ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H01L |
---|---|
管理番号 | 1331526 |
審判番号 | 訂正2017-390050 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2017-06-13 |
確定日 | 2017-07-31 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4002736号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4002736号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第4002736号は、平成13年3月21日の出願であって、平成19年8月24日に特許権の設定登録がなされた。 そして、本件訂正審判は、平成29年6月13日に請求されたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4002736号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである。 1.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「ガラス転移温度が150℃以上であり、150?200℃における線膨張係数が10?50ppm/℃である耐熱フィルム上に、シリコーン系粘着剤よりなる接着剤層を設けてなり、180℃で1時間加熱したときの重量減少が5%以下であることを特徴とするリードフレームに剥離可能に接着する半導体装置組立用マスクシート。」 とあるのを、 「ガラス転移温度が150℃以上であり、150?200℃における線膨張係数が10?50ppm/℃である耐熱フィルム上に、シリコーン系粘着剤よりなる接着剤層を設けてなり、180℃で1時間加熱したときの上記接着剤層の重量減少が5%以下であることを特徴とするリードフレームに剥離可能に接着する半導体装置組立用マスクシート。」 と訂正する。 第4 当審の判断 1.訂正事項1 (1)訂正の目的について 訂正前の請求項1では「・・180℃で1時間加熱したときの重量減少が5%以下である・・」と記載されているところ、当該半導体装置組立用マスクシートの何について「重量減少が5%以下」であるのかその対象が不明確(例えば、耐熱フィルムと接着剤層の双方であるのか、あるいは接着剤層のみであるのか不明確)であるから、訂正前の請求項1の記載には明瞭でない記載が存在する。 これに対して、発明の詳細な説明には、段落【0016】に「本発明のマスクシートにおける接着剤層は、180℃で1時間加熱したときの重量減少が5%以下であることが必要であり、好ましくは3%以下である。重量減少が5%を越えると、特にダイアタッチの工程において、接着剤層の分解物によりリードフレームが汚染され、金ワイヤーの接続不良を生じるという問題が発生する。」と記載され、解決しようとする課題の一つである、ダイアタッチ工程の際に分解物がリードフレームを汚染し、金ワイヤーの接続不良が生じることを防止するうえで、「重量減少が5%以下」とされる対象は、「接着剤層」であると理解することができ、また、実施例及び比較例においても、重量減少を測定している対象はマスクシートの「接着剤層」である。 そうすると、訂正事項1は、訂正前の不明瞭さを正して、その記載の本来の意味内容を発明の詳細な説明の記載に基づいて明らかにするものであるといえ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるということができる。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、発明の詳細な説明に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではないことは明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正して、その記載の本来の意味内容を明らかにするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 第5 むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求により請求人が求めている訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するので、この訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 半導体装置組立用マスクシートおよび半導体装置の組み立て方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ガラス転移温度が150℃以上であり、150?200℃における線膨張係数が10?50ppm/℃である耐熱フィルム上に、シリコーン系粘着剤よりなる接着剤層を設けてなり、180℃で1時間加熱したときの上記接着剤層の重量減少が5%以下であることを特徴とするリードフレームに剥離可能に接着する半導体装置組立用マスクシート。 【請求項2】 上記シリコーン系粘着剤がポリジメチルシロキサンを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置組立用マスクシート。 