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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1336875 |
審判番号 | 不服2016-18864 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-12-15 |
確定日 | 2018-02-26 |
事件の表示 | 特願2013-515795「半導体構成素子の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月29日国際公開、WO2011/160913、平成25年 9月 5日国内公表、特表2013-534728、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2011年5月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 優先日2010年6月22日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成26年 4月16日 :補正書(自発)の提出 平成27年 1月30日付け :拒絶理由の通知(同年2月9日送付) 同年 7月23日 :意見書・手続補正書の提出 同年12月 4日付け :最後の拒絶理由の通知 (同年同月14日送付) 平成28年 6月 9日 :意見書・誤訳訂正書の提出 同年 8月16日付け :補正の却下の決定・拒絶査定 (同年同月22日送達) 同年 12月15日 :審判請求書・手続補正書の提出 平成29年 1月17日付け :前置報告書 同年 4月 6日 :上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成28年8月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1?13に係る発明は、次の引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-305328号公報 2.特開昭61-59406号公報 3.特表2009-544805号公報 4.国際公開第2007/125785号 第3 審判請求時の補正について 平成28年12月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の平成27年7月23日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1?13を次のように補正することを含むものである。 (補正事項1) 補正前の請求項1に記載された「予硬化するステップ」を、 「前記予硬化を電磁光線によって誘発する、または、 当該ステップc)で、前記成形材料を、前記成形材料の少なくとも2つの成分の混合によって活性化し、前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする、ステップ」と補正する(下線は、審判請求人が付加した。)。 (補正事項2) 補正前の請求項2、4を削除し、本件補正前の引用形式で記載された請求項3、5?13を、補正後の引用形式で記載された請求項2?11に繰り上げるとともに、その引用する項番を正す補正。 1 補正事項1について 補正事項1は、補正前の請求項1の「予硬化するステップ」の予硬化を行う手段として「電磁光線」または、「成形材料の少なくとも2つの成分の混合によって活性化」することとして、「前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする」ように限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、補正前の請求項に記載された発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 そして、補正事項1は、当初明細書の段落【0087】?【0093】に記載されているから、新規事項を追加するものではない。 2 補正事項2について 補正事項2は、特許請求の範囲の削除を目的とするものである。 したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項に規定する要件を満たしている。また、補正後の請求項1?11に係る発明は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしている。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1?11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 よって、補正後の請求項1?11に係る発明は、17条の2第6項を満たしている。 第4 本願発明 本願の請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」という。)