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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G07B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07B
管理番号 1335740
審判番号 不服2016-16537  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-04 
確定日 2017-12-28 
事件の表示 特願2012-155707「自動取引装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 16945〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成24年7月11日の出願であって、平成27年12月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年2月22日に意見書とともに手続補正書が提出され、特許請求の範囲及び明細書について補正がなされ、同年4月12日付けで再度拒絶の理由が通知され、同年6月10日に意見書とともに手続補正書が提出され、特許請求の範囲及び明細書について補正がなされたが、同年8月1日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、同年11月4日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、特許請求の範囲及び明細書についてさらに補正がなされ、平成29年3月27日に上申書が提出されたものである。


第2 平成28年11月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年11月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
平成28年11月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成28年6月10日付けで補正された特許請求の範囲及び明細書をさらに補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1に関する以下の補正を含んでいる。なお、下線部は補正箇所を示す。

(1)<補正前>
「【請求項1】
筐体の前面に配された表示部と、
上記表示部の下方において凹設され媒体口が設けられた凹状操作部と、
上記凹状操作部に左右方向に隣接して形成され、当該凹状操作部よりも前側に突出する凸状操作部と、
上記凸状操作部の上側に配置される硬貨投入口の下側に設けられたテンキー部と、
上記凸状操作部において上記テンキー部に対し上記凹状操作部から遠ざかる横側に設けられ、照射光を前方へ照射するバーコードリーダと、
上記凸状操作部において上記テンキー部及び上記バーコードリーダの下側に設けられた非接触型ICカード読取書込部と
を有する自動取引装置。」

(2)<補正後>
「【請求項1】
筐体の前面に配された表示部と、
上記表示部の下方において凹設され媒体口が設けられた凹状操作部と、
上記凹状操作部に左右方向に隣接して形成され、当該凹状操作部よりも前側に突出し、前面が鉛直方向に沿う鉛直操作面と、当該鉛直操作面の上側において徐々に後方へ湾曲する湾曲操作面とが形成された凸状操作部と、
上記凸状操作部の上側に配置される硬貨投入口の下側に設けられたテンキー部と、
上記凸状操作部において上記テンキー部に対し上記凹状操作部から遠ざかる横側に設けられ、上記湾曲操作面に設けられた窓部を介して、照射光を前方斜め上方向へ照射するバーコードリーダと、
上記凸状操作部において上記テンキー部及び上記バーコードリーダの下側に設けられた非接触型ICカード読取書込部と
を有する自動取引装置。」


2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1の「凸状操作部」について、「前面が鉛直方向に沿う鉛直操作面と、当該鉛直操作面の上側において徐々に後方へ湾曲する湾曲操作面とが形成された」ものである点、及び、「バーコードリーダ」について、「湾曲操作面に設けられた窓部を介して、照射光を前方斜め上方向へ照射する」ものである点を付加するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号)を目的とするものに該当する。そして、本件補正は、同法同条第3項及び第4項の規定に違反するものではない。
そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件に適合するか否かについて検討する。

(1)補正発明
補正発明は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記1(2)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「自動取引装置」であると認める。

(2)刊行物
これに対して、原審の平成28年4月12日付け拒絶の理由に引用された、本件の出願日前に頒布された刊行物である特開2009-237641号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の発明が記載されていると認められる。

ア 刊行物1に記載された事項
刊行物1には、「自動取引装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線部は当審で付したものである。

(ア)
「【請求項1】
縦長筺体の前面上部に後方へ傾斜する操作面を形成し、該操作面の上部に配置されるタッチパネル付表示部と、該操作面の下部に配置される媒体挿入口を含む顧客操作部と、該自動機を統括的に制御する制御装置と、各種のデータを格納する記憶装置とを備えた自動取引装置において、
前記タッチパネル付表示部を縦長の表示画面で構成し、
前記制御装置は、該自動取引装置で取り扱う取引の識別情報を表示する識別情報表示領域と、取引に関する選択肢を表示して当該選択肢の選択を受け付ける選択領域とを前記縦長の表示画面の上部と下部に分割して表示する
ことを特徴とする自動取引装置。」

