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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) A61K |
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管理番号 | 1339959 |
審判番号 | 不服2016-17116 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-11-16 |
確定日 | 2018-05-10 |
事件の表示 | 特願2012-145602「化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成26年1月20日出願公開、特開2014-9178〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、平成24年6月28日を出願日とする特許出願であって、平成28年8月16日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年11月16日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書が補正され、平成29年12月6日付けで拒絶理由(以下、「本件拒絶理由」という。)が通知されたものである。 第2 本願発明及び本件拒絶理由について 本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年6月4日に補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されている事項により特定されるとおりのものである。 また、本件拒絶理由の内容は、本審決末尾に掲記のとおりである。 第3 むすび 請求人は、本件拒絶理由に対して、指定期間内に特許法159条2項で準用する同法50条所定の意見書を提出するなどの反論を何らしていない。そして、本件拒絶理由を覆すに足りる根拠は見いだせず、本願は本件拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 以下、本件拒絶理由の内容を掲記する。 A この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 請求項: 1、2 刊行物: 1.特開2001-354546号公報 2.特開2005-68033号公報 3.特開2002-322031号公報 4.特開2002-308735号公報 5.特開昭63-270803号公報 6.特開平6-9340号公報 7.特開平8-133929号公報 8.特開平10-114634号公報 9.特開2005-179363号公報 [備考] 1 本願発明 本願の請求項1、2に係る発明(以下、「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、平成27年6月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 2 理由Aについて (1)各刊行物の記載事項 ア 刊行物1の記載事項 (ア)「【請求項1】 スキンケア組成物における、肌理をつや消し、滑らか、及び/又は均一にする剤としての、及び/又は皮膚の起伏の欠点を隠す剤としての、繊維の化粧目的の使用。 ・・・ 【請求項11】 上記繊維が、絹、綿、ウール又は亜麻繊維、特に木材、植物又は藻類から抽出されたセルロース繊維、ポリアミド(ナイロン(登録商標))繊維、変性セルロース繊維、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維、アクリル酸繊維、ポリオレフィン、ガラス、シリカ、アラミド、炭素又はテフロン(登録商標)繊維、不溶性コラーゲン繊維、ポリエステル、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、キトサン、ポリウレタン又はポリエチレンフタレート繊維、ポリマー混合物から形成された繊維、及び再吸収可能な合成繊維、及びそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項記載の使用。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚の肌理をつや消し、滑らか及び/又は均一にするための、スキンケア組成物又はメイクアップ組成物における繊維の化粧目的の使用に関する。本発明はまた、繊維を含む化粧組成物の皮膚への適用を含む、皮膚の肌理をつや消し、滑らか及び/又は均一にする、及び/又は皮膚の起伏の欠点を隠すことを助ける、化粧処置方法に関する。」 (ウ)「【0005】 【課題を解決するための手段】出願人は、驚くべきことに、繊維が、特にポリアミド繊維が、特筆すべきつや消し効果剤を構成できることを見出した。これらの繊維を含む化粧品組成物は、肌理をつや消し、滑らか及び/又は均一にすることができ、同時に適用するために柔軟で、広げるのが容易で、べたつかず、皮膚を乾燥させきることがない。・・・」 (エ)「【0018】 特に繊維は、1μm(0.001mm)から10mm、好ましくは0.1μmから5mm、より好ましくは0.1mmから1.5mmまでの範囲の長さ(L)を有していても良い。・・・」 (オ)「【0031】 繊維は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.1重量%から30重量%、好ましくは1重量%から25重量%、より好ましくは5重量%から25重量%までの量で存在することができる。・・・」 (カ)「【0047】 以下の実施例により本発明を説明するが、これらはそれを制限するものではない。場合に応じて、命名は、化学名又はCTFA(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)名であり、別記しないかぎり量は重量パーセントである。 