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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1331009
審判番号 不服2016-6337  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-28 
確定日 2017-08-09 
事件の表示 特願2014-115420「CDMA2000システムのためのATホームエージェント(HA)/ローカルモビリティエージェント(LMA)における課金のための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日出願公開,特開2014-195321〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成24年1月24日に出願された特願2012-11897号(パリ条約による優先権主張 2003年1月25日 米国, 2003年3月25日 米国, 2003年12月9日 米国)の一部を,平成26年6月4日に新たな特許出願としたものであって,平成27年3月3日付けで拒絶理由の通知がされ,同年6月9日付けで手続補正がされ,同年12月24日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成28年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がされ,同時に手続補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年4月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
上記手続補正(以下,「本件補正」という。)は,本件補正前の平成27年6月9日付けで手続補正された特許請求の範囲を次のように補正するものである。

[本件補正前の特許請求の範囲]
「 【請求項1】
ホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための方法であって,
前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信することと,
前記HAAAサーバが,前記PDSNに承諾メッセージを送信することと,を有し,
前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する,方法。
【請求項2】
請求項1において,
さらに,前記HAAAサーバが,前記承諾メッセージに,前記HA/LMAによる使用を認める課金トリガを含めて送信することを含む,方法。
【請求項3】
請求項1において,
前記承諾メッセージは,値が「True」に設定されるフィールドを含む,方法。
【請求項4】
請求項1において,
さらに,IPv6動作のための/64PPPリンクプレフィックスを割り当てることを含む,方法。
【請求項5】
請求項1において,
さらに,前記HAAAサーバが,前記承諾メッセージの中に,PMN-HA/LMAキーを含めて送信することを含む,方法。
【請求項6】
無線通信ネットワークにおけるホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための装置であって,
パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信するモジュールと,
前記PDSNに承諾メッセージを送信するモジュールと,を有し,
前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する情報である,装置。
【請求項7】
請求項6において,
さらに,前記承諾メッセージに,前記HA/LMAによる使用を認める課金トリガを含めて送信するモジュールを有する装置。
【請求項8】
請求項6において,
前記HA/LMAが課金を実行する場合,前記承諾メッセージは,値が「True」に設定されるフィールドを含む,装置。
【請求項9】
請求項6において,
さらに,IPv6動作のための/64PPPリンクプレフィックスを割り当てることを含む,装置。
【請求項10】
請求項6において,
さらに,前記HAAAサーバが,前記承諾メッセージの中に,PMN-HA/LMAキーを含めて送信するモジュールを含む,装置。」

[本件補正後の特許請求の範囲]
「 【請求項1】
ホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための方法であって,
前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から登録メッセージを受信することと,
前記HAAAサーバが,前記PDSNに承諾メッセージを送信することと,を有し,
前記登録メッセージは,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージであり,前記課金のために,前記登録メッセージは,課金モビリティ拡張/オプションにおける変化をもたらす移動局のハンドオフイベントに起因して登録が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されるときに送信され,
前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する,方法。
【請求項2】
請求項1において,
さらに,前記HAAAサーバが,前記承諾メッセージに,前記HA/LMAによる使用を認める課金トリガを含めて送信することを含む,方法。
【請求項3】
請求項1において,
前記承諾メッセージは,値が「True」に設定されるフィールドを含む,方法。
【請求項4】
請求項1において,
さらに,IPv6動作のための/64PPPリンクプレフィックスを割り当てることを含む,方法。
【請求項5】
請求項1において,
さらに,前記HAAAサーバが,前記承諾メッセージの中に,PMN-HA/LMAキーを含めて送信することを含む,方法。
【請求項6】
無線通信ネットワークにおけるホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための装置であって,
パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,登録メッセージを受信するモジュールと,
前記PDSNに承諾メッセージを送信するモジュールと,を有し,
前記登録メッセージは,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージであり,前記課金のために,前記登録メッセージは,課金モビリティ拡張/オプションにおける変化をもたらす移動局のハンドオフイベントに起因して登録が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されるときに送信され,
前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する情報である,装置。
【請求項7】
請求項6において,
さらに,前記承諾メッセージに,前記HA/LMAによる使用を認める課金トリガを含めて送信するモジュールを有する装置。
【請求項8】
請求項6において,
前記HA/LMAが課金を実行する場合,前記承諾メッセージは,値が「True」に設定されるフィールドを含む,装置。
【請求項9】
請求項6において,
さらに,IPv6動作のための/64PPPリンクプレフィックスを割り当てることを含む,装置。
【請求項10】
請求項6において,
さらに,前記HAAAサーバが,前記承諾メッセージの中に,PMN-HA/LMAキーを含めて送信するモジュールを含む,装置。」

これ以降,本件補正前の特許請求の範囲の請求項を,「補正前の請求項」,また,本件補正前の特許請求の範囲の請求項を,「補正後の請求項」ということとする。
また,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面のそれぞれを,「出願当初の明細書」,「出願当初の特許請求の範囲」及び「出願当初の図面」(「出願当初の図1」等)といい,これらを総称して「出願当初の明細書等」ということとする。

本件補正は,次の補正からなる。
[補正1]
補正前の請求項1に記載された「前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信すること」を,補正後の請求項1の記載において,「前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から登録メッセージを受信すること」及び「前記登録メッセージは,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージであり」とする補正。
[補正2]
補正前の請求項1には記載されていなかった「前記課金のために,前記登録メッセージは,課金モビリティ拡張/オプションにおける変化をもたらす移動局のハンドオフイベントに起因して登録が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されるときに送信され」るとの構成を,補正後の請求項1の記載において付加する補正。
[補正3]
補正前の請求項6に記載された「パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信するモジュール」を,補正後の請求項6の記載において,「パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,登録メッセージを受信するモジュール」及び「前記登録メッセージは,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージであり」とする補正。
[補正4]
補正前の請求項6には記載されていなかった「前記課金のために,前記登録メッセージは,課金モビリティ拡張/オプションにおける変化をもたらす移動局のハンドオフイベントに起因して登録が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されるときに送信され」るとの構成を,補正後の請求項6の記載において付加する補正。

2.新規事項の有無について
(1)補正後の請求項1等に記載の「登録メッセージ」及び「承諾メッセージ」と,出願当初の明細書等に記載した事項との対応関係について

補正後の請求項1の記載「前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から登録メッセージを受信すること」によると,「登録メッセージ」は,「ホーム認証,認可及び課金サーバ」すなわち「HAAAサーバ」が,「パケットデータサービスノード」すなわち「PDSN」から「受信」するものである。
また,補正後の請求項1の記載「前記HAAAサーバが,前記PDSNに承諾メッセージを送信すること」によると,「承諾メッセージ」は,「HAAAサーバ」が「PDSN」に「送信」するものであり,当該「送信」は,前記「登録メッセージ」の「受信」の後になされるものであることから,当該「承諾メッセージ」は,前記「登録メッセージ」に応答して送信されるものと解するのが合理的である。
そして,出願当初の明細書及び図面の記載において,「HAAAサーバ」が「PDSN」から「受信」するメッセージとして,段落【0036】(図7のA6の説明),【0063】(図8のB3の説明)及び【0090】(図9のC3の説明)には,「AAAアクセス要求メッセージ」が記載されており,出願当初の明細書等には,これ以外に「HAAAサーバ」が「PDSN」から「受信」するメッセージは記載されていない。
また,出願当初の明細書及び図面の記載において,「HAAAサーバ」が「PDSN」に「送信」するメッセージとして,段落【0037】(図7のA6の説明),【0064】(図8のB3の説明)及び【0091】(図9のC3の説明)には,「AAAアクセス許諾メッセージ」が記載されており,これ以外に「HAAAサーバ」が「PDSN」に「送信」するメッセージは記載されていない。
また,出願当初の明細書の段落【0037】,【0064】及び【0091】に,「HAAAサーバ」が,「AAAアクセス許諾メッセージ」に,MS(移動局)について,HA/LMAにおける課金が許可される場合には「True」に設定され,認可されない場合には「False」に設定される,HA-LMA課金モードRADIUS VSAを含めて送信すること,及び,オペレータポリシに応じて,認可されたHA/LMA課金トリガを示す課金トリガRADIUS VSAを返すことが記載されており,補正後の請求項1に記載の「前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する」と合致している。
以上のことから,補正後の請求項1に記載の「登録メッセージ」及び「承諾メッセージ」のそれぞれは,出願当初の明細書等の記載における「AAAアクセス要求メッセージ」及び「AAAアクセス承諾メッセージ」に対応したものといえる。
補正後の請求項6に記載の「登録メッセージ」及び「承諾メッセージ」についても同様である。

(2)[補正1]及び[補正3]について
本件補正前の請求項1及び6には,「前記PDSNが,…課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されることを確実にする」との記載があるものの,「登録メッセージ」が「前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージ」であるという事項は記載されていないので,[補正1]及び[補正3]は,「登録メッセージ」が,「前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージ」であるという事項を付加するものである。
よって,当該事項が,出願当初の明細書等に記載したものであるか否かについて,出願当初の明細書等の記載内容に基づいて検討する。