【請求項3】 上記シリコーン系粘着剤がポリアルキルアルケニルシロキサンとポリアルキル水素シロキサンを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置組立用マスクシート。 【請求項4】 リードフレームに粘着シートを圧着し、粘着シートが接着したリードフレームに半導体素子を搭載し、金ワイヤーにより半導体素子及びリードフレームを接続し、次いで金型において樹脂封止剤で樹脂封止を行い、その後、該粘着シートを剥がすことにより半導体装置を組み立てる方法において、該粘着シートとして、請求項1記載のマスクシートを使用することを特徴とする半導体装置の組み立て方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、半導体チップを金属のリードフレームに搭載し樹脂封止して半導体装置を組み立てる際に、リードフレームを封止樹脂からマスクするために使用する半導体装置組立用マスクシート、およびそれを用いた半導体装置の組み立て方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 携帯型パソコン、携帯電話の普及が進む今日、電子機器には更なる小型化、薄型化、多機能化が要求されている。この要求を実現するには、電子部品の小型化、高集積化は必須のことであるが、さらに電子部品の高密度実装技術が必要となる。そこで従来のQFP(Quad Flat Package)およびSOP(Small Outline Package)等の周辺実装型に代わって、CSP(Chip Size Package)と呼ばれる面実装型のものが高密度実装可能なICパッケージとして脚光を浴びている。またその中でも、特にQFN(Quad Flat Non‐lead)と呼ばれるタイプのものは、従来のリードフレーム、ワイヤーボンディング、樹脂封止(モールド)の技術および装置によって作製できるために、主に100ピン以下の小端子型パッケージの作製に使用されている。このQFNは次のようにして作製される。すなわち、リードフレームの片面にマスクシートを貼着し、その反対面に半導体チップを搭載し、金ワイヤーによりリードとチップを接続する。次いで、樹脂封止した後、マスクシートを剥がし、最後に個片化する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 従来、マスクシートとしては、耐熱フィルムにアクリル系粘着剤または天然ゴムやSBR等のゴムを主体としたゴム系粘着剤を塗布したものが使用されている。しかしながら、アクリル系粘着剤の場合は、半導体チップをリードフレームに接合するダイアタッチ工程において、熱により分解を始め、その分解物がリードフレームを汚染し、金ワイヤー接合不良の原因になり、また樹脂封止(モールド)工程においては、リードフレームとの密着力が弱くなり、外部接続リード部分に封止樹脂がはみ出す現象である「モールドフラッシュ」が発生するという問題があった。またゴム系粘着剤の場合は、封止樹脂及び/又はリードとの密着力が強く、マスクシートをパッケージから剥がし難くなり、そのためゴム系粘着剤がリードフレームに残ってしまう現象である「糊残り」が発生するという問題およびリードフレームが変形する問題があった。 【0004】 本発明は、従来の技術における上記のような問題を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、半導体装置の組み立てに際して、樹脂封止剤のはみ出し、粘着剤の糊残りを抑制し、安定してQFN等の半導体パッケージを生産することができるマスクシートを提供することにある。本発明の他の目的は、そのようなマスクシートを使用して効率よく半導体装置を組み立てる方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 QFNパッケージの製造工程において、マスクシートは、ダイアタッチ工程および樹脂封止工程において、150?180℃で1?6時間の環境に曝された後に、リードフレームから剥がすことになるが、上記環境下での耐熱性が最も重要な性質である。本発明者は、鋭意検討を行った結果、特定の耐熱フィルムおよびシリコーン系粘着剤を用いてマスクシートを作製することによって、上記の環境に耐えるものが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0006】 すなわち、本発明の半導体装置組立用マスクシートは、リードフレームに剥離可能に接着するためのものであって、ガラス転移温度が150℃以上であり、150?200℃における線膨張係数が10?50ppm/℃である耐熱フィルム上に、シリコーン系粘着剤よりなる接着剤層を設けてなり、180℃で1時間加熱したときの重量減少が5%以下であることを特徴とする。 【0007】 本発明の上記マスクシートにおいて、シリコーン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサンを主成分とするものおよびポリアルキルアルケニルシロキサンとポリアルキル水素シロキサンを主成分とするものが好ましい。 