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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 D21F |
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管理番号 | 1329096 |
異議申立番号 | 異議2016-700251 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-03-25 |
確定日 | 2017-06-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第5814330号発明「抄紙用織物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5814330号の請求項1-10に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第5814330号の請求項1-10に係る特許についての出願は、平成25年12月2日に特許出願され、平成27年10月2日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成28年3月25日に特許異議申立人日本フイルコン株式会社により特許異議の申立てがされ、平成28年7月8日に特許異議申立人日本フイルコン株式会社により特許異議申立書の手続補正がなされ、平成28年7月21日に特許権者日本フエルト株式会社から上申書が提出され、平成28年10月25日付けで特許異議申立人日本フイルコン株式会社に対して審尋が行われ、平成28年12月26日に回答書が提出され、平成29年2月22日付けで取消理由が通知され、平成29年4月12日に特許権者日本フエルト株式会社の申出により面接が行われ、指定期間内である平成29年4月18日に意見書が提出されたものである。 2.本件発明 特許第5814330号の請求項1-10の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明は、以下のとおりである。 「【請求項1】 任意の本数の製紙面側緯糸及び前記製紙面側緯糸の1/3?2/3の本数の走行面側緯糸を組として含む緯糸と、前記走行面側緯糸及び前記製紙面側緯糸に織り込まれた経糸とを有する抄紙用織物であって、 4本の前記経糸と、複数組の前記緯糸とがサブユニットを形成し、 前記サブユニット内の前記経糸は一側から第1経糸、第2経糸、第3経糸、第4経糸の順に配置され、前記第1経糸及び前記第3経糸は、前記走行面側緯糸における共通の第1走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の前記走行面側緯糸の上方を通過し、 前記第1経糸は、前記製紙面側緯糸における任意の第1製紙面側緯糸の上方を通過すると共にその両隣の前記製紙面側緯糸の下方を通過し、 前記第3経糸は、前記第1製紙面側緯糸と異なる第2製紙面側緯糸の上方を通過すると共にその両隣の前記製紙面側緯糸の下方を通過し、 前記第2経糸及び前記第4経糸は、前記第1走行面側緯糸と異なる共通の第2走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の前記走行面側緯糸の上方を通過し、 前記第2経糸は、前記第1及び第2製紙面側緯糸と異なる第3製紙面側緯糸の上方を通過すると共にその両隣の前記製紙面側緯糸の下方を通過し、 前記第4経糸は、前記第1?第3製紙面側緯糸の全てと異なる第4製紙面側緯糸の上方を通過すると共にその両隣の前記製紙面側緯糸の下方を通過し、 複数の前記サブユニットが、前記緯糸の延在方向において隣り合う前記サブユニットと前記経糸の延在方向に偏倚して配置されることによって完全組織が形成されることを特徴とする抄紙用織物。」 3.取消理由の概要 当審において、請求項1-10に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、請求項1-10に係る発明は、甲第1号証(特開2007-46188号公報)に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明し得たものである、というものである。 4.甲号証の記載 甲第1号証には、第1経糸及び第4経糸について「走行面側緯糸における共通の第1走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の走行面側緯糸の上方を通過」すること、また第2経糸及び第3経糸について「第1走行面側緯糸と異なる共通の第2走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の走行面側緯糸の上方を通過」することが、それぞれ記載されている。 5.判断 (1)請求項1に係る発明について ア 対比 請求項1に係る発明において、第1経糸ないし第4経糸は、サブユニット内において一側から、第1経糸、第2経糸、第3経糸、第4経糸の順に配置されるものである。 このため、甲第1号証においては、経糸32b、経糸31b、経糸32a、経糸31aは、それぞれ第1経糸、第2経糸、第3経糸、第4経糸に相当する(図5等参照)。 そうすると、請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、少なくとも以下の2点で相違する。 (相違点1) 請求項1に係る発明は「第1経糸及び第3経糸は、走行面側緯糸における共通の第1走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の走行面側緯糸の上方を通過」(特許異議申立書における構成D)するものであるのに対し、甲第1号証に記載された発明は、「第1経糸及び第4経糸は、走行面側緯糸における共通の第1走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の走行面側緯糸の上方を通過」するものである点(下線は、当審で付した)。 (相違点2) 請求項1に係る発明は「第2経糸及び第4経糸は、第1走行面側緯糸と異なる共通の第2走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の走行面側緯糸の上方を通過」(特許異議申立書における構成G)するものであるのに対し、甲第1号証に記載された発明は、「第2経糸及び第3経糸は、第1走行面側緯糸と異なる共通の第2走行面側緯糸の下方を通過すると共にその両隣の走行面側緯糸の上方を通過」するものである点(下線は、当審で付した)。 イ 判断 相違点1について。 甲第1号証には、第3経糸と第4経糸とを入れ替えることは、記載されていない。 そして、請求項1に係る発明は、相違点1によって、第1経糸及び第3経糸が走行面側緯糸の走行面側を通過する部分では、走行面側緯糸に押されて第1経糸及び第3経糸は第2経糸側に寄り、互いに近接する(段落0039、図3等)。これによって、抄紙用織物の厚みを比較的薄くするとともに、脱水性を得る(段落0007)という効果を得るものである。 このような効果は、当業者にとって予測し得るものではない。 相違点2について。 甲第1号証には、前述のように、第3経糸と第4経糸とを入れ替えることは、記載されていない。 そして、請求項1に係る発明は、相違点2によって、第2経糸及び第4経糸が走行面側緯糸の走行面側を通過する部分では、走行面側緯糸に押されて第2経糸及び第4経糸は第3経糸側に寄り、互いに近接する(段落0039、図3等)。これによって、抄紙用織物の厚みを比較的薄くするとともに、脱水性を得る(段落0007)という効果を得るものである。 このような効果も、当業者にとって予測し得るものではない。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものではない。 (2)請求項2-10に係る発明について 請求項2-10に係る発明は、請求項1に係る発明の特定事項をすべて含むものであり、請求項1に係る発明と同様の理由で、請求項2-10に係る発明は、上記甲第1号証に記載された発明から当業者が容易になし得たものではない。 6.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1-10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1-10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-05-22 |
出願番号 | 特願2013-249090(P2013-249090) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(D21F)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中村 勇介 |
特許庁審判長 |
渡邊 豊英 |
特許庁審判官 |
井上 茂夫 谿花 正由輝 |
登録日 | 2015-10-02 |
登録番号 | 特許第5814330号(P5814330) |
権利者 | 日本フエルト株式会社 |
発明の名称 | 抄紙用織物 |
復代理人 | 木村 政彦 |
復代理人 | 高尾 智満 |
代理人 | 特許業務法人 大島特許事務所 |
代理人 | 小松 純 |