は、平成28年12月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの本願発明1は、その請求項1に記載されている事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 a)光電半導体チップ(2)を準備するステップと、 b)前記半導体チップに直接、光学素子(3)用の成形材料(30)を取り付けるステップと、ただし、前記半導体チップの側面(201)は、前記成形材料が存在しない状態のままにし、前記成形材料は高屈折率のポリマー材料をベースにし、 c)前記成形材料を前記半導体チップ(2)に取り付けた後、該成形材料が前記側面(201)を超えて延在しないように、該成形材料を高くても50℃の温度で予硬化するステップであって、 前記予硬化を電磁光線によって誘発する、または、 当該ステップc)で、前記成形材料を、前記成形材料の少なくとも2つの成分の混合によって活性化し、前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする、ステップと、 d)前記成形材料を硬化するステップと、 を有する半導体構成素子(1)の製造方法。」 第5 引用文献等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2002-305328号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付加した。以下同様。)。 (1) 「【0014】次に、発光素子チップ1の発光観測面の外周端部1a付近におけるレンズ20、発光素子チップ1、遮光層30の位置関係について、図2を参照しながら、詳細に説明する。レンズ20は、以下に説明する方法により形成されるので、実際に形成された後の、レンズ20の外周端部20aは、発光観測面の外周端部1aの若干下に位置することがある。しかしながら、発光素子チップ1の厚さが通常、80μm?100であるのに対し、レンズ20が形成された後のレンズ20の外周端部20aと発光観測面の外周端部1aの間隔は通常10μm以下であり、本明細書において、この程度のずれは実質的に一致しているという。また、遮光膜30は、発光素子チップ1の側面からレンズ20の外周端部の近傍に位置する球面とを連続して覆うように形成される。 (略) 【0018】次に、本実施の形態の発光素子におけるレンズの形成方法と遮光膜の形成方法について説明する。 (レンズの形成方法)本形成方法では、まず、図3(a)(b)に示すように、発光素子チップ1の発光観測面上のほぼ中央にディスペンサーにより所定量のレンズ形成用樹脂21を塗布する。ここで、レンズ形成用樹脂21は例えば粘度が5000?8000cpsのエポキシ樹脂に、例えば平均粒径7μmの石英ガラスフィラーが混合されてなり、ディスペンサーの吐出圧力を例えば1.5kgf/cm2に設定して、吐出時間を調節することにより一定量のレンズ形成用樹脂21を塗布する。このように吐出されたレンズ形成用樹脂21は、図4(a)(b)に示すように、発光観測面の外周端部1aまで広がり、その吐出された樹脂21の量と粘度に対応した形状の球面を形成する。 【0019】すなわち、発光観測面の外周端部1aまで広がった樹脂は、発光素子チップ1の側面は分割面であるために、滑らかな発光観測面とは異なり凹凸のある粗面となっており、発光観測面の端部1aの外側にさらに広がって流れ出すことはなく、表面張力により樹脂21の量と粘度に対応した形状の球面を形成することになる。言いかえると、本方法は、発光素子チップの発光観測面の形状及び面積と、形成しようとするレンズ形状に基いて、レンズ形成用樹脂の粘度と塗布量とを設定することにより、所望の形状のレンズ20を形成するものである。 【0020】次に、レンズ形成樹脂21を硬化させて固体化されたレンズ20とする。ここで、レンズ形成樹脂21の硬化温度は、例えば、レンズ形成樹脂21のエポキシ樹脂が150℃以上のガラス転位点を有する場合、レンズを形状のばらつきなく一定の形状に形成するために、120℃,2時間で硬化させた後さらに、150℃,8時間で硬化させるなど、2段階で硬化させることが好ましい。そして、レンズ形成樹脂21を硬化させてレンズ20とした後、例えば、反射散乱粒子(光散乱粒子)としてTiO_(2)が混合された樹脂をディスペンサーを用いて、発光素子チップの側面とレンズ20の外周端部の近傍とを少なくとも覆うように、発光素子チップ1の両側に塗布して硬化させる。 【0021】以上のようにして、本実施の形態の発光素子は、上記製造方法を用いて、実質的に発光観測面の上のみにおいてレンズ20を形成することができるので、レンズ20の高さを従来の素子チップ全体を覆うレンズに比較して薄くできる。また、本実施の形態の発光素子の製造方法において、レンズ20は、高価な金型等を使用することなく、樹脂の粘度と塗布量とを所望のレンズ形状に対応させて設定することにより所望のレンズ形状を形成しているので、金型を用いて形成される従来例に比較して、簡単でかつ安価に製造することができる。」 (2) 「【0024】(発光素子チップ実装)次に、上述のようにして作製されたLEDチップをパッケージ50に電極同士を対向させ発光観測面(サファイア基板の裏面)を上にして実装する。 (レンズ形成)次に、以下のようにしてレンズ20を形成する。ガラス点移転が150℃以上である一液性熱硬化型のエポキシ樹脂に、平均粒径が15μmの組成式が(Y_(0.8)Gd_(0.2))_(3)Al_(5)O_(12):Ceである蛍光体粉末を分散させ、粘度を5000cpsに調整する。ここで、実施例1では、蛍光体の含有量は、重量比でエポキシ樹脂100に対して、蛍光体を45の割合とした。 【0025】次に、蛍光体が混合された蛍光体混合エポキシ樹脂を、吐出圧力1.5kgf/cm^(2)、吐出時間0.4秒の条件で、LEDチップの発光観測面に塗布する。これにより、所定量の蛍光体混合エポキシ樹脂が発光観測面に塗布され、図3?図5に示すようにレンズ形状が発光観測面上に形成される。そして、このレンズ形状に形成された蛍光体混合エポキシ樹脂を120℃で2時間硬化した後さらに、150℃で8時間硬化する。 【0026】(遮光膜形成)次に、レンズ形成に用いたものと同様のエポキシ樹脂に、TiO2からなる反射散乱粒子を分散させ、粘度を5000cpsに調整する。ここで、実施例1では、反射散乱粒子の含有量は、重量比でエポキシ樹脂100に対して、反射散乱粒子を30の割合とした。そして、調整された反射散乱粒子混合エポキシ樹脂を、発光素子チップの周りに所定量だけ塗布した後、前述と同様の2段階で熱硬化する。尚、遮光膜は、実施の形態で説明したように、発光素子チップ1の側面からレンズ20の外周端部の近傍の球面とを連続して覆うように形成する。言いかえると、反射散乱粒子混合エポキシ樹脂の塗布量は、発光素子チップ1の側面からレンズ20の外周端部の近傍の球面とを連続して覆うように設定する。以上のようにして、実施例1の窒化物半導体発光素子は作製される。」 (3) 図1は、次のものである。 (4) 図2は、次のものである。 (5) したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されていると認められる。 「発光素子チップ1をパッケージ50に電極同士を対向させ発光観測面を上にして実装するステップと、 前記発光素子チップ1の発光観測面上のほぼ中央にディスペンサーにより所定量のレンズ形成用樹脂21を塗布するステップであって、 発光観測面の外周端部1aまで広がった前記レンズ形成用樹脂21は、発光観測面の端部1aの外側にさらに広がって流れ出すことはなく、表面張力により樹脂21の量と粘度に対応した形状の球面を形成し、 前記レンズ形成用樹脂21は、ガラス点移転が150℃以上である一液性熱硬化型のエポキシ樹脂を有しており、 レンズ形状に形成された前記レンズ形成用樹脂21を120℃で2時間硬化するステップと、 さらに150℃で8時間硬化するステップと、 を有する窒化物半導体発光素子の製造方法。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開昭61-59406号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1) 「〔実施例〕 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。 第1図は本発明によるプレーナ型光ガイドと光源との光結合構造の一実施例の略示側面図である。図中、符号1が光源を示し、これは例えば半導体レーザダイオードである。また、符号2はプレーナ型光ガイド(以下単に「光ガイド」と略記)を示す。この光ガイド2はLiNbO_(3)の基板3に形成したものであり、厚さが約0.5mmの基板3の表面に金属チタン(Ti)を幅数μm、厚さ数百Åとして所望のパターンに形成し、これを約1000℃で数時間加熱してTiをLiNbO_(3)中に熱拡散せしめることにより形成される。この熱拡散により形成された光ガイド2は他の部分よりわずかに大きな屈折率を有し、従って光ガイド2にその端面から光を導入すると、光は光ガイド2内に閉じ込められて伝送される。第2図(イ)は光ガイド2及び基板3の部分斜視図である。 次に符号4は、光源1からの出射光5を光ガイド2に導入するための集光レンズを示し、このレンズ4は光ガイド2の端面に一体形成されている。第2図(ロ)はレンズ4を一体形成した状態の部分斜視図である。 このレンズ4は第3図に示すようなディップ法によって形成可能である。まず、符号10はレンズ材料11が入った槽を示す。レンズ材料11としては、透明で且つ通常は比較的粘性の高い液状であり、そして例えば熱あるいは光などの手段によって硬化する性質のもの、例えば米国のSummers Laboratories社の「Optical Cement UV-71」などを用いる。これは紫外線照射によって硬化する。そして第3図(イ)に示す如く、このレンズ材料11中に、第2図(イ)に示したような基板3の光ガイド2の端面側のエッジを浸す。そして数秒後に、第3図(ロ)に示す如く基板3を垂直にそっと引き上げる。