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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1332723
審判番号 不服2015-13302  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-13 
確定日 2017-09-19 
事件の表示 特願2012-111806「レーザによりポリシリコン薄膜をアニールする光学系」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日出願公開、特開2012-191221〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成16年(2004年)11月12日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2003年11月26日,米国,同2004年2月18日,米国,同2004年7月1日,米国)とする特願2006-541257号の一部を,平成24年5月15日に新たな出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成24年 5月25日 審査請求
平成25年11月14日 拒絶理由通知
平成26年 2月18日 意見書・手続補正
平成26年 7月28日 拒絶理由通知(最後)
平成26年10月28日 意見書・手続補正
平成27年 3月26日 補正却下決定・拒絶査定
平成27年 7月13日 審判請求・手続補正
平成28年10月 4日 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)
平成29年 4月 5日 意見書・手続補正

2 本願発明について
(1)本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年4月5日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項で特定される次のとおりのものと認める。
「被加工物の薄膜における配向又は結晶成長の変換を実行するガス放電レーザ結晶化装置であって、
パルス間ドーズ制御を用いて所定のパワー及び所定の繰り返しレートでレーザ出力光パルスビームを生成するエキシマレーザシステムと、
前記レーザ出力光パルスビームを長軸方向に伸長され短軸方向に短縮されるように整形する発散性補正光学系と、を備え、
前記エキシマレーザシステムは、
レーザパルスビームを出力する第1レーザユニットと、
前記レーザパルスビームを増幅することによって前記レーザ出力光パルスビームを出力する第2レーザユニットと、
第1レーザユニットからの前記レーザパルスビームを前記第2レーザユニットに方向付けるように動作するリレー光学系と、
-3nsec?+3nsecの範囲内で前記第1レーザユニット及び前記第2レーザユニットにおけるガス放電の生成のタイミングを合わせるタイミング及び制御モジュールと、を備え、
前記発散性補正光学系は、前記長軸方向の長軸の端部における前記短軸方向の幅が前記長軸の中央における前記短軸方向の幅より広くならないように、前記レーザ出力光パルスビームを整形するように構成されている、
ガス放電レーザ結晶化装置。」
(2)引用文献1の記載
ア 引用文献1
当審拒絶理由で引用された特開平06-124913号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁基板上に、形成されたIV族元素を主成分とし、高エネルギーの不純物イオンを照射された被膜に波長400nm以下、パルス幅50nsec以下のパルス状レーザー光を照射することによって半導体を活性化せしめるレーザーアニール方法において、該被膜上には厚さ3?300nmの酸化珪素を主たる成分とする被膜が形成されていることと、照射されるレーザーのエネルギー密度E〔mJ/cm^(2) 〕と照射パルス数Nの間に、log_(10)N≦-0.02(E-350)の関係を有することを特徴とするレーザー処理方法。
【請求項2】 請求項1において、使用されるレーザー光は、KrF、ArF、XeClもしくはXeFのいずれかのエキシマーレーザーであることを特徴とするレーザー処理方法。」
(イ)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信頼性および量産性に優れ、ばらつきが小さく、歩留りの高いレーザーアニール方法に関する。特に、本発明は、イオン照射、イオン注入、イオンドーピング等によってダメージを受け、結晶性が著しく損なわれた被膜のレーザーアニール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子プロセスの低温化に関して盛んに研究が進められている。その理由の1つは、ガラス等の絶縁基板上に半導体素子を形成する必要が生じたからである。レーザーアニール技術は究極の低温プロセスと注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、レーザーアニールの条件等については、各装置や被膜の条件によって異なるものとして、十分な検討がおこなわれなかった。その結果、レーザーアニール技術は非常にばらつきが大きくて、到底実用化には到らないというコンセンサスができていた。本発明の目的は、このような従来には認知されていなかった条件を提示し、よって、レーザーアニールによって再現性のよい結果を得ることである。」
(ウ)「【0010】
【実施例】本実施例では、IV族元素からなる膜(半導体膜)中に不純物を導入してN型とP型の一方を付与し、さらにマスクを用いて前記膜の一部に不純物を導入してその部分にN型とP型の他方を付与する。図1には本実施例で使用したレーザーアニール装置の概念図を示す。レーザー光は発振器2で発振され、全反射ミラー5、6を経由して増幅器3で増幅され、さらに全反射ミラー7、8を経由して光学系4に導入される。それまでのレーザー光のビームは3×2cm^(2) 程度の長方形であるが、この光学系4によって長さ10?30cm、幅0.1?1cm程度の細長いビームに加工される。この光学系を経たレーザー光のエネルギーは最大で1000mJ/ショットであった。
【0011】光学系4の内部の光路は図5のように示される。光学系4に入射したレーザー光は、シリンドリカル凹レンズA、シリンドリカル凸レンズB、横方向のフライアイレンズC、縦方向のフライアイレンズDを通過する。これらフライアイレンズC、Dを通過することによってレーザー光はそれまでのガウス分布型から矩形分布に変化する。さらに、シリンドリカル凸レンズE、Fを通過してミラーG(図1ではミラー9)を介して、シリンドリカルレンズHによって集束され、試料に照射される。
【0012】本実施例では、図5の距離X_(1) 、X_(2) を固定し、仮想焦点I(これはフライアイレンズの曲面の違いによって生ずるようになっている)とミラーGとの距離X_(3) 、と距離X_(4) 、X_(5) とを調節して、倍率M、焦点距離Fを調整した。すなわち、これらの間には、
M=(X_(3) +X_(4) )/X_(5) 、
1/F=1/(X_(3) +X_(4) )+1/X_(5) 、
という関係がある。なお、本実施例では光路全長X_(6) は約1.3mであった。
【0013】このような細長いビームに加工するのは、加工性を向上させるためである。すなわち、短冊状のビームは光学系4を出た後、全反射ミラー9を経て、試料11に照射されるが、試料の幅よりも長いので、結局、試料は1つの方向にのみ移動させてゆけばよい。したがって、試料のステージおよび駆動装置10は構造が簡単で保守も容易である。また、試料をセットする際の位置合わせの操作(アライメント)も容易である。」
