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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1331970
審判番号 不服2016-14964  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-05 
確定日 2017-08-28 
事件の表示 特願2012-161422「テープフィーダ及び電子部品装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 3日出願公開、特開2014- 22635〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年7月20日の出願であって、平成28年6月30日付け(発送日:同年7月5日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その請求と同時に手続補正がなされたものである。その後、平成29年3月28日付けで当審により拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月29日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成29年5月29日の手続補正により補正された特許請求の範囲並びに願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
供給テープを部品供給リールから挿入口に挿入するための支持台を少なくとも備えたテープフィーダにおいて、
前記支持台の2平面が交わるコーナ部に前記供給テープの摩擦抵抗を低減するためのローラを設け、前記ローラの回転軸が前記支持台の内側に存在し、前記ローラの外周の一部が前記2平面のいずれからも外側に出ていることにより前記コーナ部から外側に出ており、前記供給テープが前記2平面に沿って走行することを特徴とするテープフィーダ。」

第3.刊行物の記載事項
(1)当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2010-93297号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「電子部品供給装置および電子部品供給方法」に関して、図面(特に【図1】、【図2】及び【図16】ないし【図18】参照。)と共に次の事項が記載されている。下線は当審で付した。以下、同じ。
ア.「【0010】
以下、本発明の一実施形態である電気部品供給装置を備えたプリント回路板組立システムを図面に基づいて説明する。
本実施形態のプリント回路板組立システム10は、図1に概略的に示すように、基台12,基台12に設けられたプリント配線板搬送装置14および部品搭載システム16と、部品搭載システム16に合体させられた電気部品供給システム18とを含む。部品搭載システム16は、電気部品供給システム18から電気部品を取り出し、プリント配線板搬送装置14により搬送され、予め定められた位置に位置決め保持されたプリント配線板20に取り付けてプリント回路板を組み立てる。部品搭載システム16は、電気部品を負の空気圧によって吸着する部品保持具たる部品吸着具22と、部品吸着具22を垂直方向(Z方向とする)に保持し、Z方向に移動させるとともに、自身の軸線まわりに回転させるZ方向移動・回転装置24と、Z方向移動・回転装置24を保持し、水平面内において互いに直交する2方向(X方向およびY方向とする)に移動させるXY方向移動装置26とを含む。プリント配線板20の搬送方向と平行な方向をX方向とする。なお、プリント配線板20は、部品搭載システム16によって電気部品が取付けられれば、厳密にはプリント回路板となるが、本実施形態では、部品搭載システム16によって電気部品が取り付けられても、プリント配線板と称することとする。また、プリント配線板搬送装置14も、プリント配線板20への電気部品の取付け後は、プリント回路板搬送装置であることとなるが、プリント配線板搬送装置と称することとする。
【0011】
電気部品供給システム18は、2台のテーブル30(図1には一方のテーブル30のみが図示されている)と、各テーブル30上にそれぞれ着脱可能に搭載された複数個の電気部品供給ユニット32(以下、供給ユニット32と略称する)とを含む。電気部品供給装置がテーブル30上に電気部品供給ユニットとして搭載されているのである。2台のテーブル30はそれぞれ台車34に設けられており、部品搭載システム16に対して移動させることができるが、電気部品の供給時には、台車34が係合装置36によって基台12に合体させられ、電気部品供給システム18と部品搭載システム16とが合体させられる。基台12は前記部品搭載システム16の本体を構成しており、部品搭載システム16の本体にテーブル30が台車34を介して合体させられ、位置を固定された状態で電気部品を供給する。なお、プリント配線板搬送装置14と電気部品供給システム18との間には、部品吸着具22による電気部品の保持姿勢を撮像する撮像装置38が設けられている。
【0012】
