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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1331940 |
審判番号 | 不服2016-13103 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-31 |
確定日 | 2017-09-12 |
事件の表示 | 特願2011-211597「充電管理システム、情報提供端末、充電管理端末、利用者端末」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月22日出願公開、特開2013- 73398、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年9月27日の特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成27年 3月10日付け:拒絶理由の通知 平成27年 5月18日 :意見書、及び、手続補正書の提出 平成27年10月26日付け:拒絶理由の通知 平成27年12月28日 :意見書、及び、手続補正書の提出 平成28年 5月26日付け:拒絶査定 平成28年 8月31日 :審判請求書、及び、手続補正書の提出 平成28年11月25日 :前置報告 平成29年 5月11日付け:当審による拒絶理由の通知 平成29年 7月18日 :意見書、及び、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成28年5月26日付け拒絶査定)の概要は次の通りである。 本願請求項1、7-12に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、本願請求項2-5に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、本願請求項6に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1:特開2011-153892号公報 2:特開2001-215124号公報 3:特開2006-112932号公報 4:特開2010-119162号公報 5:特開2002-63645号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.請求項10-12に係るものは、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえないから、特許法第2条でいう「発明」に該当しないものであるため、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 2.請求項1-12に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないため、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができない。 3.請求項1-12に係る発明は、明確でないため、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。 第4 本願発明 本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、平成29年7月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-9は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 サービス提供施設に関連して設置され電動車両に搭載された走行用の蓄電池を充電する充電装置と、 前記電動車両が前記充電装置を利用する日時が予約内容として登録される充電管理端末と、 前記充電管理端末と通信し前記予約内容を指定する利用者端末と通信可能であって、前記サービス提供施設で提供されるサービス内容と、前記サービス提供施設の利用に対する特典と、前記充電装置の場所とを対応付けたサービス情報が登録される情報提供端末とを備え、 前記充電管理端末は、前記予約内容に従って前記電動車両に搭載された前記蓄電池の充電を前記充電装置に行わせる機能を有し、 前記情報提供端末は、前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有することを特徴とする充電管理システム。 【請求項2】 前記電動車両に搭載された前記蓄電池を前記充電装置により充電している間に前記蓄電池の充電状態を監視する充電監視装置と、前記充電監視装置が監視している充電状態を前記利用者端末に通知する通知装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の充電管理システム。 