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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B64C 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 B64C 審判 全部申し立て 産業上利用性 B64C 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B64C |
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管理番号 | 1333264 |
異議申立番号 | 異議2017-700556 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-06-02 |
確定日 | 2017-10-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6041492号発明「航空機の扉、およびそれを備えた航空機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6041492号の請求項1?3に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6041492号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成24年1月17日に特許出願され、平成28年11月18日に特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人日高賢治(以下、「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第6041492号の請求項1?3に係る発明(以下、「本件発明1?3」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 航空機の機体表面に形成された開口部を塞ぐ扉であって、 前記開口部に開閉可能に設けられたパネル状の扉本体と、 前記扉本体において少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がるフェンスと、 を備え、 前記フェンスは、 前記扉本体側の基端部から機体内方に立ち上がった先端部にかけて、機体前方側に傾斜した傾斜部を有しており、 前記扉本体が機体外方に向けて開いたときに、 前記扉本体を機体内方に押圧する力が作用し、 前記扉本体の外周部と前記開口部の外周部との隙間を塞ぐことを特徴とする航空機の扉。 【請求項2】 前記扉本体は、前記機体に設けられた脚収納部に収容可能な降着装置の脚に設けられ、前記脚収納部を塞ぐものであることを特徴とする請求項1に記載の航空機の扉。 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の航空機の扉を備えていることを特徴とする航空機。」 第3 申立理由の概要 特許異議申立人は、証拠として、次の甲第1及び2号証を提出し、以下の申立理由1?5により、特許を取り消すべきものである旨主張している。 甲第1号証:日本航空宇宙学会 30周年記念講演会 講演集 第31?34頁 第31?34頁 S-4 B777中央翼、主脚扉の設計・製造 開催日:1999年4月6日(火)?8日(木) 会場 :科学技術庁航空宇宙技術研究所 主催 :社団法人 日本航空宇宙学会 発行 :1999年 発行者:社団法人 日本航空宇宙学会 西武徳 甲第2号証:特開2010-195149号公報 1 申立理由1(特許法第29条第1項柱書) 本件発明1?3は、産業上利用することができる発明ではなく、特許法第29条第1項柱書の規定に違反してなされたものであるから、本件発明1?3に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 2 申立理由2(特許法第36条第4項第1号) 特許第6041492号の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでなく、本件発明1?3は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件発明1?3に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 3 申立理由3(特許法第36条第6項第1号) 本件発明1?3は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件発明1?3に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 4 申立理由4(特許法第36条第6項第2号) 本件発明1?3は、明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件発明1?3に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 5 申立理由5(特許法第29条第2項) 本件発明1?3は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、又は、甲第1ないし2号証に記載された発明ないし技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明1?3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 第4 各甲号証の記載事項等 以下、「甲第1号証及び甲第2号証」を、それぞれ、「甲1及び甲2」という。 