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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1338485
審判番号 不服2017-11199  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-27 
確定日 2018-04-09 
事件の表示 特願2016- 27697「半導体装置の製造方法,及び,半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月19日出願公開,特開2016- 86194,請求項の数(1)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成25年7月19日の出願である特願2015-90650号の一部を新たに平成28年2月17日に出願したものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 2月17日 審査請求・上申書
平成29年 1月19日 拒絶理由通知
平成29年 3月24日 意見書
平成29年 5日30日 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成29年 7月27日 審判請求

第2 原査定の概要
現査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献等1,2
引用文献1(特に,段落[0056],[0061],及び,図1,37,38)には,基板101上に形成されたフィン状シリコン層103と,フィン状シリコン層103の周囲に形成された第1の絶縁膜104と,前記フィン状シリコン層103上に形成された柱状シリコン層106と,前記柱状シリコン層106の周囲に形成されたゲート絶縁膜113と,前記ゲート絶縁膜の周囲に形成された金属ゲート電極120aと,前記金属ゲート電極120aに接続された前記フィン状シリコン層103に直交する方向に延在する金属ゲート配線120bと,前記柱状シリコン層106の拡散層110上に形成されたコンタクト127と,前記金属ゲート配線120b上に形成されたコンタクト128とを有し,前記拡散層110と前記コンタクト127とは直接接続する構造であり,金属を堆積することにより,前記コンタクト127と,前記コンタクト128を形成する半導体装置に係る発明が,記載されている(以下,「引用発明1」という。)。
本願請求項1に係る発明(以下,「本願発明1」という。)と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「基板101上に形成されたフィン状シリコン層103」,「フィン状シリコン層103の周囲に形成された第1の絶縁膜104」,「前記フィン状シリコン層103上に形成された柱状シリコン層106」,「前記柱状シリコン層106の周囲に形成されたゲート絶縁膜113」,「前記ゲート絶縁膜の周囲に形成された金属ゲート電極120a」,「前記金属ゲート電極120aに接続された前記フィン状シリコン層103に直交する方向に延在する金属ゲート配線120b」,「前記柱状シリコン層106の拡散層110上に形成されたコンタクト127」,「前記拡散層110と前記コンタクト127とは直接接続する構造であ」ることは,それぞれ,本願発明1の「半導体基板上に形成されたフィン状半導体層」,「前記フィン状半導体層の周囲に形成された第1の絶縁膜」,「前記フィン状半導体層上に形成された柱状半導体層」,「前記柱状半導体層の周囲に形成された第1のゲート絶縁膜」,「前記第1のゲート絶縁膜の周囲に形成された金属からなるゲート電極」,「前記ゲート電極に接続された前記フィン状半導体層に直交する方向に延在する金属からなるゲート配線」,「前記第2のゲート絶縁膜の周囲に形成された第2の金属からなる第1のコンタクト」,「前記第1のコンタクトと前記柱状半導体層上部が電気的に接続されていること」に相当する。さらに,引用発明1のゲート絶縁膜113のうち,柱状シリコン層106の上部の拡散層110と対向する部分は,本願発明1の「前記柱状半導体層の上部側壁の周囲に形成された第2のゲート絶縁膜」に相当し,また,引用発明1の「金属を堆積することにより,前記コンタクト127と,前記コンタクト128を形成する」ことは,コンタクト127と,コンタクト128が,同じ金属で形成されることであるから,引用発明1の「前記金属ゲート配線120b上に形成されたコンタクト128」は,本願発明1の「前記ゲート配線上に形成された前記第2の金属を含む第3のコンタクト」に相当している。
