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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C12M
審判 一部申し立て 2項進歩性  C12M
審判 一部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  C12M
管理番号 1326963
異議申立番号 異議2016-700529  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-09 
確定日 2017-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5830024号発明「多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置およびその方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5830024号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1?14]及び訂正後の請求項[16?25]について訂正することを認める。 特許第5830024号の請求項1,2,3,10,12,16に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯

特許第5830024号の請求項1,2,3,10,12,16に係る特許についての出願は,平成23年10月14日に特許出願され,平成27年10月30日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,特許異議申立人により特許異議の申立てがされ,平成28年9月30日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である平成28年11月25日に意見書の提出及び訂正の請求がされたものである。また,平成28年12月13日に異議申立人に対して訂正請求があった旨の通知を行ったものの,異議申立人からの応答はなかった。

2 訂正の適否についての判断

(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。

ア 請求項1,3に係る「密閉制御部と、を有する」を「密閉制御部と、を有するとともに、前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する」に訂正する。

イ 請求項4を削除する。

ウ 請求項5に係る「請求項4」を「請求項1乃至請求項3のいずれか」に訂正し,請求項6に係る「請求項4または請求項5」を「請求項1乃至3または請求項5」に訂正し,請求項7に係る「請求項4または請求項5」を「請求項1乃至請求項3または請求項5のいずれか」に訂正し,請求項8に係る「請求項1乃至請求項7」を「請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項7」に訂正し,請求項9に係る「請求項1乃至請求項8」を「請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項8」に訂正し,請求項10に係る「請求項1乃至請求項9」を「請求項1乃至3または請求項5乃至9」に訂正し,請求項11,14に係る「請求項1乃至請求項10」を「請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項10」に訂正し,請求項13に係る「請求項1乃至請求項12」を「請求項1乃至3または請求項5乃至請求項12」に訂正する。

エ 請求項16に係る「1または2以上の液収容部から、気体の吸引および吐出を行なう吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な前記各ノズルに着脱可能に装着した分注チップ」を「1または2以上の液収容部から、1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドに設けられた気体の吸引および吐出を行なう吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な前記各ノズルに着脱可能に装着した分注チップ」に訂正する。

オ 請求項16に係る「前記反応容器内を温度制御する」を「前記反応容器内を温度制御するとともに、前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に、測定端を前記移動機構を用いて前記反応容器に接近させて、該増幅用溶液中での光を受光して前記密閉液および/または密閉蓋で反応容器内に密閉した前記増幅用溶液中で生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定する」に訂正する。

カ 請求項18を削除する。

キ 請求項19に係る「請求項18」を「請求項16」に訂正し,請求項20に係る「請求項18または請求項19」を「請求項16または請求項19」に訂正し,請求項24に係る「請求項18乃至請求項23」を「請求項16または請求項19乃至請求項23」に訂正し,請求項25に係る「請求項16乃至請求項23」を「請求項16、請求項17または請求項19乃至請求項23」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記アの訂正は,特許請求の範囲の請求項4に記載された事項を請求項1,3に記載したものであるから,新規事項の追加に該当しない。また,請求項1,3に係る発明の核酸自動処理装置の構成要件を直列的に不可するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

上記オの訂正は,特許請求の範囲の請求項18に記載された事項を請求項16に記載したものであるから,新規事項の追加に該当しない。また,請求項16に係る発明の核酸自動処理方法の構成要件を直列的に付加するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

上記イ及びカの訂正は,請求項4,18を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

上記ウ及びキの訂正は,上記ア及びオの訂正に伴って引用する請求項を変更するものであるから,新規事項の追加に該当せず,また,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

上記エの訂正は,明細書の【0013】に記載されていた事項を請求項16に記載するものであるから,新規事項の追加に該当しない。また,請求項16には,「前記ノズル」との記載が存在していたものの,「ノズル」が記載されておらず誤記であったところ,当該誤記の訂正を目的とするものである。

