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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08J
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  C08J
管理番号 1332249
異議申立番号 異議2017-700199  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-28 
確定日 2017-08-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5980547号発明「成形体、成形体形成用組成物、及び成形体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5980547号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕及び5について訂正を認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨

1.本件特許の設定登録までの経緯
本件特許第5980547号(以下、単に「本件特許」という。)に係る出願(特願2012-88684号、以下「本願」という。)は、平成18年2月16日(優先権主張:平成17年2月18日、同年8月29日及び平成18年1月23日(特願2005-43199号、特願2005-248170号及び特願2006-13933号))の国際出願日にされたものとみなされる特許出願(特願2007-503692号)の一部を出願人日本曹達株式会社(以下「特許権者」ということがある。)により平成24年4月9日に新たな特許出願とされたものであり、平成28年8月5日に特許権の設定登録(請求項の数5)がされたものである。

2.本件異議申立の趣旨
本件特許につき平成29年2月28日付けで特許異議申立人田中淳二(以下「申立人」という。)により「特許第5980547号の特許請求の範囲の請求項1、2、3及び5に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立がされた。(すなわち、請求項4に係る特許については、本件の異議申立の対象となっていない。)

3.以降の経緯
以降の手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 5月22日付け 取消理由通知
平成29年 7月19日 意見書(特許権者)・訂正請求書

第2 申立人が主張する取消理由
申立人は、本件特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、下記甲第1号証ないし甲第4号証を提示し、取消理由として、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。

取消理由1:本件発明1、2及び5は、いずれも、甲第1号証又は甲第2号証のいずれかに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
取消理由2:本件発明1、2、3及び5は、いずれも、甲第1号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

・申立人提示の甲号証
甲第1号証:特開昭60-233164号公報
甲第2号証:特開平5-345877号公報
甲第3号証:特開2001-348528号公報
甲第4号証:「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)-MS,IR,NMR,UVの併用-」、1995年10月2日(第4刷)、株式会社東京化学同人発行、第273頁
(以下、それぞれ「甲1」ないし「甲4」と略していう。)

第3 当審が通知した取消理由の概要
当審が平成29年5月22日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
「当審は、
申立人が主張する取消理由1及び2により、本件発明1、2、3及び5についての特許はいずれも取り消すべきもの、
と判断する。」

第4 平成29年7月19日付け訂正請求の適否
以下、特許権者がした平成29年7月19日付け訂正請求に係る訂正の適否につき検討する。

1.訂正の内容
上記訂正請求は、以下の(1)ないし(3)の各訂正事項を含むものである。

(1)訂正事項1
請求項1?3からなる一群の請求項を削除する。

(2)訂正事項2
請求項5を削除する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落0006において、7行目?最終行の「すなわち、請求項1にかかる発明は、・・・成形体形成用組成物である。」の記載を削除する。それに併せて、同明細書の段落0007において、第1行目の「また」を「すなわち」に訂正する。

2.検討
なお、以下の検討において、この訂正請求による訂正を「本件訂正」といい、本件訂正前の特許請求の範囲における請求項1ないし5を「旧請求項1」ないし「旧請求項5」、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項1ないし5を「新請求項1」ないし「新請求項5」という。

(1)訂正の目的要件について
上記の各訂正事項による訂正の目的につき検討する。
上記訂正事項1及び2は、いずれも、旧請求項1ないし3の一群の請求項及び旧請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。
上記訂正事項3は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴い生じる明細書の不整合を単に正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、これら訂正は、一群の請求項ごと又は請求項ごとに対して請求されたものであるものと認められる。
したがって、上記訂正事項1ないし3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定の目的要件に適合するものである。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
上記(1)に示したとおり、訂正事項1ないし3による訂正により、新請求項1ないし3及び5の特許請求の範囲がいずれも削除され減縮されていることが明らかであるから、上記訂正事項1ないし3による訂正は、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであり、また、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
してみると、上記訂正事項1ないし3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。

(3)独立特許要件
なお、上記第1の2.でも示したとおり、本件の異議申立は、旧請求項1ないし3及び5に対するものであり、旧請求項4は、本件の異議申立の対象とされていないものであるから、旧請求項4が、本件の訂正請求により特許請求の範囲の減縮などを目的として訂正されている場合、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであることを要する(いわゆる独立特許要件)。
しかるに、そもそも、旧請求項4は、他の請求項を引用したり他の請求項で引用されたりする請求項ではなく独立したものであって、他の請求項が訂正により変動したとしても影響があるものではない。
また、上記1.で示したとおり、本件訂正請求において、旧請求項4につき直接又は間接的に訂正されるような訂正事項が存するものでもない。
してみると、旧請求項4は、本件訂正請求において、訂正されているものではないから、上記独立特許要件につき検討することを要しない。

(4)一群の請求項について
なお、旧請求項2及び3は、それぞれ、旧請求項1を直接引用するものであるから、旧請求項1ないし3は、一群の請求項であり、旧請求項4又は5はいずれも他の請求項につき引用又は被引用されるものでないから、それぞれ、独立した請求項である。

(5)訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕及び5について訂正を認める。

第5 本件特許に係る請求項に記載された事項
上記第4のとおり、本件訂正は適法であって、訂正後の本件特許に係る請求項1ないし5には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物及びα-ヒドロキシエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がチタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子に配位した化合物、それらの加水分解物及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の、250nm?310nmの波長の光を吸収して励起する光感応性化合物の存在下、
式(I)
R_(n)SiX_(4-n)・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合し、置換基としてハロゲン又は(メタ)アクリロキシ基を有していてもよい炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基、炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基、又はポリシロキサン、ポリビニルシラン若しくはポリアクリルシランを含む基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物に、250nm?310nmの波長の光を照射することを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項5】
(削除)」

第6 当審の判断
本件異議申立は、上記第1の2.で示したとおり、本件の請求項1ないし3及び5に係る特許に対するものであるところ、上記第4で示した適法にされた訂正により、本件の請求項1ないし3及び5に係る各記載事項がいずれも全て削除されたことにより、申立ての対象を欠く不適法なものとなった。
そして、当該不適法とされる点は、その補正ができないものであるから、本件異議申立は、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。