このとき、基板3に付着したレンズ材料は、重力と表面張力との作用により基板エッジに符号4aで示す如く滴状に垂下する。これに紫外線を照射して硬化させれば、第2図(ロ)に示す如く基板3のエッジ沿ってほぼ一様な断面形状の集光レンズ4が一体形成される。 〔発明の効果〕 本発明の光結合構造によれば、集光レンズ4が光ガイド2の端面に一体形成されているので、光源1と光ガイド2(もしくは集光レンズ4)間の光軸調整のみを行えば良く、組立が非常に容易である。また、同じく集光レンズの一体形成により、光ガイド2と集光レンズ4間に他の媒質が介在しないのでそれだけ媒質間の境界面の数が少なく、フレネル損失が小さい。 更に、本発明の方法によれば光ガイド2への集光レンズ4の一体形成が非常に簡単であり、しかも理想的なレンズ形状を得ることができる。特に、本発明の方法で形成されるレンズは、基板面内方向にはレンズ作用を持たない。しかるに、光源として主に用いられる半導体レーザダイオードの場合、その出射光は活性層の接合面と平行な方向(つまり基板面内方向)には拡がりが小さく、接合面と直角な方向への拡がりが大きい軸非対称であり、従って図示のような集光レンズは光結合の上で極めて有利である。しかし、発光ダイオードのように出射光が軸対称のものにも実用上十分有効であることは云うまでもない。また、本発明に方法で形成される集光レンズ4は第1図に示すように基板3の中心線に関し対称形であるが、実際にレンズとして用いられるのは光ガイド2の方に偏った領域である。これは、光ガイド2は片側が基板3に接し、反対側は空気に接していて全反射が相違する点を考慮すると、理想的なレンズ作用が得られる。尚、特殊なレンズ形状を得たい場合には、第3図(ロ)で説明した紫外線照射による滴状レンズ材料4aの硬化の際、半硬化の状態でこれを所望の形状に整形することも可能である。」(2頁右上欄10行?3頁右上欄3行) 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特表2009-544805号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1) 「【0199】 光学レンズにおいて、光学路長はその中心からの距離に伴い変化し、ここで光学路長は生成物の物理的な路長、厚さおよびレンズ材料の屈折率nと定義される。一般的なレンズでは、屈折率nは固定され厚さは異なる。しかしながら、厚さを一定に保ち、レンズ軸からの距離の関数として屈折率を変化させることでレンズを作ることもできる。かかるレンズはグレーデッド・インデックス・レンズ、または時には省略してGRINレンズと呼ばれる。本発明の方法はまた、GRINレンズを形成するために使用できる。ナノ結晶(例えばZnS約2.35)とポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などの光学プラスチック(屈折率約1.45)間の屈折率の大幅な違いの結果、GRINレンズを作るために高分子/ナノ結晶の混合を使用することができる。通常のガラスでは、約0.05の屈折率単位の違いは約8mmで達成できる。本用途の方法および過程を使用して、はるかに強力なレンズを作るために約8mmで約0.20の屈折率単位の違いを達成することができる。 【0200】 かかる実施形態において、高分子モノマーおよびナノ結晶を含有する溶液を型中心に注入するために勾配ポンプを使用し、充填中ナノ結晶の濃度を変化させることができる。次にレンズを硬化・除去できる。 【0201】 コンポジットの逓降変換、フィルタリング、および/または屈折率特性が望ましい場合には、任意の用途に本発明の高分子ナノコンポジットを使用することができる。屈折率を高くした高分子ナノコンポジットの用途の非制限的な例には、下記が挙げられる。 【0202】 超高光沢の被覆:透明な被覆の屈折率増大は光沢度を高める。ワックスおよび他の被覆(例えばカーワックス、靴用ワックス、フロアコーティングおよび関連製品)などの高分子被覆をナノ結晶(例えばZnSナノ結晶)に加えると、被覆表面から反射される光量を増大し、それ故その外見の光沢度を高める。C18、PEGおよび本明細書にわたり考察されるものを含む適切なリガンドは、さまざまな高分子、ワックスおよび被覆によりナノ結晶を形成できるように使用することができる。 【0203】 プラスチック製メガネレンズおよびコンタクト。レンズの厚さは、製造材料の屈折率に比例する。屈折率が高いほどレンズは薄くなる。通常のガラスの屈折率は約1.523である一方、CR39などのプラスチック例の屈折率は1.49である。プラスチックレンズの重量はより軽いが、同等強度を持つガラスレンズよりは厚い。 【0204】 ナノ結晶、例えばZnSナノ結晶、適切には適切なリガンドをプラスチックレンズに混入することで、屈折率を増大させてガラスのレベルを超えた超薄レンズを作ることができる。コンタクトレンズなどの用途では、レンズを透過して酸素を目に運ぶのが重要なことから、薄いレンズの作成に対してより切迫した必要性が存在する。コンタクトレンズの屈折率は約1.40である。