1 甲1について (1)甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。) (1a) 「1.まえがき」(31頁13行)の項目には次の事項が記載されている。 「B777の開発に於いて富士重工業は中央翼及び主脚扉/翼胴フェアリングの設計・製造を担当した。主翼、特に機体インテグレーションの要となる中央翼はBoeing社が今回始めて国際共同開発の対象にした部位であり、各種インタフェースを取りつつ大型構造の高品質・低コスト設計に取組んだ。主脚扉は6輪主脚を収納する世界最大規模のドアであり、複合材ハニカムサンドイッチ構造で高精度な軽量大型一体ドアを実現した。」(31頁14?18行) (1b) 「3.構造概要」(32頁17行)の項目には次の事項が記載されている。 「(2)主脚扉(図2,3);長さ4.6m、幅2.5mの1体の複合材ハニカム・サンドイッチ・パネルにアルミ合金製ヒンジビーム及びヒンジ金具、アップロック金具、ストッパ金具がファスニングされている。」(32頁25?30行) (1c) 「4.主脚扉設計時の技術課題」(32頁38行)の項目には次の事項が記載されている。 「(2)変形に対する配慮;飛行中に開閉する大型扉の最大課題は、胴体側の大きな切欠き部とのフィト性であり、胴体側も含めたFEM変形解析(図5)を実施するとともに、扉外方のアップロック及びストッパによるリギング量の設定、パネル周辺のシール性を考慮したエッジバンド化等を実施した。前方側スットプ金具は全ての制限荷重状態で開かない様に、後方スットプ金具は代表的疲労荷重レベル(1.3G)で開かない様にアップロックで締込む設計方針を設定し、扉取付時の胴体支持条件や温度差等も考慮して慎重に設計を進めた。またアップロックに関しては開かないと飛行安全に関わる事態を招くため、構成部品の破壊がジャミングを招かないよう配慮し、また扉を引掛けるフックの形状も周辺構造の変形を十分考慮して設定した。」(33頁19?27行) (1d) 「4.主脚扉設計時の技術課題」(32頁38行)の項目には次の事項が記載されている。 「(3)設計荷重の設定;主構造の内部荷重はBoeing荷重グループ主導で全機FEMから設定されるが、主脚扉や翼胴フェアリングに於いてはSec.49グループ主導で検討を進めた。脚室内やフェアリング内に働くキャビティ・プレッシャは計算上算定しずらい象徴的な荷重であり、これらは他機飛行試験実績を尊重してクライテリア荷重として加味した。」(33頁28行?34頁3行) (1e) 「4.主脚扉設計時の技術課題」(32頁38行)の項目には次の事項が記載されている。 「(6)その他・・・またドア周辺はシール性の向上とともに水の浸入防止の観点からも全周エッジ・バンド化を徹底した。」(34頁16?18行) (2)甲1に記載された発明 摘記1a?1e及び図1?5を踏まえると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 「胴体側も含めたFEM変形解析を実施するとともに、扉外方のアップロック及びストッパによるリギング量の設定、パネル周辺のシール性を考慮したエッジバンド化等を実施し、変形に対する配慮をした大型扉であり、 複合材ハニカム・サンドイッチ・パネルにアルミ合金製ヒンジビーム及びヒンジ金具、アップロック金具、ストッパ金具がファスニングされているB777の主脚扉である大型扉。」 2 甲2について (1) 甲2には、図とともに以下の事項が記載されている。 (2a) 「【0001】 本発明は、航空機の降着装置に関する。 【背景技術】 【0002】 降着装置の脚構造のすき間と脚構造及び脚扉の間のすき間とに気流が流入、通過することにより騒音が発生する。降着装置で発生する騒音を低減することで、乗客の快適性と空港周辺の環境とが向上する。特許文献1及び2は、降着装置用騒音低減装置の従来例を開示している。」 (2b) 「【0004】 本発明の目的は、騒音が低減される降着装置及び降着装置用騒音低減デバイスを提供することである。」 (2c) 「【0023】 【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る降着装置の展開状態における左側面図(a)、正面図(b)、及び右側面図(c)を示す。 【図2】図2は、第1の実施形態に係る降着装置の展開状態における断面図である。 【図3】図3は、第1の実施形態に係る降着装置の格納状態における正面図である。 ・・・・」 (2d) 「【0025】 (第1の実施形態) 図1は、本発明の第1の実施形態に係る降着装置1Aの展開状態における左側面図(a)、正面図(b)、及び右側面図(c)を示す。ここで、展開状態は、離着陸のために降着装置1Aが機体から突き出した状態である。降着装置1Aは、例えば、航空機の主脚として提供される。降着装置1Aは、脚10Aと、車輪25と、サイドブレース40と、外舷扉31と、中舷扉32と、内舷扉33と、気流流入防止板17を備える。脚10Aは、トラニオン11と、脚柱12と、棒状部13及び14と、板状部15及び16と、ピストン22と、トルクリンク20と、車輪支持部19を備える。