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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A46B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A46B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A46B
管理番号 1338125
異議申立番号 異議2017-700161  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-22 
確定日 2018-02-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5977942号発明「歯ブラシ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5977942号の特許請求の範囲を平成30年1月5日提出の手続補正書により補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第5977942号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5977942号(請求項の数5。以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成23年12月27日の出願であって、平成28年7月29日に特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人鈴木宏和より平成29年2月22日に特許異議の申立てがされたものである。以下、特許異議の申立て後の経緯を整理して示す。
平成29年 5月12日付け 取消理由通知
同年 7月14日 意見書、訂正請求書の提出(特許権者より)
同年 9月 6日付け 訂正拒絶理由通知
同年10月 4日 意見書の提出(特許権者より)
同年10月11日付け 訂正請求があった旨の通知
同年11月 8日 意見書の提出(特許異議申立人より)
同年12月 1日付け 審尋、訂正拒絶理由通知
同年12月21日 回答書(特許権者より)
平成30年 1月 5日 意見書、手続補正書の提出(特許権者より)

以下、上記訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。


第2 本件訂正について
1 本件訂正の内容
平成29年7月14日提出の訂正請求書は、平成30年1月5日提出の手続補正書により補正された。
当該補正は、上記訂正請求書により請求された訂正について、平成29年12月1日付け訂正拒絶理由通知にて具体的に示した訂正事項1?10のうち、訂正事項2、6?10を削除するとともに、訂正事項5のうちの請求項2に係る発明を特定するための事項である「側面の中央領域を覆う」を「側面を覆う」に訂正する訂正事項を削除するものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので、当該補正を認める。
よって、本件訂正の内容は次のとおりである。
(1)訂正事項ア
特許請求の範囲の請求項1に
「第1樹脂からなる一次成形部と、」
と記載されているのを、
「第1樹脂からなり、前記ハンドル部の長手方向の両端部から中央付近に向けて、その両側面方向及び表裏面方向の何れか一方又は両方の厚さが漸次増大していることにより前記ハンドル部の長手方向の中央付近が太くなっている一次成形部と、」
に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項3?請求項5も同様に訂正する。

(2)訂正事項イ
特許請求の範囲の請求項1に
「一次成形部の裏面の中央領域」
と記載されているのを、
「一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域」
に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項3?請求項5も同様に訂正する。

(3)訂正事項ウ
特許請求の範囲の請求項1に
「双方に連なる第2被覆部と、が一体に形成されてなる」
と記載されているのを、
「双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、
前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、ハンドル部全長の0%超60%以下であり、
かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されている」
に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項3?請求項5も同様に訂正する。

(4)訂正事項エ
特許請求の範囲の請求項2に
「前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。」
と記載されているのを、
「ハンドル部の先端にヘッド部が設けられ、前記ハンドル部は、透明な第1樹脂からなる一次成形部と、前記第1樹脂とは異なる第2樹脂からなり、前記一次成形部を覆う二次成形部とを有する歯ブラシにおいて、
前記二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、
前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、
かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されていることを特徴とする歯ブラシ。」
に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項アについて
訂正事項アに係る訂正は、
1a)訂正前の請求項1、3?5を特定するための事項である「一次成形部」について、「前記ハンドル部の長手方向の両端部から中央付近に向けて、その両側面方向及び表裏面方向の何れか一方又は両方の厚さが漸次増大していることにより前記ハンドル部の長手方向の中央付近が太くなっている一次成形部」と限定し、
1b)同「第1樹脂からなる」を「第1樹脂からなり、」と表現ぶりを整える、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項アに係る訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1、図面の図1?図5の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でしたものであって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項イについて
訂正事項イに係る訂正は、訂正前の請求項1、3?5を特定するための事項である「一次成形部の裏面の中央領域」に関し、その位置について「一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域」と限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項イに係る訂正は、特許明細書等の段落【0012】の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項ウについて
訂正事項ウに係る訂正は、
3a)訂正前の請求項1、3?5を特定するための事項である「第2被覆部」について、「第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、」と限定し、
3b)同「二次成形部」について、「二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、ハンドル部全長の0%超60%以下であり、」「かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されている」と限定し、
3c)「第2被覆部と、が一体に形成されてなる」を「第2被覆部が一体に形成されており、」と表現ぶりを整える、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項ウに係る訂正は、特許明細書等の請求項1?2、段落【0012】?【0013】等の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項エについて
訂正事項エに係る訂正は、
4a)訂正前の請求項2に係る発明を特定するための事項である「第1樹脂」を「透明な第1樹脂」と限定し、
4b)同「一次成形部の裏面の中央領域」に関し、その位置について「一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域」と限定し、
4c)同「第2被覆部」について、「第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、」と限定し、
4d)同「二次成形部」について、「二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、ハンドル部全長の0%超60%以下であり、」「かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されている」と限定し、
4e)同「第2被覆部と、が一体に形成されてなる」を「第2被覆部が一体に形成されており、」と表現ぶりを整え、
4f)請求項1を引用する形式で記載されていた訂正前の請求項2を独立形式の記載に改める、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明及び引用関係の解消を目的とするものである。
また、訂正事項エに係る訂正は、特許明細書等の請求項1?2、段落【0012】、【0013】、【0016】等の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 一群の請求項について
訂正前の請求項1?5は、請求項2?5が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、本件訂正請求は、一群の請求項ごとにされたものである。