(イ)
「【請求項5】
前記請求項1から4の何れかに記載の自動取引装置において、
前記顧客操作部は、前方に張り出した突出操作部と、該突出操作部より奥まって配置される凹状操作部とが左右にならで配置され、
前記凹状操作部は、ICチップ内蔵媒体を投入または排出する第1媒体口と、磁気データ媒体を投入または排出する第2媒体口と、紙幣の投入口と戻り口を備えた紙幣投入口とを備えるとともに、その両側を前記突出操作部と該突出操作部の外形と同形状の側板とで左右に挟まれて形成され、
前記突出操作部は、硬貨投入口とテンキー部とオプションユニット取付部を備えていることを特徴とする自動取引装置。」

(ウ)「【0014】図1において、符号100で総括的に示す券売機であり、鉄道路線で使用される切符や入場券などの券を販売する自動機である。この券売機100は、縦長の筺体101の前面上部を前方に張り出して、この張出部102に顧客が操作する操作装置や、この操作に伴って出力する出力装置を集中配置し、この張出部の前面を改札口近傍の壁面から露出して設置可能な構造としている。」

(エ)「【0015】前記張出部102の前面は、その前面の下端部が前方に最も張り出すような後方に傾いた操作面103で形成される。この操作面103は、タッチパネル付表示部104を備えた上部操作面105と、各種の媒体口が配置される下部操作面106とを含んで構成される。」

(オ)「【0017】一方、下部傾斜面106は、左右に分割され、一方を、上部操作面105と連続して前方に張り出して形成される突状操作部111とし、他方を、垂直操作面114を備えた凹状操作部112としている。ここで、凹状操作部112は、その両側を、突状操作部111と、この突状操作部111と同じ外形を備えた側板113とで囲うことにより、垂直操作面114に配置される媒体口が両側から見え難い構造としている。また、凹状操作部112は、その下端部に側板113と突状操作部111の両下端を連続すするように形成されるテーブル部115を設けている。」

(カ)「【0018】凹状操作部112の垂直操作面114には、カードや定期券などのICチップ内蔵媒体を投入または排出する第1媒体口116と、切符や定期券などの磁気データ媒体を投入または排出する第2媒体口117と、紙幣の投入口と投入された紙幣を戻すための戻り口が上下に関相された紙幣投入口118と、おつりの紙幣排出口119とが設けられている。また、垂直操作面114に面した突状操作部111の側壁下部にはおつりとなる硬貨の硬貨排出口120が設けられ、その下方位置となるテーブル部115には凹状の硬貨受部121が形成される。」

(キ)「【0019】一方、突状操作部111には、上部に配置される硬貨投入部122と、その下部の凹状部123に配置されるテンキー部124と、下部前面部に配置されるオプションユニット部125が設けられている。
そして、この実施の形態に係る券売機100の大きな特徴の1つは、タッチパネル付表示部104を縦長の表示画面200とし、この縦長の表示画面200を上下に2分割して、上部をアイキャッチャーと呼ばれる券売機の識別情報を表示する識別情報表示領域201とし、下部を販売可能な券を表示して、その選択を受け付ける券選択領域202とした点にある。」

(ク)「【0055】一方、突状操作部111の側面形状は、前方に緩やかに傾いて形成される第1配置面129と、ほぼ垂直面に形成される第3配置面131とを大きな丸み形状で連続させた造形としている。そして、第1配置面129に硬貨受部121を配置し、第3配置面131にオプションユニット部125を配置している。一方、テンキー部124が配置される凹状部123を形成する第2配置面130は、前記丸みのある造形を崩すことなく、凹状部123が外側に丸みのある曲面部142(縁部)を残して、内側にのみ開放した形状としている。」

(ケ)「【0056】この第2配置面130と曲面部142の構成によれば、側方からの覗き見を防止する突状操作部111の外形を切り欠いて防止障壁の大きさを小さくすることを軽減することができるとともに、意匠的にも良好なものとすることができる。しかも、テンキー部124が配置される第2配置面130を、防犯性や操作性を考慮した凹状とすることができるとともに、凹状操作部112に隣接する側の縁を形成しないので、テンキー部124を操作する指が凹状操作部112を操作するために移動しても、その移動の際に指が縁にあたることがない。更に、従来例では、テンキー部近傍にスペースがないことから、テンキー部に関する注意書シールを離れた位置に貼らなければならないため、注意書の機能を十分に発揮できないという課題があったが、この実施の形態では、テンキー部124に隣接する曲面部142が確保できるため、この曲面部142に注意書シールを張ることもできる。」

