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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B29B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B29B
管理番号 1339171
異議申立番号 異議2016-701051  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-11 
確定日 2018-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5920546号発明「強化繊維複合材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5920546号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?11〕について訂正することを認める。 特許第5920546号の請求項1?11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第5920546号の請求項1?11に係る特許についての出願は、2015年9月3日(優先権主張 2014年9月25日 日本国(JP))を国際出願日とするものであって、平成28年4月22日に特許権の設定登録がされ、同年5月18日にその特許公報が発行され、その後、同年11月11日に特許異議申立人植松愛(以下「特許異議申立人」という。)から特許異議の申立てがされたものである。

その後の手続は以下のとおりである。
平成29年 1月18日 取消理由通知
同年 3月24日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 4月11日 訂正拒絶理由通知
同年 4月28日 手続補正書(特許権者)
同年 5月15日 訂正請求取下書(特許権者)
同年 5月19日 取消理由通知(決定の予告)
同年 7月12日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 7月28日 上申書(特許権者)
同年 8月 4日 通知書
同年 9月 1日 意見書(特許異議申立人)
同年 9月13日 訂正拒絶理由通知
同年10月19日 意見書・上申書(特許権者)
同年10月26日 取消理由通知
同年12月20日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年12月26日 通知書
平成30年 2月 2日 意見書(特許異議申立人)


第2 訂正の適否

1 訂正の内容
平成29年12月20日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
なお、平成29年3月24日にされた訂正請求は同年5月15日に取り下げられている。
また、同年7月12日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものと見なす。

訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「マトリックス樹脂」を
「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」
と訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1に係る請求項1?11からなる一群の請求項についての訂正について
ア 一群の請求項ごとに訂正を請求することについて
訂正事項1に係る訂正前の、請求項1?11について、請求項2?11は請求項1を直接又は間接に引用しているものである。したがって、訂正前の請求項1?11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
上記1の訂正事項1は、上記一群の請求項がある特許請求の範囲について、当該一群の請求項である請求項1?11について訂正を請求するものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

イ 訂正の目的及び新規事項の追加の有無について
訂正事項1は、特許請求の範囲の「強化繊維複合材料」を構成する成分の一である「マトリックス樹脂」を「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」に訂正するものである。
樹脂には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが存在することは広く知られているところ、本件訂正は「マトリックス樹脂」を「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、願書に添付した明細書の【0050】に
「本発明においては、強化繊維複合材料に用いるマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂または/および熱硬化性樹脂が用いられる。」
との記載があるから、訂正事項1は明細書での記載に基づく訂正であって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項及び同法同条第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
訂正事項1に係る訂正は、事実上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもないことは明らかである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ 訂正後の発明の独立特許要件について
請求項1?11に係る特許について特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定については、検討を要しない。

3 まとめ
以上のとおり、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項及び第4項の規定に適合するとともに、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。また、訂正事項1について、同法同条第9項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1?11〕に係る本件訂正を認める。


