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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録(定型) B01D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録(定型) B01D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) B01D
管理番号 1333991
審判番号 不服2016-16456  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-02 
確定日 2017-11-08 
事件の表示 特願2012- 18758「エアコン吸気口用フィルター」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月15日出願公開、特開2013-154325、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年1月31日の出願であって、平成27年12月11日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正内容について
本件補正には、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
エアコンディショナーの吸気口を覆うプラチックス製カバーに貼り付けて使用するフィルターであって、
(1)前記フィルターは、不織布及びその不織布の一方面の全面又は一部に形成された粘着剤層を含み、
(2)前記粘着剤層は、主剤及び硬化剤を含む2液混合型ポリウレタン系粘着剤により形成されており、
(3)前記主剤は、重量平均分子量が15000?25000のポリウレタンポリオールを主剤中95?100重量%含み、
(4)前記硬化剤は、脂肪族系多官能イソシアネートであって、前記主剤100重量部に対して6?8重量部含まれる、
ことを特徴とするエアコン吸気口用フィルター。」

「【請求項1】
エアコンディショナーの吸気口を覆うプラチックス製カバーに貼り付けて使用するフィルターであって、
(1)前記フィルターは、不織布及びその不織布の一方面の全面又は一部に形成された粘着剤層を含み、
(2)前記粘着剤層は、主剤及び硬化剤を含む2液混合型ポリウレタン系粘着剤により形成されており、
(3)前記主剤は、製品名「サイアバインSH-101」(東洋インキ(株)製)であり、
(4)前記硬化剤は、製品名「サイアバインT-501」(東洋インキ(株)製)であって、前記主剤100重量部に対して6?8重量部含まれる、
ことを特徴とするエアコン吸気口用フィルター。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正を含む。

2 補正内容の検討
(1)補正の目的について
本願明細書には、
「【0023】
上記のような2液混合型ポリウレタン系粘着剤で使用する主剤及び硬化剤そのものは、公知又は市販のものを使用することもできる。市販品としては、例えば主剤として製品名「サイアバインSH-101」(東洋インキ(株)製)と、硬化剤として製品名「サイアバインT-501」との組み合わせを好適に用いることができる。」
「【0030】
実施例1?7及び比較例1?7
(1)2液混合型ポリウレタン系粘着剤の調製
表1には、本実施例で用いた市販のポリウレタンポリオールA?Eの主剤の平均分子量の測定結果を示す。これらのポリウレタンポリオールを表2に示すように市販の脂肪族系多官能イソシアネート系硬化剤と所定の割合で混合し、さらに酢酸エチルで5?20重量部希釈することによって2液混合型ポリウレタン系粘着剤をそれぞれ調製した。硬化剤としては、製品名「サイアバインT-501」を使用した。
【0031】
【表1】

と記載されている。
上記本願明細書の記載から、「製品名「サイアバインSH-101」(東洋インキ(株)製)」は、「重量平均分子量が19700のポリウレタンポリオールを主剤中95?100重量%含」むものと認められ、主剤を「製品名「サイアバインSH-101」(東洋インキ(株)製)」とすることは、主剤の重量平均分子量についてさらに限定を加えたものといえる。
してみれば、上記請求項1についての本件補正は、少なくともいわゆる限定的減縮を目的とするものを含むといえることから、請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものと一応いえる。

(2)独立特許要件について
ア 本件補正後の上記請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
上記(1)で記載したように、主剤を「製品名「サイアバインSH-101」(東洋インキ(株)製)」とすることは、少なくとも重量平均分子量について限定を加えたものであるといえるが、硬化剤を「製品名「サイアバインT-501」(東洋インキ(株)製)」とすることは、脂肪族系多官能イソシアネート硬化剤について何を特定したものか明確でない。
すなわち、一般に、商品名による特定は、多義的に解釈が可能であって、当該商品が有する構造、物性、機能等のうち何を特定しているのか判断できない。
よって、本件補正後の請求項1に記載された発明は、不明確である。

イ 小括
本件補正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないことから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するものではない。

3 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項に規定する要件を満たしていないものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成28年2月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-16 
出願番号 特願2012-18758(P2012-18758)
審決分類 P 1 8・ 575- WYF (B01D)
P 1 8・ 537- WYF (B01D)
P 1 8・ 121- WYF (B01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 目代 博茂  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 永田 史泰
三崎 仁
発明の名称 エアコン吸気口用フィルター  
代理人 藤井 淳  

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