本願発明1と引用発明1とは,本願発明1の「第2の金属からなる第1のコンタクト」が,「前記第2のゲート絶縁膜の周囲に形成され」ているのに対して,本願発明1の「第2の金属からなる第1のコンタクト」に対応する引用発明1の「コンタクト127」は,「前記第2のゲート絶縁膜の周囲に形成され」ているものではない点で相違している(以下,「相違点1」という。)とともに,本願発明1では,「前記第1のコンタクトの上部と前記柱状半導体層上部が電気的に接続されている」構成を有しているのに対して,引用発明1の「柱状シリコン層106の上部の拡散層110」と,本願発明1の「第2の金属からなる第1のコンタクト」に対応する引用発明1の「コンタクト127」とは,直接接続しているものの,本願発明1の上記構成を有していない点で相違している(以下,「相違点2」という。)。
そこで,上記の相違点1,2について検討すると,引用文献2(特に,23欄52?64行,及び,図13i;なお,13欄1?13行,22欄20?32行,及び,図6aの記載も参照)には,メタルS/D230は,誘起されたエクステンション領域234を形成するように,例えば柱状である中央半導体層228の周りを覆っており,前記メタルS/D230は,金属Mと前記中央半導体層228の上部の周囲に形成された誘電体層Iとから構成されており,前記メタルS/D230を構成する金属Mは,前記中央半導体層228の上部で前記中央半導体層228と接続していることについて開示されている。
そして,引用文献2に記載の誘電体層Iにおける,中央半導体層228の上部の周囲部分は,本願発明1の「前記柱状半導体層の上部側壁の周囲に形成された第2のゲート絶縁膜」に相当する。さらに,引用文献2に記載の金属Mにおける,中央半導体層228の頂部にあり,中央半導体層228の軸方向に垂直な部分は,本願発明1の「第1のコンタクトの上部」に相当し,また,中央半導体層228の頂部と電気的に接続されているので,本願発明1の「前記第1のコンタクトの上部と前記柱状半導体層上部が電気的に接続されていること」に相当する構成を有している。
引用文献2に記載の発明は,引用発明1と柱状の半導体層を有する点において共通するから,引用発明1に引用文献2の記載を適用することにより,本願発明1の「前記柱状半導体層の上部側壁の周囲に形成された第2のゲート絶縁膜」を有し,「前記第1のコンタクトの上部と前記柱状半導体層上部が電気的に接続されている」ように構成することは,当業者が適宜なし得ることと認められる。
出願人は,意見書において,「本発明は,「前記ゲート配線上に形成された前記第2の金属を含む第3のコンタクト」を含む構造とすることによって,明細書の段落【0036】,【0037】に記載されている効果,すなわち,「ゲート電極とゲート配線と同じ形状の孔に金属が埋め込まれ,自己整合で,第2の金属が前記柱状半導体層上部側壁を取り囲む第1のコンタクトを形成することができる」という効果,および「前記ゲート配線上の一部の前記第2のゲート絶縁膜を除去しているため,同時にゲート配線のための第3のコンタクトを形成することができ,ゲート配線のためのコンタクトを容易に形成できる」という効果を奏することが可能です。このような点は,いずれの引用文献にも記載されておらず,示唆もありません。」と主張しているが,上記したように,引用発明1には,本願発明1の「前記ゲート配線上に形成された前記第2の金属を含む第3のコンタクト」に相当する記載が認められるので,当然,その効果も,上記主張の効果と同様であるものと認められるから,上記の出願人の主張は,採用することができない。
よって,本願請求項1に係る発明は,引用文献1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2013/069102号
2.米国特許第6891234号明細書

