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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1328452
審判番号 不服2016-12814  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-25 
確定日 2017-05-18 
事件の表示 特願2014-128148「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月26日出願公開、特開2015- 57636〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成26年6月23日(優先権主張平成25年8月10日)の出願であって、手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 5月 1日付け: 拒絶理由の通知
平成27年 7月10日付け: 意見書及び手続補正書の提出
平成27年11月 2日付け: 拒絶理由の通知(最後)
平成27年12月22日付け: 意見書及び手続補正書の提出
平成28年 2月 1日付け: 平成27年12月22日付け手続補正書による補正の却下の決定及び拒絶理由の通知(最後)
平成28年 7月28日付け: 拒絶の査定
平成28年 8月25日付け: 審判請求書及び手続補正書の提出
平成29年 1月11日付け: 上申書の提出

第2 平成28年8月25日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、平成27年7月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。

「記録材を収容する記録材収容部と、
前記記録材収容部から搬送された記録材にトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により記録材に形成されたトナー像を熱定着する定着部と、
前記記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報を格納する格納部と、
操作者により所定の操作が行われたことを検出する検出部と、
画像形成命令を受ける前に前記検出部が操作者による所定の操作を検出したことに伴い、前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って前記定着部の立上げ処理を実行させる実行部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所である。)。

「記録材を収容する記録材収容部と、
前記記録材収容部から搬送された記録材にトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により記録材に形成されたトナー像を熱定着する定着部と、
前記記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報を格納する格納部と、
操作者により所定の操作が行われたことを検出する検出部と、
画像形成命令を受ける前に前記検出部が操作者による所定の操作を検出したことに伴い前記定着部の立上げ処理を先行して開始させるとともに、前記定着部の立上げ処理を前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って実行させる実行部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。」

以上より、本件補正は、請求項1に「前記定着部の立上げ処理を先行して開始させるとともに、前記定着部の立上げ処理を」の記載を追加する補正事項を含むものである。

2 補正の適否
本件補正の上記補正事項は、特許請求の範囲の請求項1の「実行部」を、「定着部の立上げ処理を先行して開始させるとともに、前記定着部の立上げ処理を」格納部に格納された情報に応じた時間に亘って実行させるものに限定するものである。また、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野は、「記録材にトナー像を形成する画像形成装置」(本願発明の詳細な説明【0001】)である点で同一であり、解決しようとする課題は「操作者の待ち時間を可及的に短くするとともにエネルギーの消費量を抑制することができる画像形成装置を提供すること」(本願発明の詳細な説明【0009】)である点で同一である。
したがって、本件補正の上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について、以下検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。

(2)刊行物の記載事項
ア 特開2009-37208号公報(以下「引用文献1」という。)
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。

(ア)「【請求項1】
画像形成装置において、
加熱されることによりトナー画像を媒体に定着させる定着手段と、
前記画像形成装置に対する所定の操作を検知する検知手段と、
前記定着手段の動作を制御するエンジン制御手段と、
前記エンジン制御手段との間で所定の開通処理を行うことにより使用可能となる通信線と、前記通信線と別個に設けられた専用線とを介して前記エンジン制御手段と接続された通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記検知手段から、前記操作を検知したことを示す検知信号を受信し、前記検知信号を受信した場合に、ユーザによる前記画像形成装置の操作を検知したことを示すユーザ操作信号を、前記開通処理の完了前に前記専用線を介して前記エンジン制御手段に送出し、
前記エンジン制御手段は、前記ユーザ操作信号を受信したか否かを判断し、前記ユーザ操作信号を受信したと判断した場合に前記定着手段を加熱するように制御すること、
を特徴とする画像形成装置。」
【請求項2】
前記検知手段は、前記定着手段への電力の供給を停止または制限する状態である省エネモードの解除を指示する省エネ解除スイッチであり、
前記通信制御手段は、前記省エネ解除スイッチの押下を検知したことを示す前記検知信号を前記省エネ解除スイッチから受信すること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。」