(エ)「【0022】モフォロジーが荒れた場合には、部分によってシリコンの特性が著しく悪化するため、ばらつきが著しく大きくなる。実際にモフォロジーの悪い(表面の粗い)シリコン膜ではシート抵抗のばらつきは20%以上であった。ばらつきを下げるためには上記の条件を満たし、かつ、適正なレーザーエネルギー密度を設定しなければならない。
【0023】例えば、レーザーエネルギー密度を250mJ/cm^(2) とした場合には、レーザーのショット数は10回以下が望ましい。また、レーザーエネルギー密度を280mJ/cm^(2) とした場合には、レーザーのショット数は1?3回が望ましい。このような条件でレーザーアニールをおこなったときには、シート抵抗のばらつきを10%以下におさえることができた。」
(オ)図5には,縦方向のフライアイレンズDで長軸方向に伸張し,シリンドリカル凸レンズEで短軸方向に短縮することが,記載されている。
イ 引用発明1
前記アより,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「絶縁基板上の被膜にパルス状レーザー光を照射することによって半導体を活性化せしめるレーザーアニール装置であって,使用されるレーザー光はエキシマーレーザーであり,レーザー光は発振器で発振され,全反射ミラーを経由して増幅器で増幅され,さらに全反射ミラーを経由して光学系に導入され,光学系によって細長いビームに加工され,短冊状のビームが光学系を出た後試料に照射されるレーザーアニール装置。」
(3)引用文献2の記載
ア 引用文献2
当審拒絶理由で引用された特開2002-353545号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の記載がある。
「【0018】
【発明の実施の形態】以下、図を参照しながら、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。まず、第1実施形態について、説明する。図1は、第1実施形態に係る注入同期式フッ素分子レーザ装置(以下、フッ素分子レーザ装置11と言う)の構成図を示している。図1において、フッ素分子レーザ装置11は、波長を狭帯域化されたシードレーザ光21Aを発振するオシレータ11Aと、シードレーザ光21Aを増幅して出射レーザ光21Bを出射する増幅器11Bとを備えている。フッ素分子レーザ装置11から出射した出射レーザ光21Bは、ステッパなどの露光機25に入射し、加工用光となる。
【0019】フッ素分子レーザ装置11は、装置全体を制御するレーザコントローラ29を備えている。レーザコントローラ29は、露光機25と電気的に接続されて、相互に通信が可能である。レーザコントローラ29は、露光機25からレーザ発振の合図となるトリガ信号Gを受信し、これに伴ってオシレータ11A及び増幅器11Bにトリガ信号Gを出力する。このとき、トリガ信号Gは、後述する補正回路31によってタイミングを補正され、トリガ信号G1としてオシレータ11Aに出力される。またトリガ信号Gは、補正回路31及び遅延回路44によって、オシレータ11Aに対するよりも所定の時間だけ遅れて、トリガ信号G3として増幅器11Bに出力される。
【0020】オシレータ11Aは、例えばフッ素(F_(2))及びネオン(Ne)を含むレーザガスを封入するオシレータチャンバ12Aと、オシレータチャンバ12Aの両端部に設けられたウィンドウ17A,19Aとを備えている。尚、レーザガスとしては、フッ素、ネオン、及びヘリウム(He)でもよく、フッ素及びヘリウムでもよい。オシレータチャンバ12A内部の所定位置には、図1中紙面と垂直方向に、一対のオシレータ電極14A,15Aが対向して配置されている。オシレータ放電回路43Aがトリガ信号G1を受信すると、オシレータ充電器42Aから印加されているオシレータ電圧VAがオシレータ放電回路43Aによってパルス圧縮され、オシレータ電極14A,15A間にパルス状に印加される。これにより、オシレータ電極14A,15A間にオシレータ放電が起きてレーザガスが励起され、パルス状のシードレーザ光21Aが発生する。
【0021】発生したシードレーザ光21Aは、オシレータチャンバ12Aの後部(図1中、紙面左側)に配置された狭帯域化ユニット30に入射し、プリズム32,32によって拡大され、グレーティング33に入射する。グレーティング33では、回折によって所定の中心波長λc近傍の波長を有するシードレーザ光21Aのみが反射される。これを、狭帯域化と言う。グレーティング33は、レーザコントローラ29に電気的に接続された図示しない駆動機構によって、シードレーザ光21Aに対する角度を可変となっている。レーザコントローラ29は、駆動機構に信号を出力し、上記角度を変えることにより、シードレーザ光21Aの中心波長λcを所望する波長に制御することが可能である。
【0022】狭帯域化ユニット30内で狭帯域化されたシードレーザ光21Aは、中心波長λcを有するシードレーザ光21Aとして、前方(図1中紙面の右方)へ出射する。シードレーザ光21Aの一部は、ビームスプリッタ22Aで取り出され、レーザモニタ34Aに入射する。レーザモニタ34Aは、シードレーザ光21Aの出力、中心波長λc、及びスペクトル幅Δλ(以下、これらをレーザパラメータと呼ぶ)をモニタリングして、レーザコントローラ29に出力している。レーザコントローラ29は、モニタリングした中心波長λcに基づき、前記駆動機構に指令信号を出力してグレーティング33を回転させ、シードレーザ光21Aの中心波長λcを所望の目標波長λ0に制御している。これを、波長制御と言う。また、レーザコントローラ29は、モニタリングしたパルス出力に基づき、オシレータ充電器42Aに指令信号を出力してオシレータ電圧VAを変化させ、シードレーザ光21Aのパルス出力が所望の出力となるように制御している。これを、エネルギー一定制御と言う。エネルギー一定制御は、増幅器に対しても同様に、出射レーザ光21Bのパルス出力が所望の出力となるように行なっている。」
イ 引用発明2
前記アより,引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「ステッパなどに用いられるレーザコントローラは,パルス状のシードレーザ光をモニタリングし,モニタリングしたパルス出力に基づき,シードレーザ光のパルス出力が所望の出力となるように制御すること。」
(4)引用文献4の記載
ア 引用文献4
当審拒絶理由で引用された国際公開第02/082597号(以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに次の記載がある。(なお,訳は対応する国内出願の公表公報である特表2004-524705号公報による。)
「Preferred embodiments of the present invention can be described by references to the drawings. A first preferred embodiment of the present invention is shown in FIG. 13. This is an injection seeded power amplifier ArF laser system 200. It comprises two laser systems, a seed laser system 202 and a power amplifier laser system 204. The seed laser system 202 comprised of laser chamber 206 and a line narrowing module 208 comprising a four prism 35X beam expander 210 a tuning mirror 212 and a 10-inch grating 214. The power amplifier laser system comprises once through laser chamber 216.