【請求項3】 前記利用者端末は、現在位置を計測する測位機能部と、前記電動車両に搭載された前記蓄電池の残り容量が規定値以下であることを取得すると、前記情報提供端末と通信することにより、前記測位機能部が計測した現在位置を基準位置として所定の距離範囲内に存在する前記充電装置に関する前記サービス情報を提示する付加機能部とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の充電管理システム。 【請求項4】 前記付加機能部は、前記所定の距離範囲を、前記電動車両が前記蓄電池の残り容量で走行可能な距離範囲とすることを特徴とする請求項3記載の充電管理システム。 【請求項5】 前記利用者端末は、前記電動車両に搭載された前記蓄電池の残り容量が規定値以下であることを取得している間に、前記充電装置に関する前記サービス情報を提示することを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の充電管理システム。 【請求項6】 前記充電管理端末は、前記利用者端末からサービス内容が予約された場合は、予約されたサービス内容に応じた充電量の目標値を前記予約内容として登録することを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の充電管理システム。 【請求項7】 サービス提供施設に関連して設置され電動車両に搭載された走行用の蓄電池を充電する充電装置と、前記電動車両が前記充電装置を利用する日時が予約内容として登録され、前記予約内容に従って前記電動車両に搭載された前記蓄電池の充電を前記充電装置に行なわせる充電管理端末と、前記充電管理端末と通信し前記予約内容を指定する利用者端末と通信可能であって、前記サービス提供施設で提供されるサービス内容と、前記サービス提供施設の利用に対する特典と、前記充電装置の場所とを対応付けたサービス情報が登録される情報提供端末とを備える充電管理システムに備えられ、 前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有することを特徴とする情報提供端末。 【請求項8】 請求項1?6のいずれか1項に記載の充電管理システムに備えられることを特徴とする充電管理端末。 【請求項9】 請求項1?6のいずれか1項に記載の充電管理システムに備えられることを特徴とする利用者端末。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。) (ア)「本発明は移動体に搭載されたバッテリーへ給電するための技術に関する。」(【0001】) (イ)「本発明に係るサーバ装置は、車両に搭載されたバッテリーからの電力で駆動される車両に搭載されたカーナビゲーション装置等の情報処理装置からの給電予約を受け付ける機能を有するサーバ装置であり、このバッテリーは、駐車場等に設置された給電設備によって給電される。 なお、本発明において、給電プランとは、車両またはユーザに対して推奨される給電の計画であり、例えば、ユーザの希望する充電が完了するまでに必要な時間や、該当給電設備で給電を行った場合に得られる電池残量、給電に必要な料金、給電におけるポイントサービスの利用や給電で付与されるポイント、駐車料金や給電料金の割引、等がユーザに対して提案される。」(【0009】-【0010】) (ウ)「<給電システム全体の構成> 図1は、本実施形態に係るサーバ装置を含む給電システム全体の構成を示す図である。本実施形態において、本発明に係るサーバ装置は、情報センタ2または給電設備管理サーバ3として実施され、本発明に係る情報処理装置は、車載機1として実施される。但し、本実施形態において、本発明に係る情報処理装置は、カーナビゲーション機能を備えた装置として実現されるが、その他の車載装置として実現されてもよい。本実施形態に係る給電システムは、後述する受電ユニット120を有する車両に搭載された車載機1と、情報センタ2と、後述する送電ユニット110を含む給電設備を管理する給電設備管理サーバ3と、VICS(Vehicle Information and Communication System)等のリアルタイム道路情報配信システム4と、が互いにネットワークを介して接続されることで構成される。」(【0024】) (エ)「情報センタ2は、駐車場情報、給電設備による給電の課金情報、道路情報を有するデータセンタであり、ネットワークを介して車載機1からの情報要求を受け付け、車載機1に対して必要な情報を提供する。ここで、駐車場情報には、駐車場の空き情報、予約情報、サービス情報(給電設備情報)が含まれる。また、道路情報には、渋滞情報、工事情報、観光スポット情報が含まれる。なお、道路情報は、VICS等のリアルタイム道路情報配信システム4から配信された情報が蓄積されたものであってもよい。このようにすることで、車載機1は、リアルタイム道路情報配信システム4によって配信される情報を直接得ることが出来ない場合であっても、情報センタ2から同様の道路情報を得ることが出来る。 給電設備管理サーバ3は、目的地候補として索出される各地点に設けられた給電設備を管理するサーバであり、給電設備による給電方式、規格、給電能力(急速充電の可否等)、設備の空き情報、予約情報、等を管理する。