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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
審判 査定不服 原文新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
管理番号 1328856
審判番号 不服2014-5254  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-19 
確定日 2017-06-07 
事件の表示 特願2011-536631「電子デバイスのための無線による電力およびデータの伝達」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月20日国際公開、WO2010/057224、平成24年 7月19日国内公表、特表2012-516665〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2009年12月17日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理、2009年2月11日:米国、2009年3月8日:米国、2009年3月28日:米国、2009年4月3日:米国、2009年7月23日:米国、2009年11月6日:米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年11月11日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成25年11月19日)、これに対し、平成26年3月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成27年1月30日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成27年2月3日)、これに対し、平成27年5月1日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成27年9月25日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成27年9月29日)、これに対し、平成28年1月4日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成28年4月8日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年4月12日)、これに対し、平成28年9月12日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.平成28年9月12日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年9月12日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】
無線電力伝達フィールドを介して充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて電力を無線で送信するように構成された送信機と、
前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、
前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
ように構成されたコントローラと、
を備える無線充電デバイス。
【請求項2】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth(登録商標)接続、Wi-Fi(登録商標)接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項3】
前記コントローラは、前記無線データ・リンクが確立される前に、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で認証処理を実行するように更に構成される、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、前記無線データ・リンクが確立される前に、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとをペアにするためにキー交換を開始するように更に構成される、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、前記無線データ・リンクを介して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間でデータを交換するように更に構成される、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項6】
前記データは、写真、ビデオ、または音楽のうちの少なくとも1つを備える、請求項5に記載の無線充電デバイス。
【請求項7】
ユーザが前記データと相互作用することを可能にするように構成されたユーザ・インタフェースを更に備える、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項8】
無線充電デバイスにおいて、充電可能デバイスから信号を受信することと、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていること示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、
前記受信された信号に応答して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で前記無線データ・リンクを確立することと、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
前記無線電力伝達フィールドを介して前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて電力を無線で送信することと、
を備える、無線充電のための方法。
【請求項9】
前記無線データ・リンクが確立される前に、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとをペアにするためにキー交換を開始することを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記無線データ・リンクを介して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間でデータを交換することを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記無線データ・リンクが確立される前に、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で認証処理を実行することを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
無線電力伝達フィールドを介して充電可能デバイスを電力供給または充電するのに十分なレベルにおいて電力を無線で送信する手段と、
前記充電可能デバイスから信号を受信する手段と、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信する手段と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、
前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立する手段と、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
を備える無線充電デバイス。
【請求項14】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項13に記載の無線充電デバイス。
【請求項15】
電力を無線で受信するように構成された充電可能デバイスであって、
前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて、無線電力伝達フィールドを介して無線充電デバイスからの電力を無線で受信するように構成された無線電力受信機と、
前記無線電力伝達フィールドを介して前記無線充電デバイスに信号を送信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記無線電力受信機と前記無線充電デバイスとの間で確立されることを要求する、
前記送信された信号に応答して、前記無線充電デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
ように構成されたプロセッサと、
を備える充電可能デバイス。
【請求項16】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の充電可能デバイス。
【請求項17】
前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なり、前記プロセッサは、前記無線データ・リンクを介して、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとの間でデータを交換するように更に構成される、請求項15に記載の充電可能デバイス。
【請求項18】
電力を無線で受信するための方法であって、
無線電力伝達フィールドを介して無線充電デバイスに充電可能デバイスからの信号を送信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、
前記送信された信号に応答して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で前記無線データ・リンクを確立することと、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて、前記無線電力伝達フィールドを介して前記無線充電デバイスからの電力を無線で受信することと、
を備える方法。
【請求項19】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記無線データ・リンクを介して、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとの間でデータを交換することを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
電力を無線で受信するように構成された充電可能デバイスであって、
前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて、無線電力伝達フィールドを介して無線充電デバイスからの電力を無線で受信する手段と、
無線電力伝達フィールドを介して前記無線充電デバイスに信号を送信する手段と、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記受信する手段と前記無線充電デバイスとの間で確立されることを要求する、
前記送信された信号に応答して、前記無線充電デバイスとの前記無線データ・リンクを確立する手段と、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
を備える充電可能デバイス。
【請求項22】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項21に記載の充電可能デバイス。
【請求項23】
前記充電可能デバイスは、前記無線データ・リンクを介して、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとの間でデータを交換する手段を更に備える、請求項21に記載の充電可能デバイス。」