供給ユニット32のユニット本体40は、図2に示すように、第1部材42,第2部材44,第3部材46,第4部材48(図17参照)および第5部材50,第6部材52等、複数の部材が一体的に固定されて成る。第1部材42は幅が広く長い板状を成し、第1部材42の長手方向に平行に固定された細長いブロック状の第2部材44には、一対の位置決め突部54および1個の位置決め突部55が設けられている。テーブル30には、図3に示すように、複数の位置決め溝56が等間隔に設けられており、この位置決め溝56に位置決め突部54が嵌合され、また、テーブル30に等間隔に設けられた別の図示しない位置決め溝に位置決め突部55が嵌合されることにより、供給ユニット32が幅方向において位置決めされている。供給ユニット32はまた、位置決め突部54に設けられた傾斜面58(図2参照)がテーブル30に設けられた図示しない傾斜面に係合することにより、長手方向において位置決めされるとともに、浮上がりを防止され、テーブル30の位置決め溝56が設けられた部分の各々に対応して設けられたユニット固定装置により、複数の供給ユニット32の各部品供給部がX方向に平行な一直線に沿って並び、幅方向がX方向と平行となり、長手方向がY方向と平行となる姿勢でテーブル30に固定されている。なお、台車34は部品搭載システム16から電力の供給を受け、供給ユニット32は台車34から電力の供給を受ける。
【0013】
供給ユニット32により供給される電気部品60は、図5ないし図7に示すように、テーピング電気部品62とされている。このテーピング電気部品62は、エンボスキャリヤ型テーピング電気部品であり、キャリヤテープ64とトップカバーテープ66とによって電気部品60がテーピングされている。キャリヤテープ64は、幅方向の両側において長手方向に延びる一対の被支持部68と、それら両被支持部68間から両被支持部68より下方へ突出した複数のエンボス70とを含む。これら複数のエンボス70は等ピッチで設けられるとともに、それらエンボス70の各々に電気部品60が収容され、エンボス70の開口がキャリヤテープ64に貼り付けられたトップカバーテープ66によって覆われている。エンボス70が電気部品収容凹部を構成し、電気部品60はキャリヤテープ64により等ピッチで保持されているのである。トップカバーテープ66の幅はキャリヤテープ64の幅より短く、キャリヤテープ64のトップカバーテープ66が貼り付けられておらず、長手方向に平行な一方の被支持部68に沿って、キャリヤテープ64の表面72から裏面73まで貫通する送り穴74が一列に等ピッチで形成されている。
【0014】
テーピング電気部品には、幅や電気部品60の保持ピッチ等が異なる複数種類のテーピング電気部品がある。例えば、図8に示すテーピング電気部品75は、テーピング電気部品62と幅は同じであるが、電気部品60の保持ピッチが異なる。本実施形態においては、テーピング電気部品62による電気部品60の保持ピッチが最小であるとする。テーピング電気部品75による電気部品60の保持ピッチは、最小ピッチの2倍である。テーピング電気部品の保持ピッチを異ならせる場合、最小ピッチのM倍(Mは2以上の整数)とされる。なお、テーピング電気部品75は、寸法は異なるが、構成はテーピング電気部品62と同じであり、各構成要素にはテーピング電気部品62について用いた符号と同じ符号を付す。
【0015】
供給ユニット32の幅は、テーピング電気部品62の幅によって異なる。テーピング電気部品62の幅は、電気部品60の幅が大きいほど大きく、それによって供給ユニット32の幅が大きくなるのであり、テーブル30に設けられた位置決め溝56の形成ピッチは、幅が最も狭い供給ユニット32よりやや大きいピッチとされている。したがって、供給ユニット32の幅が大きい場合には、例えば、1つおきの位置決め溝56により供給ユニット32が位置決めされる。テーブル30には、幅が異なるテーピング電気部品62を保持する複数種類の供給ユニット32を同時に搭載することが可能なのである。なお、本実施形態においては、テーピング電気部品62の幅が最小であるとする。テーピング電気部品62から電気部品60を供給する供給ユニット32は、テーブル30に最小ピッチで取り付けられる。
【0016】
テーピング電気部品62は、供給リール76(図1参照)に巻き付けられている。台車34には、リール保持部材たる容器状のバケット78が一体的に設けられて電気部品収容部を構成している。バケット78内には、図1および図4に示すように、前後方向(Y方向に平行な方向)に距離を隔てた2箇所にそれぞれ、複数ずつの回転支持部材たるローラ79が供給ユニット32の幅方向(X方向。図4においては上下方向。)に平行な軸線まわりに回転可能に、かつ回転軸線に平行な方向において隙間なく並んで設けられている。」

イ.「【0020】
供給リール76から引き出されたテーピング電気部品62は、図2に示すように、供給ユニット32に設けられたテーピング電気部品送り装置90により、供給ユニット32の長手方向と平行な方向において、テーピング電気部品62の長手方向に一定ピッチずつ送られ、電気部品60が1個ずつ部品供給位置へ送られるとともに、トップカバーテープ処理装置92によりトップカバーテープ66が処理される。部品供給位置は、部品吸着具22によって電気部品60がエンボス70から取り出される位置であって、供給ユニット32の前部(供給ユニット32の長手方向と平行な方向である前後方向において、プリント配線板搬送装置14側の部分)に設定された決まった位置であり、部品供給位置の近傍部(部品供給位置を含む)が部品供給部である。また、テーピング電気部品62の幅方向は供給ユニット32の幅方向と平行である。」