(イ)「【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電源投入時や省エネモード復帰時において迅速に画像形成することができるとともに、無駄な定着部の加熱を行うことがない画像形成装置、および定着加熱制御方法を提供することを目的とする。」

(ウ)「画像形成装置」の技術分野において、一般に、「画像形成装置」が「媒体を収容する媒体収容部と、前記媒体収容部から搬送された媒体にトナー像を形成する画像形成部」を備えることは技術常識であるから、上記(ア)に示された「画像形成装置」においても、上記の「媒体収容部」と「画像形成部」を備えていることは自明である。

(エ)上記(ア)において、「省エネ解除スイッチの押下を検知」したときに「定着手段を加熱する」場合、「エンジン制御手段」は、画像形成命令を受ける前に「省エネ解除スイッチの押下を検知したこと」を示す「ユーザ操作信号」を受信し、定着手段の加熱、つまり立上げ処理を、画像形成命令に対して先行して開始していることは自明である。

上記(ア)ないし(エ)より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から搬送された媒体にトナー像を形成する画像形成部と、
加熱されることによりトナー画像を媒体に定着させる定着手段と、
前記画像形成装置に対する所定の操作を検知する検知手段と、
前記定着手段の動作を制御するエンジン制御手段と、
通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記検知手段から、前記操作を検知したことを示す検知信号を受信し、前記検知信号を受信した場合に、ユーザによる前記画像形成装置の操作を検知したことを示すユーザ操作信号を、前記エンジン制御手段に送出し、
前記エンジン制御手段は、前記ユーザ操作信号を受信したと判断した場合に前記定着手段を加熱するように制御し、
前記検知手段は、前記定着手段への電力の供給を停止または制限する状態である省エネモードの解除を指示する省エネ解除スイッチであり、
前記通信制御手段は、前記省エネ解除スイッチの押下を検知したことを示す前記検知信号を前記省エネ解除スイッチから受信し、
省エネモード復帰時において迅速に画像形成することができ、
エンジン制御手段は、画像形成命令を受ける前に前記省エネ解除スイッチの押下を検知したことを示すユーザ操作信号を受信し、定着手段の立上げ処理を、画像形成命令に対して先行して開始する、
画像形成装置。」

イ 特開2006-30823号公報(以下「引用文献2」という。)
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献2には、以下の記載がある。

(ア)「【請求項1】
印刷命令を受け付ける受付手段と、
複数の給紙カセットと、各給紙カセットに収納される用紙の種類を対応付けて記憶する記憶手段と、
給紙カセットが指定されると、指定された給紙カセットと対応付けて記憶された用紙の種類に基いて、上記受付手段が印刷命令を受け付けるまでの間、定着ローラが保持されるデフォルト定着温度を決定する温度決定手段と、
上記受付手段が印刷命令を受け付けるまで、デフォルト定着温度で定着ローラを保持する温度制御手段とを備えたこと特徴とする画像形成装置。」

(イ)「【0003】
定着温度は、用紙の厚みなど用紙の種類等によって異なる。そのため、通常は普通紙に対応する定着温度で定着ローラを保持し、実施に印刷を行う際に印刷に使用される用紙に対応する定着温度まで定着ローラを上昇または低下させる形態が従来の画像形成装置に採られている。このような技術は、特開2003-15461号公報に開示されている。この公報には、印刷を行う際に用紙の厚みを検知して、検知した厚みに対応する温度まで定着ローラを上昇または低下させてから、印刷を行うことが記載されている。」
【0004】
しかし、上記公報に記載のように印刷を行う際に用紙の厚みに応じて定着温度を変更する場合、定着ローラが用紙の厚みに対応する定着温度になるまで印刷が実行できないので、印刷効率が低い。」

(ウ)「【0019】
ユーザによって、例えば頻繁に使用する薄紙が収納された給紙カセットCが操作パネル105で指定されると、上記温度決定手段303は、記憶手段306に給紙カセットCに対応付けられたデータに基いて温度を決定する。」