本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
無線電力伝達フィールドを介して充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて電力を無線で送信するように構成された送信機と、
前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信し、
前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
ように構成されたコントローラと、
を備える無線充電デバイス。
【請求項2】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth(登録商標)接続、Wi-Fi(登録商標)接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項3】
前記コントローラは、前記無線データ・リンクが確立される前に、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で認証処理を実行するように更に構成される、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、前記無線データ・リンクが確立される前に、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとをペアにするためにキー交換を開始するように更に構成される、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、前記無線データ・リンクを介して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間でデータを交換するように更に構成される、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項6】
前記データは、写真、ビデオ、または音楽のうちの少なくとも1つを備える、請求項5に記載の無線充電デバイス。
【請求項7】
ユーザが前記データと相互作用することを可能にするように構成されたユーザ・インタフェースを更に備える、請求項1に記載の無線充電デバイス。
【請求項8】
無線充電デバイスにおいて、充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていること示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信することと、
前記受信された信号に応答して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で前記無線データ・リンクを確立することと、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
前記無線電力伝達フィールドを介して前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて電力を無線で送信することと、
を備える、無線充電のための方法。
【請求項9】
前記無線データ・リンクが確立される前に、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとをペアにするためにキー交換を開始することを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記無線データ・リンクを介して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間でデータを交換することを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記無線データ・リンクが確立される前に、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で認証処理を実行することを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
無線電力伝達フィールドを介して充電可能デバイスを電力供給または充電するのに十分なレベルにおいて電力を無線で送信する手段と、
前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記送信する手段と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信する手段と、
前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立する手段と、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
を備える無線充電デバイス。
【請求項14】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項13に記載の無線充電デバイス。
【請求項15】
電力を無線で受信するように構成された充電可能デバイスであって、
前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて、無線電力伝達フィールドを介して無線充電デバイスからの電力を無線で受信するように構成された無線電力受信機と、
前記無線電力伝達フィールドを介して前記無線充電デバイスに、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を送信し、無線データ・リンクが前記無線電力受信機と前記無線充電デバイスとの間で確立されることを要求する信号を送信し、
前記送信された信号に応答して、前記無線充電デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
ように構成されたプロセッサと、
を備える充電可能デバイス。
【請求項16】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の充電可能デバイス。
【請求項17】
前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なり、前記プロセッサは、前記無線データ・リンクを介して、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとの間でデータを交換するように更に構成される、請求項15に記載の充電可能デバイス。
【請求項18】
電力を無線で受信するための方法であって、
無線電力伝達フィールドを介して無線充電デバイスに充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を送信し、無線データ・リンクが前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を送信することと、
前記送信された信号に応答して、前記無線充電デバイスと前記充電可能デバイスとの間で前記無線データ・リンクを確立することと、前記無線データ・リンクは、前記無線電力
伝達フィールドとは異なる、
前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて、前記無線電力伝達フィールドを介して前記無線充電デバイスからの電力を無線で受信することと、
を備える方法。
【請求項19】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記無線データ・リンクを介して、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとの間でデータを交換することを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
電力を無線で受信するように構成された充電可能デバイスであって、
前記充電可能デバイスを充電または電力供給するのに十分なレベルにおいて、無線電力伝達フィールドを介して無線充電デバイスからの電力を無線で受信する手段と、
無線電力伝達フィールドを介して前記無線充電デバイスに、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を送信し、無線データ・リンクが前記受信する手段と前記無線充電デバイスとの間で確立されることを要求する信号を送信する手段と、
前記送信された信号に応答して、前記無線充電デバイスとの前記無線データ・リンクを確立する手段と、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、
を備える充電可能デバイス。
【請求項22】
前記無線データ・リンクは、NFC接続、Bluetooth接続、Wi-Fi接続、60GHz接続、またはUWB接続のうちの少なくとも1つを備える、請求項21に記載の充電可能デバイス。
【請求項23】
前記充電可能デバイスは、前記無線データ・リンクを介して、前記充電可能デバイスと前記無線充電デバイスとの間でデータを交換する手段を更に備える、請求項21に記載の充電可能デバイス。」


