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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1331928 |
審判番号 | 不服2016-15518 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-10-18 |
確定日 | 2017-09-19 |
事件の表示 | 特願2012-508227「検査情報表示装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/122402、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年3月23日(優先権主張平成22年3月31日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成24年10月23日付けで手続補正がなされ、平成27年1月26日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月3日付けで手続補正がなされ、同年12月28日付けで拒絶理由通知(最後)がなされ、平成28年2月2日付けで手続補正がなされたが、同年7月27日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年10月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年7月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項8に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <拒絶の理由を発見しない請求項> 請求項(1-7)に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。 引用文献等一覧 1.特開2008-299689号公報 第3 本願発明 本願請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明8」という。)は、平成28年10月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明8は以下のとおりの発明である。 「【請求項8】 被検体の検査情報を格納した格納部と、 複数の前記検査情報を表示する表示画面を有する表示部と、 前記検査情報を前記表示画面の所定の表示領域へドラッグアンドドロップ操作する操作部と、を備え、 前記表示領域における前記各検査情報が表示される表示エリアの境界線には、前記境界線と直交する方向であって当該表示エリアの外側に新たな表示エリアが追加されるルールが設定されており、 ドロップ操作された位置の前記境界線に設定された前記ルールに従って、前記表示領域のレイアウト変更をすることを特徴とする検査情報表示装置。」 第4 引用文献、引用発明等 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア.「【0084】 ウィンドウ管理手段に話を戻すと、ウィンドウ管理手段は、ウィンドウWのイベント送信手段からイベントメッセージを受けると、受け取ったイベントの種類に応じて、ウィンドウテーブルやドッキングテーブルを参照し、必要なウィンドウに対して必要な処理を行う。各々のイベント毎の動作を示す。 ・・・(中略)・・・ 【0086】 Moveの場合 Moveイベントを検出したときの動作フローを図9に示す。まずは、Wの位置を取得し(ステップS30)、ウィンドウテーブルにおけるWの情報を更新する(ステップS31)。Wがドッキングされているか否かチェックし(ステップS32)ドッキングされている場合には、Wとドッキングされている他のウィンドウを探し、ウィンドウ位置を再計算する(ステップS33)。次いで、Wとドッキングされている他のウィンドウについて、ウィンドウテーブルでの位置情報およびドッキングテーブルでの対応する情報を更新する(ステップS34)。さらに、近傍ウィンドウ検出手段において、ウィンドウテーブルを参照し、近傍にウィンドウが存在するか否かを探す(ステップS35)。