第7 むすび
以上のとおり、本件の請求項1ないし3及び5に係る特許に対する本件異議申立は、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
成形体、成形体形成用組成物、及び成形体の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機無機複合体、その製造方法及び有機無機複合体形成用組成物に関し、詳しくは、350nm以下の波長の光を照射することにより、表面の炭素含有率を内部より少なくした有機無機複合体、その製造方法及び有機無機複合体を形成するための有機無機複合体形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販品のシラン系コート剤の原料としては、主として3官能のシランが用いられており、かかる3官能シランにより、適度な硬さと柔軟性を持つポリシロキサンが形成される。しかしながら、3官能シランの膜では、まだハードコート性が不足しており、それを補うために、3官能シランに、4官能シランやコロイダルシリカを混合することにより補っているが、膜を硬くすれば、ヒビ割れやすくなり、密着性が悪くなるという問題がある。
【0003】
シラン系のコート剤としては、例えば、エポキシ基を有する3官能アルコキシシラン化合物を含有する防汚膜形成用組成物(特許文献1参照。)がある。また、光触媒を含有したシラン系コート剤も提案されており、光酸発生剤、架橋剤、硬化触媒等を使用して、膜を硬化している(例えば、特許文献2,3参照。)。さらに、材料中の金属系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有するシラン系の有機-無機複合傾斜材料も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-195417号公報
【特許文献2】特開2002-363494号公報
【特許文献3】特開2000-169755号公報
【特許文献4】特開2000-336281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、光感応性化合物を用いた新規な有機無機複合体、特に、表面に所望の硬度を有すると共に基体との密着性に優れた有機無機複合体、その製造方法、及び有機無機複合体を形成可能な有機無機複合体形成用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、新規な有機無機複合体の開発に取り組み、鋭意研究した結果、特定の有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を用いて有機無機複合体を製造することにより、表面が内部より高い硬度を有すると共に、基体との密着性に優れた有機無機複合体、さらには、表面が非常に高い硬度を有すると共に、内部及び裏面側が適当な硬度を有しつつ、かつ基体との密着性に優れた有機無機複合体を製造することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)式(I)
R_(n)SiX_(4-n)・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物を主成分とし、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有することを特徴とする有機無機複合体や、
(2)金属キレート化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(1)に記載の有機無機複合体や、
(3)金属有機酸塩化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の有機無機複合体や、
(4)2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(1)?(3)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(5)金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属キレート化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(1)?(4)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(6)金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(1)?(5)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(7)金属キレート化合物が、β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物、又はα-ヒドロキシエステル化合物であることを特徴とする上記(1)?(6)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(8)加水分解性基が、炭素数1?4のアルコキシ基又は炭素数1?6のアシルオキシ基であることを特徴とする上記(1)?(7)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(9)金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)?(8)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(10)式(I)中、Rが、炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基又は炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基であることを特徴とする上記(1)?(9)のいずれかに記載の有機無機複合体に関する。
【0008】
さらに本発明は、
(11)薄膜であることを特徴とする上記(1)?(10)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(12)膜表面から深さ方向10nmにおける膜表面部の炭素含有量が、膜裏面から深さ方向10nmにおける膜裏面部の炭素含有量の80%以下の薄膜であることを特徴とする上記(11)に記載の有機無機複合体や、
(13)膜の表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加していることを特徴とする上記(11)又は(12)に記載の有機無機複合体や、
(14)炭素含有量が漸次増加している深さが、膜厚の5?80%であることを特徴とする上記(13)に記載の有機無機複合体や、
(15)炭素含有量が漸次増加している深さが、50?2000nmであることを特徴とする上記(13)又は(14)に記載の有機無機複合体や、
(16)ガラス基板に形成したときの、JIS K 5600-5-4鉛筆法に規定する鉛筆硬度が、5H以上の薄膜であることを特徴とする上記(11)?(15)のいずれかに記載の有機無機複合体や、
(17)式(I)
R_(n)SiX_(4-n)・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物を主成分とする薄膜であって、膜表面から深さ方向10nmにおける膜表面部の炭素含有量が、膜裏面から深さ方向10nmにおける膜裏面部の炭素含有量の80%以下であることを特徴とするポリシロキサン系薄膜や、
(18)膜の表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加していることを特徴とする上記(17)に記載のポリシロキサン系薄膜や、
(19)炭素含有量が漸次増加している深さが、膜厚の5?80%であることを特徴とする上記(18)に記載のポリシロキサン系薄膜や、
(20)炭素含有量が漸次増加している深さが、50?2000nmであることを特徴とする上記(18)又は(19)に記載のポリシロキサン系薄膜に関する。
【0009】
また本発明は、
(21)ガラス基板に形成したときの、JIS K 5600-5-4鉛筆法に規定する鉛筆硬度が、5H以上であることを特徴とする上記(17)?(20)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(22)さらに350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有することを特徴とする(17)?(21)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(23)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有することを特徴とする上記(22)に記載のポリシロキサン系薄膜や、
(24)金属キレート化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(23)に記載のポリシロキサン系薄膜や、
(25)金属有機酸塩化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(23)又は(24)に記載のポリシロキサン系薄膜や、
(26)2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(23)?(25)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(27)金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属キレート化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(23)?(26)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(28)金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(23)?(27)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(29)金属キレート化合物が、β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物、又はα-ヒドロキシエステル化合物であることを特徴とする上記(23)?(28)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(30)加水分解性基が、炭素数1?4のアルコキシ基又は炭素数1?6のアシルオキシ基であることを特徴とする上記(23)?(29)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(31)金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(23)?(30)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜に関する。
【0010】
さらに本発明は、
(32)式(I)中、Rが、炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基又は炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基であることを特徴とする上記(17)?(31)のいずれかに記載のポリシロキサン系薄膜や、
(33)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物の存在下、