(2)新規事項
本件補正後の請求項1には、「前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信し、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し」と記載されているから、充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す任意の形態の指示を受信し、又、無線データ・リンクが送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する任意の形態の信号を受信し、又、受信された当該任意の形態の信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立することとなる。

そこで、当該補正が、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下、翻訳文等という)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

翻訳文等には、
A「構成されたように、デバイス700は、デバイス700のサーフェス708上に位置する電子デバイスの存在を検出および認証しうる。例えば、デバイス700上に位置する、モバイル電話704あるいはデジタル・カメラ706のようなデバイスの存在は、送信アンテナ702と、無線電力を受信するように構成された、電子デバイス(例えば、モバイル電話704)内のアンテナ(図示せず)との間で確立された磁界のフィールド・ディスターバンス(field disturbance)を検出することによって判定されうる。電子デバイスの存在を検出することに加えて、フィールド・ディスターバンスは、電子デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、あるいは情報を送信あるいは受信する準備が整っていることを示しうる。例えば、デジタル・カメラ706のような、デバイス700上に位置する電子デバイスは、無線充電プロトコルによって、無線充電を要求する信号か、Bluetooth(登録商標)(BT)接続のような無線データ・リンクの確立を要求する信号か、あるいはそれら両方を要求する信号を送信しうる。既知かつ適切な任意のデータ・リンクは、本発明の範囲内に含まれるということに注意されたい。例えば、データ・リンクは、Bluetooth(登録商標)接続か、Wi-Fi接続か、60GHz接続か、あるいはUWB接続を備えうる。
無線データ・リンク(例えば、BT接続)が、電子デバイス(例えば、モバイル電話704またはデジタル・カメラ706)と、デバイス700との間で確立される前に、デバイス700がキー交換を開始して、電子デバイスとデバイス700を「ペアにする」ということが留意される。ペアにされると、データ・リンクが開始され、デバイス700と充電中の電子デバイスとの間でデータの伝達が可能になる。」(【0047】-【0048】)

とあるのみで、フィールド・ディスターバンスが、電子デバイス(「充電可能デバイス」)が無線電力を受信する準備が整っていること、あるいは情報を送信あるいは受信する準備が整っていることを示し、デバイス(「無線充電デバイス」)がフィールド・ディスターバンスを検出すること、又、電子デバイス(「充電可能デバイス」)が無線充電プロトコルによってBluetooth(登録商標)(BT)接続のような無線データ・リンクの確立を要求する信号を送信しうること、又、当該信号に応答して電子デバイス(「充電可能デバイス」)との前記無線データ・リンクを確立することは記載はあるものの、充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す任意の形態の指示を受信し、又、無線データ・リンクが送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する任意の形態の信号を受信し、又、受信された当該任意の形態の信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立することは翻訳文等に記載も示唆も無い。

なお、請求人は、平成28年9月12日付意見書で、
「該補正は、本願出願当初の明細書によって明確にサポートされています。例えば、「前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信…(する)ように構成されたコントローラ」という特徴は、以下に示すような本願明細書の段落[0047]の6-9行目(本願の公開公報である特表2012-516665号を参照して下さい。)によってサポートされています。さらに、「無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信…(する)ように構成されたコントローラ」は、本願明細書の段落[0047]の9-12行目(上記同様、本願の公開公報である特表2012-516665号を参照して下さい。)によってサポートされています。」
と主張するが、フィールド・ディスターバンス、無線充電プロトコルを要件としない指示及び信号の受信は、上記したように【0047】には記載はないから、請求人の上記主張は採用できない。

したがって、本件補正後の請求項1に記載された「前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信し、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し」は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項8、13、15、18、21も同様である。

(3)目的要件
本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。また、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。