近傍のウィンドウがあった場合は、のりしろ表示手段においてのりしろを表示する(ステップS36)。近傍のウィンドウがなかった場合は、のりしろ表示手段においてのりしろを非表示する(ステップS37)。 【0087】 Dropの場合 Dropイベントを検出したときの動作フローを図10に示す。まずは、Wの位置、サイズを取得する(ステップS40)。次いで、近傍ウィンドウ検出手段において、Wの近傍ウィンドウを探す(ステップS41)。近傍ウィンドウが存在しなかった場合には何もせず終了する。近傍ウィンドウW’があった場合には(ステップS42)、ドッキング手段において、WとW’の位置、サイズを再計算し、ウィンドウ位置を設定し、両者をドッキングする(ステップS43)。さらに、ウィンドウテーブルにおける WとW’の位置およびサイズの情報を更新し(ステップS44)、ドッキングテーブルにおける情報も更新する(ステップS45)。」 イ.「【0097】 図14に、本実施例のイベント通知方式のシステム構成を示す。同図に示すように、イベント通知方式は、個々のウィンドウ毎にイベント送信手段200をもつ。さらに、ウィンドウを統括するマネージャ210は、ウィンドウ管理手段220、近傍ウィンドウ検出手段230、のりしろ表示手段240、およびドッキング手段250を含んで構成される。 【0098】 先の実施例との構成の違いは、各ウィンドウに「イベント送信手段」が加わり、マネージャから「イベント検出手段」がなくなったことである。 ・・・(中略)・・・ 【0102】 ウィンドウ管理手段 ウィンドウ管理手段220は、基本的には上記したイベント検出方式と同じである。ただし、Exitイベントの管理が新たに加わっているから、その差分のみを説明する。 【0103】 ウィンドウ管理手段220でExit以外のイベントを受信した場合は、イベント検出方式の実施例での動作と同じである。Exitイベントを受信した場合の動作を説明する。」 ウ.「【0134】 6.埋め込みドッキング 上記に述べたとおり、埋め込みドッキングには、その動作に関して次のような特徴がある。ドッキングの前後で(ドロップされた側の)ウィンドウ全体のサイズが変化しない。「のりしろ」が、ウィンドウの複数の辺に表示される。 【0135】 ここでは、イベント通知手段の実施例を拡張するかたちでの埋め込みドッキングの実現方式について説明する。埋め込みドッキングのためのシステム構成図を図21に示す。 【0136】 イベント通知方式のシステム構成図に対して、マネージャ218には、近傍サブウィンドウ検出手段600が追加されている。さらに、近傍ウィンドウ検出手段600、のりしろ表示手段240、および「ドッキング手段230の動作がイベント通知方式と異なる。これらについて説明する。」 エ.「【0137】 近傍ウィンドウ検出手段 イベント通知方式の近傍ウィンドウ検出手段600は、2つのウィンドウがレフト(Left)-ライト(Right)、トップ(Top)-ボトム(Bottom)の関係にあるウィンドウのみを検出したが、本実施例では、2つのウィンドウが重なっている場合も検出する。 【0138】 拡張ドッキングと埋め込みドッキングの区別は、図22Aに示すように、ウィンドウに重なりがない場合には拡張ドッキング、図22Bに示すように、重なりがある場合には埋め込みドッキングとする。図では、ウィンドウの外形を示す太い線30がのりしろを示している。2つのウィンドウに重なりがない拡張ドッキングの場合には、近傍サブウィンドウ検出手段を必要とせずに、これまでと同じように処理を行なえばよい。」 オ.「【0139】 近傍サブウィンドウ検出手段 近傍サブウィンドウ検出手段600は、近傍ウィンドウ検出手段で埋め込みドッキングと判断された場合、ドッキングウィンドウのどのサブウィンドウのどの位置を押しのけて新たにウィンドウをドッキングさせるかを決定する。概念的には図23に示すようになる。 【0140】 近傍サブウィンドウ検出手段600では、次の2つのステップをとる。 (1) 押しのける対象のサブウィンドウを検出する。 (2) 押しのける対象のサブウィンドウで、押しのける位置を検出する。 ここでは、図23のように、2つのウィンドウAとBがドッキングされたドッキングウィンドウABのどこかに新たなウィンドウCを埋め込みドッキングさせる場合を例に説明する。 