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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01M 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 H01M 審判 全部申し立て 2項進歩性 H01M 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H01M |
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管理番号 | 1329047 |
異議申立番号 | 異議2016-700785 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-08-29 |
確定日 | 2017-04-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5873948号発明「接合体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5873948号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?2〕、〔3?4〕について訂正することを認める。 特許第5873948号の請求項1?4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5873948号の請求項1?4に係る特許についての出願(以下、「本願」という。)は、平成27年6月30日(国内優先権主張 平成26年10月8日)に特許出願され、平成28年1月22日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、平成28年8月29日差出で特許異議申立人亀崎伸宏(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成28年11月17日付けで取消理由(以下、単に「取消理由」という。)が通知され、その指定期間内である平成29年1月19日に意見書(以下、単に「意見書」という。)の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、その訂正の請求に対して申立人から意見書は提出されなかった。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のア及びイのとおりである。 ア 特許請求の範囲の請求項1に「前記集電部材の周縁部の外側面は、前記接合材膜に覆われており、」とあるのを「前記集電部材の周縁部の外側面は、前記接合材膜に覆われており、前記接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、」に訂正する。 イ 特許請求の範囲の請求項3に「前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第1接合材膜に覆われており、」とあるのを「前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第1接合材膜に覆われており、前記第1接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、」に訂正し、同じく請求項3に「前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第2接合材膜に覆われており、」とあるのを「前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第2接合材膜に覆われており、前記第2接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について ア 上記アの訂正事項について 上記アの訂正事項に関連する記載として、本件明細書には、「集電部材300の周縁部の外側面300sが接合材膜80に覆われる高さ(集電部材300の厚さ方向(z軸方向)の距離)(mm)」(【0078】)、「集電部材は、縦(x軸方向)6mm×横(y軸方向)6mm、厚さ(z軸方向)2.5mmの直方体であった」(【0083】)と記載されてており、これらの記載から、集電部材300は、厚さ方向(z軸方向)に延びる直方体であり、かつ、その外側面300sが接合材膜80に覆われているといえるから、本件明細書には、「集電部材の周縁部の外側面は、・・・・接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」る事項が記載されていると認められる。 また、上記アの訂正事項は、本件明細書に記載された事項の範囲内において、訂正前の発明特定事項である「集電部材の周縁部の外側面」について、「接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」る事項をさらに限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 そして、上記アの訂正事項は、一群の請求項に対して請求されたものである。 また、請求項1を引用する請求項2についても、請求項1と同様に、上記アの訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないし、また、一群の請求項に対して請求されたものである。 イ 上記イの訂正事項について 上記イの訂正事項は、訂正前の発明特定事項である「集電部材の周縁部の外側面」について、「第1接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」る事項、及び、「第2接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」る事項をさらに限定したものあるから、上記アと同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないし、また、一群の請求項に対して請求されたものである。 また、請求項3を引用する請求項4についても、請求項3と同様に、上記アの訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないし、また、一群の請求項に対して請求されたものである。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項[1?2],[3?4]について訂正を認める。 3 特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の発電部と、 電子伝導性を有する酸化物セラミックスで構成された集電部材と、 前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、であるベース部材と前記集電部材との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる接合材膜と、 を備え、 前記接合材膜は、前記ベース部材と前記集電部材とが電気的に接続されるように、前記ベース部材と前記集電部材とを接合し、 前記集電部材が前記接合材膜に埋設されることによって、前記集電部材の周縁部の外側面は、前記接合材膜に覆われており、前記接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.2?2.0である、 接合体。 