【0048】 【実施例】 実施例1:W/Oエマルション (1) シクロメチコン/ジステアルジモニウム(disteardimonium)・ヘクトライト/アルコール(80/10/5混合物、Elementis SpecialtiesによりBentone gel VS-5Vの名で市販されている) 3% (2) 塩化ナトリウム 0.7% (3) トリフルオロメチル(C1-4)アルキルジメチコン (Shin Etsuにより市販されているFL-5(X-22-819)) 4% (4) ナイロン12(Atochem社により市販されているOrgasol 2002 Extra D Nat Cos) 1.5% (5) ポリアミド繊維(Societe Paul Bonte社からのPolyamide 0.9 dtex,0.3mm) 12% (6) シクロメチコン/ジメチコンコポリオール (Dow Corningにより市販されているDC-5225 C) 10% (7) ジメチコン/ジメチコノール(Dow Corningにより市販されているDC 1503) 2.5% (8) シクロペンタシロキサン 7% (9) 防腐剤 1% (10) グリセリン 5% (11) エタノール 5% (12) 水 100%とする量 【0049】 方法:成分(3)、(7)、(1)、シクロペンタシロキサン(8)の半分及び繊維(5)をスパチュラで混合し、混合物を3ロールミルで2回処理した。これとは別に、DC-5225Cをシクロペンタシロキサンの残りの半分と混合し、得られた混合物を前記で得られた混合物と混合し、最終的な混合物を均質化して油相を得た。 【0050】 これとは別に、水性相の成分:水、グリセリン、エタノール、塩、防腐剤を混合して、水性相を調製した。水性相を油相に少しずつ攪拌しながら添加してエマルションを調製した。こうして得られた組成物は、長期間持続するつや消し効果特性を有し、適用した後、皮膚に自然な外観を与えた。 ・・・ 【0056】 実施例2:W/Oエマルション ・・・ (7) ポリアミド繊維(Societe Paul Bonte社からのPolyamide 0.9 dtex,0.3mm) 8.2% ・・・ 【0065】 実施例3:成型(cast)製品 ・・・ -ポリアミド繊維(Societe Paul Bonte社からのPolyamide 0.9 dtex,0.3mm) 8% ・・・ 【0073】 実施例4:粉末 ・・・ -ポリアミド繊維 -Polyamide 0.9 dtex,0.3mm(Societe Paul Bonte) 7.5% ・・・ 【0076】 実施例5:口紅 ・・・ -綿繊維(0.3mm長) 5% ・・・」 イ 刊行物2の記載事項 (ア)「【請求項1】 天然繊維を含有することを特徴とする、パック化粧料。 ・・・ 【請求項3】 天然繊維の長さが、0.5?5mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパック化粧料。 【請求項4】 天然繊維の含有量が、0.1?10重量%であることを特徴とする、請求項1?3何れか1項に記載のパック化粧料。」 (イ)「【0008】 本発明のパック化粧料は、天然繊維を含有することを特徴とする。天然繊維としては、通常繊維業などで使用されている繊維であって、天然物を基源とするものであれば特段の限定無く適用することが出来、例えば、綿、麻、ジュート麻、芭蕉、コウゾ、三椏、ケナフ等の植物繊維、羊毛、アルパカ毛、兎毛、狸毛、狐毛等の動物繊維などの何れもが使用出来る。中でも、水性担体への分散性の点で植物繊維が好ましい。植物繊維の中では、ある程度ウェーブがかかったものが、被膜の強度特性を向上させる上から好ましく、具体的には麻及び/又はジュート麻が特に好ましい。かかる繊維は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。かかる繊維の性状としては、長さが0.1?5mmのものが好ましく、0.5?2mmのものが特に好ましい。これは短すぎると被膜強化作用を発揮しない場合が存し、長すぎると肌への密着性が損なわれる場合が存するからである。本発明のパック化粧料に於ける、かかる天然繊維の好ましい含有量は、総量で、化粧料全量に対して、0.1?10重量%であり、更に好ましくは0.2?5重量%である。これは多すぎるとパック剤そのものが固くなり過ぎ延展塗布しにくくなる場合が存し、少なすぎると被膜に充分な強度を与えられない場合が存するからである。」 (ウ)「【0012】 <実施例1> 以下に示す処方に従って、本発明のパック化粧料である、角栓除去パックを作成した。即ち、イ、ロを80℃に加熱し、イにロを攪拌下徐々に加え、攪拌冷却してパック化粧料を得た。 イ 二酸化チタン 3 重量部 カオリン 2 重量部 POE(8)イソステアリン酸エステル 1 重量部 ポリビニルアルコール50%水溶液 11 重量部 コアシェル型アクリル酸樹脂エマルション 1 重量部 ポリ酢酸ビニルエマルション(固形分50%) 2 重量部 ポリビニルピロリドンエマルション(固形分40%) 7 重量部 ジュート麻(長さ1.2mm) 1 重量部 ソルビタンセスキラウレート 0.3重量部 結晶セルロース 1 重量部 水 30 重量部 ロ 1,3-ブタンジオール 2 重量部 メチルパラベン 0.2重量部 フェノキシエタノール 0.3重量部 エタノール 6.5重量部 キサンタンガム 0.1重量部 水 31.6重量部 ・・・ 【0019】 <実施例5> ジュート麻を脱脂羊毛に変えて、実施例1と同様にパック化粧料を作成し、比較試験1と同様に、評価した。(但し、比較例1に相当するものは作成しなかった。)結果は、0.5±0.1で、脱脂羊毛でも同様に使用することが出来ることが判った。但し、麻やジュート麻の方が好ましいことも判った。 