【0141】 ステップ1では、押しのける対象のサブウィンドウを検出する。Aの重心(ウィンドウの長方形の中心)とBの重心を算出する。これらとCの重心との距離を算出し、距離的に近い方がウィンドウCのドッキング対象のウィンドウとなる。ここでは、Bがドッキング対象であったとする。 【0142】 ステップ2では、ウィンドウBのどの位置を押しのけるかを決定する。まずは、Bのウィンドウ領域を図24に示すように、2つの対角線で区切られる4つの領域の分割する。次いで、Bの4つの領域の各重心からCの重心への距離を算出する。もっとも距離の近い領域が、Bに対するCの埋め込み位置となる。例えば、Cの重心がBの左領域の重心に近いなら(図23Cの例)、CはBの右位置に埋め込まれてドッキングされることになる。」 カ.「【0143】 のりしろ表示手段 のりしろ表示手段240は、近傍サブウィンドウ検出手段600で検出されたサブウィンドウ(先の例ではB)の埋め込み位置(先の例では左)、それからドラッグ中のウィンドウ(先の例ではC)の対応する位置にのりしろを表示する。ここで、対応する位置とは、図23A、図23B、図23Cに示すように、ドッキングした結果、他のサブウィンドウと接することになる辺40B、40C、42B、42C、44B、44Cのことである。」 キ.「【0144】 ドッキング手段 ドッキング手段230は、のりしろ表示手段240で表示したのりしろの部分に新たなウィンドウ(先の例ではC)をドッキングする。」 ク.「【0145】 図25は、本実施例に係るワークスペース管理方式を実行する処理装置の一例を示す図である。本実施例に係る処理装置700は、キーボード、マウス、タッチパネル、画像スキャナ、その他の入力を含む入力装置702、外部のネットワーク等と情報の送受を可能にする外部インタフェース(I/F)704、表示装置706、プリンタ等の出力装置708、種々のデータを記憶可能な記憶装置710、OS、プログラム、アプリケーションソフト等を格納するメモリ712、プログラムに従い各部の動作を制御可能なCPU(Central Processing Unit)714を含んで構成される。 【0146】 CPU714は、メモリ712に格納されたアプリケーションを起動することで、表示装置706にユーザインタフェースのためのウィンドウを表示し、ユーザにワークスペースを与える。本実施例のワークスペース管理方式は、OSおよび/またはアプリケーションソフトに組み込まれ、上記したようなウィンドウのドッキング等を実行可能にする。表示装置706上に表示されたウィンドウは、マウス等の入力装置702を介してユーザによって操作される。」 上記ア.?ク.によれば、引用文献1には次の事項が記載されているといえる。 (1)処理装置 (1-1) ・前記ク.の「図25は、本実施例に係るワークスペース管理方式を実行する処理装置の一例を示す図である。本実施例に係る処理装置700は、キーボード、マウス、タッチパネル、画像スキャナ、その他の入力を含む入力装置702、・・・(中略)・・・表示装置706、・・・(中略)・・・CPU(Central Processing Unit)714を含んで構成される。」の記載、 ・前記ク.の「CPU714は、メモリ712に格納されたアプリケーションを起動することで、表示装置706にユーザインタフェースのためのウィンドウを表示し、ユーザにワークスペースを与える。本実施例のワークスペース管理方式は、OSおよび/またはアプリケーションソフトに組み込まれ、上記したようなウィンドウのドッキング等を実行可能にする。表示装置706上に表示されたウィンドウは、マウス等の入力装置702を介してユーザによって操作される。」の記載によれば、 引用文献1には「表示装置706を含んで構成され、アプリケーションを起動することで表示装置706にユーザインタフェースのためのウィンドウを表示し、当該ウィンドウをマウス等の入力装置702を介して操作し、ウィンドウをドッキングする処理装置」が記載されているといえる。 (1-2) ・前記ウ.の「埋め込みドッキングのためのシステム構成図を図21に示す。」の記載、 ・図21のシステム構成図における、「ドッキング手段230」、「のりしろ表示手段240」、「近傍サブウィンドウ検出手段600」、「近傍ウィンドウ検出手段250」、「ウィンドウ管理手段220」の記載によれば、 引用文献1には、「近傍ウィンドウ検出手段250、近傍サブウィンドウ検出手段600、のりしろ表示手段240、ドッキング手段230、ウィンドウ管理手段220」を備えた処理装置が記載されているといえる。 (2)近傍ウィンドウ検出手段 ・前記エ.の「イベント通知方式の近傍ウィンドウ検出手段600は、2つのウィンドウがレフト(Left)-ライト(Right)、トップ(Top)-ボトム(Bottom)の関係にあるウィンドウのみを検出したが、本実施例では、2つのウィンドウが重なっている場合も検出する。」の記載、 ・前記エ.の「拡張ドッキングと埋め込みドッキングの区別は、図22Aに示すように、ウィンドウに重なりがない場合には拡張ドッキング、図22Bに示すように、重なりがある場合には埋め込みドッキングとする。」の記載によれば、 引用文献1には、「近傍ウィンドウ検出手段600は、2つのウィンドウが重なっている場合を検出し、重なりがある場合には埋め込みドッキングとし」が記載されているといえる。 (3)近傍サブウィンドウ検出手段 ・前記オ.の「近傍サブウィンドウ検出手段600は、近傍ウィンドウ検出手段で埋め込みドッキングと判断された場合、ドッキングウィンドウのどのサブウィンドウのどの位置を押しのけて新たにウィンドウをドッキングさせるかを決定する。」の記載、 ・前記オ.の「ここでは、図23のように、2つのウィンドウAとBがドッキングされたドッキングウィンドウABのどこかに新たなウィンドウCを埋め込みドッキングさせる場合を例に説明する。」の記載、 ・前記オ.の「ステップ1では、押しのける対象のサブウィンドウを検出する。Aの重心(ウィンドウの長方形の中心)とBの重心を算出する。これらとCの重心との距離を算出し、距離的に近い方がウィンドウCのドッキング対象のウィンドウとなる。ここでは、Bがドッキング対象であったとする。」の記載、 ・前記オ.の「ステップ2では、ウィンドウBのどの位置を押しのけるかを決定する。まずは、Bのウィンドウ領域を図24に示すように、2つの対角線で区切られる4つの領域の分割する。次いで、Bの4つの領域の各重心からCの重心への距離を算出する。もっとも距離の近い領域が、Bに対するCの埋め込み位置となる。」の記載によれば、 引用文献1には、「近傍サブウィンドウ検出手段600は、近傍ウィンドウ検出手段で埋め込みドッキングと判断された場合、ドッキングウィンドウのどのサブウィンドウのどの位置を押しのけて新たにウィンドウをドッキングさせるかを決定し、2つのウィンドウAとBがドッキングされたドッキングウィンドウABのどこかに新たなウィンドウCを埋め込みドッキングさせる場合には、ドッキングウィンドウABのサブウィンドウAの重心とサブウィンドウBの重心を算出し、これらの重心とウィンドウCの重心との距離を算出し、距離的に近い方をウィンドウCのドッキング対象のサブウィンドウとして検出し、当該ドッキング対象のサブウィンドウの領域を2つの対角線で区切られる4つの領域に分割し、4つの領域の各重心からウィンドウCの重心への距離を算出し、最も距離の近い領域を、ドッキング対象のサブウィンドウに対するウインドウCの埋め込み位置として決定し」が記載されているといえる。 (4)のりしろ表示手段 ・前記カ.の「のりしろ表示手段240は、近傍サブウィンドウ検出手段600で検出されたサブウィンドウ(先の例ではB)の埋め込み位置(先の例では左)、それからドラッグ中のウィンドウ(先の例ではC)の対応する位置にのりしろを表示する。ここで、対応する位置とは、図23A、図23B、図23Cに示すように、ドッキングした結果、他のサブウィンドウと接することになる辺40B、40C、42B、42C、44B、44Cのことである。」の記載によれば、引用文献1には「のりしろ表示手段240は、前記埋め込み位置と、ドラッグ中のウィンドウの対応する位置にのりしろを表示し、ここで、対応する位置とは、ドッキングした結果、他のサブウィンドウと接することになる辺のことであり」が記載されているといえる。 (6)ドッキング手段 ・前記キ.の「ドッキング手段230は、のりしろ表示手段240で表示したのりしろの部分に新たなウィンドウ(先の例ではC)をドッキングする。」の記載、 ・前記カ.の「のりしろ表示手段240は、近傍サブウィンドウ検出手段600で検出されたサブウィンドウ(先の例ではB)の埋め込み位置(先の例では左)、それからドラッグ中のウィンドウ(先の例ではC)の対応する位置にのりしろを表示する。」