式(I)
R_(n)SiX_(4-n)・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物に、350nm以下の波長の光を照射することを特徴とする有機無機複合体の製造方法や、
(34)金属キレート化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(33)に記載の有機無機複合体の製造方法や、
(35)金属有機酸塩化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(33)又は(34)に記載の有機無機複合体の製造方法や、
(36)2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(33)?(35)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(37)金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属キレート化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(33)?(36)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(38)金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(33)?(37)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(39)金属キレート化合物が、β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物、又はα-ヒドロキシエステル化合物であることを特徴とする上記(33)?(38)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(40)加水分解性基が、炭素数1?4のアルコキシ基又は炭素数1?6のアシルオキシ基であることを特徴とする上記(33)?(39)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(41)金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(33)?(40)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、
(42)式(I)中、Rが、炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基又は炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基であることを特徴とする上記(33)?(41)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(43)有機ケイ素化合物の縮合物の平均粒径が、10nm以下であることを特徴とする上記(33)?(42)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(44)光感応性化合物の平均粒径が、10nm以下であることを特徴とする上記(33)?(43)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(45)照射する光が、150?350nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることを特徴とする上記(33)?(44)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(46)照射する光が、250?310nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることを特徴とする上記(45)に記載の有機無機複合体の製造方法や、
(47)薄膜を製造することを特徴とする上記(33)?(46)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(48)製造される薄膜における、膜表面から深さ方向10nmにおける膜表面部の炭素含有量が、膜裏面から深さ方向10nmにおける膜裏面部の炭素含有量の80%以下の薄膜であることを特徴とする上記(47)に記載の有機無機複合体の製造方法や、
(49)製造される薄膜が、膜の表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加していることを特徴とする上記(48)に記載の有機無機複合体の製造方法や、
(50)炭素含有量が漸次増加している深さが、膜厚の5?80%であることを特徴とする上記(49)に記載の有機無機複合体の製造方法や、
(51)炭素含有量が漸次増加している深さが、50?2000nmであることを特徴とする上記(49)又は(50)に記載の有機無機複合体の製造方法に関する。
【0012】
また本発明は、
(52)製造される薄膜が、ガラス基板に形成したときの、JIS K 5600-5-4鉛筆法に規定する鉛筆硬度が、5H以上であることを特徴とする上記(47)?(51)のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法や、
(53)上記(33)?(52)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする有機無機複合体や、
(54)式(I)
R_(n)SiX_(4-n)・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物と、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物とを含有することを特徴とする有機無機複合体形成用組成物や、
(55)さらに、水及び溶媒を含むことを特徴とする上記(54)に記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(56)金属キレート化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(54)又は(55)に記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(57)金属有機酸塩化合物が、水酸基若しくは加水分解性基を有することを特徴とする上記(54)?(56)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(58)2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(54)?(57)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(59)金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属キレート化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(54)?(58)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(60)金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物が、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解した生成物であることを特徴とする上記(54)?(59)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(61)金属キレート化合物が、β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物、又はα-ヒドロキシエステル化合物であることを特徴とする上記(54)?(60)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物に関する。
【0013】
さらに本発明は、
(62)加水分解性基が、炭素数1?4のアルコキシ基又は炭素数1?6のアシルオキシ基であることを特徴とする上記(54)?(61)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(63)金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(54)?(62)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(64)式(I)中、Rが、炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基又は炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基であることを特徴とする上記(54)?(63)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(65)有機ケイ素化合物の縮合物の平均粒径が、10nm以下であることを特徴とする上記(54)?(64)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(66)光感応性化合物の平均粒径が、10nm以下であることを特徴とする上記(54)?(65)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(67)光感応性化合物における金属原子が、式(I)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物におけるケイ素原子に対して、0.01?0.5モル当量含有されていることを特徴とする上記(54)?(66)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(68)膜表面から深さ方向10nmにおける膜表面部の炭素含有量が、膜裏面から深さ方向10nmにおける膜裏面部の炭素含有量の80%以下の薄膜を形成し得ることを特徴とする上記(54)?(67)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(69)膜の表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加している薄膜を形成し得ることを特徴とする上記(54)?(68)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(70)炭素含有量が漸次増加している深さが、膜厚の5?80%であることを特徴とする上記(69)に記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(71)炭素含有量が漸次増加している深さが、50?2000nmであることを特徴とする上記(69)又は(70)に記載の有機無機複合体形成用組成物や、
(72)ガラス基板に形成したときの、JIS K 5600-5-4鉛筆法に規定する鉛筆硬度が、5H以上である薄膜を形成し得ることを特徴とする上記(54)?(71)のいずれかに記載の有機無機複合体形成用組成物に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面が非常に高い硬度を有すると共に、内部及び裏面側が適当な硬度を有しつつ、かつ基体との密着性に優れた有機無機複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る有機無機複合体形成用組成物の製造工程を示す図である。