ウ.「【0029】
ユニット本体40を構成する前記第3部材46および第4部材48はそれぞれ、図17に示すように、薄い板状を成し、第1部材42を幅方向の両側から挟んで第1部材42に固定されている。第3部材46の後端部(第1部材42から遠い側の端部であって、供給リール76に近い側の端部)には、回転案内部材たるガイドローラ140がレバー142により、テーピング電気部品62の幅方向と平行な軸線まわりに回転可能に取り付けられている。供給リール76から引き出されたテーピング電気部品62は、ガイドローラ140に掛けられ、ガイドローラ140に設けられた一対のフランジ部146(図16には一方のフランジ部146のみが図示されている)により幅方向の位置ずれを防止されつつ送られる。
【0030】
第3部材46および第4部材48のガイドローラ140に対して、テーピング電気部品62の送り方向(以下、電気部品送り方向と略称する)において下流側に隣接して、図16に示すように、接続検出装置たる金属検出器150の検出ヘッド152が設けられている。検出ヘッド152のヘッド本体156はブロック状を成し、第3部材46と第4部材48との間に嵌合されるとともに、第3,第4部材46,48に着脱可能に固定されており、第3,第4部材46,48から上方へ突出した上端部には、電気部品送り方向と平行に延び、キャリヤテープ64の幅より僅かに大きい幅の溝158と、溝158に開口し、幅が溝158より狭く、テーピング電気部品62のエンボス70の通過を許容する溝160とが形成されている。溝160は、溝158に対して、第4部材48側へ寄った位置に設けられている。それにより、溝158内には、テーピング電気部品62の一対の被支持部68を下方から支持して案内する一対の支持面162,163が形成されているが、第3部材46側の支持面162は幅が広く、キャリヤテープ64の送り穴74が形成された被支持部68を下方から支持して案内し、第4部材48側の支持面163は幅が狭く、キャリヤテープ64の送り穴74が形成されていない被支持部68を下方から支持して案内する。支持面162,163の電気部品送り方向の両端部はそれぞれ、端側ほど下方へ傾斜する傾斜面164とされ、被支持部68の支持面162,163への係合,抜出しを案内する。」

エ.「【0033】
前記ガイドローラ140を通ったテーピング電気部品62は、一対の被支持部68が支持面162(電極166),163により支持されるとともに案内され、エンボス70は溝160内へ進入し、移動するが、キャリヤテープ64の送り穴74が設けられた被支持部68は、押付け部材たる押付けローラ170によって一対の電極166に押し付けられる。押付けローラ170は、第3部材46に固定された前記第5部材50に取り付けられている。」

オ.【0035】
レバー172には離間用操作部176が設けられており、作業者が離間用操作部176を持ってレバー172をばね部材174の付勢力に抗して回動させることにより、押付けローラ170と一対の電極166との間に隙間を設け、テーピング電気部品62を配設する。押付けローラ170とヘッド本体156との間にテーピング電気部品62を挟んだ後、離間用操作部176に加えていた力を解除すれば、キャリヤテープ64の被支持部68は押付けローラ170により一対の電極166に押し付けられる。
【0036】
前記第4部材48の上部は、図16および図18に示すように、第3部材46側へ直角に曲げられ、その上面が、供給ユニット32の長手方向に延び、テーピング電気部品62のエンボス70を下方から支持して案内する水平な支持面180を構成している。支持面180の検出ヘッド152側(電気部品送り方向において上流側)の端部には、検出ヘッド152側ほど下方へ傾斜させられた案内部182が設けられている。検出ヘッド152を通過したテーピング電気部品62は、支持面180上に載せられる。なお、支持面180上に載置されたテーピング電気部品62の幅方向の位置ずれは、隣接する供給ユニット32の構成部材により防止される。 」

カ.上記ア.の段落【0012】の「供給ユニット32のユニット本体40は、図2に示すように、第1部材42,第2部材44,第3部材46,第4部材48(図17参照)および第5部材50,第6部材52等、複数の部材が一体的に固定されて成る。」との記載、上記イ.の「供給リール76から引き出されたテーピング電気部品62は、図2に示すように、供給ユニット32に設けられたテーピング電気部品送り装置90により、供給ユニット32の長手方向と平行な方向において、テーピング電気部品62の長手方向に一定ピッチずつ送られ、」との記載、上記エ.の段落【0033】の「前記ガイドローラ140を通ったテーピング電気部品62は、一対の被支持部68が支持面162(電極166),163により支持されるとともに案内され、エンボス70は溝160内へ進入し、移動するが、キャリヤテープ64の送り穴74が設けられた被支持部68は、押付け部材たる押付けローラ170によって一対の電極166に押し付けられる。押付けローラ170は、第3部材46に固定された前記第5部材50に取り付けられている。」との記載、及び上記オ.の段落【0035】の「レバー172には離間用操作部176が設けられており、作業者が離間用操作部176を持ってレバー172をばね部材174の付勢力に抗して回動させることにより、押付けローラ170と一対の電極166との間に隙間を設け、テーピング電気部品62を配設する。」との記載を踏まえると、【図1】、【図2】及び【図16】から、テーピング電気部品62を供給リール76から押しつけローラ170と一対の電極166との間の隙間に挿入するための第3部材46、第4部材48及び第5部材50を備えていることが分かる。