本件補正前後で、請求項数は共に23であり、請求項1-7は共に無線充電デバイスに係る発明であり、請求項8-12は共に無線充電のための方法に係る発明であり、請求項13-14は共に無線充電デバイスに係る発明であり、請求項15-17は共に充電可能デバイスに係る発明であり、請求項18-20は共に備える方法に係る発明であり、請求項21-23は共に充電可能デバイスに係る発明であり、請求項1、8、13、15、18、21は共に独立項であり、従属項の引用形式は共に同じであるから、本件補正前の請求項1が本件補正後の請求項1に対応するものとして検討する。

本件補正前の請求項1は、無線データ・リンクの確立について、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立」しているので、無線充電デバイスは充電可能デバイスから信号を受信しており、当該信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、且つ無線データ・リンクが送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求するものであり、当該信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立している。本件補正後の請求項1は、無線データ・リンクの確立について、「前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信し、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立」しているので、無線充電デバイスは充電可能デバイスから指示を受信しており、当該指示は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、又、無線充電デバイスは充電可能デバイスから信号を受信しており、当該信号は、無線データ・リンクが送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号であり、当該信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立しているから、無線充電デバイスは充電可能デバイスから指示を受信
すると共に、無線充電デバイスが充電可能デバイスから受信する信号は、充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す信号はなくなり、無線データ・リンクが送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号となる。
そうすると、本件補正前の請求項1記載のどの構成を限定しても、本件補正後の請求項1に記載されたような、信号ではない指示にはならず、且つ、本件補正前の請求項1記載の信号から、充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す成分が削除されているから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。請求項8、13、15、18、21も同様である。

したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。


(3)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


[理由II]
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)特許法第36条第4項及び第6項について
本件補正前の請求項1には、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する」とあり、「前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示」すのは信号であったものが、本件補正後の請求項1には、「前記充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す指示を受信し、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する信号を受信し」とあり、「前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す」のは信号ではなく指示(本件補正後の請求項1には、無線充電デバイスが充電可能デバイスから受信するものは、信号と指示であることが記載されている。)である。
そうすると、無線充電デバイスは、信号以外に指示が受信できることとなるが、指示とはどの様な構成のものであるのか何等開示がなく不明であり、充電可能デバイスがどの様にして指示を発し、無線充電デバイスがどの様に指示を受信するのか不明であり、信号と指示は何が異なるのか明細書を参照しても不明である。請求項8、13、15、18、21も同様である。

したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、本件補正後の請求項1-23の記載は明確ではないので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-23に係る発明は、上記した平成28年1月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-23に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(1)当審の最後の拒絶の理由
当審で平成28年4月8日付で通知した最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「I 平成28年1月4日付でした手続補正(以下、「本件補正」という。)は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下、翻訳文等という)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。


(1)本件補正後の請求項1には、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、ように構成されたコントローラ」と記載されているから、無線充電デバイスは、充電可能デバイスから、充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す信号を受信し、当該信号は、無線データ・リンクが送信機と充電可能デバイスとの間で確立されることを要求するものであって、当該信号に応答して、充電可能デバイスとの無線電力伝達フィールドとは異なる無線データ・リンクを確立することとなる。

そこで、当該補正が、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

翻訳文等には、
a「構成されたように、デバイス700は、デバイス700のサーフェス708上に位置する電子デバイスの存在を検出および認証しうる。例えば、デバイス700上に位置する、モバイル電話704あるいはデジタル・カメラ706のようなデバイスの存在は、送信アンテナ702と、無線電力を受信するように構成された、電子デバイス(例えば、モバイル電話704)内のアンテナ(図示せず)との間で確立された磁界のフィールド・ディスターバンス(field disturbance)を検出することによって判定されうる。電子デバイスの存在を検出することに加えて、フィールド・ディスターバンスは、電子デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、あるいは情報を送信あるいは受信する準備が整っていることを示しうる。例えば、デジタル・カメラ706のような、デバイス700上に位置する電子デバイスは、無線充電プロトコルによって、無線充電を要求する信号か、Bluetooth(登録商標)(BT)接続のような無線データ・リンクの確立を要求する信号か、あるいはそれら両方を要求する信号を送信しうる。既知かつ適切な任意のデータ・リンクは、本発明の範囲内に含まれるということに注意されたい。例えば、データ・リンクは、Bluetooth(登録商標)接続か、Wi-Fi接続か、60GHz接続か、あるいはUWB接続を備えうる。」(【0047】)
と記載されているにすぎず、無線充電デバイスが、充電可能デバイスから、充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す信号を受信し、当該信号は、無線データ・リンクが送信機と充電可能デバイスとの間で確立されることを要求するものであって、当該信号に応答して、充電可能デバイスとの無線電力伝達フィールドとは異なる無線データ・リンクを確立することは、図面を参照しても記載も示唆もない。