そして,上記ア?ウの訂正は,一群の請求項[1?14]に対して請求されたものであり,上記エ?キの訂正は,一群の請求項[16?25]に対して請求されたものである。

(3)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正ア?キは特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項[1?14]及び訂正後の請求項[16?25]について訂正を認める。

3 特許異議の申立てについて

(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1,2,3,10,12,16に係る発明(以下「本件発明1,2,3,10,12,16」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1,2,3,10,12,16に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

本件発明1「気体の吸引および吐出を行う吸引吐出機構および該吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な分注チップを着脱可能に装着する1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドと、
核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部および1または2以上の反応容器を少なくとも有する容器群と、
前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とする移動機構と、
前記反応容器内を核酸増幅のための温度制御が可能な温度制御器と、
前記容器群の前記反応容器以外の所定収容部に収容され、前記ノズルを用いて前記反応容器にまで運搬可能であって該反応容器に収容した前記増幅用溶液を該反応容器内に密閉可能な密閉液および/または密閉蓋と、
前記反応容器への前記増幅用溶液の収容が完了すると、前記密閉液および/または密閉蓋が該増幅用溶液を前記反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構を制御する密閉制御部と、を有するとともに、
前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。」

本件発明2「前記容器群には、検体、増幅対象である核酸またはその断片を捕獲可能な磁性粒子が懸濁した磁性粒子懸濁液、前記増幅対象の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する2以上の液収容部をさらに有し、前記ノズルに装着した前記分注チップまたは前記容器群に設けられた液収容部の内部に磁場を及ぼしかつ除去することが可能で前記分注チップまたは前記液収容部の内壁に前記磁性粒子を吸着可能な磁力部をさらに有するとともに、前記吸引吐出機構、前記移動機構、および前記磁力部を制御して、前記検体から前記増幅対象の溶液を分離抽出して液収容部内に前記増幅用溶液の一部として収容する抽出制御部をさらに有する請求項1に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。」

本件発明3「気体の吸引および吐出を行う吸引吐出機構および該吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な分注チップを着脱可能に装着する1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドと、
核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部、1または2以上の反応容器、検体、増幅対象である核酸またはその断片を捕獲可能な磁性粒子が懸濁した磁性粒子懸濁液、前記増幅対象の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する2以上の液収容部、および2以上の分注チップを装着可能に収容する2以上のチップ収容部を少なくとも有する容器群と、
前記分注チップを前記ノズルから脱着可能な脱着機構と、
前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とする移動機構と、
前記反応容器内を核酸増幅のための温度制御が可能な温度制御器と、
前記ノズルに装着した前記分注チップまたは前記容器群に設けられた液収容部の内部に磁場を及ぼしかつ除去することが可能で前記分注チップまたは前記液収容部の内壁に前記磁性粒子を吸着可能な磁力部と、
前記容器群の前記反応容器以外の所定収容部に収容され、前記ノズルを用いて前記反応容器にまで運搬可能であって該反応容器に収容した前記増幅用溶液を該反応容器内に密閉可能な密閉液および/または密閉蓋と、
前記吸引吐出機構、前記移動機構、前記脱着機構および前記磁力部を制御して、前記分注チップを前記ノズルに装着して前記検体から前記増幅対象の溶液を分離抽出して液収容部内に前記増幅用溶液の一部として収容し前記分注チップを前記ノズルから脱着する抽出制御部と、
前記反応容器への前記増幅用溶液の収容が完了すると、前記密閉液および/または密閉蓋が該増幅用溶液を前記反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構を制御する密閉制御部と、を有するとともに、
前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。」

本件発明10「前記密閉蓋は前記ノズルの先端部に嵌合して装着可能な嵌合部を有し、該密閉蓋および分注チップを前記ノズルから脱着する脱着機構を有するとともに、前記密閉制御部は分注チップをノズルに装着して前記増幅用溶液を前記反応容器に収容した後、分注チップをノズルから脱着して前記密閉蓋をノズルに装着して前記増幅用溶液を前記反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構、前記移動機構および前記脱着機構を制御する請求項1乃至3または請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。」