ナノ結晶(例えば約10% ZnS)を数パーセント加えるだけでも屈折率は約1.5に増大するため、より薄いレンズが実現する。高分子層中の所定の位置にナノ結晶を固定するために、本明細書にわたり考察するようなリガンドを使用できる。例えば紫外線(UV)を吸収するナノ結晶など特定の吸収特性を持つナノ結晶を加えることで、紫外線(または他の波長)防止レンズの作成が実現する。」 4 引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(国際公開第2007/125785号)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1) 「[0018] また、本発明の硬化性樹脂組成物においてはその効果を損なうことのない範囲内で種々の添加物を添加することができる。例えば、硬化性、ポットライフを与えるためのヒドロシリル化反応用反応制御剤や白色発光用のYAG等の蛍光体、また必要に応じて微粒子状シリカ、酸化チタン等の無機充填剤や顔料、有機充填剤、金属充填剤、難燃剤、耐熱剤、耐酸化劣化剤等を配合してもよい。 硬化条件としては、通常30℃?200℃、好ましくは80℃?150℃の温度範囲で、使用する触媒の種類に応じて適した温度で10分?300分間程度硬化させることで、良好な硬化物を得ることができる。 」 (2) 「[0023] さらに、単に液状または流動状態とした本発明の硬化性樹脂組成物を LED上に滴下あるいはコーティングして硬化させてもよい。あるいは、 LED上に孔版印刷、スクリーン印刷、あるいはマスクを介して塗布すること等により本発明の硬化性樹脂組成物による封止層を形成させて硬化させることもできる。その他、あらかじめ板状、あるいはレンズ形状等に部分硬化あるいは硬化させた本発明の硬化性樹脂組成物をLED上に固定する方法によってもよい。さらには、LEDをリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤として用いることもできるし、LED上のパッシベーション膜として用いることもできる。」 (3) 「[0035] 本発明のLEDパッケージは、本発明の組成物を用いて、主発光ピークが、好ましくは550nm以下の発光素子を被覆し、所定の温度で加熱硬化することにより得られる。」 5 その他の文献について また、前置報告書において周知技術を示す文献として引用された特開2005-55759号公報(以下、「引用文献5」という。)の段落【0048】?【0049】、【0059】?【0062】には、次の事項が記載されている。 (1)「【0013】 上記の構成を実現するために、より具体的には、レンズ材料が揮発性溶剤によって希釈された材料であって、着弾したレンズ材料を所定時間放置することで仮硬化が行われてもよい。 この構成によれば、着弾したレンズ材料を所定時間放置することで、レンズ材料中の上記溶剤を蒸発させ、レンズ材料の粘度を増加させることにより仮硬化を行っている。そのため、マイクロレンズの形状を損なうことなく、土台部材上により多くのレンズ材料を吐出させることができ、より大きなマイクロレンズを形成することができる。」 (2) 「【0048】 次に紫外線硬化工程(S4)について説明する。 このようにして所望形状(本実施形態では図5(c)に示したような球形に近い形状とする)のマイクロレンズ前駆体8を形成したら、図4(b)に示すようにこれらマイクロレンズ前駆体8を硬化させ、マイクロレンズ8aを形成する。マイクロレンズ前駆体8の硬化処理としては、前述したようにレンズ材料7として有機溶剤が加えられておらず、放射線照射硬化性が付与されたものを用いることから、特に紫外線(波長λ=365nm)の照射による処理方法が好適に用いられる。 【0049】 そしてキュア工程(S5)について説明する。 このような紫外線照射による硬化処理の後、例えば100℃で1時間程度の熱処理を行うのが好ましい。このような熱処理を行うことにより、紫外線照射による硬化処理の段階で硬化むらが生じてしまっても、この硬化むらを減少させて全体としてほぼ均一な硬化度にすることができる。 このようにしてマイクロレンズ8aを形成したら、必要に応じて基体3を切断し、個片化しあるいはアレイ状に形成することなどにより、所望の形態に作製する。 なお、このようにして製造されたマイクロレンズ8aと、基体3に予め形成した前記面発光レーザ2とから、本発明の一実施形態となる光学装置が得られる。」 (3)「【0059】 まず、本実施の形態のマイクロレンズの製造方法について説明する。本発明のマイクロレンズの製造方法は、図9に示すように、基体上に土台部材を形成する土台形成工程(S1)と、土台部材の上面を撥液処理する基材撥液化工程(S2)と、前記撥液処理した土台部材の上面上に液滴吐出法によってレンズ材料を複数ドット吐出し、土台部材上にマイクロレンズを形成する吐出工程(S13)と、紫外線をレンズ材料に照射して仮硬化させる紫外線硬化工程(S14)と、硬化したマイクロレンズに熱処理を施すキュア工程(S5)と、を備えている。 