【図2】SLG基板およびSLG基板上の実施例1-1膜(UV照射30分間)のUV吸収特性を示す図である。
【図3】本発明の実施例1-1(SLG基板)に係る薄膜について、乾燥温度と照射時間に対するヘイズ率の変化を示す図である。
【図4】本発明の実施例1-1(SLG基板)に係る薄膜についてUV照射後のESCAによる膜成分を示す図である。
【図5】本発明の実施例5-1(PC基板)に係る薄膜についてUV照射後のESCAによる膜成分を示す図である。
【図6】本発明の実施例6-1(PC基板)に係る薄膜についてUV照射後のESCAによる膜成分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の有機無機複合体としては、式(I)で表される有機ケイ素化合物(以下、単に、有機ケイ素化合物ということがある。)の縮合物を主成分とし、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下の波長の光に感応する光感応性化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有する有機無機複合体であれば特に制限されるものではなく、例えば、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が非結合状態で分散されてなるものや、有機ケイ素化合物の縮合物に光感応性化合物及び/又はその誘導体が結合してなるもの(例えば、Si-O-M結合を有するもの(Mは光感応性化合物中の金属原子を表す。))や、その混合状態からなるものが挙げられ、後述する有機無機複合体形成用組成物を用いて製造することができる。
【0017】
ここで、光感応性化合物とは、そのメカニズムの如何によらず、表面側から照射される350nm以下の波長の光の作用によって、表面側の炭素成分を除去することができる化合物であり、好ましくは、表面から深さ方向10nmにおける表面部の炭素含有量が、炭素量が減少していない部分(膜の場合、例えば、膜裏面から深さ方向10nmにおける裏面部)の炭素含有量の80%以下、より好ましくは2?60%、さらに好ましくは2?40%とすることができる化合物であり、特に好ましくは、炭素成分を、その除去量が表面側から漸次減少するように所定深さまで除去することが可能な化合物、すなわち、表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加する膜を形成することができる化合物をいう。具体的に、例えば、350nm以下の波長の光を吸収して励起する化合物を挙げることができる。また、350nm以下の波長の光とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いてなる光、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いてなる光、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いてなる光を意味する。なお、本発明の有機無機複合体における主成分となる有機ケイ素化合物の縮合物は、後述する本発明の有機無機複合体の製造方法及び有機無機複合体形成用組成物における有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物がさらに縮合したものを意味する。
【0018】
式(I)中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表す。かかる有機基としては、炭化水素基、ポリマーからなる基等を挙げることができ、炭素数1?30の炭化水素基が好ましく、炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基、又は炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基がより好ましい。また、かかる有機基は、ケイ素原子を含んでいてもよく、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアクリルシラン等のポリマーを含む基であってもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン、メタクリロキシ基等を挙げることができる。また、nは、1又は2を表し、n=1のものが特に好ましい。nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよい。
【0019】
Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。式(I)の(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃?100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、具体的には、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基等を挙げることができ、炭素数1?4のアルコキシ基又は炭素数1?4のアシルオキシ基が好ましい。
【0020】
具体的に、有機ケイ素化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3-メチル-3-オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2-(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル-トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3-メチル-3-オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
また、ポリマー系の有機ケイ素化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α-エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれるビニル系化合物を共重合したビニル系ポリマーを式(I)のR成分とするものを挙げることができる。
【0022】
本発明の有機無機複合体における光感応性化合物としては、350nm以下の波長の光に感応する化合物であり、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましい。これから誘導される化合物としては、例えば、金属キレート化合物の縮合物等がさらに縮合されたもの等を挙げることができる。かかる光感応性化合物及び/又はその誘導体は、上述のように、有機ケイ素化合物と化学結合していてもよく、非結合状態で分散していてもよく、その混合状態のものであってもよい。
【0023】
金属キレート化合物としては、水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることが好ましく、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属キレート化合物であることがより好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。また、前記金属キレート化合物としては、β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物、及びα-ヒドロキシエステル化合物が好ましく、具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n-プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n-ブチル、アセト酢酸sec-ブチル、アセト酢酸t-ブチル等のβ-ケトエステル類;アセチルアセトン、ヘキサン-2,4-ジオン、ヘプタン-2,4-ジオン、ヘプタン-3,5-ジオン、オクタン-2,4-ジオン、ノナン-2,4-ジオン、5-メチル-ヘキサン-2,4-ジオン等のβ-ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸:等が配位した化合物が挙げられる。
【0024】
金属有機酸塩化合物としては、金属イオンと有機酸から得られる塩からなる化合物であり、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類;スルフォン酸、スルフィン酸、チオフェノール等の含硫黄有機酸;フェノール化合物;エノール化合物;オキシム化合物;イミド化合物;芳香族スルフォンアミド;等の酸性を呈する有機化合物が挙げられる。
【0025】
また、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物は、上記金属キレート化合物及び金属有機酸塩化合物を除くものであり、例えば、金属の水酸化物や、金属アルコラート等を挙げることができる。
【0026】
金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、炭素数1?4のアルコキシ基、炭素数1?4のアシルオキシ基が好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。
【0027】
かかる金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解したものであることが好ましく、0.5?2モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
【0028】
また、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属キレート化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解したものであることがさらに好ましく、5?20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
【0029】
また、金属有機酸塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、金属有機酸塩化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いて加水分解したものであることがさらに好ましく、5?20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
【0030】
また、これら金属化合物、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物における金属としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛等が挙げられ、これらの中でもチタン、ジルコニウム、アルミニウムが好ましく、特にチタン好ましい。これらは2種以上用いることもできる。
【0031】
上記本発明の有機無機複合体としては、具体的に、例えば、鋳型に鋳込んで成形された成形体や、基体上に塗布して形成された薄膜が挙げられる。薄膜を形成する場合、基体上に塗布した後乾燥する方法であれば特に制限されるものではないが、乾燥後、350nm以下の波長の光を照射することが好ましく、これにより、より高硬度の薄膜(ポリシロキサン系薄膜)を得ることができる。乾燥後の薄膜(光照射した薄膜では、膜の内部を構成するものとなる。)のガラス基板に形成したときの、JIS K 5600-5-4鉛筆法に規定する鉛筆硬度としては、1H?4H程度であり、基板との密着性及び硬度の点から、2H?4Hであることが好ましい。また、光照射後の薄膜のガラス基板に形成したときの、JIS K 5600-5-4鉛筆法に規定する鉛筆硬度としては、5H以上であることが好ましく、7H以上であることが好ましい。
