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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1328998 |
審判番号 | 不服2016-8315 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-06-06 |
確定日 | 2017-06-08 |
事件の表示 | 特願2012-169327「ゲーム制御装置、プログラム、ゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年2月13日出願公開、特開2014-27983〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 手続の経緯の概要は以下のとおりである。 本願は,平成24年7月31日の出願であって,平成27年7月15日付けの拒絶理由の通知に対して同年9月15日に意見書及び手続補正書が提出され,平成28年3月14日付けで拒絶の査定がなされ,これに対し,同年6月6日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,手続補正書が提出された。 第2 平成28年6月6日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年6月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成28年6月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は, 「【請求項1】 ユーザ同士を関連付ける関連付け手段と, 複数のオブジェクトとユーザとを対応付ける第1対応付け手段と, 前記ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち前記ユーザが指定したオブジェクトを,2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチームに対応付ける第2対応付け手段と, 前記ユーザが指定したオブジェクトの前記ユーザのチームへの対応付けが確定する前に,ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定する判定手段と, 前記判定手段により前記組み合わせが含まれると判定された場合,前記第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供する情報提供手段と, 前記第1ユーザのチームへの対応付けが確定したオブジェクトを用いて,前記ゲームを実行する実行手段と, を備えた,ゲーム制御装置。 【請求項2】 前記判定手段は,前記判定を複数回行い, 前記情報提供手段は,前記判定手段による複数回の判定結果に基づいて,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供することを特徴とする, 請求項1に記載されたゲーム制御装置。 【請求項3】 前記情報提供手段は,前記複数回の判定結果に重複して含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供することを特徴とする, 請求項2に記載されたゲーム制御装置。 【請求項4】 ユーザ同士を関連付ける関連付け手段と, 複数のオブジェクトとユーザとを対応付ける第1対応付け手段と, 前記ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち前記ユーザが指定したオブジェクトを,2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチームに対応付ける第2対応付け手段と, 複数のゲーム上の効果のうち第1ユーザにより指定された効果を受け付ける第1受付手段と, 前記第1ユーザに関連付けられたユーザのうち,前記第1受付手段により受け付けられた効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせに含まれる複数のオブジェクトと対応付けられたユーザである第2ユーザに関する情報と,前記第2ユーザのチームに対応付けられたオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報と,を抽出する抽出手段と, 前記抽出手段により抽出された前記第2ユーザに関する情報と,前記オブジェクトに関する情報と,を前記第1ユーザに提供する情報提供手段と, を備えた,ゲーム制御装置。 【請求項5】 前記関連付け手段は,前記ユーザ同士の申請および承認に基づいて,前記ユーザ同士を仲間として関連付ける, 請求項1?4のいずれかに記載されたゲーム制御装置。 【請求項6】 前記情報提供手段は,前記組み合わせが,前記第1ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれていない場合に,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供することを特徴とする, 請求項1?5のいずれかに記載されたゲーム制御装置。 【請求項7】 前記組み合わせに対応する前記ゲーム上の効果を発生させる効果発生手段を備え, 前記情報提供手段は,前記第1ユーザによる前記ゲームの実行中に,前記第2ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれる前記組み合わせに対応する効果が発生した場合,当該効果に対応する組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供することを特徴とする, 請求項1?6のいずれかに記載されたゲーム制御装置。 【請求項8】 ユーザ同士を関連付ける関連付け手段と, 複数のオブジェクトとユーザとを対応付ける第1対応付け手段と, 前記ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち前記ユーザが指定したオブジェクトを,2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチームに対応付ける第2対応付け手段と, ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定する判定手段と, 前記判定手段により前記組み合わせが含まれると判定された場合,前記第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供する情報提供手段と, 前記第1ユーザのチームオブジェクトを用いて,前記ゲームを実行する実行手段と, 前記組み合わせに対応する前記ゲーム上の効果を発生させる効果発生手段と,を備え, 前記情報提供手段は,前記複数のオブジェクトからなるグループが複数存在する場合,複数のグループのうち,前記組み合わせに対応する効果に基づく前記ゲーム上の結果が所定の条件を満たすグループに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供することを特徴とする, ゲーム制御装置。 【請求項9】 前記オブジェクトに関する情報が前記第1ユーザに提供されるときに,前記第2ユーザ宛にメッセージを送信するための操作対象を表示装置に表示させる表示手段を備えたことを特徴とする, 請求項1?8のいずれかに記載されたゲーム制御装置。 【請求項10】 前記オブジェクトに関する情報が前記第1ユーザに提供されるときに,前記第1ユーザの入力に関する情報に基づいて,当該オブジェクトの登録指示を受け付ける第2受付手段と, 前記登録指示が受け付けられた場合,前記第1ユーザと前記オブジェクトに関する情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる記憶手段とを備えたことを特徴とする, 請求項1?9のいずれかに記載されたゲーム制御装置。 【請求項11】 ユーザ同士を関連付ける関連付け手段と, 複数のオブジェクトとユーザとを対応付ける対応付け手段と, 所定のオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定する判定手段と, 前記判定手段により前記組み合わせが含まれると判定された場合,前記第2ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供する情報提供手段と, 前記オブジェクトを用いたゲームを実行する実行手段と, 前記組み合わせに対応する前記ゲーム上の効果を発生させる効果発生手段と,を備え, 前記情報提供手段は,前記複数のオブジェクトからなるグループが複数存在する場合,複数のグループのうち,前記組み合わせに対応する効果に基づく前記ゲーム上の結果が所定の条件を満たすグループに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供することを特徴とする, ゲーム制御装置。 【請求項12】 コンピュータに,請求項1?11のいずれかに記載されたゲーム制御装置の各手段を実現させるためのプログラム。 【請求項13】 通信端末と,当該通信端末からアクセスされるサーバとを含むゲームシステムであって, 請求項1?11のいずれかに記載されたゲーム制御装置の各手段を,前記通信端末又は前記サーバのいずれか一方が備えた, ゲームシステム。」と補正された。(下線は,審決で付した。以下同じ。) 2 新規事項 補正後の請求項1について 補正後の請求項1は,補正前の請求項1に,「前記ユーザが指定したオブジェクトの前記ユーザのチームへの対応付けが確定する前に」(以下,「補正事項1」という。)と,「(前記第1ユーザのチームへの)対応付けが確定した(オブジェクトを用いて)」(以下,「補正事項2」という。)を,新たに発明特定事項として加えられている。 以下,上記補正事項1が,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲または図面(以下「本願当初明細書等」という。)に記載されていたか否か,あるいは,その記載から自明な事項といえるか否かにつき,検討する。 (1)本願当初明細書等の記載 出願人は,補正事項1の補正の根拠について,審判請求書において「図15,図17,図18に関連して,チーム編成時において行われる,他のユーザのオブジェクトに関する情報の提供態様についての記載,および,図21のフローチャート(特にS340,S350,S360の処理)とその関連する明細書の記載(段落[0086]?[0087])等に基づいている。図21のS330に示すように,チーム編成の完了によってオブジェクトのチームへの対応付けが確定することは当業者に自明な事項である。」と主張しているので,これについて検討する。 上記の段落の記載は次のとおりである。 「【0086】 次に,図21を参照して,本実施形態のゲームにおいてチーム編成処理を行うときのフローチャートの一例を説明する。 ゲームサーバ20のCPU21は,ユーザの通信端末10のトップページ上でメニューm3(図11参照)が選択操作されたことを認識すると,図15のP6に例示するウェブページを表示するためのHTMLデータを生成して,当該ユーザの通信端末10宛に送信する。次に,CPU21は,ウェブページP6上で交替元のモンスターカードが選択されると(ステップS300:YES),図15のP7に例示するウェブページを表示するためのHTMLデータを生成して,当該ユーザの通信端末10宛に送信する。また,ウェブページP7上で交替先のモンスターカードが選択されると(ステップS310:YES),CPU21は,図16のP8に例示するウェブページを表示するためのHTMLデータを生成して,当該ユーザの通信端末10宛に送信する。次に,ウェブページP8上で,メニューm13の選択操作が行われると(ステップS320:YES),CPU21は,チームに含まれるモンスターカード(つまり,交替先のモンスターカード)とユーザとを対応付ける処理を行う(ステップS330)。そして,CPU21は,図16のP9に例示するウェブページを表示するためのHTMLデータを生成して,ユーザの通信端末10宛に送信する。 なお,CPU21は,交替先のモンスターカードが所定時間以上選択されない場合(ステップS310:NO),あるいはメニューm13の選択操作が所定時間以上行われない場合(ステップS320:NO)には,チーム編成処理を終了してもよい。 【0087】 また,CPU21は,図15のウェブページP6上で,交替元のモンスターカードが選択されずに(ステップS300:NO),メニューm12が選択操作されたことを認識すると(ステップS340:YES),図17のP10に例示するウェブページを表示するためのHTMLデータを生成して,メニューm12の選択操作を行ったユーザの通信端末10宛に送信する。次に,CPU21は,ウェブページP10上でユーザが複数のメニューm14のいずれかを選択すると(ステップS350:YES),当該ユーザに関連付けられた他のユーザのチームに含まれる複数のモンスターカードのうち,少なくとも選択されたメニューm14に対応する効果の発生条件を満たすモンスターカードの組み合わせ(所定のモンスターカードの組み合わせ)に含まれるモンスターカードに関する情報を提供するウェブページ用のHTMLデータを生成して,当該ユーザの通信端末10宛に送信する(ステップS360)。 なお,CPU21は,図15のウェブページP6上で,交替元のモンスターカードが選択されず(ステップS300:NO),且つ,メニューm12が所定時間以上選択操作されない場合(ステップS340:NO),あるいは図17のウェブページP10上で複数のメニューm14の何れも所定時間以上選択操作されない場合(ステップS350:NO)には,チーム編成処理を終了してもよい。」 しかしながら,補正事項1に対応する「少なくとも選択されたメニューm14に対応する効果の発生条件を満たすモンスターカードの組み合わせ(所定のモンスターカードの組み合わせ)に含まれるモンスターカードに関する情報を提供するウェブページ用のHTMLデータを生成して,当該ユーザの通信端末10宛に送信する(ステップS360)。」は,S300で「NO」を選択した場合,つまりユーザの現在のチームのモンスターカードを交替しない場合,すなわちユーザがチームのモンスターカードを確定してから進行するフローであるから,「ユーザのチームへの対応付けが確定する前」に行われるものではない。 さらに,図21のS330を含むフローは,スタート→P6→S300(YES)→P7→S310→P8→S320(YES)→S330→P9→エンドであって,そのどの箇所においても「ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定」することについては,何ら記載がない。 図15はチーム編成中のウェブページの例を示す図であって,交替元となるモンスターカードの一覧と「他のユーザのチーム編成(m12)」,及び交替先となるモンスターカードの一覧が記載されており, 図17は図15における「m12」が選択操作されたことを認識すると表示される,効果が表記された複数のメニューm14の一覧が記載されており, 図18は図17のウェブページP10上で選択されたメニューm14に対応する効果の発生条件を満たす組み合わせを含むチームのモンスターカードに関する情報であって,当該チームに対応する他のユーザに関する情報の一覧が記載されているが,上述のとおり,図18の画面は,図21のフローのS300で「NO」を選択した場合,つまりユーザの現在のチームのモンスターカードを交替しない場合,すなわちユーザがチームのモンスターカードを確定してから進行するフローであるから,やはり「前記ユーザが指定したオブジェクトの前記ユーザのチームへの対応付けが確定する前に」情報を提供することに関して,何ら記載はない。 また,当該補正事項1が,上記摘記した段落や図面の記載を含めて,本願当初明細書等から自明な事項であるということもできない。 よって,本件補正は,本願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものとはいえない。 3 まとめ 本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 したがって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願について 1 本願発明 平成28年6月6日付けの手続補正は上記第2のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成27年9月15日付け手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定される,次のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザ同士を関連付ける関連付け手段と, 複数のオブジェクトとユーザとを対応付ける第1対応付け手段と, 前記ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち前記ユーザが指定したオブジェクトを,2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチームに対応付ける第2対応付け手段と, ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定する判定手段と, 前記判定手段により前記組み合わせが含まれると判定された場合,前記第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供する情報提供手段と, 前記第1ユーザのチームに対応付けられたオブジェクトを用いて,前記ゲームを実行する実行手段と, を備えた,ゲーム制御装置。」(以下,「本願発明1」という。) 2 刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用し,本願の出願日前に頒布された「大熱狂!!プロ野球カード,ファミ通Mobage別冊大特集!!gloopsマガジン,株式会社エンターブレイン,2012年 5月31日,初版」(以下「刊行物1」という。)には,以下の事項が記載されている。 ア 「選手カードを集め,自分だけのチームを結成して対戦!」(20頁右側,「袋とじアイテムをチェック」の囲み記事の上方) イ 「オーダーを作成するために,まずは選手カードを集めよう。カードはミッションの実行中に入手できるほか,ガチャを回したり,ほかのプレイヤーとトレードすることでも手に入る。」(20頁左側,「オーダー作成に必要な選手を集める!」の見出しの下方) ウ 「選手カードを集めてオーダーを作ったら,リーグに参戦だ。対戦の相手となるのは,ほかのプレイヤーのチーム。勝ち負けにきっと一喜一憂してしまうはずだ。」(20頁右側,「チームを作ってリーグに参加しよう!」の見出しの下方) エ-1 「選手カードには,レベルやコストなど,さまざまな項目が用意されている。各項目が持つ意味を理解してオーダーを組めば,試合での勝率もアップするぞ!」(21頁中段「選手カードに用意された各項目を把握してベストオーダーを組もう!」の見出しの下方の左側) エ-2 「エ-1」の摘記箇所中の「項目」として「レベル,コスト,所属球団&ポジション,レア度,選手ステータス」(21頁中段「選手カードに用意された各項目を把握してベストオーダーを組もう!」の見出しの下方の右側) オ 「試合を行うために,まずは手持ちの選手でオーダーを組もう。必要な選手は計17名。」(22頁上段「手持ちの選手カードを選りすぐりキミだけのオーダーを組め!!」の見出しの下方) カ-1 「特定の条件を満たすことで発動するスキル。これには選手の能力を高める効果があり,複数発動すればより強力なものとなる。とくに格上のチームとの試合では,スキルの発動が勝利を左右するといっても過言ではない。カードが揃い,選択肢が増えてきたら,スキルの発動条件を満たせるオーダーを組んでみよう。」(22頁上段右側「スキルを考慮してオーダーを組めば対戦の勝率もアップするのだ!!」の見出しの下方) カ-2 「試合中の演出でスキルの発動をチェックできる。」(22頁上段右側「スキルを考慮してオーダーを組めば対戦の勝率もアップするのだ!!」の見出しの下方のゲーム画面の左) キ 「これを見るとわかる通り,初めてのゲームを開始する際に設定した”お気に入り球団”の選手は,スキルの発動条件に絡むことが多くなっている。さらに,スキルの中には”二遊間の奇跡”や”外野陣の超連携”など,同一球団の選手が2?3人揃うと発動するものも存在する。」(22頁中段左側「スキルが発動するオーダーを組むコツはお気に入り球団の選手にアリ!」の見出しの下方) ク 「『スキル名』 『外野陣の超連携!!』」,「『効果』 『左翼手,中堅手,右翼手の守備がアップ』」,「『発動条件』 『左翼手,中堅手,右翼手が同球団の選手で,なおかつ適正ポジションを満たしている』」(22頁下段「発動スキル一覧表」) ケ 「相手チームはどんなオーダーを組んでいるんでしょう?相手のオーダーを見て研究するのも大切ですよ★」(26頁上段右側「パワーアリーナ POWER 打音」の囲み記事) コ 「慣れないうちは,対戦相手のオーダーも参考にするといい。」(26頁上段右側「パワーアリーナ POWER 打音」の囲み記事)の下 サ 「イベント用オーダーを組んだら,仲間との練習試合でチェック。スキルの発動具合などを見て,選手の入れ替えや打撃の変更を行うなど,オーダーを調整するといい」(26頁右側下段「イベント前に練習試合でチームを調整!」の見出しの下方) A 20頁右側,「チームを作ってリーグに参加しよう!」の見出しの下方のゲーム画面から,以下の事項が看てとれる。 ・画面左側及び右側に縦2×横5の10枚の選手カードが表示されている。 ・左側選手カードの上部には,画面外から右方へ延びる黒い矢印が表示されている。 ・右方へ延びる黒い矢印の下に「総コスト162」との表示がある。 ・右側選手カードの下部には,画面外から左方へ延びる黒い矢印が表示されている。 ・左方へ延びる黒い矢印の下に「総コスト114」との表示がある。 B 22頁上段右側「スキルを考慮してオーダーを組めば対戦の勝率もアップするのだ!!」の見出しの下方の2つのゲーム画面から,以下の事項が看てとれる。 ・左側のゲーム画面には,画面中央に5枚の選手カードが表示されるとともに,赤い帯状部に「熱狂!!横浜軍!!」との記載がある。 ・右側のゲーム画面には,画面中央に9枚の選手カードが表示されるとともに,青い帯状部に「適正ポジション」との記載がある。 上記ア乃至サ,A及びBを総合すると,刊行物1には以下の技術事項が記載されている。 ・プレーヤーは,選手カードを集めて,自分のチームを結成する。 ・プレーヤーは,手持ちの選手カードから17枚のカードを選んでオーダーを組む。 ・プレイヤーは,自分のチームと,他のプレーヤーのチームと対戦させる。 ・プレイヤーは,他のプレーヤーとトレードをすることで,カードを手に入れることができる。 ・プレーヤーが組んだオーダーが,特定の条件を満たすと,スキルが発動する。 ・スキルは,選手の能力を高める効果がある。 ・スキルの発動について一例を挙げると,「左翼手,中堅手,右翼手が同球団の選手で,なおかつ適正ポジションを満たしている」と,「左翼手,中堅手,右翼手の守備がアップ」する「外野陣の超連携!!」というスキルが発動する。 ・試合中にスキルの発動をチェックできる。 ・対戦相手のオーダーを見て,研究することができる。 ・プレーヤーは,仲間と練習試合を行うことができる。 ・ゲーム画面の左右に表示された10枚の選手カードは,一方がプレーヤー,他方が該プレーヤーと対戦するプレーヤーのチームに係るものであることは自明である。 ・ゲーム画面のスキルの表示において,帯の背後の選手カードの移動を考え合わせると,赤い帯に表示されるスキルと青い帯に表示されるスキルの一方がプレーヤー,他方が該プレーヤーと対戦するプレーヤーのチームに係るものであることは,自明である。 上記の技術事項,及び刊行物1の全記載を総合すると,刊行物1には以下の発明(以下,「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。 「プレーヤーは,他のプレーヤーとトレードをすることで,カードを手に入れることができ, プレーヤーは,仲間と練習試合を行うことができ, プレーヤーは,選手カードを集めて,自分のチームを結成するものであって,手持ちの選手カードから17枚のカードを選んでオーダーを組み, プレイヤーは,自分のチームと,他のプレーヤーのチームと対戦させ,勝ち負けを競うものであり, プレーヤーが組んだオーダーが,たとえば,「左翼手,中堅手,右翼手が同球団の選手で,なおかつ適正ポジションを満たしている」と,「左翼手,中堅手,右翼手の守備がアップ」する「外野陣の超連携!!」というスキルが発動し, 該スキルの発動は,選手の能力を高める効果を有するものであって,試合中にスキルの発動をチェックでき,発動しているスキルは,ゲーム画面において,赤い帯に一方のプレーヤーのスキルが,青い帯に他方のプレーヤーのスキルが表示されるゲーム。」 3 対比 本願発明1と刊行物1発明とを対比する。 後者の「プレーヤー」は,前者の「ユーザ」に相当する。 また,後者の「プレーヤー」のうち,自分のチームを有する「プレーヤー」は,前者の「第1ユーザ」に,自分のチームを有する「プレーヤー」と対戦することになる,後者の「他のプレーヤー」は,前者の「第2ユーザ」に相当する。 また,後者の練習試合を行う「仲間」も「プレーヤー」であることは自明であって,後者の「ユーザ」もしくは「第2ユーザ」に相当するものであるといえる。 後者の「選手カード」は,前者の「複数のオブジェクト」に相当する。 後者の選手カードのうち,オーダーを組むために選ばれた「(17枚の)選手カード」は,前者の「ユーザが指定したオブジェクト」に相当する。 後者のチームのオーダーは「手持ちの選手カードから17枚のカード」から選ばれたものであるから,前者の「2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチーム」に相当する。 後者の「プレーヤー」との関係において,「仲間(のプレーヤー)」,「(対戦する)他のプレーヤー」は,前者でいうところの「関連付け」られた関係に相当していることは,自明である。 後者の「プレーヤー」との関係において,「(プレーヤが集めた)選手カード」はプレーヤーと,前者でいうところの「第1対応付け」られた関係になっていることは,自明である。 後者の「プレーヤー」との関係において,「(プレーヤーが)手持ちの選手カードから17枚のカードを選んでオーダーを組」むことは,前者でいうところの「第2対応付け」られた関係になっていることは,自明である。 後者の「スキル」は,たとえば「左翼手,中堅手,右翼手の守備がアップ」するという選手の能力を高める効果を有するものであるから,前者の「ゲーム上の効果」に相当する。 後者の,スキルの発動は,たとえば「左翼手,中堅手,右翼手が同球団の選手で,なおかつ適正ポジションを満たしている」ことを条件としているから,選手カードの組み合わせによるものであることは明らかであって,試合中にスキルの発動をチェックでき,発動しているスキルは,ゲーム画面において表示されるものであるから,前者でいうところの「ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせ」に起因しているといえる。 後者において「プレイヤーのチェック操作に応じて,発動しているスキル表示する」ところから,前者でいうところの「ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが含まれると判定」していることも,自明である。 後者において,「ゲーム画面において,赤い帯に一方のプレーヤーのスキルが,青い帯に他方のプレーヤーのスキルが表示」されており,これは自分のチームを有する「プレーヤー」と,自分のチームを有する「プレーヤー」と対戦することになる「他のプレーヤー」のスキルを表示していることになるから,少なくとも,前者でいうところの「前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供」することに相当する構成を有していることは自明である。 さらに,後者において,プレーヤーのゲーム画面に「他のプレーヤー」のスキルを表示しているのであるから,前者でいうところの「ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定」することに相当する構成を有していることは自明である。 後者の「プレーヤー」は,手持ちの選手カードから17枚のカードを選んでオーダーを組んだチームで,他のプレーヤのチームと対戦するのであるから,前者でいうところの「第1ユーザのチームに対応付けられたオブジェクトを用いて,前記ゲームを実行」することに相当する構成を有していることは自明である。 以上のことより,両者は, 〈一致点〉 「ユーザ同士を関連付ける関連付け, 複数のオブジェクトとユーザとを対応付け, 前記ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち前記ユーザが指定したオブジェクトを,2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチームに対応付け, ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かを判定し, 前記組み合わせが含まれると判定された場合,前記第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報を前記第1ユーザに提供し, 前記第1ユーザのチームに対応付けられたオブジェクトを用いて,前記ゲームを実行するゲーム。」 である点で一致し,以下の点で相違している。 <相違点1> ユーザ同士の関連付けに関して,前者は「関連付け手段」を用いているのに対して,後者では,どのような手段を用いているのか不明な点。 <相違点2> 複数のオブジェクトとユーザとの対応付けに関して,前者は「第1対応付け手段」を用いているのに対して,後者では,どのような手段を用いているのか不明な点。 <相違点3> ユーザに対応付けられた複数のオブジェクトのうち前記ユーザが指定したオブジェクトと,2以上のオブジェクトから構成される前記ユーザのチームとの対応付けに関して,前者は「第2対応付け手段」を用いているのに対して,後者では,どのような手段を用いているのか不明な点。 <相違点4> ゲーム上の効果の発生条件であるオブジェクトの組み合わせが,第1ユーザと関連付けられた第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトに含まれるか否かの判定に関して,前者は「判定手段」を用いているのに対して,後者では,どのような手段を用いているのか不明な点。 <相違点5> 組み合わせが含まれると判定された場合,前記第2ユーザのチームに対応付けられた複数のオブジェクトのうち,少なくとも前記組み合わせに含まれるオブジェクトに関する情報の前記第1ユーザへの提供に関して,前者は「情報提供手段」を用いているのに対して,後者では,どのような手段を用いているのか不明な点。 <相違点6> 第1ユーザのチームに対応付けられたオブジェクトを用いたゲームの実行に関して,前者は「実行手段」を用いているのに対して,後者では,どのような手段を用いているのか不明な点。 <相違点7> 前者は「ゲーム制御装置」に係る発明であるのに対して,後者は「ゲーム」であるものの「ゲーム制御装置」については不明な点。 4 判断 相違点1乃至7は,互いに関連しているため,あわせて検討する。 相違点1?6に記載された本願発明1の発明特定事項における各手段(以下,「各手段」という。)が実行している機能については,刊行物1発明においても実行されているから,各手段は,刊行物1発明に実質的に示されているといえる。 また,相違点7に記載された本願発明1の発明特定事項におけるゲーム制御装置(以下,「制御装置」という。)についても,刊行物1発明がゲームである以上,何らかの制御装置に制御されるものであるから,制御装置は,刊行物1発明に実質的に示されているといえる。 したがって,本願発明1は,刊行物1発明から,当業者が容易に想到し得たものである。 そして,本願発明1の全体構成によって奏される作用効果も,刊行物1発明から,当業者が予測しうる程度のものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明1は,刊行物1発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-03-30 |
結審通知日 | 2017-04-04 |
審決日 | 2017-04-19 |
出願番号 | 特願2012-169327(P2012-169327) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 櫻井 茂樹 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
吉村 尚 植田 高盛 |
発明の名称 | ゲーム制御装置、プログラム、ゲームシステム |
代理人 | グローバル・アイピー東京特許業務法人 |