出願当初の明細書の段落【0036】には,「PDSNがHA/LMA708において課金(Accounting)をサポートしている場合,PDSN706は,「True」に設定された値を有するHA-LMA課金モードRADIUS VSA(HA-LMA-Accounting-Mode RADIUS VSA)をAAAアクセス要求メッセージに含ませる。」と記載されている。一方,出願当初の明細書の段落【0037】には,「認可に成功すると,加入者サービス品質(quality of service:QoS)プロファイル,ホームのエージェントアドレス(Home Agent Address)等の情報,及びFA-HAキー等の他の情報が,AAAアクセス承諾(AAA Access Accept)メッセージ内でPDSN706に返される。MS702についてHA/LMA708における課金が認可された場合,HAAA710は,アクセス承諾メッセージ内で値が「True」に設定されたHA-LMA課金モードRADIUS VSA(HA-LMA-Accounting-Mode RADIUS VSA)を返す。MS702について,HA/LMA708における課金が認可されない場合,HA-LMA課金モードRADIUS VSA(HA-LMA-Accounting-Mode RADIUS VSA)は,アクセス承諾メッセージに含まれず,又は値を「False」に設定してアクセス承諾メッセージに含まれる。オペレータポリシに応じて,HAAA710は,アクセス承諾メッセージ内で,認可されたHA/LMA708課金トリガ(Accounting Trigger)を示すサポート課金トリガRADIUS VSA(Supported Accounting Triggers RADIUS VSA)を返す。また,HAAA710は,MS702についてのネットワークPMIPサポートを指示し,PMN-HA/LMAキー及びPMN-HA/LMA-SPI情報をPDSNに返す(X.S0061)。」と記載されており,この記載によると,「PDSN」が,「AAAアクセス要求メッセージ」を「HAAAサーバ」に送信しても,「HAAAサーバ」においては,「HA/LMA708における課金が認可されない場合」(「アクセス承諾メッセージ」には,「HA-LMA課金モードRADIUS VSA(HA-LMA-Accounting-Mode RADIUS VSA)」は含まれないか,又は,その値が「False」に設定されたものが含まれる場合。)もあり得るから,「AAAアクセス要求メッセージ」すなわち本願発明の「登録メッセージ」は,HA/LMAにおける課金の認可を要求するものにすぎず,その送信は,HA/LMAにおける課金が確実に実行されることを保証するものではない。
してみれば,出願当初の明細書の記載においては,「PDSN」が,「AAAアクセス要求メッセージ」の「HA-LMA課金モードRADIUS VSA」を「False」に設定することから,この設定は,「前記PDSNが…課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(…HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す」処理に対応し,前記の設定がなされた「AAAアクセス要求メッセージ」は,「課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(…HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージ」に対応することとなる。そして,「HA-LMA課金モードRADIUS VSA」は,「False」か「True」のいずれかが設定されるものであるから,「PDSN」が「確実にする」対象は,課金が「PDSN」で実行されるか「HA/LMA」で実行されるかであって,課金そのものではない。そして、「登録メッセージ」が、「PDSN」が「課金」そのものを「確実にすることを示す」ものであることは、出願当初の明細書等の他の箇所にも記載されていない。
そうすると,補正後の請求項1及び6の記載において,「登録メッセージ」が「前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージ」であることは,出願当初の明細書等に記載したものとはいえず,また,そのことが,本願の最先の優先日前に技術常識であったともいえない。
よって,[補正1]及び[補正3]は,出願当初の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。

(3)[補正2]及び[補正4]について
補正後の請求項1の記載において,「前記登録メッセージは,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージであり,前記課金のために,前記登録メッセージは,課金モビリティ拡張/オプションにおける変化をもたらす移動局のハンドオフイベントに起因して登録が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されるときに送信され」は,「前記登録メッセージ」が,「移動局のハンドオフイベントに起因して登録が実行されるとき」に「送信」されるものと理解することができる。
ここで,「ハンドオフイベント」に関して,出願当初の明細書においては,段落【0047】ないし【0054】(図6のA15?A21の説明),【0076】ないし【0082】(図8のB12?B17の説明)及び【0105】ないし【0111】(図9のC14?C19の説明)に,「ハンドオフイベント」が発生すると,「PDSN」が,「PMIPv4登録要求/PMIPv6バインディング更新メッセージ」を「HA/LMA」に送信すること,「LA/LMA」と「HAAAサーバ」との間でメッセージ(AAAアクセス要求メッセージ,AAAアクセス承諾メッセージ,課金要求/応答(停止/開始)/一時的更新メッセージ)を交換することが記載されている。これらの記載によると,「ハンドオフイベント」に起因して,「PDSN」と「HA/LMA」との間又は「HA/LMA」と「HAAAサーバ」との間で「メッセージ」を交換するものと解されるが,これらの交換には,「PDSN」と「HAAAサーバ」との間で送受信される「AAAアクセス要求メッセージ」(補正後の請求項1に記載の「登録メッセージ」に対応。)及び「AAAアクセス承諾メッセージ」(補正後の請求項1に記載の「承諾メッセージ」に対応。)は含まれておらず,そのことを裏付けるような記載は,出願当初の明細書等には存在しない。また,「PDSN」と「HAAAサーバ」との間で「AAAアクセス要求メッセージ」及び「AAAアクセス承諾メッセージ」を送受信することは,「移動局用パケットデータセッション」のための課金処理を「HA/LMA」で実施するか否かを決定するために,「ハンドオフイベント」に関係なく最初のモバイルアクセス時に必ず実施すべき処理であることは,出願当初の明細書の【0036】,【0037】,【0063】,【0064】,【0090】及び【0091】並びに図7ないし図9の記載から明らかであることから,前記「AAAアクセス要求メッセージ」及び「AAAアクセス承諾メッセージ」が,「ハンドオフイベント」の発生に伴って送受信されるものではないことは自明である。
そうすると,「前記登録メッセージ」が,「移動局のハンドオフイベントに起因して登録が実行されるとき」に「送信」されることを含む,「前記登録メッセージは,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金を確実にすることを示すメッセージであり,前記課金のために,前記登録メッセージは,課金モビリティ拡張/オプションにおける変化をもたらす移動局のハンドオフイベントに起因して登録が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されるときに送信され」を付加する[補正2]は,出願当初の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。
[補正4]についても同様である。

よって,前記(2)及び(3)より,[補正1]ないし[補正4]を含む本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件に適合しない。

3.シフト補正要件
[補正1]ないし[補正4]は,前記「2.新規事項の有無について」で述べたように,新規事項を導入するものであるから,発明の特別な技術的特徴を変更するものであることが明らかである。
よって,[補正1]ないし[補正4]を含む本件補正は,特許法第17条の2第4項に規定する要件(シフト補正要件)に適合しない。

4.補正の目的要件について
[補正1]ないし[補正4]は,前記「2.新規事項の有無について」で述べたように,新規事項を導入するものであるから,補正前の特許請求の範囲に記載された発明と補正後の特許請求の範囲に記載された発明の解決しようとする課題が同一であるということはできないから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる限定的減縮を目的としたものとはいえない。
また,[補正1]ないし[補正4]は,請求項の削除,誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものではない。
よって,[補正1]ないし[補正4]を含む本件補正は,特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれをも目的とするものではない。

4.結語
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成28年4月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の特許請求の範囲は,平成27年6月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲であり,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものと認める。

「 ホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための方法であって,
前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信することと,
前記HAAAサーバが,前記PDSNに承諾メッセージを送信することと,を有し,
前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する,方法。」

2.引用例,引用発明等
(1)引用例1について
原審の拒絶理由に引用された米国特許出願公開第2004/0048600号明細書には,「Method, system and telecommunication node for alternative prepaid support」([当審仮訳]代替プリペード支援のための方法,システム及び通信ノード)(発明の名称)に関して,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「[0006] Reference is now made to FIG. 1 (Prior Art) that shows a high-level block diagram of a CDMA2000 cellular telecommunications network 100. In the CDMA2000 wireless IP network 100, prepaid service allows an end-user 101 to purchase packet data service in advance based on volume or time. The prepaid account status is stored on a Prepaid server (PPS) 102 that is located in the enduser#s home network 104 and accessed via a Home Authorization, Authentication & Accounting (HAAA) server 106. A Prepaid Client 108 residing in a Home Agent 109 communicates with the PPS 102 via the HAAA server 106. The function of the Prepaid Client 108 is to perform on-line accounting of the Mobile IP session (i.e.: to allow the Mobile IP traffic according to the granted volume or duration, and to block the Mobile IP traffic if not granted). To provide service to roaming prepaid end-users, a visited PDSN 110 also needs to support a Prepaid Client 111 for performing on-line accounting of the IP session (i.e.: to allow the IP traffic according to the granted volume or duration, and to block the IP traffic if not granted). Accounting messages from the visited PDSN 110 are possibly sent to the Home AAA server 106 via visited AAA server 116, which serves as proxy. The HAAA 106 and the Prepaid server 102 can be collocated in which case the collocated functionality may be denoted HAA/PPS, or could be separate entities. From the PDSN 110 or the HA 108 perspective, the HAAA 106 and the PPS 102 are indistinguishable. The interface between the HAAA 106 and the Prepaid server 102 is outside the scope of the present invention. 」(第1ページ)
([当審仮訳]
[0006] CDMA2000セルラ電気通信ネットワーク100の上位のブロック図を示す図1(従来技術)を参照する。CDMA2000無線IPネットワーク100では,プリペイドサービスのために,エンドユーザ101は,容量ベース又は時間ベースのパケットデータサービスを予め購入する。プリペイドアカウントステータスは,エンドユーザのホームネットワーク104内に設置されているプリペイドサーバ(PPS)102に記憶され,ホーム認証,認可・課金(HAAA)サーバ106を介してアクセスされる。ホームエージェント109に存在するプリペイドクライアント108は,HAAAサーバ106を介してPPS102と通信する。プリペイドクライアント108の機能は,モバイルIPセッション(すなわち,許可された容量又は期間に従ってモバイルIPトラフィックを許容し,及び,許可されていない場合にはモバイルIPトラフィックを遮断するため)のオンライン課金を実行することである。ローミングするプリペイドのエンドユーザに対してサービスを提供するために,訪問先PDSN110もまた,IPセッション(すなわち,許可された容量又は期間に従ってモバイルIPトラフィックを許容し,及び,許可されていない場合にはモバイルIPトラフィックを遮断するため)のオンライン課金を実行するために,プリペイドクライアント111をサポートする必要がある。訪問先PDSN110からの課金メッセージは,ことによると,訪問先AAAサーバ116を介してホームAAA106に送信され,当該AAAサーバ116はプロキシのように機能する。HAAA106及びプリペイドサーバ102は,一緒に設置することができ,この場合,一緒に配置された機能はHAA/PSSと表記することができ,または,異なるエンティティとすることもできる。PDSN110又はHA108から見ると,HAAA106とPPS102とを区別することができない。HAAA106とプリペイドサーバ102との間のインタフェースは,この発明の範囲外である。)