4 小括
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。


第3 特許異議の申立てについて
1 本件訂正発明
上記「第2 本件訂正について」のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」?「本件訂正発明5」という。)は、平成30年1月5日提出の手続補正書により補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ハンドル部の先端にヘッド部が設けられ、前記ハンドル部は、第1樹脂からなり、前記ハンドル部の長手方向の両端部から中央付近に向けて、その両側面方向及び表裏面方向の何れか一方又は両方の厚さが漸次増大していることにより前記ハンドル部の長手方向の中央付近が太くなっている一次成形部と、前記第1樹脂とは異なる第2樹脂からなり、前記一次成形部を覆う二次成形部とを有する歯ブラシにおいて、
前記二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、
前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、
かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
ハンドル部の先端にヘッド部が設けられ、前記ハンドル部は、透明な第1樹脂からなる一次成形部と、前記第1樹脂とは異なる第2樹脂からなり、前記一次成形部を覆う二次成形部とを有する歯ブラシにおいて、
前記二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、
前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、
かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項3】
前記一次成形部の裏面又は表面の一部が半楕円形状に露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記表面の中央領域のネック部側の前記第3被覆部の端部と、
前記裏面の中央領域のネック部側の前記第2被覆部の端部とが、前記一次成形部の表面と裏面を重ねた場合に重なることを特徴とする請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記一次成形部が透明な前記第1樹脂で形成され、前記第1?第3被覆部が着色した前記第2樹脂で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の歯ブラシ。」

2 取消理由通知に記載した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?5に係る特許に対して、上記平成29年5月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである(本件訂正前の請求項に係る発明を、以下「本件特許発明1」などという。)。
(取消理由1)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、取り消すべきものである。
(取消理由2)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、取り消すべきものである。
(取消理由3A)
本件特許発明1?3は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由3B)
本件特許発明1?2は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由4A)
本件特許発明3、4は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明及び甲第3、4号証に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由4B)
本件特許発明3、4は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明及び甲第3、4号証に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由5A)
本件特許発明5は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明、甲第3、4号証に記載された周知技術及び甲第5号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由5B)
本件特許発明5は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明、甲第3、4号証に記載された周知技術及び甲第5号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

[甲号証]
甲第1号証:米国特許第7712175号明細書
甲第2号証:特開2006-202号公報
甲第3号証:特開2006-81760号公報
甲第4号証:意匠登録第1138251号公報
甲第5号証:特開2003-265232号公報

3 取消理由についての検討
3-1 取消理由1(明確性)について
(1)請求項1、2の記載不備
請求項1、2に係る取消理由1の「不備」は、要するに、第1被覆部、第2被覆部、第3被覆部を規定する「中央領域」についてどのような領域であるのか、また、第2被覆部、第3被覆部の形状・広がりが不明というものである。
しかしながら、本件訂正発明1、2では、第2被覆部の「中央領域」について、「一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域」と特定され、また、第3被覆部の「中央領域」についても、「表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域」と特定されていることから、第2被覆部、第3被覆部を規定する「中央領域」がどのような領域であるのかは明らかとなった。
また、第1被覆部における「側面の中央領域」については、その字義どおりに“側面の中央を含む中央付近の領域”と自然に解釈できるところ、このような解釈により本件訂正発明1、2の明確な把握が妨げられるものでもない。
さらに、本件訂正発明1、2における「一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、」「二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、」「かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されている」という特定によれば、第2被覆部、第3被覆部の形状・広がりについても明確に把握できるものである。