機体の前後方向に平行な回転軸S1がトラニオン11を貫いている。トラニオン11は、回転軸S1に沿って延びる形状を有する。車輪支持部19は、車輪25を回転可能に支持する。脚柱12は、トラニオン11及び車輪支持部19を接続する。脚柱12は、トラニオン11に結合し、ピストン22を介して車輪支持部19に接続する。ピストン22は、伸縮自在であり、着陸時の衝撃を吸収する。トルクリンク20は、車輪支持部19及び車輪25が脚柱12に対してピストン22の軸まわりに回転することを防止する。棒状部13は、脚柱12の機体前方側に配置され、脚柱12に対して斜めになるように脚柱12及びトラニオン11に結合する。棒状部13は、機体前後方向の荷重を受け持つ張出し部である。棒状部14は、脚柱12の機体後方側に配置され、脚柱12に対して斜めになるように脚柱12及びトラニオン11に結合する。棒状部14は、機体前後方向の荷重を受け持つ張出し部である。板状部15は、脚柱12と棒状部13の間を塞いでいる。板状部16は、脚柱12と棒状部14の間を塞いでいる。外舷扉31は、図示されないリンクを介して脚10Aに取り付けられている。なお、外舷扉31は、機体側(例えば主翼構造)に取り付けられる場合がある。 この場合、外舷扉31はリンク機構を介して脚10Aに接続される。中舷扉32は、脚柱12に固定的に取り付けられている。内舷扉33は、ヒンジ34を介して中舷扉32に取り付けられている。脚10Aは、図示されないアクチュエータによって回転軸S1まわりに回転されることで、展開状態と格納状態とを遷移する。サイドブレース40は、脚10Aを展開状態に保持する。外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33は、脚10Aが展開状態のとき脚10Aの機体側方側に配置される。気流流入防止板17は、脚10Aの長手方向に延びる形状を有し、トラニオン11側のトラニオン側部分17aと、車輪支持部19側の車輪支持部側部分17bを備える。棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17aと脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bとが斜めに結合している。」 (2e) 「【0026】 図2を参照して、脚10Aと中舷扉32の間に脚・脚扉間空間81が設けられている。板状部15は、気流が脚柱12と棒状部13の間を通過して脚・脚扉間空間81に流入することを防止し、且つ、気流が脚柱12と棒状部13の間を通過して脚・脚扉間空間81から流出することを防止する気流流入・流出防止手段として機能する。したがって、脚柱12と棒状部13の間を通過して脚・脚扉間空間81に流入する気流による騒音が防止され、脚柱12と棒状部13の間を通過して脚・脚扉間空間81から流出する気流による騒音が防止される。板状部16は、気流が脚柱12と棒状部14の間を通過して脚・脚扉間空間81に流入することを防止し、且つ、気流が脚柱12と棒状部14の間を通過して脚・脚扉間空間81から流出することを防止する気流流入・流出防止手段として機能する。したがって、脚柱12と棒状部14の間を通過して脚・脚扉間空間81に流入する気流による騒音が防止され、脚柱12と棒状部14の間を通過して脚・脚扉間空間81から流出する気流による騒音が防止される。 【0027】 気流流入防止板17は、脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるように中舷扉32に固定され、気流が脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入することを防止する気流流入防止手段として機能する。したがって、脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入する気流による騒音が防止される。 【0028】 気流流入防止板17が中舷扉32に固定され、中舷扉32が脚柱12に固定されているため、気流流入防止板17が棒状部13及び脚柱12に接触することが防がれる。なお、中舷扉32及び気流流入防止板17が気流にあおられても気流流入防止板17が棒状部13及び脚柱12に接触しないように、気流流入防止板17と棒状部13及び脚柱12の間に騒音低減効果に影響を与えない程度の隙間82が設けられる。気流流入防止板17が脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるため、気流が機体前方から脚・脚扉間空間81に流入することを防止して騒音低減効果を確保することができる。更に、気流流入防止板17の脚10A側にゴム製の保護材70Aが貼り付けられているため、不慮の接触による脚10Aの損傷が防止される。気流流入防止板17は、軽量な材料により形成されることが好ましい。軽量な材料として、繊維強化プラスチックのような複合材料、及び、アルミニウム材料が例示される。なお、気流流入防止板17を脚10Aに設ける場合、気流流入防止板17を脚10Aに取り付けるための加工により脚10Aの強度が低下するおそれがある。脚10Aの強度低下を防止するために取り付けアタッチメントを使用して気流流入防止板17を脚10Aに取り付けると、機体の重量が増加してしまう。気流流入防止板17を中舷扉32に設けることで、脚10Aの強度低下及び機体の重量増加が防止される。