【0008】 本発明の半導体装置の組み立て方法は、リードフレームに粘着シートを圧着し、粘着シートが接着したリードフレームに半導体素子を搭載し、金ワイヤーにより半導体素子及びリードフレームを接続し、次いで金型において樹脂封止剤で樹脂封止を行い、その後、該粘着シートを剥がすことよりなるものであって、粘着シートとして、上記のマスクシートを使用することを特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】 本発明の半導体装置用マスクシートは、支持体となる耐熱フィルムと接着剤層とからなるが、耐熱フィルムは、そのガラス転移温度(Tg)が150℃以上であり、且つ150?200℃における線膨張係数が10?50ppm/℃であるものが使用される。QFN等の半導体装置を作製する際、マスクシートは、ダイアタッチ工程、ワイヤーボンド工程および樹脂封止工程等で150?180℃の雰囲気に曝されるが、耐熱フィルムがガラス転移温度Tg以上になると、その線膨張係数は急激に増加するため、金属よりなるリードフレームとの熱膨張差が大きくなる。その場合、室温に戻したときに耐熱フィルムとリードフレームとの熱膨張差により反りが発生し、それが原因となって、ダイアタッチ工程の後、反りが発生し、後工程である樹脂封止工程においてモールド金型の位置決めピンにリードフレームをセットできず、位置ずれ不良を起こすという問題が生じる。したがって、耐熱フィルムのTgは150℃以上であることが必要であり、180℃以上であることが好ましい。また耐熱フィルムの150?200℃における線膨張係数は、10?50ppm/℃であり、特に15?40ppm/℃であることが好ましい。これら耐熱条件を満たす具体的な耐熱フィルムとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のフィルムがあげられる。 【0010】 本発明における耐熱フィルムの線膨張係数は次のようにして求めることができる。すなわち、耐熱フィルムを200℃で1時間加熱した後、加熱後の耐熱フィルムを5×25mmにカットし、TMA(Thermal Mechanical AnlayZer、真空理工社製;TM9300)に装着する。次に荷重1gで150から200℃までを3℃/minの昇温速度で昇温したときのサンプルの伸びを計測し、下記式により求めることができる。 線膨張係数=ΔL/L・Δt [ΔL:サンプルの伸びた長さ、(200℃のときの長さ-150℃のときの長さ) L:サンプルのもとの長さ Δt:測定温度差(200℃-150℃)] 【0011】 本発明のマスクシートにおける接着剤層は、上記耐熱フィルムと同様に、ダイアタッチ工程、ワイヤーボンド工程、樹脂封止工程における熱履歴に対して、分解、劣化等の変化が少なく、安定した接着力を持つことが必要である。また、マスクシートがリードフレームから剥離可能であるためには、マスクシートにおける接着剤層の耐熱フィルムに対する接着強度が、樹脂封止剤およびリードフレームに対する接着強度よりも大きいことが必要である。シリコーン系粘着剤は、そのような要件を満たし、上記の環境に耐える接着剤層を形成することができる。 【0012】 シリコーン系粘着剤は、硬化反応形態から過酸化物を使用する有機過酸化物硬化タイプと白金触媒を用いる付加反応タイプに分かれるが、有機過酸化物は、その反応過程でラジカルの残査である低分子の有機物が発生し、リードフレームを汚染するため、付加反応タイプのシリコーン系粘着剤の方が本発明において好ましく用いられる。具体的なシリコーン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサンを主成分とするもの、およびポリアルキルアルケニルシロキサンとポリアルキル水素シロキサンを主成分とするもの等が好ましいものとしてあげられる。さらに、例えば、ポリオルガノシロキサンを主体とするシリコーン生ゴムとトリメチルシロキシケイ酸を主体とするシリコーンレジンとを結合させて得られるものをあげることができる。 【0013】 また、シリコーン系粘着剤には、熱膨張係数、熱伝導率の調整あるいは表面タック、接着性制御の目的で、無機または有機フィラーを含有させることもできる。無機フィラーとしては、粉砕型シリカ、溶融型シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、窒化チタン、窒化珪素、窒化棚素、硼化チタン、硼化タングステン、炭化珪素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、マイカ、酸化亜鉛、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン又はこれ等の表面をトリメチルシロキシル基等で処理したもの等があげられ、有機フィラーとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ナイロン、シリコーン等があげられる。これらのフィラーの配合量は、接着剤層を構成するシリコーン系樹脂100重量部に対して、1?500重量部、好ましくは3?200重量部、更に好ましくは5?100重量部の範囲である。 【0014】 耐熱フィルムの上に接着剤層を積層する方法としては、耐熱フィルム上に直接シリコーン系粘着剤の溶液を塗布し、乾燥させるキャスティング方法、および離型性フィルム上に一旦シリコーン系粘着剤の溶液を塗布し、乾燥させ、形成された接着剤層を耐熱フィルム上に転写するラミネート方法が使用される。接着剤層の膜厚は、一般に1?30μmの範囲に設定される。 