The seed laser is apertured to produce an output beam with a small cross section preferably 1.5 mm wide and 6 mm high. The system includes lens 218 and lens 219 which together expand the seed laser output beam cross section to 3 mm by 12 mm. This beam of pulses having per pulse energies of about 0.05 mJ is amplified in power amplified laser system to pulse energies of about 10 mJ per pulse.

A small portion about 4 percent of the beam is sampled by partially reflecting mirror 220 and directed to wavemeter 222 which monitors the pulse energy wavelength and bandwidth of the power amplifier output beam. This wavemeter preferably is as described in U.S. Patent No. 5,978,394 or U.S. Patent No. 6,192,064 Bl. Signals from the wavemeter are utilized by controller 224 to adjust charging voltage of a pulse power system which in turn determines the discharge voltage of both laser systems as described in a following section of this specification. The pulse power system is configured as described in that section so that the discharges are precisely tuned to produce the desired output pulse energy. The controller also controls the pivot portion of tuning mirror 212 to provide the desired central wavelength.

Applicants tests have demonstrated that the full width half maximum bandwidth of the seed laser output beam can be reduced with this configuration to less than 0.15 pm as compared to about 0.4 pm for the best state-of-the-art ArF lasers currently used for integrated circuit lithography. With a 1.0 mJ, 0.2 pm seed beam, Applicants project a laser system output beam of 5 to 10 mJ pulse energy and 0.2 pm bandwidth with the configuration shown in FIG. 13. This output beam represents a substantial improvement over the state-of-the-art ArF lithography lasers which operate at about 0.4 pm and 5mJ. 35X beam expander can be replaced with a 45X beam expander and a larger grating is used. Applicants tests have shown that this modification will decrease the bandwidth of the seed laser output beam even further to about 0.15 pm.
...
Pulse Timing
Preferred embodiments of the present invention utilize a pulse power system configured to control the timing of the discharge of the two laser systems to produce desired output pulse laser beams. These embodiments make use of a fractional turn pulse transformer design similar to fractional turn pulse transformer described in U.S. Patent No. 5,142,166. In these embodiments the portion of the pulse power circuits for the two laser systems are separate downstream of the pulse transformer system and portions of the pulse power circuits upstream of the pulse transformer system is common for both laser systems.

FIG. 3 shows an electrical outline of the principal elements of a preferred pulse power system. The portion of the system upstream of the pulse transformer system is very similar to the circuit shown in FIG. 11 which is described in detail U.S. in U.S. Patent No. 6,151,346 (hereby incorporated by reference). A single bank of capacitors define a charging Co capacitor bank 42. Electrical pulses are generated by the closing of switch Si 46 which consists of two IGBT switches mounted in parallel Lo inductor 48 holds off current flow through S t so it can close without any deterioration to charge up C-* capacitor bank 52. Li saturable inductor holds off substantial current flow through pulse transformer system 56 until inductor Li saturates at which time the primary turns of fractional turn pulse transformer system 56 is pulsed with a short about 0.5 microsecond 1000 volt pulse. In this embodiment, transformer system 56 is comprised of two separate transformer units 56A and 56B which in this case are virtually identical.

Each of the pulse transformer unit 56 is similar to the pulse transformer described in U.S. Patent No. 6,151,346. The pulse transformer units of the present embodiment has only a single turn in the secondary winding and 23 induction units. The transformer as configured as an auto transformer as shown in FIG. 3B to provide a 1:24 step-up ratio. Each of the 23 induction units comprise an aluminum spool 56A having two flanges (each with a flat edge with threaded bolt holes) which are bolted to positive and negative terminals on printed circuit board 56B as shown along the bottom edge of FIG. 3A. (The negative terminals are the high voltage terminals of the twenty three primary windings.) Insulators 56C separates the positive terminal of each spool from the negative terminal of the adjacent spool. Between the flanges of the spool is a hollow cylinder 1 1/16 inches long with a 0.875 OD with a wall thickness of about 1/32 inch. The spool is wrapped with one inch wide, 0J mil thick Metglas(TM) 2605 S3 A and a 0.1 mil thick mylar film until the OD of the insulated Metglas(TM)wrapping is 2.24 inches. A prospective view of a single wrapped spool forming one primary winding is shown in FIG. 5 of U.S. Patent No.6,151,346.