また、給電設備管理サーバ3は、ネットワークを介した車載機1の要求に応じて、管理する情報を提供し、また、給電設備の予約処理を行う。但し、給電設備の予約処理は、給電設備情報を情報センタ2と同期することで、情報センタ2によって行われてもよい。」(【0027】-【0028】) (オ)「ステップS201およびS202では、利用スケジュールの問い合わせが行われる。車載機の予約処理部32は、車載機が搭載されている車両を識別可能な情報(以下、「車両の識別情報」とも称する)と、到着予定時刻と、到着後の滞在時間と、ユーザ識別子と、を含み、給電設備の利用スケジュールを取得するための要求メッセージを、ネットワークを介して、サーバ装置へ送信する(ステップS201)。給電設備の利用スケジュールは、各給電設備を集中管理する情報センタ2によって管理されていてもよいし、各給電設備に対して設置された給電設備管理サーバ3によって管理されていてもよい。ここで、到着予定時刻としては、ステップS110において取得された到着予定時刻を用いることが出来る。また、要求メッセージには、上記説明した情報の他、車両が備える受電ユニットの規格/仕様や、処理基準時の電池残量、走行する予定の経路等、その他の情報が含まれてもよい。サーバ装置の車両情報取得部41が要求メッセージを受信すると(ステップS202)、処理はステップS203へ進む。」(【0073】) (カ)「ステップS301からS303では、給電設備への入庫時の認証が行われ、予約の有無が確認される。認証は、通信やセンシング等の方法を用いて、サーバ装置の認証部47が、車両を識別可能な情報を得ることで行われる(ステップS301およびS302)。また、車載機の予約処理部32も、通信やセンシング等の方法を用いて給電設備を識別可能な情報を得て、設定された目的地の給電設備であるか否かを判断してもよい。なお、認証のための具体的な技術としては、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、携帯電話網を介した通信による認証技術の他、入庫用ゲートに設けられたカメラ等によって撮像されたナンバープレートの画像認識によって車両を認証する技術等が用いられてよい。 認証部47は、車両の識別情報を取得すると、利用スケジュールを参照して、ステップS210で保存された車両の識別情報が、利用スケジュールに予約車両を示す識別情報として保存されているか否か、即ち、取得した識別情報に係る車両の給電予約があるか否かを判定する(ステップS303)。取得された識別情報と利用スケジュールに保存されている識別情報との照合の結果、識別情報が合致した場合、車両は給電予約に係る車両として認証される。ここで、該当車両についての予約が存在しない場合、処理はステップS304へ進む。該当車両についての予約の存在が確認された場合、処理はステップS305へ進む。 ステップS304では、予約が存在しない車両に対する対応処理が実行される。サーバ装置は、給電設備または車載機において、車両のユーザに対する警告、警報等を出力させる、または給電設備への入庫用ゲートを閉じさせる、等することで、予約がない車両が給電設備を利用することを防止する。但し、車両が目的地に到着した時点で給電設備に空きがある場合には、該車両に給電を行うこととしてもよい。給電を行う場合、サーバ装置の利用スケジュール更新部46は、認証処理において得られた車両を識別可能な情報を、給電設備および利用時間帯(この場合、現在時刻から滞在時間分の時間帯)に関連付けて保存することで、利用スケジュールを更新する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。 ステップS305およびS306では、予約の存在が確認された車両に対する給電が行われる。車両が認証され、予約の存在が確認されると、給電許可発行部48は、給電設備に対して、認証された車両に対する給電許可を発行する。給電許可の発行を受けて、送電ユニットは送電を開始し(ステップS305)、受電ユニットは受電を開始する(ステップS306)。給電の詳細な内容については図2を用いて説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。利用スケジュールに設定された車両への給電が完了すると、本フローチャートに示された処理は終了する。」(【0079】-【0082】) (キ)「また、本実施形態において、サーバ装置は、ユーザに対して推奨される給電計画を提示するための給電プランを作成し、ユーザに提供してもよい。サーバ装置は、車載機から取得された情報を参照して給電プランを作成し、ユーザに提示する。給電プランによって提示される具体的な内容には、例えば、ユーザの希望する充電量までに必要な時間の提示(「○○分で満充電可能」等)、該当給電設備で給電を行った場合の電池残量の提示、料金の提示、ポイントサービスの利用やポイントの付加、駐車料金や給電料金の割引の提示(「お買い上げ○○円以上で駐車料金無料、給電料金割引」等)、等が含まれてよい。 