【請求項2】 請求項1に記載の接合体において、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である接合率は、10?70%である、接合体。 【請求項3】 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の第1発電部と、 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の第2発電部と、 電子伝導性を有する酸化物セラミックスで構成された集電部材と、 前記第1発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記第1発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、である第1ベース部材と前記集電部材との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる第1接合材膜と、 前記第2発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記第2発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、である第2ベース部材と前記集電部材との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる第2接合材膜と、 を備え、 前記第1接合材膜は、前記第1ベース部材と前記集電部材とが電気的に接続されるように、前記第1ベース部材と前記集電部材とを接合し、 前記第2接合材膜は、前記第2ベース部材と前記集電部材とが電気的に接続されるように、前記第2ベース部材と前記集電部材とを接合し、 前記集電部材が前記第1接合材膜に埋設されることによって、前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第1接合材膜に覆われており、前記第1接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第1接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第1接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.2?2.0であり、 前記集電部材が前記第2接合材膜に埋設されることによって、前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第2接合材膜に覆われており、前記第2接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第2接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第2接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.2?2.0である、 接合体。 【請求項4】 請求項3に記載の接合体において、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第1接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第1接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記第1接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である第1接合率は、10?70%であり、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第2接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第2接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記第2接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である第2接合率が、10?70%である、接合体。」 (2)申立理由の概要 (2)-1 取消理由の概要 訂正前の請求項1?4に係る特許に対して特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 請求項1?4に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が下記ア?エの点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 取消理由ア 本件明細書に記載された試験B(本件明細書【0089】?【0097】)において、請求項1及び3に係る発明の範囲に含まれる水準6、11及び12は、本願発明の課題を解決していないので、「集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である接合率」(以下、単に「接合率」という。)が10?70%であることが特定されていない、請求項1及び3に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できるものではない。 取消理由イ 本件明細書に記載された試験A(本件明細書【0081】?【0088】)において、集電部材の材料が(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合に、もともと本願発明の解決しようとする課題が存在していたか不明であるから、請求項1及び3に係る発明は、該課題を解決したものとはいえない。 取消理由ウ 本件明細書に記載された試験Bにおいて、集電部材の材料として(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合に、もともと本願発明の解決しようとする課題が存在していたか不明であるから、請求項2及び4に係る発明は、該課題を解決したものとはいえない。 取消理由エ 請求項1の「集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)」(以下、単に「S/T」という。)は、周縁部の外側面の長さが同じであっても、周縁部の外側面の傾きが大きいほど大きな値となるから、集電部材の外側面の形状が特定されていない、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できるものではなく、請求項2?4についても、同様である。 (2)-2 取消理由に採用しなかった申立理由 訂正前の請求項1?4に係る特許に対して、取消理由で通知しなかった申立て理由の概要は、次のとおりである ア 特許法第29条第1項第3号及び同条第2項について(異議申立書第15頁第5行?第34頁最後から4行) 申立人は、甲第1号証?