なお、土台形成工程(S1)と、基材撥液化工程(S2)と、キュア工程(S5)と、は第1の実施の形態と同じ工程であるので図9に示すに留め、その説明を省略する。 (略) 【0061】 次に紫外線硬化工程(S14)について説明する。 レンズ材料7を20ドット吐出してマイクロレンズ前駆体8を形成したら、図10(b)に示すようにマイクロレンズ前駆体8を仮硬化させる。仮硬化の程度としては、仮硬化したマイクロレンズ前駆体8にレンズ材料7が着弾してもその形状が崩れ、土台部材4bから崩れ落ちない程度の粘性をレンズ材料7が持つ程度に硬化されていればよい。 マイクロレンズ前駆体8の仮硬化処理としては、前述したようにレンズ材料7として有機溶剤が加えられておらず、放射線照射硬化性が付与されたものを用いることから、特に紫外線(波長λ=365nm)の照射による処理方法が好適に用いられる。 【0062】 マイクロレンズ前駆体8の仮硬化処理が終了すると、再び吐出工程(S13)に戻って、仮硬化されたマイクロレンズ前駆体8の上にレンズ材料7が20ドット吐出される。その後、紫外線硬化工程(S14)の仮硬化が行われ、このサイクルが土台部材4b上に100ドットのレンズ材料からなるマイクロレンズ前駆体8が形成されるまで繰り返される(本実施の形態においては5回繰り返される)。」 (4)「【0068】 〔第2の実施の形態の変形例〕 次に、本発明における第2の実施の形態の変形例について図11を参照して説明する。 本実施の形態のマイクロレンズの製造方法は、第1の実施の形態と概略同様であるが、第1の実施の形態とは、レンズ材料を吐出する工程の部分が異なっている。よって、本実施の形態においてはレンズ材料を吐出する工程の部分周辺のみを説明し、土台形成工程等の説明を省略する。 図11は、本実施の形態のマイクロレンズの製造方法の工程フローの概略を示す図である。 【0069】 まず、本実施の形態のマイクロレンズの製造方法について説明する。本発明のマイクロレンズの製造方法は、図11に示すように、基体上に土台部材を形成する土台形成工程(S1)と、前記土台部材の上面を撥液処理する基材撥液化工程(S2)と、前記撥液処理した土台部材の上面上に液滴吐出法によってレンズ材料を複数ドット吐出し、土台部材上にマイクロレンズを形成する吐出工程(S23)と、着弾したレンズ材料を放置して仮硬化させる待機工程(S24)と、硬化したマイクロレンズに熱処理を施すキュア工程(S5)と、を備えている。 なお、土台形成工程(S1)と、基材撥液化工程(S2)と、キュア工程(S5)と、は第1の実施の形態と同じ工程であるので図11に示すに留め、その説明を省略する。 (略) 【0071】 次に待機工程(S24)について説明する。 レンズ材料7を20ドット吐出してマイクロレンズ前駆体8を形成したら、マイクロレンズ前駆体8を所定時間放置して仮硬化させる。マイクロレンズ前駆体8を所定時間放置すると、レンズ材料7の溶剤が蒸発してその粘性が増加し仮硬化状態となる。また、放置する所定時間としては、マイクロレンズ前駆体8にレンズ材料7がさらに着弾してもその形状が崩れ、土台部材4bから崩れ落ちない程度の粘性をレンズ材料7が持つ程度の時間であればよい。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比・一致点・相違点 本願発明1と引用文献1発明とを対比する。 ア 引用文献1発明の「発光素子チップ」は、光電変換により発光する半導体を有するチップであるため、本願発明1の「光電半導体チップ」に相当する。 イ 引用文献1発明の「発光素子チップ1をパッケージ50に電極同士を対向させ発光観測面を上にして実装するステップ」は、発光素子チップ1を実装するという点で準備を行っているため、 本願発明1の「光電半導体チップを準備するステップ」に相当する。 ウ 引用文献1発明の「レンズ形成用樹脂21」は、光学素子の一種であるレンズを形成するための樹脂であるため、 本願発明1の「光学素子用の成形材料」に相当する。 エ 引用文献1発明の「前記発光素子チップ1の発光観測面上のほぼ中央にディスペンサーにより所定量のレンズ形成用樹脂21を塗布するステップ」は、発光素子チップ1にレンズ形成用樹脂を塗布により直接取り付けているため、 本願発明1の「b)前記半導体チップに直接、光学素子用の成形材料を取り付けるステップ」に相当する。 オ 引用文献1発明の「発光観測面の外周端部1aまで広がった前記レンズ形成用樹脂21は、発光観測面の端部1aの外側にさらに広がって流れ出すことはなく、表面張力により樹脂21の量と粘度に対応した形状の球面を形成」する構成は、レンズ形成用樹脂21を塗布する際に、発光素子チップ1の観測面の端部の外側にさらに広がって流れない、すなわち、発光素子チップ1の側面には流れない点からみて、 本願発明1の「前記半導体チップに直接、光学素子(3)用の成形材料(30)を取り付けるステップ」における「前記半導体チップの側面(201)は、前記成形材料が存在しない状態のままに」する構成に相当する。 