第3 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,出願当初の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
半導体基板上に形成されたフィン状半導体層と,
前記フィン状半導体層の周囲に形成された第1の絶縁膜と,
前記フィン状半導体層上に形成された柱状半導体層と,
前記柱状半導体層の周囲に形成された第1のゲート絶縁膜と,
前記第1のゲート絶縁膜の周囲に形成された金属からなるゲート電極と,
前記ゲート電極に接続された前記フィン状半導体層に直交する方向に延在する金属からなるゲート配線と,
前記柱状半導体層の上部側壁の周囲に形成された第2のゲート絶縁膜と,
前記第2のゲート絶縁膜の周囲に形成された第2の金属からなる第1のコンタクトと,
前記ゲート配線上に形成された前記第2の金属を含む第3のコンタクトと,
を有し,
前記第1のコンタクトの上部と前記柱状半導体層上部が電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。」

第4 引用文献,引用発明等
1 原査定の引用文献1について
原査定で引用された,国際公開第2013/069102号(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)
(1)引用文献1の記載事項
ア 「【0056】
図38に示すように,金属を堆積し,コンタクト143,127,128を形成する。以上によりコンタクトを形成するための製造方法が示された。柱状シリコン層106上部の拡散層110にシリサイドを形成しないため,コンタクト127と柱状シリコン層106上部の拡散層110とが直接接続されることとなる。
(中略)
【0061】
上記製造方法の結果を図1に示す。
基板101上に形成されたフィン状シリコン層103と,
フィン状シリコン層103の周囲に形成された第1の絶縁膜104と,
フィン状シリコン層103上に形成された柱状シリコン層106と,
柱状シリコン層106の直径はフィン状シリコン層103の幅と同じであって,
フィン状シリコン層103の上部と柱状シリコン層106の下部に形成された拡散層112と,
柱状シリコン層106の上部に形成された拡散層110と,
フィン状シリコン層103の上部の拡散層112の上部に形成されたシリサイド118と,
柱状シリコン層106の周囲に形成されたゲート絶縁膜113と,
ゲート絶縁膜の周囲に形成された金属ゲート電極120aと,
金属ゲート電極120aに接続されたフィン状シリコン層103に直交する方向に延在する金属ゲート配線120bと,
拡散層110上に形成されたコンタクト127とを有し,
拡散層110とコンタクト127とは直接接続する構造となる。」

イ 図1には以下の事項が記載されていると認められる。
シリコン基板101上に形成されたフィン状シリコン層103と,
前記フィン状シリコン層103の周囲に形成された第1の絶縁膜104と,
前記フィン状シリコン層103上に形成された柱状シリコン層106と,
前記柱状シリコン層106の周囲に形成されたゲート絶縁膜113と,
前記ゲート絶縁膜113の周囲に形成された金属ゲート電極120aと,
前記金属ゲート電極120aに接続された前記フィン状シリコン層に直交する方向に延在する金属ゲート配線120bと,
前記柱状シリコン層106の上部の拡散層110上に形成された金属からなるコンタクト127と,
前記金属ゲート配線120b上に形成された金属からなるコンタクト128と,
コンタクト127と前記柱状シリコン層106の上部の拡散層110が直接接続されていることを特徴とする半導体装置。

(2)引用発明
前記ア,イから,引用文献1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「シリコン基板101上に形成されたフィン状シリコン層103と,
前記フィン状シリコン層103の周囲に形成された第1の絶縁膜104と,
前記フィン状シリコン層103上に形成された柱状シリコン層106と,
前記柱状シリコン層106の周囲に形成されたゲート絶縁膜113と,
前記ゲート絶縁膜113の周囲に形成された金属ゲート電極120aと,
前記金属ゲート電極120aに接続された前記フィン状シリコン層に直交する方向に延在する金属ゲート配線120bと,
前記柱状シリコン層106の上部の拡散層110上に形成された金属からなるコンタクト127と,
前記金属ゲート配線120b上に形成された金属からなるコンタクト128と,
コンタクト127と前記柱状シリコン層106の上部の拡散層110が直接接続されていることを特徴とする半導体装置。」