第3 本件発明

上記第2 3のとおり、本件訂正請求による訂正は認容されるので、特許第5920546号の請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明11」という。)は、平成29年12月20日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
少なくとも不連続強化繊維集合体を含む不連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂とからなり、不連続強化繊維集合体の少なくとも片側端部のアスペクト比(不連続強化繊維集合体の幅M_(n)/不連続強化繊維集合体の厚みH_(n)、ここで、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)が、該不連続強化繊維集合体を2次元投影した際の、該不連続強化繊維の配向方向に対して交差する方向の該不連続強化繊維集合体の幅が最も狭い最狭部のアスペクト比(m/h)に対して1.5倍以上となる扇状部を有する扇状不連続強化繊維集合体(A)が、前記不連続強化繊維中に5重量%以上含まれていることを特徴とする強化繊維複合材料。
【請求項2】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元平面上に投影した際、少なくとも片側端部が2本以上に分岐されている、請求項1に記載の強化繊維複合材料。
【請求項3】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)は、少なくとも片側端部のアスペクト比が30を超えている、請求項1または2に記載の強化繊維複合材料。
【請求項4】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元投影した際の少なくとも片側端部の幅と、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の幅に関して、片側端部幅/最狭部幅が1.5以上50未満の範囲にある、請求項1?3のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項5】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の少なくとも片側端部の厚みが、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の厚みに関して、片側端部厚み/最狭部厚みが0.01以上0.9未満の範囲にある、請求項1?4のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項6】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元投影した際の少なくとも片側端部の幅と、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の幅から算出した拡幅角度が5°を超え90°未満の範囲にある、請求項1?5のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
ここで、
拡幅角度=tan^(-1){(M_(n)-m)/2/L_(n)}(Lは最狭部から片側端部までの距離、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)
【請求項7】
前記不連続強化繊維の数平均繊維長が5mm以上100mm未満の範囲にある、請求項1?6のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項8】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の2次元投影した際の形状が、I、X、Y、V、N、M形状およびこれらを組み合わせた形状のいずれかである、請求項1?7のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項9】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の各端部のアスペクト比と前記最狭部のアスペクト比との比(端部アスペクト比/最狭部アスペクト比)が、両端部ともに1.5以上50未満の範囲にある、請求項1?8のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項10】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の端部が不連続強化繊維集合体の長手方向に対して、2°?30°の角度θを持たせてカットされている、請求項1?9のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項11】
前記不連続強化繊維として炭素繊維が含まれている、請求項1?10のいずれかに記載の強化繊維複合材料。」


第4 平成29年10月26日付け取消理由

1 取消理由の概要
当審において平成29年10月26日付けで通知した取消理由の概要は、

平成29年7月12日にされた訂正請求により訂正された特許請求の範囲請求項1には、「(ただし、開繊処理で厚さ0.02?0.1mm、幅1?6mmの炭素繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸させたものを金型で型締めして前記炭素繊維を分離しつつ前記熱硬化性樹脂を硬化させてなる強化繊維複合材料を除く)」の記載があるところ、当該記載によって、請求項1に係る発明からどのようなものを除こうとするのかが明確でなく、特許請求の範囲の記載は不明りょうである、

というものである。

2 当審の判断
第2 1のとおり、同年7月12日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものと見なされるところ、平成29年12月20日にされた訂正請求による訂正後の特許請求の範囲請求項1には、「(ただし、開繊処理で厚さ0.02?0.1mm、幅1?6mmの炭素繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸させたものを金型で型締めして前記炭素繊維を分離しつつ前記熱硬化性樹脂を硬化させてなる強化繊維複合材料を除く)」の記載は存在しない。
したがって、平成29年10月26日付けで通知した取消理由が解消していることは明らかである。


第5 平成29年5月19日付け取消理由(決定の予告)

1 取消理由(決定の予告)の概要
当審において平成29年5月19日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、

[取消理由1]
本件発明1?9、11は、本件優先日前に頒布された刊行物である下記甲第2、5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、本件発明1?9、11に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

甲第2号証:特開2009-191116号公報
甲第5号証:特開2005-231953号公報

[取消理由2]
本件発明1?11は、本件優先日前に頒布された刊行物である下記甲第2、5、6号証に記載された発明に基いて、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、本件発明1?11に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