イ 「[0009] In one aspect, the present invention is a method for providing alternative prepaid service to a prepaid subscriber, the method comprising the steps of sending an Access Request message from the serving Packet Data Service Node (PDSN) to a Home Authorization, Authentication & Accounting and Prepaid Server (HAAA/PPS), the Access Request message comprising a first indication that the serving PDSN cannot support at least a type of prepaid service; and determining by the HAAA/PPS whether alternative prepaid service is to be provided to the prepaid subscriber using the first indication. 」(第1ページ)
([当審仮訳]
[0009] 一態様において,本発明は,プリペイド加入者に対して代替的なプリペイドサービスを提供するための方法であって,この方法は,サービスを提供するパケットデータサービスノード(PDSN)からホーム認証,認可・課金及びプリペイドサーバ(HAAA/PPS)にアクセス要求メッセージを送信するステップであって,前記アクセス要求メッセージは,サービスを提供するPDSNが少なくともプリペイドサービスのタイプをサポートすることができないことを示す第1の指標を含むステップと,HAAA/PPSによって,前記第1の指標を用いて,代替的なプリペイドサービスがプリペイド加入者に提供できるか否かを決定するステップとを含む。)

ウ 「[0025] The present invention allows for prepaid service to be provided for a prepaid subscriber in cases where the serving Packet Data Service Node (PDSN) of a CDMA2000 cellular telecommunications network does not support the prepaid feature. According to the invention, a combined functionality of a Home Authorization, Authentication & Accounting (HAAA) and a Prepaid Server (PPS), herein referred to as an HAAA/PPS, determines if alternative prepaid service can be provided to a prepaid subscriber by the HAAA/PPS in combination with a Home Agent of the prepaid subscriber, based on an indication received from the serving PDSN. It is to be noted however, that although the functionality of the present invention is mainly described herein with reference to the HAAA/PPS, an HAAA alone, or a PPS alone can also be used for determining in which cases alternative prepaid support is to be provided according to the present invention. Therefore, the terminology of HMA/PPS should be understood to encompass an HAAA alone, a PPS alone, or a combined HAAA/PPS functionality wherein the HAAA and the PPS can be collocated, or not.
[0026] According to the exemplary preferred embodiment of the invention, the PDSN signals the HMA/PPS with a PrepaidAccountingCapability (PPAC) parameter indicative of the PDSN's own capacity for supporting prepaid service, and with a Session Termination Capability (STC) parameter indicative of the ability of the serving PDSN to disconnect data sessions based on a request provided by a remote authorized node, such as a Home Agent (HA) or the HAAA/PPS.
[0027] In a first case wherein the serving PDSN is neither capable of prepaid service nor does it support session termination by a remote node, the HAAA/PPS may determine that the prepaid session can be allowed for duration-based prepaid service only (volume-based prepaid service can not be provided since neither the serving PDSN nor the HAAA/PPS can monitor the volume quota and terminate the data session when that quota is depleted), and may link the allowed prepaid duration to the mobile station registration lifetime. Thus, the prepaid mobile station's registration lifetime can be used to coordinate the duration quota in order to synchronize the binding lifetime with that duration quota.
[0028] According to an alternative embodiment of the invention, it would be also possible to allow volume-based prepaid service in this first case, because the HA of the prepaid subscriber can monitor the traffic, and the data session can be stopped at the HA only, while the serving PDSN continue to perform off-line accounting for IP traffic that is blocked by the HA. In this situation, the HA accounting and PDSN accounting records will not match together. However, the subscriber is a prepaid subscriber and it is the HA that has the PrePaidClient used for the charging, so the Accounting Records from serving PDSN will be dropped. In such a case, the decision for supporting the alternative prepaid service may be based on the PPAC parameter but not on the STC parameter.
[0029] In a second case, when the PDSN is not prepaid capable but supports session termination capability by a remote node, the HAAA/PPS may determine that either volume based or duration-based prepaid service can be allowed for the user and supported by the HAAA/PPS in combination with the HA.
[0030] Reference is now made to FIG. 2, which is an exemplary high-level block diagram of a Home Authorization, Authentication & Accounting Prepaid Server (HAAA/PPS) 200 (or alternatively of an HAAA or PPS server) implementing the preferred embodiment of the present invention. The HAAA/PPS server 200 shown in FIG. 2 comprises a prepaid policy decision service logic module 202 that functions to take a decision for supporting alternative prepaid service for a prepaid subscriber, by the Home Agent in combination with the HAAA/PPS, when the serving PDSN cannot provide such a service, or at least the type of prepaid service set in the profile of the prepaid subscriber (a mismatch exist between the type of prepaid service supported by the PDSN and the one the user has subscribed to). For this purpose, the prepaid policy decision service logic module 202 may take into account:
[0031] a Prepaid Accounting Capability (PPAC) parameter 204 received from the serving PDSN, which indicates whether or not the serving PDSN is capable of supporting prepaid service. The PPAC parameter 204 may also indicate the type of PDSN-supported prepaid service (duration-based, volume-based, or both). Typically, the absence of the PPAC parameter 204 indicates that the serving PDSN cannot support any type of prepaid service;
[0032] a Session Termination Capability (STC) parameter 206 also received from the serving PDSN, the STC parameter 206 being indicative of the capability of the serving PDSN to close data sessions based on a request received from an authorized remote node; and
[0033] a user prepaid profile 208 of the prepaid user that indicates to which type of prepaid service the user has subscribed to (e.g. duration-based, volume-based, none or both). The user prepaid profile is obtained from the user's Home AAA/PPS or HAAA.
[0034] Based on at least the indications provided by the PPAC parameter 204, the STC parameter 206, and the prepaid user profile 208, the prepaid policy decisions service logic module 202 decides whether or not to support alternative prepaid service for a prepaid subscriber, and communicates the decision 210 to a processor 212 of the HAAA/PPS 200, which is then responsible for executing the actions deriving from that decision 210, and which are yet to be described.
[0035] Reference is now made concurrently to FIG. 2, previously described, and to FIG. 3, which is an illustration of an exemplary decisional table showing an exemplary decisional process of the prepaid policy decision service logic module 202 of the HAAA/PPS server 200 according to the preferred embodiment of the invention. The decisional process shown in table 300 of FIG. 3 is based on the PPAC parameter 204, the STC parameter 206 and the prepaid user profile 208 which are represented in that table.
[0036] The first column of the PPAC parameter 204 shows situations wherein the PPAC is either absent, indicating that the serving PDSN cannot support any type of prepaid service, or present, indicating that the serving PDSN can support at least one type of prepaid service (duration-based, volume based or both).
[0037] The second column of the STC parameter 206 shows situations wherein the STC is either absent, indicating that the serving PDSN cannot supports remote session termination, or present, which indicates that the serving PDSN supports remote session termination.
[0038] Finally, the third column shows the prepaid user profile showing that the user has subscribed to at least one type of prepaid service (duration-based or volume-based). The situations wherein the user profile comprises no prepaid service subscription at all have been omitted from the table 300, since it is understood that in such situations no prepaid service will be provided.
[0039] In the exemplary table 300 it is shown that: i) when the serving PDSN is not capable of providing any prepaid service (cases A, I, and J), and ii) when the PDSN is capable of providing one type of prepaid service (e.g. duration-based or volume-based) and a mismatch exist between that prepaid service type and the one set in the prepaid user's profile (cases C, M, and N), the prepaid policy decision service logic module 200 of the HAAA/PPS server 200 decides that prepaid service support is going to be provided for the prepaid user by the HAAA/PPS server 200 in combination with the Home Agent of the prepaid subscriber.
[0040] It is to be noted that although the decisional process for supporting the alternative prepaid service for a prepaid subscriber based on the HA and the HAAA/PPS is described in table 300 as being based on the PPAC 204, the STC 206, and the user profile 208 parameters, in a variant of the invention only the PPAC 204, or the PPAC parameter 204 and the user profile information 208 may be used for deciding in which situations the alternative prepaid service is to be provided. For example, alternative prepaid support can be provided independently of the capability of the serving PDSN to support remote session termination as indicated by the STC parameter 206.