2 原査定の引用文献2について
原査定で引用された,米国特許6891234号明細書(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある(訳文は当審で作成した。)。
ア 「Referring now to FIG. 6, a comparison between transistors configured in accordance with the present invention and other transistor structures having overlapping gates is shown. As indicated above, the present transistor 90 (an example of which is shown in Illustration 6(a)) includes a conductor (in this case a metal)92 that overlaps an extension region 94 between the source and/or drain regions 96 and the channel region 98. This conductor 92 is separated from the extension region 94 by an insulator 100 and is chosen to have a workfunction that will induce a desired polarity and concentration of charge in the extension region 94. The conductor 92 is not connected to the gate 102, but is electrically isolated therefrom.」(第13欄1?13行)
(訳文:ここで図6を参照すると,本発明に従って構成されたトランジスタ,重複するゲートを有する他のトランジスタ構造の比較が示されている。上に示したように,トランジスタ90(その一例を図6(a)に示されている)は,ソース/ドレイン領域96とチャネル領域98との間のエクステンション領域94と重なっている導体(この場合は金属製)92を備えている。この導体92は,絶縁体100によってエクステンション領域94から分離され,エクステンション領域94の電荷の所望の極性及び濃度を誘発する仕事関数を有するように選択される。導体92はゲート102に接続されていないが,電気的に分離されている。)

イ 「Some sample structures configured in accordance with embodiments of the present invention are shown in FIG.13. Regionsare indicated by the type of material(s) of which they consist:
a)I: Insulators, such as SiO_(2,) Si_(3)N_(4), SiN_(x), ZrO_(2), HfO_(2), etc.
b)S: Semiconductors, such as Si, Ge_(x)Si_(1-x), Ge, certain C-based materals, GaAs, etc.
c)M: Metals, such as Al, Er, Yb, Pt, Ir, Cu, Ag, Ar, W, Ni, NiSi, Co, CoSi, ErSi_(1.7), PtSi, PtGe, certain forms of C, degenerately-doped semiconductors, etc. Each region may consist of one or more of these materials. The gate (G) may be a metal or a doped semiconductor.」(第22欄20?32行)
(訳文:本発明の実施形態に従って構成されたいくつかのサンプル構造は,図13に示されている。領域は,構成する材料(単数または複数)の型で示されている。
a)I: 絶縁体,SiO2,Si_(3)N_(4),SiN_(x),ZrO_(2),HfO_(2),等である。
b)S: 半導体,Si,Ge_(x)Si_(1-x), Ge, C-based materals,GaAs等である。
c)M: 金属,Al, Er, Yb, Pt, Ir, Cu, Ag, Ar, W ,Ni ,NiSi, Co, CoSi, ErSi_(1.7), PtSi, PtGe,ある形態Cの縮退ドープ半導体等である。各領域は,これらの物質の1種以上から構成することができる。ゲート(G)は,金属又はドープ半導体であってもよい。)

ウ 「(i) vertical FET: This shows an example of an asymmetric (i.e., the source and drain have different designs) vertical device. The body is formed of the central semiconductor region 228. At the top is a metal S/D, 230 with a doped S/D 232 on the bottom. The metal S/D 230 overlaps the central semiconductor 228 in the extension region 234. The structure may be axially symmetric, in which case it is a cylindrical, or “nanotube ,or“pillar” FET. Or, it may have a square or near-square cross-section in the “vertical”plane. Or, it could be a fin geometry with the cross-section extending into the plane of the paper for a distance large relative to the semiconductor thickness.」(第23欄52?64行)
(訳文:(i)縦型FET:これは,非対称(すなわち,ソース及びドレインが異なる設計の)この縦形デバイス(verticaldevice)の例を示している。本体は,中央の半導体領域228の形成されている。上部にメタルS/D,230底部にドープされたソース・ドレイン232が形成されている。金属ソース・ドレイン230は,エクステンション領域234における中央の半導体228と重なっている。構造は,軸対称であってもよく,その場合には,円筒形,または「ナノチューブ」,「ピラー」FETである。あるいは,「垂直」平面における正方形または略長方形の断面を有することができる。もしくは,半導体膜厚に対して大きな距離だけ紙の平面内に延びる断面を有するフィン形状とすることができる。)