イ 二酸化チタン 3 重量部 カオリン 2 重量部 POE(8)イソステアリン酸エステル 1 重量部 ポリビニルアルコール50%水溶液 11 重量部 コアシェル型アクリル酸樹脂エマルション 1 重量部 ポリ酢酸ビニルエマルション(固形分50%) 2 重量部 ポリビニルピロリドンエマルション(固形分40%) 7 重量部 脱脂羊毛(長さ1mm) 1 重量部 ソルビタンセスキラウレート 0.3重量部 結晶セルロース 1 重量部 水 30 重量部 ロ 1,3-ブタンジオール 2 重量部 メチルパラベン 0.2重量部 フェノキシエタノール 0.3重量部 エタノール 6.5重量部 キサンタンガム 0.1重量部 水 31.6重量部」 ウ 刊行物3の記載事項 (ア)【請求項1】 2剤収納型の容器に異なる2種の化粧料組成物を充填した化粧料であって、前記2種の化粧料組成物が、マスカラ用のアンダーコートとマスカラ用のトップコートであることを特徴とする、化粧料。 【請求項2】 前記化粧料に於けるマスカラ用のアンダーコートがウェーブを有する繊維を含有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。 【請求項3】 ウェーブを有する繊維が、天然物由来の繊維であることを特徴とする、請求項2に記載の化粧料。 【請求項4】 ウェーブを有する繊維が、綿繊維、麻繊維又は絹繊維であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の化粧料。」 (イ)「【0007】 【発明の実施の形態】(1)本発明の化粧料の構成要素である、マスカラ用のアンダーコート 本発明の化粧料は、その構成要素として、マスカラ用のアンダーコートを備える。本発明の化粧料の構成要素である、マスカラ用のアンダーコートは、ウエーブを有する繊維を含有することを特徴とする。ここでウェーブを有するとは、100?300μmの長さであっても直線に近似できない形状であって、繊維の任意の部分において接線を引いた場合、接線と、繊維の接点と末端とを結んだ直線とが形成する角が、少なくとも15度以上であることを意味する。この様な繊維の材質としては、特段の限定はなく、天然の繊維であっても合成繊維であっても使用することができる。天然繊維としては、例えば、綿繊維、麻繊維又は絹繊維等が例示できるし、合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等が例示できる。合成繊維は通常はウェーブを有さないことから、これら合成繊維にウェーブを付与するためには、紡糸の際に射出口と巻き取り装置との距離を極めて小さくし、巻き取り部分の半径をできるだけ小さくすることが肝要である。天然繊維においては多くがウェーブを有しているのでそのまま使用することができる。これらの内、好ましいものは、その為の措置のいらない天然繊維であり、中でも綿繊維、麻繊維又は絹繊維が好ましく、取り分け麻繊維が好ましい。これは、上記のようなアンダーコートの効果を発現するためには、前記の繊維において、適度の親水基と親油基のバランスが必要であり、その条件を満たすからである。本発明の毛髪用の化粧料においては、これらの繊維は唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。これらの繊維の好ましい長さは、直線にのばした状態で、10μm?10mmが好ましく、50μm?5mmが特に好ましい。これは短すぎるとマスカラの均一塗布効果を損なう場合があり、多すぎると却ってマスカラがムラ付きするような場合があるからである。又、同様の理由から、その太さは、0.1?1000μmが好ましく、0.5?500μmが特に好ましい。本発明のマスカラ用のアンダーコートにおける、これら繊維の好ましい含有量は、総量で、化粧料組成物全量に対して0.01?20重量%であり、更に好ましくは、0.1?10重量%である。これは、多すぎると塗布がしにくくなるなどの使用性を損なう場合があり、少なすぎると上記の効果を発揮しない場合があるからである。」 (ウ)「【0018】<実施例5>上記実施例1の本発明の化粧料を構成する化粧料組成物(マスカラ用のアンダーコート)の組成を下記の如く変えて、本発明の化粧料を作成した。このものも実施例1ほどではないが、優れたマスカラ維持効果を有していた。 イ マイクロクリスタリンワックス 15 重量部 カルナウバワックス 5 重量部 硬化ヒマシ油 5 重量部 ステアリン酸 5 重量部 ソルビタンセスキステアレート 2 重量部 ロ モルホリン 5 重量部 1,2-ペンタンジオール 10 重量部 水 22 重量部 ハ 絹繊維(500×10μm) 1 重量部 ニ アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 30 重量部」 エ 刊行物4の記載事項 (ア)「【請求項1】 ウェーブを有する繊維を含有することを特徴とする、毛髪用の化粧料。 【請求項2】 ウェーブを有する繊維が、天然物由来の繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の毛髪用の化粧料。 【請求項3】 ウェーブを有する繊維が、綿繊維、麻繊維又は絹繊維であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪用の化粧料。」 (イ)「【0006】 【発明に実施の形態】(1)本発明の毛髪用の化粧料の必須成分であるウェーブを有する繊維 マスカラ用のアンダーコートに好適な、本発明の毛髪用の化粧料は、ウエーブを有する繊維を含有することを特徴とする。ここでウェーブを有するとは、100?300μmの長さであっても直線に近似できない形状であって、繊維の任意の部分において接線を引いた場合、接線と、繊維の接点と末端とを結んだ直線とが形成する角が、少なくとも15度以上であることを意味する。この様な繊維の材質としては、特段の限定はなく、天然の繊維であっても合成繊維であっても使用することができる。天然繊維としては、例えば、綿繊維、麻繊維又は絹繊維等が例示できるし、合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等が例示できる。合成繊維は通常はウェーブを有さないことから、これら合成繊維にウェーブを付与するためには、紡糸の際に射出口と巻き取り装置との距離を極めて小さくし、巻き取り部分の半径をできるだけ小さくすることが肝要である。天然繊維においては多くがウェーブを有しているのでそのまま使用することができる。これらの内、好ましいものは、その為の措置のいらない天然繊維であり、中でも綿繊維、麻繊維又は絹繊維が好ましく、取り分け麻繊維が好ましい。