[0041] Reference is now made to FIG. 4, which is an exemplary nodal operation and signal flow diagram showing a mobile station prepaid authorization access according to the preferred embodiment of the present invention. Shown in FIG. 4 is a serving PDSN 400 that serves a prepaid user's mobile station (not shown), a Home Agent (HA) 402 of the prepaid user, and an HAAA/PPS server 200 as described hereinbefore (note that the HAAA/PPS may alternatively be an HAAA server). The serving PDSN 400 receives a Mobile IP (MIP) Registration Request (RRQ) 406 from a prepaid user (not shown), and issues a RADIUS Access Request 410 to the HAAA/PPS 200. In the present scenario, it is assumed that that the PPAC parameter 204 is not included in the Access Request 410 (the absence of the PPAC is shown in dotted lines), and its absence indicates to the HAAA/PPS 200 that the serving PDSN 400 does not support the prepaid service. However, the Access Request 410 includes an STC parameter 206 that indicates that the serving PDSN 400 is capable of terminating data sessions based on requests received from a remote authorized node. In action 412, the HAAA/PPS 200 performs authentication and authorization of the prepaid mobile station, which may include the action described with reference to the prepaid policy decision service logic module 200 of FIGS. 2 and 3, i.e. verifying that the subscriber profile indicates prepaid subscription, checking if the prepaid capability is sent by the serving PDSN 400 (in this exemplary scenario it is not), checking if the STC parameter 206 is included (in the scenario it is), and determining if the HA 402 is also configured to support prepaid service.
[0042] The present scenario corresponds to the case I from FIG. 3, i .e. the PPAC parameter 204 is absent, the STC parameter 206 is present, and the user profile indicates a subscription to the duration-based prepaid service. In this situation, the HAAA/PPS 200 may determine that duration-based prepaid service is to be provided for the prepaid user, and therefore may respond to the serving PDSN 400 with an Access Accept message 420 comprising an indication 422 that reverse tunnelling is to be applied. In action 424, the serving PDSN 400 forwards the MIP Registration Request (RRQ) 406 to the HA 402, which is assumed in the present exemplary scenario to be configured for supporting prepaid service. The HA 402 sends an Access Request message 430 to the HAAA/PPS 200, the message 430 comprising a prepaid accounting capability (PPAC) parameter 432 indicative of the capacity of the HA 402 for supporting prepaid service, an identification of the prepaid user mobile station 434, the mobile IP registration lifetime 436, and a correlation identifier 438 to be used by the HAAA/PPS 200 for billing purposes. In action 440, the HAAA/PPS 200 performs an authorization of the request 430 and allows the HA 402 to provide prepaid service for the prepaid user. In action 446, the HAAA/PPS 200 responds back to the HA 402 with an Access Accept response message including a prepaid accounting capability parameter 448 indicative this time of the capability of the HA 402 to support prepaid service for this prepaid user. A new registration lifetime parameter 450 can also be included in the message 446 for providing a new registration lifetime attribute that may be allocated based on the prepaid subscription lifetime and/or other local policy. Finally, in action 460, the HA 402 sends a successful Mobile IP (MIP) Registration Reply (RRP) to the serving PDSN 400, which forwards the message 460 to the prepaid mobile station. If a new registration lifetime parameter 450 is received from the HAAA/BPS 200, it is also included in the MIP RRP message 460 so that the prepaid mobile station is informed of the new registration lifetime. 」(第2-4ページ)
([当審仮訳]
[0025] 本発明は,CDMA2000セルラ電話通信ネットワークにおいて,サービスを提供するパケットデータサービスノード(PDSN)がプリペイド機能をサポートしない場合に,プリペイドサービスが,プリペイド加入者に提供できるようにするためのものである。本発明によれば,ホーム認証,認可・課金(HAAA)とプリペイドサーバ(PPS)とが結合した機能性,ここでは,HAAA/PPSと称するものが,代替的なプリペイドサービスが,サービスを提供するPDSNから指標を受信することに応じて,プリペイド加入者のホームエージェントと協働してHAAA/PPSによってプリペイド加入者に提供できるかどうかを決定する。しかしながら,本発明のこの機能性は,ここでは主としてHAAA/PPSとして記載されるが,HAAA単独,又は,PPS単独によっても,代替的なプリペイドのサポートを本発明に従って提供することを決定するために使用することができる。よって,HMA/PPSの用語は,HAAAとPPSとが一緒に設置することができる又はそうでない場合のいずれにおいても,HAAA単独,PPS単独,又は,結合したHAAA/PPS機能性を包含すると理解すべきである。
[0026] 本発明の例示的な実施の形態によれば,PDSNは,HMA/PPSに,当該PDSNのプリペイドサービスの能力を示すプリペイド課金能力(PPAC)パラメータと,遠隔の認証ノードから提供される要求に基づいてデータセッションを切断することについての,サービスを提供するPDSNの能力を示すセッション終了能力(STC)パラメータとを含む信号を送信する。
[0027] サービスを提供するPDSNが,プリペイドサービスの能力がなく,かつ,遠隔ノードによりセッションを終了することもサポートしていない第1のケースにおいて,HAAA/PPSは,プリペイドセッションは,期間ベースのプリペイドサービスのみに限定して許可されると決定することができ(サービスを提供するPDSNもHAAA/PPSも使用可能な容量(volume quota)を監視し,使用可能な容量がなくなった時にデータセッションを終了させることができないので,容量ベースのプリペイドサービスを提供することができない。),許容されたプリペイド期間をモバイル局の登録寿命にリンクすることができる。このように,プリペイドのモバイル局の登録寿命は,結合する寿命を使用可能な期間(duration quota)に同期させるために,使用可能な期間を調整するために使用することができる。
[0028] 本発明の代替的な実施形態によれば,サービスを提供するPDSNが,HAにより遮断されるIPトラフィックに対するオフライン課金を実行し続けている間にも,プリペイド加入者のHAが,トラフィックを監視することができ,当該HAのみによりデータセッションを停止することができるので,容量ベースのプリペイドサービスは,この第1のケースにおいても可能である。このような場合,HAの課金記録とPDSNの課金記録は,一致しない。しかしながら,加入者がプリペイド加入者であり,請求(charging)に使用されるプリペイドクライアントをHAが有しているので,サービスを提供するPDSNからの課金記録は,廃棄される。このような場合,代替的なプリペイドサービスをサポートするための決定は,STCパラメータではなく,PPACパラメータによってなされる。
[0029] PDSNが,プリペイドの能力を有しないが,遠隔ノードによるセッション終了能力はサポートしている場合である第2のケースにおいては,HAAA/PPSは,容量ベース又は期間ベースのいずれかのプリペイドサービスがユーザのために利用でき,HAと協働してHAAA/PPSによりサポートできることを決定することができる。
[0030] 図2には,本発明の典型的な実施形態における,ホーム認証,認定・課金プリペイドサーバ(HAAA/PPS)200(又はHAAA又はPPSサーバによる代替物)の上位ブロック図が示されている。図2に示されるHAAA/PPSサーバ200は,サービスを提供するPDSNが,プリペイドサービスを提供することができない場合,または,少なくとも,プリペイド加入者のプロファイルに設定されたプリペイドサービスのタイプを提供することができない場合(PDSNによりサポートされるプリペイドサービスのタイプとユーザが加入しているプリペイドサービスのタイプとが一致しない場合)に,HAAA/PPSと協働してホームエージェントによるプリペイド加入者に対する代替的なプリペイドサービスのサポートを決定する機能を備える,プリペイドポリシー決定サービス論理モジュール202を含む。このために,プリペイドポリシー決定サービス論理モジュール202は,以下の事項を考慮することができる:
[0031] サービスを提供するPDSNから受信したプリペイド課金能力(PPAC)パラメータ204。PPACパラメータ204は,サービスを提供するPDSNが,プリペイドサービスをサポートする能力を有しているか否かを示し,さらに,PDSNサポートのプリペイドサービスのタイプも示す。
[0032] サービスを提供するPDSNから受信したセッション終了能力(STC)パラメータ206。STCパラメータ206は,サービスを提供するPDSNが,認証遠隔ノードから受信した要求に基づいて,データセッションを閉じる能力を有するか否かを示す。
[0033] 及び,プリペイドユーザのユーザプリペイドプロファイル208。これは,ユーザが加入しているプリペイドサービスのタイプ(例えば,期間ベース,容量ベース,その両方又はそのいずれも無し)を示すものであり,ユーザのホームAAA/PPS又はHAAAから取得される。
[0034] 少なくともPPACパラメータ204,STCパラメータ206及びプリペイドユーザプロファイル208によって提供される指標に基づいて,プリペイドポリシー決定サービス論理モジュール202は,プリペイド加入者に対して代替的なプリペイドサービスをサポートするか否かを決定し,その決定210をHAA/PPS200のプロセッサ212に送信する。そして,プロセッサ212は,前記決定210に基づいた行動を実行する責任を有する。以降で説明する。
[0035] 引き続き図2を参照すると,前述したように,また,図3を参照すると,HAAA/PPSサーバ200のプリペイドポリシー決定サービス論理モジュール202の典型的な決定プロセスを示す,典型的な決定テーブルを示す。図3のテーブル300に示される決定プロセスは,当該テーブルに含まれるPPACパラメータ204,STCパラメータ206及びプリペイドユーザプロファイル208に基づいている。
[0036] 第1欄のPPACパラメータ204は,PPACが不在で,サービスを提供するPDSNがいかなるプリペイドサービスもサポートすることができないこと,または,PPACが存在し,サービスを提供するPDSNが少なくとも1つのタイプのプリペイドサービス(期間ベース,容量ベース又はその両方)をサポートすることができることのいずれかの状況を示すものである。
[0037] 第2欄のSTCパラメータ206は,STCが不在で,サービスを提供するPDSNが遠隔セッション終了をサポートすることができないこと,または,STCが存在し,サービスを提供するPDSNが遠隔セッション終了をサポートすることを示すことのいずれかの状況を示すものである。
[0038] 最後に,第3欄は,プリペイドユーザのプロファイルであり,これは,ユーザが少なくとも1つのタイプのプリペイドサービス(期間ベース又は容量ベース)に加入していることを示す。この例では,テーブル300からは,何らのプリペイドサービスにも加入していない場合は省略されている。なぜなら,そのような場合は,プリペイドサービスが提供されない状況であることが理解されるからである。
[0039] この典型的なテーブル300の例においては,i)サービスを提供するPDSNがいかなるプリペイドサービスも提供する能力を有しない場合(A,I及びJのケース),ii)当該PDSNが1つのタイプのプリペイドサービス(例えば,期間ベース又は容量ベース)を提供することができるが,そのプリペイドサービスとプリペイドユーザのプロファイルにおけるプリペイドサービスとが一致せず,HAAA/PPSのプリペイドポリシー決定サービス論理モジュール200が,プリペイド加入者のホームエージェントと協働してHAAA/PPSサーバ200によりプリペイドユーザに対してプリペイドサービスを提供することをサポートすると決定する場合(C,M及びNのケース)を示す。
[0040] HAとHAAA/PPSに基づく,プリペイド加入者に対する代替的なプリペイドサービスをサポートするための決定プロセスは,PPAC204,STC206及びユーザプロファイル208の各パラメータに基づいてテーブル300に記述されるが,本発明の変形例においては,PPAC204のみ,又は,PPACパラメータ204とユーザプロファイル情報208が,代替的なプリペイドサービスを提供するための決定に使用されてもよいことに留意すべきである。
[0041] 図4を参照すると,本発明の好適な実施形態に従った,典型的なノードの動作と,移動局のプリペイド認証アクセスを示す信号のフロー図が記載されている。図4には,上述したような,サービスを提供するPDSN400が,プリペイドユーザの移動局(図示なし),プリペイドユーザのホームエージェント(HA)402,及び,HAAA/PPSサーバ200(ただし,HAAA/PPSは,代替的にHAAAサーバであってもよい。)が記載されている。サービスを提供するPDSN400は,モバイルIP(MIP)登録要求(RRQ)406をプリペイドユーザ(図示なし)から受信し,RADIUSアクセス要求410をHAAA/PPS200に発行する。このシナリオにおいて,PPACパラメータ204はアクセス要求410には含まれず(PPACの不在が点線で示されている。),その不在は,HAAA/PPS200に対してサービスを提供するPDSN400がプリペイドサービスをサポートしないことを示す。しかしながら,アクセス要求410は,STCパラメータ206を含み,サービスを提供するPDSN400が,遠隔認証ノードから受信した要求に基づいてデータセッションを終了する能力を有することを示す。412の動作において,HAAA/PPS200は,プリペイド移動局の認証及び認定を行い,それは,図2及び図3のプリペイドポリシー決定サービス論理モジュール200に関連して記述された動作,例えば,加入者のプロファイルがプリペイド加入者であることを示すかどうかを検証し,プリペイド能力がサービスを提供するPDSNから送信されたかどうかを確認し(このシナリオにおいては送信されていない。),STCパラメータ206が含まれるかどうかを確認し(このシナリオにおいては含まれる。),HA402もまたプリペイドサービスをサポートするように構成されているかどうかを決定すること,を含むことができる。
[0042] このシナリオは,図3のケースIに対応し,つまり,PPACパラメータ204は不在で,STCパラメータ206は存在し,ユーザプロファイルは期間ベースのプリペイドサービスに加入しているものとする。この状況において,HAAA/PPS200は,期間ベースのプリペイドサービスをプリペイドユーザに提供するように決定し,よって,サービスを提供するPDSN400に対し,リバーストンネリングが適用される旨の指標422を含むアクセス承諾メッセージ420を応答する。424の動作において,サービスを提供するPDSN400は,MIP登録要求(RRQ)406をHA402に対して転送し,この典型的なシナリオにおいては,HA402は,プリペイドサービスをサポートするものと仮定する。HA402は,アクセス要求メッセージ430をHAAA/PPS200に対して送信し,このメッセージ430は,HA402がプリペイドサービスをサポートする能力があることを示すプリペイド課金能力(PPAC)パラメータ432,プリペイドユーザの移動局434の識別子と,モバイルIP登録寿命436と,請求書発行(billing)のためにHAAA/PPS200によって使用される関連付け識別子(correlation identifier)438を含む。440の動作において,HAAA/PPS200は,要求430の認証を実行し,HA402がプリペイドユーザに対してプリペイドサービスを提供することを許可する。446の動作において,HAAA/PPS200は,HA402に対して,このプリペイドユーザに対するプリペイドサービスをサポートするHA402の今回の能力を示すプリペイド課金能力パラメータ448を含むアクセス受諾応答メッセージをもって応答する。新たな登録寿命パラメータ450は,プリペイド加入寿命及び/又は他の局所ポリシーに基づいて割り当てられる新たな登録寿命属性を提供するためのメッセージ446に含むことができる。最後に,460の動作において,HA402は,成功モバイルIP(MIP)登録応答(RRP)をサービスを提供するPDSN400に送信し,当該PDSN400は,当該メッセージ460を,プリペイド移動局に転送する。新たな登録寿命450がHAAA/BPS200から受信した場合には,プリペイド移動局が,新たな登録寿命を知ることができるように,当該新たな登録寿命450も,MIP RRPメッセージ460に含められる。)