の記載によれば、 引用文献1には「ドッキング手段230は、近傍サブウィンドウ検出手段600で検出されたサブウィンドウの埋め込み位置に新たなウィンドウをドッキングし」が記載されているといえる。 (7)ウィンドウ管理手段 ・前記ウ.の「ここでは、イベント通知手段の実施例を拡張するかたちでの埋め込みドッキングの実現方式について説明する。埋め込みドッキングのためのシステム構成図を図21に示す。」の記載、 ・図21のシステム構成図における、「ウィンドウ管理手段220」の記載、 ・前記ウ.の「イベント通知方式のシステム構成図に対して、マネージャ218には、近傍サブウィンドウ検出手段600が追加されている。さらに、近傍ウィンドウ検出手段600、のりしろ表示手段240、および「ドッキング手段230の動作がイベント通知方式と異なる。」の記載、 ・前記イ.の「【0097】 図14に、本実施例のイベント通知方式のシステム構成を示す。 ・・・(中略)・・・ 【0102】 ウィンドウ管理手段 ウィンドウ管理手段220は、基本的には上記したイベント検出方式と同じである。ただし、Exitイベントの管理が新たに加わっているから、その差分のみを説明する。 【0103】 ウィンドウ管理手段220でExit以外のイベントを受信した場合は、イベント検出方式の実施例での動作と同じである。Exitイベントを受信した場合の動作を説明する。」の記載、 ・前記ア.の「ウィンドウ管理手段は、ウィンドウWのイベント送信手段からイベントメッセージを受けると、受け取ったイベントの種類に応じて、ウィンドウテーブルやドッキングテーブルを参照し、必要なウィンドウに対して必要な処理を行う。各々のイベント毎の動作を示す。 ・・・(中略)・・・ Moveの場合 Moveイベントを検出したときの動作フローを図9に示す。・・・(中略)・・・さらに、近傍ウィンドウ検出手段において、ウィンドウテーブルを参照し、近傍にウィンドウが存在するか否かを探す(ステップS35)。近傍のウィンドウがあった場合は、のりしろ表示手段においてのりしろを表示する(ステップS36)。・・・(中略)・・・ Dropの場合 Dropイベントを検出したときの動作フローを図10に示す。まずは、Wの位置、サイズを取得する(ステップS40)。次いで、近傍ウィンドウ検出手段において、Wの近傍ウィンドウを探す(ステップS41)。近傍ウィンドウが存在しなかった場合には何もせず終了する。近傍ウィンドウW’があった場合には(ステップS42)、ドッキング手段において、WとW’の位置、サイズを再計算し、ウィンドウ位置を設定し、両者をドッキングする(ステップS43)。」の記載、 ・前記エ.の「イベント通知方式の近傍ウィンドウ検出手段600は、2つのウィンドウがレフト(Left)-ライト(Right)、トップ(Top)-ボトム(Bottom)の関係にあるウィンドウのみを検出したが、本実施例では、2つのウィンドウが重なっている場合も検出する。」の記載、 ・前記イ.の「ドラッグ(移動)」の記載によれば、 引用文献1には、「ウィンドウ管理手段220は、ウィンドウからMove(ドラッグ)イベントを受信した場合、近傍ウィンドウ検出手段において、当該ウィンドウと重なっているウィンドウを検出し、重なっているウィンドウがあった場合は、のりしろ表示手段においてのりしろを表示し、また、ウィンドウからDropイベントを受信した場合、近傍ウィンドウ検出手段において、当該ウインドウに重なっているウィンドウを検出し、重なっているウィンドウがあった場合には、ドッキング手段において、当該ウインドウと重なっているウィンドウとをドッキングする」が記載されているといえる。 したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているといえる。 <引用発明> 「表示装置706を含んで構成され、アプリケーションを起動することで表示装置706にユーザインタフェースのためのウィンドウを表示し、当該ウィンドウをマウス等の入力装置702を介して操作し、ウィンドウをドッキングする処理装置において、 近傍ウィンドウ検出手段250、近傍サブウィンドウ検出手段600、のりしろ表示手段240、ドッキング手段230、ウィンドウ管理手段220を備え、 近傍ウィンドウ検出手段600は、2つのウィンドウが重なっている場合を検出し、重なりがある場合には埋め込みドッキングとし、 近傍サブウィンドウ検出手段600は、近傍ウィンドウ検出手段で埋め込みドッキングと判断された場合、ドッキングウィンドウのどのサブウィンドウのどの位置を押しのけて新たにウィンドウをドッキングさせるかを決定し、2つのウィンドウAとBがドッキングされたドッキングウィンドウABのどこかに新たなウィンドウCを埋め込みドッキングさせる場合には、ドッキングウィンドウABのサブウィンドウAの重心とサブウィンドウBの重心を算出し、これらの重心とウィンドウCの重心との距離を算出し、距離的に近い方をウィンドウCのドッキング対象のサブウィンドウとして検出し、当該ドッキング対象のサブウィンドウの領域を2つの対角線で区切られる4つの領域に分割し、4つの領域の各重心からウィンドウCの重心への距離を算出し、最も距離の近い領域を、ドッキング対象のサブウィンドウに対するウインドウCの埋め込み位置として決定し、 のりしろ表示手段240は、前記埋め込み位置と、ドラッグ中のウィンドウの対応する位置にのりしろを表示し、ここで、対応する位置とは、ドッキングした結果、他のサブウィンドウと接することになる辺のことであり、 ドッキング手段230は、近傍サブウィンドウ検出手段600で検出されたサブウィンドウの埋め込み位置に新たなウィンドウをドッキングし、 ウィンドウ管理手段220は、ウィンドウからMove(ドラッグ)イベントを受信した場合、近傍ウィンドウ検出手段において、当該ウィンドウと重なっているウィンドウを検出し、重なっているウィンドウがあった場合は、のりしろ表示手段においてのりしろを表示し、また、ウィンドウからDropイベントを受信した場合、近傍ウィンドウ検出手段において、当該ウインドウに重なっているウィンドウを検出し、重なっているウィンドウがあった場合には、ドッキング手段において、当該ウインドウと重なっているウィンドウとをドッキングする、処理装置。」 第5 対比・判断 (1)対比 次に、本願発明8と引用発明とを対比する。 ・引用発明は、「表示装置706を含んで構成され、アプリケーションを起動することで表示装置706にユーザインタフェースのためのウィンドウを表示」することから、表示画面を有する表示装置を備えるといえる。この表示装置と、本願発明8の「複数の前記検査情報を表示する表示画面を有する表示部」は、「表示画面を有する表示部」の点で共通する。 ・引用発明は、ウィンドウに対してドラッグ(Move)とドロップ(Drop)とを行うといえる。また、「ウィンドウをマウス等の入力装置702を介して操作する」ことから、ウィンドウをドラッグアンドドロップ操作する操作手段を備えるといえる。この操作手段と本願発明8の「前記検査情報を前記表示画面の所定の表示領域へドラッグアンドドロップ操作する操作部」は、「ドラッグアンドドロップ操作する操作部」の点で共通する。 ・引用発明のサブウィンドウの領域は、本願発明8の「表示エリア」に相当する。 ・引用発明は、サブウィンドウの埋め込み位置に新たなウィンドウをドッキングし、ドッキングした結果、他のサブウィンドウと辺で接することから、ドッキング対象のサブウィンドウの外側に、新たなウィンドウが追加されるといえる。 さらに、引用発明は「近傍サブウィンドウ検出手段600は、近傍ウィンドウ検出手段で埋め込みドッキングと判断された場合、ドッキングウィンドウのどのサブウィンドウのどの位置を押しのけて新たにウィンドウをドッキングさせるかを決定」するが、ドッキング対象のサブウィンドウと、そのサブウィンドウの埋め込み位置を決定するためのルールは、ドッキング対象のサブウィンドウの外側に、新たなウィンドウを追加するルールといえる。 したがって、引用発明の上記ルールが設定されることと、本願発明8の「前記表示領域における前記各検査情報が表示される表示エリアの境界線には、前記境界線と直交する方向であって当該表示エリアの外側に新たな表示エリアが追加されるルールが設定されており」は、「表示エリアの外側に新たな表示エリアが追加されるルールが設定されており」の点で共通する。 ・引用発明のドッキング手段230は、「近傍サブウィンドウ検出手段600で検出されたサブウィンドウの埋め込み位置に新たなウィンドウをドッキングする」が、この際、ドッキングウィンドウのレイアウトは、新たなウィンドウをドッキングしたことによって変更されるといえる。 