(2)請求項4の記載不備
請求項4に係る取消理由1の「不備」は、要するに、「前記表面の中央領域のネック部側の前記第3被覆部の端部と、前記裏面の中央領域のネック部側の前記第2被覆部の端部とが、前記一次成形部の表面と裏面を重ねた場合に重なる」の意味内容が明らかでない、というものである。
しかしながら、本件訂正発明4では、本件訂正発明4を特定するための事項である「第1樹脂からなる一次成形部」が「透明」であることが明らかとなったことを踏まえると、当該「重なる」とは、“重なって見えるように配置されている”と解することができるところ、このような解釈を前提とすると、「一次成形部の表面と裏面を重ねた場合」とは、“一次成形部を側面方向から見るのではなく、一次成形部の表面と裏面を重ねた方向から見た場合”と解するのが自然である。
そうすると、「前記表面の中央領域のネック部側の前記第3被覆部の端部と、前記裏面の中央領域のネック部側の前記第2被覆部の端部とが、前記一次成形部の表面と裏面を重ねた場合に重なる」の意味内容は、“一次成形部の表面側又は裏面側から見た場合に、表面の中央領域のネック部側の第3被覆部の端部と、裏面の中央領域のネック部側の第2被覆部の端部とが、重なって見えるように配置されている”ことと、当業者であれば把握できるものといえる。

(3)まとめ
上記(1)のとおりであるから、本件訂正発明1、本件訂正発明2、請求項1又は2を引用する請求項3に係る本件訂正発明3が明確でないとはいえない。
また、上記(1)、(2)のとおりであるから、本件訂正発明4、請求項4を引用する請求項5に係る本件訂正発明5が明確でないとはいえない。

3-2 取消理由2(サポート要件)について
(1)不備の1
取消理由2の「不備」の一つ目は、要するに、本件訂正発明1?5は、発明の課題を解決できない、というものであるので、以下に検討する。
願書に添付した明細書には、次の記載がある。
「【0002】
・・・
この歯ブラシは、一次成形部を作製した後、その一次成形部をインモールド射出成形用の金型内に配置させ、ハンドル部の一端側から軟質樹脂を射出させる方法により製造されていた。」
「【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の歯ブラシは、一次成形部と二次成形部との密着性が低く、一次成形部から二次成形部が剥離することがあった。また、成形の際に金型キャビティ外の金型の隙間に樹脂がはみ出す、いわゆる「バリ」の成形不良が、二次成形部に生じることがあった。
本発明は、一次成形部からの二次成形部の剥離と成形時のバリの発生とが防止された歯ブラシを提供することを目的とする。」
「【0005】
本発明者は、特許文献1,2に記載の歯ブラシにおいて、一次成形部から二次成形部が剥離し、バリが発生するのは、二次成形部を成形する際に、軟質樹脂をハンドル部の一端側から射出すること、軟質樹脂の流路に狭い部分があることが原因であることを見出した。・・・そこで、本発明者は、厳しい成形条件にしなくても軟質樹脂を狭い金型キャビティ内の隅々まで速やかに充填できる二次成形部の形状について検討して、以下の歯ブラシを発明した。」
「【0028】
(作用効果)
・・・
また、本実施形態では、第2被覆部32bの中央領域31fが、ハンドル部30の基端からネック部20との境界までの距離を2等分する位置の付近に配置されているため、金型内の第2樹脂の流動長を短くすることができる。そのため、第2樹脂を狭い金型キャビティ内の隅々までより速やかに充填でき、バリの発生をより防止できる。
また、第2樹脂を速やかに充填できると、流動の先端側での第2樹脂の温度低下が小さくなるため、二次成形部32と一次成形部31との密着性が高くなる。したがって、一次成形部31からの二次成形部32の剥離を防止できる。
・・・」
これらの記載内容に加え、本件訂正発明1?5が製造方法や製造装置の発明でなく「歯ブラシ」に係る発明であることを踏まえると、本件訂正発明1?5の解決すべき課題は、次のものと把握できる。
<課題1>
その歯ブラシを、特定の製造方法、即ち、一次成形部を作製した後、その一次成形部をインモールド射出成形用の金型内に配置させ、軟質樹脂を、ハンドル部の一端側でない適切な位置から射出させるという方法、により製造した場合に、金型内の第2樹脂の流動長を短くすることができ、第2樹脂を狭い金型キャビティ内の隅々までより速やかに充填でき、バリの発生をより防止できること。
<課題2>
その歯ブラシを、特定の製造方法、即ち、一次成形部を作製した後、その一次成形部をインモールド射出成形用の金型内に配置させ、軟質樹脂を、ハンドル部の一端側でない適切な位置から射出させるという方法、により製造した場合に、金型内の第2樹脂の流動長を短くすることができ、第2樹脂を狭い金型キャビティ内の隅々までより速やかに充填でき、一次成形部からの二次成形部の剥離を防止できること。