本件発明12「前記密閉蓋が前記反応容器の開口部を閉塞した場合には、前記密閉制御部は、前記吸引吐出機構または前記移動機構を制御して該密閉蓋を押圧または振盪する請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。」

本件発明16「容器群が有する核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部から、1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドに設けられた気体の吸引および吐出を行なう吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な前記各ノズルに着脱可能に装着した分注チップ、前記気体の吸引吐出を行なう吸引吐出機構および前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とする移動機構を用いて前記容器群に設けられた核酸増幅のための温度制御がされる反応容器に前記増幅用溶液を運搬し、前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構によって前記容器群の前記反応容器以外の所定収容部から密閉液および/または密閉蓋を前記反応容器内に前記ノズルを用いて運搬して前記増幅用溶液を前記反応容器内に密閉し、前記反応容器内を温度制御するとともに、
前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に、測定端を前記移動機構を用いて前記反応容器に接近させて、該増幅用溶液中での光を受光して前記密閉液および/または密閉蓋で反応容器内に密閉した前記増幅用溶液中で生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1,2,3,10,12,16に係る特許に対して平成28年9月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。

ア 請求項1,10,12,16に係る発明は,甲第1号証に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができず,それらの発明に係る特許は取り消すべきものである。

イ 請求項1,2,3,10,12,16に係る発明は,甲第2号証に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができず,それらの発明に係る特許は取り消すべきものである。

ウ 請求項2,3に係る発明は、甲第1?4号証に記載された発明に基づき,容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,それらの発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(3)甲号証の記載
甲第1?4号証のいずれの証拠にも,核酸自動処理装置が「反応容器内に密閉された増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端をノズルヘッドに設け、増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に測定端を反応容器に接近させるように移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部」を有することが記載されていない。
また,甲第1?4号証のいずれの証拠にも,核酸自動処理方法において,「増幅用溶液を反応容器へ密閉した後または密閉する際に、測定端を移動機構を用いて前記反応容器に接近させて、該増幅用溶液中での光を受光して反応容器内に密閉した前記増幅用溶液中で生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定する」ことが記載されていない。

(4)当審の判断
上記取消理由アについて,本件発明1,10,12は,甲第1号証に記載された発明と対比すると,「前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する」点で相違する。また,本件発明16は,甲第1号証に記載された発明と対比すると,「前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に、測定端を前記移動機構を用いて前記反応容器に接近させて、該増幅用溶液中での光を受光して前記密閉液および/または密閉蓋で反応容器内に密閉した前記増幅用溶液中で生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定する」点で相違する。
したがって,本件発明1,10,12,16は,甲第1号証に記載された発明ではない。

上記取消理由イについて,本件発明1,2,3,10,12に係る発明は,甲第2号証に記載された発明と対比すると,「前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する」点で相違する。また,本件発明16は,甲第2号証に記載された発明と対比すると,「前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に、測定端を前記移動機構を用いて前記反応容器に接近させて、該増幅用溶液中での光を受光して前記密閉液および/または密閉蓋で反応容器内に密閉した前記増幅用溶液中で生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定する」点で相違する。
したがって,本件発明1,2,3,10,12,16は,甲第2号証に記載された発明ではない。