The secondary of each transformer is a single OD stainless steel rod mounted within a tight fitting insulating tube of Teflon (R) (PTFE). The transformer units are in four sections as shown in FIG. 3A. The low voltage end of stainless steel secondary shown as 56D in FIG. 3A is tied to the primary HV lead on printed circuit board 56B at 56E, the high voltage terminal is shown at 56F. As a result, the transformer assumes an auto- transformer configuration and the step-up ratio becomes 1:24 instead of 1:23. Thus, an approximately -1400 volt pulse between the + and - terminals of the induction units will produce an approximately -35,000 volt pulse at terminal 56F on the secondary side. A 1000 volt primary pulse produces a pulse on the secondary sides of both transformers of about 24,000 V. This single turn secondary winding design provides very low leakage inductance permitting extremely fast output rise time.

The general configuration of the pulse transformer system is shown in FIG. 3B. As indicated in this figure, the primary high voltage pulse of about 1000N produced by the upstream portion of the pulse power system arrives at each pulse transformer at exactly the same time and as the corresponding output pulse of each of the transformers will therefore be substantially identical in shape and time. Applicants estimate that the jitter at the output of the two transformer will be less than one nanosecond.

As indicated in FIG. 3 in this embodiment the portion of pulse power circuits downstream of the pulse transformers are separate but substantially equal so that the jitter at electrodes 83 and 84, A and B, is estimated to be less than 3 ns. Therefore, the gain medium in both lasers is produced at the same time with a variation of less than about 3 ns. The duration of each of the pulses is about 20 to 50 ns so that the laser pulse produced in the first laser is properly amplified in the second laser. Preferably, the circuit is provided with a bias circuit to bias all saturable inductors so that they are reverse conducting prior to each pulse. The bias circuit is designed so that during a short period immediately after the pulse the saturable inductors remain forward conducting so that pulse energy reflected from the electrodes can be recovered as explained in detail in U.S. Patent No. 5,729,562.

In preferred embodiments of this invention, the output coupler of the first laser is located about one foot downstream of the input window of the second laser. Therefore, for this reason or for other reasons, it may be desirable to delay the discharge of the second laser as compared to the first laser. Since the electrical pulse travels through a good conductor at a rate of about 1.0 ns/20 cm, this can easily be accomplished by making a conductor carrying the pulse of the second laser longer (for example, by 20 to 40 cm) than a corresponding conductor for the first laser. 」(7頁4行-10頁23行)
(訳:本発明の好ましい実施形態は、図を参照しながら説明することができる。本発明の第1の好ましい実施形態を図13に示す。これは、注入シード方式電力増幅器ArFレーザシステム200である。それは、2つのレーザシステム、つまり、シードレーザシステム202及び電力増幅器レーザシステム204を備える。シードレーザシステム202は、レーザチャンバ206と、四プリズム35Xビームエキスパンダ210、同調ミラー212、及び10インチ回折格子214を含むライン・ナローイング・モジュール208とで構成されている。電力増幅器レーザシステムは、レーザチャンバ216を含む。

シードレーザには、好ましくは幅1.5mm及び高さ6mmの小さな断面を有する出力ビームを生成するために絞りが設置されている。本システムは、シードレーザ出力ビーム断面を3mmx12mmに協働して拡大するレンズ218及びレンズ219を含む。約0.05mJ毎パルスのエネルギを有するこのパルスのビームは、電力増幅レーザシステムにおいて、約10mJ毎パルスのパルスエネルギに増幅される。

ビームの約4%に当たる小部分が、部分反射ミラー220により採取されて、電力増幅器出力ビームのパルスエネルギ波長及び帯域幅をモニタする波長計222に向けられる。この波長計は、好ましくは、米国特許第5,978,394号又は米国特許第6,192,064号B1で説明されているものである。波長計からの信号は、パルス電力システムの充電電圧を調節するためにコントローラ224により利用され、このパルス電力システムは、次に、本明細書の以下の節で説明するように、両方のレーザシステムの放電電圧を判断する。パルス電力システムは、所望の出力パルスエネルギを生成するために放電が正確に同調されるように、その節で説明するように構成される。コントローラはまた、所望の中心波長が得られるように同調ミラー212のピボット部分を制御する。

本出願人の試験は、シードレーザ出力ビームの半値全幅帯域幅が、集積回路リソグラフィに現在使用される最良の最先端ArFレーザの場合で約0.4pmであるのに対して、この構成を用いて0.15pmよりも小さく低減することができることを明らかにした。
1.0mJ及び0.2pmのシードビームを用いて、本出願人は、図13に示す構成で、5から10mJのパルスエネルギ及び0.2pmの帯域幅を有するレーザシステム出力ビームを予想している。この出力ビームは、約0.4pm及び5mJで作動する最先端ArFリソグラフィレーザに対する大幅な改良であることを示すものである。35Xビームエキスパンダに代わって45Xビームエキスパンダを使用することができ、より大きな回折格子が使用される。本出願人の試験により、この改造は、シードレーザ出力ビームの帯域幅を更に一層低減して約0.15pmにすることが示された。
・・・
パルスタイミング
本発明の好ましい実施形態は、所望の出力パルスレーザビームを生成するために2つのレーザシステムの放電タイミングを制御するように構成されたパルス電力システムを利用する。これらの実施形態は、米国特許第5,142,166号で説明されている部分巻回パルス変圧器と類似の部分巻回パルス変圧器設計を利用する。これらの実施形態では、パルス電力回路の2つのレーザシステムに対する部分は、パルス変圧器システムの下流側で別々のものであり、パルス電力回路のパルス変圧器システムの上流側の部分は、両方のレーザシステムに対して共通である。