したがって、引用発明の、埋め込み位置の決定ルールにしたがって、新たなウィンドウをドッキングウィンドウABにドッキングさせることと、本願発明8の「ドロップ操作された位置の前記境界線に設定された前記ルールに従って、前記表示領域のレイアウト変更をする」は、「設定された前記ルールに従って、レイアウト変更をする」の点で共通する。 ・引用発明の、表示装置706を含んで構成された「処理装置」と、本願発明8の「検査情報表示装置」は、「表示装置」の点で共通する。 したがって、本願発明8と引用発明との一致点は、次の通りである。 <一致点> 「表示画面を有する表示部と、 ドラッグアンドドロップ操作する操作部と、を備え、 表示エリアの外側に新たな表示エリアが追加されるルールが設定されており、 設定された前記ルールに従って、レイアウト変更をする表示装置。」 また、本願発明8と引用発明との相違点は次の通りである。 <相違点1> 本願発明8は、「被検体の検査情報を格納した格納部」を備えるのに対し、引用発明は当該格納部を備えていない点。 <相違点2> 表示部の表示画面が、本願発明8では「複数の前記検査情報を表示する」のに対し、引用発明では、上記検査情報を表示するものではない点。 <相違点3> ドラッグアンドドロップ操作が、本願発明8では「前記検査情報を前記表示画面の所定の表示領域へドラッグアンドドロップ操作する」ものであるのに対し、引用発明では、アプリケーションのウインドウをドラッグアンドドロップ操作するものであり、また、ドロップ操作する場所は「表示画面の所定の表示領域」ではない点。 <相違点4> ルールが、本願発明8では、「前記表示領域における前記各検査情報が表示される表示エリアの境界線」に設定され、「前記境界線と直交する方向」に新たな表示エリアが追加されるルールであるのに対し、引用発明では、サブウィンドウの領域(表示エリア)の境界線に設定されるものではなく、その境界線と直交する方向に新たな表示エリアが追加されるルールでもない点。 <相違点5> レイアウト変更が、本願発明8では「ドロップ操作された位置の前記境界線に設定された前記ルール」に従うものであり、さらに、ドロップ操作した「表示領域」のレイアウト変更であるのに対し、引用発明では「ドロップ操作された位置の前記境界線に設定された前記ルール」に従うものではなく、さらに、ドッキングウィンドウのレイアウト変更であって、ドロップ操作した「表示領域」のレイアウト変更ではない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点4、5について検討する。 相違点4に係る本願発明8の「前記表示領域における前記各検査情報が表示される表示エリアの境界線には、前記境界線と直交する方向であって当該表示エリアの外側に新たな表示エリアが追加されるルールが設定されており」という構成、相違点5に係る本願発明8の「ドロップ操作された位置の前記境界線に設定された前記ルールに従って、前記表示領域のレイアウト変更をする」という構成は、上記引用文献1には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、その他の相違点1-3について判断するまでもなく、本願発明8は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明8は「前記表示領域における前記各検査情報が表示される表示エリアの境界線には、前記境界線と直交する方向であって当該表示エリアの外側に新たな表示エリアが追加されるルールが設定されており」という事項、及び、「ドロップ操作された位置の前記境界線に設定された前記ルールに従って、前記表示領域のレイアウト変更をする」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-09-04 |
出願番号 | 特願2012-508227(P2012-508227) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関 博文、貝塚 涼 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
金子 幸一 石川 正二 |
発明の名称 | 検査情報表示装置及び方法 |
代理人 | 田村 尚隆 |