キ.上記ウ.の段落【0029】の「ユニット本体40を構成する前記第3部材46および第4部材48はそれぞれ、図17に示すように、薄い板状を成し、第1部材42を幅方向の両側から挟んで第1部材42に固定されている。第3部材46の後端部(第1部材42から遠い側の端部であって、供給リール76に近い側の端部)には、回転案内部材たるガイドローラ140がレバー142により、テーピング電気部品62の幅方向と平行な軸線まわりに回転可能に取り付けられている。」との記載、同段落【0030】の「第3部材46および第4部材48のガイドローラ140」との記載、及び上記オ.の段落【0036】の「前記第4部材48の上部は、図16および図18に示すように、第3部材46側へ直角に曲げられ」との記載を踏まえると【図1】、【図2】及び【図16】には、第3部材46及び第4部材48の後端部において、第3部材46と第4部材48の上辺により形成される面(【図16】において、ガイドローラ140の左方でレバー142を支持する部分の上端面)と第3部材46と第4部材48の後辺により形成される面(前記レバー142を支持する部分の右端面)において、ガイドローラ140の左方でレバー142を支持する部分の上端面)とが交わるコーナ部にレバー142を介してガイドローラ140が設けられ、ガイドローラ140の回転軸が第3部材46と第4部材48の外側に存在すること、前記ガイドローラ140の外周が第3部材46と第4部材48の上辺により形成される面及び第3部材46と第4部材48の後辺により形成される面のいずれからも外側に出ていることによりガイドローラ140が前記コーナ部から外側に出ていること、テーピング電気部品62が第3部材46と第4部材48の上辺により形成される面に沿って走行すること、及び第3部材46と第4部材48の後辺により形成される面に沿って走行することがそれぞれ示されている。

上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「テーピング電気部品62を供給リール76から押しつけローラ170と一対の電極166との間の隙間に挿入するための第3部材46、第4部材48及び第5部材50を備えた供給ユニット32において、
前記第3部材46及び前記第4部材48の後端部の、前記第3部材46と前記第4部材48の上辺により形成される面と前記第3部材46と前記第4部材48の後辺により形成される面とが交わるコーナ部にレバー142を介してガイドローラ140を設け、ガイドローラ140の回転軸が前記第3部材46と前記第4部材48の外側に存在し、前記ガイドローラ140の外周が、前記第3部材46と前記第4部材48の上辺により形成される面と前記第3部材46と前記第4部材48の後辺により形成される面とのいずれからも外側に出ていることにより前記コーナ部から外側に出ており、前記テーピング電気部品62が前記第3部材46と前記第4部材48の上辺により形成される面と前記第3部材46と前記第4部材48の後辺により形成される面に沿って走行する供給ユニット32。」

(2)当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開平8-58713号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「デーピング方法及びテーピング装置」に関して、図面(特に【図2】参照。)と共に次の事項が記載されている。
ク.「【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2の図面に基づいて説明する。本発明の電子部品のテーピング装置は、図2に示すように、粘着性のキャリアテープ21を巻いた繰り出しリール30と、前記キャリアテープ21をテーブル23上方に略水平の姿勢で長手方向に一定の繰り出し長さずつ間欠的に繰り出すよう前記繰り出しリール30を回転するためのステップモータ31と、キャリアテープ21を巻き取るための巻取りリール32と、該巻取りリール32をキャリアテープ巻取り方向に適宜速度で間欠的に回転するためのトルクモータ33とから成るキャリアテープ搬送装置を備え、テーブル23の上面両側に配設された補助ローラ28,29の間におけるキャリアテープ21の上方に回転式のワーク装着ホイール25等のワーク装着手段を配設する一方、ワーク供給手段24により前記ワーク装着ホイール25に電子部品22が一個ずつ供給され、前記キャリアテープ搬送装置によるキャリアテープ21の間欠的な搬送に連動して、前記ワーク装着ホイール5の回転によって、キャリアテープ21の上面にその長手方向に沿って一定の間隔ずつ電子部品22を順次一個ずつ装着したのち、前記ワーク装着ホイール25と補助ローラ29との間におけるキャリアテープ21の上面に配設されたカバーテープ貼付ローラ26によってカバーテープ27をキャリアテープ21の上面に貼付するように構成している。」