甲第2号証:特開2009-191116号公報
甲第5号証:特開2005-231953号公報
甲第6号証:特開2003-165739号公報

というものである。

2 当審の判断
(1)甲第2号証の記載事項及び甲第2号証に記載の発明
ア 本件優先日前に頒布された甲第2号証(以下、「甲2」という。)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項2】
厚さが0.02?0.1mmとなるように開繊処理が施された炭素繊維であって、幅が1?6mmの炭素繊維に硬化性樹脂を含浸したものを、金型で型締めしてこの炭素繊維を分繊しつつこの硬化性樹脂を硬化させたことを特徴とする繊維強化複合材料。」
(イ) 「【0004】
しかしながら、硬化した樹脂に炭素繊維を含む従来の繊維強化複合材料は、表面平滑性が不充分であった。さらに詳しく説明すると、樹脂に含ませる炭素繊維は、たとえ予め開繊処理を施したものであっても、成形時の材料の流動距離が長いと炭素繊維の均一な分散が阻害される場合があった。そして、炭素繊維の分散が阻害されると、樹脂リッチとなった部分で繊維強化複合材料にひけを生じて表面平滑性を損ねることとなる。
また、成形時の材料の流動によって、炭素繊維が繊維強化複合材料の厚さ方向にうねることによって繊維強化複合材料の表面平滑性を損ねることとなる。」
(ウ) 「【0005】
そこで、本発明の課題は、硬化した樹脂に炭素繊維を含む繊維強化複合材料であって、表面平滑性に優れた繊維強化複合材料を提供することにある。」
(エ) 「【0006】
前記課題を解決する本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、開繊処理を施して厚さが0.02?0.1mmの炭素繊維を得る開繊工程と、前記厚さの炭素繊維で幅が1?6mmのものに硬化性樹脂を含浸する樹脂含浸工程と、前記硬化性樹脂を含浸した前記炭素繊維を金型で型締めしてこの炭素繊維を分繊しつつこの硬化性樹脂を硬化させる分繊・硬化工程と、を有することを特徴とする。
そして、前記課題を解決する本発明の繊維強化複合材料は、厚さが0.02?0.1mmとなるよう開繊処理が施された炭素繊維であって、幅が1?6mmの炭素繊維に硬化性樹脂を含浸したものを、金型で型締めしてこの炭素繊維を分繊しつつこの硬化性樹脂を硬化させたことを特徴とする。」
(オ) 「【0010】
前記した開繊工程で使用される炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等か挙げられる。本実施形態での炭素繊維は、1000?24000本程度のフィラメントが束ねられて形成されている。
この開繊工程では、断面視で扁平形状となっている炭素繊維に開繊処理が施されることによって、炭素繊維の幅が広げられる。その結果、本実施形態での炭素繊維は、更に扁平となって、その厚さが0.02?0.1mmとなる。ちなみに、開繊処理前の炭素繊維の厚さ(T1)に対する開繊処理後の炭素繊維の厚さ(T2)の比(T2/T1)は、0.1?0.5が望ましい。
炭素繊維に開繊処理を施す方法としては、例えば、炭素繊維にエアを吹き付ける方法が挙げられる。この開繊処理には、公知のエア開繊装置(例えば、特開平11-172562号公報参照)が使用されてもよい。
【0011】
そして、開繊処理が施されて幅が広げられた炭素繊維は、その幅が1?6mm、望ましくは1?3mmとされた後に次の樹脂含浸工程に供される。開繊処理後の炭素繊維の幅をこの範囲内とする方法としては、幅が広げられた炭素繊維を、例えばスリット歯の間隔(幅)が1?6mmに設定されたスリットに通すいわゆるスリット加工する方法が挙げられる。ちなみに、開繊処理後の炭素繊維の幅が前記範囲内であるときは、炭素繊維はそのまま次の樹脂含浸工程に供されることとなる。
【0012】
本実施形態での樹脂含浸工程においては、厚さが0.02?0.1mmとなるように開繊処理が施されて、幅が1?6mmとされた前記炭素繊維が、適切な長さにカットされる。そして、このカットされた炭素繊維に硬化性樹脂が含浸されて炭素繊維を含む組成物が調製される。この組成物は、プリプレグであってもよい。
カットする炭素繊維の長さとしては、12?50mm程度が望ましい。このように炭素繊維の長さを、12mm以上とすることによって成形品(繊維強化複合材料)に引張り強度などといった機械的物性を充分に発揮させることができる。そして、炭素繊維の長さを、50mm以下とすることによって、硬化性樹脂中に炭素繊維をより確実に均一に分散させることができ、得られる成形品(繊維強化複合材料)に良好な表面平滑性を付与することができる。」
(カ) 「【0015】
ここで「炭素繊維の分繊化」について、図2を参照しながら説明する。図2は、分繊化した炭素繊維の様子を示す図面代用写真である。
図2に示すように、炭素繊維1の分繊化とは、硬化性樹脂2中で、炭素繊維1を扇の骨状(フカヒレ状)となるように複数のフィラメント束1aに分けて広げることであって、複数のフィラメント束1aが炭素繊維1の端部側になるほど相互の間隔が広く分かれた状態にすることをいう。」