図3は、好ましいパルス電力システムの主な要素の電気的概要を示す。パルス変圧器システムの上流側のシステムの部分は、米国特許第6,151,346号で説明されている(本明細書において引用により組み込まれる)図11に示す回路と非常に似通っている。単一コンデンサバンクが、充電C_(0)コンデンサバンク42を形成する。電気パルスは、並列に取り付けられた2つの「IGBT」スイッチから成るスイッチS_(1)46を閉じることにより発生する。L_(0)インダクタ48は、スイッチが劣化することなく閉じてC_(1)コンデンサバンク52を充電することができるように、S_(1)を通る電流の流れを遠ざける。L_(1)飽和可能インダクタは、コンデンサL_(1)が飽和するまで、パルス変圧器システム56を通る相当の電流の流れを遠ざけ、それが飽和した時点で、部分巻回パルス変圧器システム56の一次巻回は、短い約0.5マイクロ秒の1000ボルトパルスでパルスを加えられる。この実施形態において、変圧器システム56は、この場合は実質的に同一である2つの別々の変圧器ユニット56A及び56Bで構成される。

パルス変圧器ユニット56の各々は、米国特許第6,151,346号で説明されているパルス変圧器と類似のものである。本実施形態のパルス変圧器ユニットは、二次巻線に単一巻回のみと、23個のインダクションユニットとを有する。変圧器は、図3Bに示すように、1:24のステップアップ比が得られるように自動変圧器として構成される。23個のインダクションユニットの各々は、図3Aの下縁に沿って示すように、プリント回路基板56B上の正端子及び負端子にボルト留めされる2つのフランジ(各々がねじ付きボルト穴を備えた平坦縁部を有する)を有するアルミニウム製スプール56Aを含む。(負端子は、23個の一次巻線の高電圧端子である。)絶縁体56Cは、各スプールの正端子を隣接スプールの負端子から分離させる。スプールのフランジ間には、外径0.875、壁厚約1/32インチで長さ1と1/16インチの中空シリンダがある。スプールは、絶縁された「Metglas(登録商標)」ラッピングの外径が2.24インチになるまで、1インチ幅で0.7ミル厚の「Metglas(登録商標)2605 S3A」、及び、0.1ミル厚のマイラーフィルムでラップされている。1つの一次巻線を形成する単一のラップされたスプールの斜視図が、米国特許第6,151,346号の図5に示されている。

各変圧器の二次側は、「Teflon(登録商標)」(PTFE)のきつく嵌る絶縁管内に取り付けられた単一外径のステンレス鋼ロッドである。変圧器ユニットは、図3Aに示すように4つの部分になっている。図3Aに56Dとして示すステンレス鋼二次側の低電圧端部は、56Eでプリント回路基板56B上の一次側HVリード線に結合され、高電圧端子は、56Fに示されている。その結果、変圧器は、自動変圧器構成を有し、ステップアップ比は、1:23ではなく1:24になる。すなわち、インダクションユニットの正及び負端子間の約-1400ボルトのパルスにより、二次側の端子56Fで約-35,000ボルトのパルスが生成されることになる。1000ボルトの一次パルスにより、両方の変圧器の二次側に約24,000ボルトのパルスが生成される。この単一巻回二次巻線設計により、極めて高速の出力立ち上がり時間を可能にする非常に低い漏れインダクタンスが得られる。

パルス変圧器システムの一般的な構成を図3Bに示す。この図で示すように、パルス電力システムの上流側部分により生成された約1000ボルトの一次高電圧パルスは、全く同時に各パルス変圧器に到達し、変圧器の各々の対応する出力パルスは、従って、形状及び時間が実質的に同一であることになる。本出願人は、2つの変圧器の出力におけるジターは、1ナノ秒よりも短いことになると推定する。

図3に示すように、この実施形態において、パルス電力回路のパルス変圧器の下流側の部分は別々であるが実質的に等しく、そのために電極83及び84とA及びBとにおけるジターは、3nsよりも短いと推定される。従って、両方のレーザにおける利得媒体は、約3nsよりも短い変動があるが同時に生成される。各パルスの持続時間は、第1レーザにおいて生成されたレーザパルスが第2レーザにおいて適正に増幅されるように、約20から50nsである。回路には、全ての飽和可能インダクタにバイアスを掛けることによりそれらが各パルスの前に逆方向に導電するように、バイアス回路を設けることが好ましい。バイアス回路は、米国特許第5,729,562号で詳細に説明されているように、パルス直後の短い時間の間は飽和可能インダクタが順方向導電のままであり、それによって電極から反射したパルスエネルギを回復することができるように設計される。