(コ)「【0063】先ず、図10(a)において、この図10(a)及び図1から図9で説明したオプションユニット部125では、非接触型ICカード読取書込装置125aを取り付けた状態を示している。この実施の形態では、突状操作部111の下部内部空間に装置を収納するに十分な収納空間64を確保し、その前面の第3配置面131に開口したオプションユニット取付部146を形成している。そして、この実施の形態に係るオプションユニット部125は、オプションユニット取付部146に取り付けるための共通した大きさのフランジ147を備えている。」


イ 刊行物1発明
(サ)上記記載事項(ウ)には、「筺体101の前面上部を前方に張り出して、この張出部102に顧客が操作する操作装置や、この操作に伴って出力する出力装置を集中配置し」とあり、上記記載事項(エ)には、「張出部102の前面は、その前面の下端部が前方に最も張り出すような後方に傾いた操作面103で形成される。この操作面103は、タッチパネル付表示部104を備えた上部操作面105と、各種の媒体口が配置される下部操作面106とを含んで構成される」とあり、これらの記載は、当該自動取引装置が“筐体101の前面に配されたタッチパネル付き表示部104”を有することを意味している。

(シ)上記記載事項(エ)には、「この操作面103は、タッチパネル付表示部104を備えた上部操作面105と、各種の媒体口が配置される下部操作面106とを含んで構成される」とあり、また、上記記載事項(オ)には、「下部傾斜面106は、左右に分割され、一方を、上部操作面105と連続して前方に張り出して形成される突状操作部111とし、他方を、垂直操作面114を備えた凹状操作部112としている。」とある。そして、【図1】における「タッチパネル付き表示部104」と「凹状操作部112」との配置関係も考慮するに、当該自動取引装置は“タッチパネル付き表示部104の下方に設けられた凹状操作部112”を有するものと認められる。

(ス)上記記載事項(オ)には、「凹状操作部112は、その両側を、突状操作部111と、この突状操作部111と同じ外形を備えた側板113とで囲うことにより、垂直操作面114に配置される媒体口が両側から見え難い構造としている」とあり、これは、当該自動取引装置が“凹設された凹状操作部112”を有することに他ならない。

(セ)上記記載事項(オ)には、「下部傾斜面106は、左右に分割され、一方を、上部操作面105と連続して前方に張り出して形成される突状操作部111とし、他方を、垂直操作面114を備えた凹状操作部112としている。」及び「凹状操作部112は、その両側を、突状操作部111と、この突状操作部111と同じ外形を備えた側板113とで囲うことにより、垂直操作面114に配置される媒体口が両側から見え難い構造としている」とある。そして、【図1】における「突状操作部111」と「凹状操作部112」との配置関係も考慮するに、当該自動取引装置が“凹状操作部112に右方向に隣接して形成され、凹状操作部よりも前側に突出して形成された突状操作部111”を有するものと認められる。

(ソ)上記記載事項(ク)には、「突状操作部111の側面形状は、前方に緩やかに傾いて形成される第1配置面129と、ほぼ垂直面に形成される第3配置面131とを大きな丸み形状で連続させた造形としている。」及び「」テンキー部124が配置される凹状部123を形成する第2配置面130は、前記丸みのある造形を崩すことなく、凹状部123が外側に丸みのある曲面部142(縁部)を残して、内側にのみ開放した形状としている」とある。そして、【図1】、【図8】(a)、(d)における「第1配置面129」、「第3配置面131」、「凹状部123」、「曲面部142」の配置関係も考慮するに、当該自動取引装置は、“ほぼ垂直に形成される第3配置面131と、第3配置面131の上側において徐々に後方へ湾曲する曲面部142とが形成された突状操作部111”を有するものと認められる。

(タ)上記記載事項(ク)には、「突状操作部111の側面形状は、前方に緩やかに傾いて形成される第1配置面129と、ほぼ垂直面に形成される第3配置面131とを大きな丸み形状で連続させた造形としている。・・・テンキー部124が配置される凹状部123を形成する第2配置面130は、前記丸みのある造形を崩すことなく、凹状部123が外側に丸みのある曲面部142(縁部)を残して、内側にのみ開放した形状としている。」とあり、また、【図8】(a)における「曲面部142」の配置も考慮するに、“曲面部142は、突状操作部111においてテンキー部124に対し凹状操作部112から遠ざかる横側に設けられ”ているものと認められる。