イ 甲2に記載された発明
甲2には、「厚さが0.02?0.1mmとなるように開繊処理が施された炭素繊維であって、幅が1?6mmの炭素繊維に硬化性樹脂を含浸したものを、金型で型締めしてこの炭素繊維を分繊しつつこの硬化性樹脂を硬化させたことを特徴とする繊維強化複合材料」であって(ア(ア)参照)、炭素繊維が開繊工程で、「厚さが0.02?0.1mm」、「幅が1?6mm」のものとなること(ア(エ)参照)、炭素繊維が「1000?24000本程度のフィラメントが束ねられて形成されている」こと(ア(オ)参照)、開繊された炭素繊維を分繊し、「扇の骨状(フカヒレ状)となるように複数のフィラメント束1aに分けて広げ・・・複数のフィラメント束1aが炭素繊維1の端部側になるほど相互の間隔が広く分かれた状態にする」ことが記載されている(ア(カ)参照)。
そうすると、甲2には、
「厚さが0.02?0.1mmとなるように開繊処理が施された、1000?24000本程度のフィラメントが束ねられて形成された炭素繊維であって、幅が1?6mmの炭素繊維に硬化性樹脂を含浸したものを、金型で型締めしてこの炭素繊維を分繊しつつこの硬化性樹脂を硬化させた繊維強化複合材料であって、開繊処理が施された炭素繊維が分繊されて端部側になるほど相互の間隔が広く分かれた扇の骨状としたものである、繊維強化複合材料」の発明(以下「甲2発明」という。)
が記載されているといえる。

(2)甲第5号証の記載事項及び甲第5号証に記載の発明
ア 本件優先日前に頒布された甲第5号証(以下、「甲5」という。)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項1】
耐火性を有する主原料と、黒鉛:3?30質量%と、バインダーと、軸方向長さが3?30mmのチョップドファイバー炭素繊維の結合が部分的に残り、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体:0.1?2.0質量%とを含む混練物を成形してなることを特徴とする黒鉛含有煉瓦。
【請求項2】
前記バインダーとして、キシレノール樹脂またはクレゾール樹脂を添加した混練物を成形してなることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有煉瓦。」
(イ) 「【0012】
チョップドファイバー炭素繊維1は、直径が2?50μmの長い炭素繊維を1000?数万本束ねて、互いに長さ方向にわたりサイジング剤3と呼ばれる樹脂で結合した長い炭素繊維の束を軸方向長さLで切断したものである。このように、チョップドファイバー炭素繊維1は、多数本の短い炭素繊維2で構成され、互いに長さ方向にわたりサイジング剤3で結合されている。本発明においては、チョップドファイバー炭素繊維1の軸方向長さLは、用途に応じて3?30mmとされる。」
(ウ) 「【0017】
黒鉛含有煉瓦は、主原料、黒鉛、樹脂などの耐火物用バインダーおよび炭素繊維の集合体4を含む混練物を所定形状に成形した後、樹脂を硬化(キュアー処理と称される)させ、あるいはさらにより高温で焼成することで製造される。その際、炭素繊維の集合体4を構成する一本、一本の炭素繊維2は、煉瓦の成形工程で図3に示す加圧方向41に対して直角な平面に配列された状態となる。したがって、煉瓦を加圧方向41に対して直角の面で観察すると、前記図2-1?図2-3に示したような松葉状もしくは綿毛状に広がった形態の炭素繊維2の集合体4が煉瓦全体に分散していることが確認できる。この一つの集合体4を構成する多数本の炭素繊維2は、チョップドファイバー炭素繊維1の軸方向長さLに対して1.1L?3L程度に広がっているため、耐火物原料中に強固に食い込み、低弾性率とすることができ、圧縮強度の向上が図られる。」