甲第12号証として、特開2012-227104号公報(以下、「刊行物1」という。)、特開2005-339904号公報(以下、「刊行物2」という。)、国際公開第2013/191288号(以下、「刊行物3」という。)、特開2001-156431号公報(以下、「刊行物4」という。)、特開2001-230362号公報(以下、「刊行物5」という。)、特開2002-344123号公報(以下、「刊行物6」という。)、特開平9-157055号公報(以下、「刊行物7」という。)、特開平4-225296号公報(以下、「刊行物8」という。)、特開平6-172051号公報(以下、「刊行物9」という。)、特開平5-319946号公報(以下、「刊行物10」という。)、特開2012-91212号公報(以下、「刊行物11」という。)、特開2013-30358号公報(以下、「刊行物12」という。)を提出して、次のア-1?ア-4を主張している。 申立理由ア-1 本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 申立理由ア-2 本件発明2は、刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 申立理由ア-3 本件発明3は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 申立理由ア-4 本件発明4は、刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 イ 特許法第36条第6項第1号について 申立理由イ-1 本件発明1は、「S/T」が1.2?2.0であるという発明特定事項を有するが、集電部材と接合材膜との接触部分の長さの合計が、1.2μmや14μmの態様を含むのに対し、9.6μmや11μmの態様は含まない。 そして、集電部材と接合材膜との接触部分が長ければ長いほど、本願発明の課題である、集電部材の周縁部の外側面と接合材膜との界面の剥離の発生を抑制できることは技術常識であるから、該課題を解決するためには、請求項1には、接合率の限定が必要であることは明らかである。 また、請求項3についても同様である。 よって、請求項1、3に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。(異議申立書第34頁最終行?第36頁第5行) 申立理由イ-2 本件発明2は、「S/T」が1.2?2.0であって、「接合率」が10?70%であるという発明特定事項を有するが、集電部材と接合材膜との接触部分の長さの合計が、1.2μmや14μmの態様を含むのに対し、9.6μmの態様は含まない。 そうすると、上記課題を解決するためには、請求項2に規定された「S/T」及び「接合率」の限定だけでは十分でないことは明らかである。 また、請求項4についても同様である。 よって、請求項2,4に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。(異議申立書第36頁第6行?第36頁最終行) ウ 特許法第36条第6項第2号について 申立理由ウ-1 集電部材の周縁部の外側面が円弧状だった場合、請求項1?4の「集電部材の周縁部の外側面」が、円弧状の面を指すのか、集電部材の厚さ方向に平行な面を指すのか不明であるから、請求項1?4に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。(異議申立書第40頁第8行?第40頁第23行) 申立理由ウ-2 請求項2及び4に記載された「集電部材の厚さ方向の長さ」は、意味が不明確であるから、請求項2及び4に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。(異議申立書第40頁最後から4行?第41頁第9行) エ 特許法第36条第4項第1号について 申立理由エ-1 請求項1?4の「S/T」が1.2?2.0である「接合体」を製造するためには、当業者に期待する程度を超える試行錯誤等を行う必要があるから、請求項1?4に係る特許は、その明細書の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。(異議申立書第41頁第11行?第42頁第8行) 申立理由エ-2 請求項2及び4の「接合率」が10?70%である「接合体」を製造するためには、当業者に期待する程度を超える試行錯誤等を行う必要があるから、請求項1?4に係る特許は、その明細書の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。(異議申立書第42頁第9行?第43頁第1行) (3)当審の判断 (3)-1 取消理由について ア 取消理由アについて 特許権者は、意見書において、本願の解決しようとする課題は、本件明細書【0007】及び【0008】に記載されたとおり、ペーストの焼成時等において、集電部材の周縁部の外側面と接合材膜との界面に剥離が発生し難い接合体を提供することであるが、その中でも特に、ペーストの焼成時において、集電部材の周縁部の外側面と接合材膜との界面に剥離が発生し難い接合体を提供することであること、及び、該課題を解決できるか否かを確認した試験は、試験Bではなく試験Aであって、試験Aをクリアすれば、該課題を解決したことになることを主張している(意見書第3頁第1行?第4頁第21行)。 ここで、本件明細書の記載によると、本願の解決しようとする課題は、「ペーストの焼成時等において、」「集電部材の周縁部の外側面と接合材膜との界面に剥離が発生難いものを提供すること」(【0007】?【0008】)であると認められ、この「ペーストの焼成時等」における「剥離」とは、「ペーストの焼成時」の「剥離」及びその他の場合の「剥離」のいずれかの「剥離」であると解することができる。 したがって、請求項1及び3に係る発明が、発明の詳細な説明に記載されたものであるというためには、少なくとも上記「ペーストの焼成時」の「剥離」が、発生し難いものであるといえればよいといえる。 一方、本件明細書に記載された試験Aでは、接合材膜用のペーストを800℃?1000℃で1hrに亘って焼成した後に、本願発明における「S/T」をパラメータとして剥離試験を行い、「S/T」が1.2?2.0の場合において、剥離が発生し難くなっていることから、試験Aにおける「接合体」は、上記課題のうち、少なくとも「ペーストの焼成時において、」「集電部材の周縁部の外側面と接合材膜との界面に剥離が発生し難い接合体を提供する」という課題を解決し得るものであるということができる。 これに対し、本件明細書に記載された試験Bでは、接合材膜用のペーストを焼成後、過酷な熱サイクル試験(温度範囲:常温?800℃、昇温速度:2時間、降温速度:4時間の条件で、10サイクル)を実施した後に、本願発明における「S/T」及び「接合率」をパラメータとして、剥離試験を行い、「S/T」が1.2?2.0、かつ、「接合率」が10?70%の場合において、剥離が発生し難くなっており、この試験では、焼成後に過酷な熱サイクル試験を行っていることから、「ペーストの焼成時」ではなく、例えば、燃料電池の運転時等の剥離試験であるということができる。 