上記取消理由ウについて,本件発明2,3は,甲第1号証に記載された発明と対比すると,「前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する」点で相違する。そして,当該相違点に関する事項は,甲第2?4号証のいずれにも記載されていない。一方,当該事項により,本件発明2,3は,明細書【0080】に記載されるように「密閉機能によって密閉状態となった増幅用溶液中での光学的状態を測定する測定機能が分注装置の移動機構を利用することで備えられてより一層多機能化され、それによって核酸等に関する処理の一貫性が装置規模を拡大することなく高められ、製造費用を削減することができる」という顕著な効果を奏する。
したがって,本件発明2,3は,甲第1?4号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件請求項1,2,3,10,12,16に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件請求項1,2,3,10,12,16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の吸引および吐出を行う吸引吐出機構および該吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な分注チップを着脱可能に装着する1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドと、
核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部および1または2以上の反応容器を少なくとも有する容器群と、
前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とする移動機構と、
前記反応容器内を核酸増幅のための温度制御が可能な温度制御器と、
前記容器群の前記反応容器以外の所定収容部に収容され、前記ノズルを用いて前記反応容器にまで運搬可能であって該反応容器に収容した前記増幅用溶液を該反応容器内に密閉可能な密閉液および/または密閉蓋と、
前記反応容器への前記増幅用溶液の収容が完了すると、前記密閉液および/または密閉蓋が該増幅用溶液を前記反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構を制御する密閉制御部と、を有するとともに、
前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項2】
前記容器群には、検体、増幅対象である核酸またはその断片を捕獲可能な磁性粒子が懸濁した磁性粒子懸濁液、前記増幅対象の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する2以上の液収容部をさらに有し、前記ノズルに装着した前記分注チップまたは前記容器群に設けられた液収容部の内部に磁場を及ぼしかつ除去することが可能で前記分注チップまたは前記液収容部の内壁に前記磁性粒子を吸着可能な磁力部をさらに有するとともに、前記吸引吐出機構、前記移動機構、および前記磁力部を制御して、前記検体から前記増幅対象の溶液を分離抽出して液収容部内に前記増幅用溶液の一部として収容する抽出制御部をさらに有する請求項1に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項3】
気体の吸引および吐出を行う吸引吐出機構および該吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な分注チップを着脱可能に装着する1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドと、
核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部、1または2以上の反応容器、検体、増幅対象である核酸またはその断片を捕獲可能な磁性粒子が懸濁した磁性粒子懸濁液、前記増幅対象の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する2以上の液収容部、および2以上の分注チップを装着可能に収容する2以上のチップ収容部を少なくとも有する容器群と、
前記分注チップを前記ノズルから脱着可能な脱着機構と、
前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とする移動機構と、
前記反応容器内を核酸増幅のための温度制御が可能な温度制御器と、
前記ノズルに装着した前記分注チップまたは前記容器群に設けられた液収容部の内部に磁場を及ぼしかつ除去することが可能で前記分注チップまたは前記液収容部の内壁に前記磁性粒子を吸着可能な磁力部と、
前記容器群の前記反応容器以外の所定収容部に収容され、前記ノズルを用いて前記反応容器にまで運搬可能であって該反応容器に収容した前記増幅用溶液を該反応容器内に密閉可能な密閉液および/または密閉蓋と、
前記吸引吐出機構、前記移動機構、前記脱着機構および前記磁力部を制御して、前記分注チップを前記ノズルに装着して前記検体から前記増幅対象の溶液を分離抽出して液収容部内に前記増幅用溶液の一部として収容し前記分注チップを前記ノズルから脱着する抽出制御部と、
前記反応容器への前記増幅用溶液の収容が完了すると、前記密閉液および/または密閉蓋が該増幅用溶液を前記反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構を制御する密閉制御部と、を有するとともに、