図10は、本実施形態に係る、サーバ装置から給電プランが提示される予約処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された予約処理は、図8に示された予約処理に代えて実行される。なお、本フローチャートに示された処理の具体的な内容および順序は一例であり、処理内容および順序には、実施の形態に適したものが適宜採用されることが好ましい。 ステップS401およびS402では、給電プランの要求が行われる。車載機の予約処理部32は、車載機が搭載されている車両を識別可能な情報(以下、「車両の識別情報」とも称する)と、到着予定時刻と、到着後の滞在時間と、処理基準時の電池残量と、車両の電費と、ユーザ識別子と、を含み、給電設備から提示される給電プランを取得するための要求メッセージを、ネットワークを介して、サーバ装置へ送信する(ステップS401)。これらの情報を得ることで、サーバ装置は、車両が給電設備に到着した時点の電池残量(上記「到着時電池残量」に相当)を予測し、適切な給電プランを作成することが出来る。なお、到着時電池残量の予測方法は車載機1の到着時電池残量予測部26によって行われる場合と概略同様であるため、説明を省略する。」(【0085】-【0087】) (ク)「ステップS406およびS407では、給電設備の給電プランが確認され、予約可能な状態であれば、ユーザによる予約の指示(選択)が受け付けられる。車載機の予約処理部32は、ステップS405で取得された給電プランに含まれる予約可否情報を参照し、目的地に対して到着予定時刻に到達した場合に給電設備の利用が可能であるか否かの判断を行う(ステップS406)。 判断の結果、到着予定時刻において給電設備が利用不可である場合には、車載機は、出力部31を用いてその旨をユーザに通知し、再度、目的地検索処理を実行する。判断の結果、到着予定時刻において給電設備が利用可能である場合には、車載機は、出力部31を用いて、ユーザに対して給電プランの表示、および給電設備の予約を行ってよいか否かの確認を促す通知を行う(ステップS407)。その後、入力受付部21は、ユーザによる予約指示操作またはキャンセル操作を受け付ける。その後、処理はステップS408へ進む。 ステップS408からS410では、給電設備の利用の予約申込、予約受付および予約内容の保存が行われる。予約受付および予約内容の保存についての詳細は、図8に示したステップS208からS210の処理と概略同様であるため、説明を省略する。その後、処理は図6に示したステップS115へ進み、経路案内が開始される。なお、上記説明された給電設備の予約処理は、車両の走行状態の変化や経路の変更、運行スケジュールの変更に応じて、条件を変更して再実行(リプラン)されてもよい。」(【0093】-【0095】) (ケ)「ステップS208からS210では、給電設備の利用の予約申込、予約受付および予約内容の保存が行われる。車載機の予約処理部32は、到着予定時刻における利用スケジュールに空きがある場合、ユーザによる予約指示操作が受け付けられると、サーバ装置に対して、車両の識別情報と共に、給電設備および利用時間帯を指定する予約申込を送信する(ステップS208)。サーバ装置の予約受付部45は、予約申込を受信(ステップS209)し、利用スケジュール更新部46は、予約申込の送信元の車両の識別情報を、予約対象の給電設備および利用時間帯(到着予定時刻および滞在時間)によって特定される利用枠に関連付けて保存することで、利用スケジュールを更新する(ステップS210)。その後、処理は図6に示したステップS115へ進み、経路案内が開始される。」(【0077】) したがって、上記(ア)ないし(ケ)の記載から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「サーバ装置を含む給電システムであって、 給電システムは、車両に搭載された車載機1と、情報センタ2と、給電設備を管理する給電設備管理サーバ3とが互いにネットワークを介して接続されることで構成され、 車両は、車両に搭載されたバッテリーからの電力で駆動される車両であり、バッテリーは、駐車場等に設置された給電設備によって給電され、 サーバ装置は、情報センタ2または給電設備管理サーバ3として実施され、 情報センタ2は、駐車場の空き情報、予約情報、サービス情報(給電設備情報)が含まれる駐車場情報を有し、 給電設備管理サーバ3は、給電設備を管理するサーバであり、予約情報を管理し、 車載機は、給電設備から提示される給電プランを取得するための要求メッセージをサーバ装置へ送信し、 サーバ装置は、車載機から取得された情報を参照して給電プランを作成し、ユーザに提示し、 給電プランによって提示される具体的な内容には、該当給電設備で給電を行った場合の電池残量の提示、料金の提示、ポイントサービスの利用やポイントの付加、駐車料金や給電料金の割引の提示(「お買い上げ○○円以上で駐車料金無料、給電料金割引」等)、等が含まれ、 給電設備の給電プランが確認され、予約可能な状態であれば、ユーザによる予約の指示(選択)が受け付けられ、 車載機は、ユーザによる予約指示操作が受け付けられると、サーバ装置に対して、給電設備および利用時間帯を指定する予約申込を送信することで、給電設備の利用の予約申込が行われ、 サーバ装置は、予約申込の送信元の車両の識別情報を、予約対象の給電設備および利用時間帯(到着予定時刻および滞在時間)によって特定される利用枠に関連付けて保存し、利用スケジュールを更新することで、給電設備の利用の予約内容の保存が行われ、 給電設備への入庫時に認証が行われ、 認証は、サーバ装置が、車両を識別可能な情報を得ることで行い、取得された識別情報と利用スケジュールに保存されている識別情報との照合の結果、識別情報が合致した場合、車両は給電予約に係る車両として認証され、 予約の存在が確認された車両に対して給電が行われる 給電システム。