【0032】
かかる薄膜は、例えば、ハードコート膜、ガスバリアー膜、帯電防止膜、UVカット膜、反射防止膜等として用いることができる。ハードコート膜の適用例としては、例えば、自動車のガラス、ヘッドライト、外装部品、内装部品、電装部品、サンルーフ;携帯電話のフロントケース、リアケース、バッテリーケース;眼鏡レンズ;光ディスク;建材化粧シート、フィルム;テレビ前面パネル;CRTカバー;ビデオリフレクター等を挙げることができる。
【0033】
本発明の薄膜が形成可能な基体としては、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等が挙げられる。従来、薄膜のプラスチック基体への形成は困難であり、ガラス等の無機基体に限定されていたが、本発明の薄膜は、形成の難しいプラスチック基体であっても、容易に皮膜形成でき、プラスチック製光学部品に対しても適している。かかるプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルスルフォンが挙げられる。
【0034】
また、有機無機複合体形成用組成物の塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等を挙げることができる。また、形成する膜厚としては、特に制限されるものではなく、例えば、0.05?200μm程度である。
【0035】
有機無機複合体形成用組成物を塗布して形成した膜の乾燥処理としては、例えば、40?200℃で、1?120分程度行うことが好ましく、60?120℃で、10?60分程度行うことがより好ましい。
【0036】
また、350nm以下の波長の光の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ等の公知の装置を用いて行うことができ、照射する光としては、150?350nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることが好ましく、250?310nmの範囲のいずれかの波長の光を主成分とする光であることがより好ましい。かかる範囲の波長に感応し、350nm、好ましくは310nmを超える光に反応しないものであれば、太陽光によりほとんど影響を受けることはない。また、照射する光の照射光量としては、例えば、1?100J/cm^(2)程度が挙げられ、膜硬化効率(照射エネルギーと膜硬化程度の関係)を考慮すると、3?20J/cm^(2)程度であることが好ましく、3?10J/cm^(2)程度であることがより好ましい。なお、350nm以下の波長の光の照射とは、350nm以下のいずれかの波長の光を成分とする光源を用いる照射、好ましくは、350nm以下のいずれかの波長の光を主成分とする光源を用いる照射、すなわち、最も成分量の多い波長が350nm以下の光源を用いる照射をいう。
【0037】
また、本発明のポリシロキサン系薄膜としては、膜表面部の炭素含有量が、膜裏面部の炭素含有量に比して少ない構成であることが好ましく、膜表面から深さ方向10nmにおける膜表面部の炭素含有量が、膜裏面から深さ方向10nmにおける膜裏面部の炭素含有量の80%以下であることがより好ましく、2?60%であることがさらに好ましい。ここで、膜表面部の炭素含有量が、膜裏面部の炭素含有量に比して少ないとは、膜表面から膜中心部までの総炭素量が、膜裏面から膜中心部までの総炭素量より少ないことを意味する。かかる本発明の高硬度薄膜の用途としては、特に制限されないが、表面硬度が高いことから、ハードコート膜として非常に有用である。
【0038】
また、本発明のポリシロキサン系薄膜は、膜の表面から所定深さまで炭素含有量が漸次増加していることが好ましく、このような炭素含有量が漸次増加している深さとしては、膜厚の5?80%であることが好ましく、10?50%であることがより好ましく、具体的に、例えば、膜厚が1?2.5μm程度の場合、炭素含有量が漸次増加している深さは、50?2000nm程度である。
【0039】
上記のような本発明の有機無機複合体及びポリシロキサン系薄膜の製造方法としては、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物の存在下、式(I)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物に、350nm以下の波長の光を照射する本発明の有機無機複合体の製造方法を挙げることができ、後述する本発明の有機無機複合体形成用組成物を用いることができる。
【0040】
本発明の製造方法に用いる式(I)で表される有機ケイ素化合物としては、上述したものと同様であり、縮合物であることが好ましく、その平均粒径が、10nm以下であることが好ましく、4nm以下であることがより好ましい。また、本発明の製造方法において用いる光感応性化合物としては、上述したものと同様であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましく、その平均粒径としては、10nm以下であることが好ましく、7nm以下であることがより好ましい。これにより、有機無機複合体(薄膜)の透明性を向上させることができる。これらの平均粒子径は、例えば、Malvern Instruments Ltd製 HPPSを用いて測定することができる。
【0041】
本発明の有機無機複合体形成用組成物としては、式(I)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物と、金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の光感応性化合物とを含有する組成物であれば特に制限されるものではなく、さらに、水及び溶媒を含有することが好ましい。式(I)で表される有機ケイ素化合物及び光感応性化合物としては、上述したものと同様である。
【0042】
用いる溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
本発明の有機無機複合体形成用組成物中の固形分量(有機ケイ素成分及び光感応性化合物成分)としては、1?75重量%であることが好ましく、10?60重量%であることがより好ましい。また、光感応性化合物の含有量としては、その種類にもよるが、一般的に、有機ケイ素化合物中のSiに対して、光感応性化合物中の金属原子が0.01?0.5モル当量、好ましくは0.05?0.2モル当量であることが好ましい。
【0044】
また、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、得られる塗膜の硬度向上を目的として4官能シランやコロイド状シリカを添加することもできる。4官能シランとしては、例えば、テトラアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス[2-(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラキス(2-ビニロキシエトキシ)シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラキス(2-ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3-メチル-3-オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。また、コロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
【0045】
また、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。この充填材としては、例えば有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーンブラック、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
【0046】
なお、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、その他、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種界面活性剤、前記以外のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を添加することもできる。
【0047】
本発明の有機無機複合体形成用組成物の調製方法としては、例えば、必要に応じて水及び溶媒を加え、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を混合する方法が挙げられる。具体的には、光感応性化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び光感応性化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水や溶媒を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。所定量の水の量としては、光感応性化合物の種類にもよるが、例えば、光感応性化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5?2モルの水を用いることがより好ましい。また、光感応性化合物が金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物の場合、金属キレート化合物又は金属有機酸塩化合物1モルに対して、5?100モルの水を用いることが好ましく、5?20モルの水を用いることがより好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0049】
〔実施例1〕
図1に示すようにして、実施例1に係る有機無機複合体形成用組成物を製造した。
1.光感応性化合物の合成
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達株式会社製、T-50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)30.3gをエタノール/酢酸エチル=50/50の混合溶媒58.4gに溶解後、イオン交換水11.3g(10倍モル/TiO_(2)のモル)を攪拌しながらゆっくり滴下し、加水分解した。1日後に、溶液をろ過し、黄色透明なTiO_(2)濃度5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)を得た。ナノ粒径の平均粒子径は4.1nmで単分散性であった。
【0050】
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-1003)(B-1)を用いた。
【0051】
3.有機無機複合体形成用組成物(コーティング液)の調製
元素比(Ti:Si)が(1:9)になるように、上記A-1溶液とB-1を混合し、コーティング液とした(C-1溶液)。固形分量(CH_(2)=CHSiO_(1.5)+TiO_(2))は27wt%とした。溶液中の粒子の平均粒径は、1.0nmと4.0nmの2峰性を示した。4.0nmはTiO_(2)ナノ粒子であり、1.0nmはビニルトリメトキシシランの加水分解縮合物粒子であると推測された。この溶液の保存安定性は非常に良好で、2ヶ月後もゲル化することなく使用することができた。