したがって、請求項1の「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、ように構成されたコントローラ」は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
なお、請求項8、13、15、18、21も同様である。


II この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1に、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、ように構成されたコントローラ」とあるが、上述のように、発明の詳細な説明中に、請求項1に記載された事項と対応する事項が、記載も示唆もされておらず、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
なお、請求項8、13、15、18、21も同様である。」


(2)最後の拒絶の理由についての判断
(ア)理由Iについて
請求項1には、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、ように構成されたコントローラ」と記載されているから、無線充電デバイスは、充電可能デバイスから、充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す任意の形態の信号を受信し、当該任意の形態の信号は、無線データ・リンクが送信機と充電可能デバイスとの間で確立されることを要求するものであって、受信された当該任意の形態の信号に応答して、充電可能デバイスとの無線電力伝達フィールドとは異なる無線データ・リンクを確立することとなる。
そこで、当該補正が、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

翻訳文等には、A(「2.[理由I](2)」参照)の記載があるのみで、フィールド・ディスターバンスが、電子デバイス(「充電可能デバイス」)が無線電力を受信する準備が整っていること、あるいは情報を送信あるいは受信する準備が整っていることを示し、デバイス(「無線充電デバイス」)がフィールド・ディスターバンスを検出すること、又、電子デバイス(「充電可能デバイス」)が無線充電プロトコルによってBluetooth(登録商標)(BT)接続のような無線データ・リンクの確立を要求する信号を送信しうること、又、当該信号に応答して電子デバイス(「充電可能デバイス」)との前記無線データ・リンクを確立することは記載はあるものの、無線充電デバイスが、充電可能デバイスから、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示す任意の形態の信号を受信し、又、当該任意の形態の信号が無線データ・リンクが送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求するものであること、又、受信された当該任意の形態の信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立することは翻訳文等に記載も示唆も無い。

したがって、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、ように構成されたコントローラ」は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項8、13、15、18、21も同様である。

(イ)理由IIについて
請求項1に、「前記充電可能デバイスから信号を受信し、前記信号は、前記充電可能デバイスが無線電力を受信する準備が整っていること、および情報を送信または受信する準備が整っていることを示し、前記信号は、無線データ・リンクが前記送信機と前記充電可能デバイスとの間で確立されることを要求する、前記受信された信号に応答して、前記充電可能デバイスとの前記無線データ・リンクを確立し、前記無線データ・リンクは、前記無線電力伝達フィールドとは異なる、ように構成されたコントローラ」とあるが、上述のように、発明の詳細な説明中に、請求項1に記載された事項と対応する事項が、記載も示唆もされておらず、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。請求項8、13、15、18、21も同様である。


(3)むすび
したがって、平成28年1月4日付でした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1-23の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-20 
結審通知日 2017-01-10 
審決日 2017-01-25 
出願番号 特願2011-536631(P2011-536631)
審決分類 P 1 8・ 562- WZ (H02J)
P 1 8・ 572- WZ (H02J)
P 1 8・ 536- WZ (H02J)
P 1 8・ 537- WZ (H02J)
P 1 8・ 55- WZ (H02J)
P 1 8・ 537- WZ (H02J)
P 1 8・ 575- WZ (H02J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 智康  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 堀川 一郎
矢島 伸一
発明の名称 電子デバイスのための無線による電力およびデータの伝達  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  
代理人 野河 信久  
代理人 堀内 美保子  
代理人 佐藤 立志  
代理人 砂川 克  
代理人 井上 正  
代理人 河野 直樹  
代理人 井関 守三  
代理人 峰 隆司  
代理人 福原 淑弘  

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