本件訂正発明1?5の「歯ブラシ」は、発明特定事項として「二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、」「前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、」「前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、」「かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されている」事項を具備するのであるから、斯かる「歯ブラシ」は、その二次成形部の形状からみて、「一次成形部を作製した後、その一次成形部をインモールド射出成形用の金型内に配置させ、軟質樹脂を、ハンドル部の一端側でない適切な位置から射出させるという方法、により製造した場合に、金型内の第2樹脂の流動長を短くすることができ、第2樹脂を狭い金型キャビティ内の隅々までより速やかに充填でき、バリの発生をより防止できること。」また、同様に「一次成形部からの二次成形部の剥離を防止できること。」という上記の課題1及び課題2を解決できる「歯ブラシ」であるといえる。

(2)不備の2
取消理由2の「不備」の二つ目は、要するに、本件訂正発明1?5では、第2被覆部や第3被覆部の形態が特定されておらず、発明の詳細な説明に記載されていない形態を含む、というものである。
しかしながら、本件訂正発明1?5における「第2被覆部」、「第3被覆部」の形態については、上記3-1(1)で示したように明確に特定されており、しかも、この特定から把握されるそれぞれの形態は、発明の詳細な説明及び図面に開示された「第2被覆部32b」、「第3被覆部32c」の各形態と整合するところである。

(3)不備の3
取消理由2の「不備」の三つ目は、要するに、請求項1又は請求項2を引用する請求項3に係る本件訂正発明3は、「一次成形部の裏面又は表面の一部が半楕円形状に露出している」部分についてその位置が限定されていないので、本件訂正発明3は発明の詳細な説明に記載された発明でない、というものである。
しかしながら、本件訂正発明3における「一次成形部の裏面又は表面の一部が」「露出している」部分とは、一次成形部の裏面又は表面において第2被覆部又は第3被覆部により覆われていない部分にほかならないところ、本件訂正発明3における「第2被覆部」、「第3被覆部」の形状・広がりについては、上記3-1(1)で示したように明確に特定されているのであるから、「第2被覆部」、「第3被覆部」の残余部分たる「露出している」部分についても、その位置等が把握できるものといえるし、また、このように把握される「露出している」部分の位置等は、発明の詳細な説明及び図面の開示内容とも整合するところである。

(4)まとめ
以上の(1)?(3)のとおり、特許請求の範囲の記載に取消理由2の不備はなく、本件訂正発明1?5は、発明の詳細な説明に記載された発明である。

3-3 取消理由3A?5Bについて
(1)取消理由3A、3B(新規性)について
甲第1号証の第1欄第54?57行、第3欄第62行、第5欄18?26行及びFIG.1?3の記載からみて、甲第1号証には、
「ハンドルの先端にヘッドを備え、ハンドルは、ポリプロピレン等の樹脂で形成されたコアと、熱可塑性エラストマ等の樹脂でコアの一部を覆うように形成されたモールド部とを有する歯ブラシにおいて、
前記モールド部は、前記コアの各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記コアの裏面の中央領域からハンドルの先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部と、が一体に形成され、
前記モールド部は、前記コアの表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、
前記第3被覆部は、前記表面の中央領域から、前記ハンドルの先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なり、
前記コアの表面の一部が半楕円形状に露出している
歯ブラシ。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
また、甲第2号証の段落【0013】?【0016】、【0022】、【0023】及び図1?4の記載からみて、甲第2号証には、
「把持部4の先端にヘッド部2が設けられ、前記把持部4は、硬質樹脂材料からなる芯材部5と、前記硬質樹脂材料とは異なる軟質樹脂材料からなり、前記芯材部5を覆う被覆部6とを有する歯ブラシにおいて、
前記被覆部6は、前記芯材部5の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記芯材部5の裏面の中央領域から前記把持部4の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部と、が一体に形成されてなる
歯ブラシ。」
の発明(以下「甲2a発明」という。)、及び
「把持部4の先端にヘッド部2が設けられ、前記把持部4は、硬質樹脂材料からなる芯材部5と、前記硬質樹脂材料とは異なる軟質樹脂材料からなり、前記芯材部5を覆う被覆部6とを有する歯ブラシにおいて、
前記被覆部6は、前記芯材部5の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記芯材部5の裏面の中央領域から前記把持部4の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部と、が一体に形成され、
前記被覆部6は、前記芯材部5の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、
前記第3被覆部は、前記表面の中央領域から、前記把持部4の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる
歯ブラシ。」
の発明(以下「甲2b発明」という。)が記載されている。