カ 引用文献1発明の「エポキシ樹脂」がポリマー材料の一種であることは明らかであるため、本願発明1の「前記成形材料は高屈折率のポリマー材料をベース」とする構成と、 引用文献1発明の「前記レンズ形成用樹脂21は、ガラス点移転が150℃以上である一液性熱硬化型のエポキシ樹脂を有」する構成とは、 「前記成形材料はポリマー材料をベース」とする点で一致する。 キ 本願発明1の「c)前記成形材料を前記半導体チップに取り付けた後、該成形材料が前記側面を超えて延在しないように、該成形材料を高くても50℃の温度で予硬化するステップであって、 前記予硬化を電磁光線によって誘発する、または、 当該ステップc)で、前記成形材料を、前記成形材料の少なくとも2つの成分の混合によって活性化し、前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする、ステップ」と、 引用文献1発明の「レンズ形状に形成された前記レンズ形成用樹脂21を120℃で2時間硬化するステップ」とを対比する。 引用文献1発明の「2時間硬化するステップ」は、発光素子チップにレンズ形成用樹脂21を塗布した後に行うステップであることは明らかであり、 「8時間硬化するステップ」の前に行う予硬化を行っている。 したがって、両者は、「c)前記成形材料を前記半導体チップに取り付けた後、当該成形材料を予硬化するステップ」という点で一致する。 ク 引用文献1発明の「さらに150℃で8時間硬化するステップ」は、レンズ形成用樹脂21を硬化していることからみて、本願発明1の「d)前記成形材料を硬化するステップ」に相当する。 したがって、本願発明1と引用文献1発明とは、 (一致点) 「 a)光電半導体チップを準備するステップと、 b)前記半導体チップに直接、光学素子用の成形材料を取り付けるステップと、ただし、前記半導体チップの側面は、前記成形材料が存在しない状態のままにし、前記成形材料はポリマー材料をベースにし、 c)前記成形材料を前記半導体チップに取り付けた後、該成形材料を予硬化するステップと、 d)前記成形材料を硬化するステップと、 を有する半導体構成素子の製造方法。」 という点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) ポリマー材料が、本願発明1では、「高屈折率」のポリマー材料であるのに対し、 引用文献1発明では、一液性熱硬化型のエポキシ樹脂の屈折率が限定されていない点。 (相違点2) 成形材料を予硬化するステップが、本願発明1では、「該成形材料が前記側面を超えて延在しないように、該成形材料を高くても50℃の温度で予硬化するステップであって、前記予硬化を電磁光線によって誘発する、または、当該ステップc)で、前記成形材料を、前記成形材料の少なくとも2つの成分の混合によって活性化し、前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする」のに対し、 引用文献1発明では、「前記レンズ形成用樹脂21を120℃で2時間硬化する」として120℃の温度で硬化しており、(ア)硬化するための温度が異なり、(イ)予硬化を誘発または活性化するための手段が異なり、(ウ)前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする点について限定されていない点。 (2) 相違点についての判断 ア 事案に鑑み、相違点2から検討する。 (ア) 成形材料が側面を超えて延在しないように予硬化することについて検討する。 引用文献1の段落【0014】には、「レンズ20は、以下に説明する方法により形成されるので、実際に形成された後の、レンズ20の外周端部20aは、発光観測面の外周端部1aの若干下に位置することがある。しかしながら、発光素子チップ1の厚さが通常、80μm?100であるのに対し、レンズ20が形成された後のレンズ20の外周端部20aと発光観測面の外周端部1aの間隔は通常10μm以下であり、本明細書において、この程度のずれは実質的に一致しているという。」と記載されており、レンズ20の外周端部20aが下に位置しないものを製造することが望ましいものであると読みとれるため、製造時の成形材料が側面を超えて延在しないように調整して予硬化する技術が記載されているといえる。 (イ)予硬化における温度と予硬化の手段について検討する。 本願発明1の「予硬化」に関し、本願明細書の段落【0028】?【0034】に次の記載がある。 「【0028】 半導体構成素子の製造方法の実施形態では、光電半導体チップが提供される。半導体チップ上には光学素子用の成形材料が施与され、この成形材料は高屈折率のポリマー材料をベースにする。この成形材料は最高でも50℃の温度であらかじめ硬化される。それから成形材料が硬化する。 【0029】 予硬化することにより成形材料が予硬化の後でも十分な形状安定性を有することが達成できる。予硬化はとりわけ10℃から30℃の温度で、ほぼ室温で行うことができる。 【0030】 硬化ステップ中に成形材料が潮解する危険性が予硬化することによって減少する。予硬化は好ましくは、成形材料が半導体チップの側面を超えて延在しないように行われる。光学素子の形状が成形材料の完全な硬化の前に不所望に変化すること、およびこれに結びついた光学素子の品質劣化を十分に回避することができる。 