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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G04F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G04F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G04F
管理番号 1334368
異議申立番号 異議2016-701131  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-09 
確定日 2017-10-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5937928号発明「電子時計」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5937928号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第5937928号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5937928号の請求項1ないし6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成24年9月3日に特許出願され、平成28年5月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人市東勇により特許異議の申立てがされ、平成29年5月8日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年7月11日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人市東勇から同年9月5日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成29年7月11日付け訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。

(1)特許請求の範囲の請求項1に
「前記記憶部の記憶可能な空き容量に基づいて、前記途中経過時間のうちの直前に計測した前記途中経過時間よりも前記トータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部と、」とあるのを、
「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、前記途中経過時間のうちの直前に計測した前記途中経過時間よりも前記トータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部と、」
に訂正する。なお、下線は訂正箇所を示す。
請求項1の記載を引用する請求項2-請求項6も同様に訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記1(1)の訂正事項は、願書に添付した明細書の段落【0022】に記載されているから、上記1(1)の訂正は、新規事項の追加に該当しない。
上記1(1)の訂正は、「空き容量に基づいて」を「空き容量の検出に基づいて」と限定するから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものあり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記1(1)の訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。

3 まとめ
以上のとおりであるから、平成29年7月11日付け訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
平成29年7月11日付け訂正請求により訂正された訂正請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」-「本件発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1-6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
計測開始が指示された時点から計測停止が指示された時点までの経過時間であるトータル経過時間、及び、前記計測開始が指示された後から前記計測停止が指示される前までの期間における所定の途中の経過時間である途中経過時間を計測する計測部と、
前記計測部が計測した計測時間を記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、前記途中経過時間のうちの直前に計測した前記途中経過時間よりも前記トータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記制御部は、
前記途中経過時間の計測が指示されたことに応じて前記計測部により計測された前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させるとともに、前記途中経過時間を記憶する容量と前記トータル経過時間を記憶する容量とを合わせた容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ない場合、前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させないで、前記計測停止が指示された後に前記トータル経過時間を前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記途中経過時間を記憶する容量と前記トータル経過時間を記憶する容量とを合わせた容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ないか否かを判定する判定部、
を備え、
前記制御部は、
前記判定部により、前記途中経過時間を記憶する容量と前記トータル経過時間を記憶する容量とを合わせた容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ないと判定された場合、前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させない
ことを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記制御部は
前記トータル経過時間を前記記憶部に記憶させる場合であって、前記トータル経過時間を記憶する容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ない場合、前記トータル経過時間を直前に記憶させた前記途中経過時間に上書きして記憶させる
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は
前記途中経過時間の計測が指示されたことに応じて前記計測部により計測された前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させるとともに、前記途中経過時間を記憶する容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ない場合、前記途中経過時間を直前に記憶させた前記途中経過時間に上書きして記憶させる
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子時計。
【請求項6】
少なくとも、前記計測開始、前記計測停止、及び、前記途中経過時間の計測を指示する操作入力をそれぞれ受け付ける操作入力部、
を備え、
前記制御部は、
前記操作入力部が受け付けた操作入力に基づいて、前記途中経過時間と前記トータル経過時間とを、前記記憶部内の予め定められた記憶領域に記憶させる
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の電子時計。」

2 取消理由の概要
平成29年5月8日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

「1 特許法第29条第1項第3号
本件特許の請求項1、2、6に係る発明は、その出願前日本国内または外国において、下記の電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、請求項1、2、6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。



甲第5号証:「USER’S GUIDE 2329 CASIO」,
インターネット
<URL:http://support.casio.jp/storage/pdf/002/qw2329.pdf>」

「2 特許法第29条第2項
本件特許の請求項1-3、6に係る発明は、その出願前日本国内または外国において、下記の電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-3、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。



甲第5号証:「USER’S GUIDE 2329 CASIO」,
インターネット
<URL:http://support.casio.jp/storage/pdf/002/qw2329.pdf>」