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 (コ)「【発明の属する技術分野】本発明はナビゲーション装置、施設データ記憶媒体、及び施設データ提供装置に関し、より詳細には、電気自動車に装備するのに適したナビゲーション装置、該ナビゲーション装置に使用する施設データ記憶媒体、及び施設データ提供装置に関する。」(【0001】) (サ)「なお、施設データ(特にバッテリ充電設備の有無に関する情報)については、短い時間サイクルで新しいデータに更新していく必要があるため、将来的には、施設データが記憶されたデータベースを有し、各ユーザーからの要求により、この施設データを無線回線を通じて提供することのできる施設データ提供装置が装備されたサービス機関が必要と思われる。」(【0064】) (シ)「前記エネルギー供給施設についてのグループ指定がないと判断すれば、自車位置を中心とした所定のエリア内に存在する前記エネルギー供給施設を検索し(S5)、該当する前記エネルギー供給施設を地図上に重畳表示する(S10)。 図7に、自車位置周辺に存在する前記エネルギー供給施設を地図上に重畳表示した表示例を示す。なお、電気自動車用のエネルギー供給を主たる目的としない施設(例えば、コンビニ、ガソリンスタンド)については、バッテリ充電設備の有無を識別することができるように、所定のマーク(ここでは、○の中にBを入れたマーク)が付加されている。 また、ガソリンスタンドやコンビニは目印となるため、バッテリ充電設備を有していなくても、地図上に重畳表示しておいた方が良い場合もあるので、図8にこれら施設をあわせた場合の表示例を示す。また、図9に前記所定のマークを付加しない場合の表示例を示す。 次に、ユーザーから前記エネルギー供給施設についての詳細情報を要求する指示があったか否かを判断し(S11)、詳細情報を要求する指示があったと判断すれば、要求された施設の詳細情報を表示する(S12)。図10に要求された施設の詳細情報の表示例を示す 一方、S4における判断で、前記エネルギー供給施設についてのグループ指定があると判断すれば、自車位置を中心とした所定のエリア内に存在し、なおかつユーザーの希望するグループ、すなわち『表示するグループの選択』画面(図5参照)を通じて選択されたグループに所属するものを検索し(S6)、該当する前記エネルギー供給施設を地図上に重畳表示する(S10)。図11に前記エネルギー供給施設を地図上に重畳表示した例を示す。 また、ユーザーが常用する店等を記憶させておき、その店については、点滅表示にしたり、他の店よりも表示を大きくしたり、色を変えたりしても良い。図12に、ユーザーが常用する店を他の店よりも大きく表示した例を示す。 また、S2における判断で、バッテリ残存容量が、警告レベル以下であると判断すれば、図13に示したように、ユーザーに対して警告表示を行い(S7)、バッテリ残存容量と走行電力消費率とに基づいて、走行可能距離を算出し(S8)、自車位置を中心とした所定のエリア内に存在し、なおかつ到達可能性のある前記エネルギー供給施設を検索し(S9)、該当する前記エネルギー供給施設を地図上に重畳表示する(S10)。 一方、S1における判断で、車両がガソリン車であると判断すれば、ガソリン車に対応する処理動作を行う(S13)。例えば、図14に示したように、ガソリンスタンドを地図上に重畳表示する。 上記実施の形態(1)に係るナビゲーション装置によれば、バッテリ充電設備を有する施設(すなわち、エネルギー供給施設)の位置情報がユーザーに提供されるので、ユーザーはエネルギー供給施設を簡単に見つけることができる。 また、コンビニやガソリンスタンド等、電気自動車用のエネルギー供給を主たる目的としない施設については、図7、図8に示したように、バッテリ充電設備を有している施設のランドマークに前記所定のマークを付加しているので、バッテリ充電設備を有しているか否かをユーザーが識別することができる。」(【0078】-【0087】) 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ス)「本発明は、電気自動車のナビゲーションシステムに係り、特に、充電設備における充電時間を加味した目的地への到達時間を表示可能な電気自動車のナビゲーションシステムに関する。」(【0001】) (セ)「本実施形態では、データベース部46には、さらに飲食可能な店舗や観光地、レジャー施設等の観光施設の位置情報等の情報も保存されている。