本発明の好ましい実施形態では、第1レーザの出力カプラは、第2レーザの入力窓の約1フィート下流側に位置する。従って、この理由又は他の理由から、第1レーザと比較して第2レーザの放電を遅延させることが望ましいであろう。これは、電気パルスが約1.0ns/20cmの割合で良導体を通って進むので、第2レーザのパルスを運ぶ導体を第1レーザの対応する導体よりも長くする(例えば、20から40cmだけ)ことにより容易に達成することができる。)
イ 引用発明4
前記アより,引用文献4には,次の発明(以下,「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「リソグラフィレーザに用いるシードレーザシステム及び電力増幅器レーザシステムの2つのレーザシステムを備え,所望の出力パルスレーザビームを生成するために2つのレーザシステムの放電タイミングを制御するように構成されたパルス電力システムであって,両方のレーザにおける利得媒体は、約3nsよりも短い変動があるが同時に生成されること。」
(5)引用文献5の記載
ア 引用文献5
当審拒絶理由で引用された特開2001-075043号公報(以下,「引用文献5」という。)には,図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、ビームを整形するためのビーム整形光学系に関し、特にシリンダアレイタイプのビームホモジナイザーに関する。
【0002】
【従来の技術】ビームホモジナイザーは、アモルファスシリコンのレーザアニーリングに代表される用途に用いられるが、基板の大型化と高スループット化の要求に伴い、よりレーザビームの長尺化が要求されている。また、長尺方向と直行するビーム幅方向に関しては、これまでと同様のエネルギー密度を確保するため、ビーム長が大きくなる分だけ、より線幅の小さなビームが要求されている。すなわち、長尺方向はより長尺化、ビーム幅方向はより細線化という極端なビーム形状が要求されるわけであるが、実用化のためには、ビーム幅方向のエッジの急峻性と、全長尺範囲にわたる均一性という条件が満たされる必要がある。」
(イ)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のようなビームホモジナイザでは、シリンドリカルレンズの母線断面において、光軸に対してある程度以上の角度を有する斜入射光が入射する場合、見かけ上のパワーが光軸に平行な直入射光よりも大きくなり、ガウス像面の手前で短軸断面の光が集光してピントずれをおこす。このようなピントずれに対応する像面湾曲の量を実用上間題ない程度に抑えるためには、加工面で同じビーム長を得ることを前提として、長尺側のNAを充分小さくすることによってシリンドリカルレンズへの入射角度を抑えるしかなかった。」
(ウ)「【0013】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕図1は、本発明に係る第1実施形態のビーム整形光学系の構造を説明する図である。図1(a)は、線条ビームの長軸方向(すなわち長尺方向)に関する図であり、図1(b)は、線条ビームの短軸方向(すなわち幅方向)に関する図である。
【0014】このビーム整形光学系は、照射光である光ビームを発生するレーザ光源(図示を省略)からの光ビームを線状にして所定強度で所定の加工面である被照射面IS上に入射させる線条ビームホモジナイザであり、レーザ光源からの光ビームを長軸側に関して分割して複数の2次光源を形成する長軸側シリンダアレイ群10と、レーザ光源からの光ビームを短軸側に関して分割して複数の2次光源を形成する短軸側シリンダアレイ群20と、長軸側に関して分割された光ビームを重ね合わせて被照射面IS上に入射させる長軸側コンデンサレンズ系30と、短軸側に関して分割された光ビームを重ね合わせてスリット状の短軸マスク60に入射させる短軸側コンデンサレンズ系40と、物面に配置された短軸マスク60を像面に配置された被照射面IS上に縮小投影するイメージングレンズ50とを備える。
【0015】長軸側シリンダアレイ群10は、第1及び第2シリンドリカルレンズアレイ10a、10bからなる。ここで、第1シリンドリカルレンズアレイ10aは、線条ビームの長軸方向の断面に曲率を有し光源側に凸の複数のシリンドリカルレンズをそれらの母線に垂直な方向に連結した構造を有する。第2シリンドリカルレンズアレイ10bも、第1シリンドリカルレンズアレイ10aと同一の構造を有する。両シリンドリカルレンズアレイ10a、10bの働きにより、長軸側に関して光ビームを5分割して5つの2次光源を形成することができる。なお、長軸側シリンダアレイ群10を第1及び第2シリンドリカルレンズアレイ10a、10bに分けているのは、両者の相対距離を変えて合成焦点距離を変更することによって、ビームサイズ(ビーム長)を可変にするためである。
【0016】短軸側シリンダアレイ群20は、第3及び第4シリンドリカルレンズアレイ20a、20bからなる。ここで、第3シリンドリカルレンズアレイ20aは、線条ビームの短軸方向の断面に曲率を有し光源側に凸の複数のシリンドリカルレンズをそれらの母線に垂直な方向に連結した構造を有する。第4シリンドリカルレンズアレイ20bは、線条ビームの短軸方向の断面に曲率を有し、像側に凹の複数のシリンドリカルレンズをそれらの母線に垂直な方向に連結した構造を有する。両シリンドリカルレンズアレイ20a、20bの働きにより、短軸側に関して光ビームを5分割して5倍の2次光源を形成することができる。なお、短軸側シリンダアレイ群20を第3及び第4シリンドリカルレンズアレイ20a、20bに分けているのは、両者の相対距離を変えて合成焦点距離を変更することによって、ビームサイズ(線幅)を可変にするためである。
【0017】長軸側コンデンサレンズ系30は、長軸方向の断面に曲率を有し光源側に凸のシリンドリカルレンズからなる第1群レンズ31と、長軸方向の断面に曲率を有し像側に凸のシリンドリカルレンズからなる第2群レンズ32とから構成される。長軸側コンデンサレンズ系30は、長軸側シリンダアレイ群10によって形成される複数の2次光源を被照射面IS上で重ね合わせる働きを有する。ここで、長軸側コンデンサレンズ系30を第1群レンズ31と第2群レンズ32とに分けて、第1群レンズ31の射出瞳位置に第2群レンズ32の前側焦点位置を一致させることにより、長軸側では、被照射面IS側にテレセントリックとなる。これにより、イメージングレンズ50を通過する主光線を光軸OAに平行にすることができる。