【0015】 接着剤層の上には、必要に応じて保護フィルムを設けることができる。保護フィルムとしては、離型性を有するフィルム、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、及びその表面をシリコーン樹脂またはフッ素化合物で離型処理したフィルムが使用できる。 【0016】 本発明のマスクシートにおける接着剤層は、180℃で1時間加熱したときの重量減少が5%以下であることが必要であり、好ましくは3%以下である。重量減少が5%を越えると、特にダイアタッチの工程において、接着剤層の分解物によりリードフレームが汚染され、金ワイヤーの接続不良を生じるという問題が発生する。 【0017】 本発明の半導体装置を組み立てる方法について、図面を参酌して説明する。図1ないし図5は、半導体装置を組み立てる方法を説明するための模式的断面図である。まず、リードフレーム1の片面に、耐熱フィルム上にシリコーン系粘着剤よりなる接着剤層が形成された本発明のマスクシートを、例えば加熱下に圧着し、シリコーン系粘着剤が硬化して形成された接着剤層2を介して耐熱フィルム3をリードフレーム1に接着する(図1)。ついで、そのリードフレームの反対面に半導体チップ5を搭載し、金ワイヤー4によりリードと半導体チップを接続する(図2)。樹脂封止剤6によって樹脂封止した後(図3)、リードフレームからマスクシートを剥がし(図4)、最後に切断して個片化する(図5)。 【0018】 【実施例】 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 [実施例1] (接着剤層形成用塗布液の調製) ポリアルキルアルケニルシロキサンとポリアルキル水素シロキサンの混合溶液(X40-3103、信越化学社製)と白金触媒溶液(PL50T、信越化学社製)を重量比100:1の比率で混合した。 (マスクシートの作製) 支持体として、Tgが490℃、150?200℃の線膨張係数が12ppm/℃のボリイミドフィルム(厚さ25μm)を使用し、その上に上記接着剤層形成用塗布液を乾燥後の厚さが8μmになるように塗布し、160℃で15分間乾燥させて、マスクシートを得た。このマスクシートの接着剤層について、180℃で1時間加熱したときの重量減少を測定したところ、0.8%であることが分かった。 【0019】 [実施例2] (接着剤層形成用塗布液の調製) ポリジメチルシロキサン(KR120、信越化学社製)とペンジルパーオキサイド(ナイバーB、日本油脂社製)を重量比100:1の比率で混合した。 (マスクシートの作製) 支持体として、Tgが490℃、150?200℃の線膨張係数が12ppm/℃のポリイミドフィルム(厚さ25μm)を使用し、その上に上記接着剤層形成用塗布液を乾燥後の厚さが8μmになるように塗布し、160℃で15分間乾燥させて、マスクシートを得た。このマスクシートの接着剤層について、180℃で1時間加熱したときの重量減少を測定したところ、1.2%であることが分かった。 【0020】 [比較例1] (接着剤層形成用塗布液の調製) アクリル共重合体(SKダイン1131B、総研化学社製)にイソシアネート(コロネートL-40、日本ポリウレタン社製)を重量比100:1の比率で混合した。 (マスクシートの作製) 支持体として、Tgが490℃、150?200℃の線膨張係数が12ppm/℃のポリイミドフィルム(厚さ25μm)を使用し、その上に上記接着剤層形成用塗布液を乾燥後の厚さが8μmになるように塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、30℃7日間放置して、マスクシートを作製した。このマスクシートの接着剤層について、180℃で1時間加熱したときの重量減少を測定したところ、5.6%であることが分かった。 【0021】 [比較例2] (接着剤層形成用塗布液の調製) エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェル社製)、エポキシ硬化剤(レヂトップPSM4261、群栄化学社製)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(ニッポール1001、日本ゼオン社製)を重量比で40:30:30で混合した。 (マスクシートの作製) 支持体として、Tgが490℃、150?200℃の線膨張係数が12ppm/℃のポリイミドフィルム(厚さ25μm)を使用し、その上に上記接着剤層形成用塗布液を乾燥後の厚さが8μmになるように塗布し、130℃で5分間乾燥させて、マスクシートを作製した。このマスクシートの接着剤層について、180℃で1時間加熱したときの重量減少を測定したところ、3.8%であることが分かった。 【0022】 [比較例3] (接着剤層形成用塗布液の調製) ポリアルキルアルケニルシロキサンとポリアルキル水素シロキサンの混合溶液(X40-3103、信越化学社製)と白金触媒溶液(PL50T、信越化学社製)を重量比100:1の比率で混合した。 (マスクシートの作製) 支持体として、Tgが73℃で150?200℃の線膨張係数が60ppm/℃のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)を使用し、その上に上記接着剤層形成用塗布液を乾燥後の厚さが8μmになるように塗布し、130℃で5分間乾燥させて、マスクシートを作製した。