しかしながら、甲1発明、甲2a発明、甲2b発明は、いずれも、本件訂正発明1?3を特定するための事項である、「二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されている」事項(以下「本件訂正発明特定事項」という。)を有するものではない。
そうすると、本件訂正発明1?3はいずれも、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第2号証に記載された発明であるともいえない。

(2)取消理由4A?5B(進歩性)について
本件訂正発明3?5は、本件訂正発明1又は本件訂正発明2を直接又は間接的に引用する発明であるから、上記本件訂正発明特定事項を具備する発明であるところ、甲1発明の「モールド部」、甲2a発明及び甲2b発明の「被覆部6」を本件訂正発明特定事項のように変更することが単なる設計的事項であるとはいえない。
また、甲第3?5号証にも、上記本件訂正発明特定事項についての記載がない。
そして、本件訂正発明3?5は、当該本件訂正発明特定事項を具備することにより、上記3-2(1)で示した課題1及び課題2を解決するという格別の作用効果が期待できるものである。
そうすると、本件訂正発明3?5は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、甲第3、4号証に記載された周知技術及び甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
異議申立人は、異議申立書において、次の取消理由も主張している。
(取消理由6A)
本件特許発明5は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(取消理由6B)
本件特許発明5は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

しかしながら、上記3-3(2)で示したように、本件訂正発明5は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、甲第3、4号証に記載された周知技術及び甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないのであるから、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもないことは明らかである。
よって、異議申立人の当該主張は採用できない。

5 小括
したがって、本件訂正発明1?5に係る特許は、特許法第113条第2号にも同条第4号にも該当せず、取り消すべきものとすることはできない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由並びに特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部の先端にヘッド部が設けられ、前記ハンドル部は、第1樹脂からなり、前記ハンドル部の長手方向の両端部から中央付近に向けて、その両側面方向及び表裏面方向の何れか一方又は両方の厚さが漸次増大していることにより前記ハンドル部の長手方向の中央付近が太くなっている一次成形部と、前記第1樹脂とは異なる第2樹脂からなり、前記一次成形部を覆う二次成形部とを有する歯ブラシにおいて、
前記二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、
前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、
かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
ハンドル部の先端にヘッド部が設けられ、前記ハンドル部は、透明な第1樹脂からなる一次成形部と、前記第1樹脂とは異なる第2樹脂からなり、前記一次成形部を覆う二次成形部とを有する歯ブラシにおいて、
前記二次成形部は、前記一次成形部の各々の側面の中央領域を覆う第1被覆部と、
前記一次成形部の裏面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である裏面の中央領域から前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なる第2被覆部が一体に形成されており、前記第2被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(1)は、前記ハンドル部全長の0%超30%以下であり、
前記二次成形部は、前記一次成形部の表面の一部を被覆する第3被覆部をさらに有し、前記第3被覆部は、前記表面の幅方向の中央且つ長手方向の中央である表面の中央領域から、前記ハンドル部の先端方向及び後端方向に広がりつつ前記第1被覆部の双方に連なっており、前記第3被覆部のハンドル部の長手方向における最小長さL_(2)は、前記ハンドル部全長の0%超60%以下であり、
かつ、前記第1被覆部は、前記第2被覆部と前記第3被覆部を前記ハンドル部の長さ方向に亘ってこれらを繋ぐように一次成形部の両側面を覆うように形成されていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項3】
前記一次成形部の裏面又は表面の一部が半楕円形状に露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記表面の中央領域のネック部側の前記第3被覆部の端部と、
前記裏面の中央領域のネック部側の前記第2被覆部の端部とが、前記一次成形部の表面と裏面を重ねた場合に重なることを特徴とする請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記一次成形部が透明な前記第1樹脂で形成され、前記第1?第3被覆部が着色した前記第2樹脂で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の歯ブラシ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-01-22 
出願番号 特願2011-285691(P2011-285691)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A46B)
P 1 651・ 113- YAA (A46B)
P 1 651・ 121- YAA (A46B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 横溝 顕範  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 五閑 統一郎
関谷 一夫
登録日 2016-07-29 
登録番号 特許第5977942号(P5977942)
権利者 ライオン株式会社
発明の名称 歯ブラシ  
代理人 志賀 正武  
代理人 西 和哉  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 鈴木 三義  
代理人 高橋 詔男  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 志賀 正武  
代理人 西 和哉  
代理人 加藤 広之  
代理人 加藤 広之  
代理人 高橋 詔男  
代理人 鈴木 三義  

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