【0018】短軸側コンデンサレンズ系40は、短軸方向の断面に曲率を有し光源側に凸のシリンドリカルレンズからなる。この短軸側コンデンサレンズ系40は、短軸側シリンダアレイ群20によって形成された複数の2次光源を短軸マスク60上で重ね合わせる働きを有する。
【0019】イメージングレンズ50は、短軸方向の断面に曲率を有するシリンドリカルレンズからなる。このイメージングレンズ50は、短軸側コンデンサレンズ系40によって短軸マスク60上に重ね合わされた光源像を被照射面IS上に縮小投影する働きを有する。
【0020】なお、短軸マスク60は、二枚のナイフエッジ状の誘電体ミラーでできており、短軸方向の均一化面に配置される。この短軸マスク60は、入射した光ビームの短軸方向に関する裾野部分をカットするためのものであるが、必須のものではない。
【0021】以下、図1のビームホモジナイザによる結像について説明する。この線条ビームホモジナイザに入射した光ビームは、まず長軸側シリンダアレイ群10により長軸断面で分割される。分割された光ビームは、第1群レンズ31に入射し、その後に配置されている第2群レンズ32とセットで被照射面IS上に重ね合わせられ、ここに均一ビームを形成する。第1群レンズ31を通った光ビームは、短軸側シリンダアレイ群20に入射し、短軸断面で分割される。短軸側シリンダアレイ群20を経た光ビームは、短軸コンデンサレンズ系40に入射し、短軸マスク60のマスク面上で短軸断面に関してのみ均一ビームを形成する。すなわちマスク面が短軸断面における2次光源の重ね合わせ面となり、ここに均一ビームが形成される。なお、このマスク面は、長軸断面における重ね合わせ面となっていないため、長軸方向については均一ビームが形成されていない。短軸マスク60は、均一である範囲のみ透過し、裾野部分の均一ではない部分を遮光して短軸マスク60の像側にビームが届くのを防止する。短軸マスク60を通った光ビームは、第2群レンズ32に入射し、長軸断面の主光線が光軸に対し平行となって出射する。第2群レンズ32から出射した光ビームは、その後イメージングレンズ50を通過して被照射面IS上で均一ビームを形成する。この際、長軸断面で2次光源が完全に重ね合わされるだけでなく、短軸断面でも、イメージングレンズ50によって短軸マスク60の縮小投影像が形成される。ここで、イメージングレンズ50はシリンドリカルレンズであり、このシリンドリカルレンズを通過する光ビームの長軸断面はテレセントリックとなっている。よって、既に説明したように、イメージングレンズ50を通過する主光線を光軸OAに平行にすることができ、長軸方向に沿った短軸断面の結像について像面湾曲が発生しない。また、デフォーカスが生じてもビーム長は変化しない。
【0022】図2は、参考のための図であり、図1のビームホモジナイザから第2群レンズ32を除いた場合に発生する像面湾曲を説明する図である。図からも明らかなように、シリンドリカルレンズであるイメージングレンズ50の母線断面において、光軸OAに対して角θを有する斜入射光L’が入射する場合、見かけ上のパワーが光軸OAに平行な直入射光Lよりも大きくなり、ガウス像面上の結像位置FLよりも手前側の位置FL’で短軸断面の光が集光してピントずれをおこす。このようなピントずれによって像面湾曲が発生し、斜入射光L’の入射する角θが大きくなる程、像面湾曲の量も増加する。
【0023】しかしながら、上記実施形態のビームホモジナイザでは、長軸断面で像側テレセントリックとなっており、イメージングレンズ50を通過する主光線が光軸OAに平行となっているので、短軸断面の結像については像面湾曲が発生しない。」
(エ)図1(a)には,光ビームが第1群レンズ31において長軸方向に伸張されることが記載されている。
(オ)図1(b)には,光ビームがイメージングレンズ50において短軸方向に短縮されることが記載されている。
イ 引用発明5
前記アより,引用文献5には次の発明(以下,「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「レーザアニーリングに用いられるレーザのビームを整形するための整形光学系であって,レーザ光源からの光ビームを線状にし,光ビームを長軸方向に伸張し,短軸方向に短縮すること。」
(6)本願発明と引用発明1との対比
ア 引用発明1の「絶縁基板上の被膜にパルス状レーザー光を照射することによって半導体を活性化せしめるレーザーアニール装置」は,「結晶性が著しく損なわれた被膜のレーザーアニール」(前記(2)ア(イ)【0001】)をするものであるから,「被加工物の薄膜における配向又は結晶成長の変換を実行する」ものであり,また,「使用されるレーザー光はエキシマーレーザーである」から「ガス放電レーザ」を使用するものである。すると,これは,本願発明の「被加工物の薄膜における配向又は結晶成長の変換を実行するガス放電レーザ結晶化装置」に相当すると認められる。
イ 引用発明1において「レーザー光は発振器で発振され,全反射ミラーを経由して増幅器で増幅され」て「エキシマーレーザー」の「パルス状レーザー光」とするものであり,これが「所定のパワー及び所定の繰り返しレート」を有することは自明であるから,この「発振器」,「全反射ミラー」および「増幅器」から成るシステムは,下記相違点1及び2を除いて,本願発明の「所定のパワー及び所定の繰り返しレートでレーザ出力光パルスビームを生成するエキシマレーザシステム」で「前記エキシマレーザシステムは、レーザパルスビームを出力する第1レーザユニットと、前記レーザパルスビームを増幅することによって前記レーザ出力光パルスビームを出力する第2レーザユニットと、第1レーザユニットからの前記レーザパルスビームを前記第2レーザユニットに方向付けるように動作するリレー光学系と,を備える」ものに相当すると認められる。
ウ 引用発明1の光学系は,レーザー光が導入され,「光学系によって細長いビームに加工され,短冊状のビーム」を出力するものであるから,下記相違点3を除いて,本願発明の「前記レーザ出力光パルスビームを整形する発散性補正光学系」で「前記発散性補正光学系は、前記長軸方向の長軸の端部における前記短軸方向の幅が前記長軸の中央における前記短軸方向の幅より広くならないように、前記レーザ出力光パルスビームを整形するように構成されている」ものに相当すると認められる。