3 甲号証の記載
上記甲第5号証には、図面とともに以下の記載aないしeがある。なお、Aを○で囲んだもの、Cを○で囲んだものは、それぞれA、Cと表記した。
また、下線は当審で付与したものである。

a「本機のストップウオッチは、1/100秒単位(1時間以上になると1秒単位)で9時間59分59秒(10時間計)まで計測できます。」(第2頁左欄)
b「→ストップウオッチモードのとき、Aボタンを押すと計測がスタートします。」(第2頁左欄)
c「Cボタンを押したときのタイムを7?8秒間表示し、記憶します(内部では計測を続けています)。以後、Cボタンを押すごとにラップ/スプリットタイムを計測・記憶していきます。」(第2頁左欄)
d「Aボタンを押します
→計測がストップし、終了時のラップ/スプリットタイムを記憶します。」(第2頁左欄)
e「本機では、ラップ/スプリットタイムを最大10本まで記憶でき、記憶したタイムはリコールモードで見ることができます。
※記憶できるのは、計測開始後9本までのタイムと計測終了時のタイムとなります。10本目から計測終了前までのラップ/スプリットタイムは記憶されません。」(第2頁右欄)

上記記載aないしeによると、甲第5号証には以下の発明が記載されていると認められる。

「ストップウオッチモードのとき、Aボタンを押すと計測がスタートし、
Cボタンを押したときのタイムを7?8秒間表示し、記憶し(内部では計測を続ける)、以後、Cボタンを押すごとにラップ/スプリットタイムを計測・記憶していき、
Aボタンを押すと、計測がストップし、終了時のラップ/スプリットタイムを記憶し、
ラップ/スプリットタイムを最大10本まで記憶でき、記憶したタイムはリコールモードで見ることができ、記憶できるのは、計測開始後9本までのタイムと計測終了時のタイムで、10本目から計測終了前までのラップ/スプリットタイムは記憶されない、
ストップウオッチ。」(以下、「引用発明」という。)

4 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア 特許法第29条第1項第3号について
本件発明1と引用発明とを対比すると、本件発明1と引用発明とは、以下の相違点で相違し、当該相違点以外の点では一致すると認められる。

(相違点)
本件発明1は、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、」途中経過時間のうちの直前に計測した途中経過時間よりもトータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部を有するのに対し、引用発明は、「ラップ/スプリットタイムを最大10本まで記憶でき、記憶したタイムはリコールモードで見ることができ、記憶できるのは、計測開始後9本までのタイムと計測終了時のタイムで、10本目から計測終了前までのラップ/スプリットタイムは記憶されない」点。

上記相違点について検討する。
引用発明は、ラップ/スプリットタイムを最大10本まで記憶するものであるものの、記憶する手段の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、10本目から計測終了前までのスプリットタイムよりも計測終了時のタイムを優先して記憶する手段に記憶させる手段を有していない。
したがって、本件発明1と引用発明とは相違するものであるから、本件発明1は引用発明ではなく、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2及び6に係る発明である本件発明2及び6も、同様の理由により、引用発明ではないから、請求項2及び6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
なお、甲第5号証に記載された発明が、本件特許についての出願前に日本国内または外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったか否かは、請求項1、2及び6に係る特許を維持するという結論に影響しない。

イ 特許法第29条第2項について
上記アの相違点について検討する。
特許異議申立人市東勇が提出した甲第1号証-甲第11号証には、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、」途中経過時間のうちの直前に計測した途中経過時間よりもトータル経過時間を優先して記憶部に記憶させる制御部について記載されていない。
ここで、甲第11号証には、「図6は、実施の形態1の制御部105の測定データ記憶処理のフローチャートである。測定データ記憶処理において、制御部105は、まず、記憶部103の測定データ用の記憶領域の空き容量が十分にあるか否かを判定する(S601)。測定データ用の記憶領域の空き容量が十分にない場合は、消去するデータの選択を表示部104を介してユーザに促し、入力部101を介して選択されたデータを消去し(S603)、ステップS601に戻る。一方、測定データ用の記憶領域の空き容量が十分である場合は、SPRIT(1)?SPRIT(N)および測定の日付データからなる測定データをそのまま保存し(S602)、処理を終了する。」(段落【0033】)とあり、記憶部の測定データ用の記憶領域の空き容量が十分にあるか否かを判定することが記載されていると認められるが、これは、測定データ用の記憶領域の空き容量が十分にない場合に、消去するデータの選択を表示部を介してユーザに促すためであり、上記制御部を示唆するものではない。
したがって、本件発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2、3及び6に係る発明である本件発明2、3及び6も、同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項2、3及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
なお、甲第5号証に記載された発明が、本件特許についての出願前に日本国内または外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったか否かは、請求項1-3及び6に係る特許を維持するという結論に影響しない。