【0052】
〔実施例2〕
1.光感応性化合物の合成
実施例1と同様に、黄色透明なTiO_(2)濃度5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)を得た。
【0053】
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-13)(B-2)を用いた。
【0054】
3.有機無機複合体形成用組成物(コーティング液)の調製
元素比(Ti:Si)が(1:9)になるように、上記A-1溶液とB-2を混合し、コーティング液とした(C-2溶液)。固形分量(CH_(3)SiO_(1.5)+TiO_(2))は24.2wt%とした。溶液中の粒子の平均粒径は、1.2nmと4.5nmの2峰性を示した。4.5nmはTiO_(2)ナノ粒子であり、1.2nmはメチルトリメトキシシランの加水分解縮合物粒子であると推測された。この溶液の保存安定性は非常に良好で、2ヶ月後もゲル化することなく使用することができた。
【0055】
〔実施例3〕
1.光感応性化合物の合成
実施例1と同様に、黄色透明なTiO_(2)濃度5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)を得た。
【0056】
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-1003)(B-1)、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-403)(B-3)を用いた。
【0057】
3.有機無機複合体形成用組成物(コーティング液)の調製
5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)164.95g、ビニルトリメトキシシラン(B-1)130.0gを加え、室温で30分間攪拌して得られた溶液と、5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)70.69g、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(B-3)88.83gを加え室温で30分攪拌して得られた溶液とを混合し、12時間攪拌したものをコーティング液とした(C-3溶液)。元素比(Ti:Si)は(1:9)、固形分量(RSiO_(1.5)(Rは、ビニル基又は3-グリシドキシプロピル基)+TiO_(2))は24.2wt%とした。溶液中の粒子の平均粒径は、1.6nmと6.4nmの2峰性を示した。6.4nmはTiO_(2)ナノ粒子に、1.6nmはシランの加水分解縮合物粒子と推測された。この溶液の保存安定性は非常に良好で、2ヶ月後もゲル化することなく使用することができた。
【0058】
〔実施例4〕
1.光感応性化合物の合成
実施例1と同様に、黄色透明なTiO2濃度5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)を得た。
【0059】
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-1003)(B-1)、及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-503)(B-4)を用いた。
【0060】
3.有機無機複合体形成用組成物(コーティング液)の調製
5wt%のTiO_(2)ナノ粒子溶液(A-1)327.31g、ビニルトリメトキシシラン(B-1)273.20gを加え、室温で24時間攪拌後、ロータリーエバポレータにより溶液を減圧濃縮し固形分濃度55?65wt%とした。この濃縮溶液100gに、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(B-4)を加え、24時間攪拌したものをコーティング液とした(C-4溶液)。元素比(Ti:Si)は(1:9)、固形分量(RSiO_(1.5)(Rは、ビニル基又は3-メタクリロキシプロピル基))は24.2wt%とした。溶液中の粒子の平均粒径は、1.1nmと4.4nmの2峰性を示した。4.4nmはTiO_(2)ナノ粒子であり、1.1nmはシランの加水分解縮合物粒子であると推測された。この溶液の保存安定性は非常に良好で、2ヶ月後もゲル化することなく使用することができた。
【0061】
〔実施例5〕
1.光感応性化合物
ジルコニウムアセチルジアセトナート(日本曹達株式会社製、ZR-181、酸化ジルコニウム換算固形分量15.00重量%)(A-2)を使用した。
【0062】
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-1003)(B-1)、及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-503)(B-4)を用いた。
【0063】
3.有機無機複合体形成用組成物(コーティング液)の調製
ビニルトリメトキシシラン(B-1)190gと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(B-4)212.08gを混合し、ジルコニウムアセチルジアセトナート(A-2)36.29gをエタノール114gで希釈した液を加えた。この溶液を攪拌しながら、イオン交換水76.95g(2倍モル/Siモル)をエタノール114gで希釈した液をゆっくり滴下し、室温で24時間攪拌したものをコーティング液とした(C-5溶液)。元素比(Zr:Si)は(2:98)、固形分量(RSiO_(1.5)(Rは、ビニル基又は3-メタクリロキシプロピル基))は35.0wt%とした。溶液中の粒子の平均粒径は、3.37nmをピークとするブロードな粒径分布を示した。この溶液の保存安定性は非常に良好で、2ヶ月後もゲル化することなく使用することができた。
【0064】
〔実施例6〕
1.光感応性化合物
トリスアセチルアセトナートアルミニウム(ACROS ORGANICS社製)10.00gをエタノール200gに溶解し、無色透明な溶液(酸化アルミニウム換算固形分濃度0.78wt%)(A-3)を調製した。
【0065】
2.有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-1003)(B-1)、及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM-503)(B-4)を用いた。
【0066】
3.有機無機複合体形成用組成物(コーティング液)の調製
アルミニウムアセチルアセトナート溶液(A-3)38.35gにイオン交換水10.13g(2倍モル/Siモル)を添加した。この溶液にビニルトリメトキシシラン(B-1)25.0gと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(B-4)27.9gを加え、室温で24時間攪拌したものをコーティング液とした(C-6溶液)。元素比(Al:Si)は(2:98)、固形分量(RSiO_(1.5)(Rは、ビニル基又は3-メタクリロキシプロピル基))は38.6wt%とした。溶液中の粒子の平均粒径は、1.95nmをピークとするブロードな粒径分布を示した。この溶液の保存安定性は非常に良好で、2ヶ月後もゲル化することなく使用することができた。
【0067】
〔光源ランプ〕
A.殺菌灯(GL-15:254nmの波長の光を主成分とするUV光、東芝社製)
B.ブラックライト(FL15BLB:365nmの波長の光を主成分とするUV光、東芝社製)
C.集光型高圧水銀灯(365nm、313nm、254nmの波長の光を主成分とするUV光、アイグラフィックス社製、160W/cm、1灯型、ランプ高10cm、コンベア速度5m/分)
【0068】
〔実施例1-1?実施例1-3〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-1溶液を、下記D-1?D-3に係る基板に、バーコーターでコートし、60℃で30分間乾燥した。続いて、殺菌灯のUVを照射して、透明な薄膜(膜厚:2μm)を得た。
【0069】
〔基板〕
1.ソーダライムガラス(SLG)基板(D-1)
2.アクリル基板(D-2)
3.ポリカーボネート(PC)基板(D-3)
【0070】
SLG基板およびSLG基板上の実施例1-1膜(殺菌灯UV照射30分間)のUV吸収特性を図2に示す。
【0071】
〔実施例2-1〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-2溶液を、上記D-1に係る基板に、バーコーターでコートし、60℃で30分間乾燥した。続いて、殺菌灯の紫外線(254nm、4mW/cm^(2))を照射して、透明な薄膜(膜厚:2μm)を得た。
【0072】
〔実施例3-1〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-3溶液を、上記D-3に係る基板に、バーコーター(Rod No.10)でコートし、60℃で30分間乾燥した後、殺菌灯の紫外線を照射(8mW/cm^(2)、30分)してハードコート膜(膜厚:4μm)を得た。
【0073】
〔実施例4-1〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-4溶液を、上記D-3に係る基板に、スピナー(回転数1000rpm)でコートし、60℃で30分間乾燥した後、殺菌灯の紫外線を照射(8mW/cm^(2)、30分)してハードコート膜(膜厚:2μm)を得た。
【0074】
〔実施例4-2〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-4溶液を、上記D-3に係る基板に、スピナー(回転数1000rpm)でコートし、60℃で30分間乾燥した後、コンベアータイプ高圧水銀灯(アイグラフィックス製、160W/cm、ランプ高10cm、照射時間5秒)を用いてハードコート膜(膜厚:2μm)を得た。
【0075】
〔実施例5-1〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-5溶液を、上記D-3に係る基板に、ディップコーティング(60cm/分)で成膜し、120℃で30分間乾燥した後、コンベアータイプ集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス製、160W/cm、1灯型、ランプ高10cm、コンベア速度5m/分)を用いて6パス照射し、ハードコート膜(膜厚:4μm)を得た。
【0076】
〔実施例6-1〕
4.塗膜形成
塗膜形成用組成物であるC-6溶液を、上記D-3に係る基板に、ディップコーティング(60cm/分)で成膜し、120℃で30分間乾燥した後、コンベアータイプ集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス製、160W/cm、1灯型、ランプ高10cm、コンベア速度5m/分)を用いて6パス照射し、ハードコート膜(膜厚:4μm)を得た。
【0077】
〔膜評価〕
上記実施例1-1(SLG基板)及び実施例1-2(アクリル基板)に係る薄膜について、以下に示す膜評価方法で、密着性及び硬度を評価した。その結果を表1に示す。
【0078】
〔膜評価方法〕
(1)セロテープ(登録商標)剥離試験(密着性評価)
各試料にセロテープ(登録商標)を貼り付け、指の腹で複数回擦りつけ、その後、テープを引き剥がした際、基板上の膜が剥離しているかを評価した。
評価 ○:剥離しない
評価 ×:剥離する
【0079】
(2)鉛筆硬度試験(硬度評価)
JIS K 5600-5-4鉛筆法に準じて行った。
【0080】
【表1】