これは、上記のようなアンダーコートの効果を発現するためには、前記の繊維において、適度の親水基と親油基のバランスが必要であり、その条件を満たすからである。本発明の毛髪用の化粧料においては、これらの繊維は唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。これらの繊維の好ましい長さは、直線にのばした状態で、10μm?10mmが好ましく、50μm?5mmが特に好ましい。これは短すぎるとマスカラの均一塗布効果を損なう場合があり、多すぎると却ってマスカラがムラ付きするような場合があるからである。又、同様の理由から、その太さは、0.1?1000μmが好ましく、0.5?500μmが特に好ましい。本発明の毛髪用の化粧料における、これら繊維の好ましい含有量は、総量で、化粧料全量に対して0.01?20重量%であり、更に好ましくは、0.1?10重量%である。これは、多すぎると塗布がしにくくなるなどの使用性を損なう場合があり、少なすぎると上記の効果を発揮しない場合があるからである。」 (ウ)「【0010】<実施例1?3>以下に示す処方に従って、本発明のマスカラ用のアンダーコート作成した。 ・・・ 結果を表1に示す。これより本発明の毛髪用の化粧料は優れたマスカラのアンダーコート作用があることがわかる。 イ マイクロクリスタリンワックス 15 重量部 カルナウバワックス 5 重量部 硬化ヒマシ油 5 重量部 ステアリン酸 5 重量部 ソルビタンセスキステアレート 2 重量部 ロ モルホリン 5 重量部 1,2-ペンタンジオール 10 重量部 水 22 重量部 ハ ウェーブを有する繊維* 1 重量部 ニ アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 30 重量部 *表1に詳細を記す。 【0011】 【表1】 」 オ 刊行物5の記載事項 (ア)「2.特許請求の範囲 短繊維状物質を含有する化粧料成分または粘接着系樹脂からなることを特徴とする擬毛状人体修飾用メイクアップ剤。」 (イ)「本発明の擬毛状人体修飾用メイクアップ剤は、一般的な化粧品の剤形と同じく乳化分散、油中分散、粉末分散した化粧料成分あるいは粘接着系樹脂に短繊維状物質を含有せしめることを特徴とするものである。 上記短繊維状物質としては、人毛およびこれに類似した木綿・絹等の天然植物繊維およびその再生繊維またはナイロン・ビニロン等の合成繊維あるいは炭素繊維であって、人類毛色の黒色等の色彩を有するもの又は着色が可能なものであればいずれでも良く、直径をd、軸長をLとすると、L≧2dの関係を有するもので、その適正な範囲は、直径は約5μ?100μ、長さは約10μ?1.000μ程度の範囲内で自由に選択し得る。」(1頁右下欄下から8行?2頁左上欄6行) (ウ)「[実施例] 以下、本発明の一実施例について説明する。 短繊維としては、直径10μ前後の着色木綿0.1?0.6mm程度の長さに細断したものを使用する。 〈固形スティック状〉 (1)短繊維 10.0% (2)キャンデリラロウ 5.0% (3)エポキシ樹脂ステアリン酸エステル 5.0% (4)ヒマシ油 20.0% (5)流動パラフィン 10.0% (6)メチルパラベン 0.1% (7)カルナウバロウ 3.0% (8)ラノリン 15.0% (9)セレシン 15.0% (10)マイクロクリスタリンワックス 6.9% (11)トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン 10% (12)酸化防止剤 適量 (13)有機ベントナイト 0.5% (14)カーボンブラック 必要に応じ適量 (15)香料 適量 上記(2)?(12)を加熱溶解(80?85℃)して、攪拌してから上記(1)を添加分散し、冷却して目的とする製品を得る。 〈クリーム状〉 (1)カルナウバロウ 5.0% (2)セレシン 10.0% (3)ミツロウ 20.0% (4)キャンデリラロウ 10.0% (5)ステアリン酸ヘキサデシル 20.0% (6)ラノリン 25.0% (7)酸化防止剤 適量 (8)カーボン 必要に応じ適量 (9)香料 適量 (10)短繊維 10.0% 上記実施例と同じ方法により製品を得る。 〈ゲル状〉 (1)ミリスチン酸イソプロピル 8.0% (2)モノステアリン酸グリセリン 4.0% (3)トリエタノールアミン 0.5% (4)カルボキシビニルポリマー 2.0% (5)カーボン 適量 (6)香料 適量 (7)短繊維 5.0% (8)精製水 81.5% (9)メチルパラベン 適量 半量の精製水でホモジナイズし、残量を添加する。 〈ケーキ状〉 (1)タルク 50.0% (2)酸化チタン 5.0% (3)ステアリン酸亜鉛 7.0% (4)カオリン 10.0% (5)ラノリン 3.0% (6)カルナバロウ 7.0% (7)イソステアリン酸 5.0% (8)流動パラフィン 3.0% (9)カーボン 適量 (10)短繊維 10.0% (11)香料 適量 上記(1)?(4)を混合粉砕し、予め調整された上記(5)?(11)を加え、混合成型する。」(2頁左上欄下から4行?右下欄下から2行) カ 刊行物6の記載事項 (ア)「【請求項1】 長さ0.1?2.0mmの絹繊維を0.1?10.0重量%配合することを特徴とするマスカラ。」 (イ)「【0013】 【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を更に詳しく説明する。下記の組成により、各々の実施例及び比較例のマスカラを通常の製法により調整した。 ・・・ 【0014】実施例1 ステアリン酸 6.0 ミツロウ 6.0 ポリビニルピロリドン 3.0 プロピレングリコール 5.0 顔料 10.0 防腐剤 0.5 アクリル樹脂エマルジョン(樹脂分50%) 30.0 絹繊維(0.5mm) 0.1 純水 39.4 【0015】実施例2 ステアリン酸 6.0 ミツロウ 6.0 ポリビニルピロリドン 3.0 プロピレングリコール 5.0 顔料 10.0 防腐剤 0.5 アクリル樹脂エマルジョン(樹脂分50%) 30.0 絹繊維(0.5mm) 5.0 純水 34.5 【0016】実施例3 ステアリン酸 6.0 ミツロウ 6.0 ポリビニルピロリドン 3.0 プロピレングリコール 5.0 顔料 10.0 防腐剤 0.5 アクリル樹脂エマルジョン(樹脂分50%) 30.0 絹繊維(0.5mm) 10.0 純水 29.5 【0017】実施例4 ステアリン酸 6.0 ミツロウ 6.0 ポリビニルピロリドン 3.0 プロピレングリコール 5.0 顔料 10.0 防腐剤 0.5 アクリル樹脂エマルジョン(樹脂分50%) 30.0 絹繊維(0.1mm) 5.0 純水 34.5 ・・・ 【0025】実施例6 セレシン 6.0 ミツロウ 6.0 デキストリン脂肪酸エステル 5.0 エステルガム 5.0 顔料 10.0 防腐剤 0.3 絹繊維(0.5mm) 5.0 軽質イソパラフィン(沸点160?200℃)62.7」 キ 刊行物7の記載事項 (ア)「【請求項2】 長さが0.1?1.0mmの繊維粉末を含有することを特徴とする化粧料。」 (イ)「【0005】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明に係る化粧料は、主として体毛を着色する眉墨や白髪染墨として使用されるものであり、油性基剤と顔料を主成分とし、繊維粉末を含有することを特徴とする。繊維粉末には、毛髪、羊毛、絹、皮革粉末繊維、その他の蛋白質繊維、綿、麻、レーヨン、その他のセルロース繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ビニロンその他の合成繊維、炭素繊維が使用される。繊維粉末の長さは0.1?1.0mm、好ましくは500μm以下にするとよい。」 (ウ)「【0011】 【実施例】〔表1〕に示す成分を80℃にて混練し眉墨をつくる。 【0012】 【表1】 【0013】表1において、各成分の配合量を示す数字は重量部を示し、繊維粉末には黒く染色した絹繊維を長さ0.3mmに調製して使用している。・・・」 ク 刊行物8の記載事項 (ア)「【請求項1】 髪型の処理、形成若しくは手入れ用の化粧品の製造における少なくとも1種類の非水溶性の合成繊維若しくは天然繊維又はこれらの混合物の使用。 【請求項2】 前記繊維は、ビスコース繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、絹繊維、セルロース繊維、亜麻繊維、リンネル繊維、羊毛繊維、若しくは綿繊維から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の使用。 【請求項3】 前記繊維は、20?2000μmの長さと、8?70μmの直径とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の使用。 【請求項4】 1?1100μmの長さを有する絹繊維が使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。 【請求項5】 150?2000μmの長さを有するポリアミド繊維が使用されることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の使用。 【請求項6】 前記繊維は、化粧品中に0.01?2.5重量パーセント量含有されていることを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の使用。」 (イ)「【0028】 【実施例】後述の実施例は、本発明の対象をさらに詳しく説明する。実施例においては次の繊維を使用した。 絹繊維(1) :1?160μmの繊維長を有する絹繊維(ドイツのCroda社製のCrosilk Powder) 絹繊維(2) :200?720μmの繊維長を有する絹繊維(ドイツのInterorgana 社の販売品) 絹繊維(3) :260?1100μmの繊維長を有する絹繊維(ドイツのInterorgana 社の販売品) ポリアミド繊維 :150?2000μmの繊維長を有するポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6.6)(ドイツのSTW Schwarzwaelder Textilwerke社の販売品) ビスコース繊維 :150?2000μmの繊維長を有するビスコース繊維(ドイツのREO Flock & Faser 社の販売品) 【0029】 実施例1 毛髪用香料 0.50 g 絹繊維(1) ・・・ ────── 100.00 g 【0030】 実施例2 毛髪洗浄剤 0.75 g ポリアミド繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0031】 実施例3 噴霧式ヘアケア剤 0.15 g 絹繊維(1) ・・・ ────── 100.00 g 【0032】 実施例4 泡状ヘアケア剤 0.40 g 絹繊維(2) ・・・ ────── 100.00 g 【0033】 実施例5:毛髪固定安定化剤 0.10 g 絹繊維(3) ・・・ ────── 100.00 g 【0034】 実施例6:毛髪固定安定化剤 0.25 g ポリアミド繊維 0.25 g 絹繊維(2) ・・・ ────── 100.00 g 【0035】 実施例7:毛髪固定安定化剤 0.20 g 絹繊維(1) ・・・ ────── 100.00 g 【0036】 実施例8:毛髪固定安定化剤 0.10 g ビスコース繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0037】 実施例9:UV保護ドライヤーローション 0.15 g 絹繊維(2) ・・・ ────── 100.00 g 【0038】 実施例10:毛髪手入れ用固定安定化ローション 0.25 g 絹繊維(3) ・・・ ────── 100.00 g 【0039】 実施例11:強い固定安定性を有する泡状固定安定化剤 0.2 g ポリアミド繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0040】 実施例12:泡状固定安定化剤 0.10 g 絹繊維(3) ・・・ ────── 100.00 g 【0041】 実施例13:泡状固定安定化剤 0.25 g ビスコース繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0042】 実施例14:カール用泡状固定安定化剤 0.05 g 絹繊維(2) ・・・ ────── 100.00 g 【0043】 実施例15:手入れ用泡状固定安定化 0.2 g 絹繊維(3) ・・・ ────── 100.00 g ・・・ 【0044】 実施例16:着色固定安定化剤 0.23 g 絹繊維(1) ・・・ ────── 100.00 g 【0045】 実施例17:強い固定安定性を有するヘアスプレー 0.15 g 絹繊維(3) ・・・ ────── 100.00 g 【0046】 実施例18:ヘアスプレー 0.05 g ポリアミド繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0047】 実施例19:スタイリング-ヘアスプレー 0.10 g 絹繊維(2) ・・・ ────── 100.00 g 【0048】 実施例20:80%VOC-ヘアスプレー 0.10 g ポリアミド繊維 0.10 g 絹繊維(3) ・・・ ────── 100.00 g 【0049】 実施例21:ポンプスプレー 0.05 g ポリアミド繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0050】 実施例22:80%VOC-ポンプスプレー 0.075 g 絹繊維(1) ・・・ ────── 100.00 g 【0051】 実施例23:55%VOC-ポンプスプレー 0.10 g ビスコース繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0052】 実施例24:ヘアジェル 0.20 g 絹繊維(1) ・・・ ────── 100.00 g 【0053】 実施例25: 固定安定化ヘアスタイリング-ジェル 0.1 g ポリアミド繊維 ・・・ ────── 100.00 g 【0054】 実施例26:毛髪固定安定化液体-ゲル 0.15 g 絹繊維(2) ・・・ ────── 100.00 g 【0055】上述した全てのパーセント数は、他に注釈を加えていない限り、重量パーセントを示している。」 ケ 刊行物9の記載事項 (ア)「【請求項1】 水と、オルガノポリシロキサンエラストマーの固体粒子と、繊維と、その他の粉末とを含有する固体組成物。 ・・・ 【請求項4】 前記繊維が、絹繊維、木綿繊維、羊毛繊維、亜麻繊維、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、特にレイヨンアセテート繊維、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)繊維、アクリル系繊維、特にポリメチルメタクレレート繊維またはポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)繊維、ポリオレフィン繊維および特にポリエチレンもしくはポリプロピレン繊維、シリカ繊維、炭素繊維、特に黒鉛形態のもの、ポリテトラフルオロエチレン繊維、不溶性コラーゲン繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維またはポリ塩化ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、キトサン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレンフタレート繊維、ポリマーの混合物から形成される繊維、およびほぼ直線状の硬質繊維、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項5】 前記繊維の長さが、1μm?10mm、好ましくは0.1mm?5mm、より好ましくは0.3mm?1mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。 ・・・ 【請求項7】 前記繊維が、組成物の総重量に対して、0.5重量%?20重量%の範囲、好ましくは0.5重量%?15重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%?8重量%の範囲、特に好ましくは2重量%?8重量%の範囲の含有率で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。 ・・・ 【請求項16】 化粧用組成物であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。」 (イ)「【0104】 本発明を、以下に記載の実施例によってより詳細に説明する。 【実施例1】 【0105】 以下の組成を有するコンプレキションメークアップ製品を調製した。 - 架橋ポリマー(Dow Corning製BY 29-119)を63重量%含有する架橋ポリジメチルシロキサンの粒子の水性分散液 59g、即ち純分37.1g - グリセロール 5g - プロピレングリコール 5g - 保存剤 1g - ナイロン粉末(Atofina 製Orgasol(登録商標)2002 Extra D Nat Cos) 10g - RP Scherer社がPolytrap(登録商標)6603 Adsorberの品名で販売しているエチレングリコールジメタクリレートとラウリルメタクリレートの共重合体粉末 5g - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte社製 5g - 顔料(酸化鉄、二酸化チタン) 10g 【0106】 成分を混ぜ合わせた後、製品を押し付けて皿形容器に詰める。この製品は、製品の表面を損なうことなく、スポンジで表面から取り出すことができる。 【0107】 得られた製品は、上記の条件で測定して、硬度が0.2N、弾性が55%である。 【実施例2】 【0108】 以下の組成を有するスキンマッティング製品を調製した。 ・・・ - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte社製 5g ・・・ 【実施例3】 【0110】 以下の組成を有するアイシャドウ製品を調製した。 ・・・ - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte社製 4g ・・・ 【実施例4】 【0112】 以下の組成を有するコンプレキションメークアップ製品を調製した。 ・・・ - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte社製 5g ・・・ 【実施例5】 【0114】 以下の組成を有するスキンマッティング製品を調製した。 ・・・ - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte社製 5g ・・・ 【実施例6】 【0116】 以下の組成を有するコンプレキションメークアップ製品を調製した。 ・・・ - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte社製 5g ・・・ 【実施例7】 【0118】 以下の組成を有するスキンマッティング製品を調製した。 ・・・ - 0.9デシテックスのポリアミド繊維、長さ0.3mm 、Paul Bonte製 5g」 (2)各刊行物に記載された発明 ア 刊行物1に記載された発明 上記(1)ア(ア)?(カ)の摘示事項より、刊行物1には、「長さ1μm?10mm、好ましくは0.1μm?5mm、より好ましくは0.1mm?1.5mmの繊維を、組成物の全重量に対して0.1重量%?30重量%、好ましくは1重量%?25重量%、より好ましくは5重量%?25重量%含有する化粧料であって、前記繊維が、繊維が、絹、綿、ウール又は亜麻繊維、特に木材、植物又は藻類から抽出されたセルロース繊維、ポリアミド(ナイロン(登録商標))繊維、変性セルロース繊維、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維、アクリル酸繊維、ポリオレフィン、ガラス、シリカ、アラミド、炭素又はテフロン(登録商標)繊維、不溶性コラーゲン繊維、ポリエステル、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、キトサン、ポリウレタン又はポリエチレンフタレート繊維、ポリマー混合物から形成された繊維、及び再吸収可能な合成繊維、及びそれらの混合物から選ばれる前記化粧料、あるいは、長さ0.3mmのポリアミド繊維をそれぞれ8.2重量%、8重量%若しくは7.5重量%含有するW/Oエマルション、成型(cast)製品若しくは粉末、又は、長さ0.3mmの綿繊維を5重量%含有する口紅」(以下、引用発明1という。)が記載されているものと認められる。 イ 刊行物2に記載された発明 上記(1)イ(ア)?(ウ)の摘示事項より、刊行物2には、「長さが0.5?5mm、好ましくは0.5?2mmである天然繊維を0.1?10重量%、好ましくは0.2?5重量%含有するパック化粧料であって、前記天然繊維として綿、麻、ジュート麻、芭蕉、コウゾ、三椏、ケナフ等の植物繊維、羊毛、アルパカ毛、兎毛、狸毛、狐毛等の動物繊維が使用されている前記化粧料、あるいは、長さ1mmの脱脂羊毛を1重量%含有するパック化粧料」(以下、引用発明2という。)が記載されているものと認められる。 ウ 刊行物3に記載された発明 上記(1)ウ(ア)?(ウ)の摘示事項より、刊行物3には、「直線にのばした状態の長さが好ましくは10μm?10mm、特に好ましくは50μm?5mmである繊維を0.01?20重量%、好ましくは0.1?10重量%含有するマスカラ用アンダーコートであって、前記繊維として綿繊維、麻繊維、絹繊維、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等のうち唯一種を含有させるか、二種以上を組み合わせて含有させた前記アンダーコート、あるいは、長さ500μmの絹繊維を1重量部含有するマスカラ用アンダーコート」(以下、引用発明3という。)が記載されているものと認められる。 エ 刊行物4に記載された発明 上記(1)エ(ア)?(ウ)の摘示事項より、刊行物4には、「直線にのばした状態の長さが好ましくは10μm?10mm、特に好ましくは50μm?5mmである繊維を0.01?20重量%、好ましくは0.1?10重量%含有する化粧料であって、前記繊維として綿繊維、麻繊維、絹繊維、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等のうち唯一種を含有させるか、二種以上を組み合わせて含有させた前記化粧料、あるいは、長さ500μmの朝、綿又は絹繊維を1重量部含有するマスカラ用アンダーコート」(以下、引用発明4という。)が記載されているものと認められる。 オ 刊行物5に記載された発明 「%」なる単位は通常「重量%」を意味すると解されるから、上記(1)オ(ア)?(ウ)の摘示事項より、刊行物5には、「長さが10μ?1000μ程度の繊維を含有するメイクアップ剤、あるいは、長さが0.1?0.6mm程度である木綿繊維を5.0又は10.0重量%含有するメイクアップ剤」(以下、引用発明5という。)が記載されているものと認められる。 カ 刊行物6に記載された発明 上記(1)カ(ア)における配合量の単位が「重量%」となっていることから、上記(1)カ(イ)における組成の単位も「重量%」であると解される。 そうすると、上記(1)カ(ア)、(イ)の摘示事項より、刊行物6には、「長さ0.1?2.0mmの絹繊維を0.1?10.0重量%含有するマスカラ、あるいは、長さ0.5mmの絹繊維を0.1重量%、5.0重量%若しくは10.0重量%含有するか、又は、長さ0.1mmの絹繊維を5.0重量%含有するマスカラ」(以下、引用発明6という。)が記載されているものと認められる。 キ 刊行物7に記載された発明 上記(1)キ(ア)?