エ 「Figure 2



オ 「Figure 3



カ 「Figure 4



以下,前記アないしカの記載及び本願の最先の優先日における技術常識を考慮しつつ,引用例1に記載された技術事項について検討する。

a.前記アより,引用例1は,「CDMA2000無線IPネットワーク」,すなわち,「CDMA2000の規格に準拠した無線IPネットワーク」においてプリペイドサービスをエンドユーザに提供する方法に関する事項が記載されているといえる。また,前記イの[0009]の記載「一態様において,本発明は,プリペイド加入者に対して代替的なプリペイドサービスを提供するための方法であって」,及び,前記ウの[0041]の記載「プリペイドユーザの移動局」,前記アの「ホームエージェント109に存在するプリペイドクライアント108は,HAAAサーバ106を介してPPS102と通信する。プリペイドクライアント108の機能は,モバイルIPセッション(すなわち,許可された容量又は期間に従ってモバイルIPトラフィックを許容し,及び,許可されていない場合にはモバイルIPトラフィックを遮断するため)のオンライン課金を実行することである。」及び,前記ウの[0025]の記載「サービスを提供するパケットデータサービスノード(PDSN)がプリペイド機能をサポートしない場合に,プリペイドサービスが,プリペイド加入者に提供できるようにするためのものである。」を参酌すれば,引用例1には,「CDMA2000の規格に準拠した無線IPネットワークにおいて,サービスを提供するPDSNがプリペイドサービス(オンライン課金)をサポートしない場合に,移動局のユーザであるプリペイド加入者に対して,モバイルIPセッションに対する代替的なプリペイドサービスを提供するための方法」が記載されているといえる。

b.前記ウの[0025]より,「HAAA/PPS」は,「HAAAサーバ」と「PPS」とが一緒に設置されたものであるが,「本発明のこの機能性は,ここでは主としてHAAA/PPSとして記載されるが,HAAA単独,又は,PPS単独によっても,代替的なプリペイドのサポートを本発明に従って提供することを決定するために使用することができる。」より,「HAAA/PPS」の機能は,「HAAAサーバ」単独によっても実現することができるから,引用例1に記載の「HAAA/PPS」は「HAAAサーバ」と読み替えることができる。そして,「HAAA」は,原文を参酌すれば,「Home Authorization, Authentication & Accounting」すなわち「ホーム認証,認可・課金」の略称である。

c.前記ウの[0025]からも明らかなように,「PDSN」は,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node)の略称である。

d.前記イ(特に,「サービスを提供するパケットデータサービスノード(PDSN)からホーム認証,認可・課金及びプリペイドサーバ(HAAA/PPS)にアクセス要求メッセージを送信する」参照。)並びに前記ウの[0026],[0031]ないし[0033]及び[0041]より,引用例1において,「HAAAサーバ」は,「サービスを提供するPDSN」から「アクセス要求メッセージ」を受信し,当該「アクセス要求メッセージ」は,「プリペイド課金能力(PPAC)パラメータ」及び「セッション終了能力(STC)パラメータ」を含むことが記載されている。