前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定可能な測定部を有し、前記発光等に基づく光を受光する1または2以上の測定端を前記ノズルヘッドに設け、前記増幅対象を含む前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に前記測定端を前記反応容器に接近させるように前記移動機構を制御して前記測定を可能とする測定制御部、を有する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記密閉液および/または密閉蓋は透光性を有し、前記測定制御部は、該反応容器内の前記増幅用溶液を密閉した前記密閉液および/または密閉蓋を通してその上側から前記光学的状態を測定可能とするように前記移動機構を制御する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項6】
前記測定部は、前記吸引吐出機構と接続され前記ノズル内を通る流管の開口が設けられた前記ノズルの先端面を通して光の受光または照射可能な1または2以上の光ファイバが前記ノズル内を通るように設けられ、該先端面が前記測定端に相当する請求項1乃至請求項3または請求項5のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項7】
前記測定部の測定端は、前記ノズルの先端部と所定間隔を空けて離して前記ノズルと連動するように前記ノズルヘッドに設けられ、前記容器群の前記反応容器の開口部に上側から接近して前記密閉液および/または密閉蓋を介して受光または照射を可能とする請求項1乃至請求項3または請求項5のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項8】
前記密閉制御部は、前記ノズルに前記分注チップを装着した後に、該分注チップで前記容器群の前記所定収容部から前記密閉液を所定量吸引して前記増幅用溶液が収容された前記反応容器に前記密閉液を吐出することで前記密閉液を運搬して前記増幅用溶液を反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構および前記移動機構を制御する請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項9】
温度制御可能な前記反応容器は、前記増幅用溶液が収容される細管部または薄管部と、該細管部または該薄管部と連通し該細管部または薄管部の上側に設けられ、前記細管部または薄管部の開口よりも広い開口を有し前記密閉液が収容される広口管部とを有するとともに、前記密閉制御部は、前記増幅用溶液量に基づいて、前記密閉液が前記広口管部にまで到達する量を前記反応容器に収容するように制御する請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項10】
前記密閉蓋は前記ノズルの先端部に嵌合して装着可能な嵌合部を有し、該密閉蓋および分注チップを前記ノズルから脱着する脱着機構を有するとともに、前記密閉制御部は分注チップをノズルに装着して前記増幅用溶液を前記反応容器に収容した後、分注チップをノズルから脱着して前記密閉蓋をノズルに装着して前記増幅用溶液を前記反応容器内に密閉するように前記吸引吐出機構、前記移動機構および前記脱着機構を制御する請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項11】
前記容器群には前記密閉液および密閉蓋を有し、該密閉蓋は前記ノズルの先端部に嵌合して装着可能な嵌合部を有し、該密閉蓋および分注チップを前記ノズルから脱着する脱着機構を有するとともに、前記密閉制御部は、前記増幅用溶液の前記反応容器内への収容が完了すると、前記密閉液を前記所定収容部に運搬した後、該分注チップをノズルから脱着して前記密閉蓋を前記ノズルに装着して該反応容器に運搬してその開口部を密閉するように前記移動機構および前記脱着機構を制御する請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項10のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項12】
前記密閉蓋が前記反応容器の開口部を閉塞した場合には、前記密閉制御部は、前記吸引吐出機構または前記移動機構を制御して該密閉蓋を押圧または振盪する請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項13】
前記密閉蓋を加熱する加熱部を、前記ノズルの先端部に設けるとともに、前記密閉制御部は前記密閉液が前記反応容器内に収容されていない場合には、該密閉蓋による前記反応容器の開口部の密閉の後に前記密閉蓋を加熱するように前記加熱部を制御する請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項12のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項14】
前記容器群は、液体を収容しまたは収容可能な1列状に形成された複数の収容部からなる液収容部群と、前記ノズルに装着して用いる器具を収容しまたは収容可能な1列状に形成される複数の収容部からなる器具収容部群とを並列に配列した1または2以上の収容部連からなり、前記液収容部群には、少なくとも前記温度制御器によって温度制御可能な1または2以上の前記反応容器、検体、核酸またはその断片の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液、磁性粒子懸濁液および核酸若しくはその断片の増幅に用いる増幅用溶液を予め収容しまたは収容可能な試薬等収容部群を有し、前記器具収容部群には、少なくとも前記ノズルに装着可能な1または2以上の分注チップおよびプレパック用フィルムの穿孔を行う穿孔用チップを前記ノズルに装着可能な状態で収容しまたは収容可能であり、前記液収容部群には前記密閉液および/または前記器具収容部群には密閉蓋が収容された請求項1乃至請求項3または請求項5乃至請求項10のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項15】
気体の吸引および吐出を行なう吸引吐出機構と、分注チップを着脱可能に装着する2以上のノズルを有するノズルヘッドと、1の前記ノズルが進入し他のノズルが進入しない各ノズルに対応した2以上の各専用領域内に配列され、核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部、核酸またはその断片を捕獲可能な磁性粒子が懸濁した磁性粒子懸濁液を収容する液収容部、検体を収容する液収容部、核酸またはその断片の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する2以上の液収容部、および反応容器、前記ノズルを用いて前記反応容器にまで運搬可能であって前記反応容器に収容した前記増幅用溶液を前記反応容器内に密閉可能な密閉液および/または密閉蓋を少なくとも有する容器群と、前記各ノズルと前記各容器群との間を相対的に移動可能とするとともに各ノズルの移動を前記各専用領域内に制限する移動機構と、前記ノズルに装着された各分注チップの内壁に前記磁性粒子を吸着可能な磁力部と、前記反応容器内を核酸増幅のための温度制御が可能であって各容器群に設けられた温度制御器と、前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色または変光を含む光学的状態を測定可能であって、該発光等に基づく光を受光する各測定端を前記各専用領域に対応して前記ノズルヘッドに設けた測定部と、少なくとも前記吸引吐出機構、前記移動機構、前記温度制御器または前記磁力部を制御することによって、前記分注チップによる前記磁性粒子懸濁液および前記分離抽出用溶液を用いた検体からの核酸またはその断片の分離および抽出、前記分注チップによる抽出した該核酸またはその断片を含む前記増幅用溶液の混合、前記密閉液および/または密閉蓋による該増幅用溶液の前記反応容器への密閉、温度制御、および、前記測定端を前記密閉した前記反応容器に接近させて前記光学的状態の測定を各容器群に対して行なう核酸処理制御部とを有する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置。
【請求項16】
容器群が有する核酸増幅に用いる増幅用溶液を収容する1または2以上の液収容部から、1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッドに設けられた気体の吸引および吐出を行なう吸引吐出機構によって液体の吸引および吐出が可能な前記各ノズルに着脱可能に装着した分注チップ、前記気体の吸引吐出を行なう吸引吐出機構および前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とする移動機構を用いて前記容器群に設けられた核酸増幅のための温度制御がされる反応容器に前記増幅用溶液を運搬し、前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構によって前記容器群の前記反応容器以外の所定収容部から密閉液および/または密閉蓋を前記反応容器内に前記ノズルを用いて運搬して前記増幅用溶液を前記反応容器内に密閉し、前記反応容器内を温度制御するとともに、
前記増幅用溶液を前記反応容器へ密閉した後または密閉する際に、測定端を前記移動機構を用いて前記反応容器に接近させて、該増幅用溶液中での光を受光して前記密閉液および/または密閉蓋で反応容器内に密閉した前記増幅用溶液中で生ずる発光、呈色、変色、変光を含む光学的状態を測定する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項17】
前記容器群には、検体、増幅対象である核酸またはその断片を捕獲可能な磁性粒子が懸濁した磁性粒子懸濁液、前記増幅対象の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する2以上の液収容部、および1または2以上の分注チップを収容するチップ収容部をさらに有し、前記分注チップを用いて前記検体と前記分離抽出用溶液としての該検体に含有するタンパク質を分解または溶解する溶解液とを混合して反応させ、該反応液と前記磁性粒子懸濁液とを混合して反応させて該磁性粒子に前記増幅対象を捕獲させ、前記ノズルヘッドに設けた磁力部を用いて、前記分注チップまたは液収容部内に磁場を及ぼすことで該分注チップまたは液収容部の内壁に前記磁性粒子を吸着させて磁性粒子を分離し、前記容器群に収容された他の分離抽出溶液としての解離液と前記磁性粒子とを接触させて、該磁性粒子から前記増幅対象を解離して、該増幅対象の溶液を前記増幅用溶液の一部として液収容部に収容する請求項16に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項18】
(削除)
【請求項19】