エ すると,本願発明と引用発明1とは,下記オの点で一致し,下記カの点で相違すると認められる。
オ 一致点
「被加工物の薄膜における配向又は結晶成長の変換を実行するガス放電レーザ結晶化装置であって、
所定のパワー及び所定の繰り返しレートでレーザ出力光パルスビームを生成するエキシマレーザシステムと、
前記レーザ出力光パルスビームを整形する発散性補正光学系と、を備え、
前記エキシマレーザシステムは、
レーザパルスビームを出力する第1レーザユニットと、
前記レーザパルスビームを増幅することによって前記レーザ出力光パルスビームを出力する第2レーザユニットと、
第1レーザユニットからの前記レーザパルスビームを前記第2レーザユニットに方向付けるように動作するリレー光学系と、
を備え、
前記発散性補正光学系は、前記長軸方向の長軸の端部における前記短軸方向の幅が前記長軸の中央における前記短軸方向の幅より広くならないように、前記レーザ出力光パルスビームを整形するように構成されている、
ガス放電レーザ結晶化装置。」
カ 相違点
(ア)相違点1
本願発明の「エキシマレーザシステム」は「パルス間ドーズ制御を用いる」のに対し,引用発明1では「パルス間ドーズ制御」が開示されていない点。
(イ)相違点2
本願発明の「エキシマレーザシステム」は「-3nsec?+3nsecの範囲内で前記第1レーザユニット及び前記第2レーザユニットにおけるガス放電の生成のタイミングを合わせるタイミング及び制御モジュール」を備えるのに対し,引用発明1においては「発振器」と「増幅器」のタイミングを合わせることが開示されていない点。
(ウ)相違点3
本願発明の「発散性補正光学系」は「長軸方向に伸長され短軸方向に短縮されるように整形する」のに対し,引用発明1の光学系はこのことが明示されていない点。
(7)判断
ア 相違点1について
ステッパなどの半導体製造に用いられるレーザー光の出力制御について,引用発明2は,レーザコントローラによりレーザ光のパルス出力をモニタリングしてパルス出力が所望の出力となるように制御することを開示しており,引用発明1においては,シート抵抗のばらつきを抑えるために,適正なレーザエネルギー密度の設定が求められている(引用文献1の段落0022)から,ばらつきを押さえるために同じ半導体製造のレーザに係る引用発明2のレーザコントローラ技術を採用することは,当業者が容易になし得ることである。
イ 相違点2について
引用発明4は,リソグラフィレーザのような半導体製造に用いられるレーザーのタイミング制御について,2つのレーザシステムの放電タイミングを制御して,両方のレーザにおける利得媒体は約3nsよりも短い変動とすることを開示しており,引用発明1においては,シート抵抗のばらつきを抑えるために,適正なレーザエネルギー密度の設定が求められている(引用文献1の段落0022)から,ばらつきを押さえ所望の出力パルスレーザビームを得るために同じ半導体製造のレーザに係る引用発明4のタイミング制御技術を採用することは,当業者が容易になし得ることである。
ウ 相違点3について
引用発明1は「光学系によって細長いビームに加工され」るものであるから,同じレーザアニーリングに係る引用発明5の光ビームを線状にする整形光学系を採用して,引用発明1を具体化することは,当業者が容易に設計できることである。
(8)本願発明の効果について
本願発明の効果は,引用文献1,2,4,5に記載された発明の構成から,当業者が予測できる程度のものであり,格別のものではない。
(9)請求人の主張について
ア 請求人は,平成29年4月5日付け意見書において,5つもの相違点があることを認定しながら,それぞれの相違点について容易と認定して,全体として進歩性がないとの結論を導くことは妥当ではないと主張している。
本審決では,個々の相違点についての検討だけでなく,前記(8)のとおり,本願発明の効果についても検討することにより,事実に基づいて総合的に評価して結論を導いているのであり,請求人の主張はあたらない。なお,補正後の明確になった請求項1に記載された本願発明と引用発明1との相違点は,前記(6)カのとおり,3点にすぎない。
イ また,請求人は,同意見書において,引用文献はいずれも、補正後の本願発明に係る「パルス間ドーズ制御を用いて所定のパワー及び所定の繰り返しレートでレーザ出力光パルスビームを生成するエキシマレーザシステム」と「レーザ出力光パルスビームを長軸方向に伸長され短軸方向に短縮されるように整形する発散性補正光学系」とを開示も示唆もしていない旨主張している。
前記(6)カのとおり,請求人の主張に係る構成は,それぞれ,相違点1及び3として認定した上で,前記(7)ア及びウのとおり,引用文献1の示唆ないし開示によって,それぞれ引用発明2及び5の開示に係る構成を採用すれば,容易に想到できるものであるから,出願人の主張はあたらない。
(10)まとめ
以上のとおりであるから,本願発明は,引用文献1,2,4,5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。

3 結言
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明については,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-25 
結審通知日 2017-04-26 
審決日 2017-05-09 
出願番号 特願2012-111806(P2012-111806)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴山 将隆  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 深沢 正志
小田 浩
発明の名称 レーザによりポリシリコン薄膜をアニールする光学系  
代理人 江口 昭彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  
代理人 内藤 和彦  

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