ウ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人市東勇は、「ここで、記憶部に記憶されたタイムの本数によって記憶可能な空き容量は変化するので、当業者であれば、上記甲第5号証に記載されている事項から、これから記憶しようとしているタイムが、計測開始後9本までのタイムであるのか、10本目から計測終了までのタイムであるのかの判断は、記憶部の記憶可能な空き容量を検出して、検出された空き容量の値から判断することが導き出せ、上記訂正後の特許発明1(a)の「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて」という事項は刊行物に記載されている事項から本願の出願時における技術常識を参酌することにより当業者が導き出せる事項である。」(平成29年9月5日付け意見書第3頁第9行-第17行。「主張1」という。)、「甲第5号証に開示されている「本数」も記憶部に記憶される容量を示すものであること、記憶部の記憶可能な空き容量の検出は、記憶可能な空き容量に基づいて判断するための当然の動作であること、及び、訂正後の特許発明1の「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて」という発明特定事項は、検出された容量値と制御部の関係を特定するものではないことから、訂正後の特許発明1の「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて」という構成のみでは、特許権者が意見書で主張した上記訂正後の特許発明1と甲第5号証から認定される発明との差分は生じない。」(同意見書第5頁第3行-第11行。「主張2」という。)と主張する。
しかしながら、甲第5号証には、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づ」くことは記載されていないし、また、甲第5号証においては、タイムを記憶する手段は、計測タイムを9本までカウントするのみであり、当該カウントに応じて空き容量に関係なくタイムの記憶を制限するものということができるため、計測開始後9本までのタイムであるのか、10本目から計測終了までのタイムであるのかの判断をする際に、記憶部の記憶可能な空き容量を検出しなければならないわけではなく、さらに、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づ」くことを示唆する記載もないから、「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて」という事項は刊行物に記載されている事項から本願の出願時における技術常識を参酌することにより当業者が導き出せる事項であるということはできず、主張1を採用することができない。
また、本件発明1において、「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、前記途中経過時間のうちの直前に計測した前記途中経過時間よりも前記トータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部」という記載は、制御部が記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて制御するという点で、検出された容量値と制御部の関係を特定するものであるから、本件発明1と甲第5号証に記載された発明である引用発明との間には上記アの相違点があるということができるため、主張2を採用することができない。
なお、特許異議申立人市東勇は、同意見書第6頁第1行-第7頁第26行において、特許法第36条第6項第1号違反の主張するが、上記アで述べたように、本件発明1は甲第5号証に記載されているような態様とは異なるものであるから、本件発明1が甲第5号証に記載されているような態様を含むことを前提とする特許法第36条第6項第1号違反に関する当該主張を採用することができない。

(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 特許法第29条第1項第2号
特許異議申立人市東勇が提出した甲第1号証-甲第11号証に記載された発明は、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、」途中経過時間のうちの直前に計測した途中経過時間よりもトータル経過時間を優先して記憶部に記憶させる制御部について特定されるものではないから、請求項1及び6に係る特許は、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものではない。

イ 特許法第29条第1項第3号
同甲第1号証-甲第11号証には、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、」途中経過時間のうちの直前に計測した途中経過時間よりもトータル経過時間を優先して記憶部に記憶させる制御部について記載されていないから、請求項1-3及び6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