e.前記d.において,前記ウの[0036]及び[0041]並びに前記オ(図3)及び前記カ(図4)によれば,サービスを提供するPDSNがプリペイドサービスをサポートしない場合は,「PPACパラメータ」は「不在」であり,すなわち,「PPACパラメータ」は受信されず,また,「PPACパラメータ」は,存在する場合には,プリペイドサービスのタイプを示すものであり,前記ウの[0037]及び[0041]によれば,サービスを提供するPDSNが,遠隔認証ノードから受信した要求に基づいてデータセッションを終了する能力を有しない場合,「STCパラメータ」は「不在」であり,すなわち,「STCパラメータ」は受信されない。そうすると,「アクセス要求メッセージ」は,「PPACパラメータ」の有無と有りの場合のプリペイドサービスのタイプ及び「STCパラメータ」の有無を示すものといえる。
また,前記ウの[0030],[0035],[0041]及び[0042]並びに前記エ(図2),前記オ(図3)及び前記カ(図4)より,「HAAAサーバ」は,「プリペイドポリシー決定サービス論理モジュール」の「決定プロセス」により,「アクセス要求メッセージ」における,「PPACパラメータ」の有無と有りの場合のプリペイドサービスのタイプ,「STCパラメータ」の有無,及び,プリペイド加入者のユーザプロファイルと,前記オ(図3)のテーブル(決定プロセス)とに基づいて,プリペイド加入者に対して,代替的なプリペイドサービスを提供するか否かを決定することが記載されているといえる。
ここで,「代替的なプリペイドサービス」とは,前記ウの[0039]ないし[0042](特に,「440の動作において,HAAA/PPS200は,要求430の認証を実行し,HA402がプリペイドユーザに対してプリペイドサービスを提供することを許可する。」との記載より,サービスを提供するPDSNがいかなるタイプのプリペイドサービスもサポートすることができない場合,または,サービスを提供するPDSNがサポートするプリペイドサービスのタイプと,ユーザプリペイドプロファイルに設定されているプリペイド加入者が加入しているプリペイドサービスのタイプとが一致しない場合に,HAがプリペイド加入者に提供するプリペイドサービスのことといえる。よって,代替的なサービスを提供するかを決定することは,HAによってプリペイドサービスを提供するか否かを決定することに等しい。そして,HAは,原文を参酌すれば,「Home Agent」すなわちホームエージェントの略称である。
よって,前記b.ないしd.を参酌すれば,引用例1には,「ホーム認証,認可・課金(Home Authorization, Authentication & Accounting:HAAA)サーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,PPACパラメータの有無と有りの場合のプリペイドサービスのタイプ,STCパラメータの有無を示すアクセス要求メッセージを受信すること」,及び,「前記HAAAサーバが,プリペイドポリシー決定サービス論理モジュールの決定プロセスにより,前記アクセス要求メッセージとプリペイド加入者のユーザプロファイルとに基づいて,ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否かを決定すること」が記載されているといえる。

f.前記ウの[0042]の「このシナリオは,図3のケースIに対応し,つまり,PPACパラメータ204は不在で,STCパラメータ206は存在し,ユーザプロファイルは期間ベースのプリペイドサービスに加入しているものとする。この状況において,HAAA/PPS200は,期間ベースのプリペイドサービスをプリペイドユーザに提供するように決定し,よって,サービスを提供するPDSN400に対し,リバーストンネリングが適用される旨の指標422を含むアクセス承諾メッセージ420を応答する。」において,「図3のケースI」すなわち「PPACパラメータ204は不在で,STCパラメータ206は存在し,ユーザプロファイルは期間ベースのプリペイドサービスに加入している」ケースとは,前記オ(図3)によれば,「HA」によってプリペイドサービスを提供すると決定する場合に相当する。
よって,上記[0042]の記載と前記カ(図4)によれば,「HAAAサーバ」が,「HA」によってプリペイドサービスを提供すると決定する場合に,リバーストンネリングが適用される旨の指標を含む「アクセス許諾メッセージ」をサービスを提供するPDSNに送信し,これに応じて,サービスを提供する「PDSN」は,MIP登録要求を「HA]に転送(送信)することが記載されているといえる。

したがって,前記アないしカ及び前記a.ないしf.の検討より,引用例1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「 CDMA2000の規格に準拠した無線IPネットワークにおいて,サービスを提供するパケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)がプリペイドサービス(オンライン課金)をサポートしない場合に,移動局のユーザであるプリペイド加入者に対して,モバイルIPセッションに対する代替的なプリペイドサービスを提供するための方法であって,
ホーム認証,認可・課金(Home Authorization, Authentication & Accounting:HAAA)サーバが,前記PDSNから,PPACパラメータの有無と有りの場合のプリペイドサービスのタイプ及びSTCパラメータの有無を示すアクセス要求メッセージを受信することと,
前記HAAAサーバが,プリペイドポリシー決定サービス論理モジュールの決定プロセスにより,前記アクセス要求メッセージとプリペイド加入者のユーザプロファイルとに基づいて,ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否かを決定することと,
前記HAAAサーバが,前記HAによってプリペイドサービスを提供すると決定する場合に,前記PDSNに,リバーストンネリングが適用される旨の指標を含むアクセス許諾メッセージを送信し,これに応じて,前記PDSNが,MIP登録要求を前記HAに送信すること,
を有する方法。」

(2)周知例について
原査定において提示され,本願の最先の優先日前に電気通信回線(インターネット)を通じて公衆に利用可能となった文書であるPCC for cdma2000 1x and HRPD Networks,3GPP2 X.S0062-0,2010年10月29日,Version 1.0,<URL,ftp://ftp.3gpp2.org/TSGX/Archive/ArchiveProjectGlbDirLclDirsync111003/X.P0062%20PCC%20for%20cdma2000%201x%20and%20HRPD/X.S0062-0%20v1.0%20(Publication%20Version)/X.S0062-0%20v1.0%20PCC%20for%20cdma2000%20(PDF%20Clean).zip>(以下,「周知例」という。)には,以下の事項が記載されている。

キ 「1 Introduction
This document provides a specification for the Policy and Charging Control (PCC) support for cdma2000 1x and HRPD networks. The PCC functions and interfaces supported by various cdma2000 1x and HRPD networks entities are specified. 」(第1ページ)
([当審仮訳]
1 イントロダクション
この文書は,cdma2000 1x・HRPDネットワークのためのポリシー及び請求制御(PCC)サポートの仕様を提供するものである。つまり,様々なcdma2000 1x・HRPDネットワークのエンティティによってサポートされるPCC機能及びインタフェースを記述するものである。)

ク 「3.1 Definitions
Accouting
See Charging

Charging
Function within the 3GPP2 network and the associated billing system whereby information related to a chageable event is collected, formatted, transferred and evaluated in order to make it possible to determine resource usage for which the subscriber may be billed.

Home Agent / Local Mobility Anchor (HA/LMA)
Home Agent (HA) / Local Mobility Anchor (HA/LMA) is the topological anchor point that manages mobile node's binding state. The term HA is used for MIPv4, MIPv6, and PMIPv4. The term LMA is used for PMIPv6.

3.1.1 Symbol and Abbreviations
(…中略…)
AAA Authentication, Authorization, Accounting
(…中略…)
BBERF Bearer Binding and Event Reporting Function
(…中略…)
CDF Charging Data Function
(…中略…)
CGF Charging Gateway Function
(…中略…)
CTF Charging Trigger Function
(…中略…)
HA Home Agent
HAAA Home AAA
(…中略…)
MAG Mobile Access Gateway
(…中略…)
MS Mobile Station
(…中略…)
PCEF Policy and Charging Enforcement Function
(…中略…)
PDSN Packet Data Serving Node
(…中略…)
PPP Point-to-Point Protocol」(第5-6ページ)
([当審仮訳]
3.1 定義
課金
請求を参照

請求
3GPP2ネットワーク及び関連する請求書発行システム内の機能。当該システムにおいて,加入者に発行される請求の元となるリソースの利用量を決定することを可能にするために,請求可能なイベントに関連する情報が,収集され,書式化され,転送され,及び,評価される。

ホームエージェント/ローカルモビリティアンカー(HA/LMA)
ホームエージェント(HA)/ローカルモビリティアンカー(HA/LMA)は,モバイルノードの関連付け(binding)の状態を管理するトポロジカルなアンカーポイントである。用語HAは,MIPv4,MIPv6及びPMIPv4において使用され,用語LMAは,PMIPv6において使用される。

3.1.1 記号及び略称
(…中略…)
AAA 認証,認可,課金
(…中略…)
BBERF ベアラ関連付け・イベント報告機能
(…中略…)
CDF 請求データ機能
(…中略…)
CGF 請求ゲートウェイ機能
(…中略…)
CTF 請求トリガ機能
(…中略…)
HA ホームエージェント
HAAA ホームAAA
(…中略…)
MAG モバイルアクセスゲートウェイ
(…中略…)
MS 移動局
(…中略…)
PCEF ポリシー・請求実施機能
(…中略…)
PDSN パケットデータサービスを提供するノード
(…中略…)
PPP ポイントツーポイント・プロトコル」(第5-6ページ)

ケ 「6.2.1 PCC Charging Function Mapping
CTF is a mandatory component of BBERF (if supported) and the PCEF. CDF and the CGF may be inplemented in any of the ways specified below in this clause. The entity relationships between the CTF, CDF and CGF functions shall be as specified in 3GPP TS32.240[16].

For Simple IP operation mode BBERF is not supported and the PDSN hosts the PCEF function. CTF shall be integrated in the PCEF/PDSN. CDF may be located in the PDSN or located as a seperate physical entity in the operator network. CGF may be located in the PDSN along with CDF, or located as a seperate physical entity in operator network or in the billing domain.