また、気流流入防止板17を脚10Aではなく中舷扉32に設けることで、脚10Aが備える配管及び配線と気流流入防止板17とが干渉することが防止される。 【0029】 脚柱12、棒状部13、棒状部14、板状部15、及び板状部16は、一体部品として形成されることが好ましい。一体部品として形成することで、脚10Aの重量増加を防ぎながら必要な強度を確保することができる。例えば、脚柱12、棒状部13、棒状部14、板状部15、及び板状部16は鋳物部品として形成され得る。」 (2f) 「【0030】 図3を参照して、格納状態において、脚10A及び車輪25は機体から突き出さない。このとき、外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33の各々は、主翼の下面の一部又は胴体の下面の一部を形成する。 【0031】 脚10Aにおいて、棒状部13及び14のいずれか一方だけが設けられる場合がある。棒状部13が設けられない場合には板状部15は設けられず、棒状部14が設けられない場合には板状部16は設けられない。 【0032】 本実施形態において、板状部15、16、及び気流流入防止板17の各々は、単独でも騒音低減効果を奏するが、これらを組み合わせて用いることでより強力な騒音低減効果を奏する。」 (2)甲2に記載された発明 ア 「降着装置1Aは、例えば、航空機の主脚として提供される。降着装置1Aは、脚10Aと、車輪25と、サイドブレース40と、外舷扉31と、中舷扉32と、内舷扉33と、気流流入防止板17を備える。」(摘記2d)から、「外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33」は、「航空機の外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33」であると認められる。 イ 摘記2a?2f、上記ア及び図1?3を踏まえると、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲2発明] 「航空機の外舷扉31、気流流入防止板17が固定された中舷扉32、及び内舷扉33の各々は、脚10A及び車輪25が機体から突き出さない格納状態において、主翼の下面の一部又は胴体の下面の一部を形成し、脚10Aが展開状態のとき脚10Aの機体側方側に配置され、 気流流入防止板17は、棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17aと脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bとが斜めに結合し、脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるように中舷扉32に固定され、気流が脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入することを防止する気流流入防止手段として機能し、脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入する気流による騒音が防止される、 航空機の外舷扉31、気流流入防止板17が固定された中舷扉32、及び内舷扉33。」 第5 当審の判断 特許異議申立ての理由1?5について、以下、検討する。 1 申立理由1?4について (1) 本件発明は、本件特許明細書の段落【0005】に記載されるとおり、「飛行中における扉の機体外方への変形を抑えることのできる航空機の扉、およびそれを備えた航空機を提供すること」を技術課題とするものである。 (2) この技術課題を解決するために、本件発明1?3は、少なくとも、「前記扉本体において少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がるフェンス」「を備え」、「前記フェンスは、前記扉本体側の基端部から機体内方に立ち上がった先端部にかけて、機体前方側に傾斜した傾斜部を有しており、前記扉本体が機体外方に向けて開いたときに、前記扉本体を機体内方に押圧する力が作用し、前記扉本体の外周部と前記開口部の外周部との隙間を塞ぐこと」により構成されるものである。 (3) そして、上記構成に関して、本件特許明細書の段落【0019】には、「フェンス30Bの平板状部32は、扉本体21の内表面21aからの立ち上がり角度θが、鋭角となるよう形成される。立ち上がり角度θが小さすぎれば、扉本体21と脚収納部15の開口部15aとの隙間を有効に塞ぐことができず、立ち上がり角度θが大きすぎれば、後述する扉本体21の変形を戻す機能が低くなる。」と記載され、同段落【0020】には、「このようなフェンス30Bを備えた扉20Bは、上記実施形態と同様、扉本体21と脚収納部15の開口部15aとの隙間から空気が脚収納部15内に流れ込むのを抑えることができる。その結果、扉本体21の変形を抑えることができ、その耐久性、品質を高めることができる。そして、扉本体21においてはフェンス30Bが傾斜しているので、フェンス30Bにおいて機体前方側Fの平板状部32の表面32aに空気が当たって正圧となる。これによってフェンス30Bの平板状部32を、その表面32aに直交する方向に押圧する力が作用し、その分力により、フェンス30Bから扉本体21に対して、機体外方に変形した扉本体21を元に戻す力が作用する。これにより、扉本体21がそれ以上機体外方に変形するのを防ぐに加え、変形量を小さくすることが可能となる。」