【0081】
表1から明らかなように、密着性に関しては、いずれも優れていた。また、硬度に関しては、SLG基板、アクリル基板ともに、60℃乾燥したもので3Hの膜が得られ、254nmのUV照射したものについては、さらに硬度が向上し、SLG基板においては、9Hまで向上した。
【0082】
次に、上記実施例1-1(SLG基板)及び実施例1-2(アクリル基板)に係る薄膜について、UV照射時間を変えて、その硬度を評価した結果を表2に示す。また、実施例1-1(SLG基板)に係る薄膜について、UV照射時間を変えて、膜裏面(正確には、裏面から10nm深さ)の炭素含有量を100%としたときの膜表面(正確には、表面から10nm深さ)の炭素含有量と膜裏面の炭素含有量より少なくなっている膜表面層の厚さを評価した結果を表3に示す。
【0083】
また、上記実施例1-1(SLG基板)に係る薄膜(膜厚2μm)において、UV照射30分間したものについての膜成分をESCAで評価した。その結果を図4に示す。図4に示すように、UV照射した後は、膜表面の炭素量が減少し、酸素量が増大していることが分かる。光感応性化合物の作用により、ビニル基が分解されていると考えられる。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
表2から明らかなように、SLG基板に関しては5分の照射でも硬度の上昇がみられ、20分以上の照射で顕著な高度の上昇がみられた。アクリル板に関しては、照射約20分程度で、硬度の上昇がみられた。このUV照射による硬度向上は、膜表面と裏面との炭素含有比および炭素含有量が少なくなっている表面層の厚みとよく相関しており、20分間照射した時に炭素含有量は60%以下となり、表面層厚みも300nmであった。
【0087】
さらに、上記実施例1-1(SLG基板)及び実施例1-2(アクリル基板)に係る薄膜について、254nmUV(殺菌灯)に変え、365nmのUV(BLBランプ)を照射して、その硬度を評価した。その結果を表4に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
表4から明らかなように、硬度上昇はほとんどみられなかった。このことより、光感応性化合物の254nmUV感応性により膜が変化し、硬度が上昇したものと考えられる。更に、365nmUVに感応しないので、太陽光で劣化しにくいものであるといえ、屋外使用にも有用である。
【0090】
また、上記実施例1-3(PC基板)に係る薄膜について、上記膜評価方法により密着性及び硬度を評価した。その結果を表5に示す。
【0091】
【表5】