(エ)「【0024】
このように、給紙カセットを指定すると、その後、ユーザが指定した給紙カセットに収納される用紙の定着温度で定着ローラ208が保持される。
【0025】
上記のように薄紙の定着温度で定着ローラ208が保持されているときに、ユーザが、操作パネル105で用紙の種類を指定して、図1に示すスタートキー106を押下したとする。スタートキー106が押下されると、受付手段305は、スタートキー106が押下させるときに操作パネル105にて指定された用紙の種類を温度決定手段303に通知すると共に、印刷手段307に印刷命令があった旨を通知する。」

(オ)「【0029】
よって、スタートキー106が押下される前から定着ローラ208は薄紙の定着温度となっているので、薄紙を指定した場合は、直ぐに印刷を実行できる。」

(カ)上記(ア)の「受付手段が印刷命令を受け付けるまで、デフォルト定着温度で定着ローラを保持する温度制御手段」が温度制御を開始して、「定着ローラ」の温度が「デフォルト定着温度」になるまでの間は、(イ)【0004】のとおり「デフォルト定着温度」に対応する用紙を印刷できないから、「定着ローラ」は立ち上がっていないといえる。したがって、「温度制御手段」が温度制御を開始して「定着ローラ」が「デフォルト定着温度」となるよう制御することは、「定着ローラ」の立ち上げ処理といえるから、「温度制御手段」は「定着ローラの立ち上げ処理」を実行しているといえる。また、上記(ア)の記載より、「温度制御手段」は「印刷命令を受け付けるまで、デフォルト定着温度で定着ローラを保持する」ものであるから、前記「定着ローラの立ち上げ処理」は「印刷命令」に先行して開始されていることは自明であり、上記(イ)【0003】のとおり、定着温度は、用紙の厚みなど用紙の種類等によって異なるから、上記の「定着ローラの立ち上げ処理」にかかる時間は、上記(ア)の「指定された給紙カセットと対応付けて記憶された用紙の種類」に応じた時間となることは自明である。