イ 甲5に記載された発明
甲5には、「耐火性を有する主原料と、黒鉛:3?30質量%と、バインダーと、軸方向長さが3?30mmのチョップドファイバー炭素繊維の結合が部分的に残り、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体:0.1?2.0質量%とを含む混練物を成形してなることを特徴とする黒鉛含有煉瓦」であって、「バインダーとして、キシレノール樹脂またはクレゾール樹脂を添加した混練物を成形してなること」(ア(ア)参照)、「チョップドファイバー炭素繊維1は、多数本の短い炭素繊維2で構成され、互いに長さ方向にわたりサイジング剤3で結合されている」こと(ア(イ)参照)、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体は「松葉状もしくは綿毛状に広がった形態」であり(ア(ウ)参照)、「集合体4を構成する多数本の炭素繊維2は、チョップドファイバー炭素繊維1の軸方向長さLに対して1.1L?3L程度に広がっている」ことが記載されている(ア(ウ)参照)。
そうすると、甲5には、
「耐火性を有する主原料と、黒鉛:3?30質量%と、バインダーと、軸方向長さが3?30mmのチョップドファイバー炭素繊維の結合が部分的に残り、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体:0.1?2.0質量%とを含む混練物を成形してなることを特徴とする黒鉛含有煉瓦であって、
バインダーとして、キシレノール樹脂またはクレゾール樹脂を添加し、
軸方向長さが3?30mmのチョップドファイバー炭素繊維の結合が部分的に残り、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体が松葉状もしくは綿毛状に広がった形態であり、集合体を構成する多数本の炭素繊維は、チョップドファイバー炭素繊維の軸方向長さLに対して1.1L?3L程度に広がっている、
黒鉛含有煉瓦」の発明(以下「甲5発明」という。)
が記載されているといえる。

(3)甲第6号証の記載事項
本件優先日前に頒布された甲第6号証(以下、「甲6」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【請求項1】 複数本のガラス製フィラメントを集束したチョップドストランドの切断面のフィラメント長手方向に対する角度をθ、フィラメントの直径をD、切断面の角度方向に隣り合うフィラメントの端面間のずれをΔLとするとき、θが10°?80°であり、且つフィラメントの直径Dに対するずれΔLの比であるΔL/Dの平均値が0.2以上であることを特徴とするガラスチョップドストランド。」

イ 「【0013】ガラスチョップドストランドの切断面角θが10°未満であると切断部が長くなりすぎ、安定した切断が行えなくなるので実用的でない。一方、ガラスチョップドストランドの切断面角θが80°を超えると、フィラメントの長手方向に伸びた形をしていないので、ガラスチョップドストランド全体に白水の流れの抵抗を受けにくくなり、解繊性の向上がほとんど望めない。本発明によるガラスチョップドストランドの切断面角θとしては、フィラメントの長手方向に対して10°?80°であることが重要である。」

(4)本件発明1について
ア 甲2発明を主引例とした場合
(ア)対比
本件発明1と甲2発明((1)イ)とを対比する。
甲2発明の「1000?24000本程度のフィラメントが束ねられて形成された炭素繊維」は、本件発明1の「不連続強化繊維集合体」に相当する。
また、甲2発明の「硬化性樹脂」は、本件発明1の「マトリックス樹脂」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲2発明とは、
「少なくとも不連続強化繊維集合体を含む不連続強化繊維とマトリックス樹脂とからなる、強化繊維複合材料」である点で一致し、

(相違点(甲2)-1)
本件発明1は、「不連続強化繊維集合体の少なくとも片側端部のアスペクト比(不連続強化繊維集合体の幅M_(n)/不連続強化繊維集合体の厚みH_(n)、ここで、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)が、該不連続強化繊維集合体を2次元投影した際の、該不連続強化繊維の配向方向に対して交差する方向の該不連続強化繊維集合体の幅が最も狭い最狭部のアスペクト比(m/h)に対して1.5倍以上となる扇状部を有する扇状不連続強化繊維集合体(A)が、前記不連続強化繊維中に5重量%以上含まれている」のに対して、
甲2発明は、「厚さが0.02?0.1mmとなるように開繊処理が施された、1000?24000本程度のフィラメントが束ねられて形成された炭素繊維であって、幅が1?6mmの炭素繊維が分繊されて端部側になるほど相互の間隔が広く分かれた扇の骨状としたもの」が含まれている点、
(相違点(甲2)-2)
マトリックス樹脂に関し、本件発明1では「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」であるのに対して、
甲2発明は、「硬化性樹脂」である点、
で相違する。

(イ)相違点の検討
事案に鑑み、相違点(甲2)-2から検討する。
相違点(甲2)-2が存在する点で、本件発明1は甲2発明と異なるものである。
甲2には、甲2発明に係る「繊維強化複合材料」に使用される熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に置き換えることを動機づける記載が存在するものとすることはできない。また、甲5及び甲6においても同様である。したがって、相違点(甲2)-2は、当業者が適宜なし得たことであるとすることができない。
そうしてみると、相違点(甲2)-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明ではないし、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

イ 甲5発明を主引例とした場合
(ア)対比
本件発明1と甲5発明((2)イ)とを対比する。
甲5発明の「軸方向長さが3?30mmのチョップドファイバー炭素繊維の結合が部分的に残り、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体」は、本件発明1の「不連続強化繊維集合体」に相当する。
また、甲5発明の「バインダーとして」の「キシレノール樹脂またはクレゾール樹脂」は、熱硬化されるもの((2)ア(ウ)参照)であるから、本件発明1の「マトリックス樹脂」に相当する。
甲5発明の 「黒鉛含有煉瓦」は、樹脂が硬化された状態でも存在し((2)ア(ウ)参照)、強化繊維といえる「炭素繊維」を含むので本件発明1の「強化繊維複合材料」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲5発明とは、
「少なくとも不連続強化繊維集合体を含む不連続強化繊維とマトリックス樹脂とからなる、強化繊維複合材料」である点で一致し、

(相違点(甲5)-1)
本件発明1は、「不連続強化繊維集合体の少なくとも片側端部のアスペクト比(不連続強化繊維集合体の幅M_(n)/不連続強化繊維集合体の厚みH_(n)、ここで、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)が、該不連続強化繊維集合体を2次元投影した際の、該不連続強化繊維の配向方向に対して交差する方向の該不連続強化繊維集合体の幅が最も狭い最狭部のアスペクト比(m/h)に対して1.5倍以上となる扇状部を有する扇状不連続強化繊維集合体(A)が、前記不連続強化繊維中に5重量%以上含まれている」のに対して、
甲5発明は、「松葉状もしくは綿毛状に広がった形態であり、集合体を構成する多数本の炭素繊維は、チョップドファイバー炭素繊維の軸方向長さLに対して1.1L?3L程度に広がっている、軸方向長さが3?30mmのチョップドファイバー炭素繊維の結合が部分的に残り、一部で解除された状態である炭素繊維の集合体が黒鉛含有瓦中に0.1?2.0質量%含む」ものである点、
(相違点(甲5)-2)
マトリックス樹脂に関し、本件発明1では「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」であるのに対して、
甲5発明は、「キシレノール樹脂またはクレゾール樹脂」である点、
で相違している。

(イ)相違点の検討
事案に鑑み、相違点(甲5)-2から検討する。
相違点(甲5)-2が存在する点で、本件発明1は甲5発明と異なるものである。
甲5発明で使用される「キシレノール樹脂またはクレゾール樹脂」は熱硬化されるもの((2)ア(ウ)参照)であって、当該技術分野においては熱硬化性樹脂として広く知られている樹脂であるところ、甲5には、甲5発明に係る「黒鉛含有煉瓦」に使用されるキシレノール樹脂またはクレゾール樹脂を熱可塑性樹脂に置き換えることを動機づける記載が存在するものとすることはできない。また、甲2及び甲6においても同様である。したがって、相違点(甲5)-2は、当業者が適宜なし得たことであるとすることができない。
そうしてみると、相違点(甲5)-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明ではないし、甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(5)本件発明2?11について
本件発明2は、本件発明1において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元平面上に投影した際、少なくとも片側端部が2本以上に分岐されている」との限定がなされたものであり、
本件発明3は、本件発明1、2において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)は、少なくとも片側端部のアスペクト比が30を超えている」との限定がなされたものであり、
本件発明4は、本件発明1?3において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元投影した際の少なくとも片側端部の幅と、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の幅に関して、片側端部幅/最狭部幅が1.5以上50未満の範囲にある」との限定がなされたものであり、
本件発明5は、本件発明1?4において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の少なくとも片側端部の厚みが、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の厚みに関して、片側端部厚み/最狭部厚みが0.01以上0.9未満の範囲にある」との限定がなされたものであり、
本件発明6は、本件発明1?5において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元投影した際の少なくとも片側端部の幅と、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の幅から算出した拡幅角度が5°を超え90°未満の範囲にある
ここで、
拡幅角度=tan^(-1){(M_(n)-m)/2/L_(n)}(Lは最狭部から片側端部までの距離、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)」との限定がされたものであり、
本件発明7は、本件発明1?6において、「前記不連続強化繊維の数平均繊維長が5mm以上100mm未満の範囲にある」との限定がなされたものであり、
本件発明8は、本件発明1?7において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の2次元投影した際の形状が、I、X、Y、V、N、M形状およびこれらを組み合わせた形状のいずれかである」との限定がなされたものであり、
本件発明9は、本件発明1?8において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の各端部のアスペクト比と前記最狭部のアスペクト比との比(端部アスペクト比/最狭部アスペクト比)が、両端部ともに1.5以上50未満の範囲にある」との限定がなされたものであり、
本件発明10は、本件発明1?9において、「前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の端部が不連続強化繊維集合体の長手方向に対して、2°?30°の角度θを持たせてカットされている」との限定がなされたものであり、
本件発明11は、本件発明1?10において、「前記不連続強化繊維として炭素繊維が含まれている」との限定がなされたものである。
上記(4)ア(イ)及びイ(イ)のとおり、本件発明1は、甲2発明、甲5発明ではないので、本件発明2?9、11についても同様に、甲2発明、甲5発明ではない。また、本件発明1は、甲2発明、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないので、本件発明2?11についても同様に、甲2発明、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(6)特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、平成30年2月2日付けの意見書において、
ア 「マトリックス樹脂として少量の熱可塑性樹脂を含む場合であっても、訂正事項1の「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」に該当すると解釈でき」るところ、甲2には【0013】で「硬化性樹脂の他に、充填材、熱可塑性樹脂、その他の低収縮化剤等の添加物を含ませることができる。」との記載があるので、甲2に「開示されている熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂とともにマトリックス樹脂の一部を構成すると考えることができ」るので、平成29年5月1日付けの取消理由1及び2を解消していない。
イ 特許異議申立人が平成29年9月1日付け意見書と共に提出した参考資料1?3(参考資料1:特開2013-208724号公報、参考資料2:特開2013-203773号公報、参考資料3:特開平3-47740号公報)には、「繊維強化複合材料の樹脂について、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の双方が、使用可能であることが並列的に記載されてい」て、「熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は何れも公知の樹脂であり、熱可塑性樹脂を用いる場合に用いる技術は、熱硬化性樹脂においても容易に転用でき」るので、「訂正後の請求項1に記載された発明は、甲2発明から自明である」と主張する。
しかしながら、アの点について、特許異議申立人が指摘する甲2の記載は、炭素繊維に硬化性樹脂を含浸し硬化させた繊維強化複合材料に熱可塑性樹脂を添加物として含ませる旨の記載であるところ、特許異議申立人の平成29年9月1日付け意見書第4頁での「「マトリックス」という用語は、必ずしも最も含有量が多い物質を意味するのではなく、強化繊維複合材料中において連続相を構成し、かかる連続相によって強化繊維同士を結合して一体化する材料を意味すると解されます。」の主張を考慮に入れれば、アの点の主張は、熱硬化性樹脂に添加物として含ませた熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂と共に連続相を構成することを当然の前提としていると理解できるが、そのようなことが技術常識であるとは認められないし、仮にこの点をさて措くとしても、「マトリックス樹脂として少量の熱可塑性樹脂を含む場合」は本件発明1の「熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂」に該当しないことはその文言上明らかであり、その主張の前提を誤っているから、これを採用することはできない。
また、イの点について、参考資料1?3には、繊維で「補強される樹脂が熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である」など、複合材料中の樹脂に関して熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを並列して挙げる記載はある。しかしながら、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とはその特性などを異にするものであることは広く知られていて、甲2には「熱硬化性樹脂」を使用することのみが記載され((1)ア(ア)、(ウ)、(エ)など参照)、甲2発明の「繊維強化複合材料」では熱硬化性樹脂の使用が特定されているところ、(4)ア(イ)と同様に、参考資料1?3には、甲2発明の熱硬化性樹脂をわざわざ熱可塑性樹脂に置き換えることを動機づける記載はないので、斯かる主張を採用することができない。

(7)小括
以上のとおり、本件発明1?9、11は、本件優先日前に頒布された甲第2、5号証に記載された発明ではない。
また、本件発明1?11は、本件優先日前に頒布された甲第2、5、6号証に記載された発明に基いて、本件優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第6 むすび

上記第4及び第5のとおり、当審の取消理由によっては、本件発明1?11に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも不連続強化繊維集合体を含む不連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂とからなり、不連続強化繊維集合体の少なくとも片側端部のアスペクト比(不連続強化繊維集合体の幅M_(n)/不連続強化繊維集合体の厚みH_(n)、ここで、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)が、該不連続強化繊維集合体を2次元投影した際の、該不連続強化繊維の配向方向に対して交差する方向の該不連続強化繊維集合体の幅が最も狭い最狭部のアスペクト比(m/h)に対して1.5倍以上となる扇状部を有する扇状不連続強化繊維集合体(A)が、前記不連続強化繊維中に5重量%以上含まれていることを特徴とする強化繊維複合材料。
【請求項2】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元平面上に投影した際、少なくとも片側端部が2本以上に分岐されている、請求項1に記載の強化繊維複合材料。
【請求項3】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)は、少なくとも片側端部のアスペクト比が30を超えている、請求項1または2に記載の強化繊維複合材料。
【請求項4】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元投影した際の少なくとも片側端部の幅と、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の幅に関して、片側端部幅/最狭部幅が1.5以上50未満の範囲にある、請求項1?3のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項5】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の少なくとも片側端部の厚みが、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の厚みに関して、片側端部厚み/最狭部厚みが0.01以上0.9未満の範囲にある、請求項1?4のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項6】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)を2次元投影した際の少なくとも片側端部の幅と、該扇状不連続強化繊維集合体(A)の前記最狭部の幅から算出した拡幅角度が5°を超え90°未満の範囲にある、請求項1?5のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
ここで、
拡幅角度=tan^(-1){(M_(n)-m)/2/L_(n)}(Lは最狭部から片側端部までの距離、nは不連続強化繊維集合体のいずれか一方の端部の位置を示し、n=1または2)
【請求項7】
前記不連続強化繊維の数平均繊維長が5mm以上100mm未満の範囲にある、請求項1?6のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項8】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の2次元投影した際の形状が、I、X、Y、V、N、M形状およびこれらを組み合わせた形状のいずれかである、請求項1?7のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項9】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の各端部のアスペクト比と前記最狭部のアスペクト比との比(端部アスペクト比/最狭部アスペクト比)が、両端部ともに1.5以上50未満の範囲にある、請求項1?8のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項10】
前記扇状不連続強化繊維集合体(A)の端部が不連続強化繊維集合体の長手方向に対して、2°?30°の角度θを持たせてカットされている、請求項1?9のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
【請求項11】
前記不連続強化繊維として炭素繊維が含まれている、請求項1?10のいずれかに記載の強化繊維複合材料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-02-19 
出願番号 特願2015-551286(P2015-551286)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (B29B)
P 1 651・ 537- YAA (B29B)
P 1 651・ 121- YAA (B29B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大村 博一  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 加藤 幹
守安 智
登録日 2016-04-22 
登録番号 特許第5920546号(P5920546)
権利者 東レ株式会社
発明の名称 強化繊維複合材料  
代理人 細田 浩一  
代理人 細田 浩一  
代理人 伴 俊光  
代理人 伴 俊光  

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