と記載されている。 (4) 上記(3)のとおり、段落【0019】には、「立ち上がり角度θが大きすぎれば、後述する扉本体21の変形を戻す機能が低くなる」と記載されているところ、当該「立ち上がり角度θ」を決定すれば、段落【0020】の「圧」ないし「力」等に関して、機体前方側Fの平板状部32の表面32aに空気が当たることで発生する正圧が定まり、フェンス30Bの平板状部32を、その表面32aに直交する方向に押圧する力が定まり、その分力により、フェンス30Bから扉本体21に対して、機体外方に変形した扉本体21を元に戻す力が定まるといえるから、当該元に戻す力を求めて把握することができ、本件発明1の「前記扉本体が機体外方に向けて開いたときに、前記扉本体を機体内方に押圧する力」が作用することを把握できる。 したがって、本件発明1は、自然法則に反するものであるとはいえない。 そして、実際の飛行状態を想定した力学の解析シミレーション等で、扉本体21の各部品に作用する力を力学的に解析して求め、扉本体21が機体外方に向けて開いたときに、当該扉本体21を機体内方に押圧する力が作用するように、当該扉本体21のフェンスを含む各部品の配置関係や形状・構造等を具体的に計算して導き出し、フェンスの具体的な立ち上がり角度や形状等、機体前方側に傾斜した傾斜部を有するフェンスの構造等を具体的に設計することは、当業者であれば、実施不可能とまではいえない。 (5) 特許異議申立書において、「それゆえ、表面32aに作用する力(フェンス30Bに作用する力)のうち機内方向の成分は、外周部21bに作用する力(機外方向に作用する力)により相殺されることになります。したがって、『扉本体における少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がり、機体前方側に傾斜した傾斜部を有するフェンス』(構成要件C及びD)を有する扉本体(構成要件B)に対しては、この『扉本体を機体内方に押圧する力が作用』することはありません。そのため、『扉本体が機体外方に向けて開いたとき』であっても、この扉本体が備えるフェンスによって『扉本体の外周部と開口部の外周部との隙間を塞ぐ』ことはできません。」(8頁9行?9頁1行)、「湾曲板部33に作用する力(フェンス30Bに作用する力)のうち機内方向の成分は、外周部21bに作用する力(機外方向に作用する力)により相殺されることになります。したがって、『扉本体における少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がり、機体前方側に傾斜した傾斜部を有するフェンス』(構成要件C及びD)を有する扉本体(構成要件B)に対しては、この『扉本体を機体内方に押圧する力が作用』することはありません。そのため、『扉本体が機体外方に向けて開いたとき』であっても、この扉本体が備えるフェンスによって『扉本体の外周部と開口部の外周部との隙間を塞ぐ』ことはできません。」(10頁3?13行)、「このように、外周部21bを折り曲げただけで折り曲げフェンス21b-1を構成するという『別の実施形態』では、この折り曲げフェンス21b-1の先端部側に作用する機内方向の力は、当該折り曲げフェンス21b-1の基端部側に作用する機外方向の力によって相殺されてしまいます。」(11頁18行?12頁2行)と、特許異議申立人は主張する。 確かに、特許異議申立人が主張するとおり、外周部21bには、機外へ押圧する力も作用し、その押圧する力は、フェンス30B,30Cに作用する力と、一部は相殺するものと理解することもできるが、本件発明1は、自然法則に反するものであるとはいえず、実施不可能とまではいえないものであり(上記(3))、上記機外へ押圧する力も考慮した上で、扉本体21を機体内方に押圧する力が作用するように、機体前方側に傾斜した傾斜部を有するフェンスの構造等を具体的に設計することは、当業者であれば、実施可能であるといえる。 また、参考図3のように、湾曲させてフェンスを形成するものも、上記と同様に力学の解析シミレーション等により設計し、実施できるものである。 したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。 (6) 上記(1)?(5)を踏まえると、以下のとおりである。 ア 本件発明1?3は、自然法則に反するものではなく産業上利用できる発明であり(上記(3)及び(4))、特許法第29条第1項柱書の規定に違反してなされたものであるとはいえないから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものであるとはいえない。 イ 本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであり(上記(3)及び(4))、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえないから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものであるとはいえない。 ウ 本件発明1?3は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものであり(上記(3))、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえないから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものであるとはいえない。 