(ウ)の摘示事項より、刊行物7には、「長さが0.1?1.0mmの繊維粉末を含有し、前記繊維として毛髪、羊毛、絹、皮革粉末繊維、その他の蛋白質繊維、綿、麻、レーヨン、その他のセルロース繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ビニロンその他の合成繊維、炭素繊維が使用される前記化粧料、あるいは、長さが0.3mmの絹繊維を5重量%又は10重量%含有する眉墨」(以下、引用発明7という。)が記載されているものと認められる。 ク 刊行物8に記載された発明 上記(1)ク(ア)、(イ)の摘示事項より、刊行物8には、「長さが1?1100μmである絹繊維、あるいは、長さが150?2000μmであるポリアミド繊維を0.01?2.5重量パーセント量含む化粧品」(以下、引用発明8という。)が記載されているものと認められる。 ケ 刊行物9に記載された発明 上記(1)ケ(ア)、(イ)の摘示事項により、刊行物9には、「長さが1μm?10mm、好ましくは0.1mm?5mm、より好ましくは0.3mm?1mmの範囲である絹繊維、木綿繊維、羊毛繊維、亜麻繊維、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、特にレイヨンアセテート繊維、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)繊維、アクリル系繊維、特にポリメチルメタクレレート繊維またはポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)繊維、ポリオレフィン繊維および特にポリエチレンもしくはポリプロピレン繊維、シリカ繊維、炭素繊維、特に黒鉛形態のもの、ポリテトラフルオロエチレン繊維、不溶性コラーゲン繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維またはポリ塩化ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、キトサン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレンフタレート繊維、ポリマーの混合物から形成される繊維、およびほぼ直線状の硬質繊維、ならびにこれらの混合物から選択される繊維を組成物の総重量に対して0.5重量%?20重量%の範囲、好ましくは0.5重量%?15重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%?8重量%の範囲で含む化粧用組成物、あるいは、長さ0.3mmのポリアミド繊維を5重量%含有するコンプレキションメークアップ製品若しくはスキンマッティング製品、又は、長さ0.3mmのポリアミド繊維を4重量%含有するアイシャドウ製品」(以下、引用発明9という。)が記載されているものと認められる。 (3)対比・判断 ア 本願発明1、2について (ア)引用発明1の「W/Oエマルション」、「成型(cast)製品」及び「粉末」はいずれも実施例において皮膚に適用され、つや消し効果を示したことから、「化粧料」に相当する。また、引用発明1の「口紅」、引用発明3、4の「マスカラ用アンダーコート」、引用発明5の「メイクアップ剤」、引用発明6の「マスカラ」、引用発明7の「眉墨」、引用発明9の「メークアップ製品」、「スキンマッティング製品」及び「アイシャドウ製品」も、「化粧料」に相当する。さらに、引用発明1?9でそれぞれ特定されている繊維の長さ及び配合量の数値又は数値範囲は、本願発明1で特定されている繊維の長さの数値範囲、及び、本願発明2で特定されている繊維の配合量の数値範囲と重複する。 そうすると、本願発明1と引用発明1?9とは、「長さが1μm?1000μmである繊維を含有することを特徴とする化粧料。」という点で一致し、本願発明2と引用発明1?9とは、「長さが1μm?1000μmである繊維を含有し、繊維の配合量が0.1?10重量%であることを特徴とする化粧料。」という点で一致する。 そして、本願発明1、2と引用発明1?9とは、以下の点で一応相違する。 一応の相違点: 本願発明1、2においては繊維が「吸湿発熱性能を有し」ているのに対し、引用発明1?9にはその旨明記されていない点 (イ)そこで、上記一応の相違点について検討する。 本願明細書の段落【0010】を参酌すると、本願発明1、2における「吸湿発熱性能を有する繊維」とは、「通常の吸湿発熱性能を有する衣類等に用いられているものであればよく、特に限定されない」ものと認められ、その一例としてアクリル酸系吸湿発熱性繊維が挙げられている。しかしながら、「通常の吸湿発熱性能」とはどの程度の吸湿発熱性能を意味するのか、また、「通常の吸湿発熱性能を有する衣類等に用いられているもの」と表現される繊維には他にどのようなものが該当するのかが明らかでない。 一方、繊維とは、吸湿すると発熱する性質を有するものであり、例えば羊毛、絹、綿、ナイロン(ポリアミド)等も吸湿発熱性能を有することが本願出願前に公知である(要すれば、例えば、『繊維科学、2002年、Vol.44、No.8、pp.45-47、特にp.45右欄のグラフ』等参照)。 そうすると、引用発明1?9で使用されている各種繊維は、程度の差こそあれ吸湿発熱性能を有する蓋然性が高く、本願発明1、2における「吸湿発熱性能を有し・・・繊維」と明確に区別することができない。 したがって、本願発明1、2と引用発明1?9との間に、実質的な差異はない。 |
審理終結日 | 2018-03-06 |
結審通知日 | 2018-03-13 |
審決日 | 2018-03-27 |
出願番号 | 特願2012-145602(P2012-145602) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZF
(A61K)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小出 直也 |
特許庁審判長 |
大熊 幸治 |
特許庁審判官 |
長谷川 茜 須藤 康洋 |
発明の名称 | 化粧料 |
代理人 | 諌山 雅美 |
代理人 | 下田 俊明 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 丹羽 武司 |
代理人 | 佐貫 伸一 |