのように符号化するかは記載されていない」点は認識していたと認められる。 よって、当審の拒絶理由の理由は解消していない。 第6 むすび 以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-10-27 |
結審通知日 | 2016-11-01 |
審決日 | 2016-11-14 |
出願番号 | 特願2013-83039(P2013-83039) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(G10L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 間宮 嘉誉 |
特許庁審判長 |
森川 幸俊 |
特許庁審判官 |
井上 信一 酒井 朋広 |
発明の名称 | 信号符号化及び復号化方法及び装置 |
代理人 | 中島 淳 |
代理人 | 加藤 和詳 |