(チ)上記記載事項(キ)には、「突状操作部111には、上部に配置される硬貨投入部122と、その下部の凹状部123に配置されるテンキー部124と、下部前面部に配置されるオプションユニット部125が設けられている」とあり、かつ、上記記載事項(コ)には、「オプションユニット部125では、非接触型ICカード読取書込装置125aを取り付けた状態を示している」とあり、また、【図1】、【図8】(a)、(d)、【図10】(a)における「テンキー部124」、「曲面部142」と「オプションユニット部125」の配置関係も考慮するに、当該自動取引装置が、“突状操作部111においてテンキー部124及び曲面部142の下側に設けられた非接触型ICカード読取書込装置125a”を有しているものと認められる。

そこで、上記記載事項(ア)ないし(コ)及び上記認定事項(サ)ないし(チ)を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえ補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認める。(以下「刊行物1発明」という。)

「筐体101の前面に配されたタッチパネル付き表示部104を有し、
タッチパネル付き表示部104の下方に凹設され第1媒体口116と第2媒体口117が設けられた凹状操作部112と、
凹状操作部112に右方向に隣接して形成され、当該凹状操作部112よりも前側に突出し、ほぼ垂直に形成される第3配置面131と、当該第3配置面131の上側において徐々に後方へ湾曲する曲面部142とが形成された突状操作部111と、
突状操作部111においてテンキー部124及び曲面部142の下側に設けられた非接触型ICカード読取書込装置125aと
を有し、
突状操作部111には、上部に配置される硬貨投入部122と、その下部の凹状部123に配置されるテンキー部124と、が設けられ、
曲面部142は、突状操作部111においてテンキー部124に対し凹状操作部112から遠ざかる横側に設けられている、自動取引装置。」


(3)対比
補正発明と刊行物1発明とを対比すると以下のとおりである。
刊行物1発明の「筐体101」は、補正発明の「筐体」に相当し、「タッチパネル付き表示部104」は「表示部」に、「第1媒体口116」及び「第2媒体口117」が「媒体口」に、「凹状操作部112」は「凹状操作部」に、「突状操作部111」が「凸状操作部」に、「第3配置面131」が「鉛直操作面」に、「ほぼ垂直に形成される」が「前面が鉛直方向に沿う」に、「曲面部142」が「湾曲操作面」に、「硬貨投入部122」が「硬貨投入口」に、「テンキー部124」が「テンキー部」に、「非接触型ICカード読取書込装置125a」が「非接触型ICカード読取書込部」に、各々相当する。
また、刊行物1発明の「突状操作部111には、上部に配置される硬貨投入部122と、その下部の凹状部123に配置されるテンキー部124と、が設けられている」なる事項に関して、「突状操作部111には、上部に配置される硬貨投入部122・・・が設けられている」は、「突状操作部111の上側に配置される硬貨投入部122を有する」と言い改めることができ、また、「硬貨投入部122と、その下部の凹状部123に配置されるテンキー部124と、が設けられている」は、「硬貨投入部122と、硬貨投入部123の下側に設けられたテンキー部124と・・・を有する」と言い改めることができる。よって、刊行物1発明の「突状操作部111には、上部に配置される硬貨投入部122と、その下部の凹状部123に配置されるテンキー部124と、が設けられている」が、補正発明の「凸状操作部の上側に配置される硬貨投入口の下側に設けられたテンキー部と・・・を有する」に相当する。

したがって、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。

<一致点>
「筐体の前面に配された表示部と、上記表示部の下方において凹設され媒体口が設けられた凹状操作部と、上記凹状操作部に左右方向に隣接して形成され、当該凹状操作部よりも前側に突出し、前面が鉛直方向に沿う鉛直操作面と、当該鉛直操作面の上側において徐々に後方へ湾曲する湾曲操作面とが形成された凸状操作部と、
上記凸状操作部の上側に配置される硬貨投入口の下側に設けられたテンキー部と、
上記凸状操作部において上記テンキー部の下側に設けられた非接触型ICカード読取書込部と
を有する自動取引装置。」

そして、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で相違している。

<相違点1>
補正発明は、「凸状操作部において上記テンキー部に対し上記凹状操作部から遠ざかる横側に設けられ、上記湾曲操作面に設けられた窓部を介して、照射光を前方斜め上方向へ照射するバーコードリーダ」を有しており、かつ、非接触型ICカードリーダ読取書込部が「テンキー部及びバーコードリーダの下側に設けられ」ているのに対して、刊行物1発明は、バーコードリーダを有しておらず、突状操作部111においてテンキー部124に対し凹状操作部112から遠ざかる横側には、曲面部142が設けられており、かつ、非接触ICカードリーダ読取書込装置125aが、テンキー部及び曲面部142の下側に設けられている点。