また、観光施設には、充電設備を備えていて充電可能な観光施設もあり、データベース部46には、そのような充電可能な観光施設の情報も記憶されている。データベースサーバ42は、他のサーバからの読み出しの指示内容に応じて、すなわち、充電施設の選定のための読み出しであれば充電施設の情報として、また、観光施設についての情報提供の指示であれば観光施設について情報として、その充電可能な観光施設の位置情報等の情報を読み出すようになっている。」(【0037】) 第6 対比・判断 1.本願発明1について 1-1.対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 (1) 引用発明の「車両」は、「車両に搭載されたバッテリーからの電力で駆動される車両」であるから、本願発明1でいうところの『電動車両』に対応するものであることは明らかである。 また、引用発明の「バッテリー」は、本願発明1でいうところの『電動車両に搭載された走行用の蓄電池』に対応するものであることも明らかである。 そして、引用発明では、「バッテリーは、駐車場等に設置された給電設備によって給電され」るのであるから、引用発明に係る「給電設備」は、本願発明1でいうところの『電動車両に搭載された走行用の蓄電池を充電する充電装置』に対応するものといえる。 (2) 引用発明の「サーバ装置」では、「予約申込の送信元の車両の識別情報を、予約対象の給電設備および利用時間帯(到着予定時刻および滞在時間)によって特定される利用枠に関連付けて保存し、利用スケジュールを更新することで、給電設備の利用の予約内容の保存が行われ」るところ、ここでいう「利用時間帯」は、「車両」が「給電設備」を利用する日時であることは明らかであり、「利用時間帯」によって特定される利用枠に関連付けて保存することで、「予約内容の保存が行われ」るのであるから、引用発明において「予約内容の保存が行われ」ることは、本願発明1でいうところの『電動車両が充電装置を利用する日時が予約内容として登録される』に対応するものといえる。 また、引用発明の「サーバ装置」は、「情報センタ2または給電設備管理サーバ3として実施され」るのであり、「サーバ装置」が「給電設備管理サーバ」として実施される場合には、「サーバ装置」が前記「予約内容の保存」と給電設備の管理を行うのであるから、引用発明に係る「サーバ装置」は、本願発明1でいうところの『充電管理端末』に対応するものといえる。 (3) 引用発明の「車載機」は、「ユーザによる予約指示操作が受け付けられる」のであるから、本願発明1でいうところの『予約内容を指定する利用者端末』に対応するものといえる。 (4) 引用発明の「情報センタ」は、「サービス情報(給電設備情報)が含まれる駐車場情報を有し」ており、本願発明1でいうところの『サービス情報が登録される情報提供端末』に対応するものといえる。 また、引用発明では、「給電システムは、車両に搭載された車載機1と、情報センタ2と、給電設備を管理する給電設備管理サーバ3とが互いにネットワークを介して接続されることで構成され」ているので、引用発明の「情報センタ」は、「給電設備管理サーバ」と「車載機」と通信可能であることは明らかである。 (5) 引用発明の「サーバ装置」は、「給電設備への入庫時」に「認証」を行い、「車両」が「給電予約に係る車両として認証され」たときに、「車両に対して給電が行われる」ものであり、「給電」を行うことは、前記「(1)」で前述したように、「車両に搭載されたバッテリー」に対して「給電設備によって給電」を行うのであるから、引用発明に係る「サーバ装置」は、本願発明1でいうところの『予約内容に従って電動車両に搭載された蓄電池の充電を充電装置に行わせる機能を有し』ているものといえる。 (6) 前記「「第5」の「1.」の(オ)」において摘記した記載に「給電設備の利用スケジュールは、各給電設備を集中管理する情報センタ2によって管理されていてもよいし、各給電設備に対して設置された給電設備管理サーバ3によって管理されていてもよい。」とあるように、引用発明は、給電設備の利用スケジュールを管理するものなので、引用発明に係る「給電システム」は、本願発明1でいうところの『充電管理システム』に対応するものといえる。 したがって、上記(1)から(6)で対比した様に、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「電動車両に搭載された走行用の蓄電池を充電する充電装置と、 前記電動車両が前記充電装置を利用する日時が予約内容として登録される充電管理端末と、 前記充電管理端末と通信し前記予約内容を指定する利用者端末と通信可能であって、サービス情報が登録される情報提供端末とを備え、 前記充電管理端末は、前記予約内容に従って前記電動車両に搭載された前記蓄電池の充電を前記充電装置に行わせる機能を有することを特徴とする充電管理システム。」 (相違点) (相違点1)本願発明1の『充電装置』は『サービス提供施設に関連して設置され』ているのに対し、引用発明の「給電設備」は、その旨明示されていない点。 (相違点2)本願発明1の『情報提供端末』は、『サービス提供施設で提供されるサービス内容と、前記サービス提供施設の利用に対する特典と、充電装置の場所とを対応付けたサービス情報が登録され』ているのに対し、引用発明の「情報センタ」は、「サービス情報(給電設備情報)が含まれる駐車場情報を有し」ているものの、「サービス情報(給電設備情報)」が『サービス提供施設で提供されるサービス内容と、前記サービス提供施設の利用に対する特典と、充電装置の場所とを対応付けたサービス情報』であるかは特定されていない点。 (相違点3)本願発明1の『前記情報提供端末は、前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』のに対し、引用発明の「情報センタ」は、そのようになっていない点。 1-2.相違点についての判断 上記相違点3について判断する。 上記相違点3に係る本願発明1の『前記情報提供端末は、前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』という構成は、上記引用文献1-3には記載されておらず、上記構成に係る事項を示唆する記載もない。 そして、上記構成に係る事項が、本願出願日前において周知技術であるともいえない。 また、引用発明の「情報センタ」において、『前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能』とを有するようにする動機付けもない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-6について 本願発明2-6はいずれも請求項1を引用するものであり、本願発明1の『前記情報提供端末は、前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明7について 本願発明7は、本願発明1に対応するシステムに備えられる『情報提供端末』の発明であり、本願発明1の『前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4.本願発明8、9について 本願発明8、9は、それぞれ、本願発明1に対応するシステムに備えられる『充電管理端末』、『利用者端末』の発明であり、本願発明1の『前記情報提供端末は、前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成29年7月18日付け手続補正により補正された請求項1-9は、それぞれ『情報提供端末』が『前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』という構成を有するものとなっており、上記「第5 引用文献、引用発明等」から「第6 対比・判断」で言及したとおり、本願発明1-9は、原査定における引用文献1-3には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-9は、当業者であっても、原査定における引用文献1-5に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由について 1.当審では、請求項10-12に係るものは、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由を通知したが、平成29年7月18日付け手続補正において、請求項10-12に対応する請求項は削除された結果、この拒絶の理由は解消した。 2.当審では、請求項1-12に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、また、明確でもないとの拒絶理由を通知したが、平成29年7月18日付け手続補正において、請求項10-12に対応する請求項は削除され、請求項1及び請求項7において、「前記利用者端末に前記サービス情報を提示する機能と、前記利用者端末が指定した前記サービス情報から抽出される前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する」を『前記利用者端末により指定された条件に基づいて前記サービス情報を前記利用者端末に提示する機能と、前記利用者端末により選択された前記サービス情報に含まれる前記充電装置について前記予約内容を前記利用者端末から前記充電管理端末に登録させる機能とを有する』と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-08-29 |
出願番号 | 特願2011-211597(P2011-211597) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 青柳 光代 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
宇多川 勉 石川 正二 |
発明の名称 | 充電管理システム、情報提供端末、充電管理端末、利用者端末 |
代理人 | 北出 英敏 |
代理人 | 特許業務法人北斗特許事務所 |
代理人 | 坂口 武 |
代理人 | 西川 惠清 |
代理人 | 仲石 晴樹 |