このマスクシートの接着剤層について、180℃で1時間加熱したときの重量減少を測定したところ、0.8%であることが分かった。 【0023】 なお、上記実施例1および2、および比較例1?3で作製したマスクシートにおける接着剤層の重量減少の測定は次の通り行った。 上記実施例1および2、および比較例1?3で使用した各接着剤層形成用塗布液を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、各実施例および比較例を同一条件で製造し、乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから接着剤層を剥離して、該接着剤層のみを示差熱天秤(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA320)で180℃で1時間加熱したときの重量減少率を測定した。 【0024】 (反り特性評価) 上記実施例1および2、および比較例1?3で作製したマスクシートを外寸200×60mmのQFN用リードフレーム(Au-Pd-NiメッキCuリードフレーム、8×32個のマトリックス配列、パッケージサイズ5×5mm、樹脂封止エリア180×40mm)にラミネートし、該QFN用リードフレームの大きさに裁断してフィルム積層体を作製した。このフィルム積層体を反り特性評価サンプルとした。 この評価サンプルを、水平台にマスクシート面を上にして置き、デジタル測定顕微鏡(オリンパス社製:STM-UM)によって、Z軸座標測定により端部の反りの高さを測定した。その結果を表1に示す。 【0025】 (ワイヤーボンド性) 上記実施例1および2、および比較例1?3で作製したマスクシートを外寸200×60mmのQFN用リードフレーム(Au-Pd-NiメッキCuリードフレーム、8×32個のマトリックス配列、パッケージサイズ5×5mm、樹脂封止エリア180×40mm)にラミネートした。その後、エポキシ系ダイアタッチ材でアルミニウム蒸着のダミーチップ(3×3mm、厚さ0.4mm)をリードフレームのダイパット部に接着し、ワイヤーボンダー(FB131、カイジョー社製)で温度:180℃、周波数:60kHz、荷重:150gf、時間:10ms/ピンでリードピン先端とダミーチップを金ワイヤーで接続したときのリード側接着不良数を確認した。その結果を表1に示す。 なお、表中の数値は256個のパッケージ中、接続不良の発生した個数を示す。 【0026】 (モールドフラッシュ) 上記ワイヤーボンドしたリードフレームをエポキシ系封止樹脂(o-クレゾールノボラックエポキシ系、フィラー量85重量%)で、温度:180℃、圧力:10MPa、時間:3分間、の条件でトランスファーモールド(金型成型)した。その後、樹脂封止物からマスクシートを剥離し、該樹脂封止物のマスクシート面を観察し、リードピンの部分に封止樹脂が漏れているパッケージの数量を確認した。その結果を表1に示す。表中の数値は256個のパッケージ中、封止樹脂の漏れにより不良の発生した個数を示す。 なお、実施例1および2のマスクシートは、樹脂封止物からマスクシートを剥離する際に接着剤層の糊残りはなかった。 【0027】 【表1】 【0028】 【発明の効果】 本発明のマスクシートは、上記の構成を有するから、耐熱性に優れ、ダイアタッチ材のキュア時の熱履歴でも分解物の揮発量が少なく、リードフレームが汚染されることがないため、金ワイヤーによる半導体チップとリードフレームの高接続信頼性を得ることができる。また、リードフレームの反りが少ないため、位置決め不良を起こし難い。更には封止樹脂がマスクテープから漏れる「モールドフフッシュ」も押さえることができ、接着剤の糊残りを抑制するため安定してQFN等の半導体パッケージを生産することができる。したがって、本発明のマスクシートを使用することにより、効率よく半導体装置を組み立てることが可能になる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 リードフレームにマスクシートを接着した状態を示す断面図である。 【図2】 半導体チップを搭載して金ワイヤーで接続した状態を示す断面図である。 【図3】 樹脂封止した状態を示す断面図である。 【図4】 マスクシートを剥がした状態を示す断面図である。 【図5】 半導体装置を個片化した状態を示す断面図である。 【符号の説明】 1・・・リードフレーム、2・・・接着剤層、3・・・耐熱フィルム、4・・・金ワイヤー、5・・・半導体チップ、6・・・樹脂封止剤 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2017-07-04 |
結審通知日 | 2017-07-06 |
審決日 | 2017-07-21 |
出願番号 | 特願2001-81098(P2001-81098) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(H01L)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 日比野 隆治 |
特許庁審判長 |
國分 直樹 |
特許庁審判官 |
井上 信一 関谷 隆一 |
登録日 | 2007-08-24 |
登録番号 | 特許第4002736号(P4002736) |
発明の名称 | 半導体装置組立用マスクシートおよび半導体装置の組み立て方法 |