前記測定工程は、前記ノズルヘッドに設けられた前記測定端を、前記移動機構を用いて、前記反応容器内に前記増幅用溶液を密閉した前記密閉液および/または密閉蓋の上側に位置させて、透光性のある密閉液および/または密閉蓋を通して前記増幅用溶液内を測定する請求項16に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項20】
前記測定工程は、前記ノズルの先端部と所定間隔を空けて離して該ノズルと連動するように前記ノズルヘッドに設けられた測定端を移動して前記反応容器の前記増幅用溶液を収容する部分の開口部の広さおよび形状に対応する光線束を前記密閉液および/または密閉蓋を介して入射しまたは照射する請求項16または請求項19に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項21】
前記密閉工程は、前記ノズルに前記分注チップを装着した後に、前記密閉液を、該分注チップ、前記吸引吐出機構および前記移動機構を用いて前記容器群の前記所定収容部から所定量運搬して前記反応容器内に吐出することで前記増幅用溶液を前記反応容器内に密閉する請求項17に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項22】
前記密閉は、分注チップをノズルに装着して前記増幅用溶液を反応容器に収容した後、該分注チップをノズルから脱着して、前記密閉蓋を、該密閉蓋の嵌合部で前記ノズルに装着して前記反応容器にまで運搬し、前記反応容器の開口部を閉塞することによって行う請求項17に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項23】
前記密閉は、前記増幅用溶液の前記反応容器内への収容が完了すると、前記密閉液を所定量前記反応容器に運搬し、さらに、該分注チップを前記ノズルから脱着し、前記密閉蓋を前記ノズルに装着して該反応容器に運搬してその開口部に嵌合する工程を有する請求項22に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項24】
前記密閉蓋を前記ノズルに装着して前記反応容器に運搬してその開口部を閉塞し、該密閉蓋を該ノズルに装着した状態で該ノズルまたは前記吸引吐出機構により押圧または振盪する工程を有する請求項16または請求項19乃至請求項23に記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項25】
前記密閉液が前記反応容器内に収容されていない場合には、前記反応容器の開口部を前記密閉蓋で閉塞した後、該反応容器の温度制御の際に、前記ノズルの先端部を加熱することによって前記密閉蓋を加熱する請求項16、請求項17または請求項19乃至請求項23のいずれかに記載の多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
【請求項26】
ノズルヘッドに設けた2以上のノズルに対し、1の前記ノズルが進入し他のノズルが進入しない各専用領域内に設けられた容器群が有する検体、磁性粒子懸濁液、核酸またはその断片の分離および抽出に用いる分離抽出用溶液を収容する液収容部群から、前記ノズルに着脱可能に装着した分注チップ、気体の吸引吐出を行なう吸引吐出機構および前記ノズルと前記容器群との間を相対的に移動可能とするとともに各ノズルの移動を前記専用領域内に制限する移動機構を用いて、前記検体、および前記分離抽出用溶液としてのタンパク質を分解または溶解する溶解液を反応容器にまで運搬し混合して反応させ、前記磁性粒子懸濁液を混合して反応させ、該磁性粒子に検体から得られた増幅対象の核酸またはその断片を捕獲させ、前記ノズルヘッドに設けた磁力部によって前記分注チップまたは液収容部内に磁場を及ぼすことでその内壁に前記磁性粒子を吸着させて分離し、分離した磁性粒子と解離液とを接触させることで前記核酸またはその断片を解離し、解離した核酸またはその断片を前記増幅用溶液の一部として前記吸引吐出機構および前記移動機構によって温度制御可能な反応容器に収容して混合し、
該増幅用溶液を、前記吸引吐出機構および前記移動機構、または前記移動機構によって前記容器群に収容された密閉液および/または密閉蓋で前記反応容器に密閉し、
密閉された前記増幅用溶液について前記温度制御器を用いて温度制御し、
前記密閉液および/または密閉蓋によって前記反応容器内に密閉された前記増幅用溶液中に生ずる発光、呈色、変色または変光を含む光学的状態を測定部の測定端を、前記密閉した前記反応容器に接近させて測定する多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-02-17 
出願番号 特願2012-538730(P2012-538730)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (C12M)
P 1 652・ 113- YAA (C12M)
P 1 652・ 832- YAA (C12M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柴原 直司  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 山崎 利直
高堀 栄二
登録日 2015-10-30 
登録番号 特許第5830024号(P5830024)
権利者 ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社
発明の名称 多機能分注ユニットを利用した核酸自動処理装置およびその方法  
代理人 土橋 皓  
代理人 土橋 皓  

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