上記(ア)ないし(カ)を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。

「印刷命令を受け付ける受付手段と、
複数の給紙カセットと、各給紙カセットに収納される用紙の種類を対応付けて記憶する記憶手段と、
給紙カセットが指定されると、指定された給紙カセットと対応付けて記憶された用紙の種類に基いて、上記受付手段が印刷命令を受け付けるまでの間、定着ローラが保持されるデフォルト定着温度を決定する温度決定手段と、
上記受付手段が印刷命令を受け付けるまで、デフォルト定着温度で定着ローラを保持する温度制御手段とを備えた画像形成装置であって、
定着温度は、用紙の厚みなど用紙の種類等によって異なり、
定着ローラが用紙の厚みに対応する定着温度になるまで印刷が実行できず、
上記温度制御手段は上記定着ローラの立ち上げ処理を実行し、上記定着ローラの立ち上げ処理は上記印刷命令に先行して開始され、上記定着ローラの立ち上げ処理にかかる時間は、上記指定された給紙カセットと対応付けて記憶された用紙の種類に応じた時間となり、
ユーザによって、例えば薄紙が収納された給紙カセットが指定されると、
ユーザが指定した給紙カセットに収納される用紙の定着温度で定着ローラが保持され、
ユーザが、用紙の種類を指定してスタートキーを押下したとすると、指定された用紙の印刷命令があった旨を通知し、
スタートキーが押下される前から定着ローラは薄紙の定着温度となっているので、薄紙を指定した場合は、直ぐに印刷を実行できる、
画像形成装置。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「媒体」、「媒体収容部」は、それぞれ本件補正発明の「記録材」、「記録材収容部」に相当する。
引用発明1の「加熱されることによりトナー画像を媒体に定着させる定着手段」は、本件補正発明の「画像形成部により記録材に形成されたトナー像を熱定着する定着部」に相当する。
引用発明1の「画像形成装置に対する所定の操作を検知する検知手段」であって、「定着手段への電力の供給を停止または制限する状態である省エネモードの解除を指示する省エネ解除スイッチ」は、本件補正発明の「操作者により所定の操作が行われたことを検出する検出部」に相当する。
引用発明1の「画像形成命令を受ける前に前記省エネ解除スイッチの押下を検知したことを示すユーザ操作信号を受信し、定着手段の立上げ処理を、画像形成命令に対して先行して開始する」ことは、本件補正発明の「画像形成命令を受ける前に前記検出部が操作者による所定の操作を検出したことに伴い前記定着部の立上げ処理を先行して開始させる」ことに相当する。
引用発明1の「エンジン制御手段」は、本件補正発明の「実行部」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明1とは、
「記録材を収容する記録材収容部と、
前記記録材収容部から搬送された記録材にトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により記録材に形成されたトナー像を熱定着する定着部と、
操作者により所定の操作が行われたことを検出する検出部と、
画像形成命令を受ける前に前記検出部が操作者による所定の操作を検出したことに伴い前記定着部の立上げ処理を先行して開始させる実行部と、
を有する画像形成装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件補正発明は「前記記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報を格納する格納部」を有し、「前記定着部の立上げ処理を前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って実行させる」のに対し、引用発明1はこれについて明らかでない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
引用発明2の「給紙カセット」、「収納される用紙」、「記憶する」、「記憶部」は、それぞれ本件補正発明の「記録材収容部」、「収容された記録材」、「格納する」、「格納部」に相当する。また、引用発明2の「複数の給紙カセット」と「対応付けて記憶」された「各給紙カセットに収納される用紙の種類」は、本件補正発明の「記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報」に相当する。したがって、引用発明2の「複数の給紙カセットと、各給紙カセットに収納される用紙の種類を対応付けて記憶する記憶手段」は、本件補正発明の「前記記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報を格納する格納部」に相当する。
引用発明2の「定着ローラ」、「指定された給紙カセットと対応付けて記憶された用紙の種類」、「温度制御部」は、それぞれ本件補正発明の「定着部」、「格納部に格納された情報」、「実行部」に相当する。
引用発明2の「指定された給紙カセットと対応付けて記憶された用紙の種類に応じた時間」に亘って「定着ローラの立ち上げ処理」を実行させる「温度制御部」は、本件補正発明の「格納部に格納された情報に応じた時間に亘って定着部の立上げ処理を実行させる実行部」に相当する。
したがって、引用発明2は、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項である「前記記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報を格納する格納部」を有し、「前記定着部の立上げ処理を前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って実行させる」点を備えている。
そして、引用発明1と引用発明2とは、ともに定着手段の立ち上げ処理を画像形成命令に先行して開始して、迅速に画像形成ができるものである点で共通するから、引用発明1において、引用発明2に基づいて、「前記記録材収容部に収容された記録材の種類に対応する情報を格納する格納部」を有し、「前記定着部の立上げ処理を前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って実行させる」ようにして、本件補正発明とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
また、本件補正発明が奏する効果は、引用発明1及び引用発明2から予想できる範囲のものである。
よって、本件補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるとはいえない。

(5)補正の適否のまとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり本件補正は却下されたから、本願請求項に係る発明は、平成27年7月10日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1「(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1」に記載したとおりのものである。

2 刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物である引用文献1及び引用文献2の記載事項は、上記第2の2「(2)刊行物の記載事項」に記載したとおりのものである。

3 対比・判断
本願発明では、本件補正発明の「前記定着部の立上げ処理を先行して開始させるとともに」の事項が削除されている。また、本件補正発明は「前記定着部の立上げ処理を前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って実行させる実行部」を備えているところ、本願発明は「前記格納部に格納された情報に応じた時間に亘って前記定着部の立上げ処理を実行させる実行部」を備えているが、両者は実質的に同一のものである。
よって、本件補正発明は、本願発明の発明特定事項をすべて含むものである。
そして、本件補正発明は、上記第2の2「(3)対比」、「(4)判断」に記載したとおり、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-17 
結審通知日 2017-03-21 
審決日 2017-04-03 
出願番号 特願2014-128148(P2014-128148)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三橋 健二  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 植田 高盛
黒瀬 雅一
発明の名称 画像形成装置  
代理人 高梨 幸雄  

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