(4)相違点の検討
ア 相違点1について
(ア)“ICカードリーダとバーコードリーダを共に備えた自動取引装置”は、例えば、原査定にて引用した特開2006-79384号公報の【0031】?【0032】、【図1】、【図5】、平成27年12月15日付け拒絶の理由にて例示した特開2008-217629号公報の【0023】、【図2】、及び、新たに例示する特開2011-180940号公報の【0021】?【0022】、【図1】等にあるとおり、周知のものである。
また、バーコードリーダにおいて、“窓部を介して、照射光を前方斜め上方向へ照射する”ものも、例えば、特開2005-250858号公報の【0010】?【0011】、【図2】等にあるとおり、周知のものである。

(イ)また、刊行物1には、上記「2(2)ア」の記載事項(ケ)にあるとおり、“この実施の形態では、テンキー部124に隣接する曲面部142が確保できるため、この曲面部142に注意書シールを張ることもできる。”なる記載があり、曲面部142の領域を有効活用することが示唆されている。

(ウ)しかるに、刊行物1発明は、ICカードリーダを有する自動取引装置であるところ、当該発明に、上記周知の技術的事項を適用して、更にバーコードリーダを設けたものとすることは、当業者であれば、容易に想到しえたことである。

(エ)そして、刊行物1には、上記(イ)のとおり、曲面部142の領域を有効活用することが示唆されているから、刊行物1発明の曲面部142に、バーコードリーダを配置することは、技術の具体的適用に伴う設計変更にすぎないものである。
そして、曲面部142にバーコードリーダを配置した場合、曲面部142の面の配置、及び、上記周知の技術的事項を考慮するに、その照射光が前方斜め上方向へ照射するものとなることは、きわめて自然なことである。

(オ)よって、刊行物1発明に、上記周知の技術的事項を適用して、相違点1に係る補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たということが相当である。


ウ 請求人の主張について
請求項は、平成28年6月10日付け意見書にて、刊行物1について「『曲面部142には、該曲面部142に近接するテンキー部に関する注意書シールが貼られる』点についてしか開示されておらず、そのため、注意書シール貼り付けずに、バーコードリーダ等設けることは、むしろ阻害されている」旨、主張している。
しかしながら、上記「2(2)ア」の記載事項(ケ)にあるとおり、刊行物1には、「この曲面部142に注意書シールを張ることもできる。」と記載されていることからも、注意書きシールを設けることが機能上必須であるとは認められず、曲面部142に他の構成を設けることを阻害するものとまでは言えない。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。


エ 小括
したがって、補正発明は、刊行物1発明、及び、上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。



第3 本件出願の発明について
1 本件出願の発明
本件補正は、上記のとおり却下されたところ、本件出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、平成28年6月10日付けの手続補正書により補正された上記第2の1(1)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「自動取引装置」であると認める。

2 刊行物
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された刊行物は、上記第2の2(2)に示した刊行物1であり、その記載事項は上記第2の2(2)のとおりである。

3 対比・検討
本願発明は、実質的に、上記第2の2で検討した補正発明の「自動取引装置」の「凸状操作面部」から「前面が鉛直方向に沿う鉛直操作面と、当該鉛直操作面の上側において徐々に後方へ湾曲する湾曲操作面とが形成された」ものである点を削除するとともに、「バーコードリーダ」から「湾曲操作面に設けられた窓部を介して、照射光を前方斜め上方向へ照射する」である点を削除したものである。
そうすると、本願発明より狭い範囲を特定事項とする補正発明が、上記第2の2で検討したとおり想到容易である以上、それよりも広い範囲を特定事項とする本願発明については、上記第2の2(3)にて相違点1についての検討したとおり、刊行物1発明、及び、上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということになる。


4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-30 
結審通知日 2017-10-31 
審決日 2017-11-13 
出願番号 特願2012-155707(P2012-155707)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G07B)
P 1 8・ 121- Z (G07B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角田 貴章國武 史帆宮下 浩次永石 哲也  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 五閑 統一郎
平瀬 知明
発明の名称 自動取引装置  
代理人 田辺 恵基  
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