ウ 特許法第29条第2項
同甲第1号証-甲第11号証には、「記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、」途中経過時間のうちの直前に計測した途中経過時間よりもトータル経過時間を優先して記憶部に記憶させる制御部について記載されていないから、請求項1-6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

エ 特許法第36条第6項第1号
特許異議申立人市東勇は、本件発明1及び6は、計測した途中経過時間やトータル経過時間をまとめて記憶部に記憶させるような処理を含む点で、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨主張するが、請求項1の「前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、前記途中経過時間のうちの直前に計測した前記途中経過時間よりも前記トータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部」という記載からすると、本件発明1では、制御部は、途中経過時間を計測する毎に計測結果を記憶部に記憶させているといえるし、また、願書に添付した明細書の段落【0046】には「処理部101は、1回の計測において、計測したスプリットタイムやトータルタイムをまとめて記憶部103に記憶させるような処理を行わすに、計測イベントの発生タイミング毎に計測結果を記憶部103に記憶させることによって小電力で処理を行うようにしている。」と記載されていることからすれば、本件発明1に、途中経過時間やトータル経過時間をまとめて記憶部に記憶させる処理を行う態様は含まれないということができるから、本件発明1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項に係る発明である本件発明6は、発明の詳細な説明に記載したものであり、請求項1及び6に係る特許が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1-6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測開始が指示された時点から計測停止が指示された時点までの経過時間であるトータル経過時間、及び、前記計測開始が指示された後から前記計測停止が指示される前までの期間における所定の途中の経過時間である途中経過時間を計測する計測部と、
前記計測部が計測した計測時間を記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶可能な空き容量の検出に基づいて、前記途中経過時間のうちの直前に計測した前記途中経過時間よりも前記トータル経過時間を優先して前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記制御部は、
前記途中経過時間の計測が指示されたことに応じて前記計測部により計測された前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させるとともに、前記途中経過時間を記憶する容量と前記トータル経過時間を記憶する容量とを合わせた容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ない場合、前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させないで、前記計測停止が指示された後に前記トータル経過時間を前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記途中経過時間を記憶する容量と前記トータル経過時間を記憶する容量とを合わせた容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ないか否かを判定する判定部、
を備え、
前記制御部は、
前記判定部により、前記途中経過時間を記憶する容量と前記トータル経過時間を記憶する容量とを合わせた容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ないと判定された場合、前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させない
ことを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記制御部は
前記トータル経過時間を前記記憶部に記憶させる場合であって、前記トータル経過時間を記憶する容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ない場合、前記トータル経過時間を直前に記憶させた前記途中経過時間に上書きして記憶させる
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は
前記途中経過時間の計測が指示されたことに応じて前記計測部により計測された前記途中経過時間を前記記憶部に記憶させるとともに、前記途中経過時間を記憶する容量より前記記憶部の記憶可能な空き容量が少ない場合、前記途中経過時間を直前に記憶させた前記途中経過時間に上書きして記憶させる
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子時計。
【請求項6】
少なくとも、前記計測開始、前記計測停止、及び、前記途中経過時間の計測を指示する操作入力をそれぞれ受け付ける操作入力部、
を備え、
前記制御部は、
前記操作入力部が受け付けた操作入力に基づいて、前記途中経過時間と前記トータル経過時間とを、前記記憶部内の予め定められた記憶領域に記憶させる
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の電子時計。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-09-25 
出願番号 特願2012-193485(P2012-193485)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G04F)
P 1 651・ 121- YAA (G04F)
P 1 651・ 113- YAA (G04F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 須原 宏光
関根 洋之
登録日 2016-05-20 
登録番号 特許第5937928号(P5937928)
権利者 セイコーインスツル株式会社
発明の名称 電子時計  
代理人 内野 則彰  
代理人 鈴木 慎吾  
代理人 西澤 和純  
代理人 谷川 徹  
代理人 西澤 和純  
代理人 木村 信行  
代理人 志賀 正武  
代理人 志賀 正武  
代理人 木村 信行  
代理人 鈴木 慎吾  
代理人 谷川 徹  
代理人 内野 則彰  

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