【0092】
表5から明らかなように、いずれも密着性は優れていた。また、膜コートにより、4BからFへと硬度が上昇したことがわかる。UV照射後に硬度の変化はみられなかったが、これは、基板が軟らかすぎて、鉛筆硬度試験では膜の評価できないものと思われる。
【0093】
鉛筆硬度試験による評価が困難であった上記実施例1-3(PC基板)に係る薄膜について、下記のスチールウール試験で再評価をした。その結果を表6及び表7に示す。表6は、基板そのものをスチールウールで擦ったときのヘイズ率の変化を示し、表7は、120℃で10分乾燥した膜をスチールウールで擦ったときのヘイズ率の変化、及び所定時間UV照射された膜についてのスチールウールで擦った後のヘイズ率を示す。
【0094】
〔膜評価方法〕
スチールウール試験(耐殺傷性評価)
スチールウール(SW)#0000で10回擦った前後でのヘイズの測定を行った。
【0095】
【表6】

【0096】
【表7】

【0097】
表6に示すように、PC板自体のSW試験ではヘイズ率(Hz)が21%になり、非常に傷が付き易かった。表7に示すように、膜をコートし、乾燥した状態でのSW試験ではHzは13%になり、効果が認められた。さらに、UVを照射した場合、その効果は顕著で、UV照射20分でHzが1%以下になった。ほとんど傷が付いていない状態である。以上のようにPC板でも効果が認められた。
【0098】
続いて、上記実施例1-1(SLG基板)に係る薄膜について、乾燥温度(30分)と照射時間に対するヘイズ率の変化を調査した。その結果を図3に示す。図3に示すように、150℃乾燥をすると、UV照射しなくてもSW試験で2%台まで硬化した。この膜にUVを照射すると、更に耐摩耗性は向上した。また、60℃乾燥と120℃乾燥の場合、UV照射により、より良好な耐摩耗性を示し、密着性も良好であった。60℃乾燥と120℃乾燥とでは、大きな違いはみられなかった。
【0099】
次に、実施例2に係る薄膜について調査した、SLG基板上での膜の密着性、鉛筆硬度の結果を表8に示す。120℃乾燥の膜の鉛筆硬度は5Hであったの対し、更に殺菌灯の紫外線を30分間照射すると7Hに、60分照射すると8Hへ向上した。
【0100】
【表8】

【0101】
次に、上記実施例3-1,実施例4-1,及び実施例4-2に係る薄膜について、以下に示す膜評価方法で膜評価を行った。その結果を表9に示す。
【0102】
〔膜評価方法〕
(1)テープ剥離試験(密着性評価)
JISK5600に準拠し、塗膜に1mm間隔の切込みを縦横11本ずついれて100個の碁盤目を作成した。各試料にセロテープ(登録商標)を貼り付け指の腹で複数回擦りつけて密着させた後、テープを引き剥がし、塗膜が剥離せずに残存した格子の目数で評価した。
(2)スチールウール試験(耐殺傷性評価)
ラビングテスタ(太平理科工業製 RUBBING TESTER)にスチールウール(#0000)を取り付け、荷重500gの条件下で30往復させた後のヘイズ率を測定した。
(3)テーバー式磨耗試験
テーバー磨耗試験機(東洋テスター工業株式会社製 TABER’Abrasion Tester)に磨耗輪(C-10F))を装着し、荷重500gの条件下で500回転の試験を行った後のヘイズ率を測定した。
(4)表面抵抗測定
表面抵抗測定器(三菱化学株式会社製 Hiresta-UP MCP-HT4500)を用いて、印加電圧1000V、測定時間10秒にて測定した。
【0103】
【表9】

【0104】
表9に示すように、本発明の実施例3-1,実施例4-1,及び実施例4-2に係る薄膜は、PC板において密着性に優れ、ヘイズ率(Hz)が、スチールウール試験では3%以下、テーバー式磨耗試験では15%以下になり、高い耐磨耗特性を示し、表面抵抗値は、10^(11)以下の低い抵抗値を有するハードコート膜の特性効果が認められた。
【0105】
次に、上記実施例5-1,及び実施例6-1に係る薄膜について、膜成分をESCAで評価した。その結果を図5及び図6に示す。図5及び6に示すように、UV照射した後は、膜表面の炭素量が減少し、酸素量が増大していることが分かる。
【0106】
次に、上記実施例5-1,及び実施例6-1に係る薄膜について膜評価を行った。その結果を表10に示す。
【0107】
【表10】

【0108】
表10に示すように、本発明の実施例5-1,実施例6-1の薄膜は、PC板において密着性に優れ、ヘイズ率(Hz)が、スチールウール試験では2%以下、テーバー式磨耗試験では8%以下になり、高い耐磨耗特性を示すハードコート膜であることが確認できた。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物及びα-ヒドロキシエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がチタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子に配位した化合物、それらの加水分解物及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の、250nm?310nmの波長の光を吸収して励起する光感応性化合物の存在下、
式(I)
R_(n)SiX_(4-n)・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合し、置換基としてハロゲン又は(メタ)アクリロキシ基を有していてもよい炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基、炭素数4?10のエポキシアルキルオキシアルキル基、又はポリシロキサン、ポリビニルシラン若しくはポリアクリルシランを含む基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物に、250nm?310nmの波長の光を照射することを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項5】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-07-27 
出願番号 特願2012-88684(P2012-88684)
審決分類 P 1 651・ 121- XA (C08J)
P 1 651・ 113- XA (C08J)
P 1 651・ 851- XA (C08J)
P 1 651・ 853- XA (C08J)
最終処分 決定却下  
前審関与審査官 前田 孝泰  
特許庁審判長 原田 隆興
特許庁審判官 橋本 栄和
大島 祥吾
登録日 2016-08-05 
登録番号 特許第5980547号(P5980547)
権利者 日本曹達株式会社
発明の名称 成形体、成形体形成用組成物、及び成形体の製造方法  
代理人 廣田 雅紀  
代理人 東海 裕作  
代理人 廣田 雅紀  
代理人 東海 裕作  

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