ケ.上記ク.の「テーブル23の上面両側に配設された補助ローラ28,29」との記載を踏まえると、【図2】には、テーブル23のコーナ部に補助ローラ28,29を設けること、前記補助ローラ28,29の回転軸が前記テーブル23の内側に存在することが示されている。

上記記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物2には、次の技術事項(以下、「刊行物2に記載された技術事項」という。)が記載されている。

「テーブル23のコーナ部に補助ローラ28,29を設け、前記補助ローラ28,29の回転軸が前記テーブル23の内側に存在すること。」

第4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、引用発明における「テーピング電気部品62」は本願発明における「供給テープ」に相当し、以下同様に、「供給リール76」は「部品供給リール」に、「供給ユニット32」は「テープフィーダ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「第3部材46、第4部材48及び第5部材50」は、テーピング電気部品62を支持して案内する支持面180を有するものであるから、本願発明における「支持台」に相当する。
さらに、引用発明における「押しつけローラ170と一対の電極166との間の隙間」は、テーピング電気部品62が配設されるものであるから、本願発明における「挿入口」に相当する。
また、引用発明における「ガイドローラ140」は、テーピング電気部品62の摩擦抵抗を低減することは明らかであるから、本願発明における「供給テープの摩擦抵抗を低減するためのローラ」に相当する。
さらに、引用発明における「前記第3部材46及び前記第4部材48の後端部の、前記第3部材46と前記第4部材48の上辺により形成される面と前記第3部材46と前記第4部材48の後辺により形成される面」は、本願発明における「支持台の2平面」に相当する。

そこで、両者は、次の点で一致する。
[一致点]
「供給テープを部品供給リールから挿入口に挿入するための支持台を少なくとも備えたテープフィーダにおいて、
前記支持台の2平面が交わるコーナ部に前記供給テープの摩擦抵抗を低減するためのローラを設け、前記ローラの外周が前記2平面のいずれからも外側に出ていることにより前記コーナ部から外側に出ており、前記供給テープが前記2平面に沿って走行するテープフィーダ。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明は、「前記ローラの回転軸が前記支持台の内側に存在し」、前記ローラの外周の「一部」が前記2平面のいずれからも外側に出ているのに対し、引用発明は、レバー142を介してガイドローラ140を設け、ガイドローラ140の回転軸が前記第3部材46と前記第4部材48の外側に存在し、前記ガイドローラ140の外周が前記第3部材46と前記第4部材48の上辺により形成される面と前記第3部材46と前記第4部材48の後辺により形成される面とのいずれからも外側に出ている点。

第5.当審の判断
上記相違点について検討する。
本願発明と刊行物2に記載された技術事項とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、刊行物2に記載された技術事項における「テーブル23」は本願発明における「支持台」に相当し、また、刊行物2に記載された技術事項における「補助ローラ28,29」は、キャリアテープ21の摩擦抵抗を低減することは明らかであり、本願発明における「供給テープの摩擦抵抗を低減するためのローラ」に相当するから、刊行物2に記載された技術事項は、本願発明の用語を用いて表現すると、「支持台のコーナ部にローラを設け、前記ローラの回転軸が前記支持台の内側に存在すること。」ということができる。
そして、引用発明と刊行物2に記載された技術事項とは、電気部品を供給するための供給テープを支持台上に搬送するという共通の技術分野に属するものであるから、引用発明に刊行物2に記載された技術事項を適用する動機付けはある。
してみれば、引用発明において、刊行物2に記載された技術事項を適用して「第3部材46と第4部材48」に「レバー142を介してガイドローラ140を設け」ることに代えて、ガイドローラ140の回転軸を「第3部材46と第4部材48」の内側に存在させることは、当業者であれば容易に想到できたことである。
その場合、ガードローラ140の外周の「一部」が前記2平面のいずれからも外側に出ているようにすることに格別の困難性はない。
そうしてみると、引用発明において、刊行物2に記載された技術事項を適用して、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到できたことである。

また、本願発明の効果は、全体としてみても、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-23 
結審通知日 2017-06-27 
審決日 2017-07-14 
出願番号 特願2012-161422(P2012-161422)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中田 誠二郎  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 小関 峰夫
中川 隆司
発明の名称 テープフィーダ及び電子部品装着装置  
代理人 特許業務法人暁合同特許事務所  

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