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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K |
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管理番号 | 1337493 |
審判番号 | 不服2016-19734 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-13 |
確定日 | 2018-02-13 |
事件の表示 | 特願2013-225959「直列誘導直流モータ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月20日出願公開、特開2015- 77064〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成25年10月10日の出願で、平成27年7月31日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成27年8月25日)、これに対し、平成27年9月7日付で意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年3月25日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成28年4月19日)、これに対し、平成28年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成29年8月21日付で平成28年5月13日付の手続補正が却下されるとともに拒絶の理由が通知され(発送日:平成29年8月23日)、これに対し、平成29年9月13日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1-2に係る発明は、出願時の特許請求の範囲の請求項1(本願の請求項1に係る発明を、以下、「本願発明」という。)及び平成29年9月13日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 永久磁石を用いた回転子を回転軸方向の両側からコイルを巻いた固定電機子等で挟んで回転力を発生させる構造のモータ。 【請求項2】 棒状の鉄芯にコイルを巻いた3本の電機子を回転軸に固定した回転自在に支持した回転子の、回転軸方向の両側から平面でギャップを開け、固定永久磁石で挟む構造のモータで、電源に繋がるバネ付きブラシを通じ電流を印加したとき、回転軸延長上の電機子コイル回転子の両側に配置した固定永久磁石は、左右の磁極が反対の磁極になるように組み合わせてあるのと、電機子コイルが3本の構成でありコイルは3本とも同状態に整流部分で繋がり、図2の右正面図のようにブラシを通じ(+)と(-)に電流が流れ、図2横断面図電機子図の両端に示してあるN極とS極の電磁石になるので、両軸方向の固定磁石に反発と誘引の力が働き、右正面図から見て時計回りに回転を始め、3分の1回転ごとに図面と同じ状態が連続し、回転を続ける直列誘導直流モータです。」 3.当審の拒絶の理由II、III 当審で平成29年8月21日付で通知した拒絶の理由II、IIIの概要は以下のとおりである。 「II この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」 「III この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開2012-110179号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」 4.当審の拒絶の理由IIに対する判断 請求項2には、「コイルは3本とも同状態に整流部分で繋がり、図2の右正面図のようにブラシを通じ(+)と(-)に電流が流れ、図2横断面図電機子図の両端に示してあるN極とS極の電磁石になる」とあるが、コイルは3本とも同状態に整流部分で繋がるとは電気的にどの様な接続状態であるのか構成を特定できず不明である。 したがって、請求項2の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 5.当審の拒絶の理由IIIに対する判断 (1)引用例 当審の拒絶の理由に引用された特開2012-110179号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 a「【請求項1】 回転軸と、 前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸方向にN極とS極とを配置し、前記回転軸の回転中心を中心として円柱状に形成された永久磁石を備える磁石体と、 前記磁石体の前記永久磁石の前記N極面、もしくは前記S極面に対向配置される第1の面を有し、前記磁石体の前記回転中心において前記磁石体と相対的に回転可能に配置される半導体装置と、を備え、 前記半導体装置は、前記第1の面に前記回転中心から放射状に配置される1以上の導体配線と、 前記半導体装置は、少なくとも前記導体配線に流す電流の方向を切り替える回路を含む駆動回路と、前記磁石体と前記半導体装置との相対的な回転位置を検出する検出回路と、を含む、 ことを特徴とするコアレスモーター。 【請求項2】 前記半導体装置の前記第1の面の反対面である第2の面に、前記回転中心から放射状に配置される1以上の前記導体配線が形成されている、 ことを特徴とする請求項1に記載のコアレスモーター。」 b「図1(a)に示すコアレスモーター100(以下、モーター100という)は、磁石体10と、磁石体10の磁石10aの磁極面である10b、10cに対向配置され、磁石体10の回転軸10dが挿通する貫通孔21aを有する半導体装置21と貫通孔22aを有する半導体装置22と、磁石体10と半導体装置21、22とを収納する収納容器30とにより構成されている。」(【0028】) c「図1(c)に示すように、半導体装置21、22の一方の面21b、22bを磁石体10の磁石10aの磁極面10b、10cに対向させて、半導体装置21、22が配置される。図2は半導体装置21、22の(a)は上平面図、(b)は(a)B-B´部の断面図、(c)は下平面図を示し、半導体装置21、22には、磁石10aに対向する面21b、22bには導体配線41、43が備えられ、磁石10aに対向する面21b、22bと反対の面21c、22cには導体配線42、44が備えられている。このように配置された磁石体10、半導体装置21、22を、収納容器31、32により密閉収納し、モーター100を得る。」(【0033】) 上記記載及び図面を参照すると、磁石体は回転子であり、又、コアレスモーターは回転力を発生させる構造である。 上記記載事項からみて、引用例には、 「磁石体の回転子の磁極面の一方の面と反対の面に対向配置され導体配線を備えた半導体装置を含む回転力を発生させる構造のコアレスモーター。」 との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (2)対比・判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「磁石体」、「導体配線」、「半導体装置」、「コアレスモーター」は、本願発明の「永久磁石」、「コイル」、「固定電機子等」、「モータ」に相当する。 引用発明の「磁石体の回転子」は、本願発明の「永久磁石を用いた回転子」に相当し、引用発明の「磁極面の一方の面と反対の面に対向配置され」は、本願発明の「回転軸方向の両側から」「挟んで」に相当するから、引用発明の「磁石体の回転子の磁極面の一方の面と反対の面に対向配置され導体配線を備えた半導体装置を含む」は、本願発明の「永久磁石を用いた回転子を回転軸方向の両側からコイルを巻いた固定電機子等で挟んで」に相当する。 したがって、両者は、 「永久磁石を用いた回転子を回転軸方向の両側からコイルを巻いた固定電機子等で挟んで回転力を発生させる構造のモータ。」 の点で一致し、両者に差異は認められない。 したがって、本願発明は、引用発明と同一と認められ、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 6.むすび したがって、請求項2の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、本願発明は、引用発明と同一と認められるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-11-30 |
結審通知日 | 2017-12-05 |
審決日 | 2017-12-26 |
出願番号 | 特願2013-225959(P2013-225959) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H02K)
P 1 8・ 113- WZ (H02K) P 1 8・ 55- WZ (H02K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森山 拓哉、樋口 幸太郎、仲村 靖 |
特許庁審判長 |
久保 竜一 |
特許庁審判官 |
堀川 一郎 矢島 伸一 |
発明の名称 | 直列誘導直流モータ |