For MIP and PMIP operation mode, the BBERF function is hosted in the PDSN/MAG. The PCEF function is hosted by the HA/LMA. CTF shall be integrated with the BBERF/PDSN. CTF shall be integrated with the PCEF/HA/LMA as well. CDF may be located in the HA/LMA or located as a seperate physical entity in the operator network. CGF may be located in the HA/LMA along with the CDF, or located as a seperate physical entity in operator network or in the billing domain.」(第22ページ)
([当審仮訳]
6.2.1 PCC請求機能マッピング
CTFはBBERF(もしサポートされる場合)及びPCEFの必須要素である。CDF及びCGFは,この節において,以降で特定されるいずれかの方法で実装される。CTF,CDF及びCGFの各機能のエンティティ間の関係は,3GPP TS32.240[16]において記述されている。

シンプルIPオペレーションモードにおいて,BBERFはサポートされておらず,PDSNが,PCEF機能をホストする。CTFは,PCEF/PDSNに統合される。CDFは,PDSNに,又はオペレータネットワークの分離した物理エンティティとして位置付けられる。CGFは,CDFを伴うPDSNに,もしくはオペレータネットワーク又は請求書を発行するドメイン内の分離した物理エンティティとして位置付けられる。

MIP及びPMIPオペレーションモードにおいて,BBERF機能は,PDSM/MAGにおいてホストされる。PCEF機能はHA/LMAによってホストされる。CTFは,同様にBBERF/PDSNに統合される。CDFは,HA/LMAに,又はオペレータネットワークの分離した物理エンティティとして位置付けられる。CGFは,CDFを伴うHA/LMAに,もしくはオペレータネットワーク又は請求書を発行するドメイン内の分離した物理エンティティとして位置付けられる。
)

コ 「6.4 Charging Modes
Accounting-Mode VSA specified in X.S0054-910[7] is used to determine the charging mode. If Accountng-Mode VSA is not received from the HAAA server during PPP Session Authentication in RADIUS Access Accept message and for an unrecognized Accounting-Mode value, charging shall be performed according to local policy.

If Accounting-Mode VSA is received from the HAAA server during PPP Session Authentication in RADIUS Access Accept message, charging shall be performed as indicated by the Accounting-Mode VSA value (section 6.5).

6.4.1 Accounting-Mode VSA
Accounting-Mode VSA specified in X.S0054-910[7] indicates whether charging is performed for Per-Reservation and/or per IP-Session and/or for PCC Flow Based Bearers Charging (FBC). This attributes may be sent in the RADIUS Access-Accept from the HAAA server during PPP Session Authentication.」(第23ページ)
([当審仮訳]
6.4 請求モード
X.S0054-910[7]に規定されている課金モードVSAは,請求モードを決定するために使用される。もし,課金モードVSAが,PPPセッション認証中にRADIUSアクセス承諾メッセージによってHAAAサーバから受信しなかった場合,及び,認識できない課金モード値を受信した場合,請求は,局所ポリシーに従って実行される。
課金モードVSAが,PPPセッション認証中にRADIUSアクセス承諾メッセージによってHAAAサーバから受信した場合,請求は,課金モードVSA値に従って実行される。

6.4.1 課金モードVSA
X.S0054-910[7]に規定されている課金モードVSAは,請求が,予約単位,IPセション単位,及び/又はPCCフローベースのベアラ請求(FBC)のいずれであるかを示す。この属性は,PPPセッション認証中にRADIUSアクセス承諾においてHAAAサーバから送信される。)

以下,前記キないしコの記載及び本願の最先の優先日における技術常識を考慮しつつ,周知例に記載された技術事項について検討する。

g.周知例のタイトル及び前記キより,周知例は,「cdma2000」に係る「ポリシー及び請求制御(PCC)」についての3GPP2に係る規約文書であり,その公知日から,本願の最先の優先日前に,通信技術における当業者において周知のものであったといえる。

h.前記クの「Accouting」の項より,当該技術分野において,「請求」(charging)は,「課金」(accounting)と区別されていないことが見てとれる。

i.前記クの「Home Agent / Local Mobility Anchor (HA/LMA)」の項より,「ホームエージェント」(HA)と「ローカルモビリティアンカー」(LMA)は,いずれも,モバイルノードの関連付けの状態を管理するトポロジカルなアンカーポイントであって,前者は,MIPv4,MIPv6及びPMIPv4において使用され,後者は,PMIPv6において使用されるものである。
そうすると,「ホームエージェント」(HA)と「ローカルモビリティアンカー」(LMA)とは,モバイルノードの関連付けの状態を管理するトポロジカルなアンカーポイントである点において同等であり,「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカー」(HA/LMA)は,これらを総称した用語であると解される。

j.前記コより,HAAAサーバが,PPPセッション認証中に,RADIUSアクセス承諾メッセージにより「課金モードVSA」を送信し,当該「課金モードVSA」は,請求(課金)が,予約単位,IPセション単位,及び/又はPCCフローベースのベアラ請求(FBC)のいずれであるかを示すものである。

したがって,前記キないしコ及び前記g.ないしjの検討より,周知例には,以下の事項(以下,「周知事項」という。)が記載されているものと認める。

[周知事項1]
「 cdma2000において,
MIPv4,MIPv6及びPMIPv4において使用される「ホームエージェント」(HA)とPMIPv6において使用される「ローカルモビリティアンカー」(LMA)とは,モバイルノードの関連付けの状態を管理するトポロジカルなアンカーポイントである点において同等であり,「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカー」(HA/LMA)は,これらを総称した用語であること。」

[周知事項2]
「 cdma2000において,
HAAAサーバが,PPPセッション認証中に,RADIUSアクセス承諾メッセージにより課金モードVSAを送信し,当該課金モードVSAは,請求(課金)が,予約単位,IPセション単位,及び/又はPCCフローベースのベアラ請求(FBC)のいずれであるかを示すものであること。」

3.対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「ホーム認証,認可・課金(Home Authorization, Authentication & Accounting:HAAA)サーバ」及び「サービスを提供するパケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)」は,本願発明の「ホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバ」及び「パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)」に含まれることは明らかである。

(イ)引用発明は,「CDMA2000の規格に準拠した無線IPネットワークにおいて,移動局のユーザであるプリペイド加入者に対して,モバイルIPセッションに対する代替的なプリペイドサービス(オンライン課金)を提供するための方法」であり,引用発明において,アクセス要求メッセージの受信,HAによってプリペイドサービスを提供するか否かを決定すること,及び,アクセス許諾メッセージを送信することは,「HAAAサーバ」によって実行されているところ,全体としてみれば,「HAAAサーバ」が課金管理のための処理をしていることが明らかであるから,引用発明は,「ホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための方法」といえる。

(ウ)前記「第2 補正却下の決定」の[理由]の「2.新規事項の有無について」の「(1)補正後の請求項1等に記載の「登録メッセージ」及び「承諾メッセージ」と,出願当初の明細書等に記載した事項との対応関係について」で判断したとおり,本願発明に係る「登録メッセージ」は,本願明細書の記載における「AAAアクセス要求メッセージ」に対応するものと解される。
また,前記「第2 補正却下の決定」の[理由]の「2.新規事項の有無について」の「(2)[補正1]及び[補正3]について」で判断したとおり,本願発明において,「前記PDSNが…課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(…HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す」ことは,明細書に記載された,「PDSN」が「AAAアクセス要求メッセージ」の「HA-LMA課金モードRADIUS VSA」を「False」に設定することに相当し,本願発明における「課金が,対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(…HA/LMA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージ」は,明細書に記載された,「HA-LMA課金モードRADIUS VSA」が「False」に設定された「AAAアクセス要求メッセージ」に相当すると解される。
さらに,本願発明において,「登録メッセージが送信される課金が,…ことを示す前記登録メッセージ」は,日本語として不明りょうであるものの,「登録メッセージ」(アクセス要求メッセージ)は,「HA/LMAにおける課金の認可を要求する」ために送信されるものであるから,「登録メッセージが送信される課金」とは,「登録メッセージ」(アクセス要求メッセージ)が要求する認可の対象となる課金,と解するのが相当である。

(エ)一方,引用発明は,「CDMA2000の規格に準拠した無線IPネットワークにおいて,サービスを提供するパケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)がプリペイドサービス(オンライン課金)をサポートしない場合に,移動局のユーザであるプリペイド加入者に対して,モバイルIPセッションに対する代替的なプリペイドサービスを提供するための方法」であるから,「プリペイドサービス」すなわち「オンライン課金」の対象が,ユーザの「移動局」により実施される「モバイルIPセッション」であることは自明であり,そして,「モバイルIPセッション」が,CDMA2000の規格に準拠した無線IPネットワークにおいては,「パケット」による「データセッション」すなわち「パケットデータセッション」といい得るものである。また,前記「オンライン課金」は,「移動局用のパケットデータセッション」のための「課金」(プリペイドサービス)を目的としていることは明らかである。
また,引用発明において,「HAAAサーバ」は,「前記アクセス要求メッセージとプリペイド加入者のユーザプロファイルとに基づいて,ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否かを決定する」ものであり,「アクセス要求メッセージ」は,「PDSN」から受信するものである。よって,当該「アクセス要求メッセージ」は,プリペイド加入者に対応するホームエージェントにおけるプリペードサービス(課金)の認可を要求するために受信されるものといい得るものである。さらに,前記(ウ)より,本願発明の「登録メッセージ」(AAAアクセス要求メッセージ)は,「アクセス要求メッセージ」の一種であることは明らかである。
また,引用発明の「ホームエージェント(Home Agent:HA)」は,プリペード加入者(ユーザ)に対して代替的なプリペイドを提供し得る主体であるから,「(ユーザに)対応する」ものであるといえる。そうすると,本願発明の「対応するホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)」と,引用発明の「ホームエージェント(Home Agent:HA)」とは,「対応するホームエージェント(Home Agent:HA)」を含む点において共通する。
よって,引用発明と本願発明とは,「前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント(Home Agent:HA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信すること」を備える点において共通する。

(オ)本願発明における「許諾メッセージ」は,「登録メッセージ」に対する応答のメッセージ(応答メッセージ)であることは自明である。同様に,
引用発明における「アクセス許諾メッセージ」も,「アクセス要求メッセージ」に対する応答のメッセージ(応答メッセージ)であることは自明である。
そうすると,本願発明と引用発明とは,「前記HAAAサーバが,前記PDSNに応答メッセージを送信すること」を備える点において共通する。

(カ)引用発明における「前記HAAAサーバが,プリペイドポリシー決定サービス論理モジュールの決定プロセスにより,前記アクセス要求メッセージとプリペイド加入者のユーザプロファイルとに基づいて,ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否かを決定する」において,「HAAAサーバ」は,「プリペイド加入者」すなわち「移動局」のユーザのために,プリペイドサービス(オンライン課金)が,対応するHAにおいて実行されるか否かについて特定するものといえるから,その特定のために使用される「プリペイドポリシー決定サービス論理モジュールの決定プロセス」は,本願発明の「移動局用オペレータポリシ」に相当するといえる。
また,本願発明において,「承諾メッセージ」は,「登録メッセージ」の受信に応じて,「HAAAサーバ」が「PDSN」に送信するものであるから,本願発明の「前記承諾メッセージは,移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する」において,「承諾メッセージ」の内容も,当然に「HAAAサーバ」が特定していると解するのが合理的である。
よって,引用発明と本願発明とは,「移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHAにおいて実行されるか否かについて特定する」点において共通する。

イ 一致点・相違点
前記アから,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致ないし相違している。

[一致点]
「 ホーム認証,認可及び課金(Home Authentication, Authorization and Accounting:HAAA)サーバで動作する,無線通信における課金管理のための方法であって,
前記HAAAサーバが,パケットデータサービスノード(Packet Data Service Node:PDSN)から,前記PDSNが移動局用パケットデータセッションのための課金であって,登録メッセージが送信される課金が,対応するホームエージェント(Home Agent:HA)で実行されることを確実にすることを示す前記登録メッセージを受信することと,
前記HAAAサーバが,前記PDSNに応答メッセージを送信すること,
移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHAにおいて実行されるか否かについて特定すること,
を含む方法。」

[相違点1]
共通点である「対応するホームエージェント(Home Agent:HA)」について,本願発明は,「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)」であるのに対し,引用発明は,「ローカルモビリティアンカ(Local Mobility Anchor:LMA)」について言及がない点。

[相違点2]
共通点である「応答メッセージ」に関し,本願発明においては,「承諾メッセージ」が,「移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する」ものである,すなわち,「移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否か」について「特定」した結果を「承諾メッセージ」が含むのに対し,引用発明においては,HAAAサーバは,「プリペイドポリシー決定サービス論理モジュールの決定プロセスにより,前記アクセス要求メッセージとプリペイド加入者のユーザプロファイルとに基づいて,ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否か」を「決定」するものであるものの,「前記HAによってプリペイドサービスを提供すると決定する場合」に送信される「アクセス承諾メッセージ」に「リバーストンネリングが適用される旨の指標を含む」としているのみであり,当該「アクセス承諾メッセージ」が前記「決定」の結果を含むことについて言及がない点。

ウ 相違点についての判断
上記各相違点について検討する。

[相違点1]について
周知事項1にあるように,
「 cdma2000において,
MIPv4,MIPv6及びPMIPv4において使用される「ホームエージェント」(HA)とPMIPv6において使用される「ローカルモビリティアンカー」(LMA)とは,モバイルノードの関連付けの状態を管理するトポロジカルなアンカーポイントである点において同等であり,「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカー」(HA/LMA)は,これらを総称した用語であること。」
は本願の最先の優先日における周知事項である。
そうすると,本願発明における「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)」は,モバイルノードの関連付けの状態を管理するトポロジカルなアンカーポイントとして機能し,MIPv4,MIPv6及びPMIPv4において使用される「ホームエージェント」(HA)とPMIPv6において使用される「ローカルモビリティアンカー」(LMA)とを総称したものであるから,「HA」と「LMA」とは,プロトコルに応じて使い分けられる択一的なものと解される。
よって,引用発明の「ホームエージェント(Home Agent:HA)」は,実質的には,「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)」に含まれる概念である。
よって,[相違点1]は実質的な相違点ではない。
仮に,本願発明における「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)」が,「LMA」として機能する場合を必須の構成要件として含むと解したとしても,本願の優先日においては,MIPv4,MIPv6及びPMIPv4のみならず,PMIPv6も周知のプロトコルであったから,周知事項1を参酌して,引用発明における「ホームエージェント(Home Agent:HA)」をPMIPv6にも対応可能な「ホームエージェント/ローカルモビリティアンカ(Home Agent/Local Mobility Anchor:HA/LMA)」に拡張することは当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。

[相違点2]について
引用発明において,「前記HAによってプリペイドサービスを提供すると決定する場合」に,「アクセス承諾メッセージ」に含まれる「リバーストンネリングが適用される旨の指標」における「リバーストンネリング」とは,本願の最先の優先日における技術常識を参酌すれば,「HA」を介した通信であると解される。そして,「HA」によってプリペイドサービスが提供されない場合には,「HA」を介して通信を行う必要はないことは明らかであるから,引用発明における「リバーストンネリングが適用される旨の指標」は,「課金」が「HA」において実行されることを特定するものといい得るものである。そして,「HA」によってプリペイドサービスが提供されない場合には,「リバーストンネリングが適用される旨の指標」が不要となることは当然である。
そうすると,引用発明は,「アクセス承諾メッセージ」が,「課金」が「HA」によって実行されるか否かについて特定する」ものであることを示唆しているといえる。
また,引用発明において,「HAAAサーバ」は,「PDSN」から受信した「アクセス要求メッセージ」に応じて,「プリペイドポリシー決定サービス論理モジュールの決定プロセスにより,前記アクセス要求メッセージとプリペイド加入者のユーザプロファイルとに基づいて,ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否かを決定する」,つまり,プリペイドサービス(オンライン課金)を,HAによって提供するか,PDSNによって提供するか,又は,そのいずれによっても提供しないかを決定するものであるから,「HAAAサーバ」による決定の結果を,「アクセス要求メッセージ」を送信する「PDSN」に通知すべきことは当業者が当然に想起できることである。
そして,その前記決定の結果を,「アクセス要求メッセージ」に対する応答である「アクセス承諾メッセージ」において通知することは合理的なことであるから,「アクセス承諾メッセージ」を,「移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する」ものとすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
以上の検討から,[相違点2]に係る本願発明の構成は,当業者が引用発明に基づいて容易に想到し得たものである。

仮に,本願発明における「承諾メッセージ」が,本願明細書の段落【0037】に記載されているように,「HA-LMA課金モードRADIUS VSA」といったパラメータにより「移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する」ものであると限定的に解釈したとしても,周知事項2にあるように,
「 cdma2000において,
HAAAサーバが,PPPセッション認証中に,RADIUSアクセス承諾メッセージにより課金モードVSAを送信し,当該課金モードVSAは,請求(課金)が,予約単位,IPセション単位,及び/又はPCCフローベースのベアラ請求(FBC)のいずれであるかを示すものであること。」
すなわち,HAAAサーバによって送信されるアクセス承諾メッセージが,課金モードVSAといったパラメータにより課金モードを特定するという技術思想は周知である。
また,引用発明において,「ホームエージェント(Home Agent:HA)によってプリペイドサービスを提供するか否か」を特定することは,課金をどのように行うかを特定するという点において,周知事項2における「課金モード」と共通している。
よって,引用発明に当該周知の技術思想を適用し,HAAAサーバが,HAによってプリペイドサービスを提供するか否かを示す情報を,アクセス承諾メッセージのパラメータによって送信することは,当業者が容易に想到し得たことである。
したがって,仮に,本願発明における「承諾メッセージ」が,「HA-LMA課金モードRADIUS VSA」といったパラメータにより「移動局用オペレータポリシに基づいて,前記パケットデータセッションのための前記課金が前記対応するHA/LMAにおいて実行されるか否かについて特定する」ものであると限定的に解釈したとしても,「相違点2]に係る本願発明の構成は,当業者が引用発明に基づいて周知事項を参酌することにより容易に想到し得たものである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知事項から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

4.小括
よって,本願発明は,当業者が引用発明に基づいて周知事項を参酌して容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-07 
結審通知日 2017-03-14 
審決日 2017-03-27 
出願番号 特願2014-115420(P2014-115420)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (H04M)
P 1 8・ 561- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 山中 実
林 毅
発明の名称 CDMA2000システムのためのATホームエージェント(HA)/ローカルモビリティエージェント(LMA)における課金のための方法及び装置  
代理人 松丸 秀和  
代理人 関谷 三男  
代理人 平木 祐輔  

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