【0031】 一実施形態では、予硬化が電磁光線によって誘発される。好ましくは予硬化は紫外線光線によって行われる。しかし別のスペクトル領域の光線、たとえばマイクロ波ビームも使用することができる。 【0032】 光線誘発性硬化は成形材料の急速なゲル化に作用することが判明した。成形材料が潮解する危険性がこれにより十分に減少する。これに対して純粋な熱的硬化では、発生する温度変化が潮解に作用し、または潮解を助長する。 【0033】 好ましい実施形態では、成形材料が予硬化の際に、0.2J/cm^(2)から2.0J/cm^(2)のエネルギー量を備える光線に晒される。この範囲が光学的に高品質の光学素子の製造にとくに適していることが判明した。 【0034】 択一的にまたは補充的に、予硬化用の成形材料は少なくとも2つの成形材料の混合によって活性化することができる。この場合、成形材料の活性化は外部の作用によって簡単に行うことができ、予硬化に作用する。しかしこのことは電磁光線によって付加的に開始または促進することができる。」と記載されている。 これらの記載からみて、予硬化において、(a)高くても50℃の温度で予硬化すること、(b)予硬化において、光線誘発性硬化を行う、または、成形材料は少なくとも2つの成形材料の混合によって活性化することにより、成形材料が潮解する危険性が十分に減少する効果を有するものである。 一方、引用文献2には、レンズ材料を紫外線硬化を行う際に、半硬化の状態で形状を成形し、その後に硬化を行う技術が記載され、引用文献3には、ナノ結晶を加えたレンズの構成が記載され、引用文献4には、レンズ材料に加熱硬化を行う際に、部分硬化を行う技術が記載されている。 そして、引用文献5には、レンズ材料に対して、紫外線照射による仮硬化 、または、着弾したレンズ材料を所定時間放置することで、レンズ材料中の溶剤を蒸発させ、レンズ材料の粘度を増加させることによる仮硬化を行った後に、硬化むらを減少するために100℃で熱処理を行う技術が記載されている。 しかしながら、引用文献2?5のいずれにも、成形材料の潮解を減少させるために、(a)高くても50℃の温度で予硬化すること、及び、(b)予硬化において、光線誘発性硬化を行う、または、成形材料を少なくとも2つの成形材料の混合によって活性化することを同時に満たす予硬化を行う点についての記載はない。 そして、引用文献1?5には、成形材料の潮解を減少させることに関する課題が記載されておらず、自明ともいえず、そして、高くても50℃の温度で予硬化する構成についての記載もないため、引用文献1?5から、上記(a)、(b)を同時に満たす予硬化を行う技術を構成し得るとはいえない。 そして、本願発明1は、相違点2に係る構成を採用することにより、「成形材料が潮解する危険性が十分に減少する」という効果を奏するものである。 イ 上記のとおりであるから、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献1発明及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 (3) まとめ 相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1発明及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2?本願発明11について 本願発明2?本願発明11は、本願発明1の相違点2に係る構成を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1発明及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1?本願発明11は、「該成形材料が前記側面を超えて延在しないように、該成形材料を高くても50℃の温度で予硬化するステップであって、前記予硬化を電磁光線によって誘発する、または、当該ステップc)で、前記成形材料を、前記成形材料の少なくとも2つの成分の混合によって活性化し、前記予硬化により潮解を阻止して、前記半導体チップの側面を前記成形材料が存在しない状態のままにする」構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由(特許法第29条第2項)を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-02-13 |
出願番号 | 特願2013-515795(P2013-515795) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉岡 一也、北島 拓馬 |
特許庁審判長 |
恩田 春香 |
特許庁審判官 |
近藤 幸浩 居島 一仁 |
発明の名称 | 半導体構成素子の製造方法 |
代理人 | 上島 類 |
代理人 | 前川 純一 |
代理人 | 二宮 浩康 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |