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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B41J
管理番号 1339542
審判番号 不服2017-10327  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-11 
確定日 2018-05-08 
事件の表示 特願2014- 25168「画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月24日出願公開、特開2015-150742、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月13日の出願であって、平成29年3月24日付けで手続補正がされ、同年4月7日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成29年4月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
理由1について
・請求項 1、6-9、13-15
・引用文献等 1

理由2について
・請求項 1、6-9、13-15
・引用文献等 1

・請求項 2-5、10-12
・引用文献等 1、2

<引用文献等一覧>
1.特開2013-020048号公報
2.特開平04-081774号公報


第3 平成29年7月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)から下記(2)へと補正することを含むものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有する画像形成装置であって、
赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサと、
第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、こと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記人感センサは、斜め上方に向けて配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第2のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の何れかが前記人感センサの最も下端の素子である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第2のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の最も上側の素子が所定エリアを検知する素子であることに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記第1のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の数が前記第1のタイミングより前の第3のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の数より多く、且つ、前記第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記人感センサは、赤外線アレイセンサである、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置を制御する主制御手段をさらに備え、
前記第2電力状態では、前記主制御手段への電力供給は停止され、前記第1電力状態では、前記主制御手段には電力が供給される、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有し、赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記複数の赤外線受信素子からの出力を受信する第1受信ステップと、
所定時間後に、前記複数の赤外線受信素子からの出力を受信する第2受信ステップと、
前記第1受信ステップで受信した前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2受信ステップで受信した前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断ステップと、を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有する画像形成装置であって、
赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサと、
前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過したこと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記人感センサは、斜め上方に向けて配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記判断手段は、前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過し、且つ、前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の何れかが前記人感センサの最も下端の素子である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記判断手段は、前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過し、且つ、前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の最も上側の素子が所定エリアを検知する素子であることに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記人感センサは、赤外線アレイセンサである、ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置を制御する主制御手段をさらに備え、
前記第2電力状態では、前記主制御手段への電力供給は停止され、前記第1電力状態では、前記主制御手段には電力が供給される、ことを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有し、赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記複数の赤外線受信素子からの出力を受信する受信ステップと、
前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過したこと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断ステップと、を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有する画像形成装置であって、
赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサと、
第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、こと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記人感センサは、斜め上方に向けて配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第2のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の何れかが前記人感センサの最も下端の素子である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第2のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の最も上側の素子が所定エリアを検知する素子であることに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記第1のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の数が前記第1のタイミングより前の第3のタイミングで前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の数より多く、且つ、前記第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、前記第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、ことに基づいて、
前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記人感センサは、赤外線アレイセンサである、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置を制御する主制御手段をさらに備え、
前記第2電力状態では、前記主制御手段への電力供給は停止され、前記第1電力状態では、前記主制御手段には電力が供給される、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有し、赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記複数の赤外線受信素子からの出力を受信する第1受信ステップと、
所定時間後に、前記複数の赤外線受信素子からの出力を受信する第2受信ステップと、
前記第1受信ステップで受信した前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第2受信ステップで受信した前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断ステップと、を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有する画像形成装置であって、
赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサと、
前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過したこと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記人感センサは、斜め上方に向けて配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記判断手段は、前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過し、且つ、前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の何れかが前記人感センサの最も下端の素子である、ことに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記判断手段は、前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過し、且つ、前記閾値以上を出力した前記赤外線受信素子の最も上側の素子が所定エリアを検知する素子であることに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行させると判断する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記人感センサは、赤外線アレイセンサである、ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置を制御する主制御手段をさらに備え、
前記第2電力状態では、前記主制御手段への電力供給は停止され、前記第1電力状態では、前記主制御手段には電力が供給される、ことを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有し、赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記複数の赤外線受信素子からの出力を受信する受信ステップと、
前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過したこと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断ステップと、を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。」(下線は平成29年7月11日付けの手続補正書のとおり。)

2 補正の適否
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項乃至第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1乃至15に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明
本願請求項1乃至15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明15」という。)は、平成29年7月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項15に記載された事項により特定される、上記「第3 1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」に記載したとおりのものと認める。


第5 引用刊行物等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成25年1月31日に頒布された引用文献1(特開2013-20048号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から電力の供給を受けて動作することで予め定められた処理を実行する負荷と、
少なくとも熱源から受ける熱量に応じた電気信号を出力する熱源検出素子を縦横に複数個配列することで多画素化された二次元配列型熱源検出手段を含み、前記負荷を基準とした周囲を検出領域として設置され前記負荷を使用する使用者を含む移動体が存在しているか否かを検出する移動体検出手段と、
少なくとも前記負荷を対象として、前記電源部から電力を受ける電力供給状態、或いは前記電源部から電力の供給を受けない電力遮断状態に遷移させる電力供給状態遷移制御手段と、
前記移動体検出手段による検出情報、並びに予め定めた計時手段の計時情報をそれぞれに設定された基準情報と比較することで、前記電力供給状態遷移制御手段による遷移時期を判定する遷移時期判定手段と、
を有する電力供給制御装置。
【請求項2】
前記二次元配列型熱源検出手段によって検出された熱源からの熱量に応じた電気信号に基づいて、熱源の移動方向を解析する解析手段をさらに有し、
前記遷移時期判定手段では、前記解析手段で解析した結果を前記基準情報と比較して、前記熱源が移動体であり、かつ前記負荷に接近しているか否かを判定する請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項3】
前記二次元配列型熱源検出手段によって検出された熱源からの熱量に応じた電気信号に基づいて、熱源の輪郭を解析する解析手段をさらに有し、
前記遷移時期判定手段では、前記解析手段で解析した結果を前記基準情報を比較して、熱源の輪郭が人型か否かを判定し、人型であれば所持物の有無を判定する請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項4】
前記移動体検出手段が、前記負荷と至近距離で対峙する使用者を検出する使用者検出手段をさらに備え、前記二次元配列型熱源検出手段から、前記使用者検出手段まで、連携して電力供給を受ける順序を設定すると共に、前記二次元配列型熱源検出手段を常に電力供給状態とする請求項1?請求項3の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項5】
前記二次元配列型熱源検出手段の検出領域が、前記使用者検出手段の検出領域を含むように設定されている請求項1?請求項4の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項6】
前記使用者検出手段が、投光部と受光部を備え、投光部から光を受光部で受けるか否かで使用者の有無を判別する反射型検出手段である請求項4又は請求項5記載の電力供給制御装置。
【請求項7】
前記負荷の稼働状況と前記使用者検出手段の検出状況とに基づいて、前記二次元配列型熱源検出手段への電力供給を制御する請求項4?6の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項8】
前記使用者検出手段で使用者を検出している期間を少なくとも含み、当該使用者検出手段で使用者を検出しなくなってから予め定めた期間は、前記二次元配列型熱源検出手段への電力供給を遮断する請求項4?6の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項9】
前記解析手段の解析結果に基づいて、少なくとも前記移動体が負荷から離れていくことが判明した場合に、前記使用者検出手段への電力供給を遮断する請求項4?8の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項10】
前記負荷が、電力供給を受けて動作して、予め定められた処理を実行する複数の処理部と、当該複数の処理部に対して選択的に処理内容を少なくとも指示する指示部とに分類され、
前記電力遮断状態で遷移されるモードとして、前記移動体検出手段による検出結果を解析するための監視制御部に電力を供給するスリープモード、必要に応じて指示部に電力を供給するアウェイクモードを備え、
前記電力供給状態で遷移されるモードとして、前記スリープモードから前記処理部を立ち上げるための準備段階であるウォームアップモード、前記処理部に対して定常時よりも下げて電力を供給しておくスタンバイモード、前記処理部に対して前記定常時の電力を供給するランニングモードを含む複数のモードを備え、
処理状況に応じてモードを遷移する請求項1?請求項9の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項11】
前記請求項1?請求項10の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記負荷が、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部、使用者との情報の受付報知を行うユーザーインターフェイス部、使用者を識別するための使用者識別装置の少なくとも1つを含んでおり、使用者からの指示に基づいて、相互に連携しあって画像処理を実行すると共に、
前記移動体検出手段が、前記ユーザーインターフェイス部又は使用者識別装置の設置位置を基準として設けられた画像処理装置。
【請求項12】
コンピュータを、前記請求項1?請求項10の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラム。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムに関する。

(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、省エネ性及び利便性の向上を目的とした負荷の電力供給制御のための情報発信元となり得る移動体検出手段の状況判定能力を本構成を有しない場合よりも高め、装置全体として省エネ性及び利便性の向上を図ることができる電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムを得ることが目的である。」
(4)「【0036】
図1に示される如く、画像処理装置10では、PC21から当該画像処理装置10に対して、遠隔で、例えばデータを転送して画像形成(プリント)指示操作を行なう場合、或いは使用者(ユーザー)が画像処理装置10の前に立ち、各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理を指示する場合がある。」
(5)「【0067】
(画像処理装置の状態遷移のための監視制御)
ここで、本実施の形態のメインコントローラ200は、必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。或いは、メインコントローラ200の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。これらを総称して「スリープモード(節電モード)」という場合がある(図5参照)。」
(6)「【0078】
(第1の人感センサ28)
本実施の形態に係る第1の人感センサ28の仕様は、画像処理装置10の周囲(例えば、1m?5mの範囲)において、移動体の動きを検出するものである。
【0079】
本実施の形態では、第1の人感センサ28として熱源を検出する素子を縦横に二次元状に複数個配列した二次元配列型熱源検出手段(赤外線アレイセンサ28IR(図7参照))を適用している。以下、図7に基づき、第1の人感センサ28として適用される、赤外線アレイセンサ28IRの構成について詳述する。なお、図7(B)に示す制御機能系のブロック図はハード構成を限定するものではなく、赤外線アレイセンサ28IRから出力される信号処理を機能別にブロックしたものである。
【0080】
図7(A)に示される如く、赤外線アレイセンサ28IRは、検出部28Aと、この検出部28Aが中央に取り付けられた回路基板部28B(以下、「解析部28B」という場合がある)とを備えている。
【0081】
検出部28Aは、熱源を検出する素子を有している。熱源を検出する素子は、サーモパイル素子であり、このサーモパイル素子を8(縦)×8(横)(=64素子)に二次元マトリックス状に多画素化したものである。市販品としては、商品名:Grid-Eye(グリッドアイ)「登録商標」/パナソニック電工製がある。
【0082】
前記市販の赤外線アレイセンサの仕様としては、前記センサ部28Aとしてのサーモパイル素子(アレイ状)と、集光用シリコンレンズと、解析部28BとしてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサと、IC等が組み込まれた実装用モジュールとされ、視野角が60度、最大5?10m先の領域を検知し、本実施の形態の第1の人感センサ28として適用可能である。
【0083】
なお、MEMSとは、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスを指す。
【0084】
赤外線アレイセンサ28IRは、検出部28A(サーモパイル素子)で検出する熱画像に応じた検出信号により、温度分布を解析することで、特定空間にいる人や熱源の温度変化を非接触で検知すると共に、人等の移動方向が検知可能である。
【0085】
図7(B)に示される如く、検出部28Aからの電気信号は、解析部28Bの電気信号受付部50で受け付けられ、画素毎データ格納部52にそれぞれのサーモパイル素子で検出した信号が格納されるようになっている。なお、ここでは、解析部28Bの機能の全て
が図4に示す回路基板部28Bに具備することとして説明するが、解析部28Bが当該機能の全てを備える必要はなく、一部が図4に示す監視制御部24の機能であってもよい。
【0086】
この画素毎データ格納部52には、データ抽出部54が接続されており、例えば、1画素単位でデータが抽出され、温度レベル決定部56に送出される。温度レベル決定部56には、電気信号-温度レベル特性テーブル記憶部58が接続されており、受け付けた電気信号に基づく温度レベル(本実施の形態では、図8(C)に示す4段階)の何れかを決定する。
【0087】
決定した温度レベル情報は、検出結果判定部60へ送出されるようになっている。
【0088】
検出結果判定部60には、温度分布-状態照合テーブル記憶部62が接続されている。検出結果判定部60では、この温度分布-状態照合テーブル記憶部62に記憶されている温度分布-状態照合テーブルに基づいて、例えば、基本パターンとして、図8(A)に示すように、検出部28Aの検出領域に人が存在する場合に、その検出結果(温度分布)から状態(ここで、「人が存在する」)を判定する(図8(B)参照)。
【0089】
また、図7に示される如く、検出結果判定部60では、上記図8に示す基本パターンを判定を基礎して、図9?図11に示す応用パターンから人の動作状態を判定し、状態情報出力部64を介して、図4に示す監視制御部24へ送出する。
【0090】
なお、図9?図11では、検出状態に基づく判定と共に、本実施の形態に特化した対応(すなわち、スリープモードからスタンバイモードへ遷移する必要性)を示している。また、以下の応用パターン1?3を組み合わせ、かつ第2の人感センサ30による検出と組み合わせることで、後述する図6のAパターン?Cパターンの見極めるようになっている。」
(7)「【0116】
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。」
(8)「【0139】
なお、本実施の形態では、第1の人感センサ28として、赤外線エリアセンサ28IRを適用し、かつ、この赤外線エリアセンサ28RIに関しては、スリープモードであっても常時電力を供給し、全ての画素(64画素)で監視をするようにしたが、図12に示される如く、予備監視として、周縁の画素(28画素)で監視し、本監視として、全画素(64画素)で監視する、段階的な電力供給をおこなってもよい。
【0140】
より詳細に示せば、図12(A)に示される如く、スリープモード中は、周囲の画素(28画素)で監視を行っており(予備監視)、検出領域には誰も存在しない。このため、スリープモードを維持することになり、このときの赤外線エリアセンサ28IRの消費電力は、約0.007Wdcである。
【0141】
次に、図12(B)に示される如く、赤外線エリアセンサ28IRの周囲の画素だけで監視中に、人が検出領域に進入すると、当該周囲の画素で温度を検知する。そこで、スリープモードは維持するが、赤外線エリアせんさ28IRの全画素に電力を供給し、当該全画素での監視に移行する(本監視)。このときの赤外線エリアセンサ28IRの消費電力は、約0.015Wdcである。(審決注:「せんさ」は、「センサ」の誤記。以下「センサ」とする。)
【0142】
本監視になった後は、前述した応用パターン1?3と同様に、検出領域内での人を動きを解析して、図12(C)に示される如く、素通りであればスリープモードを維持し、図12(D)に示される如く、画像処理装置10に近づいてくれば、スタンバイモードへ立ち上げ、或いは次段の人感センサ30へ電力を供給するようにすればよい。」
(9)上記(2)、及び(4)より、当該引用文献1に記載の画像処理装置は、画像形成(プリント)指示操作を行なう画像処理装置といえる。

そうすると、上記(1)乃至(9)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「スリープモード中は、周囲の画素(28画素)で監視を行っており(予備監視)、検出領域には誰も存在しないため、スリープモードを維持することになり、このときの赤外線エリアセンサ28IRの消費電力は、約0.007Wdcであり、
次に、赤外線エリアセンサ28IRの周囲の画素だけで監視中に、人が検出領域に進入すると、スリープモードは維持するが、赤外線エリアセンサ28IRの全画素に電力を供給し、当該全画素での監視(本監視)に移行し、このときの赤外線エリアセンサ28IRの消費電力は、約0.015Wdcであり、
本監視になった後は、検出領域内での人を動きを解析して、素通りであればスリープモードを維持し、画像処理装置に近づいてくれば、スタンバイモードへ立ち上げる、画像形成(プリント)指示操作を行なう画像処理装置。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成4年3月16日に頒布された引用文献2(特開平4-81774号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)第7図には、斜め上方に向けて配置される人体検出手段の検知部を搭載した複写機が看取できる。

そうすると、上記(1)の記載事項から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「斜め上方に向けて配置される人体検出手段の検知部を搭載した複写機。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成25年2月4日に頒布された引用文献3(特開2013-24761号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、遠赤外線画像を撮像して出力する撮像装置に関するものである。」
(2)「【0022】
気温と人体表面温度の相関データを保持し、上記ヒストグラムデータより、最低温度を被写体の環境温度(気温)とみなし、上記相関データより人物の温度(以下「人物温度」と称する)を算出する。」

そうすると、上記(1)及び(2)の記載事項から、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。

「気温と人体表面温度の相関データより人物の温度を算出する撮像装置。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
そこで、本願発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「スタンバイモード」、「スリープモード」、「画像形成(プリント)指示操作を行なう画像処理装置」、及び「『監視中に、人が検出領域に進入すると、周囲の画素(28画素)で温度を検知』する『赤外線エリアセンサ28IR』」は、それぞれ、前者の「第1電力状態」、「第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態」、「画像形成装置」、及び「赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサ」に相当する。
後者は「赤外線エリアセンサ28IRの周囲の画素だけで監視中に、人が検出領域に進入すると」、「全画素での監視に移行(本監視)」するから、後者の「赤外線エリアセンサ28IRの周囲の画素だけで監視中に、人が検出領域に進入」した時は、前者の「第1のタイミング」に相当する。
後者は「本監視になった後は、検出領域内での人を動きを解析して」、「画像処理装置10に近づいた時に」、「スタンバイモードへ立ち上げる」ものであって、人の動きを解析するのは、本監視になった後に、センサの検知によるものであるから、その検知のタイミングは、前者の「第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミング」といえる。

したがって、両者は、
「少なくとも第1電力状態と前記第1電力状態より消費電力の少ない第2電力状態とを有する画像形成装置であって、
赤外線を受信する赤外線受信素子を複数有する人感センサと、
第1のタイミング、且つ、前記第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミングに基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段と、を備える画像形成装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明1は、「第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である」、こと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段を有するものであるのに対し、引用発明1では、そのようなものか明らかでない点。

(2)新規性についての判断
そうすると、引用発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を具備していない。
したがって、本願発明1が、引用発明1であるとすることはできない。

(3)進歩性についての判断(相違点についての判断)
引用文献1に、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を示唆する記載はない。そもそも、引用発明1には、「複数の赤外線受信素子からの出力」において「閾値」といえるものがないから、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、「人が何れの方向から近づいてきた場合にも、誤判断を少なく電力制御を行うことができる。例えば、画像形成装置の前を通り過ぎてしまう人を画像形成装置の使用者と誤判断してしまうことなどを抑えることができる。」(【0096】参照。)という作用効果を奏するものである。

また、原査定で提示されたいずれの引用文献にも、上記相違点は記載も示唆もされていない。

したがって、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2 本願発明2乃至15について
本願発明2乃至5は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、上記「1 (3)」と同様の理由により、本願発明2乃至5は、引用発明1、及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本願発明6、及び7は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明6、及び7は、引用発明1であるとすることはできないし、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本願発明8は、本願発明1の「画像形成装置」を「画像形成装置の制御方法」とカテゴリーを変えたものであって、実質的に本願発明1と相違しない。
本願発明9は、本願発明1の「第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、こと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段」を「前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過したこと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段」としたものであって、実質的に本願発明1と相違しない。
本願発明10乃至12は、本願発明9の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、上記「1 (3)」と同様の理由により、本願発明10乃至12は、引用発明1、及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本願発明13、及び14は、本願発明9の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明13、及び14は、引用発明1であるとすることはできないし、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本願発明15は、本願発明9の「画像形成装置」を「画像形成装置の制御方法」とカテゴリーを変えたものであって、実質的に本願発明9と相違しない。


第7 原査定について
本願発明1は、上記「第6 1 (2)」及び「第6 1 (3)」のとおり、引用発明1であるとすることはできないし、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明2乃至5は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、上記「第6 1 (3)」と同様の理由により、本願発明2乃至5は、引用発明1、及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明6、及び7は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明6、及び7は、引用発明1であるとすることはできないし、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明8は、本願発明1の「画像形成装置」を「画像形成装置の制御方法」とカテゴリーを変えたものであって、実質的に本願発明1と相違しない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明9は、本願発明1の「第1のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上であり、且つ、前記第1のタイミングより所定時間後の第2のタイミングで出力された前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である、こと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段」を「前記複数の赤外線受信素子からの出力のうちの複数が閾値以上である状態で所定時間が経過したこと基づいて、前記画像形成装置を前記第2電力状態から前記第1電力状態へ移行させると判断する判断手段」としたものであって、実質的に本願発明1と相違しない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明10乃至12は、本願発明9の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、上記「第6 1 (3)」と同様の理由により、本願発明10乃至12は、引用発明1、及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明13、及び14は、本願発明9の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明13、及び14は、引用発明1であるとすることはできないし、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

本願発明15は、本願発明9の「画像形成装置」を「画像形成装置の制御方法」とカテゴリーを変えたものであって、実質的に本願発明9と相違しない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-24 
出願番号 特願2014-25168(P2014-25168)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B41J)
P 1 8・ 113- WY (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三橋 健二  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
発明の名称 画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法  
代理人 水垣 親房  
代理人 特許業務法人ひのき国際特許事務所  
代理人 西脇 博志  

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