そうすると、試験Bの結果如何に関わらず、「ペーストの焼成時」の剥離試験である試験Aにおいて、「S/T」が1.2?2.0である「接合体」が、上記課題のうち、少なくとも「ペーストの焼成時において、」「集電部材の周縁部の外側面と接合材膜との界面に剥離が発生し難い接合体を提供する」という課題を解決し得るものであると当業者が認識できるから、請求項1及び3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるということができる。 イ 取消理由イについて 特許権者は、意見書において、乙第1号証である実験成績証明書を添付し、当該実験により、集電部材の材料が(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合に、もともと上記課題が存在していたことを確認したと主張している(意見書第4頁最後から第4行?第5頁第4行)。 そして、乙第1号証によると、集電部材の材料が(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合に、請求項1及び3の「S/T」の範囲から外れた値である、すなわち、「S/T」がそれぞれ1.0、2.2、3.0である水準16?18において、剥離が生じた結果が得られている(【表3】)ことから、集電部材の材料として(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合においても、本願発明の解決しようとする課題が存在していたと認められ、請求項1及び3に係る発明は、該課題を解決したものといえる。 よって、請求項1及び3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 ウ 取消理由ウについて 特許権者は、意見書において、乙第2号証である実験成績証明書を添付し、当該実験により、集電部材の材料が(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合に、もともと上記課題が存在していたことを確認したと主張している(意見書第5頁第5行?第12行)。 そして、乙第2号証によると、集電部材の材料が(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合に、請求項2及び4の「接合率」の範囲から外れた値である、すなわち、「接合率」がそれぞれ81%、84%、5%である水準16?18において、剥離が生じた結果が得られている(【表4】)ことから、集電部材の材料として(La,Sr)MnO_(3)を用いた場合においても、本願発明の解決しようとする課題が存在していたと認められ、請求項2及び4に係る発明は、該課題を解決したものといえる。 よって、請求項2及び4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 エ 取消理由エについて 特許権者は、本件訂正請求により、請求項1を訂正し、請求項1の「集電部材の周縁部の外側面」は、「接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」ていることを特定し、また、請求項3を訂正し、請求項3の「集電部材の周縁部の外側面」は、「第1接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、」かつ、「第2接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」ていることを特定した。 これにより、請求項1?4において、集電部材の周縁部の外側面の形状が特定されたので、請求項1?4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。 (3)-2 取消理由に採用しなかった申立理由 ア 特許法第29条第1項第3号及び同条第2項について ア-1 申立理由ア-1について まず、本件発明1が、刊行物1に記載された発明であるか否かを検討する。 刊行物1に記載された「燃料電池セル装置1」は、その「集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)」が不明であるから、本件発明1の「S/T」が1.2?2.0であるという発明特定事項は、刊行物1には記載されていないから、本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 なお、申立人は、刊行物1の図3?5を参照することにより、または、刊行物1の先行技術文献欄に記載された特開2005-339904号公報(以下、「先行特許文献」という。)の集電部材の厚みを参酌すれば、刊行物1には、上記発明特定事項が記載されているといえる旨主張している(異議申立書第18頁第8行?第21頁第4行)。 しかしながら、刊行物1の図3?5は、実際の縮尺を正確に表したものではない、所謂ポンチ絵であるから、上記発明特定事項の「S/T」を算出することは困難であるし、また、刊行物1に記載された集電部材の厚みが、先行特許文献に記載された集電体の厚みと同程度であるという根拠はないから、刊行物1には、上記発明特定事項が記載されているとはいえない。 次に、刊行物1記載の発明において、上記発明特定事項を、当業者が容易に発明をすることができたか否かを検討する。 刊行物1(【0009】、【0033】、【0037】、図1、図3、図4)には、燃料電池セル装置1において、アンカー効果による集電部材4と導電性接合材13との接合強度を向上させるために、集電部材4の第2表面4h及び第3表面4iに、第2表面4hまたは第3表面4iから内部に向けて5?100μmの深さ、かつ、凹部15の開口部15aが5?50μmの大きさとなるように、複数の凹部15を設ける事項が記載されている。 しかしながら、上述したように、刊行物1に記載された「燃料電池セル装置1」は、凹部15の深さ及び凹部15の開口部15aの大きさは、特定されているものの、「集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)」が不明である。 また、刊行物1に記載された上記事項は、凹部15を設けることにより、アンカー効果による集電部材4と導電性接合材13との接合強度を向上させるものではあるものの、本件発明1のように「S/T」とアンカー効果との関係について記載されたものではないし、この関係を想起する動機も見当たらない。 さらに、申立人が、接合材により接合される被接合部材の表面に凹凸を設けるなどして道程(S)を長くし、接合界面におけるアンカー硬化を増大させて被接合部材の剥離を抑制することは、周知の事項であるとして、提出した刊行物3?6に記載された事項は、いずれも燃料電池に関するものではないし、集電部材の側面に凹凸を設けるものでもなく、また、「S/T」を調整するという技術思想が記載されたものでもないから、刊行物1に記載された発明において、刊行物3?6に記載された周知技術を適用する動機付けがないし、仮に、適用できたとしても、上記発明特定事項を得ることができない。 また、その他の刊行物を参照しても、刊行物1記載の発明において、上記発明特定事項を得ることができない。 したがって、刊行物1記載の発明において、上記発明特定事項を、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ア-2 申立理由ア-2について 上記申立理由ア-1についてで検討したように、本件発明1が、刊行物1に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないものであるから、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2も、同様に、刊行物1に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ア-3 申立理由ア-3について 上記申立理由ア-1についてで検討したように、本件発明1の「割合(S/T)は、1.2?2.0である」という発明特定事項が、刊行物1に記載されていないから、本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるとはいえないし、刊行物1記載の発明において、該発明特定事項を、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、上記発明特定事項と同様の発明特定事項「割合(S/T)は、1.2?2.0である」を有する、本件発明3も、同様に、刊行物1に記載された発明であるとはいえないし、刊行物1記載の発明において、上記発明特定事項を、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ア-4 申立理由ア-4について 上記申立理由ア-3についてで検討したように、本件発明3が、刊行物1に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないものであるから、本件発明3の発明特定事項を全て含む本件発明4も、同様に、刊行物1に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 イ 特許法第36条第6項第1号について イ-1 申立理由イ-1について 本件発明1が、集電部材と接合材膜との接触部分の長さの合計が、1.2μmや14μmの態様を含むのに対し、例えば、これらの中間値である9.6μmや11μmの態様は含まれないとしても、どのような発明を特許請求の範囲に記載するかは、出願人(特許権者)の自由であり、9.6μmや11μmの態様が含まれないことをもって、本件発明1が、発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。 また、本件発明1において、特定の接合率の範囲に限定しなければならない理由もない。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。 また、本件発明3についても、同様に、発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。 イ-2 申立理由イ-2について 本件発明2が、集電部材と接合材膜との接触部分の長さの合計が、1.2μmや14μmの態様を含むのに対し、例えば、これらの中間値である9.6μmの態様は含まれないとしても、どのような発明を特許請求の範囲に記載するかは、出願人(特許権者)の自由であり、9.6μmの態様が含まれないことをもって、本件発明2が、発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。 また、本件発明2において、他の発明特定事項を限定しなければならない理由もない。 したがって、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。 また、本件発明4についても、同様に、発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。 ウ 特許法第36条第6項第2号について ウ-1 申立理由ウ-1について 特許権者は、本件訂正請求により、請求項1を訂正し、請求項1の「集電部材の周縁部の外側面」は、「接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」ていることを特定し、また、請求項3を訂正し、請求項3の「集電部材の周縁部の外側面」は、「第1接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、」かつ、「第2接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び」ていることを特定した。 したがって、請求項1?4において、集電部材の外側面の形状が円弧状ではないことが特定されたので、請求項1?4に係る発明は、明確であるといえる。 ウ-2 申立理由ウ-2について 申立人は、集電部材に導電性のコーティングが設けられている場合は、請求項2及び4に記載された「集電部材の厚さ方向の長さ」が、何を指すのか不明瞭であると主張しているが、集電部材に導電性のコーティングが設けられている場合は、導電性のコーティングも含めて集電部材であるということができるから、「集電部材の厚さ方向の長さ」とは、集電部材の表面に形成された導電性のコーティングを含めた厚さ方向の長さを意味することは明らかである。 よって、請求項2及び4に係る発明は、明確である。 エ 特許法第36条第4項第1号について エ-1 申立理由エ-1について 本件明細書には、「厚さTに対する道程Sの調整(値S/Tの調整)は、集電部材(焼成体)の焼成前のペーストに含まれるセラミックス粉末の粒径、造孔材の粒径、並びに、ペーストの焼成温度、焼成時間等を調整することによってなされる。具体的には、セラミックス粉末の粒径が大きいほど、造孔材の粒径が大きいほど、ペーストの焼成温度が低いほど、ペーストの焼成時間が短いほど、道程S(従って、値「S/T」)が大きくなる」(【0084】)と記載されている。 そうすると、たとえ、本件明細書に、セラミックス粉末の粒径、造孔材の粒径、ペーストの焼成温度、焼成時間等の数値が具体的に記載されていなくても、当業者であれば、これらの各数値を予備的に決定して「接合体」を作製した後、この「接合体」の「S/T」を測定し、「S/T」が1.2を下回る数値であれば、セラミックス粉末の粒径を大きく、造孔材の粒径を大きく、ペーストの焼成温度を低く、または、ペーストの焼成時間を短くし、逆に、「S/T」が2.0を上回る数値であれば、セラミックス粉末の粒径を小さく、造孔材の粒径を小さく、ペーストの焼成温度を高く、または、ペーストの焼成時間を長くして、再度「接合体」を作製するという工程を繰り返すことにより、請求項1及び3の「接合体」は、当業者に期待する程度を超える試行錯誤等を行う必要なく作製可能である。 よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、請求項1?4に係る発明を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 エ-2 申立理由エ-2について 本件明細書には、「「接合率」の調整は、接合材用のペーストの密度と粘度とを調整することによってなされる。具体的には、ペーストの密度が大きいほど、ペーストの粘度が小さいほど、「接合率」が大きくなる」(【0091】)と記載されている。 そうすると、たとえ、本件明細書に、ペーストの密度及び粘度等の数値が具体的に記載されていなくても、当業者であれば、これらの各数値を予備的に決定して「接合体」を作製した後、この「接合体」の「接合率」を測定し、「接合率」が10%を下回る数値であれば、ペーストの密度を大きく、ペーストの粘度を小さく、逆に、「接合率」が70%を上回る数値であれば、ペーストの密度を小さく、ペーストの粘度を大きくして、再度「接合体」を作製するという工程を繰り返すことにより、請求項2及び4の「接合体」は、当業者に期待する程度を超える試行錯誤等を行う必要なく作製可能である。 よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、請求項2及び4に係る発明を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、本件請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の発電部と、 電子伝導性を有する酸化物セラミックスで構成された集電部材と、 前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、であるベース部材と前記集電部材との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる接合材膜と、 を備え、 前記接合材膜は、前記ベース部材と前記集電部材とが電気的に接続されるように、前記ベース部材と前記集電部材とを接合し、 前記集電部材が前記接合材膜に埋設されることによって、前記集電部材の周縁部の外側面は、前記接合材膜に覆われており、前記接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.2?2.0である、 接合体。 【請求項2】 請求項1に記載の接合体において、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である接合率は、10?70%である、接合体。 【請求項3】 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の第1発電部と、 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の第2発電部と、 電子伝導性を有する酸化物セラミックスで構成された集電部材と、 前記第1発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記第1発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、である第1ベース部材と前記集電部材との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる第1接合材膜と、 前記第2発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記第2発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、である第2ベース部材と前記集電部材との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる第2接合材膜と、 を備え、 前記第1接合材膜は、前記第1ベース部材と前記集電部材とが電気的に接続されるように、前記第1ベース部材と前記集電部材とを接合し、 前記第2接合材膜は、前記第2ベース部材と前記集電部材とが電気的に接続されるように、前記第2ベース部材と前記集電部材とを接合し、 前記集電部材が前記第1接合材膜に埋設されることによって、前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第1接合材膜に覆われており、前記第1接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第1接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第1接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.2?2.0であり、 前記集電部材が前記第2接合材膜に埋設されることによって、前記集電部材の周縁部の外側面は、前記第2接合材膜に覆われており、前記第2接合材膜に覆われた部分において、前記集電部材の厚さ方向に沿って延び、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第2接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の厚さ方向に沿う前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第2接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.2?2.0である、 接合体。 【請求項4】 請求項3に記載の接合体において、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第1接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第1接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記第1接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である第1接合率は、10?70%であり、 前記集電部材の周縁部の外側面が前記第2接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記集電部材の周縁部の断面の拡大率が2000倍の画像に基づいて得られる、前記集電部材の周縁部の外側面における前記第2接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記集電部材の周縁部の外側面と前記第2接合材膜とが接触している複数の部分の前記集電部材の厚さ方向の長さの合計、の割合である第2接合率が、10?70%である、接合体。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-04-12 |
出願番号 | 特願2015-131812(P2015-131812) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(H01M)
P 1 651・ 536- YAA (H01M) P 1 651・ 121- YAA (H01M) P 1 651・ 113- YAA (H01M) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 渡部 朋也 |
特許庁審判長 |
池渕 立 |
特許庁審判官 |
土屋 知久 千葉 輝久 |
登録日 | 2016-01-22 |
登録番号 | 特許第5873948号(P5873948) |
権利者 | 日本碍子株式会社 |
発明の名称 | 接合体 |
代理人 | 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 |
代理人 | 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 |