エ 上記(2)の記載は、上記(3)及び(4)を踏まえると、技術的に明確でないとはいえず、本件発明1?3は、明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえないから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものであるとはいえない。 オ 以上のとおりであるから、申立理由1?4は、いずれも理由はない。 2 申立理由5について (1)本件発明1について (1-1)甲1発明との対比・判断 ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア) 甲1発明の「B777の主脚扉である大型扉」は、技術常識に照らすと、飛行中に航空機の機体表面に形成された開口部を塞ぐものであることが明らかであるから(甲1の32頁の図3も参照)、本件発明1の「航空機の機体表面に形成された開口部を塞ぐ扉」及び「航空機の扉」に相当する。 (イ) 甲1発明の「複合材ハニカム・サンドイッチ・パネル」は、「アルミ合金製ヒンジビーム及びヒンジ金具、アップロック金具、ストッパ金具がファスニングされている」ものであって、「飛行中に開閉する大型扉」の構成部品の1つといえるものであり、上記(ア)を踏まえると、本件発明1の「前記開口部に開閉可能に設けられたパネル状の扉本体」に相当する。 以上から、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1> 「航空機の機体表面に形成された開口部を塞ぐ扉であって、前記開口部に開閉可能に設けられたパネル状の扉本体を備える航空機の扉。」 <相違点1> 本件発明1は、「前記扉本体において少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がるフェンス」「を備え」、「前記フェンスは、前記扉本体側の基端部から機体内方に立ち上がった先端部にかけて、機体前方側に傾斜した傾斜部を有しており、前記扉本体が機体外方に向けて開いたときに、前記扉本体を機体内方に押圧する力が作用し、前記扉本体の外周部と前記開口部の外周部との隙間を塞ぐ」のに対して、甲1発明は、「胴体側も含めたFEM変形解析を実施するとともに、扉外方のアップロック及びストッパによるリギング量の設定、パネル周辺のシール性を考慮したエッジバンド化等を実施し、変形に対する配慮をした大型扉であ」る点。 イ 判断 以下、相違点1について検討する。 (ア) 本件発明1は、「飛行中における扉の機体外方への変形を抑えることのできる航空機の扉、およびそれを備えた航空機を提供すること」(本件特許明細書の段落【0005】)を課題とするものであるところ、甲1発明は、「高品質・低コスト設計」(摘記1a)を前提とするもので、「飛行中に開閉する大型扉の最大課題は、胴体側の大きな切欠き部とのフィト性であり」(摘記1c)、両者の課題は共通しているとはいえない。 (イ) 甲1発明は、甲1発明の課題を解決するために、「胴体側も含めたFEM変形解析を実施するとともに」、「エッジバンド化等を実施し」「変形に対する配慮」したものであること、及び、FEM解析モデルの図面(甲1の33頁の図5)から、パネルの周囲の一部分に帯状の凸部が設けられ、本件発明1の「扉本体において」「外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がるフェンス」に対応する構成が示唆されていることまでは、理解することもできるが、FEM解析モデルの図面(同図5)等を参照しても、「エッジバンド化」の具体的な形状まで特定できるものではなく、「全周エッジ・バンド化を徹底した」(摘記1e)と記載されているものの、当該「エッジバンド化」が、機体前方側においてどのような態様となっているのかは不明である。 (ウ) さらに、上記凸部は、引用発明の「複合材ハニカム・サンドイッチ・パネル」(本件発明1の「扉本体」に相当。上記ア(イ)参照。)が機体外方に向けて開いたときに、前記複合材ハニカム・サンドイッチ・パネル(扉本体)を機体内方に押圧する力が作用し、前記複合材ハニカム・サンドイッチ・パネル(扉本体)の外周部と機体表面に形成された開口部(上記ア(ア)参照。)の外周部との隙間を塞ぐようにする機能を備えている凸部であるといえるものではない。 (エ) 上記(ア)?(ウ)のとおり、甲1には、本願発明1の上記課題は記載も示唆もされていないし、本件発明1の上記課題を解決するための、上記相違点1に係る本件発明1の構成も、記載も示唆もされていない。 (オ) したがって、本件発明1は、甲1発明ないし甲1に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (1-2)甲2発明との対比・判断 ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア) 甲2発明の「航空機の外舷扉31、気流流入防止板17が固定された中舷扉32、及び内舷扉33」は、その「各々」が、「脚10A及び車輪25が機体から突き出さない格納状態において、主翼の下面の一部又は胴体の下面の一部を形成し、脚10Aが展開状態のとき脚10Aの機体側方側に配置され」るものであり、脚10Aが展開状態のとき脚10A及び車輪25を機体から突き出すことができるように、機体に形成された開口部を格納状態において塞ぐ扉であるといえるから、甲2発明の「航空機の外舷扉31、気流流入防止板17が固定された中舷扉32、及び内舷扉33」は、本件発明1の「航空機の機体表面に形成された開口部を塞ぐ扉」に相当する。 (イ) 甲2発明において、「航空機の外舷扉31、気流流入防止板17が固定された中舷扉32、及び内舷扉33の各々は、脚10A及び車輪25が機体から突き出さない格納状態において、主翼の下面の一部又は胴体の下面の一部を形成」するものであるところ、実質的に、「主翼の下面の一部又は胴体の下面の一部を形成」する部分は、「外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33」自体であり、「下面」という「面の一部を形成」するから、それらはパネル状であるといえること、及び、当該「外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33」自体は、「格納状態」及び「展開状態」の両方の態様をとるものであるから開閉可能であることから、上記(ア)をも踏まえると、甲2発明の「外舷扉31、中舷扉32、及び内舷扉33」は、本件発明1の「前記開口部に開閉可能に設けられたパネル状の扉本体」に相当する。 (ウ) 甲2発明の「気流流入防止板17」は、「棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17aと脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bとが斜めに結合し、脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるように中舷扉32に固定され」、「気流が脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入することを防止する気流流入防止手段として機能」するものであるところ、「脚10A及び車輪25が機体から突き出さない格納状態において」(図3)、「脚・脚扉間空間81」は、「中舷扉32」よりも上側に位置するようになり、その「脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるように中舷扉32に固定され」た「気流流入防止板17」も、「中舷扉32」よりも上側、すなわち、機体内方に(中舷扉32固定されて立ち上がる態様で)位置するようになるものと理解でき、また、当該「気流流入防止板17」が、「中舷扉32」の機体前方側の外周部に位置するようになるものと理解できる。 そして、甲2発明の「中舷扉32」は、本件発明1の「扉本体」の一部であること(上記(イ))をも踏まえると、甲2発明の「中舷扉32に固定されれ」た「気流流入防止板17」は、本件発明1の「前記扉本体において少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がるフェンス」に相当する。 以上から、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点2> 「航空機の機体表面に形成された開口部を塞ぐ扉であって、 前記開口部に開閉可能に設けられたパネル状の扉本体と、 前記扉本体において少なくとも機体前方側の外周部に設けられ、前記扉本体から機体内方に向けて立ち上がるフェンスと、 を備える航空機の扉。」 <相違点2> 本件発明1は、「前記フェンスは、前記扉本体側の基端部から機体内方に立ち上がった先端部にかけて、機体前方側に傾斜した傾斜部を有しており、前記扉本体が機体外方に向けて開いたときに、前記扉本体を機体内方に押圧する力が作用し、前記扉本体の外周部と前記開口部の外周部との隙間を塞ぐ」のに対して、甲2発明は、「気流流入防止板17は、棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17aと脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bとが斜めに結合し、脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるように中舷扉32に固定され、気流が脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入することを防止する気流流入防止手段として機能し、脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入する気流による騒音が防止される」点。 イ 判断 以下、相違点2について検討する。 (ア) 本願発明1は、「飛行中における扉の機体外方への変形を抑えることのできる航空機の扉、およびそれを備えた航空機を提供すること」(本件特許明細書の段落【0005】)を課題とするものであるところ、甲2発明は、「降着装置の脚構造のすき間と脚構造及び脚扉の間のすき間とに気流が流入、通過することにより騒音が発生する」こと(摘記(2a)、背景技術)を前提とし、「騒音が低減される降着装置及び降着装置用騒音低減デバイスを提供すること」(摘記(2b))を課題とするものであるから、両者の課題は共通しているとはいえず、甲2には、本願発明1の上記課題が記載も示唆もされていない。 (イ) 甲2発明では、「気流流入防止板17は、棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17aと脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bとが斜めに結合し、脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置されるように中舷扉32に固定され」ているところ、降着装置の格納状態(図3)での「気流流入防止板17」は、脚10A及び脚・脚扉間空間81の機体前方側に配置された、棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17aと脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bとが、中舷扉32から機体内方に向けて立ち上がり、棒状部13に沿って延びるトラニオン側部分17a(図1(a)も参照)が、脚柱12に沿って延びる車輪支持部側部分17bと斜めに結合し、当該車輪支持部側部分17bから、トラニオン側部分17aの機体幅方向の先端部にかけて(トラニオン11側にかけて)、当該機体幅方向の先端部が車輪支持部側部分17bよりも前方位置となるような、機体前方側に傾斜した傾斜部の態様をとるものである。 そして、「気流流入防止板17」は、降着装置の展開状態(図1?2)では、「気流が脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入することを防止する気流流入防止手段として機能し、脚・脚扉間空間81に機体前方側から流入する気流による騒音が防止される」ように機能するといえるが、降着装置の格納状態(図3)において、上記の態様をとる場合には、そのように機能するのか否か、また、他の何らかの機能を有するのか否かは、定かでない。 (ウ) しかしながら、少なくとも、降着装置の格納状態(図3)で、上記の態様をとる「気流流入防止板17」は、中舷扉32側の基端部から機体内方に立ち上がった先端部にかけて、機体前方側に傾斜した傾斜部を有しているものではないから、空気の流れによって、「気流流入防止板17」に力が作用したとしても、その分力は、中舷扉32等の扉本体が機体外方に向けて開いたときに、前記扉本体を機体内方に押圧する力として作用するとはいえないから、前記扉本体の外周部と機体に形成された開口部の外周部との隙間を塞ぐ機能が得られる構造となっているとはいえない。 (エ) 上記(ア)?(ウ)のとおり、甲2には、本願発明1の上記課題は記載も示唆もされていないし、本件発明1の上記課題を解決するための、上記相違点2に係る本件発明1の構成(特に、「扉本体側の基端部から機体内方に立ち上がった先端部にかけて、機体前方側に傾斜した傾斜部」)も、記載も示唆もされていない。 (オ) したがって、本件発明1は、甲2発明ないし甲2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (1-3)甲1発明ないし甲2発明との対比・判断 甲1発明及び甲2発明は、いずれも、少なくとも上記相違点2に係る本件発明1の構成を備えるものではなく(上記(1-1)及び上記(1-2))、また、甲1発明及び甲2発明を寄せ集めても、当該構成に至るものではない。 したがって、本件発明1は、甲1発明、甲2発明ないし甲1?2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件発明2?3について 本件発明2?3は、本件発明1を減縮した発明であるところ、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、上記(1)で述べたとおり、甲1発明、甲2発明ないし甲1?2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)小括 上記(1)?(2)のとおり、本件発明1?3は、甲1発明、甲2発明ないし甲1?2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明1?3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとはいえないから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものであるとはいえない。 したがって、申立理由5も、理由はない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-09-29 |
出願番号 | 特願2012-6651(P2012-6651) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(B64C)
P 1 651・ 537- Y (B64C) P 1 651・ 536- Y (B64C) P 1 651・ 14- Y (B64C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 黒田 暁子、志水 裕司 |
特許庁審判長 |
和田 雄二 |
特許庁審判官 |
一ノ瀬 覚 出口 昌哉 |
登録日 | 2016-11-18 |
登録番号 | 特許第6041492号(P6041492) |
権利者 | 三菱航空機株式会社 |
発明の名称 | 航空機の扉、およびそれを備えた航空機 |
代理人 | 山下 聖子 |
代理人 | 大場 充 |
代理人 | 堀川 美夕紀 |
代理人 | 大竹 夕香子 |