第5 対比・判断
1 本願発明について
(1)本願発明と引用発明の対比
ア 引用発明の「シリコン基板101」,「フィン状シリコン層103」,「柱状シリコン層106」,「金属ゲート電極120a」,「金属ゲート配線120b」は,各々本願発明の「半導体基板」,「フィン状半導体層」,「柱状半導体層」,「ゲート電極」,「ゲート配線」に相当する。

イ 引用発明の「柱状シリコン層106の周囲に形成されたゲート絶縁膜113」は,柱状シリコン層に周囲に一体的に形成されていることから,本願発明の「前記柱状半導体層の周囲に形成された第1のゲート絶縁膜」と,「前記柱状半導体層の上部側壁の周囲に形成された第2のゲート絶縁膜」とを併せた構成に相当する。

ウ 引用発明のコンタクト128は、ゲート配線用のコンタクトという点で、下記相違点2の点を除き、本願発明の「第3のコンタクト」に相当する。

そうすると,本願発明と引用発明は,以下のエの点で一致し,オの点で相違する。

エ 一致点
半導体基板上に形成されたフィン状半導体層と,
前記フィン状半導体層の周囲に形成された第1の絶縁膜と,
前記フィン状半導体層上に形成された柱状半導体層と,
前記柱状半導体層の周囲に形成された第1のゲート絶縁膜と,
前記第1のゲート絶縁膜の周囲に形成された金属からなるゲート電極と,
前記ゲート電極に接続された前記フィン状半導体層に直交する方向に延在する金属からなるゲート配線と,
前記柱状半導体層の上部側壁の周囲に形成された第2のゲート絶縁膜と,
ゲート配線上に形成された第3のコンタクトと,
を有していることを特徴とする半導体装置。

オ 相違点
相違点1
本願発明では,「第2のゲート絶縁膜の周囲に形成された第2の金属からなる第1のコンタクトを有する」のに対して,引用発明では,第1のコンタクトを有しない点
相違点2
本願発明では,「第3のコンタクト」は,「第1のコンタクト」を形成する「第2の金属」を含むの対して,引用発明では,コンタクト128は,金属ではあるが,「第1のコンタクト」を有しないため,「第1のコンタクト」を形成する金属との関係は明示されていない点。
相違点3
本願発明では,「第1のコンタクトの上部と前記柱状半導体層上部が電気的に接続されていること」を特徴とするのに対して,引用発明では,「第1のコンタクト」を有しないため「第1のコンタクトの上部と柱状半導体層上部」の接続関係が存在しない点。

(2)相違点についての判断
相違点1ないし3は,「第1のコンタクト」に関する技術的事項であるから,まとめて検討する。
相違点1ないし相違点3に関する構成は,引用文献1及び引用文献2には,記載も示唆も無い。
そして,本願発明における「第1のコンタクト」は,柱状半導体層上部を金属と半導体の仕事関数差によって,n型半導体もしくはp型半導体層として機能する働きを有する。当該機能により,柱状半導体層上部に拡散層を形成すること工程を削減することができるという格別な効果を奏する(本願明細書の段落【0038】参照)。また,「第1のコンタクト」を形成する第2の金属は,「第3のコンタクト」を形成する要素でもあり,ゲート配線上に形成されゲート配線層のための「第3のコンタクト」を容易に形成することを可能にするという有利な効果を奏する。(本願明細書の段落【0038】参照)。

(3)まとめ
したがって,本願発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり,本願発明は,当業者が引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-26 
出願番号 特願2016-27697(P2016-27697)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宇多川 勉戸次 一夫  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 大嶋 洋一
小田 浩
発明の名称 半導体装置の製造方法、及び、半導体装置  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 大塚 文昭  
代理人 須田 洋之  
代理人 上杉 浩  
代理人 西島 孝喜  

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